以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
〈第1実施形態〉
[複合機10の概略]
図1は、本発明の第1実施形態である複合機10の外観斜視図である。なお、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
複合機10は、高さ(上下方向7の長さ)に対して横幅(左右方向9の長さ)及び奥行き(前後方向8の長さ)が大きい薄型の直方体に概ね形成されている。複合機10は、主に、下部に設けられたインクジェット記録方式のプリンタ部11と、上部に設けられたスキャナ部12とを一体的に備えた多機能装置である。複合機10は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有している。プリンタ機能としては、記録用紙の表面(第1面)及び裏面(第2面)の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリンタ機能以外の機能は任意であり、例えば、スキャン機能やコピー機能、ファクシミリ機能を有しないプリンタ機能のみを有するプリンタとして本発明の画像記録装置が実施されてもよい。
プリンタ部11は、正面に開口13が形成されたケーシング14(本発明の装置本体の一例)を有する。ケーシング14内にプリンタ部11の各構成要素が配置されいる。開口13からケーシング14の内部側へ連続するように収容室16が区画されている。この収容室16に給紙カセット78が装着されている。この給紙カセット78は、開口13からケーシング14内に前後方向8に挿抜可能に構成されている。給紙カセット78は、各種サイズの記録用紙(本発明の被記録媒体の一例)を収容可能なメイントレイ20(本発明の第1トレイの一例)と、その上方で前後方向8へスライド可能なセカンドトレイ21(本発明の第2トレイの一例)と、排紙トレイ23(本発明のカバーの一例)とを有する。なお、給紙カセット78の構成については後段で詳述する。
[プリンタ部11の構成]
次に、図2を参照しながら、プリンタ部11の構成について説明する。図2は、プリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。なお、図2では、給紙カセット78の前方側(紙面右側)の図示が省略されている。
プリンタ部11は、上述した給紙カセット78に加えて、給紙カセット78から記録用紙をピックアップして給紙(給送)する給送部15と、給送部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出して記録用紙に画像を形成するインクジェット記録方式の記録部24と、を備えている。これらがケーシング14内に設けられている。なお、記録部24は、インクジェット方式に限られず、電子写真方式、或いは感熱記録方式など、種々の記録方式のものが適用可能である。
[搬送路65]
プリンタ部11の内部には、メイントレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ23に至る搬送路65が形成されている。搬送路65は、メイントレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65Aを有している。
図2に示されるように、湾曲路65Aは、メイントレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。この湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって区画されている。外側ガイド部材18は、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されたガイド面18Aを有しており、内側ガイド部材19は、同様に、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されたガイド面19Aを有している。これらのガイド面18A,19Aによって区画された空間が湾曲路65Aである。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19は、いずれも、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、給紙カセット78の上方に配置されている。記録部24は、図2の紙面垂直方向(主走査方向)に延出されたガイドレール(不図示)に沿って往復動するように構成されている。記録部24の下方にプラテン42が設けられている。プラテン42は、記録部24によって画像記録が行われる際に、記録用紙を水平に支持するものである。記録部24は、主走査方向への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39から微小なインク滴としてプラテン42上を搬送される記録用紙に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
記録部24よりも搬送方向の上流側(以下、単に「上流側」と略称する。)には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が設けられている。これらは対をなしている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲路65Aを通って搬送されてきた記録用紙を狭持してプラテン42上へ送る。なお、搬送方向とは、記録用紙が搬送路65を搬送される向き(図2において矢印付きの二点鎖線で示される向き)を指す。
また、記録部24よりも搬送方向の下流側(以下、単に「下流側と略称する。」)には、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。これらは対をなしている。拍車ローラ63は、第2搬送ローラ62の上方に配置されており、自重若しくはバネなどによって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙を狭持してさらに下流側の排紙トレイ23へ排出する。
