JP5124436B2 - 有機電子デバイス、有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイスの製造装置 - Google Patents

有機電子デバイス、有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイスの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機電子デバイス、有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイスの製造装置に関する。
近年、有機化合物を用いて発光させる有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electoro Luminescence)素子を利用した有機ELディスプレイが注目されている。有機EL素子は、自発光し、反応速度が速く、消費電力が低い等の特徴を有しているため、バックライトを必要とせず、例えば、携帯電話器の表示部等への応用が期待されている。
有機EL素子は、ガラス基板上に形成され、有機層を陽極層(アノード)および陰極層(カソード)にてサンドイッチした構造をしていて、このうち有機層は、水分や酸素に弱く、水分や酸素が混入すると、特性が変化して非発光点(ダークスポット)が発生し、有機EL素子の寿命を縮める一因となる。このため、有機電子デバイスの製造において、外部の水分や酸素をデバイス内に透過させないように有機素子を封止することは非常に重要である。
そこで、特許文献1には、基板表面に組成傾斜を有するコーティング層を具備する発光デバイスが記載されている。これによれば、外部の環境要因に基づく劣化に対して頑強である可撓性の有機ELデバイスを製造することが可能になる。
また、特許文献2には、外部からの水分や酸素の侵入を防止するためのガスバリア層を有する有機ELカラー発光装置が記載されている。これによれば、有機発光層内部への水分や酸素の侵入が防止された有機ELカラー発光装置が提供されることとなる。
従来より、上記特許文献1および2に代表されるように、有機ELデバイスの有機層に対する封止技術として、CVD法やスパッタ法によるシリコンナイトライド(SiN)膜や炭素を含むSiCN膜の適用が進められている。
特表2005−537963号公報 WO2006/009039A1
しかし、SiN膜は、非常に緻密であり、耐透湿性や耐酸素性(以下、バリアー性とする)の面においては優れているものの、可視光領域での吸収が大きく、透明性に難があるため、厚膜化が困難であるという問題点があった。さらに、SiN膜は、非常に緻密であるが故に、耐透湿性はSiN膜に劣るものの封止膜に用いられているSiO膜より応力が大きく、有機素子に密着させると有機素子に大きなストレスを与え、歪みや剥離の原因となる可能性があった。一方で、SiCN膜は、SiN膜ほど可視光の吸収が大きくはないが、バリアー性の面でSiN膜に劣るという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、バリアー性および透明性に優れた有機素子の封止膜を備える有機電子デバイスを提供するとともに、該有機電子デバイスの製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明者は、種々の物質を薄膜化させ、そのバリアー性および透明性に基づきSiNとXOをX−O結合を含む状態で混合させることで、十分なバリアー性と透明性を有する有機素子を覆う封止膜が得られることを知見した。(但し、Xは周期律表の第3周期に含まれる金属)
本発明によれば、被処理体上に形成された有機素子と、前記有機素子を覆う封止膜と、を備える有機電子デバイスであって、前記封止膜は、X換算で10atm%以下のX−O結合を含むSiXON膜である、有機電子デバイスが提供される。但し、前記Xは周期律表の第3周期に含まれる金属である。ここで、前記XはAlまたはMgであることが好ましい。かかる本発明では、SiN膜の有するバリアー性(ガラス性)と、XO(例えばAlO)の有する透明性を兼ね備えた封止膜を有する有機電子デバイスが得られ、この有機電子デバイスは有機層への水分や酸素の混入が防止され、有機素子の特性変化による非発光点の発生および寿命の短縮が防止される。
また、前記有機素子および前記被処理体の露出部分と前記封止膜との間にカップリング剤による密着層が形成されていてもよい。これによれば、有機素子および被処理体の露出部分上に形成された密着層が接着剤となって、有機素子と封止膜との密着性を強化することができる。これにより、封止膜が有機素子から剥がれることを回避することができる。
