JP5124850B2 - 塔状構造物の解体装置 - Google Patents

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本発明は、煙突等の塔状構造物を解体する解体装置に関する。
従来、クレーンにより吊り下げた破砕機を塔状構造物の上方に位置させ、塔状構造物をその上端部から順に破砕して塔状構造物の解体を行う解体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、破砕機によって破砕されている塔状構造物の被破砕部からは粉塵が発生する。そして、この粉塵が風の煽りを受けると周辺環境に飛散する可能性がある。特に、被破砕部が乾いていると飛散する粉塵の量も多くなる。
そこで、塔状構造物の被破砕部と破砕機とをそれらの上方からドーム状の包囲部材により覆うことで粉塵の拡散を防止したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしこれによると、塔状構造物の被破砕部の上方が包囲部材により閉塞されるので、クレーンにより吊り下げた破砕機により解体を行なう解体装置には採用できない。このため、塔状構造物の破砕が進んで塔状構造物が低くなるのに合わせて破砕機や包囲部材全体を下降させる手段(塔状構造物の周壁に沿って走行する走行手段等)が必要となり、解体装置が大型化するだけでなく解体開始に先立って塔状構造物の上端に解体装置を位置させる準備作業にも著しく手間がかかる。
特公平5−29747号公報 特開2003−184321号公報
本発明は、以上の点に鑑み、解体装置をコンパクトに構成することができてしかも塔状構造物の破砕時に生じる粉塵の飛散を防止することができる塔状構造物の解体装置を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、クレーンにより塔状構造物の上方位置に吊り下げた破砕機により塔状構造物をその上端部から破砕して解体する解体装置において、
上下端が開放される筒状に形成され、前記破砕機によって破砕される塔状構造物の被破砕部を囲って遮風する遮風筒を設け、前記遮風筒の上端から所定距離を存した下方位置の内周壁に、周方向に所定間隔を存して前記被破砕部に向かって水を噴出する複数の水噴出口を備える散水手段を設け、前記散水手段よりも上方位置に、前記被破砕部を撮像する撮像手段を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、前記遮風筒を設けたことにより、被破砕部が遮風され、破砕機による破砕作業時に被破砕部から発生する粉塵が風に巻き上げられることが少なくなる。
ところで、前記遮風筒は、その上下端が開放されている。これにより、解体開始に先立って遮風筒の内部に塔状構造物を貫通させて塔状構造物の上端を遮風筒の内側に収めるようにすれよく、その作業が極めて簡単である。更に、遮風筒の上端が開放されていることにより、クレーンにより吊り下げた破砕機を遮風筒の上方から内部に位置させることも容易である。但しその反面、開放された遮風筒の上端から粉塵が上昇し、更に、上昇した粉塵が風の煽りで遮風筒の外側に飛散するおそれがある。そこで、本発明は、前記散水手段によりその水噴出口から被破砕部に向かって水を噴出させるので、被破砕部を湿らせることができ、被破砕部からの粉塵の発生を抑制して、遮風筒の上端からの粉塵の上昇及び遮風筒の外部への粉塵の飛散を低減することができる。更に、前記散水手段を遮風筒に設けたことにより、そこ構成が極めて簡単でコンパクトとなる。
また、本発明においては、前記遮風筒の上端に、前記被破砕部の上方位置に水平のエアカーテンを形成して該遮風筒の上端を閉塞するエアカーテン形成手段を設けることが好ましい。これによれば、前記散水手段によって湿らせきれなかった被破砕部から粉塵が発生したとしても、エアカーテン形成手段によるエアカーテンが遮風筒の上端を閉塞して、遮風筒の上端からの粉塵の上昇及び遮風筒の外部への粉塵の飛散を確実に防止することができる。また、散水手段によって湿らせた被破砕部が破砕されるときに、粉塵により汚染された水滴や湿り気をもった粉塵が塊となって飛散することも考えられるが、エアカーテンが遮風筒の上端を閉塞していることにより、遮風筒の外部への水滴や粉塵塊の飛散を確実に防止することができる。