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、画像記録時に間欠駆動される。そのため、記録用紙は、所定の改行幅で送られながら画像記録がなされる。本実施形態では、後述する第3搬送ローラ45を正回転方向又は逆回転方向へ回転させる回転駆動力も上記搬送用モータから供給される。そのため、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62への駆動伝達機構の一例として、遊星ギヤなどから構成されており、上記搬送用モータが正回転方向又は逆回転方向のいずれに回転されても、記録用紙を一方向(図2の右側)へ搬送させるべく、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を一回転方向へ回転させる機構が考えられる。なお、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の駆動源と第3搬送ローラ45の駆動源とが別々に設けられている場合は、上記駆動伝達機構は、上記遊星ギヤを含む構成に限られない。
[給送部15]
給送部15は、給紙カセット78に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ向けて搬送するためのものであり、給送ローラ25と、支持アーム26と、駆動伝達機構27とを備えている。給送ローラ25は、記録部24と給紙カセット78との間に配置されている。給送ローラ25は、給紙カセット78のメイントレイ20に収容された記録用紙をピックアップして湾曲路65Aへ給紙するものであり、支持アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給送ローラ25は、駆動源の一例である給紙用モータ(不図示)の回転力が駆動伝達機構27を介して伝達されると回転駆動される。なお、駆動伝達機構27は、支持アーム26に軸支されており、概ね支持アーム26の延出方向に沿って直線状に並ぶ複数のギヤで構成されている。
記録部24と給紙カセット78との間に基軸28が設けられている。支持アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回転可能に構成されている。このため、支持アーム26は、メイントレイ20に対して接離可能に上下動することができる。また、支持アーム26は、自重により又はバネ等の弾性部材による弾性力により、図2の矢印29の方向へ回動付勢されている。このため、給送ローラ25は、例えばメイントレイ20に収容された記録用紙の上面に圧接可能である。また、セカンドトレイ21が後述する給紙位置に配置されているときは、給送ローラ25は、セカンドトレイ21に収容された記録用紙の上面に圧接可能である。支持アーム26は、給紙カセット78がプリンタ部11に対して挿入される際に、給紙カセット78の後端部(例えば、分離傾斜板22)に押圧されることによって、上方へ押し上げられるように構成されている。
[給紙カセット78]
次に、図2から図6を参照して、給紙カセット78について詳細に説明する。給紙カセット78は、給送部15の下方に設けられている。給紙カセット78のメイントレイ20は、プリンタ部11の底側に配置されている。メイントレイ20は、Letterサイズ(216mm×274mm)、リーガルサイズ(216mm×356mm)、A4サイズ(210mm×297mm)、及びこれらのサイズよりも小さいサイズの記録用紙を収容可能である。本実施形態の複合機10では、主として、A4サイズ、B5サイズなどの記録用紙がメイントレイ20に収容される。
図4に示されるように、メイントレイ20は、記録用紙が載置される底板54と、底板54の左右方向9の両端部から立設された側板55,56と、底板54の後方側の端部に立設された分離傾斜板22とを有している。このメイントレイ20は、上面が開放された概ね矩形箱状に構成されている。分離傾斜板22は、記録用紙を円滑に給紙可能なように後方側へ傾倒している。分離傾斜板22の内面22Aには図示しない複数の歯が突出している。そのため、仮に複数の記録用紙が重なった状態で給紙されても、分離傾斜板22の内面22Aに記録用紙の先端が当接したときに上記歯によって最上位の記録用紙だけが分離されて湾曲路65Aへ給紙される。また、分離傾斜板22には、その上端から下方へ切り欠かれた矩形状の切欠部22Bが形成されている。この切欠部22Bに、後述するセカンドトレイ21に設けられたL字状の爪127が入り込む。
側板55,56それぞれの内側には、底板54から起立された板状のリブ52,53が設けられている。リブ52,53は、メイントレイ20の後方側に設けられている。リブ52,53は、側板55,56に沿って平行に設けられている。これらのリブ52,53に後述する支持ベース110(本発明の支持部材の一例)の支持溝116,117が挿入可能となっている。
[排紙トレイ23・セカンドトレイ21・支持ベース110]
メイントレイ20の上部に支持ベース110が取り付けられている。この支持ベース110に排紙トレイ23及びセカンドトレイ21がスライド可能に支持されている。
図5に示されるように、支持ベース110は、排紙トレイ23が支持されるベース本体112と、支持ベース110をメイントレイ20の上部に位置決めするためのアーム113,114とを有する。ベース本体112は、メイントレイ20の左右方向9の寸法とほぼ同じ寸法を有する板状の部材である。