また、前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的な傾斜組成であり、前記SiXON膜表面のほうが、前記SiXON膜内部よりSiが多くXが少ない組成となっていてもよい。かかる構成の本発明によれば、封止膜と密着層の接着におけるストレスの制御や、封止膜の熱伝導や表面荒さ等の特性の制御が可能となる。
また、前記有機素子は、複数の有機層が連続成膜された有機EL素子であってもよい。
別の観点からの本発明によれば、有機電子デバイスの製造方法であって、有機素子を被処理体上に形成し、前記有機素子を保護するための封止膜として、X換算で10atm%以下のX−O結合を含むSiXON膜を形成する、有機素子デバイスの製造方法が提供される。但し、前記Xは周期律表の第3周期に含まれる金属である。ここで、前記XはAlまたはMgであることが好ましい。また、前記有機素子および前記被処理体の露出部分と前記封止膜との間にカップリング剤による密着層を形成することとしてもよい。
また、前記SiXON膜は、X−O結合を有するガスとSiを有するガスとNを有するガスとをマイクロ波のパワーにより励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを用いて成膜されてもよく、また、前記SiXON膜は、X−O結合を有するガスとSi−N結合を有するガスとをマイクロ波のパワーにより励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを用いて成膜されてもよい。
前記SiXON膜は、マイクロ波プラズマ処理装置の処理室内の圧力が50mTorr以下、同処理室内に供給されるマイクロ波のパワーが4w/cm以上、同処理室内に載置される被処理体近傍の温度が100℃以下の条件下で形成されてもよい。有機素子(例えば、有機EL素子)は温度に弱く、プロセス中の最高温度が100℃以下でないと、有機EL素子にダメージを与えるからである。
また、前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的な傾斜組成であり、前記SiXON膜表面のほうが、前記SiXON膜内部よりSiが多くXが少ない組成となっていてもよい。
さらに、別の観点からの本発明によれば、有機電子デバイスの製造装置であって、有機素子を被処理体上に形成し、前記有機素子を保護するための封止膜として、X換算で10atm%以下のX−O結合を含むSiXON膜を形成する、有機電子デバイスの製造装置が提供される。但し、前記Xは周期律表の第3周期に含まれる金属である。
前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的な傾斜組成であり、前記SiXON膜表面のほうが、前記SiXON膜内部よりSiが多くXが少ない組成となっていてもよく、また、前記有機素子は、複数の有機層が連続成膜された有機EL素子であってもよい。
本発明によれば、バリアー性および透明性に優れた有機素子の封止膜を備える有機電子デバイス、該有機電子デバイスの製造方法および製造装置が提供される。特に該有機電子デバイスは、素子の上部から光を取り出すトップエミッション型の有機電子デバイスとして好適に用いられ、例えば、携帯電話器の表示部等への応用が可能となる。
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照にして説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書中1mTorrは(10−3×101325/760)Pa、1sccmは(10−6/60)m/sec、1Åは10−10mとする。なお、以下に説明する本発明の実施の形態においては、Al−O結合を含むSiAlON膜を形成する場合について説明するが、例えば、Mg−O結合を含むSiMgON膜を形成するような、SiXON膜を形成する場合についても本発明は同様に実施される。但し、ここでXは周期律表の第3周期に含まれる金属である。
まず、本発明の実施形態にかかる有機電子デバイスの製造方法について、その概略構成を示した図1を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、有機EL素子のデバイスについて、有機EL素子を封止する工程も含めて説明する。
(有機EL素子デバイスの製造方法)
図1(a)に示したように、ガラス基板G上には予め陽極層としてインジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)10が形成されていて、その表面をクリーニングした後、スパッタリングによりITO(陽極)10上に有機層11が成膜される。
