JP5130333B2 - スパークプラグ - Google Patents

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本発明は、内燃機関の取付孔を介した気密漏れを封止する封止部材が装着されるスパークプラグに関する。
一般的に、スパークプラグは、主体金具の外周に形成したねじ山を、内燃機関の取付孔に形成した雌ねじに対してねじ止めすることで、内燃機関への取付けを行う。主体金具の外周には円環状の封止部材(ガスケット)が装着され、取付孔を介した燃焼室内の気密漏れが防止される。一般的なガスケットは、円環状に形成した金属板を、例えば断面(形成後の周方向と直交する断面)がS字形状となるように厚み方向において折り返して作製される。スパークプラグは、取付け時に、主体金具の張出部と取付孔の開口周縁部との間にガスケットを挟み、圧縮する。ガスケットは、ねじ締めに伴い変形し、張出部と開口周縁部とのそれぞれに対する密着性および軸力(締め付けに伴う圧縮により軸方向に働く反力)を高め、気密漏れを封止する。
近年、内燃機関の小型化、高性能化が図られ、エンジンの振動が激しくなる傾向にあり、また、燃焼室内の温度も上昇傾向にある。ガスケットにおいては、エンジンの振動による変形や、駆動・休止に伴う加熱・冷却サイクルによって発生するクリープ変形によって軸力が低下し、ねじ止めに緩みを生ずると、密着性の低下を招く場合がある。そこで、ガスケットの材料強度を高め、締め付け後の塑性変形を抑制して軸力を確保しつつも、ガスケットの形状(折り返し)を規定することで取付け時の変形を確保し、密着性の維持を図ったスパークプラグが知られている(例えば特許文献1参照。)。
特開2004−134120号公報
しかしながら、エンジンの更なる高性能化に伴いエンジンの振動が大きくなり、それに起因した大きな力がスパークプラグに加わり、ガスケットと張出部との間や、ガスケットと開口周縁部との間において滑りが発生し、ねじ止めの緩みが生ずる場合がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、封止部材を挟んで取付孔にねじ止めする主体金具の耐緩み性を確保することができるスパークプラグを提供することを目的とする。
本発明の態様によれば、中心電極と、軸線方向に沿って延びる軸孔を有し、その軸孔の先端側内部に前記中心電極を保持する絶縁碍子と、当該絶縁碍子を周方向に取り囲んで保持するとともに、自身の外周にねじ山が形成され、さらに、当該ねじ山よりも基端側に形成され、自身の外周から外向きに張り出しつつ周方向に一周する形態をなす張出部を有する筒状の主体金具と、前記中心電極との間で火花放電ギャップを形成する接地電極と、前記主体金具のうち前記ねじ山と前記張出部との間の部位に外側から同心的に装着される環状形態をなし、前記主体金具が、雌ねじの形成された取付孔に螺合により取り付けられた状態において、前記張出部と、前記取付孔の開口周縁部との間にて圧縮されて、前記張出部と前記開口周縁部との間を封止する封止部材と、を備えたスパークプラグにおいて、前記主体金具を前記取付孔に螺合して前記封止部材を前記張出部と前記開口周縁部との間に挟んで圧縮した際に、前記封止部材は、前記張出部および前記開口周縁部のそれぞれに面接触するものであり、さらに、前記主体金具を前記取付孔から取り外し、前記張出部および前記開口周縁部に残る前記封止部材との接触痕を観察し、前記張出部側の接触痕の外径をd1、内径をd1とし、その接触痕の等価摩擦直径D1を(1)式で求めるとともに、前記開口周縁部側の接触痕の外径をd2、内径をd2とし、その接触痕の等価摩擦直径D2を(2)式で求めた場合に、D1<D2を満たすとともに、前記封止部材はステンレス鋼からなり、前記主体金具の表面にはNiめっき層が形成されており、且つ、前記スパークプラグを前記取付孔に取り付ける際の螺合による前記封止部材の圧縮開始直前の状態において、前記張出部と前記開口周縁部とに挟まれた前記封止部材の周方向と直交する断面で、前記封止部材が前記張出部と前記開口周縁部とのそれぞれに接する点が一点であり、且つ、前記張出部に接する点が、前記開口周縁部に接する点よりも内周側にある断面形状を有するスパークプラグが提供される。
ただし、
Figure 0005130333
Figure 0005130333
とする。
スパークプラグを内燃機関の取付孔に取り付けた場合、主体金具の張出部と、取付孔の開口周縁部との間にて封止部材が圧縮され、張出部と開口周縁部とに面接触することによって、取付孔を介した気密漏れが維持される。封止部材と張出部および開口周縁部との間における摩擦力を高めれば、主体金具の耐緩み性を確保することが可能である。ここで、スパークプラグを取り外す場合、封止部材と張出部との間よりも、封止部材と開口周縁部との間において、滑りが生じやすいことが、発明者らの検証によって判明した。ゆえに、封止部材と張出部との間における摩擦力よりも、封止部材と開口周縁部との間における摩擦力を高めれば、封止部材と開口周縁部との間における滑りを抑制することができる。つまり、スパークプラグの取り外しに必要な戻しトルクを大きくすることができ、ねじ止めの緩みを抑制することができる。そこで、本発明の態様では、スパークプラグを取り外した場合に、張出部および開口周縁部に封止部材との面接触によってできた接触痕を観察し、外径および内径を測定して、張出部側の等価摩擦直径D1と、開口周縁部側の等価摩擦直径D2とを求める。このとき、D1<D2を満たすことによって、封止部材と張出部との間における摩擦力よりも、封止部材と開口周縁部との間における摩擦力が高くなるようにすることができる。これにより、封止部材と開口周縁部との間における滑りを抑制し、耐緩み性を確保することができるのである。また、D1<D2を満たすことによって、スパークプラグを取り付ける場合において、封止部材と張出部との間において滑りが生じやすくなり、同一の締付トルクで締め付けを行った場合の軸力を大きくすることができる。これにより、耐緩み性を確保することができる。