このとき、前記撮像手段は、前記エアカーテン形成手段によって形成されるエアカーテンを介してその上方から前記被破砕部を撮像することことが好ましい。撮像手段を設けることにより、破砕状況を容易に確認して破砕機の遠隔操作を容易に行なうことができるが、前記散水手段によって湿らされた被破砕部から生じる水滴や粉塵塊が撮像手段に付着した場合、撮像手段から鮮明な映像を得ることができなくなるおそれがある。そこで、本発明においては、エアカーテンの上方に撮像手段を設けるので、撮像手段に向かって水滴や粉塵塊が飛散してもエアカーテンによりくい止められて撮像手段への付着が防止され、撮像手段からは鮮明な映像を得ることができる。
また、本発明においては、前記遮風筒の下端に連結され、該遮風筒の下端から前記塔状構造物を囲って下方に延びる筒状膜を設けることが好ましい。遮風筒の下端が開放されていると、散水手段によって湿らせた被破砕部が破砕されるときの水滴や粉塵塊が遮風筒の下端から外部への飛散することも考えられる。そこで、前記筒状膜を設けることにより、塔状構造物の略全長にわたって囲うことが可能となり、これによって外部への水滴や粉塵塊の飛散を確実に防止することができる。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の解体装置は、図1に示すように、塔状構造物である煙突Wを解体するものであり、第1クレーン1により煙突Wの上方に吊り下げられた破砕機2と、破砕機2により破砕される煙突Wの被破砕部aを囲って遮風する遮風筒3と、遮風筒3の下縁に連結された筒状膜5とを備えている。遮風筒3及び筒状膜5は第1クレーン1とは別の一対の第2クレーン6により吊り下げられている。
破砕機2は、図1において側面視して詳しい構成は図示されていないが、開閉する一対の破砕腕7を備えている。破砕腕7は少なくとも一方に被破砕部aに食い込む刃部を備え、破砕腕7を閉じることによって煙突Wの上端を破砕する。破砕腕7は旋回軸8を介して上方にある破砕機本体9に連結されている。破砕機本体9には、図示しないが、破砕腕7の旋回や破砕腕7の開閉を駆動する動力源やその動作を無線通信により遠隔操作するための通信機等が収納されている。
遮風筒3は、金属板等の硬質材料により上下端が開放された円筒状に形成されている。遮風筒3の上下方向の長さは、その上下方向範囲内に煙突Wの被破砕部aが収まるように設定されていて、被破砕部aを遮風して囲う。遮風筒3の下端に連結されている筒状膜5は、図1において一部を示しているが、遮風筒3の下端から下方に延びており、煙突Wを略全長にわたって囲っている。なお、遮風筒3は、円弧状に湾曲する複数の板部材がボルト留め等によって互いに連結されて円筒状に組み立てられており、その組み立てと各板部材への分解が容易に行なえるようになっている。
図1及び図2に示すように、遮風筒3の上端部には、周方向に配列された複数(本実施形態では8個)の送風機10(エアカーテン形成手段)が設けられている。送風機10は内部にシロッコファン11を備えてエア噴出し口12からカーテン状のエアを水平に噴出す。エア噴出し口12は遮風筒3の内側径方向に向けられており、複数の送風機10から噴出されるエアによって、遮風筒3の上端にエアカーテンが形成される。そして、このエアカーテンにより遮風筒3の上端が閉塞される。なお、各送風機10の駆動は図示しないバッテリからの給電により行なわれる。
また、遮風筒3の上端から下方に所定距離を存した位置には、遮風筒3の内周壁に沿って環状に延びる水供給管13(散水手段)が設けられている。水供給管13には、遮風筒3の内側方向に向けて開口する複数の水噴出口14が形成されており、各水噴出口14は周方向に所定間隔を存して配設されている。これによって、各水噴出口14から同時に噴出される水の噴流が被破砕部aに当たるようになっている。水供給管13の一部には遮風筒3を貫通して外方に延びる水導入ホース15が接続され、水導入ホース15には図示しない水供給源が接続されている。なお、水供給管13は、図示しないが、円弧状に湾曲する複数の管部材が導通ジョイントを介して互いに連結されることにより環状に組み立てられている。
