JP5130598B2 - ウイルスレセプター糖鎖認識特異性の判別方法 - Google Patents

ウイルスレセプター糖鎖認識特異性の判別方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性の判別方法、該方法に使用可能な新規なシアロ糖鎖含有ポリマー及び担体並びにそれらの効率的な製造法に関する。
インフルエンザは、通常の風邪のような軽い症状のものもあれば、スペイン風邪のような重篤な症状にいたる場合もある。また、最近、鳥インフルエンザが問題になっているように、インフルエンザは、人獣共通の感染症である。インフルエンザウイルスの宿主域は、多くの動物種に及ぶことが知られている。例えば、A型ウイルスは、ヒトの他に、カモ等の野生水鳥、七面鳥、ニワトリ、ウズラ等の家禽、ブタ、ウマ、ウシ、フェレット、クジラ、アザラシ等の動物を宿主とする。
インフルエンザウイルスの外皮は、HA(血赤球凝集素:ヘマグルチニン)およびNA(ノイラミニダーゼ)の2種の酵素タンパクの突起で被われている。HAは血球凝集性の抗原で、宿主細胞に吸着・侵入する際にその細胞表面にあるシアル酸を含むレセプター糖鎖と結合して、ウイルス粒子が細胞内に取り込まれるときに重要な役割を果たしている。
インフルエンザウイルスの抗原性は、HAとNAの組み合わせで決まり、A,B,Cの3型に大別される。A型には、さらに香港型など4種の亜型があることが知られている。A型では、従来より10年程度の周期で異なった亜型が登場したり、また同じ亜型でも年々少しずつ抗原性が変わっていく(抗原シフト)ことが知られている。このため抗原型に完全に適合したワクチンの生産が難しく、その予防効果が問題となっている。
一方、インフルエンザウイルスの型の分類は、上記のように抗原性による分類の他、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への結合性の違いによる分類がある(非特許文献1)。この分類は、レセプター糖鎖末端のシアル酸の結合様式の相違に基づくものであり、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖の認識性、結合性若しくは親和性の高低の相違に基くものである。
例えば、高病原性A型トリインフルエンザウイルス(H5N1亜型、H9N1、H7N7など)は、「SAα2−3Galβ−(SA:シアル酸)」の結合様式を強く認識するが、「SAα2−6Galβ−」の結合様式への認識性、結合性若しくは親和性は低い。一方、ヒトA型およびB型のインフルエンザウイルスは、「SAα2−6Galβ−」の結合様式を強く認識するが、「SAα2−3Galβ−」の結合様式への認識性、結合性若しくは親和性が低い。
トリインフルエンザウイルスがヒトへ感染するか否かの可能性を評価判定するための最も効果的な方法は、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への結合性を確認する方法である。すなわち、トリインフルエンザウイルスがヒトへ感染した場合であっても、その感染宿主の変異は遺伝子上の変異に反映されるとは限らない。しかし、レセプター糖鎖への結合性の変異は、感染するためには必須であることから、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性又はその変異を簡便に判別することができれば、インフルエンザウイルスの型の判別に加え、ウイルスの変異による感染宿主の変化や流行拡大の可能性をも予測することができる。
従来、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性を判別する方法としては、共鳴ミラー法を用いた方法がある(特許文献1)。この方法では、共鳴ミラー装置のキュベット内にインフルエンザウイルスに対するレセプター糖鎖を固定し、前記レセプター糖鎖にインフルエンザウイルス検体を反応させる。そして、前記レセプター糖鎖とインフルエンザウイルスとの結合により生じる共鳴角度変化を結合曲線に表し、レスポンス強度をモニタリングする。前記レスポンス強度により、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖の認識特異性が判別できるとされている。
しかしながら、この方法では、レセプター糖鎖を担体へ固定することが面倒である。すなわち、レセプター糖鎖として糖セラミド(シアリル(2−3)ネオラクトテトラオシルセラミド(トリ型)、シアリル(2−3)ラクトテトラオシルセラミド(トリ型)、シアリル(2−6)ネオラクトテトラオシルセラミド(ヒト型)、シアリル(2−6)ラクトテトラオシルセラミド(ヒト型)等)を使用し、これら糖セラミドとインフルエンザウイルスと結合しない糖脂質とをさらに混合し、この混合糖脂質をキュベット内の底面に固定化させるという極めて煩雑かつ複雑な方法で固定化レセプター糖鎖を調製している。さらに、共鳴ミラー装置という特殊で大型の装置を用いる必要がある。このため、大規模研究施設では使用できるが、例えば、患者が発生した現場、空港、養鶏場、駅等のフィールド、病院等の臨床現場で使用することは困難であった。
最近、毒性の強いトリインフルエンザウイルスが世界的に流行し、このトリインフルエンザウイルスがヒトからヒトへ感染するウイルス(新型インフルエンザウイルス)へと変異し、世界的な流行(パンデミック)を引き起こす可能性も指摘されている。このため、安価で、かつ簡易な器具で容易にインフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性を判別可能な方法の早急な開発が熱望されている。
「ウイルス感染における糖鎖認識プロセス」(鈴木康夫、「生化学」第76巻、第3号、pp.227−233,2004) 特開2001−264333号公報 特開2003−73397号公報 特開平10−310610号公報 特表2003−535965号公報 特表平11−503525号公報 特開2004−115616号公報
本発明者らは、安価で、かつ簡易な器具で容易に、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖の認識特異性を判別する方法を開発すべく、ELISA法、免疫クロマトグラフィー法等の免疫学的測定法の応用を試みた。
しかし、免疫学的測定法を応用したインフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性を判別する方法を確立するためには、次に挙げるような様々な課題を解決する必要性があることが明らかとなった。(1)レセプター糖鎖含有化合物の選別(課題1)、(2)レセプター糖鎖含有化合物の効率的な製造法の確立(課題2)、(3)レセプター糖鎖含有化合物を担体に固定化するための方法の確立(課題3)、(4)測定結果よりインフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性の判別、宿主の変異を予想し、サーベーランス用の試薬あるいはキットとしての有用性の確認(課題4)など。
より具体的に、それぞれの課題には、以下に示す問題があり、これらを解決することなしに、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性を判別する方法の確立は不可能であった。
(課題1)
従来、インフルエンザウイルスが結合可能なレセプター糖鎖含有化合物としては、種々報告されているものの(特許文献2〜4)、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性を判別する方法に好適なレセプター糖鎖含有化合物に関しては報告がない。さらに、測定時の安全性を考慮すると、不活化したウイルスサンプルが使用可能であることが必須である。しかし、不活化したウイルスサンプルを、望ましくは濃縮などの処理をしなくて用いた場合でも、そのようなサンプルと結合可能なレセプター糖鎖含有化合物がどのようなものかに関しては、まったく不明である。
(課題2)
レセプター糖鎖含有化合物の一例としてシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を合成する方法として特許文献2に開示された方法が挙げられる。この方法では、βガラクトシダーゼの糖転移反応を利用してp−ニトロフェニルN−アセチル−β−ラクトサミニドを合成し、p−ニトロフェニル基をp−アミノフェニル基へと還元する。その後、ポリグルタミン酸と縮合させ、ラット由来のシアリルトランスフェラーゼを用いてオリゴ糖部分をシアリル化することにより目的とするシアロ糖鎖含有ポリマーを取得していた。
しかし、この方法は、次のような欠点を有し、産業的には満足できる方法ではなかった。(1)合成収率が極めて悪い、(2)基質特異性の関係で、糖転移酵素として微生物由来の酵素は使用できず、調製が非常に面倒な高価な動物由来のものしか使用できない、(3)ポリグルタミン酸残基に対するシアロ糖鎖の導入率を制御するのが難しく、大過剰のp−アミノフェニル化されたオリゴ糖が必要であったり、シアロ糖鎖をポリグルタミン酸と直接縮合する場合、副反応を抑えるために、カルボキシル基を保護する必要がある、(4)ポリグルタミン酸骨格がプロテアーゼやペプチダーゼにより分解されるため、用いるシアリルトランスフェラーゼとしては精製酵素を用いる必要がある。
(課題3)
レセプター糖鎖含有化合物を担体に固定化する方法としては、適当なリンカーを用いる方法が一般的である(特許文献5及び6)。しかし、リンカーを用いる方法は、簡便な方法とは言えず、かつ化学反応であって、好ましくない副反応が生じるため、好ましい方法とは言えない。さらに、レセプター糖鎖含有ポリマーとしてシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を使用する場合を例に挙げれば、シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸の担体への結合法に関しては、まったく報告されていない。
(課題4)
現在まで、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への認識特異性の判別、ウイルス変異による感染宿主の変化を予想可能とする試薬あるいはキットは報告されていないし、市販もされていない。
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得、本発明を完成させた。(1)免疫学的測定等を応用してウイルスを捕捉する際、シアロ糖鎖単独ではなく、シアロ糖鎖とポリマーの複合体であるシアロ糖鎖含有ポリマー、特にシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸が好適であり、不活化したウイルスサンプルでも使用可能である、(2)このシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸は、合成スキームを変更し、三糖を合成後、最後にポリグルタミン酸と縮合することで、効率的に合成できる、(3)シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸の担体への固定化法としては、適当なリンカー等を用いて結合させる方法ではなく、シアロ糖鎖含有ポリマーを含む液を担体と接触させ、続けて紫外線照射することで、シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を担体表面に効率よく固定化できる。また、(4)できあがった固定化シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を用い、インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖への結合特異性をELISA法を応用した方法で検討した結果、その結合度合いを測定することによりウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別できること、及びウイルス変異による感染宿主の変化を判別できることを見出した。すなわち、上記検討の結果、2種類以上のシアロ糖鎖含有ポリマーを1つの担体の表面に固定した担体もしくは異なるシアロ糖鎖含有ポリマーをそれぞれの担体の表面に固定した2種類以上の担体を用い、前記2種類以上のシアロ糖鎖含有ポリマー毎に前記ウイルスサンプルを接触させ、それぞれの結合度合いを測定し、それらの結果を比較すれば、ウイルス変異による感染宿主の変化を判別できることを見出し、本発明を完成させた。したがって、本発明は、以下の通りである。
〔1〕ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性の判別方法であって、シアロ糖鎖含有ポリマーを表面に固定した担体に、前記ウイルスサンプルを接触させ、その結合度合いを測定することにより前記ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別する方法。
〔2〕ウイルス変異による感染宿主の変化を判別する方法であって、2種類以上のシアロ糖鎖含有ポリマーを1つの担体の表面に固定した担体もしくは異なるシアロ糖鎖含有ポリマーをそれぞれの担体の表面に固定した2種類以上の担体を用い、前記2種類以上のシアロ糖鎖含有ポリマー毎に前記ウイルスサンプルを接触させ、それぞれの結合度合いを測定し、それらの結果を比較してウイルス変異による感染宿主の変化を判別することを特徴とする、ウイルス変異による感染宿主の変化を判別する方法。
〔3〕前記シアロ糖鎖含有ポリマーにおける前記シアロ糖鎖が、シアリルラクト系I型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GlcNAcβ1−)、シアリルラクト系II型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−4GlcNAcβ1−)、シアリルガングリオ系糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GalNAcβ1−)およびシアリルラクトース糖鎖(SAα2−6(3)Gal1−4Glc−)からなる群から選択される少なくとも一つの糖鎖である上記〔1〕又は〔2〕記載の判別方法。
〔4〕前記シアロ糖鎖含有ポリマーにおける前記ポリマーが、ポリグルタミン酸である上記〔1〕又は〔2〕記載の判別方法。
〔5〕前記結合度合いの測定が、前記ウイルスに対する抗ウイルス抗体を用いた免疫学的測定法による測定である上記〔1〕又は〔2〕記載の判別方法。
〔6〕前記ウイルスサンプルが、インフルエンザウイルスのサンプルである上記〔1〕又は〔2〕記載の判別方法。
〔7〕下記式(I)で表され、γ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマー。
Figure 0005130598
(I)
Figure 0005130598
(II)
(式(I)中、Zは水酸基又は式(II)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(II)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
〔8〕下記式(III)で表され、γ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマー。
Figure 0005130598
(III)
Figure 0005130598
(IV)
(式(III)中Zは水酸基又は式(IV)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(IV)中Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
〔9〕下記式(V)で表され、α−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマー。
Figure 0005130598
(V)
Figure 0005130598
(VI)
(式(V)中、Zは水酸基又は式(VI)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(VI)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、R’はフェニレンを除く炭化水素を示す。)
(式(V)中、Zは水酸基又は式(VI)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(VI)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、R’はフェニレンを除く炭化水素を示す。)
〔10〕下記式(VII)で表され、α−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマー。
Figure 0005130598
(VII)
Figure 0005130598
(VIII)
(式(VII)中、Zは水酸基又は式(VIII)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(VIII)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、R’はフェニレンを除く炭化水素を示す。)
〔11〕以下の工程からなる、シアロ糖鎖含有ポリマーの製造法。
(工程1)
糖転移酵素を用いて目的とするシアロ糖鎖を合成する工程
(工程2)
工程1で合成したシアロ糖鎖とポリグルタミン酸とを化学的に結合させる工程
(工程3)
工程2で合成したシアロ糖鎖含有ポリマーを単離精製し、目的とするシアロ糖鎖含有ポリマーを取得する工程
