JP5133669B2 - 段差解消スロープ - Google Patents
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Description
例えば、玄関口から車椅子によって建築物内に出入りする場合、玄関土間(下床部)と廊下床面(上床部)との間に段差があるため、スロープ台を使用して通行していた。
しかしながら、スロープ台を設置したり取り外して物置などに保管したりすることは、煩わしさが伴うものであった。
そこで、玄関土間や廊下床面の床下を活用してスロープを収納し、必要なときに取り出して使用するスロープが開示されている(特許文献1〜5参照)。
また、スロープの使用時には車椅子や介護者により荷重が負荷されるため、その荷重を受ける支柱やヒンジ部の強度確保が必要となり、構成部材の大型化や厚肉化につながるものであった。
この場合、フラッパー等の回転部材を設けてスロープ使用時に反転させ、スロープ端部と廊下床面との隙間を解消する方法も考えられるが、その回転操作が別途必要になるとともに、そのフラッパー等の回転部材を収納時に重ね合わせると厚さが増加するのでスペース的に収納性が悪くなるものであった。
ここで連結部材が起立する方向に回動すると、それに伴いパネル部材の前端部が上昇し、パネル部材の前端部が最頂部になってもさらに所定の角度だけ回動するとパネル部材の前端部が上床部の上面に載置する状態になる。
本発明で起立回動する動作にはこの一連の動きが含まれる。
従って、本明細書では、段差部を形成した上段側を上床部と表現し、下段側を下床部と表現する。
また、スロープ使用時に下床部側に引き出されて下床部と上床部との間に斜めに掛け渡されるパネル部材の上床部側に載置される方を前端部と表現し、下床部の上面に当接する側を後端部と表現する。
従ってスロープ使用時とは、このようにパネル部材が斜めに掛け渡される状態をいう。
本発明に係る段差解消スロープによれば、スロープ使用時では上床部の上面にパネル部材の前端部が載せられるので、パネル部材に負荷される荷重が上床部でも受けることとなり、連結部材に伝達される荷重が低減される。
従って、スロープを使用する人や車椅子の荷重を支えることを目的として連結部材を頑丈な高強度にする必要はなく、連結部材及びスロープ全体の軽量化を図ることができる。
即ち、連結部材が第2連結軸を中心として上床部側(前端部側)に傾斜していることで、パネル部材に荷重が負荷された場合は、連結部材が更に傾斜する方向に力が働く。
従って、第1連結軸及びパネル部材が下斜め前方に力が働くこととなり、パネル部材の前端部が上床部から外れて落ちる心配がなく、スロープ使用時の安全性を確保できる。
なお、本発明とは反対に、第1連結軸が第2連結軸よりも水平方向でパネル部材の後端部側に配置されると連結部材が後端部側の上方に傾斜した状態となり、パネル部材に荷重が負荷された場合は第1連結軸及びパネル部材が下斜め後方に力が働くこととなり、パネル部材の前端部が上床部から外れて落ちる恐れがある。
更に、連結部材の回動操作によってスロープ収納時とスロープ使用時を切り替え可能とすることができる。
この転動ローラにより、スライド部材のスライド操作性が向上し、収納部への出し入れ作業性が良くなる。
スロープ使用時においても転動ローラが下床部に当接していて、スライド部材が傾くことなく安定し、パネル部材の展開や収納操作もスムーズに行うことができる。
即ち、スロープ収納時には支持突部と連結部材によってパネル部材がスライド部材上で支持されることになるが、スロープ使用時には支持突部はパネル部材と離間している。
従って、スロープ使用時にパネル部材に負荷される荷重が支持突部を介してスライド部材に伝わらないので、スライド部材は最低限としてパネル部材を支える強度と剛性があればよく、軽量化と小型化を図ることができる。
その結果、下床部が不整地であっても良好にパネル部材をスロープ使用時の状態とすることができる。