更に、遮風筒3には、撮像手段である2台の第1テレビジョンカメラ16,17(以下第1TVカメラ16,17という)が、遮風筒3の径方向に互いに対向して配設されている。両第1TVカメラ16,17は、視野方向を上下に向けることができるように揺動可能に支持する架台18を介して遮風筒3の上端(送風機10よりも上方)に取り付けられている。そして例えば、図1に示すように、一方の第1TVカメラ16を煙突Wの被破砕部aに向け、他方の第1TVカメラ17を破砕機2に向けることで、被破砕部aの破砕状況を確認しつつ、遮風筒3と破砕機2との位置関係を確認することができる。なお、本実施形態においては、図2に示すように、2台の第1TVカメラ16,17を遮風筒3の径方向に対向させて設けているが、これに限らず、遮風筒3の周方向に3台以上の第1TVカメラを配設してもよい。これによれば、何れかの第1TVカメラの視界が破砕機2により遮られても、それを補う映像を他の第1TVカメラにより得ることができて有利である。なお、図示しないが、両第1TVカメラ16,17が撮像した映像信号は、無線送信又は送信ケーブルを介して地上側に送られ、モニタに映し出されるようになっている。
第1クレーン1には、その先端近傍に架台19を介して第2テレビジョンカメラ20(以下第2TVカメラ20という)が支持されている。第2TVカメラ20は破砕機2及び遮風筒3を全体的にその上方から撮像する姿勢に設けられている。そして、第2TVカメラ20も、第1TVカメラ16,17と同様にして映像信号が地上側に送られてモニタに映し出される。
また、遮風筒3は、図2に示すように、3本のロープ21からなる係留手段を用いて横方向の移動を規制することが好ましい。各ロープ21は上端が遮風筒3に連結され(図1参照)、下端が地面に固定された図示しないアンカに長さ調節自在に繋ぎとめられている。各ロープ21は、遮風筒3の上端に周方向に同一間隔を存して連結され、互いに離間しつつ下方に延びる。こうすることにより、遮風筒3は、横方向から強風を受けても大きく揺れることはなく、遮風筒3の姿勢を確実に安定させることができる。
煙突Wの解体に際しては、先ず、準備作業として、遮風筒3を煙突Wの上端外周に位置させる。この際、例えば、遮風筒3及び筒状膜5を煙突Wの地上側基部の周囲で該基部を囲うよう組み立てた後に、遮風筒3を第2クレーン6で煙突Wの上端外周まで吊り上げてもよく、或いは、遮風筒3の下端で筒状膜5を束ねた状態とし、遮風筒3を第2クレーン6で吊り上げて煙突Wの上端外周に位置させた後に、筒状膜5の束ねた状態を解除してもよい。何れにしても、遮風筒3や筒状膜5は構造簡単であり比較的軽量であるため、解体作業に先立って行われる準備作業に手間はかからない。
続いて、遮風筒3に設けられた送風機10により遮風筒3の上端部にエアーカーテンを形成し、更に、遮風筒3に設けられた水供給管13の水噴出口14により噴出された水を被破砕部aに当てる。この状態で破砕機2により煙突Wの上端の被破砕部aを破砕する。そして、破砕が完了する度に、旋回軸8を介して破砕腕7を煙突Wの周方向に旋回させて破砕を行い、煙突Wを上端から下方に向けて順に螺旋状に解体していく。また、破砕機2による煙突Wの破砕が進むにつれて被破砕部aの位置が下方に移動するので、第1クレーン1により破砕機2を下降させ、それと同時に、第2クレーン6により遮風筒3を下降させて被破砕部aが遮風筒3の上下方向範囲内に収まる状態を維持させる。この際、3本のロープ21からなる係留手段を設けた場合には、第2クレーン6により遮風筒3を下降させたときに3本のロープ21に弛みが生じるので、この弛みを取り除くために、3本のロープ21の長さの調節作業が適宜行われる。
解体作業時における破砕機2は、地上側の作業者により遠隔操作される。その際には、遮風筒3に設けられている第1TVカメラ16,17と、第1クレーン1に設けられている第2TVカメラ20とにより撮像された映像により煙突Wの破砕状態を観察しつつ破砕作業が進められる。