〔12〕シアロ糖鎖が、シアリルラクト系I型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GlcNAcβ1−)、シアリルラクト系II型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−4GlcNAcβ1−)、シアリルガングリオ系糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GalNAcβ1−)およびシアリルラクトース糖鎖(SAα2−6(3)Gal1−4Glc−)からなる群から選択される少なくとも一つの糖鎖である上記〔16〕記載の製造法。
〔13〕〔1〕記載又は〔2〕記載の判別方法に用いる担体であって、シアロ糖鎖含有ポリマーを表面に固定した担体。
〔14〕シアリルラクト系I型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GlcNAcβ1−)、シアリルラクト系II型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−4GlcNAcβ1−)、シアリルガングリオ系糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GalNAcβ1−)およびシアリルラクトース糖鎖(SAα2−6(3)Gal1−4Glc)からなる群から選択される少なくとも一つのシアロ糖鎖をポリグルタミン酸に結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーを紫外線照射することで表面に固定した担体。
〔15〕前記担体が複数のウエルを有し、異なる種類のシアロ糖鎖含有ポリマーが複数固定されている上記〔13〕又は〔14〕記載の担体。
〔16〕上記〔1〕又は〔2〕記載のウイルスのレセプター糖鎖認識特異性又はその変異を判別する方法に用いるキットであって、上記〔14〕記載の担体を含むキット。
〔17〕担体が複数のウエルを有し、1つの担体に異なる種類のシアロ糖鎖含有ポリマーが複数固定されたものである、上記〔16〕記載のキット。
〔18〕2つ以上の担体を含有し、異なる種類のシアロ糖鎖含有ポリマーがそれぞれの担体に固定されたものである、上記〔16〕記載のキット。
〔19〕前記シアロ糖鎖含有ポリマーにおける前記ポリマーが、α−ポリグルタミン酸である〔4〕記載の判別方法。
〔20〕前記インフルエンザウイルスが、不活化されたインフルエンザウイルスである〔6〕記載の判別方法。
〔21〕グルタミン酸単位重合度が10〜10,000である〔7〕〜〔10〕いずれかに記載のシアロ糖鎖含有ポリマー。
〔22〕グルタミン酸残基に対するシアロ糖鎖の導入率が10〜80%である〔7〕〜〔10〕に記載のシアロ糖鎖含有ポリマー。
〔23〕ポリグルタミン酸が、α−ポリグルタミン酸又はγ−ポリグルタミン酸である〔11〕記載の製造法。
〔24〕グルタミン酸単位重合度が10〜10,000である〔11〕記載の製造法。
〔25〕グルタミン酸残基に対するシアロ糖鎖の導入率が10〜80%である〔11〕記載の製造法。
〔26〕前記シアロ糖鎖含有ポリマーの前記シアロ糖鎖が、シアリルラクト系I型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GlcNAcβ1−)、シアリルラクト系II型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−4GlcNAcβ1−)、シアリルガングリオ系糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GalNAcβ1−)およびシアリルラクトース糖鎖(SAα2−6(3)Gal1−4Glc)からなる群から選択される少なくとも一つの糖鎖である〔13〕記載の担体。
〔27〕前記ポリグルタミン酸が、α−ポリグルタミン酸又はγ−ポリグルタミン酸である〔13〕又は〔14〕記載の担体。
〔28〕担体が複数のウエルを有するプレートである〔13〕又は〔14〕記載の担体。
〔29〕さらに、前記ウイルスに対する抗ウイルス抗体を含む〔16〕記載のキット。
〔30〕〔13〕ないし〔29〕のいずれかに記載の担体の製造方法であって、前記担体に、シアロ糖鎖含有ポリマーを含む液を接触させ、この状態で紫外線を前記担体に照射し、その後、前記液を除去することにより、前記担体表面に前記シアロ糖鎖含有ポリマーを固定する担体の製造方法。
このように、本発明の判別方法は、シアロ糖鎖含有ポリマー、特にシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を固定した担体を用い、これにウイルスを接触させ、その結合度合いを、免疫学的方法等で測定することにより被検ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別するものである。本発明の判別方法は、簡易な器具で容易に実施でき、本発明によってたとえば、インフルエンザウイルスのヒト感染型かトリ感染型かの判別に加え、ウイルス変異による感染宿主の変化や流行の可能性をも予測することが初めて可能となった。
従来、シアロ糖鎖含有ポリマー自体、あるいはシアロ糖鎖の担体への結合法は種々報告されている(特許文献2〜6)。しかし、本発明のように、不活性化したウイルスサンプルを用いてもウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別できるとした報告はなく、また判別可能であるとも考えられておらず、本発明者らによって初めて達成されたことである。
また、本発明のシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸及びその製造法は、安価な原料を使用し、かつ効率的な方法である。このため、本発明のシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸、それを固定化した担体試薬及びキットのコストを大幅に下げることが可能で、多額の経費を必要とせず検査をすることができ、発展途上国のような国でも本発明のキット等は使用可能である。
さらに、本発明のウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別するため担体及びキットは、ELISA等の免疫学的測定法や生物学的測定方法等を応用することが可能であるため、担体の調製が容易で、判定操作も簡単である。このため、本発明はどこでも実施することが可能であり、また大型の装置を使用する必要もなく、養鶏場、屠殺場、病院、空港、駅など発生現場からサンプルが持ち込まれる近場の各種検査施設で使用可能なものである。
は、本発明の一実施例におけるトリA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。 は、前記実施例におけるヒトA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。 は、前記実施例におけるヒトB型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。 は、ヒトA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はPoly(Neu5Acα2−6Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、●はPoly(Neu5Acα2−3Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、△はPoly(Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)の結果を示す。 は、トリA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はPoly(Neu5Acα2−6Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、●はPoly(Neu5Acα2−3Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、△はPoly(Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)の結果を示す。 は、ヒトA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、●はPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、△はPoly(Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)の結果を示す。 は、トリA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、●はPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、△はPoly(Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)の結果を示す。 は、ヒトA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はより高分量のPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、●はより高分子量のPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)の結果を示す。 は、トリA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はより高分子量のPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)、●はより高分子量のPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)の結果を示す。 は、ヒトA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)、●はPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)、□はPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/ α−PGA)、■はPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/ α−PGA)のそれぞれの結果を示す。 は、前記実施例におけるトリA型インフルエンザウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を示すグラフである。○はPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)、●はPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)、□はPoly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/ α−PGA)、■はPoly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/ α−PGA)のそれぞれの結果を示す。 は、Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/α−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/α−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−3Lac β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−6Lac β−5−aminopentyl /γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−3LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMRチャートを示す。 は、Poly(Neu5Acα2−6LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMRチャートを示す。
以下、説明の都合上、(1)新規なシアロ糖鎖含有ポリマー、(2)シアロ糖鎖含有ポリマーの製造法、(3)シアロ糖鎖含有ポリマーを担体へ固定化した試薬及びキット、(4)ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性の判別方法の順で、本発明を詳細に説明する。
(1)新規なシアロ糖鎖含有ポリマー
本発明の判別方法で使用可能なシアロ糖鎖含有ポリマーとしては、公知のシアロ糖鎖含有ポリマー以外にも、以下の新規のシアロ糖鎖含有ポリマーも使用可能である。この新規のシアロ糖鎖含有ポリマーは、公知のポリマーより極めて安価に調製することができ、しかも天然のムチンと類似の構造を有するため、本発明の判別方法に好適である。
そのような、新規のシアロ糖鎖含有ポリマーの具体例としては、下記式(I)、(III)、(V)、および(VII)のものを例示することができる。シアロ糖鎖含有ポリマー中、シアロ糖鎖置換グルタミン酸残基と未置換グルタミン酸残基とは、任意の比率で混在し、その比率は糖残基置換度(Degree of substitution(DS))で示す。
Figure 0005130598
(I)
Figure 0005130598
(II)
(式(I)中、Zは水酸基又は式(II)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(II)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
Figure 0005130598
(III)
Figure 0005130598
(IV)
(式(III)中、Zは水酸基又は式(IV)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(IV)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
Figure 0005130598
(V)
Figure 0005130598
(VI)
(式(V)中、Zは水酸基又は式(VI)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(VI)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、R’はフェニレンを除く炭化水素を示す。)
Figure 0005130598
(VII)
Figure 0005130598
(VIII)
(式(VII)中、Zは水酸基又は式(VIII)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(VIII)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、R’はフェニレンを除く炭化水素を示す。)
式中、R又はR’で表される炭化水素としては、炭素数1〜20のものが好ましく、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよい。具体的にはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル置換アルキル基等が挙げられる。
ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分枝鎖のものが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分枝鎖アルキル基が挙げられる。
アルケニル基の具体例としてはビニル基、プロペニル基、アリル基等が挙げられる。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数3〜10のものが挙げられ、特に炭素数3〜8のもの、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が好ましい。
アリール基としては炭素数6〜14のもの、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数7〜14のアラルキル基、具体的にはベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。シクロアルキル置換アルキル基としてはC3−C8シクロアルキル置換C1−C10アルキル基、例えばシクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロプロピルプロピル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシルプロピル基等が挙げられる。
また、当該炭化水素は置換基を有していても良く、そのような置換基としては、ヒドロキシル基、アジド基、シアノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。カルボキシル基はエステル化されていてもよい。
本発明のシアロ糖鎖含有ポリマーは、塩型、遊離酸型のいずれであってもよい。塩型としては、例えは、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等);有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)等が挙げられる。また、水和物あるいはアルコール等との溶媒和物であってもよい。
