JP5129608B2 - 自動車用内装材及びその製造方法 - Google Patents
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<1> 熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びアクリルからなる群より選ばれる熱可塑性ゴムエラストマー又はポリ塩化ビニルである熱可塑性樹脂を表皮材として用いる自動車用内装材の製造方法において、テスト用表皮材の表面にマス目状の柄を印刷し、該テスト用表皮材を凸引き真空成形によるテスト成形によって得られた自動車用内装材成形部品表面の複数領域において、成形後のマス目状の柄の各マス目のX方向の長さ、及びY方向の長さを計測して得られた測定値に基づき、各マス目の展開率を算出し、得られた展開率の逆数である変化率に基づいて成形後の凹凸パターンのサイズ、及び、目的とする絞深さを前記変化率で除した値によって成形時の凹凸パターンのサイズ、及び、絞深さを設定することで、成形後の凹凸パターンのサイズ、及び絞深さが前記複数領域において均一になるように、各領域の凹凸パターン及び絞深さを設定する第1の工程と、
第1の工程で設定された凹凸パターン及び絞深さに基づいて絞ロール又は絞板を製造する第2の工程と、
第2の工程で製造された絞ロール又は絞板を用いて表皮材に絞を形成する第3の工程と、
第3の工程で得られた表皮材を凸引き真空成形する第4の工程と、
を含むことを特徴とする自動車用内装材の製造方法。
である。
<2> 前記第2の工程において、絞ロール又は絞板がシリコンゴムからなることを特徴とする<1>に記載の自動車用内装材の製造方法である。
<3> 前記第2の工程において、前記シリコンゴムからなる絞ロール又は絞板の表面に、前記縮小率から算出される絞の凹凸パターンの形態、絞深さに基づいてコンピュータグラフィック上に予め計算されたデータに基づいたスポット径のレーザービームを照射して前記シリコンゴムからなる絞ロール又は絞板の表面を彫刻することを特徴とする<2>に記載の自動車用内装材の製造方法である。
<4> 前記第2の工程において、絞ロール又は絞板が金属からなることを特徴とする<1>に記載の自動車内装材の製造方法である。
(第1の工程)
凸引き真空成形によるテスト成形で得られた成形体表面の複数領域のそれぞれの展開率に基づいて成形後の凹凸パターン又は凹凸パターン及び絞深さが複数領域において均一になるように各領域の凹凸パターン又は凹凸パターン及び絞深さを設定する工程
(第2の工程)
第1の工程で設定された凹凸パターン又は凹凸パターン及び絞深さに基づいて絞ロール又は絞板を製造する工程
(第3の工程)
第2の工程で製造された絞ロール又は絞板を用いて表皮材に絞を形成する工程
(第4の工程)
第3の工程で得られた表皮材を凸引き真空成形する工程
本願発明の第1の工程において、凸引き真空成形によるテスト成形は、表面にマス目状の柄を印刷してなるテスト用表皮材を実際の凸引き真空成形と同様な方法で凸引き真空成形する。このテスト成形は、凸引き真空成形により成形されるインストルメントパネル、ドアトリム等の自動車用内装材の表皮材と同様な層構成及び層厚みであって同じ層成分であることが望ましい。したがって、例えば、表皮材の成分がTPO(熱可塑性ポリオレフィン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル等の熱可塑性ゴムエラストマー、あるいはPVC(ポリ塩化ビニル)の樹脂を用いる場合、それらの成分を選定し、その同じ厚みのシートを用い、また、凸引き真空成形の際にシートの下層にフォームを取り付ける場合、フォームを取り付けた状態でテスト成形を行うことが望ましい。フォーム材としては、プロプロピレン系、ポリエチレン系、ポリウレタン系等の発泡体が用いられる。
図1において、TPO等のシートの表面にグラビヤプリントよりマス目状の柄が印刷される。このマス目状の柄の各々の枠内が1つの分割領域である。ここで複数の領域とは、それぞれの領域で展開率を測定するための領域であり、より多くの領域に、かつ均一な領域に分割することが精度面からは望ましいが、むやみに多くの領域に分割することは作業効率の面からは好ましくはない。したがって精度面及び作業効率の面から分割する領域の面積及び分割数を選定すべきである。
ここで展開率とは、テスト成形用シートにおける凸引き真空成形前の図1に示す1つのマス目(分割領域)の(X方向、Y方向、X×Y=面積)が凸引き真空成形後どの程度拡大したかを示す指標である。
第1の工程で設定された凹凸パターン又は凹凸パターン及び絞深さに基づいて絞ロール又は絞板を製造する工程である。
絞ロール又は絞板の材質は、ゴムあるいは金属のいずれであってよく、ゴムとしてはシリコンゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、金属としては、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、真鍮等が挙げられる。これらの中でレーザーによる絞の微細な形態の再現性が良い点で特にシリコンゴムが望ましい。彫刻時間が長くなるのでコストが難点だが、レーザーによる金属への彫刻の方が耐久性の点でシリコンゴムより利点がある。
第2の工程で製造された絞ロール又は絞板を用いて表皮材に絞を形成する工程である。