排紙トレイ23は、記録部24から排出された画像記録済みの記録用紙を保持する役割と、メイントレイ20の前方側の開口141(本発明の挿入口に相当)を覆い隠して開口141のカバーとして機能する役割とを有する。排紙トレイ23は、ベース本体112やメイントレイ20の左右方向9の寸法よりも若干大きく形成されている。したがって、排紙トレイ23の左右方向9の両端の側壁121,122は、ベース本体112やメイントレイ20の両側端部から外方向へとはみ出している。排紙トレイ23の上面に記録用紙が支持される。排紙トレイ23には、拡張トレイ149が設けられている。拡張トレイ149は、排紙トレイ23の裏面側で前後方向へスライド可能に支持されており、図5(B)に示されるように裏面側に収容された状態から前方へ引き出されることによって外部に露出される。これにより、排紙トレイ23の上面が拡大される。
排紙トレイ23は、ベース本体112の上面112Aに沿って前後方向8へスライド可能に支持されている。詳細には、前後方向8に延びる複数のレール119が上面112Aに形成され、排紙トレイ23にはレール119が挿通される複数の溝123が形成されており、上面112Aに排紙トレイ23が配置された状態でレール119に溝123が挿通されることで、排紙トレイ23がベース本体112によってスライド可能に支持される。本実施形態では、排紙トレイ23は、ベース本体112から前方へ延びてメイントレイ20の前方側の開口141を覆い隠す閉塞位置(本発明の第2位置に相当、図9(A)参照)と、ベース本体112の上面を後方へ移動して開口141を開放する開放位置(本発明の第1位置に相当、図9(B)参照)との間で移動可能となる。排紙トレイ23が上記閉塞位置に配置された状態で、開口141が覆われることにより、開口141へのゴミや埃の侵入が防止される。
排紙トレイ23の左右方向9の両側壁121,122には、切り欠き146,147が形成されている。この切り欠き146,147は、給紙カセット78がケーシング14の開口13内に装着されたときに、ケーシング14に設けられた係合片151,152が進入可能な寸法に形成されている。なお、本実施形態では、切り欠き146,147と係合片151,152とによって、本発明の保持機構が実現されている。
ベース本体112には、一対のアーム113,114が設けられている。アーム113,114は、ベース本体112の左右方向の両端部から後方へ突出している。図5(B)に示されるように、アーム113,114の裏面には、前後方向8に延びる支持溝116,117が形成されている。支持ベース110がメイントレイ20の上部に配置されると、支持溝116,117にメイントレイ20のリブ52,53が挿入される。これにより、メイントレイ20の上部に支持ベース110が取り付けられて、位置決めされる。
アーム113,114には、その左右方向9の内側面から左右方向9の内側へ突出した支持プレート125,126が設けられている。支持プレート125,126は、ベース本体112と平行なように、アーム113,114に一体に形成されている。支持プレート125,126は、ベース本体112よりも下方へオフセットされた位置に配置されている。つまり、支持プレート125,126とベース本体112との間には隙間が形成されている。図5(B)に示されるように、支持プレート125,126は、ベース本体112の裏側を通ってベース本体112の前方端まで延びている。この支持プレート125,126の上面125A,126Aに、セカンドトレイ21の左右方向9の両方の端部135,136が載置されるように支持される。これにより、セカンドトレイ21が、ベース本体112の裏側に収容された収容位置(図9(A)参照)と、ベース本体112から後方へ露出されてセカンドトレイ21の記録用紙を湾曲路65Aへ給紙可能な給紙位置(図9(B)参照)との間でセカンドトレイ21が移動可能となる。なお、上記給紙位置は、セカンドトレイ21の後方側の端部21Aが分離傾斜板22に近接して、端部21Aに設けられた爪127が分離傾斜板22の切欠部22Bに入り込む位置である。本実施形態では、支持プレート125,126の上面125A,126Aとセカンドトレイ21の端部135,136との接触部分に、セカンドトレイ21が上記給紙位置に到達したときにセカンドトレイ21の後方への移動を規制する規制部材(不図示)が設けられている。この規制部材によってセカンドトレイ21の後方への移動が上記給紙位置で規制されるので、セカンドトレイ21の端部21Aが分離傾斜板22に接触しない。また、上記収容位置は、セカンドトレイ21の後方側の端部21Aが分離傾斜板22から所定距離だけ前方側へ離間する位置である。
セカンドトレイ21は、メイントレイ20の左右方向9の寸法とほぼ同じ寸法を有する板状の部材である。セカンドトレイ21の左右方向9の中央部に凹部128が形成されている。この凹部128に記録用紙が収容される。本実施形態では、最大で葉書サイズ(100×148mm)の記録用紙が凹部128に収容可能であり、主として、葉書サイズ、写真L版サイズの記録用紙(葉書、光沢紙など)が収容される。なお、セカンドトレイ21の凹部128は、葉書サイズ以上の記録用紙、例えばメイントレイ20と同様にA4サイズの記録用紙等を収容可能なものであってもよい。
図5(B)に示されるように、セカンドトレイ21の裏面には、前後方向8に延びる一対のリブ132,133が立設されている。リブ132,133はセカンドトレイ21の前端から後端に渡って設けられている。リブ132,133から左右方向9の両端に至る端部135,136が上面125A,126A(図5(A)参照)に支持される。セカンドトレイ21には、左側のリブ132の側面から左側外向きへ突出する突出片130(本発明の規制部材の一例)と、右側のリブ133の側面から右側外向きへ突出する突出片131(本発明の規制部材の一例)とが設けられている。これらの突起片130,131は、セカンドトレイ21が給紙位置に配置された状態で、排紙トレイ21が上記開放位置よりも後方(閉塞位置とは反対側の向き)へ移動することを規制する役割を有する。