また、本発明のシアロ糖鎖含有ポリマーの分子量は、例えば、2000〜500万の範囲である。グルタミン酸単位重合度(n)は、例えば、10〜10000の範囲である。グルタミン酸残基に対するシアリルオリゴ糖の導入率は、10〜80%の範囲である。
このようなシアロ糖鎖含有ポリマーの具体的化合物としては、たとえば、以下の化合物が例示される。
・Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminopentyl/ α−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−5−aminopentyl/ α−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−6Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−3Lacβ−5−aminopentyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−6Lacβ−5−aminopentyl/ α−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−3Lacβ−5−aminopentyl/ α−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−6Lacβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)
・Poly(Neu5Acα2−3Lacβ−p−aminophenyl/ γ−PGA)
(PGA:ポリグルタミン酸、Neu5Ac:シアル酸、LacNAc:N−アセチル−ラクトサミン、Lac:ラクトース)
(2)シアロ糖鎖含有ポリマーの製造法
シアロ糖鎖含有ポリマーを低コストで大量に調製するためには、用いる酵素が未精製品であることが望ましい。ただし、そのような粗酵素を合成反応に使用するためには、反応基質としてポリグルタミン酸に結合したオリゴ糖を用いることは好ましくない。したがって、シアロ糖鎖(シアリルオリゴ糖)を合成した後、最終段階でシアロ糖鎖とポリグルタミン酸とを縮合させることが望ましい。また、微生物由来の酵素は、動物由来酵素と比較して大腸菌等を宿主として大量に生産することが容易であるが、微生物由来の糖転移酵素を用いる場合は糖ペプチドや糖タンパク質を糖受容体とすることができないことが多い。このため、この点でもシアリルオリゴ糖を合成した後に、ポリグルタミン酸との縮合を行うことが望ましい。
したがって、本発明のシアロ糖鎖含有ポリマーの製造法は、次の工程からなることを特長とする。
(工程1)
糖転移酵素を用いて非還元末端にシアル酸を含む目的とするシアロ糖鎖を合成する工程
(工程2)
工程1で合成したシアロ糖鎖をポリグルタミン酸のカルボキシル基側鎖に化学的に縮合させる工程
(工程3)
工程2で合成したシアロ糖鎖含有ポリマーを単離精製し、目的とするシアロ糖鎖含有ポリマーを取得する工程
(工程1)
工程1は、糖受容体(たとえは、糖−パラニトロフェノール、5−アミノアルキル化糖等)と糖供与体(各種糖ヌクレオチド)を含有する反応系に合目的な糖転移酵素を添加して、目的とするシアロ糖鎖を合成する工程である。
反応系に添加する糖転移酵素としては、糖ヌクレオチドの糖残基を糖受容体に転移させる活性を有するものであればよく、例えば、ガラクトシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ等があげられる。
これらの酵素は目的とする酵素活性を有する限りどのような形態であってもよい。酵素調製の簡便さと共に調製効率を高めるため、該酵素遺伝子をクローン化し、微生物菌体内で大量発現させ、該酵素の大量調製を行う、いわゆるDNA組換え技術を用いた酵素生産で得ることが最も都合がよい。
酵素標品としては具体的には、微生物の菌体、該菌体の処理物または該処理物から得られる酵素調製物などを例示することができる。微生物の菌体の調製は、当該微生物が生育可能な培地を用い、常法により培養後、遠心分離等で集菌する方法で行うことができる。具体的に、大腸菌(Escherichia coli)に属する細菌を例に挙げ説明すれば、培地としてはブイヨン培地、LB培地(1%トリプトン、0.5%イーストエキストラクト、1%食塩)または2×YT培地(1.6%トリプトン、1%イーストエキストラクト、0.5%食塩)などを使用することができる。当該培地に種菌を接種後、30〜50℃で10〜50時間程度必要により撹拌しながら培養し、得られた培養液を遠心分離して微生物菌体を集菌することにより、目的の酵素活性を有する微生物菌体を調製することができる。
微生物の菌体処理物としては、一般的な処理法に従って菌体を処理して得られる菌体の破壊物または菌体の細胞壁もしくは細胞膜の変性物を例示することができる。菌体の一般的な処理法としては、機械的破壊(ワーリングブレンダー、フレンチプレス、ホモジナイザー、乳鉢などによる)、凍結融解、自己消化、乾燥(凍結乾燥、風乾などによる)、酵素処理(リゾチームなどによる)、超音波処理、化学処理(酸、アルカリ処理などによる)などが挙げられる。
酵素調製物としては、上記菌体処理物から得られる粗酵素または精製酵素を例示することができる。粗酵素または精製酵素は、上記菌体処理物から当該酵素活性を有する画分を通常の酵素の精製手段(塩析処理、等電点沈澱処理、有機溶媒沈澱処理、透析処理、各種クロマトグラフィー処理など)を施すことによって得られる。
糖ヌクレオチドおよび糖受容体は、それぞれ市販の製品を使用することができる。使用濃度としては1〜200mM、好ましくは5〜50mMの範囲から適宜設定できる。なお、糖受容体として5−アミノアルキル化糖を使用する場合には、後述する実施例に示すように、セルラーゼの逆反応を利用して、糖類の水酸基をアルキルアミノ化することも可能である。
シアロ糖鎖の合成は、上記の糖受容体及び糖ヌクレオチドを含有する反応系に、糖転移酵素を0.001ユニット/ml以上、好ましくは、0.01〜10ユニット/ml程度になるようにそれぞれ添加し、5〜50℃、好ましくは10〜40℃で1〜100時間程度、必要により撹拌しながら反応させることにより実施できる。
このようにして製造したシアロ糖鎖は、オリゴ糖の通常の分離精製手段を用いて単離精製できる。例えば、逆相ODSカラムクロマトグラフィーやイオン交換カラムクロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることで単離精製できる。
(工程2)
工程2は、工程1で合成したシアロ糖鎖をポリグルタミン酸のカルボキシル基側鎖に化学的に縮合させる工程である。
工程1で、糖受容体としてp−ニトロフェニル基を有する糖受容体を使用した場合には、ニトロ基を還元してアミノ基へと変換後、糖受容体として5−アミノアルキル化糖を使用した場合には、アミノ基の保護基を常法により脱保護した後、トリエチルアミンやトリブチルアミンなどの塩基存在下、ポリグルタミン酸を縮合剤と処理して、シアロ糖鎖含有ポリマーを製造する。
p−ニトロフェニル基の還元反応に用いる条件としては、通常、芳香族ニトロ基の還元に適用する条件であればよい。具体例としては、水やメタノール、エタノールなどの有機溶媒中で、水素あるいはギ酸アンモニウム、シクロヘキセンなどの水素供与剤存在下、パラジウム炭素と処理することで実施できる。
原料ポリマーとして用いるポリグルタミン酸は、α−型、γ−型のいずれであってもよい。
縮合工程は、有機溶媒(ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなど)中、原料ポリマーを塩基(トリエチルアミンやトリブチルアミンなど)存在下、カルボキシル基の活性エステル化剤(クロロギ酸p−ニトロフェニルやジスクシミジルカーボネート、カルボニルジイミダゾールなど)で処理した後、5−アミノアルキル化糖又は上記還元反応の生成物と反応処理することで実施される。
5−アミノアルキル化糖又は上記還元反応の生成物の使用量は、目的とするシアロ糖鎖含有ポリマーの糖置換率に応じて添加すればよく、通常、ポリグルタミン酸のグルタミン酸単位に対して0.1当量以上あればよい。また、縮合反応に用いる塩基の使用量は、ポリグルタミン酸のグルタミン酸単位に対して1当量以上あればよい。
縮合反応は−10℃〜100℃で実施することができる。また、必要に応じて4−N,N−ジメチルアミノピリジンや1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールなどの一般的にアシル化反応の触媒を添加してもかまわない。
(工程3)
工程3は、工程2で合成したシアロ糖鎖含有ポリマーを単離精製し、目的とするシアロ糖鎖含有ポリマーを取得する工程である。
工程2で合成されたシアロ糖鎖含有ポリマーの単離精製は、通常、タンパクの精製に用いる方法で行えばよく、例えば、透析やゲルろ過などを適宜組み合わせることで単離精製することができる。
(3)シアロ糖鎖含有ポリマーを担体へ固定化した試薬
シアロ糖鎖含有ポリマーを固定化するための担体としては、特に制限されず、例えば、プレート、微粒子等が使用可能である。前記プレートとしては、例えば、ウエルを有するプレート(例えば、マイクロタイタープレート)、薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレート等があげられる。前記微粒子としては、例えば、ビーズ、チップ等があげられる。前記担体の材質は、特に制限されず、各種の紙、合成樹脂、金属、セラミックス、ガラス等が使用できる。その中でも特に、紫外線照射により、シアロ糖鎖含有ポリマーを担体に固定できる、ウエルを有するプレート(たとえば、Corning−Costar,Labcoat2503,Cambridge,MA)などが望ましい。
シアロ糖鎖含有ポリマーにおける前記シアロ糖鎖は、例えば、シアリルラクト系I型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GlcNAcβ1−)、シアリルラクト系II型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−4GlcNAcβ1−)、シアリルガングリオ系糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GalNAcβ1−)およびシアリルラクトース糖鎖(SAα2−6(3)Gal1−4Glc−)があげられる。これらのなかでも、シアリルラクト系I型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−3GlcNAcβ1−)およびシアリルラクト系II型糖鎖(SAα2−6(3)Galβ1−4GlcNAcβ1−)が好ましい。また、本発明の前記シアロ糖鎖含有ポリマーにおいて、シアル酸は、シアル酸の誘導体であってもよい。なお、「SA」又は「Neu5Ac」は、「シアル酸(N−acylneuraminic acid)」を示す。
前記シアロ糖鎖において、末端のシアル酸の結合様式は、例えば、「SAα2−3Galβ1−」(以下、「2−3型」という)、「SAα2−6Galβ1−」(以下、「2−6型」という)および「SAα2−8Galβ1−」(以下、「2−8型」という)があげられる。
シアロ糖鎖含有ポリマーにおける前記ポリマーは、特に制限されず、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアクリルアミド、及びポリスチレン等の化学合成ポリマー、フェツイン等の天然糖タンパク質、並びに糖鎖含有脂質等が使用できる。前記糖鎖含有脂質としては、脂質部分が脂肪酸及びその誘導体を持つ化学合成糖脂質、シリアルパラグロボシド、シアリルラクトテトラオシルセラミド等の天然ガングリオシドまたは糖脂質、並びに化学合成ガングリオシドまたは糖脂質等が挙げられる。その中でも特にポリグルタミン酸が好ましく、α−型、γ−型のいずれであってもよい。
前記シアロ糖鎖含有ポリマーの具体例としては、シアリルオリゴ糖をポリグルタミン酸に導入して得られるシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸がある。その分子量は、例えば、2000〜500万の範囲であり、グルタミン酸単位重合度は、例えば、10〜10000の範囲であり、グルタミン酸残基に対するシアリルオリゴ糖の導入率は、10〜80%の範囲である。シアリルオリゴ糖をポリグルタミン酸に導入して得られるシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸としては、前記した新規なシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸以外にも、例えば下記の公知のシアロ糖鎖含有ポリマーがある。
(2−3型)
ポリ[パラ−アミノフェニル(N−アセチルノイラミニル−(2−3)−N−アセチル−β−ラクトサミニド)−L−グルタミン−co−グルタミン酸][Poly(Neu5Acα2−3Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/Gln−co−Glu)]
(2−6型)
ポリ[パラ−アミノフェニル(N−アセチルノイラミニル−(2−6)−N−アセチル−β−ラクトサミニド)−L−グルタミン−co−グルタミン酸][Poly(Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/Gln−co−Glu)]
このようなシアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸は、上記した本発明の製造法以外にも、公知の方法により調製できる。具体的には、βガラクトシダーゼの糖転移反応により合成したパラニトロフェニル配糖体(パラ−ニトロフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニド)をポリグルタミン酸に導入し、さらに、α2、3−(N)−及びα2、6−(N)−シアリルトランスフェラーゼを用いて、導入したオリゴ糖をシアリル化することにより調製することもできる。この調製方法の具体例は、参考例として後述する。βガラクトシダーゼの糖転移反応によりパラニトロフェニル配糖体を合成する方法としては、T.ウスイ(T.Usui)ら[カーボハイドレート リサーチ(Carbohydr Res)、第244巻、第315〜第323頁(1993)]の方法が挙げられる。パラニトロフェニル配糖体をポリグルタミン酸に導入する方法としては、X.ゼン(X.Zeng)ら[カーボハイドレート リサーチ(Carbohydr Res)、第312巻、第209頁〜第217頁(1998)]の方法が挙げられる。オリゴ糖をシアリル化する方法としては、X.ゼン(X.Zeng)ら[アーチブス バイオケミストリー バイオフィジクス(Arch. Biochem. Biophys.)、第383巻、第28〜第37頁(2000)]の方法が挙げられる。
シアロ糖鎖含有ポリマーの担体への固定化は、疎水結合、イオン結合、共有結合等を用いて行うことも可能である。たとえば、シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を、ウエルを有する合成樹脂プレート(例えば、マイクロタイタープレート)に固定化する場合には、紫外線照射処理が最も効果的で、簡便な方法である。
ここで、前記担体に、ある特定の物質を固定する場合は、その物質を含む溶液を担体に接触させ、前記液を除去した後、紫外線を照射するのが一般的である。しかしながら、この方法では、シアロ糖鎖含有ポリマーを担体に固定することができないことを本発明者等は突き止めた。そして、この問題を解決するために、一連の研究を続けたところ、シアロ糖鎖含有ポリマーを含む溶液を前記担体に接触させ、この状態で紫外線を照射した後、前記液を除去すれば、シアロ糖鎖含有ポリマーを担体表面に固体できることを、見出した。
具体的には、シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を含む液をプレートと接触させ、この状態で紫外線を前記担体に照射する。その後、前記液を除去することにより、前記担体表面に前記シアロ糖鎖含有ポリグルタミン酸を固定化することができる。なお、紫外線照射処理において、紫外線の強度、プレートまでの距離により反応時間が異なるので予め条件を設定することが好ましい。
このようにして調製したシアロ糖鎖含有ポリマーを固定した担体は、ウイルスの非特異的吸着を防止するために、ブロッキング処理されていることが望ましい。前記ブロッキング処理は、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂BSA、卵白アルブミン、カゼイン、市販のブロッキング剤などを用いて実施することができる。
(4)ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性の判別方法及びキット
本発明の判別方法において、前記結合度合いの測定は、ELISA法、免役クロマトグラフィー法、免役凝集法など免疫学的測定法を応用して行うことが可能である。例えば、より高感度に測定するためには、サンドイッチ型の免疫学的測定法による測定を好適な例として挙げることができる。サンドイッチ型の免疫学的測定法では、前記ウイルスに対する抗ウイルス1次抗体と、前記抗ウイルス1次抗体に対する標識2次抗体もしくは標識プロテインAとを用いればよい。しかし、サンドイッチ型の免疫学的測定法に限定されるものではなく、前記担体として、ビーズ等の微粒子担体を使用することで、凝集の程度により前記結合度合いを測定することも可能である。さらに、免疫学的測定法以外の方法によるウイルス特異的成分の検出法(例えば、ウイルススパイクタンパク質であるヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼの検出、それらが持つ生物活性の検出など)も利用可能であることも明らかである。
