JP2004134120A - スパークプラグ - Google Patents

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金生 啓二
Tsunetoshi Goto
後藤 常利
Nobuo Abe
阿部  信男
Hirobumi Suzuki
鈴木  博文
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
    • H01T13/00Sparking plugs
    • H01T13/02Details
    • H01T13/08Mounting, fixing or sealing of sparking plugs, e.g. in combustion chamber

Abstract

【課題】スパークプラグのガスケットとして、初期の取付の際には締め付けにより変形を起こして密着性を確保しつつ、エンジン使用中においては、従来よりも大きな作用力を受けても塑性変形を起こさないような特性を実現できるようにする。
【解決手段】エンジンにネジ結合するためのネジ部10aを筒状の主体金具10の内部に絶縁体20を介して保持された中心電極30と、中心電極30と放電ギャップ70を介して対向配置された接地電極40と、主体金具10の外周に設けられ主体金具10をエンジンヘッド100にネジ締めしたときのシール性を維持するための環状のガスケット80とを備えるスパークプラグにおいて、ガスケット80は、エンジンへのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた径方向断面が略S字状の曲げ部を2箇所有し、ビッカース硬度が200以上400以下のものである。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等のエンジンに取り付けられるスパークプラグに関し、特に、主体金具の外周に設けられたネジ締め時のシールを行うガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のスパークプラグは、一般にエンジンにネジ結合するためのネジ部を外周面に有する筒状の主体金具と、その内部に絶縁体を介して保持された中心電極と、主体金具に取り付けられて中心電極と放電ギャップを介して対向して配置された接地電極とを備える。
【0003】
このようなスパークプラグは、エンジンヘッドのネジ孔に主体金具を介してネジ結合することにより取り付けられる。このとき、主体金具の外周には、環状のガスケットが設けられており、このガスケットによって、主体金具とエンジンとの間をシールするようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−164318号公報
【0005】
【特許文献2】
実開昭50−71635号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のスパークプラグにおいては、ガスケットはその材質として主成分がFeである低炭素鋼を使用している。また、近年、エンジンの希薄燃焼化・高出力化に伴い、燃焼温度の上昇やエンジンの振動が増加している。そのような状況から、ガスケットに作用する力が大きくなる傾向にある。
【0007】
ガスケットの必要特性としては、スパークプラグをエンジンに取り付けて使用している最中に塑性変形しないことが求められる。ガスケットは、主体金具のエンジンへのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた曲げ部を有し、この曲げ部にて発揮される弾性力によって上記ネジ締めの軸力を維持することで上記のシールを実現している。
【0008】
しかし、ガスケットへの作用力が大きくなると、ガスケットの強度が負けて塑性変形を生じる。ガスケットが塑性変形すると、初期の厚さよりも薄くなりガスケットの弾性力が不十分となってシール性が不十分となる。つまり、ガスケットにヘタリが生じる。
【0009】
そして、このヘタリが生じると、上記のネジ締めの軸力が低下していき、最終的にはネジ結合が緩んで、スパークプラグがエンジンから抜けてしまうという不具合につながる。ここで、ヘタリを抑制するには、ガスケットの強度すなわち硬度を大きくすれば良いと考えられる。
【0010】
しかし、ガスケットのもう一つの必要特性として、初期の取付の際に、所定の締め付けトルクによってガスケットにおいて所定の弾性変形を引き起こし、ガスケットを潰してエンジンヘッドとスパークプラグとを密着させることによって、燃焼ガスなどの漏れを防止することが要求される。
【0011】