本発明においては、スロープ使用時には連結部材が上床部側に起立回動することでパネル部材の前端部が上床部の上面に載置すると共に第1連結軸が第2連結軸よりも水平方向の位置関係において前方に位置するようにしたので、上記支持突部により、パネル部材の後端部が下床部上を摺動する区間を低減することができるものの、連結部材が垂直状態から、さらに所定角度分だけ第1連結軸が上床部側に移動するように回動するので、パネル部材の前端部が反引き出し方向に戻されながらスロープ使用時の傾斜状態を形成することになり、逆にスロープ収納時には反引き出し方向に戻された移動量だけ、パネル部材の後端部が下床部の上面に喰い込むように、摺動するので、パネル部材の後端部の裏面には、当該パネル部材の後端部と下床部の上面との干渉を防止した摺動スライダを有しているとさらによい。
従って、パネル部材に負荷される荷重に耐えるための支柱等を別途設ける必要はなく、スロープの軽量化と収納時の省スペース化を図ることができる。
また、別途フラッパー部材等を設けることなくパネル部材と上床部とを連絡することができ、車椅子等を使用する場合でも、滑らかにスロープを通過することができる。
なお、連結部材に、パネル部材に所定以上の荷重が付加されたことで生じる異常撓みを吸収する機構を有していると、パネルの展開駆動部の不本意な破損を有効に防止できる。
本発明では、連結部材を回動する機構に制限がなく、各種機構が考えられるが、簡単な構造としては、連結部材を起立回動させる駆動手段を有し、当該駆動手段は、連結部材より後端部側に配設した、パネル部材側第3連結軸とスライダ側第4連結軸からなる連接リンクと、当該第4連結軸で連結した当該スライダの前後方向のスライド機構とを有する例が挙げられる。
また、このような床下に収納するタイプであっても、上床部の床下に設けられた収納部へ出し入れが自在なスライド部材を備えているので、スロープ使用時には容易に取り出し可能であり、使い勝手が良い。
また、スロープに負荷される荷重を、主にパネル部材から直接的に上床部と下床部とで受けるので、パネル部材以外の構成部材を小型・軽量化することができる。
その結果、収納部を省スペース化することが可能となり、更には電動式でスロープを展開・収納する際にも有利となる。
図1は、本実施形態の段差解消スロープを展開した使用時の状態を示す概略斜視図であり、図2は、その概略平面図である。
図1及び図2に示すように、建築物の玄関には玄関土間(下床部f2)と玄関廊下(上床部f1)との間に段差部hが形成されている。
スロープ1の使用状態では、パネル部材30は下床部f2と上床部f1との間に斜めに掛け渡されている。
このように、スロープ使用時には、スロープ1のパネル部材30がゆるやかに傾斜した形状になるように展開され、パネル部材30の前端部31が上床部f1の上に載せられるとともに、後端部32が下床部f2に接地される。
スロープ未使用時には、パネル部材30が上床部f1の床下に設けた収納部10に収納された状態となる。
図3(a)はスロープ1の使用状態であり、図3(b)は使用状態と収納状態との間の中間状態である。
図4は、スロープ1の収納状態における拡大側面視を示しており、図4(a)は図2のA−A断面図、図4(b)は図2のB−B断面図である。
図5は、図4のC−C断面図であり、スロープ1の収納状態における拡大正面視を示している。
図6及び図7は、図2のB−B断面図であり、スロープ1の拡大側面視を示している。
図6(a)はスロープ1の使用状態であり、図6(b)は連結部材40が垂直に起立した状態であり、図7は使用状態と収納状態との間の中間状態で、スライド部材20が引き出された状態を示す。
スロープ1には、収納部10へ水平方向に出し入れが自在なスライド部材20を備えている。
スライド部材20には、パネル部材30が連結されている。
スロープ収納時には、図4に示すように、パネル部材30及びスライド部材20は、収納部10に収納される。
パネル部材30及びスライド部材20は、スロープ収納状態から下床部f2側に引き出されて、図3(b)に示すような中間状態を経て、スロープ使用時の状態となる。