上述したサンドイッチ型免疫学的測定法をより具体的に説明すれば、前記抗ウイルス1次抗体は、特に制限されず、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれであってもよい。前記ポリクローナル抗体としては、例えば、抗インフルエンザウイルスウサギ血清がある。また、モノクローナル抗体としては、例えば、A型ウイルスのヌクレオプロテインに対するモノクローナル抗体のような全てのA型ウイルスと反応するものがある。なお、抗体の由来は、特に制限されず、例えば、ウサギ抗体、マウス抗体、ラット抗体、ヤギ抗体、イヌ抗体、ヒツジ抗体等のさまざまの由来のものが使用できる。抗体のクラスも特に制限されず、IgG,IgM,IgA,IgD,IgEの全てが適用できる。
前記標識2次抗体もしくは標識プロテインAの標識は、特に制限されず、例えば、酵素標識(例えば、horseradish peroxidase)、蛍光標識、放射能標識等がある。なお、抗体の由来は、特に制限されず、例えば、ウサギ抗体、マウス抗体、ラット抗体、ヤギ抗体、イヌ抗体、ヒツジ抗体等のさまざまの由来のものが使用できる。抗体のクラスも特に制限されず、IgG,IgM,IgA,IgD,IgEの全てが適用できる。前記標識2次抗体としては、酵素標識ウサギIgG抗体が好ましい。
本発明において、判別対象となるウイルスは、特に制限されず、用いるシアロ糖鎖含有ポリマーに対応し、様々なウイルスに適用可能である。例えば、インフルエンザウイルス、パラミクソウイルス群、パラインフルエンザウイルス群、ロタウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ポリオーマウイルス等が例示される。前記インフルエンザウイルスとしては、高病原性A型トリインフルエンザウイルス、ヒトA型インフルエンザウイルスおよびヒトB型インフルエンザウイルス等が挙げられる。
測定に使用するウイルスサンプルは、不活化処理したウイルスサンプルであってもよい。たとえば、エーテル処理により不活化したウイルス培養発育鶏卵漿尿液を濃縮することなく、そのまま用いても本発明方法で測定可能である。
測定手順自体は、採用した手段の公知の手段に準じて行えばよい。たとえば、免疫学的測定法を応用した場合には、固定化シアロ糖鎖含有ポリマーと被検ウイルスサンプルを反応させ、必要によりBF分離後、さらに標識抗体を反応させる(ツーステップ法)か、固相抗体、被検試料及び標識抗体を同時に反応させ(ワンステップ法)る。そして、以後のそれ自体公知の方法によりサンプル中のウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を検出することができる。
なお、免疫学測定法の詳細については、たとえば以下の文献を参照すればよい。
(1)入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」((株)講談社、昭和54年5月1日発行)
(2)石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)((株)医学書院、1982年12月15日発行)
(3)臨床病理 臨時増刊 特集第53号「臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」(臨床病理刊行会、1983年発行)
(4)「バイオテクノロジー事典」((株)シーエムシー、1986年10月9日発行)
(5)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.70」
(Immunochemical techniques (Part A))
(6)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.73」
(Immunochemical techniques (Part B))
(7)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.74」
(Immunochemical techniques (Part C))
(8)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.84」
(Immunochemical techniques (Part D: Selected Immunoassay))
(9)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.92」
(Immunochemical techniques (Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))
[(5)〜(9)はアカデミックプレス社発行]
高病原性A型トリインフルエンザウイルスは、2−3型のシアロ糖鎖を強く認識する一方、2−6型のシアロ糖鎖の認識、結合性若しくは親和性が低い。これとは逆に、ヒトA型およびヒトB型インフルエンザは、2−6型のシアロ糖鎖を強く認識する一方、2−3型のシアロ糖鎖の認識、結合性若しくは親和性が低い。したがって、本発明方法において、2−3型および2−6型の双方のシアロ糖鎖含有ポリマーを用い、それぞれのシアロ糖鎖含有ポリマーに対する結合度合いを測定し、それらを比較することで、トリ感染型インフルエンザとヒト感染型インフルエンザとの判別が可能である。
また、本発明の判別方法において、例えば、前記担体として、2種類以上の前記シアロ糖鎖含有ポリマーを表面に固定した担体を用いてもよい。この場合、2種類以上の前記シアロ糖鎖含有ポリマー毎に前記ウイルスの結合度合いを測定し、それらの結果を比較することで、前記ウイルスのレセプター糖鎖認識特異性、すなわち前記ウイルスの感染型を判別し、またその変異による感染宿主の変化を検出することができる。すなわち、複数のウエルを有するプレートにおいて、前記ウエル毎、あるいはウエルの列毎に異なる種類のシアロ糖鎖含有ポリマーを固定したものを用いる。そして、各ウエルにウイルスを供給し、各ウエルの認識特異性を比較することで、ウイルスの感染型及びその変異による感染宿主の変化を判定する。これ以外にも、例えば、複数の担体において、前記担体毎に異なる種類のシアロ糖鎖含有ポリマーを固定したものを準備する。このように2種類以上の前記シアロ糖鎖含有ポリマーを結合させた担体毎に前記ウイルスの結合度合いを測定し、それらの結果を比較して前記ウイルスの感染型及びその変異による感染宿主の変化を検出する。この場合、前記担体としては前述したとおり、ビーズ等の微粒子担体を使用することができ、担体ごとにウイルスを供給し、微粒子担体間の認識特異性を、例えば凝集の程度により比較することで、ウイルスの感染型を判定してもよい。
つぎに、本発明のキットは、前記シアロ糖鎖含有ポリマーを固定した担体に加え、さらに、担体に捕捉されたウイルスを検出するための抗ウイルス抗体(例えば、ウイルスに対する抗ウイルス1次抗体と抗ウイルス1次抗体に対する標識2次抗体もしくは標識プロテインA)を含むことが好ましい。前記抗体については、前述のとおりである。
(実施例)
つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって、なんら制限されない。
<HPLC>
サンプルはすべて0.45μlのフィルターで濾過した後、分析した。分析条件は下記に示したものを用いた。
カラム :Mightysil Si60(φ4.6×250mm)
カラム温度 :40℃
流速 :1.0ml/min
検出波長 :210nm
溶媒 :90% CHCN
あるいは、
カラム :YMC Pro C18RS(φ6.0×150mm)
カラム温度 :40℃
流速 :1.0ml/min
検出波長 :300nm
溶媒 :20% MeOH−50mM TEAA
<NMR>
分析機器 :JEOL EX−270 NMR spectrometer,
JEOL lamda 500FT NMR spectrometer
Bruker AV−500 NMR spectrometer
外部標準 :TPS[sodium3−(trimethylsilyl)−propionate]
溶媒 :D
温度 :25℃あるいは60℃
サンプル管 :φ3または5mm
(略称)
pNP:p−nitrophenol
Lac:Lactose(Galβ1−4Glc)
LacNAc:N−acetyllactosamine(Galβ1−4GlcNAc)
Neu5Ac:N−acetylneuraminic acid
CMP−NeuAc:CMP−N−acetylneuraminic acid
γ−PGA:γ−polyglutamic acids
BOP:Benzotriazol−1−yloxytris−(dimethylamino)phosphonium hexafluorophosphate
HOBt:1−Hydroxybenzotriazole hydrate
PBS:10 mM Phosphate buffered saline(pH7.4)
TPS:Sodium 3−(trimethylsilyl)−propionate
DP:Degree of polymerization(γ−ポリグルタミン酸重合度)
DS:Degree of substitution(DPを100%とした場合の糖残基置換度%)
IPTG:Isopropyl−beta−D−thiogalactopyranoside
EDTA:Ethylenediaminetetracetic acid
dATP:2’−deoxyadenosine 5´−triphosphate
dGTP:2’−deoxyguanosine 5´−triphosphate
dCTP:2’−deoxycytidine 5´−triphosphate
dTTP:2’−deoxythymidine 5´−triphosphate
Pd−C:Palladium on carbon
DMF:Dimethylformamide
EtN:Triethyamine
pNPCF:para−Nitrophenyl choroformate
DMAP:N,N−dimethyl−4−aminopyridin
DMSO:Dimethyl sulfoxide
AP:Alkanine Phosphatase
実施例1:3’−SLN−αPGA(Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/α−PGA))および6’−SLN−αPGA(Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/α−PGA))の調製
下記式(IX)に示す合成経路で3’−SLN−αPGAおよび6’−SLN−αPGAを調製した。
Figure 0005130598
(IX)
(1)β1,4−Galactosyltransferase(β1,4−GalT)の調製
β1,4−GalTの調製は、野口らの方法(特開2002−335988)に記載されている発現プラスミドpTGF−Aを用いて行った。pGTF−Aを保持する大腸菌JM109菌を、100μg/mlのアンピシリンを含有する2×YT培地50mlに植菌し、30℃で振とう培養した。菌体濃度が4×10個/mlに達した時点で、培養液に最終濃度0.1mMになるようにIPTGを添加し、さらに30℃で16時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9,000×g,20分)により菌体を回収し、5mlの緩衝液(10mMトリス塩酸(pH8.0)、1mM EDTA)に懸濁した。超音波処理を行って菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g、10分)により菌体残さを除去し、得られた上清画分を酵素液とした。酵素液におけるβ1,4−GalT活性は特開2005−335988号公報に記載されている方法で測定した。
(2)α2,3−Sialyltransferase(α2,3−SiaT)の調製
α2,3−SiaTの調製は、野口らの方法(特開2002−335988)に記載されている発現プラスミドpMal−siaTを用いて行った。pMal−siaTを保持する大腸菌JM109菌を、100μg/mlのアンピシリンを含有する2×YT培地50mlに植菌し、30℃で振とう培養した。菌体濃度が4×10個/mlに達した時点で、培養液に最終濃度0.1mMになるようにIPTGを添加し、さらに30℃で16時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9,000×g,20分)により菌体を回収し、5mlの緩衝液(100mMトリス塩酸(pH8.0)、10mM MgCl)に懸濁した。超音波処理を行って菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g、10分)により菌体残さを除去し、得られた上清画分を酵素液とした。酵素液におけるα2,3−SiaT活性は特開2005−335988号公報に記載されている方法で測定した。
(3)α2,6−Sialyltransferase (α2,6−SiaT)の調製
フォトバクテリウム・ダムセラ subsp.damsela(NBRC No.15633又はATCC 33539)からの染色体DNAは次の手順により調製した。まず、該菌の凍結乾燥菌体を100μLの50mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.0),20mM EDTAに懸濁したのちに10μLの10%SDS溶液を添加して室温で5分静置により溶菌させる。そして、この溶菌液からフェノール抽出ならびにエタノール沈殿により得られた沈殿を20μLのTEバッファー(10mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.0),1mM EDTA)に溶解することにより、該菌から染色体DNAを調製した。
以上のように調製したDNAを鋳型として、以下に示す2種類のプライマーDNA(A)および(B)を常法に従って合成した。これら2種類のプライマーを用い、PCR法によりフォトバクテリウム・ダムセラのβ−ガラクトシドα2,6−シアリルトランスフェラーゼをコードするbst遺伝子(Submitted to NCBI、Accession No.AB012285)を含む領域のDNAを増幅した。
プライマー(A):5’−GTGTGGCATAGTACGCACTT−3’
プライマー(B):5’−AGGTCGCCACATTTACGATG−3’
PCR法によるbst遺伝子を含む領域のDNA増幅は、反応液100μlをDNA Thermal Cycler Dice(タカラバイオ社)を用いて、熱変性(94℃、1分)、アニーリング(47℃、1分)、及び伸長反応(72℃、2分)からなるステップを36回繰り返すことにより行った。前記反応液は、10xPyrobest Buffer(タカラバイオ社)を10μl、0.2mMのdATP、0.2mMのdGTP、0.2mMのdCTP、0.2mMのdTTPを含み、鋳型DNAを0.1ng、プライマーDNA(A)および(B)各々0.2μM、Pyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社)を2.5units、含むものとした。
増幅後のDNAを、文献(Molecular Cloning、(Maniatisら編、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York(1982))の方法に従ってアガロースゲル電気泳動により分離し、2.3kbのDNA断片を精製した。該DNAを鋳型として、以下に示す2種類のプライマーDNA(C)および(D)を使って、PCR法によりフォトバクテリウム・ダムセラのbst遺伝子を増幅した。
プライマー(C):5’−CTTGGATCCTGTAATAGTGACAATACCAGC−3’
プライマー(D):5’−TAAGTCGACTTAAGCCCAGAACAGAACATC−3’
PCR法によるbst遺伝子の増幅は、反応液100μlをDNA Thermal Cycler Dice(タカラバイオ社)を用いて、熱変性(94℃、1分)、アニーリング(52℃、1分)、及び伸長反応(72℃、2分)からなるステップを30回繰り返すことにより行った。前記反応液は、10xPyrobest Buffer(タカラバイオ社)を10μl、濃度0.2mMのdATP、濃度0.2mMのdGTP、濃度0.2mMのdCTP、濃度0.2mMのdTTPを含み、鋳型DNAを0.1ng、プライマーDNA(C)および(D)各々0.2μM、Pyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社)を2.5units、含むものとした。
遺伝子増幅後、DNAをアガロースゲル電気泳動により分離し、1.5kbのDNA断片を精製した。得られたDNA断片を制限酵素BamHI及びSalIで切断し、同じく制限酵素BamHI及びSalIで消化したプラスミドpTrc12−6(特開2001−103973)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。連結反応液を用いて大腸菌K12株JM109菌(タカラバイオ株式会社より入手)を形質転換し、得られたカナマイシン耐性形質転換体よりプラスミドp12−6−pstΔNを単離した。
