JP5134919B2 - 車両用ドアサッシュ構造 - Google Patents
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また、ドアサッシュ部を車外側から見たときに、ドアサッシュのほぼ全体がモール及びウェザーストリップによって被覆され、ドアサッシュ本体が外部に露出しないヒドンタイプの構成としたものが提案されている。
従来、ヒドンタイプのドアサッシュ構造において、モールをサッシュ本体から突き出して形成された平坦部に対してリベットで固定したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上述した従来技術のように、モールをドアサッシュに対してリベットやビス等で固定する場合には、使用されるリベットやビスがサッシュの取付面部から突出するため、そのサイズに応じてある程度のモール幅を確保する必要があった。
さらに、リベットやビスによってモールの固定を行う場合、車両組立ラインにおける作業時間が多くかかり、生産性を低下させる問題があった。
また、リベットやビス等の締結具は、モール等からの突出量が多くかつ変形しにくいため、ドアガラスを昇降可能に支持するゴム製のグラスランと隣接して配置した場合、ガラス上昇時の突き上げ荷重を局部的に受けることになり、グラスランの耐久性が低下してしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、モールの幅を小さくすることができかつ組立作業性に優れた車両用ドアサッシュ構造を提供することである。
請求項1の発明は、車両のドアウインドウガラスの縁部に沿って延在し、閉断面部及び前記閉断面部から車幅方向外側に突き出した突出面部を有するドアサッシュと、前記ドアサッシュにほぼ沿って延在しかつ前記車両の外部側に露出した状態で配置されるモールと、前記ドアサッシュの前記突出面部を挟持するクリップと、前記モールから車幅方向内側へ突出して形成され、前記ドアサッシュの前記突出面部と対向して配置されるクリップ固定面部とを備える車両用ドアサッシュ構造であって、前記クリップと前記クリップ固定面部との当接した面間をカシメによって結合したことを特徴とする車両用ドアサッシュ構造である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用ドアサッシュ構造において、前記クリップは、ほぼ全面に樹脂系材料からなるコーティングが施されることを特徴とする車両用ドアサッシュ構造である。
(1)ドアサッシュの突出面部を挟持するクリップは、その材料の厚み程度しか突出面部から張り出さないため、例えばリベットやビスを用いる従来技術と比較して、モール固定部の突出面部の法線方向における寸法を小さくすることができ、このためモールの幅を小さくすることができる。
また、ドアガラスを昇降可能に保持するグラスラン側への張り出し量も小さくなることから、ドアガラスの上昇時にグラスランがドアガラス上端とクリップとの間に挟まれても、グラスランに顕著な応力集中が生じず、グラスランの耐久性を向上することができる。
さらに、クリップをモールのクリップ固定面部に対してカシメにより固定することによって、小スペースで安定した結合品質を得ることができる。
(2)クリップがモールの材料との間に電位差を実質的に生じさせない材料で形成されることによって、電蝕の発生を防止し、ドアサッシュ構造の耐久性を向上することができる。また、クリップが弾性を有する材料で形成されることによって、クリップとドアサッシュの突出面部との間のがたつきを防止し、モール表面の面精度を向上して外観品質をよりいっそう向上することができる。
(3)クリップのほぼ全面に樹脂系材料からなるコーティングを施すことによって、クリップをドアサッシュの突出面部に嵌め込む際に、突出面部に傷がつくことを防止できる。
図1は、実施例のドアサッシュ構造を備えた車両の模式的側面図である。
車両1は、例えば乗用車であって、キャビン2、ドア3、ドアウインドウガラス4、サイドルーフフレーム5、Aピラー6、Bピラー7、ドアサッシュ部(ドアサッシュ構造体)100を備えている。
ドア3は、キャビン2の側部に設けられたドア開口に開閉可能に装着されている。