第1ベース板12のスロープ幅方向の中央部には、アウタレール11と平行に第1ガイドレール13が設けられ、第1ガイドレール13にはスライド方向に摺動自在な第1スライダ14が組み付けられている。
第1スライダ14は、樹脂ベルト(図示せず)を介して第1駆動装置(モータ)15に接続されている。
第1駆動装置15は、収納部10内の前方(最奥、図4における左側)に設けられている。
収納部10の出入口(その後端、図4のおける右端)には、蓋17が、その上端で回動可能に設けられている。
第2ベース板22のスロープ幅方向の中央部には、インナレール21と平行に第2ガイドレール23が設けられ、第2ガイドレール23にはスライド方向に摺動自在な第2スライダ24が組み付けられている。
第2スライダ24は、樹脂ベルト(図示せず)を介して第2駆動装置(モータ)25に接続されている。
第2駆動装置25は、スライド部材20の前側(先端、図4における左側)に、第2ベース板22上に設けられている。
第2ベース板22の後端(図4では右端)には、スライド部材20を収納部10へ出し入れする際に下床部f2を転動する転動ローラ26が設けられている。
図3(a)に示すように、スロープ使用時においても、転動ローラ26が下床部f2に当接している。
アウタレール11とインナレール21との間には、樹脂材からなる摺動部材16が介在され、アウタレール11とインナレール21とが摺動可能になっている。
フロア板34の表面上を車椅子等が移動可能となっており、フランジレール33は、車椅子の脱輪を防止するようになっている。
この固定には、必要に応じて溶接又はビス止めを行う。
アウタレール11、インナレール21、及びフランジレール33は、それぞれアルミニウム合金の押出加工等により、前述した溝等の形状に成形されている。
スロープ収納状態では、第1ベース板12の上に第2ベース板22、その更に上にフロア板34が位置した状態で収納されている。
これらの板材は、スロープ幅方向に延在し、隣り合う板材の互いに対向する端面には、互いに嵌合するように凸部又は凹部が形成されている。
これらの板材は、それぞれアルミニウム合金の押出加工等により、前述した形状に加えて中空部が一体的に成形されている。
パネル部材30の表面側に位置する面には、長手方向平行に延びる滑り止め用の突起部も、押出成形により一体的に成形されている。
更に前端部31は、前側上方を傾斜させた傾斜面が形成されており、車椅子が通過する際の段差を低減するようになっている。
後端部32には、後側下方を傾斜させた傾斜面が形成されるとともに、スロープ使用状態では、後端部32の先端が下床部f2と接するようになっている。
詳しく説明すると、連結部材40は、その一端側でパネル部材30に第1連結軸41を中心に回動自在に組み付けられるとともに、他端側でスライド部材20に第2連結軸42を中心に回動自在に組み付けられている。
本実施形態では、連結部材40を両端がヒンジ機構を有したものを使用し、図2に示すようにスロープ幅方向に2個を並べて、パネル部材30の裏側及びスライド部材20の第2ベース板22上側にボルト等で締結固定した。
具体的には、パネル部材30の全長の前から1/4よりも前側に位置した構成となっている。
第2連結軸42は、スライド部材20の全長の前から1/2よりも前側に位置した構成となっている。
図4(b)に示すようなスロープ収納状態及び図6(b)に示すような中間状態では、第1連結軸41が第2連結軸42よりも水平方向の位置関係において後方側(パネル部材30の後端部32側、図4における右方向側)に配置される構成となっている。
このとき、第1連結軸41の中心と第2連結軸42の中心を結ぶ線と水平面とでなす角度で後方に開口した角度θ4、即ち、連結部材40と第2ベース板22とでなす角度θ4は、鋭角となっている。
連接リンク50は、連結部材40よりも後方に設けられ、その一端側(左上側)でパネル部材30に第3連結軸51を中心に回動自在に組み付けられるとともに、他端側(右下側)で第2スライダ24に第4連結軸52を中心に回動自在に組み付けられている。
この第3連結軸51は、第1連結軸41と同軸にしてもよい。
