JP3915849B2 - シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体及びその用途 - Google Patents

シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体またはシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体、及びこの単独重合体または共重合体を有効成分とするインフルエンザウイルス付着阻止剤に関する。本発明のインフルエンザウイルス付着阻止剤は、細胞へのインフルエンザウイルスの付着を著しく阻止することができるので、その作用によってインフルエンザウイルスによる感染を予防することができる。
【0002】
【従来の技術】
シアリルラクトースは、N−アセチルノイラミン酸が乳糖のガラクトース残基に結合したシアル酸含有糖質で、乳及び乳製品中に微量に含まれている。そして、乳中に存在するシアリルラクトースの比率は、生物種や泌乳期により大きく異なることが知られている。例えば、牛乳中のシアリルラクトースの比率は、0.03〜0.06mg/ml であるが、人乳中のシアリルラクトースの比率は、0.25〜0.90mg/ml である。また、初乳においては、これよりさらに高いシアリルラクトースの比率となっている。
【0003】
近年、このシアリルラクトースの生理効果が注目され、例えば、胃炎の原因菌といわれているカンピロバクター・ピロリ(Campylobacter pylori) の粘膜への付着阻害(Infect. Immun., vol.56, pp.2896-2906, 1988)、新生児の脳膜炎や敗血症の原因菌であるS−型の大腸菌の付着阻害(Acta Paediatr., vol.82, pp.6-11, 1993) 等が確認されている。
【0004】
一方、毎年、冬になると流行して多くの人が感染するインフルエンザウイルスは、未だ有効な治療法や感染予防法が見出されていない病原体の一つである。現在、インフルエンザウイルスによる感染を予防する方法として、ワクチンを使用する方法が一般的である。そして、このワクチンの抗原部位は、インフルエンザウイルス表面に位置するスパイク糖タンパク質であるへマグルチニンやシアリダーゼであるが、これら糖タンパク質はしばしば変異するので、流行しているインフルエンザウイルスに最適なワクチンの開発が間に合わないという問題がある。
【0005】
このインフルエンザウイルスによる感染のメカニズムは、インフルエンザウイルス表面のへマグルチニンが標的細胞表面のシアル酸含有複合糖質を認識して結合することによると考えられている。したがって、インフルエンザウイルスに結合するシアル酸含有複合糖質は、体内においてインフルエンザウイルスに対する感染防御物質として機能し得ることが予想される。実際、いくつかのインフルエンザウイルス株については、種々のシアル酸含有複合糖質を使用し、赤血球凝集阻止活性を指標としたインフルエンザウイルスの付着阻止実験が行われている。しかし、これら種々のシアル酸含有複合糖質は、インフルエンザウイルスの付着阻止効果が低かったり、その合成経路が極めて複雑で実用的でないという理由から、未だシアル酸含有複合糖質を有効成分とするインフルエンザウイルスの付着阻止剤は開発されるに至っていない。
【0006】
なお、シアル酸含有複合糖質であるシアリルラクトースは、A型インフルエンザウイルスのレセプターとして知られており、インフルエンザウイルス感染予防剤として期待されている(Nature, vol.333, pp.426-431, 1998) 。しかし、シアリルラクトースのインフルエンザウイルスに対する付着阻止効果は、単位容積当たりシアリルラクトース 0.1%以上と極めて高い投与により発揮されるのみである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、インフルエンザウイルス等のウイルス感染予防及び治療効果を有する物質を求めて鋭意研究を進めていたところ、従来よりインフルエンザウイルスのレセプターとして知られているシアリルラクトースを高分子化した新規物質の一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体、または一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体が、インフルエンザウイルスと強い結合活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明は、新規な一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体、または一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体を提供することを課題とする。また、本発明は、この単独重合体または共重合体を有効成分とする新規なインフルエンザウイルス付着阻止剤を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体、または一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体である。