このとき、遮風筒3の開放された上端には各送風機10によるエアカーテンが形成されているので、被破砕部aから発生した粉塵がエアカーテンより上方に上昇することがなく粉塵が周辺に飛散することが防止される。そして、遮風筒3が被破砕部aを囲って遮風しているので、送風機10によるエアカーテンが安定して確実に形成される。しかも、エアカーテンの下方に位置する被破砕部aには水噴出口14から噴出された水が当たるので、被破砕部aを十分に湿らせることができ、被破砕部aからの粉塵の発生を抑えることができる。更に、湿った被破砕部aが破砕されるときに粉塵が混じった水滴や湿った粉塵の塊が飛散しても、エアカーテンによって遮風筒3の外側への飛散をくい止めることができる。
これにより、エアカーテンの上方に位置して被破砕部aを臨んでいる第1TVカメラ16,17及び第2TVカメラ20からは、粉塵による阻害のない鮮明な映像が得られ、煙突Wの破砕状態を確実に観察することができて、作業者による破砕状況の確認や破砕機2の遠隔操作を円滑に行なうことができる。更に、遮風筒3の下方に向かって粉塵が移動しても、遮風筒3の下方でが筒状膜5が煙突Wを囲っているので、筒状膜5の外側に粉塵が飛散することはなく、筒状膜5が囲った範囲内で粉塵や水滴を確実に地上に落下させることができる。
また、第2TVカメラ20は、第1クレーン1に取付けられていて遮風筒3及び破砕機2をそれらの上方から全体的に撮像するので、この映像から、遮風筒3と破砕機2の相互の位置や、遮風筒3に設けられている第1TVカメラ16,17の位置状態を容易に確認することができる。そして、第2TVカメラ20の映像を確認すれば、第1TVカメラ16,17の夫々から得られる2つの映像が、何れの第1TVカメラ16,17により撮像されたものであるかを容易に特定することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本実施形態においては、遮風筒3を第1クレーン1とは別の第2クレーン6により吊り下げたものを示したが、遮風筒3をワイヤー等により破砕機本体9に吊設することもできる。また、図示しないが、破砕機本体9から外側方向且つ下方に延びるアーム状の支持部材を設け、その先端に、エアカーテンの下側から被破砕部aを臨む第3TVカメラを設けてもよい。
本発明の実施形態の解体装置の要部を示す説明図。 本発明の実施形態における遮風筒の説明的平面図。
符号の説明
W…煙突(塔状構造物)、a…被破砕部、1…第1クレーン(クレーン)2…破砕機、3…遮風筒、5…筒状膜、10…送風機(エアカーテン形成手段)、13…水供給管(散水手段)、14…水噴出口、16,17…第1テレビジョンカメラ(撮像手段)、20…第2テレビジョンカメラ(撮像手段)。

Claims (4)

  1. クレーンにより塔状構造物の上方位置に吊り下げた破砕機により塔状構造物をその上端部から破砕して解体する解体装置において、
    上下端が開放される筒状に形成され、前記破砕機によって破砕される塔状構造物の被破砕部を囲って遮風する遮風筒を設け、
    前記遮風筒の上端から所定距離を存した下方位置の内周壁に、周方向に所定間隔を存して前記被破砕部に向かって水を噴出する複数の水噴出口を備える散水手段を設け、
    前記散水手段よりも上方位置に、前記被破砕部を撮像する撮像手段を設けたことを特徴とする塔状構造物の解体装置。
  2. 前記遮風筒の上端に、前記被破砕部の上方位置に水平のエアカーテンを形成して該遮風筒の上端を閉塞するエアカーテン形成手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の塔状構造物の解体装置。
  3. 前記撮像手段は、前記エアカーテン形成手段によって形成されるエアカーテンを介してその上方から前記被破砕部を撮像することを特徴とする請求項2記載の塔状構造物の解体装置。
  4. 前記遮風筒の下端に連結され、該遮風筒の下端から前記塔状構造物を囲って下方に延びる筒状膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の塔状構造物の解体装置。
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