ドアウインドウガラス4は、ドア3に対して昇降可能に装着された板状の強化ガラスであって、上昇した状態においては、ドア3の上部から突き出した状態で配置され、ドア開口の上部を閉塞するものである。ドアウインドウガラス4は、車両の側面視において、その前端縁部、後端縁部がそれぞれAピラー6、Bピラー7の傾斜に合わせて形成されたほぼ台形状となっている。
Aピラー6は、ルーフ5の前端部を支持する支柱状の閉断面部であって、フロントウインドウガラスの側端縁部とドアウインドウガラス4の前端縁部との間に挟まれて配置されている。
Bピラー7は、サイドルーフフレーム5の前後方向における中間部分を支持する支柱状の閉断面部であって、ドア3及びドアウインドウガラス4の後端縁部にほぼ沿って延在している。
これらサイドルーフフレーム5、Aピラー6、Bピラー7は、それぞれ例えば鋼板をプレス加工して形成され、車両のモノコック構造の一部を構成している。
このドアサッシュ部100の構成について、以下より詳細に説明する。
図2は、図1のII−II部矢視断面図である。
図3は、図2のIII−III部矢視図である。
図4(a)、図4(b)は、それぞれ図3のA−A部矢視断面図及びB−B部矢視断面図である。
図5は、クリップの四面図である。
ドアサッシュ部100は、ドアサッシュ本体110、モール120、クリップ130(図3〜5参照)、グラスラン140を備えている。
ドアサッシュ本体110は、ドアウインドウガラス4の外周縁部に沿って延在し、ドアウインドウガラス4を支持するフレーム状の部材であって、閉断面部111、突出面部112を備えている。
また、閉断面部111の車幅方向外側の端面は、上昇位置におけるドアウインドウガラス4の上端部における車室内側の面部と対向して配置されている。
一方、閉断面部111の車幅方向内側の端面は、サイドルーフフレーム5に装着された図示しないドアウェザーストリップと当接し、ドアサッシュ部100上部から車室内への水等の浸入を防止している。
ここで、ドアサッシュ本体110は、例えば一枚ものの鋼板をロールフォーミングすることによって形成されており、突出面部は、その母材となる帯板の幅方向(長手方向と直交する方向)の両端部に相当する部分を重ねて閉じ合わせて構成されている。
そして、突出面部112の幅方向中央部には、図4に示すように、クリップ130の後述する係合突起133と係合する開口(凹部)113が形成されている。開口113は、矩形に形成され、突出面部112を貫通して形成されている。
また、ドアサッシュ本体110の表面には、塗装が施されている。
モール120は、側面部121、下側折返部122、上側折返部123、クリップ固定面部124、内側折返部125を備え、これらは上述したロールフォーミングによって一体に形成されている。
下側折返部122は、側面部121の下端部を、車幅方向内側にU字状に折り返した部分であって、このU字状溝は、上方側に開口している。
上側折返部123は、側面部121の上端部を、車幅方向内側に折り返し、側面部121の内面側において横断面形状がほぼS字状となるように折り曲げた部分である。
クリップ固定面部124は、上側折返部123の下端部から車幅方向内側でありかつ斜め下方側に突き出して形成された平板状の部分である。
内側折返部125は、クリップ固定面部124の車幅方向内側の端部から上方側に折り曲げられて形成され、図示しないウェザーストリップを車幅方向内側から支持する部分である。
図3等に示すように、クリップ130は、平板部131、挟持部132、係合突起133、モール係合部134を備え、これらは一体に形成されている。
図5等に示すように、挟持部132は、ドアサッシュ部100の長手方向における平板部131の中央部に設けられている。
クリップ130には、その全面にわたって、ナイロン樹脂によるコーティングが、例えばディッピングによって施されている。
また、グラスラン140の上面部は、ドアサッシュ本体110の突出面部112の下面、及び、クリップ130の挟持部132と対向して配置され、ドアウインドウガラス4の上昇時には、ドアウインドウガラス4の上端部によって、突出面部112及び挟持部132側に押圧される。
先ず、モール120に対して、クリップ130を固定する。クリップ130は、その平板部131の上面部がモール120のクリップ固定面部124の下面部と当接した状態で、これらを機械カシメすることによって固定される。この機械カシメ箇所Cは、図3に示すように、挟持部132をドアサッシュ部100の長手方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