ここにおいて、従来よりもより大きい作用力に対してもガスケットのヘタリすなわち塑性変形を抑制するために、単純にガスケットの材料強度を大きくすると、ガスケットが弾性変形しにくくなる。つまり、ガスケットがつぶれにくくなる。このことは上記の密着性の悪化ひいてはシール性の悪化につながる。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、スパークプラグのガスケットとして、初期の取付の際には締め付けにより変形を起こして密着性を確保しつつ、エンジン使用中においては、従来よりも大きな作用力を受けても塑性変形を起こさないような特性を実現できるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは、ガスケットにおいて初期的な密着性の確保および塑性変形の抑制という二つの必要特性を満足させるために、曲げ部の数と硬度とを変えたものについて種々実験検討を行った。本発明は、この検討結果に基づいて実験的に見出されたものである。
【0014】
請求項1に記載の発明では、エンジンにネジ結合するためのネジ部(10a)を外周面に有する筒状の主体金具(10)と、この主体金具の内部に絶縁体(20)を介して保持された中心電極(30)と、主体金具に取り付けられて中心電極と放電ギャップ(70)を介して対向して配置された接地電極(40)と、主体金具の外周に設けられ主体金具がエンジンにネジ締めされたときに主体金具とエンジンとの間をシールするための環状のガスケット(80)とを備えるスパークプラグにおいて、ガスケットは、主体金具のエンジンへのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた曲げ部(81)を2箇所有し、ビッカース硬度が200以上400以下のものであることを特徴とする。
【0015】
本発明のように、曲げ部を2箇所有する場合にビッカース硬度が200以上400以下であるガスケットとすれば、初期の取付の際には締め付けにより変形を起こして密着性を確保しつつ(図4参照)、エンジン使用中においては、従来よりも大きな作用力を受けても塑性変形を起こさないような特性を実現することができる(図6参照)。
【0016】
ここで、請求項2に記載の発明のように、ガスケット(80)としてはCrを15重量%以上40重量%以下含有するFe基合金からなるものを採用することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、エンジンにネジ結合するためネジ部(10a)を外周面に有する筒状の主体金具(10)と、この主体金具の内部に絶縁体(20)を介して保持された中心電極(30)と、主体金具に取り付けられて中心電極と放電ギャップ(70)を介して対向して配置された接地電極(40)と、主体金具の外周に設けられ主体金具がエンジンにネジ締めされたときに主体金具とエンジンとの間をシールするための環状のガスケット(80)とを備えるスパークプラグにおいて、ガスケットは、主体金具のエンジンへのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた曲げ部(81)を3箇所有し、Crを15重量%以上20重量%以下含有するFe基合金からなるものであることを特徴とする。
【0018】
本発明のように、曲げ部を3箇所有する場合には、曲げ部が2箇所の場合に比べて曲げ加工性が厳しくなる。その場合、Crを15重量%以上20重量%以下含有するFe基合金からなるガスケットとすれば、曲げ加工を容易にできる。
【0019】
そして、Crを15重量%以上20重量%以下含有するFe基合金であれば、3箇所の曲げ部を有する場合において、初期的な密着性の確保および従来よりも大きな作用力を受けたときの塑性変形の抑制という二つの必要特性を適切に満足させることができる(図4、図6参照)。
【0020】
よって、本発明によっても、スパークプラグのガスケットにおいて、初期の取付の際には締め付けにより変形を起こして密着性を確保しつつ、エンジン使用中においては、従来よりも大きな作用力を受けても塑性変形を起こさないような特性を実現することができる。
【0021】
ここで、上記請求項1〜請求項3に記載のガスケット(80)としては、請求項4に記載の発明のように、その板厚が0.2mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
【0022】
これは、当該板厚が0.4mmよりも厚くなると、厚すぎて初期の取付の際にガスケットがつぶれにくくなることと、当該板厚が0.2mmよりも薄くなると、薄すぎて初期の取付の際に必要以上につぶれやすくなってしまうことのためである。
【0023】