プラスミドp12−6−pstΔNを保持する大腸菌JM109株を、25μg/mlのカナマイシンを含有する培地(2%ペプトン、1%酵母エキス、0.5%NaCl、0.15%グルコース)100mlに植菌し、30℃で振とう培養した。5時間後培養液に最終濃度0.2mMになるようにIPTGを添加し、さらに18℃で20時間振盪培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9,000xg,10分)により菌体を回収し、2.5mlの緩衝液(20mM酢酸ナトリウム(pH5.5))に懸濁して懸濁液を得た。ブランソン社製超音波破砕機(モデル450ソニファー)を用いて懸濁液を氷冷下で超音波処理し(50W,2分,3回)、4℃、12,000xgの条件下で20分間遠心分離し、可溶性画分(上清)を回収した。
このように得られた上清画分を酵素標品とし、酵素標品におけるα2,6シアリルトランスフェラーゼ活性を測定した。その結果、0.44 units/min/ml 酵素液であった。
なお、α2,6シアリルトランスフェラーゼ活性は、以下に示す方法でCMP−NeuAcとN−アセチルラクトサミンから6’−SialylLacNAcへの転換活性を測定、算出したものである。すなわち、濃度25mMトリス塩酸緩衝液(pH5.5)、濃度50mMのCMP−NeuAc、濃度10mMのN−アセチルラクトサミンにα2,6シアリルトランスフェラーゼ酵素標品を添加して37℃で10分反応させる。反応液を3分間の煮沸にて反応を停止し、HPAEC−CD(High−performance anion−exchange chromatography coupled with conductivity detection)による糖分析を行う。分離にはダイオネクス社製のCarbopac PA1カラム(4×250mm)を用い、溶出液として(A)濃度0.1MのNaOH溶液と(B)濃度0.1MのNaOH,濃度0.5Mの酢酸ナトリウム溶液の濃度勾配(0−10分:B=0%、10−25分:B=45%、25−30分:B=100%)を用いる。HPAEC−CD分析結果から反応液中のLacNAc消費量および6’−SialylLacNAcの生成量を算出し、37℃で1分間に1μmoleのNeuAcをN−アセチルラクトサミンに転移させる活性を1unitとする。
(4)3’−SLN−pNP(p−nitrophenyl−Neu5Acα2−3LacNAc)の合成
100mMのTris−HCl(pH8.0),20mMのMgCl,20mMのGlcNAc−pNP(p−nitrophenyl−GlcNAc),30mMのUDP−Gal,5.0%(v/v)Acetonitrile,0.1U/mlのβ1,4−GalTを含む溶液75mlを37℃で6時間インキュベーションした。この反応液に20mMのMnCl,30mMのCMP−NeuAc,1U/mlのアルカリホスファターゼ(タカラバイオ社),0.22U/mlのα2,3−SiaTを添加して100mlにした。反応液は37℃で20時間インキュベーションした後、5分間煮沸し、遠心分離(8,000rpm, 20分)して上清を回収した。
合成液をODSカラム(340mL,50mM炭酸水素トリエチルアミンで平衡化)に吸着させ、5−10%MeOH−50mM炭酸水素トリエチルアミンで目的物を溶出した。3’−SLN−pNP溶出フラクションを回収し、回収した溶出フラクションを濃縮後、水で5回共沸し、炭酸水素トリエチルアミンを除去した。ODSカラム回収液を150mLとし、DEAEカラム(330mL)に吸着し、0.05N炭酸水素アンモニウム水溶液で溶出し、3’−SLN−pNP溶出フラクションを回収した。これを濃縮し、さらに水で5回共沸し、炭酸水素アンモニウムを除去した。残渣にMeOH(20mL)を加え共沸脱水した。これを真空乾燥し(50℃、3h)、3’−SLN−pNPを963mg(79%,残留MeOH0.8分子含む)を得た。
(得られた3’−SLN−pNPのNMR)
H−NMR(DO):δ8.26(2H,d,J=9.3Hz),7.20(2H,d,J=9.3Hz),5.35(1H,d,J=8.4Hz),4.61(1H,d,J=7.9Hz),4.16−3.59(19H,m),2.78(1H,dd,J=4.6,12.5Hz),2.04(3H,s),2.02(3H,s),1.82(1H,t,J=12.2Hz)
(5)6’−SLN−pNP(p−nitrophenyl−Neu5Acα2−6LacNAc)の合成
100mMのTris−HCl(pH8.0),20mMのMgCl,20mMのGlcNAc−pNP,30mMのUDP−Gal,5.0%(v/v)Acetonitrile,0.1U/mlのβ1,4−GalTを含む溶液75mlを37℃で6時間インキュベーションした。この反応液に20mMのMnCl,30mMのCMP−NeuAc,1U/mlのアルカリホスファターゼ(タカラバイオ社),0.22U/mlのα2,6−SiaTを添加して100mlにした。反応液は37℃で20時間インキュベーションした後、5分間煮沸し、遠心分離(8,000rpm,20分)して上清を回収した。
合成液をODSカラム(300mL,50mM炭酸水素トリエチルアミンで平衡化)に吸着させ、5−10%MeOH−50mM炭酸水素トリエチルアミンで目的物を溶出した。6’−SLN−pNP溶出フラクションを回収し、回収した溶出フラクションを濃縮後、水で5回共沸し、炭酸水素トリエチルアミンを除去した。ODSカラム回収液を150mLとし、DEAEカラム(300mL)に吸着し、0.05N炭酸水素アンモニウム水溶液で溶出し、6’−SLN−pNP溶出フラクションを回収した。これを濃縮し、さらに水で5回共沸し、炭酸水素アンモニウムを除去した。残渣にMeOH(20mL)を加え共沸脱水した。これを真空乾燥し(50℃、2h)、6’−SLN−pNPを1.05g(86%, 残留MeOH0.8分子含む)を得た。
(得られた6’−SLN−pNPのNMR)
H−NMR(DO):δ8.26(2H,d,J=9.3Hz),7.21(2H,d,J=9.3Hz),5.39(1H,d,J=8.5Hz),4.50(1H,d,J=7.9Hz),4.10(1H,dd,J=8.5,10.5Hz),4.04−3.56(18H,m),2.70(1H,dd,J=4.6,12.4Hz),2.06(3H,s),2.04(3H,s),1.75(1H,t,J=12.2Hz)
(6)3’−SLN−pAP(p−aminophenyl−Neu5Acα2−3LacNAc)の合成
3’−SLN−pNP(503mg,0.6mmol)を蒸留水(30mL)に溶解し、10%Pd−C(50mg)、ギ酸アンモニウム(378mg,6.0mmol)を加え室温で攪拌した。2時間後にHPLC分析を行い、原料が完全に消失していることを確認した後、反応を開放系とし、室温で21時間攪拌した。Pd−Cをろ過して除き、ろ液を濃縮後、水(3ml)−トリエチルアミン(1ml×1,0.5ml×2)で3回共沸して3’−SLN−pAP−EtN塩とした後、DMF(3mL)で3回共沸脱水し、残渣をDMFの2.4mL溶液(0.25M)に調製した。
(アンモニウム塩のNMR)
H−NMR(DO):δ6.97(2H,d,J=8.9Hz),6.88(2H,d,J=8.9Hz),5.04(1H,d,J=8.5Hz),4.60(1H,d,J=7.9Hz),4.14(1H,dd,J=3.1,9.9Hz),4.04−3.58(18H,m),2.78(1H,dd,J=4.6,12.5Hz),2.05(3H,s),2.05(3H,s),1.82(1H,t,J=12.2Hz)
(7)6’−SLN−pAP(p−aminophenyl−Neu5Acα2−6LacNAc)の合成
6’−SLN−pNP(502mg,0.6mmol)を蒸留水(30mL)に溶解し、10%Pd−C(50mg)、ギ酸アンモニウム(378mg,6.0mmol)を加え室温で攪拌した。2.5時間後にHPLC分析を行い、原料が完全に消失していることを確認した後、反応を開放系とし、室温で21時間攪拌した。Pd−Cをろ過して除き、ろ液を濃縮後、水(3ml)−トリエチルアミン(1ml×1,0.5ml×2)で3回共沸して6’−SLN−pAP−EtN塩とした後、DMF(3mL)で3回共沸脱水し、残渣をDMFの2.4mL溶液(0.25M)に調製した。
(アンモニウム塩のNMR)
H−NMR(DO):δ6.97(2H,d,J=8.8Hz),6.86(2H,d,J=8.8Hz),5.07(1H,d,J=8.5Hz),4.48(1H,d,J=7.9Hz),4.03−3.54(19H,m),2.69(1H,dd,J=4.6,12.4Hz),2.07(3H,s),2.04(3H,s),1.74(1H,t,J=12.2Hz)
(8)3’−SLN−αPGA(Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/α−PGA))の合成
αPGA(13mg,0.1mmol as glu unit),EtN(17μl,0.12mmol)をDMF(1.0ml)に溶解し、0℃でDMAP(1.2mg,0.01mmol),pNPCF(24mg,0.12mmol)を加え、同温で1h攪拌した。3’−SLN−pAP(0.25M,0.4ml,0.1mmol)のDMF溶液およびHOBt(31mg,0.2mmol),EtN(14μl,0.1mmol)をそれぞれ加え、室温で24時間攪拌した。反応液に水(200μl)を加えた後、1N−NaOH(1.6ml)を加えて、室温で1時間攪拌した。生じた沈殿を遠心分離(15,000rpm,5min)で除いた。
上清1.5mlを透析チューブに入れ、200mlの蒸留水で透析した。3’−SLN−αPGA液を回収し、エバポレーター濃縮(バス温40℃)で0.8mlとし、ゲル濾過(Sephadex G−50F,8ml)にかけた。サンプルをアプライした後、超純水10mlで溶出し、アプライから全量を回収した。回収サンプルを透析チューブに入れ、1000mlの蒸留水および超純水で透析した。透析サンプルを回収し、イオン交換カラム(Dowex AG 50W−8X,3ml)にかけた。吸着後30mlの超純水で溶出し、吸着液から全量を回収した(40〜45ml)。回収液をエバポレーター濃縮で(バス温40℃)で0.8mlとし、凍結乾燥(棚温20℃、一晩)して37.4mgの3’−SLN−αPGAを得た。得られた3’−SLN−αPGAについて、H−NMR分析を行い、下記式に基づき糖残基置換度を求めた結果、68%と算出された(図12参照)。
糖残基置換度(%)=(A×100)/(C−(3A/4)−4B)
(得られた3’−SLN−αPGAのNMR)
H−NMR(DO,60℃):δ7.26(brs),6.93(brs),5.00(brs),4.57(brs),4.12(d,J=9.6Hz),4.07−3.50(m),2.78(d,J=8.2Hz),2.41(brs),2.29−1.92(m),1.81(t,J=12.0Hz)
(9)6’−SLN−αPGA(Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/α−PGA))の合成
αPGA(13mg,0.1mmol as glu unit),EtN(17μl, 0.12mmol)をDMF(1.0ml)に溶解し、0℃でDMAP(1.2mg,0.01mmol),pNPCF(24mg,0.12mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。6’−SLN−pAP(0.25M,0.4ml,0.1mmol)のDMF溶液およびHOBt(31mg,0.2mmol),EtN(14μl,0.1mmol)をそれぞれ加え、室温で19時間攪拌した。反応液に水(200μl)を加えた後、1N−NaOH(1.6ml)を加えて、室温で1h攪拌した。生じた沈殿を遠心分離(15,000rpm,5min)で除いた。
上清1.5mlを透析チューブに入れ、200mlの蒸留水で透析した。6’−SLN−αPGA液を回収し、エバポレーター濃縮(バス温40℃)で0.8mlとし、ゲル濾過(Sephadex G−50F,8ml)にかけた。サンプルをアプライした後超純水10mlで溶出し、アプライから全量を回収した。回収サンプルを透析チューブに入れ、1000mlの蒸留水および超純水で透析した。透析サンプルを回収し、イオン交換カラム(Dowex AG 50W−8X,3ml)にかけた。吸着後30mlの超純水で溶出し、吸着液から全量を回収した(40〜45ml)。回収液をエバポレーター濃縮で(バス温40℃)で0.8mlとし、凍結乾燥(棚温20℃、一晩)して39.6mgの6’−SLN−αPGAを得た。得られた6’−SLN−αPGAについて、H−NMR分析を行い、下記式に基づき、糖残基置換度を求めた結果、66%と算出された(図13参照)。
糖残基置換度(%)=(A×100)/(C−(3A/4)−4B)
(得られた6’−SLN−αPGAの)NMR)
H−NMR(DO,60℃):δ7.28(brs),6.97(brs),5.06(brs),4.47(d,J=7.7Hz),4.00−3.55(m),2.71(dd,J=4.2,12,2Hz),2.41(brs),2.29−1.90(m),1.71(t,J=12.0Hz)
実施例2:3’−SLN−γPGA(Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA))および6’−SLN−γPGA(Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA))の調製
(1)LN−pNP(p−nitrophenyl−LacNAc)の合成
100mM Tris−HCl(pH8.0),20mM MgCl,20mM GlcNAc−pNP,30mM UDP−Gal,5.0%(v/v) Acetonitrile,0.1U/ml β1,4−GalTを含む溶液75mlを37℃で6時間インキュベーションした後、5分間煮沸し、遠心分離(8,000rpm,20分)して上清を回収した。これをODSカラム(60mL,50mM炭酸水素トリエチルアミンで平衡化)に吸着させ、5−10%MeOH−50mM炭酸水素トリエチルアミンで目的物を溶出した。LN−pNP溶出フラクションを回収し、濃縮後、水で5回共沸し、炭酸水素トリエチルアミンを除去した。これを真空乾燥し(50℃、3h)、LN−pNPを307mg得た。
(得られたLN−pNPのNMR)
H−NMR(DO):δ8.25(2H,d,J=9.3Hz),7.20(2H,d,J=9.3Hz),5.36(1H,d,J=8.4Hz),4.53(1H,d,J=7.8Hz),4.12−3.57(12H,m),2.03(3H,s)
(2)LN−pAP(p−aminophenyl−LacNAc)の合成
LacNAc−pNP(550mg,1.09mmol)を水−メタノール(10:1,44ml)に溶解し、10%パラジウム炭素触媒(55mg)、ギ酸アンモニウム(550mg,8.7mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をODSカラム(80mL)に吸着し、5%メタノールで目的物を溶出した。溶媒を留去し、LN−pAPを513mg(99%)得た。
(得られたLN−pAPのNMR)
H−NMR(DO):δ6.94(2H,d,J=8.8Hz),6.81(2H,d,J=8.8Hz),5.02(1H,d,J=8.5Hz),4.51(1H,d,J=7.8Hz),4.02−3.54(12H,m),2.05(3H,s)
(3)LN−γPGA(Poly(LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA))の合成
γPGA(6.5mg,0.043mmol as glu unit)を100mMのNaCO/NaHCOバッファ,pH10.0(0.5ml)に溶解し、LN−pAP(60.0mg,0.126mmol)の100mM NaCO/NaHCOバッファ溶液(0.4ml)およびHOBt(6.5mg,0.042mmol),BOP試薬(50.7mg,0.115mmol)のDMSO溶液(1.4ml)をそれぞれ加え、室温で24時間攪拌し反応させた。得られた反応液に2.3mlのPBS(10mM リン酸バッファ(pH7.5)および120mM NaCl,2.7mM KCl)を加えて、氷上で2時間攪拌した。生じた沈殿を遠心分離(15,000rpm,5min)で除いた。上清4.6mlにPBS1.5mlを添加して沈殿が生じないのを確認した後、エバポレーター濃縮(バス温40℃)で0.8mlとし、ゲル濾過(Sephadex G−50F,8ml)にかけた。サンプルをアプライした後超純水10mlで溶出し、アプライから全量を回収した。回収サンプルを透析チューブに入れ、1000mlの蒸留水および超純水で透析した。透析サンプルを回収してエバポレーター濃縮で(バス温40℃)で0.8mlとし、凍結乾燥(棚温20℃、一晩)して19.0mgのLN−γPGAを得た。得られたLN−γPGAについて、H−NMR分析を行い、下記式に基づき、糖残基置換度を求めた結果、50%と算出された(図14参照)。
糖残基置換度(%)=(A×100)/(B−(3A/4))
(得られたLN−γPGAのNMR)
H−NMR(DO,60℃):δ7.30(brs),6.97(brs),5.05(brs),4.50−3.64(m),2.84(br),2.43−1.92(m)
(4)3’−SLN−γPGA(Poly(Neu5Acα2−3LacNAcβ−p−aminophenyl/γ−PGA))の合成
50mM カコジル酸バッファ(pH6.0),2.5m MnCl,8mg LacNAc−γPGA,30mM CMP−NeuAc,0.1%(w/v)BSA,20U/ml AP,0.02U/ml α2,3−SiaT(Rat,Recombinant,Spodoptera frugiperda,CALBICHEM社)を含む溶液1.05mlを37℃で44時間インキュベーションした後、3分間煮沸し、遠心分離(15,000rpm,5分)して上清を回収した。上清をゲル濾過(Sephadex G−50F,8ml)にかけた。サンプルをアプライした後超純水8mlで溶出し、アプライから全量を回収した。回収サンプルを透析チューブに入れ、1000mlの蒸留水および超純水で透析した。透析サンプルを回収し、イオン交換カラム(Dowex AG 50W−8X,3ml)にかけた。吸着後30mlの超純水で溶出し、吸着液から全量を回収した(45ml)。回収液をエバポレーター濃縮で(バス温40℃)で0.8mlとし、凍結乾燥(棚温20℃、一晩)して9.0mgの3’−SLN−γPGAを得た。得られた3’−SLN−γPGAについて、H−NMR分析を行い、下記式に基づき、シアリル化率を求めた結果、99%と算出された(図15参照)。