突出片130,131は、リブ132,133の前方端側に設けられている。これらの突出片130,131は、端部135,136と高さ方向に隔てられており、セカンドトレイ21が支持ベース110に取り付けられた状態で、支持プレート125の裏側に配置される。したがって、セカンドトレイ21は、その両端部135,136と突出片130,131とによって支持プレート125,126を挟むようにして支持ベース110に支持されている。このようにセカンドトレイ21が支持ベース110に支持されているため、支持ベース110に対してセカンドトレイ21が前後方向8へスライドするように移動可能となる。
図5(B)に示されるように、排紙トレイ23の裏面には、セカンドトレイ21の突出片130,131に当接されるリブ138,139が設けられている。リブ138,139は、排紙トレイ23の裏面に立設された前後方向8に延びる部材であり、排紙トレイ23と一体に形成されている。したがって、ベース本体112に対して排紙トレイ23が前後方向8へ移動すると同方向へ移動する。本実施形態では、排紙トレイ23が上記閉塞位置(図9(A)参照)にある状態では、セカンドトレイ21が上記収容位置と上記給紙位置との間を自在に移動可能であり、排紙トレイ23が上記開放位置(図9(B)参照)にある状態では、突出片130,131がリブ138,139によって前方へ押し付けられてセカンドトレイ21が上記給紙位置に位置決めされるように、リブ138,139及び突出片130,131の位置や寸法などが設計されている。なお、リブ138,139及び突出片130,131によって、本発明の保持解除機構及び係合機構が実現されている。
図6に示されるように、セカンドトレイ21の右端部136における後端側には、ロックレバー145が設けられている。ロックレバー145は、右端部136の上面において左右方向9へスライド可能に支持されている。詳細には、ロックレバー145は、右側のアーム114に形成された切り欠き143に進入可能なロック位置(図6(A)参照)と切り欠き143から内側へ退避されたアンロック位置(図6(B)参照)との間でスライド可能である。セカンドトレイ21が上記給紙位置(図9(B)参照)に配置された状態で、ロックレバー145が上記ロック位置にスライドされると、ロックレバー145と切り欠き143とが前後方向8に係合する。これにより、支持ベース110に対してセカンドトレイ21が前後方向8に固定される。
セカンドトレイ21が上記収容位置(図9(A)参照)に配置された状態では、メイントレイ20の後方側の上面が開けられて開口142が現れる。このとき、給送ローラ25がセカンドトレイ21で支持されなくなり、メイントレイ20の後方側の上記開口142からメイントレイ20側へ下降して、メイントレイ20に収容された記録用紙に当接する(図2参照)。この状態で、給送ローラ25が回転されると、メイントレイ20に収容された記録用紙が湾曲路65Aへ向けて給紙される。
一方、セカンドトレイ21が上記収容位置から上記給紙位置(図9(B)参照)へスライドされると、セカンドトレイ21の後方側の端部21Aが支持アーム26に接触して、支持アーム26を上方へ押し上げる。これにより、給送ローラ25が、セカンドトレイ21上に配置される(図2の破線参照)。給送ローラ25がセカンドトレイ21上に配置されると、給送ローラ25はセカンドトレイ21に収容された記録用紙の上面に当接する。この状態で、給送ローラ25が回転されると、セカンドトレイ21に収容された記録用紙が湾曲路65Aへ向けて給紙される。
[保持機構]
次に、図7及び図8を参照して、ケーシング14における給紙カセット78の保持機構について説明する。本実施形態の保持機構は、排紙トレイ23の側壁121,122に形成された上述の切り欠き146,147と、ケーシング14に設けられた係合片151,152とによって構成されている。
図7は、複合機10の底面図であり、(A)には複合機10の底面の全体が示されており、(B)には(A)における要部VIIBの部分拡大図が示されている。なお、説明の便宜上、図7(A)では、給紙カセット78のメイントレイ20、支持ベース110、及びセカンドトレイ21の図示が省略されている。つまり、図7(A)では、給紙カセット78が装着された状態において排紙トレイ23だけが示されており、給紙カセット78の他の構成が省略されている。図8は、給紙カセット78と係合片152及びストッパー162との位置関係を示す部分斜視図である。図8では、説明の便宜上、ケーシング14が省略されている。図7(A)に示されるように、給紙カセット78が収容室16に装着された状態で、排紙トレイ23の側壁121,122は、収容室16の両側面を区画するケーシング14の内壁14Aと対向している。係合片151は、収容室16の左側の内壁14Aに設けられており、係合片152は、収容室16の右側の内壁14Aに設けられている。
内壁14Aには、左右方向9に延びる図示しない支持孔が形成されており、係合片151,152は、この支持孔の軸方向に沿って移動可能なように、支持孔によって支持されている。図7(B)及び図8に示されるように、係合片152は、ヘッド部154と棒状のバネ受け155とを有する。ヘッド部154の先端は先細り形状に形成されている。詳細には、ヘッド部154は、前方側に形成された傾斜壁154Aと後方側に形成された傾斜壁154Bとにより先細り形状に形成されている。バネ受け155は、ヘッド部154から内壁14A側へ延びている。このバネ受け155にコイルバネ156が支持されている。コイルバネ156は、上記支持孔に配置されており、係合片152を内壁14Aから収容室16側へ付勢している。なお、係合片151は、係合片152と同じ構成であるため、ここではその説明を省略する。
係合片151,152は、給紙カセット78が収容室16に装着された状態で、且つ、排紙トレイ23が上記閉塞位置(図9(A)参照)に配置された状態で、ヘッド部154が排紙トレイ23の切り欠き146,147に進入可能な位置に設けられている。ヘッド部154が排紙トレイ23の切り欠き146,147に進入することによって、前後方向8において、ヘッド部154と切り欠き146,147とがコイルバネ156の付勢力に応じた係合力で係合し、排紙トレイ23が上記閉塞位置で保持される。