第4連結軸52は、第2連結軸42よりも後方側に配置されている。
連接リンク50は、どのような状態であっても常に第3連結軸51が第4連結軸52よりも水平方向の位置関係において後方側(パネル部材30の後端部32側、図4における右方向側)に配置される構成となっている。
このとき、第3連結軸51の中心と第4連結軸52の中心を結ぶ線と水平面とでなす角度で前方に開口した角度θ5、即ち、連接リンク50と第2ベース板22とでなす角度θ5は、鋭角となっている。
この案内ローラ27は、第2連結軸42及び第4連結軸52よりも水平方向の位置関係において後方側(パネル部材30の後端部32側、図4における右側)に位置している。
図4に示すようなスロープ収納状態では、パネル部材30は、連結部材40、連接リンク50及び案内ローラ27によって支持されて、水平面(下床部f2の面)と平行(略水平)になっている。
操作性を考慮し、連接リンク50及び第2スライダ24の位置を調整することで、前端部31を高くさせた若干の傾斜状態としておくのもよい。
このとき、蓋17は押し開けられ、転動ローラ26が下床部f2上を転がりながら、スライド部材20及びパネル部材30は下床部f2側に引き出される。
機械的なストッパによる過負荷又は電気的なリミットスイッチにより、スライド部材20のスライド移動が停止し、図3(b)又は図7に示すようなスロープ1の中間状態となる。
スライド部材20は、中間状態では前側の一部が収納部10に隠れた状態となっている。
スライド部材20の前端に設けられている第2駆動装置25も、収納部10に隠れた状態となっている。
なお、本実施形態では、スロープ収納状態と中間状態とでは、パネル部材30、連結部材40、及び連接リンク50のスライド部材20に対する相対位置は変化していない。
しかしながら、パネル部材30は連結部材40を連結しているので、連結部材40は第2連結軸42を中心として起立回動移動することになる。
第1連結軸41は、図7及び図6において反時計回り方向に円弧状の軌跡を描きながら、前方上側に移動することとなる。
従って、パネル部材30は、前端部31を上昇させて傾斜しながら前方へ平行移動することとなる。
第2スライダ24の前方へのスライド移動に伴って、第4連結軸52が徐々に第2連結軸42に近づき、連結部材40の角度θ4及び連接リンク50の角度θ5が大きくなっていく。
その角度が大きくなる度合いは、角度θ5よりも角度θ4の方が大きく、やがて連結部材40の角度θ4は図6(b)に示すように90°の状態になる。
この状態では図6(b)に示すようにパネル部材30の前端部31と上床部f1の上面との間にわずかな隙間dがある。
さらに連結部材40が回動しθ4が鈍角となった状態が図6(a)である。
なお、この前端部31の円弧状軌跡の上側頂点は、図6(b)に示したように上床部f1よりも高い位置となっている。
スロープ使用状態では、第1連結軸41が第2連結軸42よりも水平方向で前方側(パネル部材30の前端部31側、図6における左方向側)に配置される構成となっている。
連結部材40は、角度θ4が鋭角から90°を超えて鈍角となっており、連結部材40の中立軸(第2連結軸42を通る垂線)を超えてターンオーバーした状態となっている。
即ち、連結部材40が第2連結軸42から上床部f1側(前端部31側)の上方に傾斜した状態となっている。
但し、これらの運動は規制されているため、連結部材40は、一回転することなく、揺動の幅が80〜150°程度の揺動動作を行う構成となっている。
スロープ使用状態における角度θ4は、100〜120°の間が望ましい。
角度θ4が小さいと、スロープ使用時の負荷によってパネル部材30が中間状態に戻って使用者を危険にする恐れがある。
また、垂直に近くなるほどスロープ使用時の荷重がスライド部材20に大きく伝わってしまう恐れがある。
反対に角度θ4が大きすぎると、その分だけ余分な動きをすることとなり、第2駆動装置25の負担が増すことになる。
パネル部材30と水平線(下床部f2)とでなす角度であるスロープ角θsは、10°程度となっている。