このことから、D1<D2を満たすように、取り付けの際の封止部材と張出部および開口周縁部との接触状態を調整すれば、耐緩み性の確保が可能となる。例えば、スパークプラグを取付孔に取り付ける際のねじ締めによる封止部材の圧縮開始直前の状態において、張出部と開口周縁部とに挟まれた封止部材の周方向と直交する断面を見る。その断面で、封止部材が張出部と開口周縁部とのそれぞれに接する点が一点であり、且つ、張出部に接する点が、開口周縁部に接する点よりも内周側にある断面形状を有した封止部材を用いるとよい。このようにすれば、圧縮後の封止部材における張出部との接触が、上記張出部に接する点の位置を中心になされることとなり、接触痕の等価摩擦直径D1を、その点を通る円周の直径に近づけることができる。同様に、圧縮後の封止部材における開口周縁部との接触が、上記開口周縁部に接する点を中心になされることとなり、接触痕の等価摩擦直径D2を、その点を通る円周の直径に近づけることができる。したがって、上記張出部に接する点が、上記開口周縁部に接する点よりも内周側に位置することで、D1<D2が満たされやすい。なお、等価摩擦直径とは、「回転摩擦力に関して、円環状の接触を、それと同一の回転摩擦力を有する円形状の接触に置き換えたときの円の直径」を指す。
また、内燃機関の小型化、高性能化に伴い、近年では、内燃機関の振動が従来よりも激しくなり、また、燃焼室内の温度が従来よりも上昇傾向にあるが、剛性の高いステンレス鋼を封止部材に用いれば、内燃機関の駆動・休止に伴う加熱・冷却サイクルによって発生するクリープ変形に対する耐久性が高く、有効である。また、主体金具の表面にNiめっき層を形成すれば、耐食性に効果を奏する。しかし、Niめっき層の形成された主体金具は、一般的な、Znめっき層の形成された主体金具と比べ、ねじの噛み合わせにおける摩擦力が大きく、同一の締付トルクで締め付けを行った場合、締め付けにより発生する軸力が、Znめっき層の形成された主体金具よりも小さくなってしまうことが知られている。そこで本発明の態様のように、D1<D2を満たすことによって、封止部材と取付孔の開口周縁部との間の摩擦力を高め、さらに、封止部材にステンレス鋼を用いることによるクリープ変形に起因したねじ止めの緩みを抑制する。このようにすれば、主体金具の表面へのNiめっき層の形成に伴う締め付け時の軸力の低下を補ってなお、十分な戻しトルク(従来よりも大きなトルク)を得て、耐緩み性を確保することができる。
本発明の態様によれば、前記主体金具の前記張出部において、前記封止部材を向く側の面の最大外径をDzとしたときに、Dz>D2を満たしてもよい。等価摩擦直径D1,D2は、それぞれ、封止部材と張出部との接触径、および封止部材と開口周縁部との接触径に相当することとなる。封止部材と張出部および開口周縁部との密着性を確保するには、封止部材のバネ性(圧縮後に維持される抗力)を確保することが好ましい。バネ性を確保するには、封止部材と張出部および開口周縁部との接触位置が、共に、張出部と開口周縁部との対向面内に配置されることが望ましい。ゆえに、および封止部材と開口周縁部との接触径に相当する等価摩擦直径D1,D2が、一般に開口周縁部よりも小面積に形成される張出部の外径Dzよりも、小さいこと、すなわち、Dz>D2を満たすとよい。
スパークプラグ1の部分断面図である。 ガスケット60の断面ならびに全体の形状を示す図である。 スパークプラグ1をエンジンヘッド90に取り付け、主体金具50の張出部54と取付孔91の開口周縁部92との間にガスケット60を挟んで圧縮した状態を示す部分断面図である。 スパークプラグ1をエンジンヘッド90から取り外した場合に主体金具50の張出部54および取付孔91の開口周縁部92に残るガスケット60との接触痕J,Kを示す図である。 呼び径がM10のスパークプラグにおける、締付トルクに対する戻しトルクの比と、等価摩擦直径比との関係を示すグラフである。 呼び径がM12のスパークプラグにおける、締付トルクに対する戻しトルクの比と、等価摩擦直径比との関係を示すグラフである。 呼び径がM14のスパークプラグにおける、締付トルクに対する戻しトルクの比と、等価摩擦直径比との関係を示すグラフである。
以下、本発明を具体化したスパークプラグの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1〜図3を参照し、本発明に係る封止部材の一例としてのガスケット60を装着したスパークプラグ1の構造について説明する。なお、図1において、スパークプラグ1の軸線O方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
図1に示すように、スパークプラグ1は、軸孔12内の先端側に中心電極20を保持し、後端側に端子金具40を保持する絶縁碍子10を有する。また、スパークプラグ1は、絶縁碍子10の径方向周囲を周方向に取り囲み、絶縁碍子10を保持する主体金具50を有する。主体金具50の先端面57には接地電極30が接合されている。接地電極30は、先端部31側が中心電極20と対向するように屈曲されており、中心電極20との間に火花放電間隙GAPを有する。
