JP3966499B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートクッションをボディに干渉することなくスムーズに折り畳み収納することができる折り畳み式の車両用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、釣りやキャンプ等のアウトドアスポーツの発展に伴い従来のセダン型の自動車からワゴン型やワンボックス型の自動車が多く利用されるようになってきた。更に、これらの自動車においては、大きな荷物が載置できるようにシートを種々の形に変形可能としたものも提案されており、例えば図5に示されるように、シートバック30aをシートクッション30bの座面に向け前倒しすると、シートクッション30bが後方側へ移動するとともにシートバック30aがその上に折り畳まれてシートバック30aの裏面がリヤデッキ31に続く荷床面となるようにしたものが実用化されている。
【0003】
しかしながら、従来のものはシートバック30aがボディ32に立設した支持部材33の先端部にある支持ピン33aを中心に回転する機構であり、シートバック30aの下端部前方でピン34により枢着支持したシートクッション30bの後方部は前記支持ピン33aを中心に円弧運動するために、図5(b)に示されるように、シートクッション30bの後方下面がボディ32に当たってしまうという現象が生じた。この結果、これを回避するにはクッションの厚みを薄くしなければならず、著しくクッション性を損なってしまうという問題点があった。更には、図5(c)に示されるように、前倒し後においてシートバック30aが前方側へ大きく飛び出すためシート前方部に大きなスペースを確保しておく必要があり、シートをデザインする際にシートの大きさや取り付け位置等の面から種々の制約を受けるという問題点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、シートクッションの厚みを十分にとってもボディに干渉することなくスムーズに折り畳み収納することができ、また前倒し後においてもシートバックが前方側へ大きく飛び出すことがなくコンパクトに折り畳み収納することができて、優れたクッション性と収納性の両方を発揮することができる折り畳み式の車両用シートを提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の車両用シートは、シートバックをシートクッションの座面に向け前倒しすると、シートクッションが後方側へ移動するとともにシートバックがその上に折り畳まれてシートバックの裏面がリヤデッキに続く荷床面となる車両用シートにおいて、前記シートバックの下方部をヒンジブラケットを介してボディに回動自在に支持し、またシートクッションの前方部を第1リンクによりボディに回動自在に支持するとともに後方部をシートバックの下方部と枢着し、該枢着部をシートクッションの後方部に形成した円弧状ガイド孔に係合したうえ、この枢着部と前記第1リンクの先端部とを第2リンクで連結して、該枢着部を前記ガイド孔に沿って移動させるものとし、また、シートクッションは、第1リンクとボディの枢着部と、該枢着部と第1および第2リンクの枢着部の延長線上よりも前方側に位置する枢着部と、第2リンクとシートバック下方部の枢着部の少なくとも3点の枢着部を有するリンク機構により回動自在に支持されており、かつ、前記ガイド孔はシートクッション内の後下部から前上方向に向かって形成されて、該ガイド孔に係合される連結部材の枢着部がシートの着座状態ではガイド孔の下方に位置し、シートの収納状態ではガイド孔の上方に位置するよう構成され、更に、シートクッションが前記第2リンクに対して下方に移動するよう構成されて、前記シートクッションの後方部がシートバックの前倒しにより後方側へ緩やかに下降後ほぼ水平となる軌道を描きつつ移動するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1において1は、シートバック1aとシートクッション1bからなるシート本体であり、シートバック1aをシートクッション1bの座面に向け前倒しすると、シートクッション1bが後方側へ移動するとともにシートバック1aがその上に折り畳まれてシートバック1aの裏面がリヤデッキ21に続く荷床面となる折り畳み式のものである。
【0007】
前記シートバック1aの下方部は、ヒンジブラケット4を介し枢着部11aを中心にしてボディ22に対し回動自在となるように支持されている。
一方、シートクッション1bの前方部は第1リンク3aによりボディ22に対し回動自在に支持されている。なお、11cは第1リンク3aとボディ22の枢着部、11dは第1リンク3aとシートクッション1bの枢着部である。また、シートクッション1bの後方部はL字状の連結部材2をもってシートバックの下方部と連結されたものとなっている。この連結部材2は、シートバック側は固定された状態にあり、一方、シートクッション側はピン等により回動自在に枢着された状態となっている。
なお、前記第1リンク3aは、ボディ22に形成されたボディ強度保持用のクロスメンバー22aを跨ぐようにコ字状に屈曲したものとされており、クロスメンバー22aに干渉することなく自由に回動するよう構成されている。
【0008】
更に、シートクッション1bの後方部には円弧状ガイド孔5が形成されており、前記連結部材2の枢着部11bがこの円弧状ガイド孔5に係合されているとともに、この枢着部11bと前記第1リンク3aの先端部とが枢着部11eをもって第2リンク3bで連結されたものとなっている。
更に詳述すると、前記枢着部11dは枢着部11cと枢着部11eの延長線上よりも前方側に位置しており、シートクッション1bは枢着部11b、枢着部11d、枢着部11cの3点の枢着部を有するリンク機構により回動自在に支持されたものとなっている。一方、該リンク機構とは別に枢着部11a、枢着部11b、枢着部11e、枢着部11cの4点の枢着部を有し、かつ前記枢着部11bが円弧状ガイド孔5に案内されるリンク機構が形成されていて、これら2つのリンク機構の合成によりシートクッション1bの後方部の回動軌跡を大きく下方側へ沈み込まないようにしている。
そして、本発明では前記連結部材2の枢着部11bをガイド孔5に沿って移動させることで、前記シートクッション1bの後方部がシートバック1aの前倒しにより後方側へ緩やかに下降後ほぼ水平となる軌道を描きつつ移動するように構成し、コンパクトな収納を実現したのである。