図6(a)に示すように、3つの角度について、角度の大きさの関係は「θs<θ5<(180−θ4)」となっている。
なお、図8に連結部材40と連接リンク50の斜視図を示す。
パネル部材30の移動に伴い、案内ローラ27がパネル部材30に当接する接点は後端部32側へ移動するとともに、後端部32が下降して傾斜角度が増していく。
即ち、案内ローラ27がパネル部材30に当接する接点はパネル部材30の傾斜角度に応じて移動し、スロープ使用状態になると後端部32が下床部f2に当接することで、パネル部材30が案内ローラ27から離れる構成となっている。
従って、スロープ使用状態では、図6(a)に示すように、案内ローラ27とパネル部材30との間に隙間が生じている。
従って、スロープ使用時の荷重が、案内ローラ27を経由してスライド部材20に伝達されることはない。
即ち、パネル部材30の前端部31から後端部32までが一枚板のように固定されている。
従って、スロープ使用状態で荷重が負荷されると、そのほとんどの荷重(全荷重の80%以上)を前端部31と後端部32で、それぞれ上床部f1と下床部f2によって直接受け止められる。
パネル部材30の長さを短くすることなく収納部10に収めるため、スロープ収納時の状態からパネル部材30及びスライド部材20が引き出されてパネル部材30が収納部10から完全に出た後、パネル部材30の前端部31が反引き出し方向(前方向)に戻されながらスロープ使用時の傾斜状態を形成する構成となっている。
従って、図6の(a)と図7を比較するとわかるように、後端部32の位置は、スロープ使用状態よりも中間状態の方が後方(図6における右側)になっている。
即ち、スロープ使用状態において、第2駆動装置25を上記と反対方向に駆動させて第2スライド24を後方へスライド移動させると、第1連結軸41は図6において時計回り方向に回動移動して、パネル部材30は略水平となり、スロープ中間状態となる。
このスロープ中間状態において、第1駆動装置15を上記と反対方向に駆動させて第1スライダ14を前方へスライド移動させると、第1スライダ14に従属してスライド部材20及びパネル部材30もスライド移動し、収納部10に収納される。
スライド部材20及びパネル部材30が完全に収納部10に収まって格納されると、蓋17が閉じられ、スロープ収納状態となる。
その結果、連結部材40や連結リンク50を経由してスライド部材20に伝達される荷重が低減される。
従って、スロープ1を使用する人や車椅子の荷重を支えることを目的として連結部材40を頑丈な高強度にする必要はなく、使用状態以外のときにパネル部材30自体の荷重を支えるだけの強度があればよい。
よって、連結部材40及びスロープ1全体の小型化・軽量化を図ることができる。
特に連結部材40を薄肉とすることができるので、収納時の高さ方向(厚さ)を低減でき、収納状態における高さh1(図4におけるパネル部材30の上端までの高さ)は、段差hの高さの半分(1/2)以下とすることが可能となる。
その結果、上床部f1の後端側に構成される上框f11の厚さを充分に確保することができ、スロープ使用時の荷重に耐えることが可能となる。
また、スロープ収納時では第1連結軸41が第2連結軸42よりも水平方向の位置関係においてパネル部材30の後端部32側に配置される。
即ち連結部材40と水平面とでなす角度θ4が鋭角で、30°以下とすることができるので、スロープ角度を小さくしてパネル部材30を略水平として収納することができ、より収納部10の省スペース化を図ることができる。
更に、連結部材40の回動操作によって、スロープ収納時とスロープ使用時を容易に切り替え可能とすることができる。
即ち、連結部材40が第2連結軸42を中心として上床部f1側(前端部31側)に傾斜して連結部材40の角度θ4が90°を超えた鈍角になっていることで、パネル部材30に荷重が負荷された場合は、連結部材40が更に傾斜する方向(角度θ4が更に大きくなる方向)に力が働く。
従って、第1連結軸41及びパネル部材30が下斜め前方に力が働くこととなり、パネル部材30の前端部31が上床部f1から外れて落ちる心配がなく、スロープ1使用時の安全性を確保できる。