まず、絶縁碍子10について説明する。絶縁碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸中心に軸線O方向へ延びる軸孔12を有する筒形状をなす。絶縁碍子10の軸線O方向の略中央には、外径が最も大きい鍔部19が形成されている。鍔部19より後端側(図1における上側)には、後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成されている。先端側胴部17よりも先端側には、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど外径が縮小されている。脚長部13は、スパークプラグ1が内燃機関のエンジンヘッド90(図3参照)に取り付けられた場合に、エンジンの燃焼室(図示外)内に曝される。脚長部13と先端側胴部17との間は段部15として形成されている。
次に、中心電極20について説明する。上記したように、絶縁碍子10は、軸孔12の先端側に中心電極20を保持する。中心電極20は、インコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金等からなる母材24の内部に、熱伝導性に優れる銅等からなる金属芯25を配置した構造を有する。中心電極20の先端部22は絶縁碍子10の先端面から突出し、先端側に向かって外径が縮小されている。先端部22の先端面には、耐火花消耗性向上のため、貴金属チップ80が接合されている。また、絶縁碍子10は、軸孔12内に、シール体4およびセラミック抵抗3を有する。中心電極20は、シール体4およびセラミック抵抗3を経由して、軸孔12の後端側に保持された端子金具40に電気的に接続されている。スパークプラグ1の使用時には、端子金具40に点火コイル(図示外)が接続され、高電圧が印加される。
次に、接地電極30について説明する。接地電極30は、耐腐食性の高い金属(一例として、インコネル(商標名)600または601等のニッケル合金)を用い、横断面が略長方形の棒状に形成された電極である。接地電極30は、一端側の基部32が、主体金具50の先端面57に溶接により接合されている。接地電極30は、他端側の先端部31側が、中心電極20の先端部22側へ向けて屈曲されている。接地電極30の先端部31と、中心電極20の貴金属チップ80との間には、火花放電間隙GAPが形成されている。
次に、主体金具50について説明する。主体金具50は、低炭素鋼材からなる円筒状の金具である。前述したように、主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位の周囲を取り囲み、絶縁碍子10を保持する。主体金具50は、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、エンジンヘッド90の取付孔91(図3参照)の雌ねじに螺合するねじ山が形成された取付部52とを有する。なお、本実施の形態の主体金具50は、取付部52のねじ山の呼び径をM10とする規格に沿って作製されたものである。呼び径についてはM10に限定するものではなく、M12でもM14であってもよく、あるいはM8であってもよい。また、主体金具50の表面にはNiめっき層が形成されている。
主体金具50の工具係合部51と取付部52との間には、径方向外向きに鍔状に張り出す張出部54が形成されている。取付部52と張出部54との間の部位はねじ首と称され、ねじ首には、後述するガスケット60が嵌め込まれている。
主体金具50の工具係合部51より後端側には、厚みの薄い加締部53が設けられている。張出部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に厚みの薄い座屈部58が設けられている。主体金具50の内周で、取付部52の位置には段部56が形成されており、段部56には、環状の板パッキン8が配置されている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には円環状のリング部材6,7が介在されており、リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53は、内側に向けて折り曲げるように加締められることで、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10を主体金具50内で先端側へ向け押圧する。加締部53に押圧された絶縁碍子10は、段部15が板パッキン8を介して主体金具50の段部56に支持されて、主体金具50と一体になる。主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。上記した座屈部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い外向きに撓み変形するように構成されており、タルク9の軸線O方向の圧縮長さを長くして、気密性を高めている。
次に、ガスケット60について説明する。図2に示すガスケット60は、オーステナイト系ステンレス鋼、もしくはフェライト系ステンレス鋼からなる一枚の環状の板材に、その板材の厚み方向において折り返す加工を施して、作製されたものである。図3に示すように、ガスケット60は、スパークプラグ1の主体金具50がエンジンヘッド90の取付孔91にねじ止めされた場合に、取付孔91の開口周縁部92と、主体金具50の張出部54との間で圧縮されて変形する。両者に密着することで、取付孔91を介した燃焼室(図示外)内の気密漏れを封止する。