本発明では、一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体、または一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体を、以下に便宜上シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体と呼ぶこともある。
また、本発明では、一般式〔式I〕でn=1のシアリルラクトース結合スチレン誘導体も便宜上シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体という。
【0009】
【化2】
(但し、Rはシアリルラクトース残基を示し、また、nは1以上の整数を示す。)
【0010】
また、本発明は、このシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体を有効成分とする新規なインフルエンザウイルス付着止剤に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のシアリルラクトース結合スチレン(p−ビニルベンズアミド−β−N−シアリルラクトース)は以下のようにして調製することができる。すなわち、シアリルラクトースを水に溶解した後、シアリルラクトースに対して10〜200 倍モルの炭酸水素ナトリウムや炭酸水素アンモニウム等を加え、反応温度20〜40℃でシアリルラクトースの還元性水酸基をアミノ化する。次に、このアミノ化シアリルラクトースを水とアルコールの混合溶媒に溶解し、予めテトラヒドロフランに溶解しておいたビニルベンゾイルクロリドと反応させることにより、シアリルラクトース結合スチレン(p−ビニルベンズアミド−β−N‐シアリルラクトース)を得ることができる。
【0012】
また、本発明のシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体は、上記のシアリルラクトース結合スチレンを公知の重合方法で重合させることにより得ることができる。なお、重合に使用することができる溶媒は、シアリルラクトース結合スチレンコモノマーを溶解することができるものならば特に制限はない。共重合体を調製する場合、コモノマーとしてスチレンと共重合性を有するものであれば良く、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等を使用することができる。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム等のラジカル重合触媒を使用すれば良い。
【0013】
本発明で原料として使用するシアリルラクトースの調製方法としては、乳から樹脂を用いて分離する方法(Biochem. Biophys Acta, vol.130, pp.1-11, 1966) や擬似移動床式クロマト分離装置(SMB)を用いて分離する方法 (特開平7- 79800号公報、特開平8-252403号公報) 等が知られており、これらの方法で調製されたシアリルラクトースを使用すれば良い。
なお、シアリルラクトースには、シアル酸とラクトースが2→6結合したもの及び2→3結合したものがあるが、いずれのシアリルラクトースを使用しても良いし、また混合物を使用しても構わない。
【0014】
また、本発明のシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体を有効成分とするインフルエンザウイルス付着止剤に関する。本発明のシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体は、高分子シアリルラクトースを含有しており、顕著なインフルエンザウイルス付着阻止効果を有する。したがって、このシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体は、インフルエンザウイルスの細胞への着を阻止する目的で、インフルエンザウイルス付着阻止剤の有効成分として使用される。
【0015】
本発明のシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体は水溶性の粉末であり、取り扱い易く、投与法に特に制限はなく、軟カプセル剤、硬カプセル剤、錠剤、丸剤、類粒剤、懸濁剤等の経口剤、注射剤等の非経口剤として投与することができる。なお、一日当たりの成人の投与量は、経口投与で約10〜100mg 、非経口投与の場合は、静脈内投与で約1〜10mg、筋肉内投与で約5〜30mg、皮下及び皮内投与で約3〜15mgが好ましく、一日一回又は数回に分けて投与すれば良い。
【0016】
次に、参考例、実施例及び試験例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【参考例1】