内壁14Aには、ストッパー161,162(本発明の押圧部材の一例)が設けられている。ストッパー161は、収容室16の左側の内壁14Aに設けられており、ストッパー162は、収容室16の右側の内壁14Aに設けられている。各ストッパー161,162は、係合片151,152よりも後方側に設けられている。ストッパー161,162は、内壁14Aから収容室16側へ突出している。ストッパー161,162の突出長さは、給紙カセット78が収容室16に装着された状態で、ストッパー161,162の前方端部161A,162Aが、排紙トレイ23の側壁121,122の後方端部121A,122Aに接触する程度に設定されている。また、ストッパー161,162は、給紙カセット78が収容室16に装着された状態で、且つ、排紙トレイ23が上記開放位置(図9(B)参照)に配置された状態で給紙カセット78が収容室16に装着される過程で、後方端部121A,122Aと前方端部161A,162Aとが当接して、排紙トレイ23が開放位置から閉塞位置へ移動させ得る位置に設けられている。
[給紙カセット78の着脱動作]
以下、図9及び図10を参照して、ケーシング14に対する給紙カセット78の着脱動作について説明する。なお、図9(A)には、メイントレイ20から記録用紙が給紙可能な状態が示されている。また、図10(A)には、セカンドトレイ21から記録用紙が給紙可能な状態が示されている
まず、メイントレイ20から記録用紙を給紙可能な状態にある給紙カセット78をケーシング14から取り出す動作について説明する。図9(A)に示されるように、排紙トレイ23が閉塞位置に配置され、且つ、セカンドトレイ21が収容位置に配置された状態で、給紙カセット78がケーシング14内に装着されている。この状態では、係合片151,152のヘッド部154が切り欠き146,147に進入している。そのため、排紙トレイ23は、上記閉塞位置で保持されている。つまり、給紙カセット78が装着姿勢のあるときの上記閉塞位置で、排紙トレイ23は係合片151,152と切り欠き146,147とによってケーシング14に保持されている。
図9(A)に示される状態から、ユーザによって給紙カセット78が前方へ引っ張られると、メイントレイ20が開口13から前方側へ移動し始める。このとき、排紙トレイ23は係合片151,152によってケーシング14内で保持されている。この場合、排紙トレイ23は、ケーシング14に対しては移動しておらずケーシング14に保持された状態を維持するが、メイントレイ20に対しては相対的に閉塞位置から開放位置へ移動する。これにより、給紙カセット78は、ケーシング14から引き出される動作に連動して、メイントレイ20の上面における前方側が開けられて開口141が現れる(図9(B)参照)。
一方、収容位置に配置されていたセカンドトレイ21は、排紙トレイ23がメイントレイ20に対して相対的に閉塞位置から開放位置へ移動したことに伴い、リブ138,139によって突出片130,131が後方へ押し付けられる。これにより、メイントレイ20と共に前方へ移動しようとするセカンドトレイ21が排紙トレイ23によって制止される。つまり、セカンドトレイ21は、ケーシング14に対しては移動せず、メイントレイ20に対しては相対的に収容位置から給紙位置へ移動する(図9(B)参照)。
セカンドトレイ21は、上述した規制部材(不図示)によって給紙位置で停止する。セカンドトレイ21が給紙位置に配置されると、セカンドトレイ21の端部21Aの爪127が分離傾斜板22の切欠部22Bに入り込む。この状態で給紙カセット78が前方へ引っ張られると、引っ張り時に加えられた力が支持プレート125,126と端部135,136との間に設けられた上記規制部材を介してセカンドトレイ21に伝達され、更に、突出片130,131からリブ138,139を介して排紙トレイ23に伝達される。この力が係合片151,152と切り欠き146,147とによる係合力よりも大きいと、切り欠き146,147の縁部がヘッド部154の傾斜壁154Bを押圧して、ヘッド部154をコイルバネ156の付勢力に抗して内壁14A側へ移動させる。これにより、ヘッド部154が切り欠き146,147から退避して、係合片151,152と切り欠き146,147とによる係合が解除される。つまり、ケーシング14における排紙トレイ23の保持が解除される。そして、給紙カセット78は、メイントレイ20、セカンドトレイ21、及び排紙トレイ23が一体となった状態でケーシング14から取り出される。
このように、ケーシング14から給紙カセット78が引き出されて前方へ移動する過程において、排紙トレイ23がケーシング14に保持された状態を維持する。このため、メイントレイ20だけが開口13から引き出される。また、引き出す動作に連動して、メイントレイ20の開口141が開放される。これにより、ユーザは、開口141から記録用紙をメイントレイ20へ容易に補充できる。つまり、ユーザは、記録用紙の補充動作において、給紙カセット78を引き出した後に排紙トレイを移動させて開口141を開放させるという面倒な作業を行う必要がない。
次に、給紙カセット78をケーシング14に装着する動作について説明する。給紙カセット78は、図9(B)に示されるように、開口141が開放された状態、つまり、排紙トレイ23が開放位置に配置された状態にある。この状態では、排紙トレイ23のリブ138,139とセカンドトレイ21の突出片130,131とが接触した状態にある。
図9(B)に示される状態から、ユーザによって給紙カセット78が開口13からケーシング14内に挿入されると、その挿入過程において、係合片151,152のヘッド154が切り欠き146,147と係合する。これにより、排紙トレイ23がケーシング14に保持される。この状態で更に給紙カセット78が挿入されると、リブ138,139と突出片130,131とが離れ、メイントレイ20とセカンドトレイ21とが一体となって後方へ移動する。このとき、排紙トレイ23はケーシング14に対して移動しないが、メイントレイ20に対して開放位置から閉塞位置へ向けて相対的に移動する。そして、給紙カセット78の装着が完了すると、排紙トレイ23が閉塞位置に配置されて、開口141が閉塞される。これにより、メイントレイ20内にゴミや埃が侵入することが防止される。また、給紙カセットの装着時に、開口141を閉めるために排紙トレイ23を移動させるという面倒な作業を行う必要がない。