また、請求項5に記載の発明では、エンジンは、作動時に10G以上の大きさの振動が発生するものであることを特徴とする。
【0024】
現状では、エンジンに発生する振動の大きさは10G未満であるが、将来は10Gを超えるような高振動化も予想される。
【0025】
本発明者らの検討によれば、実際に請求項1〜請求項4に記載のスパークプラグを、作動時に10G以上の大きさの振動が発生するエンジンに取り付けた場合において、初期的な密着性の確保および従来よりも大きな作用力を受けたときの塑性変形の抑制という二つの必要特性を適切に満足できることを確認した。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るスパークプラグS1の全体構成を示す半断面図である。
【0028】
このスパークプラグS1は、自動車用エンジンに取り付けられてエンジンの点火栓に適用されるものであり、該エンジンの燃焼室102を区画形成するエンジンヘッド100に設けられたネジ穴101に挿入されてネジ結合されるようになっている。
【0029】
スパークプラグS1は、導電性の鉄鋼材料(例えば低炭素鋼等)等よりなる筒形状の主体金具(ハウジング)10を有しており、この主体金具10の外周面には、エンジンヘッド100にネジ結合するためのネジ部10aが形成されている。また、主体金具10の外周面には、ネジ部10aを介してネジ締めを行う際に主体金具10を回転させるためのナット部10bが形成されている。
【0030】
主体金具10の内部には、アルミナセラミック(Al2O3)等からなる絶縁体(絶縁碍子)20が固定されている。この絶縁体20の一端部21、他端部22は、それぞれ主体金具10の一端部11、他端部12から露出するように設けられている。
【0031】
絶縁体20の軸孔23には中心電極30が固定されており、この中心電極30は主体金具10に対して絶縁保持されている。中心電極30は、例えば、内材がCu等の熱伝導性に優れた金属材料、外材がNi基合金といった耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円柱体である。
【0032】
そして、中心電極30は、その一端部31が絶縁体20の一端部21から露出して延びるように設けられており、中心電極30の他端部32は絶縁体20の他端部22から露出するステム35に対して、絶縁体20の内部にて電気的に接続されている。中心電極30は、このステム35を介して外部配線材と電気的に接続される。
【0033】
一方、接地電極40はNi基合金、Fe基合金、またはCo基合金よりなり、その一端部41にて主体金具10の一端部11に溶接により固定され、途中で曲げられて、その他端部42側が中心電極30の一端部31と対向するように中心電極30側へ延びる柱状(例えば角柱)をなす。
【0034】
また、必要に応じて、これら中心電極30および接地電極40を電極母材として、中心電極30の一端部31には、PtやIr等よりなる貴金属チップ50が溶接等により接合され、接地電極40の他端部42には、PtやIr等よりなる貴金属チップ60が溶接等により接合されている。そして、これら両チップ50、60の間に放電ギャップ70が形成されている。
【0035】
このようなスパークプラグS1は、ナット部10bを介して主体金具10を回転させながらエンジンヘッド100のネジ穴101に挿入していくことにより、ネジ穴101を雌ネジ、主体金具10のネジ部10aを雄ネジとしてネジ結合される。そして、放電ギャップ70の部分が燃焼室102に位置した状態でスパークプラグS1はエンジンに取り付け固定される。
【0036】
ここにおいて、主体金具10の外周には、主体金具10がエンジンヘッドにネジ締めされたときにネジ締め力を維持するための円環状のガスケット80が設けられている。このガスケット80によって、主体金具10とエンジンヘッドとの間がシールされ、燃焼室102内のガス等が漏出しないようにすることができる。
【0037】
このガスケット80の径方向断面の拡大図を図2(a)、(b)に示す。ガスケット80は、主体金具10のエンジンヘッド100へのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた曲げ部81を有する。
【0038】
そして、ネジ締めの際には、その軸力によって主体金具10とエンジンヘッド100との間で変形して潰される。このとき、曲げ部81にて発揮される弾性力によって上記ネジ締めの軸力が維持されることで上記のシールが実現されるようになっている。
【0039】