本発明のスロープ使用時において、パネル部材30の前端部31が上床部f1から外れて落ちる場合を検討すると、連結部材40の角度θ4が鈍角から90°になるべく前端部31を一度まず上方へ持ち上げられなければならないので、通常の使用においては前端部31が単にずれ落ちるという心配がない。
更に、スロープ使用時においても転動ローラ26が下床部f2に当接しているのでスライド部材20が傾くことなく安定し、パネル部材30の展開や収納操作もスムーズに行うことができる。
転動ローラ26は、スロープ収納状態及びスライド部材20が収納状態から引き出された後しばらくは下床部f2に接していなくてもよく、その引き出し動作の途中から下床部f2を転がってスライド部材20を支持する構成としてもよい。
よって、スライド部材20の後側である案内ローラ側は最低限として収納状態及び中間状態におけるパネル部材30を支える強度と剛性があればよく、軽量化と小型化を図ることができる。
更に、中間状態及び使用状態におけるインナレール21とアウタレール11がオーバーラップする長さを低減することが可能となる。
その結果、下床部f2が不整地であっても良好にパネル部材30をスロープ使用時の状態とすることができる。
案内ローラ27が後方すぎると、スロープ使用時はパネル部材30が案内ローラ27に接したままとなり、パネル部材30後端部32が下床部f2に接地できなくなる恐れがある。
反対に案内ローラ27が前方すぎると、中間状態から使用状態への移行時の途中早々に後端部32が下床部f2に接地してしまい、後端部32が下床部f2を引き摺りながらスロープ使用状態となることになる。
従って、パネル部材30に負荷される荷重に耐えるための支柱等を別途設ける必要はなく、スロープ1の軽量化と収納時の省スペース化を図ることができる。
また、別途フラッパー部材等を設けることなくパネル部材30と上床部f1とを連絡することができ、車椅子等を使用する場合でも、滑らかにスロープ1を通過することができる。
上記した実施形態では、駆動装置を使用した電動式によってスロープ収納状態と使用状態に変形させているが、手動式であってもよい。
例えば、スロープ収納状態から手動によりスライド部材20を引き出し、中間状態でスライド部材20をロックさせる機構とする。
その後、パネル部材30を持ち上げて使用状態とする。
後端部32に引き出し用のハンドルや、前端部31側に持ち上げ用のハンドルを設けてもよい。
例えば、一回の「スロープ使用」スイッチ操作により、まず第1駆動装置15が駆動した後、中間状態になった時点で第2駆動装置25が駆動するように制御する。
使用状態から収納状態に変形する場合は、反対に、一回の「スロープ収納」スイッチ操作により、まず第2駆動装置25が駆動した後、中間状態になった時点で第1駆動装置15が駆動するように制御する。
例えば、パネル部材30が収納部10から完全に出た直後又は完全に出る前の前端部31が収納部10に隠れている状態で、第1駆動装置15を止めずに第2駆動装置25も駆動させる。
つまり、スライド部材20が後方へスライド移動しながら、連結部材40が回動移動してパネル部材30が前方移動及び傾斜動作をすることとなる。
更に、後方移動中のスライド部材20上でパネル部材30が前方移動するので、作動している間、後端部32が使用状態における位置よりも後方に移動する作動領域を短縮することができる。
使用状態から収納状態へ操作する場合は反対の動作を行うが、同様に第1駆動装置15と第2駆動装置25を同時に駆動させる区間を設ける。
例えば、第2スライダ24を廃止して連接リンク50が伸縮自在なピストン構造としてもよく、パネル部材30の後端部32側が引っ張られる構成としてもよい。
また、第1連結軸41が上記実施形態のような円弧軌跡を運動するようなガイドを設ける構成としてもよい。
つまり、前端部31が上記実施形態のような円弧軌跡を運動すれば、上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