シアリル化率(%)=(B×100)/(A/4))
(得られた3’−SLN−γPGAのNMR)
H−NMR(DO,60℃):δ7.35(brs),7.03(brs),5.12(brs),4.58(d,J=7.6Hz),4.13−3.54(m),2.77(d,J=12,0Hz),2.53−1.91(m),1.80(t,J=12.1Hz)
(5)6’−SLN−γPGA(Poly(Neu5Acα2−6LacNAcβ−5−aminophenyl/γ−PGA))の合成
50mM カコジル酸バッファ(pH6.0),2.5m MnCl,8mg LacNAc−γPGA,30mM CMP−NeuAc,0.1%(w/v)BSA,20U/ml AP,0.02U/ml α2,6−SiaT(Rat,Recombinant,Spodoptera frugiperda,CALBICHEM社)を含む溶液1.05mlを37℃で44時間インキュベーションした後、3分間煮沸し、遠心分離(15,000rpm,5分)して上清を回収した。上清をゲル濾過(Sephadex G−50F,8ml)にかけた。サンプルをアプライした後超純水8mlで溶出し、アプライから全量を回収した。回収サンプルを透析チューブに入れ、1000mlの蒸留水および超純水で透析した。透析サンプルを回収し、イオン交換カラム(Dowex AG 50W−8X,3ml)にかけた。吸着後30mlの超純水で溶出し、吸着液から全量を回収した(45ml)。回収液をエバポレーター濃縮で(バス温40℃)で0.8mlとし、凍結乾燥(棚温20℃、一晩)して7.4mgの6’−SLN−γPGAを得た。得られた6’−SLN−γPGAについてH−NMR分析を行い、下記式に基づき、シアリル化率を求めた結果、99%と算出された(図16参照)。
シアリル化率(%)=(B×100)/(A/4))
(得られた6’−SLN−γPGAのNMR)
H−NMR(DO,60℃):δ7.36(brs),7.05(brs),5.14(brs),4.49−4.39(m),4.16(brs),4.01−3.55(m),2.71(d,J=9.9Hz),2.59−1.81(m),1.71(t,J=12.1Hz)
実施例3
(1)酵素
Trichoderma reesei由来セルラーゼ(cellulase XL−522)は、ナガセケムテックスより購入した。α2,3−(N)−シアリルトランスフェラーゼ(Rat, Recombinant, Spodoptera frugiperda)、α2,6−(N)−シアリルトランスフェラーゼ(Rat, Recombinant, Spodoptera frugiperda)は、CALBIOCHEM社より購入した。アルカリフォスファターゼは、Boehringer Mannheim社より購入した。
(2)基質
Lactose Monohydrate、5−amino−1−pentanolは、和光純薬(株)より購入した。γ−PGA、CMP−Neu5Ac、LacNAcは市販品を必要より精製して使用した。
(3)試薬
Trifluoroacetic Anhydride、MnCl・4HOは、和光純薬(株)より購入した。BOP、HOBt、およびBSAは、Sigma−Aldrich社より購入した。
(4)酵素活性測定法
<Lacβ−pNP加水分解活性>
T. reesei由来セルラーゼの酵素活性測定法はLacβ−pNPからのpNPの遊離量を定量して行った。10mM Lacβ−pNP(25μl)と50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0(70μl)とを混合し、適当量の酵素を加えて全量を100μlとし、40℃で20分間反応を行った。経時的に反応液から10μlとり、予め96穴マイクロプレートに分注しておいた1.0M炭酸ナトリウム溶液(190μl)と混合し、反応停止後、直ちにプレートリーダーを用い405nmにおける吸光度を測定し、遊離したpNPを定量した。酵素活性1Uは、1分間に1μmolのpNPを遊離させる酵素量と定義した。
<Galβ−pNP加水分解活性>
T.reesei由来セルラーゼ中に夾雑するβ−D−ガラクトシダーゼ活性測定法はGalβ−pNPからのpNPの遊離量を定量して行った。10mM Galβ−pNP(25μl)と50mM 酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0(25μl)とを混合し、適当量の酵素を加えて全量を100μlとし、40℃で20分間反応を行った。経時的に反応液から10μlとり、予め96穴マイクロプレートに分注しておいた1.0M炭酸ナトリウム溶液(190μl)と混合し、反応停止後、直ちにプレートリーダーを用い405nmにおける吸光度を測定し、遊離したpNPを定量した。酵素活性1Uは、1分間に1μmolのpNPを遊離させる酵素量と定義した。
(5)酵素の調製
<T. reesei 由来セルラーゼの部分精製>
T.reesei由来セルラーゼの粗酵素溶液(1000ml,875kU)を25%飽和硫安で処理後、高速微量遠心機(KUBOTA 1720;RA−200J ローター使用、KUBOTA製)を用いて4℃で遠心分離を行い(6010g×20min)上清を回収した。これを、75%飽和硫安で処理し、同様の条件で遠心分離後、生じた沈殿を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に溶解した。分画分子量30000の限外ろ過膜(PM−30,Millipore Corp.)を用いて脱塩後、凍結乾燥を行い、7.8gの酵素粉末を得た。そのうち1.0gを10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に溶解し、予め同緩衝液で平衡化したDEAE−Sepharose Fast Flowカラムクロマトグラフィー(φ2.6×18cm)に供した。カラムを1000mlの同緩衝液で洗浄後、600mlの500mM NaClを含む同緩衝液でステップワイズ溶出を行った。カラム吸着部を限外ろ過により脱塩、濃縮後、凍結乾燥を行い、部分精製酵素(0.7g,0.70U/mg)を得た。
<Gal−amidine gelを用いたβ−D−ガラクトシダーゼの除去>
部分精製酵素(50mg,Lacβ−pNP加水分解活性 35U,Galβ−pNP加水分解活性 19U)を50mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH6.0(1.0ml)に溶解し、予め同溶媒で平衡化しておいたGal−amidineアフィニティーカラムクロマトグラフィー(φ1.2×1.7cm)に供した。流速10ml/hにおいて各エッペンドルフチューブに1mlずつ分取して、非吸着部を50mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH6.0(30ml)で洗浄した。吸着部を1.0M NaClを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH6.0(20ml)で溶出し、さらに0.5M methyl β−Galを含む50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH4.0(10ml)で溶出した。タンパク質の検出は280nmの吸光度を測定することで行い、Lacβ−pNPおよびGalβ−pNPの加水分解活性を測定した。それぞれの画分を分画分子量30000の限外ろ過膜(PM−30, Millipore Corp.)を用いて濃縮後、凍結乾燥を行い、非吸着部よりβ−D−ガラクトシダーゼを除去した部分精製酵素(Lacβ−pNP加水分解活性32U,Galβ−pNP加水分解活性0.3U)を得た(Table.1)。なお、以後の反応には全てβ−D−ガラクトシダーゼを除去した部分精製酵素を用いた。
これらの酵素等を用い、下記式(X)に示す合成経路で下記に記載する手順でPoly(Neu5Acaα2−3LacNAc β−5−aminopentyl/γ−PGA)およびPoly(Neu5Acaα2−6LacNAc β−5−aminopentyl/γ−PGA)を調製した。
Figure 0005130598
(X)
(6)5−Trifluoroacetamido−1−pentanolの化学合成
はじめに、5−amino−1−pentanol(10g,97mmol)にピリジン(20ml)を加えて溶解した。これを氷冷、攪拌し、そこへ無水トリフルオロ酢酸(25ml,180mmol)を滴下しながら添加し反応を開始させた。反応開始から5分おきにTLC(展開溶媒 クロロホルム:アセトン=8:2)で、リンモリブデン酸発色を用い反応を確認した。1時間後、TLCで原料が消失したのを確認した後、クラッシュアイスを反応液と同量程度加えて反応を停止させ、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlを加えて反応液を中和した。反応液を濃縮後、アセトンを適量加え再び濃縮を行った。この操作を3回程度繰り返したのち、反応液をアセトンで溶解し、多量に存在する炭酸水素ナトリウムを析出させた。これをろ過後、濃縮し、クロロホルム:アセトン=8:2で平衡化(10ml/min)したシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ4.5×35cm)に供した。約25mlごとにカラムを通過してきた移動層をサンプリングした。溶出画分はTLC(展開溶媒 クロロホルム:アセトン=8:2)で、リンモリブデン酸発色を用い生成物を確認した。目的物を含む画分を濃縮し、目的物である5−Trifluoroacetamido−1−pentanolを収量18g、収率94%で得た。これをH−NMRに供した。
(5−Trifluoroacetamido−1−pentanolのNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ3.59(t, 2H, H−α), 3.33(t, 2H, H−e), 1.65−1.48(2H×2, H−b, d), 1.36(2H, H−c)
(7)5−Trifluoroacetamidopentyl β−lactosideの合成
基質としてlactose(54.3g,151mmol)と5−Trifluoroacetamido−1−pentanol(30.0g,151mmol)とを50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0(151ml)に溶解し、そこへガラクトシダーゼを除去したT. reesei由来セルラーゼ(4500U)を加えて反応を開始させた。反応を追跡するために反応液10μlを経時的に採取し、190μlの脱塩水を加えた後、100℃で10分間煮沸して反応を停止させ、0.45μmフィルターでろ過した後、ろ液をHPLCにより分析した。反応液を激しく振とう(200rpm)し、40℃で120時間反応を行った。その後、100℃、10分間の煮沸により反応を停止させた。反応液を濃縮後、クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.5で平衡化(10ml/min)したSilica Gel 60N カラムクロマトグラフィー(φ4.5×50cm)に供し同溶媒で溶出し、23ml/tubeずつ分取してTLC(クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.5)で分析した。目的画分を含む画分を濃縮し、重水に溶解してH−NMRにより構造解析した結果、5−Trifluoroacetamidopentyl β−lactosideを収量849mg、収率1.0%で得た。
(5−Trifluoroacetamidopentyl β−lactosideのNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.48(d, 1H, H−1), 4.45(d, 1H, H−1’), 3.34(t, 2H, H−e), 3.32(1H, H−2), 1.71−1.57(2H×2, H−b, d), 1.42(2H, H−c)
(8)5−Trifluoroacetamidopentyl β−N−acetyllactosaminideの合成
基質としてN−acetyllactosamine(20.0g,52.2mmol)と5−Trifluoroacetamido−1−pentanol(15.6g,78.4mmol)とを100mM酢酸ナトリウム緩衝液pH4.0(52.2ml)に溶解し、そこへガラクトシダーゼを除去したT. reesei由来セルラーゼ(6200U)を加えて反応を開始させた。反応を追跡するために反応液10μlを経時的に採取し、190μlの脱塩水を加えた後、100℃で10分間煮沸して反応を停止させ、0.45μmフィルターでろ過した後、HPLCにより分析した。反応液を激しく振とう(200rpm)し、40℃で144時間反応を行った。その後、100℃、10分間の煮沸により反応を停止した。反応液を濃縮後、水で平衡化(5.0ml/min)した活性炭−セライトクロマトグラフィー(φ4.5×100cm)に供した。まず、0%(5.0L)−25%(5.0L)のエタノール直線濃度勾配法により、基質として用いたLacNAcを溶出した。60ml/tubeずつ分取後、各フラクションをN−アセチル基に由来する210nmの吸光度で測定した。LacNAcを含む画分を濃縮することで、LacNAcを回収量17.2g、回収率86%で得た。次に80%エタノール(5.0L)に切り換え吸着部を溶出した。60ml/tubeずつ分取後、各フラクションを210nmの吸光度で測定した。続いて、目的画分を含む画分を濃縮し、クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.5で平衡化(10ml/min)したSilica Gel 60N カラムクロマトグラフィー(φ4.5×50cm)に供し同溶媒で溶出し、28ml/tubeずつ分取してTLC(クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.5)で分析した。目的画分を含む画分を濃縮し、重水に溶解してH−NMRにより構造解析した結果、5−Trifluoroacetamidopentyl β−N−acetyllactosaminideを収量322mg、収率1.1%で得た。
(5−Trifluoroacetamidopentyl β−N−acetyllactosaminideのNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.51(d, 1H, H−1), 4.46(d, 1H, H−1’), 3.31(t, 2H, H−e), 2.02(s, 3H, −NHAc), 1.57(2H×2, H−b, d), 1.34(2H, H−c)
(9)5−aminopentyl β−lactosideの合成
5−Trifluoroacetamidopentyl β−lactoside(104mg,0.19mmol)に1.0M NaOH(1.2ml)を加えて溶解し、室温で反応を開始した。反応開始から30分おきにTLC(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.5)で、オルシノール硫酸発色とリンモリブデン酸発色とを用い反応を確認した。1時間後、TLCで原料が消失したのを確認したのち反応液を、水で平衡化(1.0ml/min)したSephadex G−25カラムクロマトグラフィー(φ2.5×48cm)に供した。約2.0mlごとにカラムを通過してきた移動層をサンプリングした。溶出画分は、TLC(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.5)でリンモリブデン酸発色を用い生成物を確認した。目的物を含む画分を濃縮し、目的物である5−aminopentyl β−lactosideを収量82mg、収率96%で得た。これをH−NMRに供した。
(5−aminopentyl β−lactosideのNMR)
H−NMR(DO, 500 MHz):δ4.49(d, 1H, H−1), 4.45(d, 1H, H−1’), 3.30(t, 1H, H−2), 2.97(t, 2H, H−e), 1.67(2H×2, H−b, d), 1.47(2H, H−c)
(10)5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminideの合成
5−Trifluoroacetamidopentyl β−N−acetyllactosaminide(100mg,0.18mmol)に1.0M NaOH(1.2ml)を加えて溶解し、室温で反応を開始した。反応開始から30分おきにTLC(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=6:4:1)で、オルシノール硫酸発色とリンモリブデン酸発色とを用い反応を確認した。1時間後、TLCで原料が消失したのを確認したのち反応液を、水で平衡化(1.0ml/min)したSephadex G−25カラムクロマトグラフィー(φ2.5×55cm)に供した。約2.0mlごとにカラムを通過してきた移動層をサンプリングした。溶出画分はN−アセチル基に由来する210nmの吸光度と、TLC(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=6:4:1)でリンモリブデン酸発色とを用い生成物を確認した。目的物を含む画分を濃縮し、目的物である5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminideを収量82mg、収率99%で得た。これをH−NMRに供した。