この工程において表皮材は、最終的な製品の表皮材の構成を有する。したがって、インストルメントパネル、ドアトリム等の自動車用内装材の表皮材の構成からなり、公知の方法で適用される。
第3の工程で得られた表皮材を凸引き真空成形する工程である。
第4の工程において、公知の方法が用いられる。インストルメントパネル、ドアトリム等の各部材において、凸引き真空成形する雄型の形状により部分的に局面部を有し、かつそれらの各領域によって展開率が異なるが、その展開率を見込んで凹凸パターン又は凹凸パターン及び絞深さが形成されているため、凸引き真空成形後のインストルメントパネル、ドアトリム等の各部材表面の凹凸パターン又は凹凸パターン及び絞深さは、部材表面にわたってほぼ均一なものとなり、見栄えの優れた製品となる。
TPOからなる(1700mm×700mm、厚さ1.5mm)のシートにグラビアプリントによってX方向に10mm間隔で目盛りをつけ、Y方向に10mm間隔で目盛りをつけ、図1に示すように、インストルメントパネルの各ゾーン(Aゾーン〜Gゾーン)と各部位(A−1〜G−1)を表示しておいた。
このテスト成形用シート体を真空成形機(パール工業(株)製)にセットし、公知の条件(温度:180℃、真空度:759〜760mmHg)で凸引き真空成形を行って図2に示すようなテスト用インストルメントパネル部品を成形した。
このテスト用インストルメントパネル部品の各目盛りで分割されたマス目(各分割領域)の展開率を精密ノギス(デジマチック・キャリパー 遠藤科学(株)製)によって測定した。この展開率は、それぞれのマス目(10mm×10mm)の部分が凸引き真空成形によって、どの程度拡大したか測定するものである。
表1中、Aゾーン、Bゾーン、Cゾーン、Dゾーン、Eゾーン、Fゾーン、Gゾーンはそれぞれ図1の各ゾーンを示している。ここに示す展開率(%)は、例えば、Aゾーンを例にとると、Aゾーンのなかの各マス目(分割領域)の展開率の範囲を示している。
このような算出方法に基づいて各ゾーンの縮小率(%)を表1に凹凸パターンの縮小率(%)として示した。
また、このロールからシリコンゴム層を剥がさずロールのまま次の工程に供した場合は、ロール直径を凸引き真空成形に供する表皮の一方の長さに合わせて作製した。
シリコンゴムロールの代わりに金属を用いてレーザービームにて彫刻したロールを用いた場合には、ロール直径を凸引き真空成形に供する表皮の一方の長さに合わせて作製した。
なお、表3および表4はシリコンゴムの場合、表5および表6はシリコンロールの場合、表7および表8は金属ロールの場合をそれぞれ示している。
図3は製造された凸引き真空成形によって製造された成形部品の各ゾーンに有る標準見本を示し、図4は図3における凹凸パターン(図3中の四角部分)の標準値を示し、図5は図3における絞パターン(図3中の四角部分)の標準値を示している。
表3〜表8は、凸引き真空成形によって製造された成形部品の各ゾーンに有る標準見本と同じ形の凹凸パターンを探して、大きさと絞深さを測定した。表3〜表8中、評価○印は、凸引き真空成形された成形部品の各ゾーンに有る凹凸パターン及び絞パターンが標準見本と差異が殆どなく、許容範囲内にあるものを指している。
A−1〜G−1 部位
Claims (4)
- 熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びアクリルからなる群より選ばれる熱可塑性ゴムエラストマー又はポリ塩化ビニルである熱可塑性樹脂を表皮材として用いる自動車用内装材の製造方法において、テスト用表皮材の表面にマス目状の柄を印刷し、該テスト用表皮材を凸引き真空成形によるテスト成形によって得られた自動車用内装材成形部品表面の複数領域において、成形後のマス目状の柄の各マス目のX方向の長さ、及びY方向の長さを計測して得られた測定値に基づき、各マス目の展開率を算出し、得られた展開率の逆数である変化率に基づいて成形後の凹凸パターンのサイズ、及び、目的とする絞深さを前記変化率で除した値によって成形時の凹凸パターンのサイズ、及び、絞深さを設定することで、成形後の凹凸パターンのサイズ、及び絞深さが前記複数領域において均一になるように、各領域の凹凸パターン及び絞深さを設定する第1の工程と、
第1の工程で設定された凹凸パターン及び絞深さに基づいて絞ロール又は絞板を製造する第2の工程と、
第2の工程で製造された絞ロール又は絞板を用いて表皮材に絞を形成する第3の工程と、
第3の工程で得られた表皮材を凸引き真空成形する第4の工程と、
を含むことを特徴とする自動車用内装材の製造方法。 - 前記第2の工程において、絞ロール又は絞板がシリコンゴムからなることを特徴とする請求項1に記載の自動車用内装材の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記シリコンゴムからなる絞ロール又は絞板の表面に、前記縮小率から算出される絞の凹凸パターンの形態、及び絞深さに基づいて、コンピュータグラフィック上に予め計算されたデータに基づいたスポット径のレーザービームを照射して前記シリコンゴムからなる絞ロール又は絞板の表面を彫刻することを特徴とする請求項2に記載の自動車用内装材の製造方法。
- 前記第2の工程において、絞ロール又は絞板が金属からなることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装材の製造方法。
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