なお、ガスケット60の材料として、例えばJIS(日本工業規格)に定められた以下の規格番号のステンレス鋼(SUS)を用いることができる。オーステナイト系ステンレス鋼の例としては、SUS201、SUS202、SUS301、SUS301J、SUS302、SUS302B、SUS304、SUS304L、SUS304N1、SUS304N2、SUS304LN、SUS305、SUS309S、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316LN、SUS316J1、SUS316J1L、SUS317、SUS317L、SUS317J1、SUS321、SUS347、SUSXM15J1等を用いることができる。また、フェライト系ステンレス鋼の例としては、SUS405、SUS410L、SUS429、SUS430、SUS430LX、SUS430JIL、SUS434、SUS436L、SUS436JIL、SUS444、SUS445J1、SUS445J2、SUS447J1、SUSXM27等を用いることができる。これらのようなステンレス鋼を用いて作製したガスケット60は、一般的に用いられるFeからなるガスケットと比べ剛性が高い。ゆえに、エンジンの駆動・休止に伴う加熱・冷却によって発生するクリープ変形の耐久性が高く、ガスケットの変形に起因するねじ止めの緩みが生じにくい。
ところで、本実施の形態では、耐腐食性を高めるため主体金具50の表面にNiめっき層を形成しているが、一般的に用いられる主体金具の表面には、Znめっき層が形成される。Niめっき層が形成された主体金具は、Znめっき層が形成された主体金具に比べ、ねじの噛み合わせにおける摩擦力が小さく、同一の締付トルクで締め付けを行った場合、締め付けにより発生する軸力が、Znめっき層の形成された主体金具よりも小さくなってしまうことが知られている。
主体金具の表面にNiめっき層を形成することによって締め付け時に十分な軸力を確保しづらくなることに起因するねじ止めの緩みを抑制するには、ガスケットと主体金具およびエンジンヘッドと間の摩擦力を高め、ねじの取り外し(緩め)に必要な戻しトルクを大きくすればよい。そこで、発明者らは、エンジンヘッドを模したアルミブッシュを用い、アルミブッシュに設けた取付孔に主体金具をねじ止めする際に、ガスケットと主体金具およびアルミブッシュとの間に発生する滑りの状況を観察した。その結果、締め付け時には、ガスケットと主体金具との間にて滑りが生じやすく、ガスケットとアルミブッシュとの間では滑りが生じにくいことがわかった。一方、緩め時には、ガスケットと主体金具との間では滑りが生じにくく、ガスケットとアルミブッシュとの間にて滑りが生じやすいことがわかった。このことから、ガスケットと主体金具との間の摩擦力よりも、ガスケットとアルミブッシュ、すなわちエンジンヘッドとの間の摩擦力を高めれば、ねじ止めの緩みに対する耐性(耐緩み性)を高めることできる。そこで本実施の形態では、後述する実施例の結果に基づき、以下の規定を行った。
主体金具50を取付孔91に螺合してガスケット60を張出部54と開口周縁部92との間に挟んで圧縮する。圧縮によって潰れたガスケット60は、張出部54および開口周縁部92のそれぞれに面接触する。次に、図4に示すように、主体金具50を取付孔91から取り外し、張出部54に残るガスケット60との接触痕Jと、開口周縁部92に残るガスケット60との接触痕Kとを観察する。張出部54側の接触痕Jの外径をd1、内径をd1とし、その接触痕Jの等価摩擦直径D1を、(1)式で求める。
Figure 0005130333
また、開口周縁部92側の接触痕Kの外径をd2、内径をd2とし、同様に、接触痕Kの等価摩擦直径D2を、(2)式で求める。
Figure 0005130333
このとき、D1<D2を満たす。
スパークプラグ1をエンジンヘッド90の取付孔91に取り付けた場合、主体金具50の張出部54と、取付孔91の開口周縁部92との間にてガスケット60が圧縮され、張出部54と開口周縁部92とに面接触することによって、取付孔91を介した気密漏れが維持される。ガスケット60と張出部54および開口周縁部92との間における摩擦力を高めれば、主体金具50の耐緩み性を確保することが可能である。ここで、スパークプラグ1を取り外す場合、上記のように、ガスケット60と張出部54との間よりも、ガスケット60と開口周縁部92との間において、滑りが生じやすい。ゆえに、ガスケット60と張出部54との間における摩擦力よりも、ガスケット60と開口周縁部92との間における摩擦力を高めれば、ガスケット60と開口周縁部92との間における滑りを抑制することができる。つまり、スパークプラグ1の取り外しに必要な戻しトルクを大きくすることができ、ねじ止めの緩みを抑制することができる。そこで、スパークプラグ1を取り外した場合に、張出部54および開口周縁部92にガスケット60との面接触によってできた接触痕J,Kを観察し、外径d1,d2および内径d1,d2を測定して、張出部54側の等価摩擦直径D1と、開口周縁部92側の等価摩擦直径D2とを上記のように求める。このとき、D1<D2を満たすことによって、ガスケット60と張出部54との間における摩擦力よりも、ガスケット60と開口周縁部92との間における摩擦力が高くなるようにすることができる。これにより、ガスケット60と開口周縁部92との間における滑りを抑制し、耐緩み性を確保することができるのである。
また、上記したように、ガスケット60をステンレス鋼から形成し、また、主体金具50の表面にはNiめっき層を形成している。ステンレス鋼からなるガスケット60は、エンジンの駆動・休止に伴う加熱・冷却サイクルによって発生するクリープ変形に対する耐久性が高く、有効である。また、主体金具50の表面にNiめっき層を形成すれば、耐食性に効果を奏する。しかし、Niめっき層の形成された主体金具50は、締め付けにより発生する軸力が低下することは、前述した通りである。そこで本実施の形態のように、D1<D2を満たすことによって、ガスケット60と取付孔91の開口周縁部92との間の摩擦力を高め、さらに、ガスケット60にステンレス鋼を用いることによるクリープ変形に起因したねじ止めの緩みを抑制する。このようにすれば、主体金具50の表面へのNiめっき層の形成に伴う締め付け時の軸力の低下を補ってなお、十分な戻しトルク(従来よりも大きなトルク)を得て、耐緩み性を確保することができる。