(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminideのNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.52(d, 1H, H−1), 4.47(d, 1H, H−1’), 2.77(t, 2H, H−e), 2.03(s, 3H, −NHAc), 1.54(2H×2, H−b, d), 1.35(2H, H−c)
(11)Poly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)の合成
γ−PGA(M.W.:77000,16.5mg)を100mM NaCO/NaHCO pH10.0(1.3ml)に溶解後、予めDMSO(3.5ml)に溶解しておいたBOP(130mg)、HOBt(16mg)を加えスターラーで攪拌した。最後に5−aminopentyl β−lactoside(140mg)を100mM NaCO/NaHCOpH10.0(0.9ml)に溶解後、添加し、攪拌しながら室温で24時間反応を行った。反応終了後、反応液が7.5mlになるようにPBSを添加した。その後、PD−10カラム1本あたり2.5mlの反応液をPBSで平衡化したPD−10(φ1.7×5.0cm, Sephadex G−25)カラムに供し、3.5mlのPBSでPoly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)を溶出した。次にこの画分を2.5Lの超純水に対して3日間透析した。その間、超純水の交換を6回行った。透析後、濃縮し、凍結乾燥した。次に、これをH−NMRによる構造解析に供した。また、糖残基置換度(%)の計算はH−NMRより、γ−PGAのβおよびγ位プロトンの積分比(A)と5−aminopentyl β−lactosideのアグリコン部位のプロトン6個分の積分比(B)を以下に示す式にあてはめ算出した(図17)。その結果、糖残基置換度69%のPoly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)を収量29.6mgで得た。
糖残基置換度(%)=(4×100)/(A−(B/6))
(Poly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)のNMR)
H−NMR(DO, 500 MHz):δ4.47(d, 1H, H−1), 4.45(d, 1H, H−1’), 4.34−4.22(1H, H−α), 3.31(t, 1H, H−2), 3.20(2H, H−e), 2.42(2H, H−γ), 2.20−1.98(2H, H−β), 1.63(2H, H−d), 1.52(2H, H−b), 1.35(2H, H−c)
(12)Poly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)の合成
γ−PGA(M.W.:77000,15.1mg)を100mM NaCO/NaHCO pH10.0(1.3ml)に溶解後、予めDMSO(3.5ml)に溶解しておいたBOP(119mg)、HOBt(15mg)を加えスターラーで攪拌した。最後に5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide(140mg)を100mM NaCO/NaHCO pH10.0(0.9ml)に溶解後、添加し、攪拌しながら室温で24時間反応を行った。反応終了後、反応液が7.5mlになるようにPBSを添加した。その後、PD−10カラム1本あたり2.5mlの反応液をPBSで平衡化したPD−10(φ1.7×5.0cm, Sephadex G−25)カラムに供し、3.5mlのPBSでPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)を溶出した。次にこの画分を2.5Lの超純水に対して3日間透析した。その間、超純水の交換を6回行った。透析後、濃縮し、凍結乾燥した。次に、これをH−NMRによる構造解析に供した。また、糖残基置換度(%)の計算はH−NMRより、γ−PGAのβおよびγ位プロトンの積分比(A)と5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminideのアグリコン部位のプロトン6個分の積分比(B)をに示す式にあてはめ算出した(図18)。その結果、糖残基置換度61%のPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)を収量17.0mgで得た。
また、より高分子量のアシアロ型二糖含有糖鎖ポリペプチドを合成するため、上記と同様の組成でγ−PGA(M.W.:990000,15.0mg)を用いて行った結果、糖残基置換度58%のPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)を収量24.0mgで得た。糖残基置換度は、次の式により求めた。
糖残基置換度(%)=(4×100)/(A−(B/6×3))
(Poly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)のNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.51(d, 1H, H−1), 4.47(d, 1H, H−1’), 4.30−4.21(1H, H−α), 3.18(2H, H−e), 2.40(2H, H−γ), 2.18−1.98(2H, H−β), 2.02(s, 3H, −NHAc), 1.52(2H×2, H−b, d), 1.35(2H, H−c)
(13)Poly(Neu5Acα2−3Lac β−5−aminopentyl / γ−PGA)の合成
受容体基質としてPoly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)[69%, 210kDa]5.5mgをLac−単位当たり8.0mM、供与体基質としてCMP−Neu5Ac 16.0mM、MnCl2.5mM、BSA0.1%、MOPS buffer(pH7.4)50mMとなるよう調整した。次に、反応液に対し10U/mlのアルカリフォスファターゼおよび40mU/mlのα2,3−(N)−シアリルトランスフェラーゼを添加し、37℃で48時間反応を行った。シアリル化率はH−NMRより、糖鎖由来のGlc(H−2)プロトンの積分比と5−aminopentyl β−lactosideのアグリコン部位のプロトン2個分の積分比の和(A)と、Neu5Acに特徴的な3位エクアトリアルプロトンの積分比(B)を以下に示す式にあてはめ算出した。その結果、シアリル化率69%のPoly(Neu5Acα2−3Lac β−5−aminopentyl / γ−PGA)を収量6.7mgで得た(図19)。シアリル化率は、次の式により求めた。
シアリル化率(%)=(B×100)/(A/3)
(Poly(Neu5Acα2−3Lac β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.53(d, 1H, H−1), 4.47(d, 1H, H−1’), 4.35−4.19(1H, H−α), 3.30(t, 1H, H−2), 3.20(2H, H−e), 2.76(dd, 1H, H−3’’eq), 2.41(2H, H−γ), 2.20−1.98(2H, H−β), 2.03(s, 3H, −NHAc’’), 1.82(t, 1H, H−3’’ax), 1.63(2H, H−d), 1.53(2H, H−b), 1.36(2H, H−c)
(14)Poly(Neu5Acα2−6Lac β−5−aminopentyl /γ−PGA)の合成
受容体基質としてPoly(5−aminopentyl β−lactoside / γ−PGA)[69%, 210kDa]5.5mgをLac−単位当たり8.0mM、供与体基質としてCMP−Neu5Ac 16.0mM、MnCl2.5mM、BSA0.1%、MOPS buffer(pH7.4)50mMとなるよう調整した。次に、反応液に対し10U/mlのアルカリフォスファターゼおよび40mU/mlのα2,6−(N)−シアリルトランスフェラーゼを添加し、37℃で48時間反応を行った。シアリル化率はH−NMRより、糖鎖由来のGlc(H−2)プロトンの積分比と5−aminopentyl β−lactosideのアグリコン部位のプロトン2個分の積分比の和(A)と、Neu5Acに特徴的な3位エクアトリアルプロトンの積分比(B)を以下に示す式にあてはめ算出した。その結果、シアリル化率57%のPoly(Neu5Acα2−6Lac β−5−aminopentyl /γ−PGA)を収量6.8mgで得た(図20)。
シアリル化率(%)=(B×100)/(A/3)
(Poly(Neu5Acα2−6Lac β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.47(d, 1H, H−1), 4.43(d, 1H, H−1’), 4.32−4.20(1H, H−α), 3.32(t, 1H, H−2), 3.20(2H, H−e), 2.71(dd, 1H, H−3’’eq), 2.41(2H, H−γ), 2.20−1.98(2H, H−β), 2.03(s, 3H, −NHAc’’), 1.75(t, 1H, H−3’’ax), 1.63(2H, H−d), 1.52(2H, H−b), 1.35(2H, H−c)
(15)Poly(Neu5Acα2−3LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)の合成
受容体基質としてPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)[61%, 210kDa]5.0mgをLacNAc−単位当たり8.0mM、供与体基質としてCMP−Neu5Ac 16.0mM、MnCl2.5mM、BSA0.1%、MOPS buffer(pH7.4)50mMとなるよう調整した。次に、反応液に対し10U/mlのアルカリフォスファターゼおよび40mU/mlのα2,3−(N)−シアリルトランスフェラーゼを添加し、37℃で48時間反応を行った。シアリル化率はH−NMRより、5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminideのアグリコン部位のプロトン2個分の積分比(A)と、Neu5Acに特徴的な3位エクアトリアルプロトンの積分比(B)を以下に示す式にあてはめ算出した。その結果、シアリル化率96%のPoly(Neu5Acα2−3LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)を収量6.4mgで得た(図21)。
また、受容体基質としてPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)[58%, 2600kDa]5.0mgを用いて上記と同様の方法でシアリル化を行ったところ、シアリル化率100%のPoly(Neu5Acα2−3LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)を収量6.0mgで得た。シアリル化率は、次の式で求めた。
シアリル化率(%)=(B×100)/(A/2)
(Poly(Neu5Acα2−3LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMR)
H−NMR(DO, 270 MHz):δ4.53(d, 1H, H−1), 4.47(d, 1H, H−1’), 4.35−4.20(1H, H−α), 3.18(2H, H−e), 2.73(dd, 1H, H−3’’eq), 2.40(2H, H−γ), 2.20−1.98(2H, H−β), 2.03(s, 3H×2, −NHAc, −NHAc’’), 1.82(t, 1H, H−3’’ax), 1.52(2H×2, H−b, d), 1.30(2H, H−c)
(16)Poly(Neu5Acα2−6LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)の合成
受容体基質としてPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)[61%, 210kDa]5.0mgをLacNAc−単位当たり8.0mM、供与体基質としてCMP−Neu5Ac 16.0mM、MnCl2.5mM、BSA0.1%、MOPS buffer(pH7.4)50mMとなるよう調整した。次に、反応液に対し10U/mlのアルカリフォスファターゼおよび40mU/mlのα2,6−(N)−シアリルトランスフェラーゼを添加し、37℃で48時間反応を行った。シアリル化率はH−NMRより、5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminideのアグリコン部位のプロトン2個分の積分比(A)と、Neu5Acに特徴的な3位エクアトリアルプロトンの積分比(B)、3位アキシャルプロトンの積分比(C)を以下に示す式にあてはめ算出した。その結果、シアリル化率97%のPoly(Neu5Acα2−6LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)を収量6.1mgで得た(図22)。
また、受容体基質としてPoly(5−aminopentyl β−N−acetyllactosaminide / γ−PGA)[58%, 2600kDa]5.0mgを用いて上記と同様の方法でシアリル化を行ったところ、シアリル化率100%のPoly(Neu5Acα2−6LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)を収量6.0mgで得た。シアリル化率は次の式で求めた。
シアリル化率(%)=((B+C)/2×100)/(A/2)
(Poly(Neu5Acα2−6LacNAc β−5−aminopentyl / γ−PGA)のNMR)
H−NMR(DO, 500 MHz):δ4.55(d, 1H, H−1), 4.45 (d, 1H, H−1’), 4.33−4.21(1H, H−α), 3.19 (2H, H−e), 2.67(dd, 1H, H−3’’eq), 2.40 (2H, H−γ), 2.18−1.98(2H, H−β), 2.06 (s, 3H, −NHAc’’), 2.03(s, 3H, −NHAc), 1.74 (t, 1H, H−3’’ax), 1.56−1.51 (2H×2, H−b, d), 1.31 (2H, H−c)
実施例4
参考例の方法で調製した下記の2種類のシアル糖鎖含有ポリマー(sialyl−glycopolymer)をミクロタイタープレートに下記の方法により吸着させた。まず、96穴ミクロタイタープレート(Corning−Costar,Labcoat2503,Cambridge,MA)に、前記シアル糖鎖含有ポリマーのPBS溶液を100μlづつ加えた(倍々希釈:200μg/ml、PBSを最大濃度として倍々希釈する)。つぎに、前記プレートを、室温に1時間放置後、紫外線照射装置(VILBER LOURMAT,France)のガラス面上に前記プレートを置き、紫外線(254nm)を1分間照射した。照射後、ウエル内のシアル糖鎖含有ポリマー溶液を、前記プレートを斜めにして捨てた。そして、前記プレートに2%BSA(Sigma,Grade96%)を100μl加え、室温で1時間ブロッキング処理した。
その後、各ウエルを100μlのPBSで5回洗浄し、3種類の不活性化したインフルエンザウイルス(トリA型ウイルス:A/duck/Honk Kong/24/76(H3N2),32HAU(赤血球凝集価);ヒトA型ウイルス:A/Memphis/1/71(H3N2),32HAU;ヒトB型ウイルス:B/Lee/40)を含有するPBS液を100μl加え、4℃で12時間ゆっくり振盪しながら放置した。PBSで3回洗浄後、各ウエルに50μlの抗インフルエンザウイルスウサギ抗血清(1000倍希釈)を加え、4℃で2時間、ゆっくり振盪した。各ウエルに50μlのhorseradish peroxidase−結合プロテインA(Organon Teknika N.V. Cappel Products,Turnout,Belgium,PBSで1000倍希釈)を加え、4℃で2時間ゆっくり振盪した。各ウエルをPBSで3回洗浄後、50μlの基質試薬(0.01%H2O2含有オルソフェニレンジアミン(Wako Pure Chemicals,Japan)溶液)を加え、室温で10分間放置し、次いで、50μlの1N HClを加えて反応を停止させた。そして、各ウエルの発色を492nm(対照:630nmを対照)で比色定量した。
その結果、トリA型インフルエンザウイルス(A/duck/Hong Kong/24/76)(H3N2)については図1のグラフに示し、ヒトA型インフルエンザウイルス(A/Memphis/1/71)(H3N2)については図2のグラフに示し、ヒトB型インフルエンザウイルス(B/Lee/40))については、図3のグラフに示す。図1〜図3において、グラフ縦軸は、波長492nmの吸光度(Absorbance at 492nm)を示し、グラフ横軸は、シアル糖鎖含有ポリマー濃度(mg/L)を示す。また、図1〜図3において、「SAα2,3−glycopolymer」は、下記の2−3型のシアロ糖鎖含有ポリマーを示し、「SAα2,6−glycopolymer」は、下記の2−6型のシアロ糖鎖含有ポリマーを示す。