ついで、図1(b)に示したように、スパッタリングによりパターンマスクを介して有機層11上にターゲット原子(たとえば、AgやAl)が堆積することにより、メタル電極(陰極)12が形成される。以下では、有機層11およびメタル電極(陰極)12を含めて有機EL素子という。
次に、図1(c)に示したように、メタル電極12をマスクとして、有機層11がエッチングされる。その後、図1(d)に示したように、有機EL素子およびガラス基板G(ITO10)の露出部分をクリーニングして、有機EL素子に吸着した物質(例えば有機物など)を取り除く(プリクリーニング)。
クリーニング後、図1(e)に示したように、カップリング剤を用いてシリル化処理により極薄い密着層13を形成する。カップリング剤としては、たとえば、HMDS(Hexamethyldisilan)、DMSDMA(Dimethylsilyldimethylamine)、TMSDMA(Trimethylsilyldimethylamine)、TMDS(1,1,3,3−Tetramethyldisilazane)、TMSPyrole(1−Trimethylsilylpyrole)、BSTFA(N,O−Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide)、BDMADMS(Bis(dimethylamino)dimethylsilane)が挙げられる。これらカップリング剤の化学構造を以下に示す。
Figure 0005124436
密着層13では、上記組成のカップリング剤HMDSに含まれるNH成分は反応性に富むため、何らかのエネルギーを与えることによってNHとSiとの結合が切れ、結合の切れたSiが下地の有機EL素子と化学結合することにより、有機EL素子と密着層13とが強固に密着する。また、同様に密着層13上に堆積させるSiAlON膜14と密着層13内の結合の切れたSiが化学結合することにより、SiAlON膜14と密着層13とは強固に密着する。
以上から、有機EL素子とSiAlON膜14と間に密着層13を設け、密着層13上にSiAlON膜14を成長させることにより、密着層13に含まれるSiの上記接着効果から有機EL素子とSiAlON膜14との間の密着性を高め、これにより有機素子を保護することができる。なお、密着層13は非常に薄い膜(モノレイヤー)であるため、たとえ、密着層13に窒素が含有されていても有機EL素子11の特性を変化させるほどには至らない。
次に、図1(f)に示したように、封止膜であるSiAlON膜14が形成される。SiAlON膜14は、マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。具体的には、マイクロ波のパワーにより例えばAl(sec−OC等のAl−O結合を含むガスと、SiH等のSiを持ったガスおよびNやNO等のNを有するガス(あるいは、例えばトリシリルアミン等のSi−N結合を持ったガス)を励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを用いて100℃以下の低温で良質なSiAlON膜14を形成する。有機EL素子は100℃以上の高温になるとダメージを受けるので、SiAlON膜14は100℃以下の低温プロセスで形成されることが望ましい。また、Alを含むガスとしてAl(CH、Oを含むガスとしてOを用いることもできる。
以上に説明したように、本実施の形態では、SiAlON膜14からなる封止膜が有機素子(有機層11およびメタル電極12)に密着して有機素子を覆うように設けられる。これによれば、有機EL素子における封止膜として十分に優れた光学的透明性とバリアー性を有するSiAlON膜が封止膜として有機層を封止し、有機素子への水分や酸素の侵入を防止する。また、自発光する有機素子として十分な透明性が確保され、製品化等について十分な有用性が確保される。
本実施の形態では、SiAlON膜14を封止膜として用いているが、これは次のような理由による。即ち、従来用いられてきたSiN膜は非常に緻密であり封止性が高い。例えば、SiO膜は水を通すのに対してSiN膜は水を通さないため、耐透湿性に優れている。しかしながら、SiN膜は目視で薄黄色であるように、有機ELに用いるには透明性の面で十分ではない。一方で、例えばAl等のAlO膜は、光学的に透明であるものの、薄膜化の際に結晶粒界が生じるため、有機ELに用いるにはバリアー性の面で十分ではない。そこで、本発明者は、以下の表1に示される知見に基づき、このAl膜の有する透明性の要因であるAl−O結合を上記SiN膜に導入することにより、透明性およびバリアー性に優れた薄膜を提供することとした。
Figure 0005124436