なお、図4に示すように、主体金具50の張出部54において、ガスケット60を向く側の面の最大外径をDzとしたときに、Dz>D2を満たすとよい。等価摩擦直径D1,D2は、それぞれ、ガスケット60と張出部54との接触径、およびガスケット60と開口周縁部92との接触径に相当することとなる。ガスケット60と張出部54および開口周縁部92との密着性を確保するには、ガスケット60のバネ性(圧縮後に維持される抗力)を確保することが好ましい。バネ性を確保するには、ガスケット60と張出部54および開口周縁部92との接触位置が、共に、張出部54と開口周縁部92との対向面内に配置されることが望ましい。ゆえに、およびガスケット60と開口周縁部92との接触径に相当する等価摩擦直径D1,D2が、一般に開口周縁部92よりも小面積に形成される張出部54の外径Dzよりも、小さいこと、すなわち、Dz>D2を満たすとよい。
このように、エンジンヘッド90にスパークプラグ1を取り付ける上で、取り外した場合のガスケット60と主体金具50の張出部54との接触痕Jと、ガスケット60と取付孔91の開口周縁部92との接触痕Kとを観察する。接触痕Jの等価摩擦直径D1と、接触痕Kの等価摩擦直径D2とを求め、D1<D2が満たされる場合に戻しトルクを大きくできることを、以下の実施例により確認した。
スパークプラグのサンプル1として、主体金具の取付部のねじ山の呼び径がM10で、表面にZnめっき層を形成したものを用意し、表1のタイプA1に示すS字状の断面形状をもつステンレス鋼製のガスケットを組み付けた。なお、表1に示すガスケットの断面は、いずれも、右手側が内周側、左手側が外周側となる断面を示しており、また、上側を主体金具の張出部側へ向けて、主体金具に取り付けられるものとする。つまり、タイプA1のガスケットは、図1のガスケット60と同様の向きに、スパークプラグに取り付けられる。
Figure 0005130333
このサンプル1をアルミブッシュに10N・mの締付トルクで取り付け、さらに取り外し、開口周縁部に残る接触痕Kを観察した。さらに、新たなタイプA1のガスケットを、組み付け方向を逆向きにしてサンプル1のスパークプラグに組み付け、同様にアルミブッシュへの取り付け、取り外しを行った。アルミブッシュの開口周縁部に残る接触痕は、ガスケットと張出部との接触痕Jと同等のものであり、これを接触痕Jとみなして観察した。接触痕Jの外径d1は11.473mmであり、内径d1は10.890mmであった。接触痕Jの等価摩擦直径D1を計算すると、11.184mmになった。また、接触痕Kの外径d2は12.304mmであり、内径d2は11.693mmであった。接触痕Kの等価摩擦直径D2を計算すると、12.001mmになった。等価摩擦直径比(D2/D1)を求めると1.07となり、D1<D2が満たされた。
表1に示すように、タイプA1のガスケットの組み付け方向を逆さまにしたタイプA2のガスケットを用意し、サンプル1と同様のスパークプラグに組み付け、サンプル2とした。サンプル2についても同様に、アルミブッシュへの取り付け、取り外しを行い、接触痕Jと接触痕Kについて観察した。サンプル2の接触痕Jの等価摩擦直径D1と、接触痕Kの等価摩擦直径D2との等価摩擦直径比(D2/D1)を求めると0.93となり、サンプル2ではD1≧D2となった。
また、表1のタイプB1の欄に示す断面形状をもつステンレス鋼製のガスケットを用意し、サンプル1と同様のスパークプラグに、表1の向き(断面形状の右手側が内周側となる向き)に組み付け、サンプル3とした。さらに、タイプB1のガスケットを逆さまにしたタイプB2のガスケットを用意し、サンプル1と同様のスパークプラグに組み付け、サンプル4とした。同様に、表1のタイプC1の欄に示す断面形状をもつステンレス鋼製のガスケットを用意し、サンプル1と同様のスパークプラグに、表1の向き(断面形状の右手側が内周側となる向き)に組み付け、サンプル5とした。さらに、タイプC1のガスケットを逆さまにしたタイプC2のガスケットを用意し、サンプル1と同様のスパークプラグに組み付け、サンプル6とした。これらサンプル3〜6についても同様に、アルミブッシュへの取り付け、取り外しを行い、接触痕Jと接触痕Kについて観察した。サンプル3〜6の接触痕Jの等価摩擦直径D1と、接触痕Kの等価摩擦直径D2との等価摩擦直径比(D2/D1)は、順に、1.05、0.95、1.06、0.94となった。サンプル3とサンプル5はD1<D2が満たされ、サンプル4とサンプル6は、D1≧D2となった。サンプル1〜6の等価摩擦直径比についてまとめたものを表2に示す。
Figure 0005130333
次に、上記同一条件で新たに作製したサンプル1〜6それぞれを、新たに用意したアルミブッシュにそれぞれ10N・mの締付トルクで取り付け、16時間、ISO11565に基づく加振条件で振動を与えつつ、200℃に加熱した。その後、各サンプルをアルミブッシュから取り外し、取り外しの際にかかった戻しトルクをそれぞれ測定した。そして、各サンプルについて、締付トルクに対する戻しトルクの比(戻しトルク/締付トルク)を求めた(表2参照)。以上、呼び径がM10のサンプル1〜6について行った評価試験の結果得られた、締付トルクに対する戻しトルクの比と、等価摩擦直径比との関係を、図5のグラフに示す。なお、図5のグラフ中に付した数字はサンプル番号を指し、その数字にかっこ書きで添えた符号はガスケットの断面形状のタイプを示す。
