JP4397261B2 - 浮揚ガスを用いた無人飛行体 - Google Patents
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そこで、有人ヘリコプターから送電線をハイビジョン撮影などの画像撮影を行い、撮影した画像を巡視員が見て送電線の雷撃などに伴う素線切れなどの損傷状況やアーク痕の有無などの点検をしていた。
また、画像撮影による送電線の点検作業も、最終的な異常箇所の発見は巡視員が画像を見ながら行うため、迅速かつ正確な点検が行えないという問題があった。
架空線(7)を捕捉する捕捉手段(10)を設けたので、架空線(7)を捕捉し、架空線(7)に沿って無人飛行体(1)を安定に移動させることを容易にし、これにより、架空線の撮影も安定して精度良い点検を行うことができる。
カメラ(8)をその撮影方向を変更可能に支持したので、被写体に対してあらゆる角度での撮影が可能となり、画像による点検を精度良く行うことができる。
カメラ(8)を、一端(62a)が駆動モータ(61)に接続されたクランク部材(62)の他端(62b)に取着したので、簡単な構造にて、被写体をあらゆる角度から撮影することができる。
請求項3に記載の発明によれば、架空線(7)から捕捉手段(10)が脱落することを防止する脱落防止手段(51)を設けたので、多少の風などがあっても、捕捉手段(10)が架空線(7)から外れることがなく、安定した無人飛行体(1)の飛行の貢献することができる。
本発明の実施例1は、送電線を撮影する無人気球に適用したものである。
図1は実施例1を説明するための無人気球全体の概略側面図、図2は無人気球全体を後方から見た概略背面図、図3は無人気球の平面図、図4は捕捉手段が送電線を捕捉している状態を拡大して示す平面図である。
エンベロープ2の下端部には緊急用バルブ12が設けられており、緊急時に緊急用バルブ12を開放することで内部の浮揚ガスを排出し、無人気球1を下降させることができる。
主推進機構22は、上記昇降機構5と同様にプロペラ24とプロペラ24を回転させるための駆動モータ25とから成り、プロペラ24はゴンドラ3の後部側面に設けられ、駆動モータ25はゴンドラ3内に設けられている。駆動モータ25は可逆回転可能なものを用い、たとえば正回転時は無人気球1が前進し、逆回転時は無人気球1が後退するようになっている。
副推進機構23は、エンベロープ2の周囲に設けられた複数の噴射ノズル26、26、…と該噴射ノズル26から噴射される圧縮空気が充填された圧縮ボンベ27と該圧縮ボンベ27と上記各噴射ノズル26、26、…との間に配置された噴射用電磁弁28とを有する。
圧縮ボンベ27は、たとえば、圧縮空気が充填されており噴射用電磁弁28を介して上記噴射ノズル26、26、…に接続ホース29、29、…によって接続されている。
噴射用電磁弁28は圧縮ボンベ27からの圧縮空気をいずれの噴射ノズル26から噴射させるかを制御するものである。
これにより、噴射用電磁弁28を適宜選択して所望の噴射ノズル26から圧縮空気を噴射することによりその噴射方向と反対方向へ当該無人気球1を推進させることができる。また、この推進は噴射量、噴射時間を適宜制御することにより推進量を微細に制御することが可能である。
また、小型カメラ8は上記ズーム機能を用いることにより、広角時には無人気球1の飛行を確認しながら操縦を可能にし、また、望遠時には送電線7の点検に用いる。このためには、小型カメラ8の撮影向きを遠隔操作によりコントロールできるようにしておくと良い。
なお小型カメラ8はCCDカメラに限らず、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサーなどの個体撮像素子を用いたカメラであっても良い。COMSセンサーを用いたカメラにあってはCCDカメラに比較して画質はやや劣るが、小電力である点で優れている。また、小型カメラ8は静止画、動画のいずれを撮影するものであっても良い。
そして、小型カメラ8で撮影した画像は画像信号として遠隔操作装置11の受信部32aに送信され、そのモニタ32bに表示される。これにより、操縦者(巡視員)はモニタ32bを目視して点検を行うことができる。
捕捉アーム31は、その上端がゴンドラ3の側面に取着され、下端部がゴンドラ3の左右方向におけるほぼ中心に位置するように中間部が内側に変位されている。
コロ33は平面で見てゴンドラ3のほぼ中心に位置され、左右方向に伸びる軸に支持されている。また、コロ33はその外周面が周方向に見て半円形状の凹溝33aに形成されており、後述するように送電線7を捕捉するようになっている。
次に、当該無人気球1で送電線7の点検を行う場合について説明する。
先ず、地上に固定した無人気球1を離し上昇させる。これには、無人気球1を固定した状態から切り離すだけで、浮揚ガスの浮力により無人気球1は上昇するが、上記昇降機構5のプロペラ20を正回転させて無人気球1を上昇させる。これにより、無人気球1は離陸する。
これにより、無人気球1は送電線7に沿って安定した飛行を続けることができ、そのため、小型カメラ8による送電線7の撮影も安定させることができる。したがって、モニタ32bに映し出される送電線7の映像も安定しており、送電線7の点検をスムーズに行うことができる。
また、無人気球1を着陸させるには、障害物がないところまで推進機構6を駆動させて移動し、次に昇降機構5のプロペラ20を逆回転させることにより、無人気球1を下降させる。また、無人気球1を早急に着陸させたい場合にはエンベロープ2に設けられた緊急用バルブ12からわずかに浮揚ガスを排出することにより行うこともできる。
図6及び図7は、捕捉手段及び脱落防止手段を後方から見て示す拡大背面図であり、図6は脱落防止手段を作動させる前を、図7は脱落防止手段を作動させた後の状態をそれぞれ示すものである。