また、本実施の形態において、より好ましくは、図1(f)に示したSiAlON膜の形成時に、SiAlON膜中のAlおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的な傾斜組成となるように形成されることが望ましく、SiAlON膜中のAlおよびSiの組成は、前記SiAlON膜表面のほうが、前記SiAlON膜内部よりSiが多くAlが少ない組成となっていることがより望ましい。これは、膜中において、Alの量が多いとAlの結晶が生じやすくなることから、封止膜表面においてAlの量を有機層側よりも相対的に減少させ、より結晶化しにくくすることで、封止膜表面の結晶化が抑制され、水分や酸素の侵入をより効果的に防止することが可能となるからである。さらに、膜中のAlとSiの組成を変化させることにより、封止膜のストレス制御や熱伝導、表面粗さの制御等が可能となる。
(基板処理システム)
次に、図1に示した一連のプロセスを実施するための基板処理システムについて、図2を参照しながら説明する。本実施形態にかかる基板処理システムSysは、複数の処理装置を有するクラスタ型の基板処理装置1および基板処理装置1を制御する制御装置20を有している。
(基板処理装置1)
基板処理装置10は、ロードロック室LLM、搬送室TM(Transfer Module)、クリーニング室CM(Cleaning Module)および5つのプロセスモジュールPM(Process Module)1〜5から構成されている。
ロードロック室LLMは、大気系から搬送されたガラス基板Gを、減圧状態にある搬送室TMに搬送するために内部を所定の減圧状態に保持した真空搬送室である。搬送室TMには、その内部に屈伸および旋回可能な多関節状の搬送アームArmが配設されている。ガラス基板Gは、最初に、搬送アームArmを用いてロードロック室LLMからクリーニング室CMに搬送され、ITO表面をクリーニングした後、プロセスモジュールPM1に搬送され、さらに、他のプロセスモジュールPM2〜PM5に搬送される。クリーニング室CMでは、ガラス基板Gに形成されたITO(陽極層)の表面に付着した汚染物(主に有機物)を除去する。
5つのプロセスモジュールPM1〜5では、まず、PM1にて蒸着によりガラス基板GのITO表面に6層の有機層11が連続成膜される。次に、ガラス基板GはPM4に搬送され、スパッタリングによりメタル電極12が形成される。
次に、ガラス基板GはPM2に搬送され、有機層11の一部がエッチングにより除去される。次に、ガラス基板Gはクリーニング室CMまたはPM3に搬送され、プロセス中にメタル電極12や有機層11の露出部分に付着した有機物を除去する。ついで、ガラス基板GはPM5に搬送され、たとえば、HMDSなどのシランカップリング剤を有機EL素子に蒸着させることにより密着層13が形成される。
その後、ガラス基板GはPM3にてマイクロ波プラズマCVDによりSiAlON膜14が形成される。
(制御装置20)
制御装置20は、基板処理システムSysの全体を制御するコンピュータである。具体的には、制御装置20は、基板処理システムSys内のガラス基板Gの搬送および基板処理装置1内部での実際のプロセスを制御する。制御装置20は、ROM22a、RAM22b、CPU24、バス26、外部インタフェース(外部I/F)28aおよび内部インタフェース(内部I/F)28bを有している。
ROM22aには、制御装置20にて実行される基本プログラムや、異常時に起動するプログラムや各PMのプロセス手順が示されたレシピ等が記録されている。RAM22bには、各PMでのプロセス条件を示すデータやプロセスを実行するための制御プログラムが蓄積されている。ROM22aおよびRAM22bは、記憶媒体の一例であり、EEPROM、光ディスク、光磁気ディスクなどであってもよい。
CPU24は、各種レシピにしたがって制御プログラムを実行することにより、ガラス基板G上に有機電子デバイスを製造するプロセスを制御する。バス26は、各デバイス間でデータをやりとりする経路である。内部インタフェース28aは、データを入力し、必要なデータを図示しないモニタやスピーカ等に出力する。外部インタフェース28bは、ネットワークを介して基板処理装置1との間でデータを送受信する。
たとえば、制御装置20から駆動信号が送信されると、基板処理装置1では、指示されたガラス基板Gを搬送し、指示されたPMを駆動させ、必要なプロセスを制御するとともに、制御結果(応答信号)を制御装置20に通知する。このようにして、制御装置20(コンピュータ)は、ROM22aやRAM22bに記憶された制御プログラムを実行することにより、図1に示した有機EL素子(デバイス)の製造プロセスが遂行されるように基板処理システムSysを制御する。