表2に示すように、タイプA1,B1,C1のガスケットをそれぞれ組み付けたサンプル1,3,5は、締付トルクに対する戻しトルクの比が0.71〜0.77であった。これに対し、タイプA2,B2,C2のガスケットをそれぞれ組み付けたサンプル2,4,6は、締付トルクに対する戻しトルクの比が0.43〜0.45であった。図5に示すように、明らかに、タイプA1,B1,C1のガスケットを組み付けたサンプル1,3,5は、タイプA2,B2,C2のガスケットを組み付けたサンプル2,4,6よりも、締付トルクに対する戻しトルクの比が大きくなった。タイプA1,B1,C1のガスケットは、いずれも等価摩擦直径比(D2/D1)が1より大きくD1<D2を満たすが、タイプA2,B2,C2のガスケットは、いずれも等価摩擦直径比が1以下でD1≧D2であった。上記したように、タイプA2,B2,C2のガスケットは、いずれも、タイプA1,B1,C1のガスケットの組み付け方向を逆向きとしただけのものである。このことから明らかに、等価摩擦直径比が1より大きくD1<D2を満たすことのできるガスケットであれば、締付トルクに対する戻しトルクの比を大きくできることがわかった。
取付部のねじ山の呼び径がM12のスパークプラグについても、実施例1と同様に、タイプA1〜C2のガスケットを組み付けたサンプル7〜12を用意して、等価摩擦直径比について確認した。主体金具の表面にZnめっき層を形成する点については実施例1と同様である。これらサンプル7〜12に対し、アルミブッシュへの取り付け、取り外しを行い、それぞれの接触痕Jと接触痕Kについて観察した。サンプル7〜12の接触痕Jの等価摩擦直径D1と、接触痕Kの等価摩擦直径D2との等価摩擦直径比(D2/D1)は、順に、1.06、0.94、1.04、0.96、1.05、0.95となった。サンプル7,9,11はD1<D2が満たされ、サンプル8,10,12は、D1≧D2となった。サンプル7〜12の等価摩擦直径比についてまとめたものを表3に示す。
Figure 0005130333
次に、上記同一条件で新たに作製したサンプル7〜12それぞれを、新たに用意したアルミブッシュにそれぞれ15N・mの締付トルクで取り付け、16時間、ISO11565に基づく加振条件で振動を与えつつ、200℃に加熱した。その後、各サンプルの戻しトルクを測定し、締付トルクに対する戻しトルクの比(戻しトルク/締付トルク)を求めた(表3参照)。以上、呼び径がM12のサンプル7〜12について行った評価試験の結果得られた、締付トルクに対する戻しトルクの比と、等価摩擦直径比との関係を、図6のグラフに示す(グラフ中の符号等は図5と同様である。)。
表3に示すように、タイプA1,B1,C1のガスケットをそれぞれ組み付けたサンプル7,9,11は、締付トルクに対する戻しトルクの比が0.52〜0.56であった。これに対し、タイプA2,B2,C2のガスケットをそれぞれ組み付けたサンプル8,10,12は、締付トルクに対する戻しトルクの比が0.38〜0.40であった。図6に示すように、明らかに、タイプA1,B1,C1のガスケットを組み付けたサンプル7,9,11は、タイプA2,B2,C2のガスケットを組み付けたサンプル8,10,12よりも、締付トルクに対する戻しトルクの比が大きくなった。このように、M12のスパークプラグにおいても、M10のスパークプラグの場合と同様の結果が得られた。等価摩擦直径比(D2/D1)が1より大きくD1<D2を満たすことのできるガスケットであれば、M12のスパークプラグにおいても、締付トルクに対する戻しトルクの比を大きくできることが確認された。
さらに、取付部のねじ山の呼び径がM14のスパークプラグについても、実施例1、2と同様に、タイプA1〜C2のガスケットを組み付けたサンプル13〜18を用意して、等価摩擦直径比について確認した。主体金具の表面にZnめっき層を形成する点については実施例1、2と同様である。これらサンプル13〜18に対し、アルミブッシュへの取り付け、取り外しを行い、それぞれの接触痕Jと接触痕Kについて観察した。サンプル13〜18の接触痕Jの等価摩擦直径D1と、接触痕Kの等価摩擦直径D2との等価摩擦直径比(D2/D1)は、順に、1.05、0.95、1.03、0.97、1.04、0.96となった。サンプル13,15,17はD1<D2が満たされ、サンプル14,16,18は、D1≧D2となった。サンプル13〜18の等価摩擦直径比についてまとめたものを表4に示す。
Figure 0005130333
次に、上記同一条件で新たに作製したサンプル13〜18それぞれを、新たに用意したアルミブッシュにそれぞれ20N・mの締付トルクで取り付け、16時間、ISO11565に基づく加振条件で振動を与えつつ、200℃に加熱した。その後、各サンプルの戻しトルクを測定し、締付トルクに対する戻しトルクの比(戻しトルク/締付トルク)を求めた(表4参照)。以上、呼び径がM14のサンプル13〜18について行った評価試験の結果得られた、締付トルクに対する戻しトルクの比と、等価摩擦直径比との関係を、図7のグラフに示す(グラフ中の符号等は図5と同様である。)。
表4に示すように、タイプA1,B1,C1のガスケットをそれぞれ組み付けたサンプル13,15,17は、締付トルクに対する戻しトルクの比が0.66〜0.71であった。これに対し、タイプA2,B2,C2のガスケットをそれぞれ組み付けたサンプル14,16,18は、締付トルクに対する戻しトルクの比が0.56〜0.60であった。図7に示すように、明らかに、タイプA1,B1,C1のガスケットを組み付けたサンプル13,15,17は、タイプA2,B2,C2のガスケットを組み付けたサンプル14,16,18よりも、締付トルクに対する戻しトルクの比が大きくなった。このように、M14のスパークプラグにおいても、M10、M12のスパークプラグの場合と同様の結果が得られた。等価摩擦直径比(D2/D1)が1より大きくD1<D2を満たすことのできるガスケットであれば、M14のスパークプラグにおいても、締付トルクに対する戻しトルクの比を大きくできることが確認された。