なお、給紙カセット78がケーシング14内に装着されると、排紙トレイ23は閉塞位置に配置されるが、セカンドトレイ21は、給紙可能な給紙位置に移動された状態となっている。この場合、後述する変形例2の駆動機構によって駆動力が供給されることにより、セカンドトレイ21は、給紙位置から収容位置へ移動される。
ところで、給紙カセット78が勢いよくケーシング14に挿入された場合は、係合片151,152のヘッド154が切り欠き146,147に係合しても、その係合が外れる場合がある。この場合は、給紙カセット78の挿入過程において、排紙トレイ23の側壁121,122の端部121A,122Aがストッパー161,162の端部161A,162A(図8参照)に接触する。この状態から更に給紙カセット78が挿入されると、挿入時に加えられた力と逆向きの力が端部161A,162Aから端部121A,122Aに伝達される。これにより、端部121A,122Aが端部161A,162Aによって前方へ押し付けられて、メイントレイ20に対して排紙トレイ23が閉塞位置へ移動し始める。そして、排紙トレイ23が閉塞位置に到達すると、係合片151,152のヘッド154が切り欠き146,147と係合する。
なお、図10に示されるように、セカンドトレイ21がロックレバー145によって支持ベース110に固定されている場合は、給紙カセット78の取り出し動作、及び装着動作において、常にセカンドトレイ21は給紙位置に配置された状態を維持する。
[第1実施形態の変形例1]
以下、図11を参照して、上述の第1実施形態の変形例について説明する。図11は、変形例1の構成を示す斜視図であり、(A)はセカンドトレイ21及び排紙トレイ23の裏面側の構成を示す斜視図であり、(B)は(A)における要部XIBの部分拡大図である。なお、上述の実施形態の各構成と共通する構成については、上述の実施形態で使用した符号と同じ番号の符号を付すことにより、その説明を省略する。
変形例1が上述の第1実施形態と異なるところは、リブ138,139及び突出片130,131による係合機構に代えて、リブ138,139、及びスライド部材171,172による係合機構が採用されている点にある。
変形例1の係合機構は、図11に示されるように、スライド部材171,172と、リブ138,139と、突起部175,176とから構成されている。図11(B)に示されるように、左側の係合機構において、突起部175は、リブ138の延出方向に沿って後方側へ隔てられた位置に設けられている。このため、リブ138の後端と突起部175との間に溝177が形成されている。リブ138の左側の側面から溝177に渡って支持台178が設けられている。スライド部材171は、支持台178の上面を左右方向9へスライド可能に支持されている。スライド部材171は、リブ132にコイルバネ173を介して左右方向9の付勢力を受けた状態で支持されている。コイルバネ173に外力が加えられていない状態で、スライド部材171は溝177に進入可能な位置に配置されている。スライド部材171がリブ132側へ押し付けられると、コイルバネ173が圧縮されて、スライド部材171が溝177からリブ132側へ移動する。スライド部材171は、前方側に形成された傾斜壁171Aと後方側に形成された傾斜壁171Bとを有している。コイルバネ173に外力が加えられていない状態では、傾斜壁171Aにリブ138が接触可能であり、傾斜壁171Bに突起部175が接触可能である。なお、右側の係合機構も左側の係合機構と同様に構成されている。
この変形例1の構成では、給紙カセット78がケーシング14に対して着脱される際に、排紙トレイ23がメイントレイ20に対して移動すると、当該移動に伴ってセカンドトレイ21も同じ向きへ移動する。
一方、セカンドトレイ21が給紙位置において支持ベース110にロックレバー145によって固定されており、排紙トレイ23とセカンドトレイ21とが上記係合機構によって係合されている場合は、給紙カセット78がケーシング14に挿入されると、その挿入過程において、係合片151,152のヘッド154が切り欠き146,147と係合する。これにより、排紙トレイ23がケーシング14に保持される。この状態で更に給紙カセット78が上記係合機構による係合力以上の力で挿入されると、突起部176がスライド部材171の傾斜壁171Bを押圧する。これにより、スライド部材171がコイルバネ173の付勢力に抗してリブ132側へ移動し、スライド部材171が溝177から退避して、スライド部材171と溝177との係合が解除される。そして、セカンドトレイ21は給紙位置に配置された状態を維持しつつ、メイントレイ20と一体になってケーシング14の後方へ移動する。このとき、排紙トレイ23はケーシング14に対して移動しないが、メイントレイ20に対して開放位置から閉塞位置へ向けて相対的に移動する。そして、給紙カセット78の装着が完了すると、排紙トレイ23が閉塞位置に配置されて、開口141が閉塞される。
[第1実施形態の変形例2]
なお、上述の第1実施形態の構成や上記変形例1の構成に加えて、セカンドトレイ21をモータなどの駆動力によって前後方向8へ移動させる駆動機構が設けられた変形例2を採用してもよい。駆動機構としては、例えば、図12に示されるように、セカンドトレイ21の右側の端部136にラックギヤ181が設けられ、このラックギヤ181に噛合されたピニオンギヤ183が設けられた駆動機構が考えられる。図示しないモータからの回転駆動力がピニオンギヤ183に伝達されると、ピニオンギヤ183及びラックギヤ181によって回転駆動力が直線駆動力に変換されて、セカンドトレイ21に伝達される。給紙カセット78がケーシング14に装着された状態で、駆動機構によってセカンドトレイ21が駆動されることにより、セカンドトレイ21は給紙位置と収容位置との間で自動駆動される。このような駆動機構が搭載された複合機10においても、本発明が適用可能である。