捕捉アーム10の先端部であって、上記フック部50が形成された側と反対側の側面であって、フック部50よりやや上方によって位置に脱落防止手段51が設けられており、該脱落防止手段51は、電磁コイル52と該電磁コイル52内に挿脱自在に支持されたプランジャー53とから成る。
まず、脱落防止手段51のプランジャー53が電磁コイル52内に引っ込んだ状態(断電状態)で送電線7をフック部50で捕捉する(図6参照)。なお、送電線7をフック部50で捕捉するまでの動作は上記実施例1と同様である。
フック部50で送電線7を捕捉後、脱落防止手段51の電磁コイル52に通電する。すると、プランジャー53が突出してフック部50の上部開口を覆い、これにより、フック部50に捕捉された送電線7はフック部50とプランジャー53との間に挟持され、フック部50は送電線7から脱落しないようになっている(図7参照)。なお、電磁コイル52への通電指令は上記遠隔操作装置11により行う。
なお、上記フック部50及びプランジャー53の送電線7と接触する部分にフッ素加工を施すなどして滑り性を良好にしておくと無人気球1の飛行を更に良好とする。
図8は回動手段を拡大して示す側面図であり、図9は回動手段を後方から見て示す拡大背面図である。なお、捕捉手段10は上記実施例2のものと同様の構成をしているのでその説明は省略する。
駆動モータ61は、その駆動軸(クランク部材62の一端62a)がほぼ270度の角度だけ回動するようになっていて、クランク部材62が送電線7に干渉しないようなっている。
カメラ8はその撮影方向がほぼ回動中心を向く向きでクランク部材62の他端62bに取着されており、これにより、カメラ8の向きは送電線7を向いており、この向きはクランク部材62が回動した場合にも余り変化がなく、よって、クランク部材62の回動により、送電線7を直径方向から中心角でほぼ270度範囲で撮影することができる。
さらに、送電線を点検するための無人飛行体としては、上述のように送電線との接触による短絡事故を防止するために、少なくとも、エンベロープ2、ゴンドラ3、ワイヤー4昇降機構5、推進機構6、小型カメラ8、捕捉手段10、操舵機構13、脱落防止手段51、回動手段60など外側に位置する部材は絶縁体で構成することが好ましい。
2 エンベロープ
3 ゴンドラ
4 ワイヤー
5 昇降機構
6 推進機構
7 送電線
8 小型カメラ
9 送信装置
10 捕捉手段
11 遠隔操作装置
12 緊急用バルブ
13 操舵機構
20 プロペラ
21 駆動モータ
22 主推進機構
23 副推進機構
24 プロペラ
25 駆動モータ
26 噴射ノズル
27 圧縮ボンベ
28 噴射用電磁弁
29 接続ホース
30 取付アーム
31 捕捉アーム
32 地上局
32a 受信部
32b モニタ
33 コロ
33a 凹溝
40 鉄塔
50 フック部
51 脱落防止手段
52 電磁コイル
53 プランジャー
60 回転手段
61 駆動モータ
62 クランク部材
62a 一端
62b 他端
Claims (5)
- 浮揚ガスが封入されたエンベロープ(2)と、該エンベロープ(2)に吊り下げられたゴンドラ(3)とから成る浮揚ガスを用いた無人飛行体(1)であって、
前記ゴンドラ(3)の下部に設けられた、遠隔又は自律により制御され、該ゴンドラ(3)及び前記エンベロープ(2)を昇降させる昇降機構(5)と、
前記ゴンドラ(3)に設けられた、遠隔又は自律により制御され、主に前後方向への推進力を発生する主推進機構(22)と、
前記エンベロープ(2)の周囲に複数設けられた、圧縮ガスを調整自在に噴射する噴射ノズル(26)により水平方向への推進力を発生させる、副推進機構(23)と、
前記ゴンドラ(3)から下方に伸びる捕捉アーム(31)の先端で、架空線(7)にその下方から捕捉する捕捉手段(10)と、
前記捕捉アーム(31)の先端に取り付けられた、駆動モータ(61)の一端(62a)にクランク部材(62)が接続された回動手段(60)と、
前記回動手段(60)のクランク部材(62)の他端(62b)に取着されたカメラ(8)と、を備え、
前記主推進機構(22)及び副推進機構(23)により推進しながら、撮影方向を変更可能に支持されたカメラ(8)で対象物である架空線(7)を、その周囲のほぼあらゆる角度から撮影し得るように構成した、ことを特徴とする浮揚ガスを用いた無人飛行体。 - 前記捕捉手段(10)は、ゴンドラ(3)から下方に伸びる捕捉アーム(31)の先端に回転自在に支持され、かつ前記架空線(7)にその下方から掛け止められるコロ(33)である、ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚ガスを用いた無人飛行体。
- 前記捕捉手段(10)が架空線(7)を捕捉した状態で、該捕捉手段(10)が架空線(7)からの脱落を防止するために、捕捉アーム(31)の先端に形成したフック部(50)の上部開口を覆うようにプランジャー(53)が自在に出没する脱落防止手段(51)をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚ガスを用いた無人飛行体。
- 前記クランク部材(62)の駆動モータ(61)に接続された一端(62a)は、前記捕捉手段(10)の近傍に設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚ガスを用いた無人飛行体。
- 前記エンベロープ(2)が風などの外力により飛行制御が不能になったときに、前記無人気球(1)を下降させるべく浮揚ガスを排出する緊急用バルブ(12)が該エンベロープ(2)に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚ガスを用いた無人飛行体。
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