次に、各PMの内部構成および各PMで実行される具体的処理について順に説明する。なお、エッチングおよびスパッタリングの各処理を実行するPM2およびPM4については、一般的な装置を用いればよく、その内部構成の説明は省略する。
(PM1:有機膜11の蒸着処理)
図3にPM1の縦断面を模式的に示したように、蒸着装置PM1は、第1の処理容器30および第2の処理容器40を有していて、第1の処理容器30内にて6層の有機膜を連続成膜する。
第1の処理容器30は直方体の形状であり、その内部に摺動機構31、6つの吹き出し機構32a〜32fおよび7つの隔壁33を有している。第1の処理容器30の側壁には、開閉により室内の機密を保持しながらガラス基板Gを搬入、搬出可能なゲートバルブ34が設けられている。
摺動機構31は、ステージ31a、支持体31bおよびスライド機構31cを有している。ステージ31aは、支持体31bにより支持され、ゲートバルブ34から搬入された基板Gを、図示しない高電圧電源から印加された高電圧により静電吸着する。スライド機構31cは、第1の処理容器30の天井部に装着されるとともに接地されていて、基板Gをステージ31aおよび支持体31bとともに第1の処理容器30の長手方向にスライドさせ、これにより、各吹き出し機構32のわずか上空にて基板Gを平行移動させるようになっている。
6つの吹き出し機構32a〜32fは、形状および構造がすべて同一であって、互いに平行して等間隔に配置されている。吹き出し機構32a〜32fは、その内部が中空の矩形形状をしていて、その上部中央に設けられた開口から有機分子を吹き出すようになっている。吹き出し機構32a〜32fの下部は、第1の処理容器30の底壁を貫通する連結管35a〜35fにそれぞれ連結されている。
各吹き出し機構32の間には隔壁33がそれぞれ設けられている。隔壁33は、各吹き出し機構32を仕切ることにより、各吹き出し機構32の開口から吹き出される有機分子が混ざり合うことを防止する。
第2の処理容器40には、形状および構造が同一の6つの蒸着源41a〜41fが内蔵されている。蒸着源41a〜41fは、収納部41a1〜41f1に有機材料をそれぞれ収納していて、各収納部を200〜500℃程度の高温にすることにより各有機材料を気化させるようになっている。なお、気化とは、液体が気体に変わる現象だけでなく、固体が液体の状態を経ずに直接気体に変わる現象(すなわち、昇華)も含んでいる。
蒸着源41a〜41fは、その上部にて連結管35a〜35fにそれぞれ連結されている。各蒸着源41にて気化された有機分子は、各連結管35を高温に保つことにより、各連結管35に付着することなく各連結管35を通って各吹き出し機構1の開口から第1の処理容器30の内部に放出される。なお、第1および第2の処理容器30、40は、その内部を所定の真空度に保持するために、図示しない排気機構により所望の真空度まで減圧されている。各連結管35には、大気中にてバルブ42a〜42fがそれぞれ取り付けられていて、蒸着源41内の空間と第1の処理容器の内部空間との遮断および連通を制御する。
CMにて予めクリーニングされたガラス基板Gは、以上のように構成されたPM1のゲートバルブ34から搬入され、制御装置20の制御に基づき吹き出し機構32aから吹き出し機構32fに向かって各吹き出し口の上方を順に所定速度で進行する。ガラス基板Gには、各吹き出し口から順に吹き出された有機分子が蒸着し、これにより、たとえば、ホール注入層、ホール輸送層、有機発光層(RGB)、電子輸送層からなる6層の有機層が順に形成される。ただし、図1(a)に示した有機層11は6層でなくてもよい。
(PM4:メタル電極12のスパッタリング処理)
次に、基板GはPM4に搬送され、制御装置20の制御に基づき処理容器内に供給されたガスを励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマ中のイオンをターゲットに衝突させ(スパッタリング)、ターゲットから飛び出したターゲット原子Agを有機層11上に堆積させることにより、図1(b)に示したメタル電極(陰極)12を形成する。
(PM2:有機膜11のエッチング処理)
次に、基板GはPM2に搬送され、制御装置20の制御に基づきエッチングガスを励起させることにより生成されたプラズマによりメタル電極12をマスクとして有機層11をドライエッチングする。これにより、図1(c)に示したように有機層11が形成される。
(PM3:プリクリーニング)
次に、ガラス基板Gは、制御装置20の制御に基づきCM又はPM3に搬送され、アルゴンガスを励起させて生成したプラズマを用いて有機層11の界面に付着した有機物を取り除く。