本実施形態のガスケット80は、この曲げ部81を2箇所有するもの(図2(a)と、曲げ部81を3箇所有するもの(図2(b)とを採用することができる。以下、前者を2曲げタイプ、後者を3曲げタイプということとする。図2では、2曲げタイプは略S字状に折り曲げられており、3曲げタイプはこの2曲げタイプを更にS字の一端部にて折り曲げた形となっている。
【0040】
そして、これら両タイプのガスケット80は、初期的な密着性の確保および従来よりも大きな作用力を受けたときの塑性変形の抑制という二つの必要特性を適切に満足するために、以下のようなものとなっている。
【0041】
まず、2曲げタイプのガスケット80は、ビッカース硬度が200以上400以下のものである。ここでいうビッカース硬度は、JIS:Z2244に規定された微小ビッカース硬さ試験方法において試験荷重4.903Nにて測定したもの(Hv0.5)をいう。
【0042】
具体的には、2曲げタイプのガスケット80は、ビッカース硬度が200以上400以下のものとして、SUS304やSUS310等のCrを15重量%以上40重量%以下含有するFe基合金からなるものにできる。
【0043】
また、3曲げタイプのガスケット80も、おおよそ上記2曲げタイプと同程度のビッカース硬度のものが良いが、3曲げタイプにおいては、曲げ部81が2箇所の場合に比べて曲げ部個数が多いため、形状的に硬くなることから、多少ビッカース硬度が小さくても良い。また、3曲げタイプでは、曲げ部81が2箇所の場合に比べて曲げ加工性が厳しい。
【0044】
これら3曲げタイプの特徴、ならびに、Fe基合金においてはCr含有量が多くなるほど硬度が大きくなることを考慮して、本実施形態の3曲げタイプのガスケットは、Crを15重量%以上20重量%以下含有するFe基合金からなるものとしている。このような3曲げタイプのFe基合金としては、例えばSUS304等が挙げられる。
【0045】
また、2曲げ、3曲げタイプとも板厚は0.2mm以上0.4mm以下であることが好ましい。これは、当該板厚が0.4mmよりも厚くなると、厚すぎて初期の取付の際にガスケット80がつぶれにくくなることと、当該板厚が0.2mmよりも薄くなると、薄すぎて初期の取付の際に必要以上につぶれやすくなってしまうことのためである。
【0046】
かかるスパークプラグS1においては、両チップ50、60間に形成された放電ギャップ70において放電し、燃焼室102内の混合気に着火させる。着火後、放電ギャップ70に形成された火炎核は、成長していき、燃焼室102内にて燃焼が行われるようになっている。
【0047】
次に、本実施形態のスパークプラグS1において、上述したようなガスケット80を採用した根拠について述べる。初期的な密着性の確保および従来よりも大きな作用力を受けたときの塑性変形の抑制という二つの必要特性を適切に満足するために、ガスケット80の形状・材料特性(硬度)を種々変更し検討を行った。
【0048】
具体的には、上記図2(a)、(b)に示した2曲げおよび3曲げタイプのガスケット80に加えて、図3(a)に示す曲げ部81が1箇所のもの(1曲げタイプ)、図3(b)に示す曲げ部81が4箇所のもの(4曲げタイプ)を検討した。
【0049】
そして、これら図2、図3に示す各ガスケット80について、上記したビッカース硬度(Hv0.5)が100から400の範囲で変更したものを作製した。上述した板厚についての理由から、板厚としては0.3mmとした。
【0050】
まず、初期の密着性すなわちエンジン取付時の密着性については、図2(a)に示すように、ネジ締めにて発生する軸力の加わる方向すなわちプラグの軸方向でのガスケット80の厚さhを用いて調べた。
【0051】
一般的な仕様から、エンジンヘッド100に取り付ける前のガスケット80の厚さhは2.2mmである。その厚さから締め付けによりガスケット80はつぶれていき、厚さhは薄くなっていく。
【0052】
ここで、通常、スパークプラグはエンジンヘッド100には20〜30N・mの締め付けトルクで締め付けられ、それによって加わる軸力相当の荷重は約6kNである。JIS規格では、推奨締め付けトルクを20〜30N・mとしており、そのときのガスケットの厚さを1.6±0.4mmとしている。
【0053】
そこで、6kNを加えたときのつぶれ厚さhが1.6±0.4mmを目標値として、上記図2、図3に示す各ガスケット80について、ビッカース硬度(Hv0.5)とつぶれ厚さh(mm)との関係を実験的に調べた。その結果を図4に示す。
【0054】
図4において、6kNの荷重を印加したときのガスケット80のつぶれ厚さhが目標値すなわち1.2mm〜2.0mmに収まっていれば、初期のエンジンへの取付の際には締め付けにより変形を起こして密着性を確保できると言える。
【0055】