シアロ糖鎖含有ポリマー
(2−3型)
Poly(Neu5Acα2−3Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA)
(2−6型)
Poly(Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA
図1のグラフに示すように、前記トリA型インフルエンザウイルスは、2−3型のシアロ糖鎖含有ポリマーを強く認識したが、2−6型のシアロ糖鎖含有ポリマーに対しての認識性は低かった。また、図2のグラフに示すように、前記ヒトA型インフルエンザウイルスは、2−6型のシアロ糖鎖含有ポリマーを強く認識したが、2−3型のシアロ糖鎖含有ポリマーに対しての認識性は低かった。そして、図3グラフに示すように、前記ヒトB型インフルエンザウイルスは、2−6型のシアロ糖鎖含有ポリマーを強く認識したが、2−3型のシアロ糖鎖含有ポリマーに対しての認識性は低かった。
実施例5
各種シアロ糖鎖結合ポリグルタミン酸ポリマー(2μg/ml)をPBS液で倍々希釈後、マイクロプレート(Corning−Costar; Labcoat 2503, Cambrige, MA)の各ウエルに100μlずつ加えた。つぎに、前記プレートを4℃に2時間静置後、紫外線照射装置のガラス面上に前記プレートを置き、紫外線(254nm)を10分間照射した。照射後、ウエル内のシアロ糖鎖含有ポリマー溶液を捨て、各ウエルに2%BSA(Albumin bovine Fraction V, Sigma, St. Louis, MO)もしくは0.1%ブロックエース(大日本製薬)250μlを加え、4℃に一晩ブロッキング処理した。その後、各ウエルを250μlのPBS液で5回洗浄し、エーテル処理で不活性化したインフルエンザウイルス(トリA型ウイルス:A/duck/Hong Kong/313/4/78(H5N3), 128HAU;ヒトA型ウイルス:A/Memphis/1/71(H3N2), 128 HAU)のPBS懸濁液を50μl各ウエルに加え、4℃に5時間放置した。各ウエルを0.01% Tween20含有PBS液250μlで5回洗浄後、0.1%BSAもしくは0.01%ブロックエースで1000倍に希釈した抗インフルエンザウイルスウサギ抗血清を各ウエルに50μlずつ加え、4℃に2時間静置した。各ウエルを0.01%Tween20含有PBS液250μlで5回洗浄後、0.1%BSAもしくは0.01%ブロックエースで1000倍に希釈したHRP標識プロティンAを各ウエルに50μlずつ加え、4℃に2時間静置した。各ウエルを0.01%Tween20含有PBS液250μlで5回洗浄後、100μlの基質溶液(O−phenylenediamine 4mg,0.01%H2O2含有100mMクエン酸リン酸緩衝液pH5.0)を加え、室温で15−20分間放置後、1N硫酸水溶液を各ウエルに50μl加え反応を停止した。各ウエルの発色を492nm(対照波長630nm)にて測定した。
その結果を、図4〜図11に示すように、トリインフルエンザウイルスは、2−3型のシアロ糖鎖含有ポリマーを強く認識したが、2−6型のシアロ糖鎖含有ポリマーに対しての認識性は低かった。一方、ヒトインフルエンザウイルスは、2−6型のシアロ糖鎖含有ポリマーを強く認識したが、2−3型のシアロ糖鎖含有ポリマーに対しての認識性は低かった。そして、それぞれのシアロ糖鎖含有ポリマーに対する結合曲線の傾きを求めることで、ウイルスの変異による感染宿主の変化が起きているか否かの判定をすることができる。
参考例
(1)パラ−ニトロフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニド[Galβ1−4GlcNAcβ−pNP]の調製
2.4gの乳糖および2.3gのパラ−ニトロフェニルトルN−アセチルグルコピラノシド(シグマ社)を、20%アセトニトリルを含む20mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)に溶解し(12mL)、20単位のバチルスサーキュランス由来β−ガラクトシダーゼ(大和化成社)を加え40℃で6時間反応させる。その後、反応液を95℃、10分間加熱して反応を停止させた後に遠心し、上清を回収する。上清液をトヨパールHW−40Sカラム(商品名、5×100cm、東ソー社)に供し、溶出液を分画採取し(20mL/本)、その一部を300nmの吸光度を測定してパラ−ニトロフェニル残基を定量し、さらにフェノール−硫酸法による485nmの吸光度を測定し、炭化水素を定量する。パラ−ニトロフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニド含む画分(120mL)を集めて採取し、濃縮後、メタノールを徐々に添加する。析出した沈殿を濾取し、減圧乾燥して292mgのパラ−ニトロフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニドの結晶を得る。
(2)パラ−アミノフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニド[Galβ1−4GlcNAcβ−pAP]の調製
前記(1)で得られたパラ−ニトロフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニド100mgを20mLのメタノールに溶解し、その溶液にギ酸アンモニウム300mgおよび10%パラジウム/活性炭末20mgを加えて、40℃で反応を行う。その際、反応を高速液体クロマトグラフィーで経時的に追跡する。40分後に、パラ−ニトロフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニドのピークが消滅したことを確認後、反応液を室温に戻して反応を停止する。反応液を順次、セライト、濾紙により濾過し、濾液は濃縮後、予め12%メタノールで平衡化したクロマトレクス−ODS DM1020Tカラムクロマトグラフィーに供する。溶出液を分画採取し(30mL/本)、210nm、300nmの両吸収の一致したアミノ還元二糖誘導体と予想されるピーク画分を濃縮、凍結乾燥し、70.7mgのパラ−アミノフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニドの結晶を得る。
(3)ポリ(パラ−アミノフェニルトルN−アセチル−β−ラクトサミニド−L−グルタミン−co−グルタミン酸)[Poly(Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA)]の調製
α−ポリ−L−グルタミン酸ナトリウム(シグマ社)20mgを0.4mLのジメチルスルホキシドに溶解し、予め0.2mLのジメチルスルホキシドに溶解したヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム160mgと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物18mgを添加し、室温下20分間攪拌する。さらに前記(2)で得られたパラ−アミノフェニル−N−アセチル−β−ラクトサミニド60mgをジメチルスルホキシド0.4mLに溶解して添加し、室温下24時間攪拌する。その反応液をセファデックスG−25カラム(商品名、2.0×26cm、アマシャムファルマシアバイオテク社)に供し、0.1M塩化ナトリウムを含む0.02Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.4)で溶出する(流速1.0mL/分)。溶出液を分画採取し(2.0mL/本)、その一部をフェノール−硫酸法による485nmの吸光度を測定し、炭化水素を含む画分を集めて採取する(13mL)。その溶液を、YM−3メンブランを装着した限外ろ過器(アミコン社)で濃縮し(2kg/cm2)、さらに凍結乾燥し、46mgの標品を得る。
(4)ポリ[パラ−アミノフェニル(N−アセチルノイラミニル−(2−3)−N−アセチル−β−ラクトサミニド)−L−グルタミン−co−グルタミン酸][Poly(Neu5Acα2−3Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA)]の調製
前記(3)で得られたポリ(パラ−アミノフェニルトル−N−アセチル−β−ラクトサミニド−L−グルタミン−co−グルタミン酸)[Poly(Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA)]10mgとシチジン5’−モノホスフォ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム15mg、さらに250mM塩化マンガン10μLと10%牛血清アルブミン10μLおよびアルカリホスファターゼ2μLを、50mMカコジル酸バッファー(pH6.0)950μLに溶解し、30ミリ単位のα2,3−(N)−シアリルトランスフェラーゼ(ラットリコンビナント、Spodoptera frugiperda由来、カルビオケム社)を添加して37℃で48時間反応を行なう。この反応液をセファデックスG−25カラム(2.0x26cm、アマシャムファルマシアバイオテク社)に供し、10.9mgの最終生成物を得る。
(5)ポリ[パラ−アミノフェニル(N−アセチルノイラミニル−(2−6)−N−アセチル−β−ラクトサミニド)−L−グルタミン−co−グルタミン酸][Poly(Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA)]の調製
前記(3)で得られたポリ(パラ−アミノフェニルトル−N−アセチル−β−ラクトサミニド−L−グルタミン−co−グルタミン酸)[Poly(Galβ1−4GlcNAcβ−pAP/α−PGA)]5mgとシチジン5’−モノホスフォ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム7.5mg、さらに250mM塩化マンガン5μLと10%牛血清アルブミン5μLおよびアルカリホスファターゼ1μLを、50mMカコジル酸バッファー(pH6.0)474μLに溶解し、15ミリ単位のα2,6−(N)−シアリルトランスフェラーゼ(ラット肝由来、カルビオケム社)を添加して37℃で48時間反応を行なう。この反応液をセファデックスG−25カラム(商品名、2.0×26cm、アマシャムファルマシアバイオテク社)に供し、6.3mgの最終生成物を得る。
以上のように、本発明によれば、簡単な装置若しくは器具で容易にウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別できる。したがって、本発明によれば、例えば、検査施設や病院等の臨床現場においても、的確にウイルスのレセプター糖鎖認識特異性を判別でき、その用途は広い。

Claims (10)

  1. インフルエンザウイルス変異によるトリからヒトへの感染宿主の変化を判別する方法であって、
    下記式(I)または下記式(III)で表されるγ−ポリグルタミン酸に結合させた2種類以上の異なるシアロ糖鎖含有ポリマーを、複数のウエルを有するプレートにおいて、前記ウエル毎、あるいは前記ウエルの列毎に異なる種類の前記シアロ糖鎖含有ポリマーを固定し、または、異なる種類の前記シアロ糖鎖含有ポリマーを2種類以上の担体のそれぞれの表面に固定して、前記シアロ糖鎖含有ポリマー毎に前記ウイルスサンプルを接触させ、それぞれの結合度合いを測定し、
    それらの結果を比較してインフルエンザウイルス変異によるトリからヒトへの感染宿主の変化を判別することを特徴とする、インフルエンザウイルス変異によるトリからヒトへの感染宿主の変化を判別する方法。
    Figure 0005130598
    (式(I)中、Zは水酸基又は式(II)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(II)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
    Figure 0005130598
    Figure 0005130598
    (式(III)中、Zは水酸基又は式(IV)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(IV)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
  2. 前記結合度合いの測定が、前記ウイルスに対する抗ウイルス抗体を用いた免疫学的測定法による測定である請求項記載のインフルエンザウイルス変異によるトリからヒトへの感染宿主の変化を判別する方法。
  3. 2種類以上の前記シアロ糖鎖含有ポリマーを含む溶液を前記1つの担体に接触させ、または、異なる前記シアロ糖鎖含有ポリマーを含む複数の溶液を2種類以上の担体の何れかに接触させ、この状態で紫外線を照射した後、前記液を除去することにより、前記シアロ糖鎖含有ポリマーを前記担体に固定する請求項1または2に記載のインフルエンザウイルス変異によるトリからヒトへの感染宿主の変化を判別する方法。
  4. 前記インフルエンザウイルスは、エーテル処理で不活性化されている請求項1乃至3の何れか一に記載のインフルエンザウイルス変異によるトリからヒトへの感染宿主の変化を判別する方法。
  5. 下記式(I)で表され、γ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマー。
    Figure 0005130598
    Figure 0005130598
    (式(I)中、Zは水酸基又は式(II)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(II)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
  6. 下記式(III)で表され、γ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマー。
    Figure 0005130598
    (式(III)中、Zは水酸基又は式(IV)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(IV)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
  7. γ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーの製造法であって、
    (工程1)
    糖転移酵素を用いて目的とするシアロ糖鎖を合成する工程
    (工程2)
    工程1で合成したシアロ糖鎖とγ−ポリグルタミン酸とを化学的に結合させる工程
    (工程3)
    工程2で合成したシアロ糖鎖含有ポリマーを単離精製し、目的とするγ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーを取得する工程を含み、
    前記γ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーは、下記式(I)または下記式(III)で表されるγ−ポリグルタミン酸に結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーであるγ−ポリグルタミン酸にシアロ糖鎖を結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーの製造法。
    Figure 0005130598
    (式(I)中、Zは水酸基又は式(II)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(II)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
    Figure 0005130598
    Figure 0005130598
    (式(III)中、Zは水酸基又は式(IV)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(IV)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
  8. 請求項1記載又は2記載の判別方法に用いる担体であって、下記式(I)または下記式(III)で表されるシアロ糖鎖をγ−ポリグルタミン酸に結合させたシアロ糖鎖含有ポリマーを紫外線照射することで表面に固定した担体。
    Figure 0005130598
    (式(I)中、Zは水酸基又は式(II)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(II)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
    Figure 0005130598
    Figure 0005130598
    (式(III)中、Zは水酸基又は式(IV)で表されるシアロ糖鎖結合部位であり、nは10以上の整数を示す。式(IV)中、Acはアセチル基、Xは水酸基又はアセチルアミノ基、Rは炭化水素を示す。)
  9. 前記担体が複数のウエルを有し、異なる種類のシアロ糖鎖含有ポリマーが複数固定されている請求項記載の担体。
  10. 請求項1又は2記載のウイルスのレセプター糖鎖認識特異性又はその変異を判別する方法に用いるキットであって、請求項8又は9記載の担体を含むキット。
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