チーズを製造する際に排出されるホエー15L を限外濾過(Cefilt 10kDa 、 NGフィルテック製、1.4m2)して蛋白質を取り除いた残渣から、さらにシーデイングにより乳糖を結晶で取り除いた乳糖結晶母液をエバポレーターを用い30%まで濃縮して擬似移動床(SMB)への供給液として用いた。溶離液は脱イオン水を用いている。SMBは、カラムの直径 25mm 長さ 460mmの8塔型で、各々カチオン交換樹脂UBK510L 三菱化学製)の対イオンをNa型として充填した。SMBの運転条件は、SMB処理液供給量 3.4mL/min、SMB溶離液供給量 5.8mL/min、ラフィネート抜き出し量 4.2mL/min、エキストラクト抜き出し量 5.0mL/min、カラム温度10℃、ステップ時間7.40とした。
【0017】
以上の条件で、先の乳糖結晶母液濃縮物 31Lを処理したところ、エキストラクトに乳糖等を含む非酸性糖画分 38Lを、また、ラフィネートにシアリルラクトースを含む濃縮画分 460mLをそれぞれ得た。次に、このラフィネートをロータリーエバポレーターで濃縮し、直径40cm×70cmのアニオン交換樹脂(Dow 1,酢酸型)に通して吸着させた。十分量の水を流して中性糖を溶出した後、上記吸着シアリルラクトースを0〜0.06M の酢酸ナトリウムを用いてグラジェント溶出した。この溶出条件によりシアリルラクトースは完全に分離することが可能となった。得られた溶出画分をさらに濃縮し、電気透析(トクヤマ製)、モデル TS-24型、膜面積:カチオン膜、アニオン膜共に960dm2)で脱塩した。このようにして得たシアリルラクトースを減圧濃縮後、凍結乾燥して白色粉末 4.80gを得た。このようにして調製したシアリルラクトースの純度は、高速液体クロマトグラフィーで97%以上であった。また、このときのシアリルラクトースはシアリルα2−6ラクトース(1a)とシアリルα2−3ラクトース(1b)の比が1:6.5 であった。
【0018】
【実施例1】
100mlのナス型フラスコに、参考例1で調製したシアリルラクトース(1a),(1b) 0.2g (0.32ミリモル)をとり、水10mlを加えて溶解させ、撹拌しながら炭酸水素アンモニウムを過飽和となるまで加えた。この反応溶液は37℃で約3日間スターラーで撹拌した。反応の進行状態は薄層クロマトグラフィー(TLC)で追跡した(展開溶媒として、酢酸エチル:酢酸:メタノール:水=4:3:3:1(容量比)の混合溶媒を使用した。シアリルラクトースのRf値は 0.4、β−シアリルラクトシルアミンのRf値は0.18)。反応を始めてから3日後にはシアリルラクトースのスポットか殆どなくなった。過剰の炭酸水素アンモニウムを除去するために、水 150mlを加えて希釈した後、減圧エパポレーターで濃縮する操作をアンモニア臭がなくなるまで3回繰り返した。粉末として得られたβ−シアリルラクトシルアミンを精製することなく、次の反応に用いた。
【0019】
このβ−シアリルラクトシルアミンに水 4.0mlを加えて希釈した。次いで、炭酸ナトリウム0.2gとメタノール5mlを加えて、5時間撹拌して溶解させた。氷水浴により反応温度を0℃に保ちながらp−ビニルベンゾイルクロリド(2) 0.6mlをテトラヒドロフラン溶液 6.0mlに溶解させたものを滴下し、反応の進行をTLCで追跡した(展開溶媒として、酢酸エチル:酢酸:メタノール:水=4:3:3:1(容量比)の混合溶媒を使用した。β−シアリルラクトシルアミンのRf値は0.18、p−ビニルベンズアミド−β−シアリルラクトースのRf値は0.67)。生成物を陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(充填剤:DEAE-ION EXCHANGERセルロファインA-500;溶出液:NaCl ステップワイズ法 0N →0.1N)により分離精製した。脱塩装置で脱塩した後、凍結乾燥を行いp−ビニルベンズアミド−β−シアリルラクトース(3a),(3b) の白色粉未を単離した。以上の反応を[式 II ]に示す。
【0020】
【化3】
【0021】
【実施例2】
シアリルラクトース結合ポリスチレンの製造例を以下に示す。すなわち、試験管にp−ビニルベンズアミド−β−シアリルラクトース(3a),(3b) 0.15g をとり、予め脱気しておいた 1.0mlの水に溶解させた。次に、 6.3μl のN,N,N',N'-テトラメチレンジアミン(TMEDA) を加えた後、キャピラリーを用いて溶液中に窒素を流し、試験管内が十分に窒素で満たされたところでセーラムキャップを被せた。これらの操作は、重合が始まらないように全て氷浴中で行った。事前に調製しておいた過硫酸アンモニウム100mg/mlをシリンジを用いて25μL 注入し、30℃の恒温槽で重合を開始した。5時間後、試験管を氷浴につけて反応を停止させた後、反応溶液をメタノール中に注いで得られたポリマーを沈澱させた。上澄みを取り除いた後、沈澱物を少量の水に溶かし、分子量 3,500以下の物質を透析するセルロ一スチュ一ブ(ナカライテスク製)を用いて3日間透析した後、凍結乾燥して白色粉末状のp−ビニルベンズアミド−β−シアリルラクトース重合体(シアリルラクトース結合ポリスチレン)(5a),(5b) を得た。なお、化合物(5a),(5b)のx,y,z はそれぞれ 0.005, 0.034,0.96であった。得られた重合体の収率は89重量%(133mg)であった。得られたシアリルラクトース結合ポリスチレンは水、DMSOに可溶である。以上の反応を[式 III ]に示す。
【0022】
【化4】
【0023】
【実施例3】