【0009】
このように構成したものは、通常は図1に示されるように、着座面が形成されてシートとして使用に供され、一方、シートバック1aをシートクッション1bの座面に向け前倒しすると、図3に示されるように、シートクッション1bが後方側へ移動するとともにシートバック1aがその上に折り畳まれてシートバック1aの裏面がリヤデッキ21に続く荷床面を形成して大きな荷物等の収納用スペースとして利用される点は、従来のこの種の折り畳み式のシートと基本的な作動は同じである。
【0010】
そして、本発明では前記シートバック1aをシートクッション1bの座面に向け前倒しした場合、L字状の連結部材2が枢着部11aを中心にして反時計回りに回転し、これに従い枢着部11bが反時計回りに回転する。この枢着部11bには、第2リンク3bが連結されており、更に該第2リンク3bの他端には第1リンク3aが連結されている。更に、枢着部11bはシートクッション1bの後方部に形成された円弧状ガイド孔5の下端縁に接した状態となっている。この結果、図2に示されるように、一定角度までは円弧状ガイド孔5の下端縁が枢着部11bに引っ張られるため、シートバック1aの前倒しに連動して第1リンク3aが時計回りに回転し、シートクッション1bが後方側へ緩やかに下降しながら引っ張られることとなる。
【0011】
更にシートバック1aの前倒しを続けると、連結部材2の枢着部11bは円弧状ガイド孔5の下端縁を離れて該円弧状ガイド孔5に案内されつつ徐々に上方向へ相対位置を移動することとなる。この結果、シートクッション1bの後方部は、枢着部11bの円弧運動でなくガイド孔5の円弧形状と合成したほぼ水平方向への運動を行うこととなる。即ち、シートクッション1bの後方部は、図4に示されるように、単純な円弧運動でなく曲線A(図1参照)で示されるような後方側へ緩やかに下降後ほぼ水平となる軌道を描きつつ移動することとなり、シートクッション1bの後方下面はボディ22に当たることなく所定位置へ完全に収納されることとなる。
【0012】
この結果、シートバック1aを前倒しすると、前記シートクッション1bの枢着部11bは、図4中の曲線Aで示されるように、後方側へ緩やかに下降後ほぼ水平となる軌道を描きつつ移動することとなり、従来のように単純な円弧運動でないため、シートクッション1bの厚みを十分に厚いものとしても、後方部がボディ22と干渉するのを回避することが可能となる。
【0013】
このように、シートバック1aをシートクッション1bの座面に向け前倒しするという簡単な動作のみでシートクッション1bを所定位置へ収納することができ、しかもシートクッション1bがボディ22に当たるの回避するように動くためクッション厚みを十分に厚いものとすることが可能となる。更には、シートバック1aの前倒しの際に回転中心が後方側へ移動するため、折り畳み後においてシートバック1aの端部が前方側へ大きく飛び出すこともなく、前方側に大きなスペースを確保しておく必要もないためシートの設計の自由度を大幅に高めることが可能となる。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明はシートクッションの厚みを十分にとってもボディに干渉することなくスムーズに折り畳み収納することができ、また前倒し後においてもシートバックが前方側へ大きく飛び出すことがなくコンパクトに折り畳み収納することができて、優れたクッション性と収納性の両方を発揮することができるものである。
よって本発明は従来の問題点を一掃した車両用シートとして、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シートの通常の状態を示す正面図である。
【図2】シートを折り畳んだ途中の状態を示す正面図である。
【図3】シートを完全に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図4】シートを折り畳んだ際のシートクッションの動きを示す説明図である。
【図5】従来例を示すもので、(a)は通常状態を示す正面図、(b)は折り畳む途中の状態を示す正面図、(c)は折り畳んだ状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 シート本体
1a シートバック
1b シートクッション
2 L字状の連結部材
3a 第1リンク
3b 第2リンク
4 ブラケット
5 ガイド孔
11a 枢着部
11b 枢着部
11c 枢着部
11d 枢着部
11e 枢着部
21 リヤデッキ
22 ボディ
22a クロスメンバー
Claims (2)
- シートバックをシートクッションの座面に向け前倒しすると、シートクッションが後方側へ移動するとともにシートバックがその上に折り畳まれてシートバックの裏面がリヤデッキに続く荷床面となる車両用シートにおいて、前記シートバックの下方部をヒンジブラケットを介してボディに回動自在に支持し、またシートクッションの前方部を第1リンクによりボディに回動自在に支持するとともに後方部をシートバックの下方部と枢着し、該枢着部をシートクッションの後方部に形成した円弧状ガイド孔に係合したうえ、この枢着部と前記第1リンクの先端部とを第2リンクで連結して、該枢着部を前記ガイド孔に沿って移動させるものとし、また、シートクッションは、第1リンクとボディの枢着部と、該枢着部と第1および第2リンクの枢着部の延長線上よりも前方側に位置する枢着部と、第2リンクとシートバック下方部の枢着部の少なくとも3点の枢着部を有するリンク機構により回動自在に支持されており、かつ、前記ガイド孔はシートクッション内の後下部から前上方向に向かって形成されて、該ガイド孔に係合される連結部材の枢着部がシートの着座状態ではガイド孔の下方に位置し、シートの収納状態ではガイド孔の上方に位置するよう構成され、更に、シートクッションが前記第2リンクに対して下方に移動するよう構成されて、前記シートクッションの後方部がシートバックの前倒しにより後方側へ緩やかに下降後ほぼ水平となる軌道を描きつつ移動するようにしたことを特徴とする車両用シート。
- 第1リンクは、ボディに形成されたクロスメンバーを跨ぐようにコ字状に屈曲したものである請求項1に記載の車両用シート。
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