〈第2実施形態〉
以下、図13を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。ここに、図13は、本発明の第2実施形態に係る複合機10のプリンタ部11の構造を示す縦断面図である。なお、第1実施形態の各構成と共通する構成については、第1実施形態で使用した符号と同じ番号の符号を付すことにより、その説明を省略する。
本実施形態は、給紙カセット78において、セカンドトレイ21に代えてスライドガイド34(本発明のガイド部材の一例)が設けられている点、経路切換部41(本発明の搬送手段の一例)及び反転搬送路67(本発明の搬送路の一例)が設けられている点で、上述の第1実施形態とは異なる。また、プリンタ部11が、記録用紙の表面(第1面)及び裏面(第2面)の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している点においても上述の第1実施形態とは異なる。
[排紙路65B]
本実施形態では、図13に示されるように、搬送路65は、メイントレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65Aと、記録部24から排紙トレイ23に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。排紙路65Bは、記録部24よりも搬送方向の下流側で対向配置された下側ガイド部材82及び上側ガイド部材83によって区画されている。
図14は、排紙路65B付近の構成を示す部分拡大断面図である。図14に示されるように、下側ガイド部材82は、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63のニップ位置から前方側(図14の紙面右側)へ水平に延出されている。排紙路65Bは、第2搬送ローラ62によって搬送された画像記録済の記録用紙の下面を支持しつつ、下流側へ案内する。下側ガイド部材82の下流側端部よりも下流側に分岐口36が形成されている。両面画像記録の際は、排紙路65Bを搬送された記録用紙は、分岐口36の下流側で経路切換部41によってスイッチバックされた後に、分岐口36から下方の反転搬送路67へ向けて搬送される。
[反転搬送路67]
図13に示されるように、反転搬送路67は、分岐口36で排紙路65Bから分岐され、給紙カセット78とその上方に配置された記録部24との間を通って、記録部24よりも搬送方向の上流側の合流部に接続されている。なお、合流部は、湾曲路65Aの始端(上流側の端部)と反転搬送路67の終端(下流側の端部)とが合流する部分である。この反転搬送路67は、上側傾斜ガイド部材32と、下側傾斜ガイド部材33と、給紙位置に配置されたスライドガイド34によって区画される。
このように搬送路65及び反転搬送路67が形成されているため、給送部15によってメイントレイ20から給紙された記録用紙は、湾曲路65Aを通って、記録部24へ搬送される。この搬送過程において、記録用紙は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって、給送部15の給送ローラ25が当接した面とは反対の面が記録部24と対向するように反転される。記録部24を通過した記録用紙は、排紙路65Bを通って排紙トレイ23へ搬送されるか、或いは、経路切換部41により搬送経路が切り換えられて、反転搬送路67を通って再び記録部24へ搬送される。
[スライドガイド34]
スライドガイド34は、メイントレイ20の上部で前後方向8にスライド可能に支持されている。このスライドガイド34は、セカンドトレイ21と同じように、支持ベース110に前後方向8へスライド可能に支持されている。具体的には、ベース本体112の裏側に収容される収容位置と、ベース本体112から後方へ露出されて反転搬送路67を搬送されてきた画像記録済の記録用紙を湾曲路65Aへ再び給紙可能な給紙位置(図13の破線で示される位置)との間でスライドガイド34は移動可能である。スライドガイド34は、記録用紙を収容する必要がないため、凹部128は設けられていない。このスライドガイド34は、コロ58が設けられている点において、セカンドトレイ21と同じ構成である。
スライドガイド34が上記収容位置から上記給紙位置までスライドされると、給送ローラ25は、スライドガイド34の上面34Aに当接するようにスライドガイド34上に配置される(図13の破線参照)。給送ローラ25がスライドガイド34上に配置された状態で、スライドガイド34の上面34Aによって案内される記録用紙を湾曲路65Aへ向けて給紙することが可能となる。スライドガイド34には、給送ローラ25と対向する位置にコロ58が回転自在に支持されている。コロ58は、上面34Aに露出されている。給送ローラ25がスライドガイド34上に配置された状態で、給送ローラ25のローラ面とコロ58とが接触する。スライドガイド34の上面34を通過する記録用紙は、給送ローラ25及びコロ58によって搬送される。このため、記録用紙はスライドガイド34から大きな摩擦抵抗を受けることなく円滑に搬送される。
[経路切換部41]
次に、図14を参照しながら、経路切換部41について説明する。経路切換部41は、排紙路65Bにおける分岐口36、すなわち排紙路65Bと反転搬送路67との接続部分付近に配置されている。経路切換部41は、図14に示されるように、第3搬送ローラ45と、拍車ローラ46と、補助ローラ47及び補助ローラ48を有するフラップ49とにより構成されている。