シアリルラクトース結合ポリスチレンとポリアクリルアミドの共重合体の製造例を以下に示す。すなわち、試験管にp−ビニルベンズアミド−β−シアリルラクトース0.065gとアクリルアミド0.065g(モル分率1:12.5)をとり、予め脱気しておいた 1.0mlの水に溶解させた。次に、12.5μl のN,N,N',N'-テトラメチレンジアミン(TMEDA) を加えた後、キャピラリーを用いて溶液中に窒素を流し、試験管内が十分に窒素で満たされたところでセーラムキャップを被せた。これらの操作は、重合が始まらないように全て氷浴中で行った。事前に調製しておいた過硫酸アンモニウム (APS) 100mg/mlをシリンジを用いて25μL 注入し、30℃の恒温槽で重合を開始した。5時間後、試験管を氷浴につけて反応を停止させた後、反応溶液をメタノール中に注いで得られたポリマーを沈澱させた。上澄みを取り除いた後、沈殿物を少量の水に溶かし、分子量 3,500以下の物質を透析するセルロ一スチュ一ブ(ナカライテスク製)を用いて3日間透析した後、凍結乾燥して白色粉末状のシアリルラクトース結合ポリスチレンとポリアクリルアミドの共重合体を得た。得られた重合体の収率は85重量%(110mg)であった。また、1H-NMRにより算出した共重合体のモル分率は1:16であった。
【0024】
【試験例1】
実施例1で得られたシアリルラクトース結合スチレン、実施例2で得られたシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体及び対照としてシアリルラクトースを使用し、赤血球凝集阻止活性を指標としてインフルエンザウイルスに対する反応性を調べた。すなわち、試料1mgをPBS 1mlに溶解させて、1mg/mlの溶液を調製した。この試料溶液25μl をマイクロタイタープレート上で、0.02%(W/V) ゼラチン−PBS溶液25μl を加え倍々希釈する。各ウエルに予め4倍の血球凝集阻止活性に調製しておいたウイルス液25μl を加えた後、マイクロミキサーで30秒振とうし、4℃で1時間静置後、赤血球凝集阻害を起こした最高希釈倍率を測定した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
これよると、シアリルラクトース結合スチレン及びシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体は、それぞれ、シアリルラクトースよりも強くインフルエンザウイルスと結合することが判った。なお、赤血球凝集活性はニワトリ赤血球が凝集するために必要なウイルスの希釈倍率で表した。すなわち、精製インフルエンザウイルス25μl をマイクロタイタープレート(96-bottom wells, Falcon社製) 上にて、0.01%(W/V) ゼラチン−PBS溶液25μl を加え、倍々希釈する。各ウエルに 0.5%(V/V) ニワトリ赤血球−PBS溶液25μl を加え、マイクロミキサーで30秒振とうし、4℃で1時間静置後、凝集像を観察した。
【0027】
【実施例4】
実施例2で得られたシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体 10gを精製蒸留水1Lに懸濁し、これを10mlのアンプルに充填し、殺菌を行って静注用注射剤を得た。
【0028】
【実施例5】
実施例2で得られたシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体 20gを乳糖 15g、トウモロコシ澱粉 15g、カルボキシメチルセルロースカルシウム 10g及びステアリン酸マグネシウム1gを混合し、打錠して錠剤 1,000錠を製造した。
【0029】
【発明の効果】
シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体は、インフルエンザウイルスと強く結合するので、インフルエンザウイルスの細胞への着を阻止することができる。従って、本発明のシアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体を有効成分とするインフルエンザウイルス着阻止剤を使用することにより、インフルエンザウイルスの感染を予防することができる。

Claims (2)

  1. 次の一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体、または一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体。
    (但し、Rはシアリルラクトース残基を示し、また、nは1以上の整数を示す。)
  2. 請求項1に記載の、一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンの単独重合体、または一般式〔式I〕で表されるシアリルラクトース結合スチレンと、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルのいずれか一種のコモノマーとの共重合体を有効成分とするインフルエンザウイルス付着阻止剤。
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