(1)ドアサッシュ本体110の突出面部112を挟持するクリップ130は、その材料の厚み程度しか突出面部112から張り出さないため、例えばリベットやビスを用いる従来技術と比較して、モール固定箇所の突出面部112の法線方向における寸法を小さくすることができ、このためモール120の幅を小さくして外観品質を向上することができる。
また、ドアウインドウガラス4を昇降可能に保持するグラスラン140側への張り出し量も小さくなることから、ドアウインドウガラス4の上昇時にグラスラン140がドアウインドウガラス4の上端とクリップ130の挟持部132との間に挟まれても、グラスラン140に顕著な応力集中が生じず、グラスラン140の耐久性を向上することができる。
また、クリップ130をモール120のクリップ固定面部124に対して機械カシメにより固定することによって、小スペースで安定した結合品質を得られる。また、例えば溶接で固定する場合に対して材料選択の自由度を向上することができ、溶接が困難なバネ鋼でクリップ130を製作した場合であっても、結合品質を確保できる。
また、モールにクリップを固定する手段として、例えばモールに溝部を形成し、ここにクリップを嵌め込むことも考えられるが、本実施例によれば、このような構成よりもモールの形状を簡素化し、ロール成型によって容易に成型可能な形状とすることができ、生産性が向上する。
(3)クリップ130の全面にナイロン樹脂でコーティングを施すことによって、クリップ130をドアサッシュ本体110の突出面部112に嵌め込む際に、突出面部112の塗装に傷がつくことを防止し、防錆性を確保できる。また、クリップ130とモール120のクリップ固定面部124とはカシメにより固定されるので、このようにコーティングを施しても固定箇所の接合品質に影響がない。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、ドアサッシュ構造を構成する各部材の形状、構造、製法等は適宜変更することができる。また、モールとクリップの材料も実施例の組み合わせに限定されず適宜変更することができるが、組み合わせを変える場合であっても、両者間に実質的に電位差が生じない組み合わせとすることが好ましい。
また、クリップにコーティングされる材料もナイロン樹脂に限らず、他の樹脂系材料であってもよい。
3 ドア 4 ドアウインドウガラス
5 サイドルーフフレーム 5a ドアウェザーストリップ
6 Aピラー 7 Bピラー
100 ドアサッシュ部 110 ドアサッシュ本体
111 閉断面部 112 突出面部
113 開口
120 モール 121 側面部
122 下側折返部 123 上側折返部
124 クリップ固定面部 125 内側折返部
130 クリップ 131 平板部
132 挟持部 133 係合突起
134 モール係合部
140 グラスラン
C 機械カシメ箇所
Claims (3)
- 車両のドアウインドウガラスの縁部に沿って延在し、閉断面部及び前記閉断面部から車幅方向外側に突き出した突出面部を有するドアサッシュと、
前記ドアサッシュにほぼ沿って延在しかつ前記車両の外部側に露出した状態で配置されるモールと、
前記ドアサッシュの前記突出面部を挟持するクリップと、
前記モールから車幅方向内側へ突出して形成され、前記ドアサッシュの前記突出面部と対向して配置されるクリップ固定面部と
を備える車両用ドアサッシュ構造であって、
前記クリップと前記クリップ固定面部との当接した面間をカシメによって結合したこと
を特徴とする車両用ドアサッシュ構造。 - 請求項1に記載の車両用ドアサッシュ構造において、
前記クリップは、前記モールの材料との間に電位差を実質的に生じさせずかつ弾性を有する材料によって形成されること
を特徴とする車両用ドアサッシュ構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用ドアサッシュ構造において、
前記クリップは、ほぼ全面に樹脂系材料からなるコーティングが施されること
を特徴とする車両用ドアサッシュ構造。
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