次に、主体金具の表面にNiめっき層を形成し、ステンレス鋼からなるガスケットを組み付けたスパークプラグにおいて、十分に、戻しトルクを得られることを確認するため、熱間振動緩み試験を行った。ここでは、スパークプラグのサンプルを5種類用意した。サンプル21は、主体金具にZnめっき層を形成し、FeからなるタイプA1のガスケットを組み付けた。サンプル22は、主体金具にNiめっき層を形成し、FeからなるタイプA1のガスケットを組み付けた。サンプル23は、主体金具にNiめっき層を形成し、FeからなるタイプA2のガスケットを組み付けた。サンプル24は、主体金具にZnめっき層を形成し、ステンレス鋼からなるタイプA1のガスケットを組み付けた。サンプル21は、主体金具にNiめっき層を形成し、ステンレス鋼からなるタイプA1のガスケットを組み付けた。
そして、各サンプル21〜25を、アルミブッシュにそれぞれ10N・mの締付トルクで取り付け、16時間、ISO11565に基づく加振条件で振動を与えつつ、200℃に加熱する試験を行った。試験後、各サンプルをアルミブッシュから取り外し、取り外しの際にかかった戻しトルクをそれぞれ測定した。測定結果を表5に示す。
Figure 0005130333
表5に示すように、サンプル21〜25の戻しトルクは、順に、2.9、1.7、0.9、7.7、6.7[N・m]であった。サンプル21とサンプル22の比較から、主体金具の表面のめっき層をZnからNiに変更すると、戻しトルクが低下している。これは、ねじの噛み合わせにおける摩擦力が、Znめっき層よりもNiめっき層の方が大きいため、同一の締付トルクで締め付けを行った場合、締め付けにより発生する軸力が、Znめっき層の形成された主体金具よりも、Niめっき層の形成された主体金具の方が、小さくなってしまうことによる。サンプル22とサンプル23の比較から、ガスケットに、タイプA1(D1<D2)のものを用いれば、締め付け時に発生する軸力が低下しても、タイプA2(D1≧D2)のガスケットを用いた場合よりも十分な大きさの戻しトルクを確保できることは、実施例1で述べた通りである。サンプル21とサンプル24の比較から、ガスケットの材質をFeからステンレス鋼に変更すると、ガスケットの変形(クリープ変形)に起因するねじ止めの緩みが生じにくくなり、戻しトルクが大きくなることがわかる。サンプル24とサンプル25の比較では、サンプル21とサンプル22の比較結果と同様に、ガスケットの材質にかかわらず、主体金具の表面のめっき層をZnからNiに変更すると、戻しトルクが低下することがわかる。しかし、サンプル21とサンプル25の比較から、主体金具の表面にNiめっき層を形成することによって締め付け時に発生する軸力が低下しても、ステンレス鋼からなり、D1<D2を満たすガスケットを組み付ければ、ガスケットの変形に起因するねじ止めの緩みを防止するだけでなく、ガスケットと取付孔の開口周縁部との間における摩擦力を大きくすることができ、十分な戻しトルクが得られ、耐緩み性を向上できることが確認できた。
取付部のねじ山の呼び径がM12のスパークプラグについても、実施例4と同様に、主体金具の表面にZnめっき層またはNiめっき層を形成し、Feまたはステンレス鋼からなるガスケットを組み付けたサンプル26〜30(表6参照)を用意して、熱間振動緩み試験を行った。試験方法は実施例4と同様であり、各サンプル26〜30のアルミブッシュへの取り付けにおいて、15N・mの締付トルクで取り付けた点のみが異なる。試験後、各サンプルをアルミブッシュから取り外し、取り外しの際にかかった戻しトルクをそれぞれ測定した。測定結果を表6に示す。
Figure 0005130333
表6に示すように、サンプル26〜30の戻しトルクは、順に、3.5、2.1、1.0、8.4、7.2[N・m]であった。そして、サンプル同士を比較したところ、実施例4と同様の結果を得られた。したがって、主体金具の表面にNiめっき層を形成しても、ステンレス鋼からなり、D1<D2を満たすガスケットを組み付ければ、M12のスパークプラグにおいても十分な戻しトルクが得られ、耐緩み性を向上できることが確認できた。
さらに、取付部のねじ山の呼び径がM14のスパークプラグについても、実施例4、5と同様に、主体金具の表面にZnめっき層またはNiめっき層を形成し、Feまたはステンレス鋼からなるガスケットを組み付けたサンプル31〜35(表7参照)を用意して、熱間振動緩み試験を行った。試験方法は実施例4と同様であり、各サンプル31〜35のアルミブッシュへの取り付けにおいて、20N・mの締付トルクで取り付けた点のみが異なる。試験後、各サンプルをアルミブッシュから取り外し、取り外しの際にかかった戻しトルクをそれぞれ測定した。測定結果を表7に示す。
Figure 0005130333