そこで、図9に示すように例えば連結部材40を上連結部材43と下連結部材44に分割し、長孔43aと段付ボルト44a等で連結し、パネル部材が所定以上に大きく撓むと、上連結部材43が長孔43aに沿ってスライドするような撓み吸収機構を設けてもよい。
また、図10に示すように連結部材40の第1連結軸41側を取り付ける取付ブラケット70を設けると、取付ブラケットの水平部72に設けた取付孔72aを用いて連結部材40を連結した後で垂直部71の取付孔71aを用いてパネル部材の側部30aに固定できるので組立作用が容易になる。
さらに、図10に示すようにパネル部材30の後端部32の裏面に第3スライダ61a,61bを取り付けるとこの後端部32が下床部f2の上面を摺動する動作がスムーズになる。
図10に示した第3スライダ61a,61bは下床部の上面と摺動しやすく、且つ、荷重に耐えられるように断面半円の形状になっているがパネル部材の後端部の移動を滑らかにするものであれば特に限定されない。
10 収納部
11 アウタレール
12 第1ベース板
13 第1ガイドレール
14 第1スライダ
15 第1駆動装置
20 スライド部材
21 インナレール
22 第2ベース板
23 第2ガイドレール
24 第2スライダ
25 第2駆動装置
26 転動ローラ
27 案内ローラ(支持突部)
30 パネル部材
31 前端部
32 後端部
33 フランジレール
34 フロア板
40 連結部材
41 第1連結軸
42 第2連結軸
50 連接リンク
51 第3連結軸
52 第4連結軸
61a,61b 第3スライダ
f1 上床部
f2 下床部
h 段差部
θ4、θ5 角度
θs スロープ角
Claims (5)
- 建築物の上床部と下床部との段差部を解消するスロープであって、
上床部の床下に設けてある収納部と、
当該収納部から水平方向に出没自在なスライド部材と、
スロープ収納時は前記収納部に収納されスロープ使用時には下床部側に引き出されて下床部と上床部との間に斜めに掛け渡されるパネル部材と、を備え、
スライド部材とパネル部材は連結部材で連結してあり、
スロープ収納時には連結部材のパネル部材側第1連結軸が当該連結部材のスライド部材側第2連結軸より水平方向の位置関係において後方に有し、スロープ使用時には当該連結部材が上床部側に起立回動することでパネル部材の前端部が上床部の上面に載置すると共に第1連結軸が第2連結軸よりも水平方向の位置関係において前方に位置し、
スライド部材は、連結部材の第2連結軸よりも水平方向の位置関係において後方に位置した支持突部を有し、
当該支持突部は、パネル部材の前端部が上下動する際にパネル部材を裏面側から支持するものであると共にパネル部材の前端部が上床部の上面に載置された状態ではパネル部材に当接していないことを特徴とする段差解消スロープ。 - パネル部材の前後方向の長さは不変長であり、スロープ使用時にはパネル部材の、前端部が上床部の上面に載置し後端部が下床部に当接していることを特徴とする請求項1に記載の段差解消スロープ。
- 連結部材を起立回動させる駆動手段を有し、
当該駆動手段は、連結部材より後端部側に配設した、パネル部材側第3連結軸とスライダ側第4連結軸からなる連接リンクと、当該第4連結軸で連結した当該スライダの前後方向のスライド機構とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の段差解消スロープ。 - 連結部材は、パネル部材に所定以上の荷重が付加されたことで生じる異常撓みを吸収する機構を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の段差解消スロープ。
- パネル部材の後端部の裏面には、当該パネル部材の後端部と下床部の上面との干渉を防止した摺動スライダを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の段差解消スロープ。
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