プリクリーニング時、マイクロ波プラズマ処理装置PM3の処理室内の圧力が100〜800mTorr以下、ガラス基板G近傍の温度(たとえば基板の表面温度)が100℃以下の条件下において、所定量のアルゴンガス(不活性ガス)を供給しながら2〜4w/cmのパワーのマイクロ波を1〜60秒間投入することにより、ガスを励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマにより有機層11の界面に吸着した有機物を除去する。これにより、有機層11の界面と保護膜との密着を良くすることができる。なお、アルゴンガスに対してその1〜10%の水素を混合させた混合ガスを供給してもよい。
(PM6:密着層13の形成)
次に、ガラス基板Gは制御装置20の制御に基づきシリル化処理装置PM5に搬送され、シリル化処理が施される。図4にシリル化処理を実行するシリル化処理装置PM5の縦断面を模式的に示す。
シリル化処理装置PM5は、容器50および蓋体51を有している。容器50の上部外周面には、内周側および外周側に第1のシールドリング52がそれぞれ設けられている。また、蓋体51の下部外周面には、内周側および外周側に第2のシールドリング53がそれぞれ設けられている。蓋体51により上部から容器50に蓋をすると、第1のシールドリング52と第2のシールドリング53とが内周側および外周側にて密着し、さらに、第1のシールドリング52と第2のシールドリング53の間の空間を減圧することにより、気密に保持された処理室Uが形成される。
容器50にはホットプレート54が設けられている。ホットプレート54の内部にはヒータ54aが埋設されていて、ヒータ54aにより処理室U内の温度は室温〜200℃の範囲で調節される。ホットプレート54の上面にはガラス基板Gを支持するピン54bが昇降可能に設けられていて、基板の搬送を容易にするとともに基板の裏面の汚染を防止するようになっている。
HMDSなどのシランカップリング剤は、気化器55によって気化され、気化分子となりNガスをキャリアガスとしてガス流路56を通過し、ホットプレート54の周囲から処理室U内の上方に供給される。シランカップリング剤の供給は電磁弁57の開閉により制御される。蓋体51の略中央には排気口58が設けられていて、処理室Uに供給されたシランカップリング剤およびNガスは、圧力調整装置59および真空ポンプPを用いて外部に排気される。なお、本装置の上下を逆にした状態で、シランカップリング剤を、Nガスをキャリアガスとしてホットプレート54の周囲から処理室U内の下方に供給し、装置の底面に設けられた排気口58から圧力調整装置59および真空ポンプPを用いて外部に排気するようにしてもよい。
このように構成されたシリル化処理装置PM5では、制御装置20の制御に基づき、ホットプレート54は50〜95℃の範囲の所定温度に制御され、気化器55の温度が室温〜50℃の範囲の所定温度に制御され、真空ポンプPにより処理室内の圧力が0.5〜5Torrになるように真空引きされる。この状態で、ホットプレート54のピン54b上にガラス基板Gが載置され、シランカップリング剤の流量をたとえば0.1〜1.0(g/min)、Nガスの流量をたとえば1〜10(l/min)に制御して供給しながら、クリーニング直後の有機EL素子上に30〜180秒間シリル化処理を施す。これにより、in−situeで有機EL素子表面にカップリング剤によるモノレイヤーの密着層13が形成される。なお、シリル化処理後、処理室内の残留ガス(たとえば、シランカップリング剤HMDSから脱離したNH)は真空ポンプPにより外部に排気される。
(PM3:SiAlON膜14の成膜処理)
次に、ガラス基板Gは制御装置20の制御に基づきマイクロ波プラズマ処理装置PM3に搬送され、図1(f)に示したように、密着層13を挟んで有機EL素子を覆うようにSiAlON膜14が成膜される。図5に成膜処理を実行するマイクロ波プラズマ処理装置PM3の断面図を模式的に示す。
マイクロ波プラズマ処理装置PM3は、天井部が開口した有底直方形状の処理容器60を有している。処理容器60は、たとえばアルミニウム合金により形成され、接地されている。処理容器60の底部中央にはガラス基板Gを載置する載置台61が設けられている。載置台61には、整合器62を介して高周波電源63が接続されていて、高周波電源63から出力された高周波電力により処理容器60の内部に所定のバイアス電圧を印加するようになっている。また、載置台61には、コイル64を介して高圧直流電源65が接続されていて、高圧直流電源65から出力された直流電圧によりガラス基板Gを静電吸着するようになっている。さらに、載置台61の内部にはヒータ66が埋設されている。ヒータ66は交流電源67に接続されていて,交流電源67から出力された交流電圧によりガラス基板Gを所定の温度に保持する。
処理容器60の天井部の開口は、石英などから形成された誘電体プレート68により閉塞され、さらに、処理容器60と誘電体プレート68との間に設けられたOリング69により処理室内の気密性が保持されている。