図4から、曲げ部80が多いガスケット80ほど、また、高硬度であるほどつぶれ厚さhは厚くなる傾向にあるが、目標のつぶれ厚さhを確保するには、曲げ部81が2箇所もしくは3箇所であってビッカース硬度が150〜400程度のものが良いことがわかる。
【0056】
次に、塑性変形の抑制すなわちエンジン使用中において作用力を受けても塑性変形を起こさないような特性については、図5に示すヘタリ量Δhを用いて調べた。
【0057】
図5に示すように、締め付け直後のガスケット80の厚さhを1.6mmにしておき、そこから9kNの荷重を加えてさらにガスケット80をつぶし、次いで荷重を開放したとき(ガスケットへの荷重を0としたとき)の厚さh’を測定した。そして、この厚さh’を上記締め付け直後の厚さh(1.6mm)から差し引いた値がヘタリ量Δhである。
【0058】
ここで、9kNの荷重は、初めにガスケット80をエンジンに締め付け、そこからエンジン使用中に熱応力や振動によってガスケット80が受ける力に相当するものである。従来では、エンジン使用中にガスケット80が受ける力は7〜8kN程度の荷重に相当するものであり、9kNの荷重は、例えば振動の大きさが10Gを超えるような将来の高振動エンジンに対応可能な荷重である。
【0059】
そして、上記した初期の密着性を確保できる、ビッカース硬度が150〜400の2曲げおよび3曲げタイプのガスケット80(図2参照)について、ヘタリ量Δhとビッカース硬度(Hv0.5)との関係を実験的に調べた。その結果を図6に示す。
【0060】
このヘタリ量Δhについては、実験的に0.05mm以下であるとネジ締めの軸力の低下がほとんどないことがわかっており、これをヘタリ量Δhの目標値とした。
【0061】
図6から、高硬度であるほどヘタリ量が小さくなっており、ガスケット80のビッカース硬度(Hv0.5)が200以上であれば確実にヘタリ量Δhの目標を実現できることがわかる。つまり、当該硬度が200以上であれば、従来よりも大きな作用力を受けてもガスケット80の塑性変形が抑制され、実用上問題ないと言える。
【0062】
以上、図4や図6に示した検討結果から、ガスケット80は、曲げ部81を2箇所もしくは3箇所有し、且つビッカース硬度(Hv0.5)が200以上400以下であれば、初期的な密着性の確保および従来よりも大きな作用力を受けたときの塑性変形の抑制という二つの必要特性を適切に満足できると言える。
【0063】
ただし、3曲げタイプのガスケット80については、上述したように、曲げ加工性という実用上の面からあまり硬度の大きいものは適切ではない。例えば、Crが20重量%を超えるようなFe基合金(例えばSUS310等)で3曲げタイプを加工しようとすると、曲げ部で亀裂が生じたり、うまく曲がらない等の不具合が生じる恐れがある。
【0064】
また、3曲げタイプは、上記図4や図6からわかるように、2曲げタイプに比べて多少硬度が小さくても初期の密着性および塑性変形の抑制という二つの特性を両立できる。そのため、3曲げタイプは、SUS304等のようなCrを15重量%以上20重量%以下含有するFe基合金からなるものとすることで、上記二つの特性を両立しつつ、曲げ加工性を確保したものとしている。
【0065】
以上が、本実施形態におけるガスケット80を採用した根拠である。そして、本実施形態によれば、スパークプラグS1のガスケット80として、初期の取付の際には締め付けにより変形を起こして密着性を確保しつつ、エンジン使用中においては、従来よりも大きな作用力を受けても塑性変形を起こさないような特性を実現できる。
【0066】
さらに、ガスケットが従来よりも大きな作用力を受けるようなエンジンに対して、スパークプラグを取り付けた場合において、この本実施形態の効果が適切に発揮されることを確認した。実際には、エンジンの作動中にエンジンヘッド100で発生する振動が10G以上である場合において確認した。その結果を図7に示す。
【0067】
振動試験機によって振動加速度(G)を変えて、従来のガスケットと本実施形態のガスケットとで上記したヘタリ量Δhを測定し、比較した。振動加速度を変えることは、上記した締め付け直後のガスケット80の厚さhを1.6mmにした状態からさらに加える荷重を変えていくことである。その結果を図7に示す。
【0068】
図7では、本実施形態のガスケット80としては、2曲げタイプであって板厚が0.3mm、ビッカース硬度が350のSUS304を用いたものとした。また、従来のガスケットとしては、2曲げタイプであって板厚が0.4mm、ビッカース硬度が150程度の低炭素鋼を用いたものとした。
【0069】
また、試験条件は、180℃に加熱し、300Hz、10時間振動させ、試験前後のガスケット80の厚さからヘタリ量Δhを求めた。図7からわかるように、振動加速度(G)が10G以下であれば、従来のガスケットでもヘタリ、つまり塑性変形はほとんど見られないが、10Gを超えるとヘタリが目標よりも大きくなり悪化する。