第3搬送ローラ45は、下側ガイド部材82よりも更に下流側に設けられている。第3搬送ローラ45と下側ガイド部材82との間に分岐口36が形成されている。拍車ローラ46は、第3搬送ローラ45の上方に配置されており、自重若しくはバネなどによって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。これらの各ローラは、プリンタ部11のフレーム等に軸支されている。第3搬送ローラ45は、搬送用モータ(不図示)から正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正回転方向又は逆回転方向に回転駆動される。例えば、片面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45は正回転方向へ回転される。これにより、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙トレイ23に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46が記録用紙の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正回転方向から逆回転方向へ切り換えられる。
上側ガイド部材83に、図14の紙面垂直方向へ延びる支軸87が設けられている。フラップ49は、支軸87に軸支されており、支軸87から概ね下流側へ延出されている。フラップ49の延出端部49Bは、分岐口36の上方、詳細には、分岐口36の中央部36Aを超えて第3搬送ローラ45に近接した位置に達している。フラップ49の基端部49A側には補助ローラ47が軸支されており、延出端部49Bには補助ローラ48が軸支されている。
フラップ49は、下側ガイド部材82よりも上方に位置する排出姿勢(図14(B)に示される姿勢)と、延出端部49Bが分岐口36よりも下方へ進入する反転姿勢(図14(A)に示される姿勢)との間で支軸87を中心に回動する。なお、本実施形態では、上側ガイド部材83には、フラップ49が没入可能な開口89が形成されており、フラップ49は、上記排出姿勢にあるときに開口89に没入して、排紙路65Bから退避する。また、上記反転姿勢にあるときは、フラップ49は開口89から露出されて、補助ローラ48が下側傾斜ガイド部材33に当接する。
このように構成されたプリンタ部11では、記録部24を通過した画像記録済の記録用紙がフラップ49に到達すると、フラップ49は、記録用紙から力を受けて上方へ回動する。これにより、下側ガイド部材82から第3搬送ローラ45へ続く搬送経路が通じる。その後、記録用紙の先端が第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に到達すると、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46によって排紙トレイ23側へ搬送される。記録用紙が排紙トレイ23側へ搬送されて、記録用紙の後端が分岐口36の中央部36Aに到達すると、搬送用モータが停止されて、記録用紙が一時停止する。このとき、記録用紙の後端が、フラップ49による下方への付勢力に耐えきれなくなり、フラップ49が下方へ回動する。これにより、記録用紙の後端は、下側傾斜ガイド部材33側へ押し付けられて、その姿勢を維持する。つまり、記録用紙の後端が分岐口36から反転搬送路67側に進入する。続いて、搬送用モータが逆回転されることにより、記録用紙は、分岐口36付近でスイッチバックされて、反転搬送路67に沿って搬送される。
第3搬送ローラ45の逆回転方向の駆動力は、図示しない駆動伝達機構を介してスライドガイド34に伝達される。このため、第3搬送ローラ45が逆回転すると、スライドガイド34が上記収容位置から上記給紙位置へ向けて移動し始める。この移動過程において、支持アーム26がスライドガイド34によって上方へ押し上げられて、給送ローラ25がスライドガイド34上に配置される。そして、スライドガイド34が給紙位置に配置されると、給送ローラ25がスライドガイド34に軸支されたコロ58に当接する。そして、給送ローラ25が再駆動されることによって、反転搬送路67の記録用紙が給送ローラ25及びコロ58によって挟持されつつ、直線路67Bから湾曲路65Aへ向けて再給紙される。そして、記録用紙が再び記録部24へ搬送されると、記録部24によって他方の面に画像が記録される。その後、両面に画像が記録された記録用紙は、排紙トレイ23へ排出される。
このように、セカンドトレイ21に代えてスライドガイド34や経路切換部41等が設けられ、両面画像記録が可能な複合機10においても、本発明が適用可能である。なお、スライドガイド34とメイントレイ20との間で支持ベース110に対してスライド可能なセカンドトレイ21が設けられた構成も、本発明は適用可能である。
[第2実施形態の変形例]
上述した第2実施形態の反転搬送路67は、図15(A)に示されるように、上記スライドガイド34に加えて、支持ベース110に形成された傾斜ガイド187によって形成されたものであってもよい。この傾斜ガイド187は、反転搬送路67において分岐路36から下方へ傾斜する部分を形成する。また、この傾斜ガイド187に対向する位置に駆動ローラ189が設けられていてもよい。この駆動ローラ189は、プリンタ部11のフレームなどに軸支された回転軸190に取り付けられている。この変形例では、給紙カセット78がケーシング14内に装着された状態で、駆動ローラ189と傾斜ガイド187が対向する。これにより、給送ローラ25の駆動力に加えて駆動ローラ189の駆動力によって記録用紙が確実に搬送される。
また、図15(B)に示されるように、反転搬送路67に露出するようにコロ58と同様にコロ192が傾斜ガイド187に設けられていてもよい。この場合、給紙カセット78がケーシング14内に装着された状態で、駆動ローラ189のローラ面とコロ192とが接触する。これにより、反転搬送路67を通過する記録用紙は、駆動ローラ189とコロ192によって搬送されるため、記録用紙が反転搬送路67において傾斜ガイド187から受ける摩擦抵抗が軽減する。