表7に示すように、サンプル31〜35の戻しトルクは、順に、7.4、3.9、1.9、14.2、11.1[N・m]であった。サンプル同士を比較したところ、実施例4、5と同様の結果を得られた。したがって、主体金具の表面にNiめっき層を形成しても、ステンレス鋼からなり、D1<D2を満たすガスケットを組み付ければ、M14のスパークプラグにおいても十分な戻しトルクが得られ、耐緩み性を向上できることが確認できた。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。ガスケット60の断面形状について、本実施の形態ではS字状のものを例に説明したが、断面形状をS字状に限定するものではない。例えば、表1のタイプB1やタイプC1に示したような断面形状を有してもよいし、それ以外の断面形状であってもよい。スパークプラグ1をエンジンヘッド90から取り外した際に観察される、ガスケット60と張出部54との接触痕Jと、ガスケット60と開口周縁部92との接触痕Kとに基づき得られる等価摩擦直径D1、D2が、D1<D2を満たすガスケットであれば足りる。
また、等価摩擦直径D1、D2が、D1<D2を満たすようにするには、例えば、主体金具への組み付け方向(軸方向)において、ガスケットの周方向と直交する断面で張出部側における最も端に位置する点が、開口周縁部側における最も端に位置する点よりも内周側に配置される断面形状を有したガスケットを用いるとよい。例えば、スパークプラグを取付孔に取り付ける際のねじ締めによるガスケットの圧縮開始直前の状態において、張出部と開口周縁部とに挟まれたガスケットの周方向と直交する断面を見る。その断面で、ガスケットが張出部と開口周縁部とのそれぞれに接する点が一点であり、且つ、張出部に接する点が、開口周縁部に接する点よりも内周側にある断面形状を有したガスケットを用いるとよい。具体的に、図2に示すガスケット60のように、周方向と直交する断面における組み付け方向両側において最も端に位置する点となるよう点P,Qが形成され、さらに点Qが点Pよりも内周側に配置されるよう、ガスケット60を作製するとよい。ガスケット60の断面における点Pは、スパークプラグ1を取付孔90に取り付ける際のねじ締めによるガスケット60の圧縮開始直前の状態において、張出部54と開口周縁部92とに挟まれたガスケット60が、張出部54と唯一接する点である。すなわち、ガスケット60は、圧縮開始時に張出部54に対し、ガスケット60の全周にわたって点Pによって描かれる仮想円65で、線接触する。同様に、ガスケット60の断面における点Qは、ねじ締めによるガスケット60の圧縮開始直前の状態において、ガスケット60が、開口周縁部92と唯一接する点である。すなわち、ガスケット60は、圧縮開始時に開口周縁部92に対し、ガスケット60の全周にわたって点Qによって描かれる仮想円66で、線接触する。ガスケット60の断面に点P,Qが形成され、さらに、点Pによって描かれる仮想円65の直径L1が、点Qによって描かれる仮想円66の直径L2よりも小さくなるように、ガスケット60を形成する。このようにすれば、ガスケット60と張出部54との接触が、点Pの位置を中心になされることとなり、接触痕Jの等価摩擦直径D1を、L1に近づけることができる。同様に、ガスケット60と開口周縁部92との接触が、点Qの位置を中心になされることとなり、接触痕Kの等価摩擦直径D2を、L2に近づけることができる。したがって、L1<L2が満たされることで、D1<D2が満たされやすい。
1 スパークプラグ
10 絶縁碍子
12 軸孔
20 中心電極
30 接地電極
50 主体金具
54 張出部
60 ガスケット
91 取付孔
92 開口周縁部

Claims (2)

  1. 中心電極と、
    軸線方向に沿って延びる軸孔を有し、その軸孔の先端側内部に前記中心電極を保持する絶縁碍子と、
    当該絶縁碍子を周方向に取り囲んで保持するとともに、自身の外周にねじ山が形成され、さらに、当該ねじ山よりも基端側に形成され、自身の外周から外向きに張り出しつつ周方向に一周する形態をなす張出部を有する筒状の主体金具と、
    前記中心電極との間で火花放電ギャップを形成する接地電極と、
    前記主体金具のうち前記ねじ山と前記張出部との間の部位に外側から同心的に装着される環状形態をなし、前記主体金具が、雌ねじの形成された取付孔に螺合により取り付けられた状態において、前記張出部と、前記取付孔の開口周縁部との間にて圧縮されて、前記張出部と前記開口周縁部との間を封止する封止部材と、
    を備えたスパークプラグにおいて、
    前記主体金具を前記取付孔に螺合して前記封止部材を前記張出部と前記開口周縁部との間に挟んで圧縮した際に、前記封止部材は、前記張出部および前記開口周縁部のそれぞれに面接触するものであり、さらに、
    前記主体金具を前記取付孔から取り外し、前記張出部および前記開口周縁部に残る前記封止部材との接触痕を観察し、前記張出部側の接触痕の外径をd1、内径をd1とし、その接触痕の等価摩擦直径D1を(1)式で求めるとともに、前記開口周縁部側の接触痕の外径をd2、内径をd2とし、その接触痕の等価摩擦直径D2を(2)式で求めた場合に、D1<D2を満たすとともに、
    前記封止部材はステンレス鋼からなり、前記主体金具の表面にはNiめっき層が形成されており、
    且つ、前記スパークプラグを前記取付孔に取り付ける際の螺合による前記封止部材の圧縮開始直前の状態において、
    前記張出部と前記開口周縁部とに挟まれた前記封止部材の周方向と直交する断面で、前記封止部材が前記張出部と前記開口周縁部とのそれぞれに接する点が一点であり、且つ、前記張出部に接する点が、前記開口周縁部に接する点よりも内周側にある断面形状を有することを特徴とするスパークプラグ。
    ただし、
    Figure 0005130333
    Figure 0005130333
    とする。
  2. 前記主体金具の前記張出部において、前記封止部材を向く側の面の最大外径をDzとしたときに、
    Dz>D2を満たすことを特徴とする請求項に記載のスパークプラグ。
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