【0070】
それに対して、本実施形態のガスケット80では、本試験に用いた振動試験機の能力上限である50Gまでの大きさとしても、ほとんどヘタリを生じず、ヘタリ量は目標を十分に満足している。将来は10Gを超えるような高振動化されたエンジンも予想され、そのようなエンジンに対して本実施形態が有効であることを確認した。
【0071】
(他の実施形態)
なお、2曲げタイプおよび3曲げタイプのガスケット80の曲げ形状は、上記図2に示した形状に限定されるものではない。2曲げタイプの変形例を図8(a)、(b)に示し、3曲げタイプの変形例を図8(c)〜(e)に示しておく。これらの形状を採用することも可能である。
【0072】
以上、本発明について、実施形態を参照して述べてきたが、本発明はスパークプラグのガスケットに上記の改良を加えたことを要部とするものであり、他の部分については適宜設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るスパークプラグの全体構成を示す半断面図である。
【図2】上記実施形態におけるガスケットの径方向断面の拡大図である。
【図3】検討に用いたガスケットの径方向断面の拡大図である。
【図4】上記図2、図3に示す各ガスケットについてビッカース硬度とつぶれ厚さhとの関係を調べた結果を示す図である。
【図5】ガスケットのヘタリ量について表す断面図である。
【図6】上記図2に示す各ガスケットについてビッカース硬度とヘタリ量との関係を調べた結果を示す図である。
【図7】エンジン振動の大きさを変えていったときのガスケットのヘタリ量を調べた結果を示す図である。
【図8】ガスケットの曲げ形状の種々の変形例を示すガスケットの径方向断面図である。
【符号の説明】
10…主体金具、10a…ネジ部、20…絶縁体、30…中心電極、
40…接地電極、70…放電ギャップ、80…ガスケット、81…曲げ部。

Claims (5)

  1. エンジンにネジ結合するためのネジ部(10a)を外周面に有する筒状の主体金具(10)と、
    この主体金具の内部に絶縁体(20)を介して保持された中心電極(30)と、
    前記主体金具に取り付けられて前記中心電極と放電ギャップ(70)を介して対向して配置された接地電極(40)と、
    前記主体金具の外周に設けられ、前記主体金具が前記エンジンにネジ締めされたときに前記主体金具と前記エンジンとの間をシールするための環状のガスケット(80)とを備えるスパークプラグにおいて、
    前記ガスケットは、前記主体金具の前記エンジンへのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた曲げ部(81)を2箇所有し、ビッカース硬度が200以上400以下のものであることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記ガスケット(80)は、Crを15重量%以上40重量%以下含有するFe基合金からなることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. エンジンにネジ結合するためネジ部(10a)を外周面に有する筒状の主体金具(10)と、
    この主体金具の内部に絶縁体(20)を介して保持された中心電極(30)と、
    前記主体金具に取り付けられて前記中心電極と放電ギャップ(70)を介して対向して配置された接地電極(40)と、
    前記主体金具の外周に設けられ、前記主体金具が前記エンジンにネジ締めされたときに前記主体金具と前記エンジンとの間をシールするための環状のガスケット(80)とを備えるスパークプラグにおいて、
    前記ガスケットは、前記主体金具の前記エンジンへのネジ締めにて発生する軸力によって曲率が小さくなるように曲げられた曲げ部(81)を3箇所有し、Crを15重量%以上20重量%以下含有するFe基合金からなるものであることを特徴とするスパークプラグ。
  4. 前記ガスケット(80)の板厚が0.2mm以上0.4mm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載のスパークプラグ。
  5. 前記エンジンは、作動時に10G以上の大きさの振動が発生するものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載のスパークプラグ。
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