誘電体プレート68の上部にはラジアルラインスロットアンテナ70(RLSA:Radial Line Slot Antenna)が配設されている。RLSA70は、下面が開口したアンテナ本体70aを有していて、そのアンテナ本体70aの下面開口には、低損失誘電体材料により形成された遅相板70bを介して多数のスロットが形成されたスロット板70cが設けられている。
RLSA70は、同軸導波管71を介して外部のマイクロ波発生器72に接続されている。マイクロ波発生器72から出力された、たとえば2.45GHzのマイクロ波は、同軸導波管71を介してRLSA70のアンテナ本体70aを伝搬し、遅相板70bにて短波長化された後、スロット板70cの各スロットに通され、円偏波しながら処理容器60内部に供給される。
処理容器60の上部側壁にはガスを供給するためのガス供給口73が多数形成され、各ガス供給口73は、ガスライン74を介してアルゴンガス供給源75に連通している。処理室の略中央には略平板状のガスシャワープレート76が設けられている。ガスシャワープレート76は、ガス管が互いに直交するように格子状に形成されている。各ガス管には載置台61側にガス孔76aが等間隔に多数設けられている。ガスシャワープレート76に連通されたAl(CHガス、SiHガス、Nガス、Oガスを供給するガス供給源77から供給された各ガスは、ガスシャワープレート76のガス孔76aから均等にガラス基板Gに向けて放出される。
処理容器60には、ガス排出管78を介して排気装置79が取り付けられていて、処理容器60内のガスを排出することにより、処理室を所望の真空度まで減圧するようになっている。
このように構成されたマイクロ波プラズマ処理装置PM3では、制御装置20の制御に基づき、真空装置79により処理室内の圧力が50mTorr以下、マイクロ波発生器72から処理室内に供給されるマイクロ波のパワーが4w/cm以上、同処理室内に載置されるガラス基板G近傍の温度(たとえば、基板表面温度)が100℃以下に制御され、この状態で、上部からアルゴンガスを5〜500sccm供給し、ガスシャワープレート76からシラン(SiH)ガスを0.1〜100sccm供給する。ここで、窒素(N)ガスは、シランガスと窒素ガスの流量比を1:100にして供給する。さらに、供給開始時においてAl換算で10atm%のAl(CHガスを供給する。ここで、O供給源として、Oガスを上記シランガスと窒素ガスの流量比1:100に対して0.1〜10として供給する(即ち、シランガス:窒素ガス:Oガスの流量比を1:100:0.1〜10として供給する)。これによれば、マイクロ波のパワーにより上記混合ガスが励起してプラズマが生成され、生成されたプラズマを用いて低温にてSiAlON膜14が成膜される。なお、有機EL素子への影響を考慮すると、ガラス基板Gの表面温度は70℃以下に制御する方がより好ましい。
また、成膜されるSiAlON膜14の膜厚は生産性の観点および封止性の観点から1μm〜5μmとすることが望ましい。SiAlON膜14の膜厚が5μm以上であると、成膜に時間がかかりすぎ、生産性が低下してしまう。一方、SiAlON膜14の膜厚が1μm未満であると、封止性が十分に確保されないためである。
なお、本実施の形態では、SiAlON膜の成膜をAl(CHガス、SiHガス、Nガス、OガスをPM3内に導入することで行うこととしているが、原料ガスはこれに限られるものではなく、例えば、Al供給源としてはAl(sec−OC等を用いることが考えられ、また、N供給源としてはNOやNHを用いることが考えられる。N供給源としてNHを用いる場合には、シランガスとアンモニアガスの流量比を1:1〜2として供給し、さらにO供給源としてOガスを用いる場合には、シランガスとアンモニアガスの流量比1:1〜2に対して0.1〜0.2として供給する(即ち、シランガス:アンモニアガス:Oガスの流量比を1:1〜2:0.1〜0.2として供給する)。ここで、以下に上記挙げた原料ガスの化学構造を示す。
Figure 0005124436
また、Al(CHガスの供給およびSiHガスの供給において、両者の供給量を供給開始時から変化させることで、成膜されるSiAlON膜14における膜厚方向の組成を連続的に変化させることができる。以下に図6を参照して、各ガスの供給について説明する。
図6には、処理時間の経過に伴うAl(CHガスの供給およびSiHガスの供給量の推移をグラフ化したものである。本実施の形態においては、図6に示すようにSiAlON膜14の成膜工程の初期においてはAl(CHガスの供給量をAl換算で10atm%とし、処理時間の経過と共にその供給量を連続的に減少させる。一方、SiHガスの供給量は成膜処理初期にはほとんど供給せず、処理時間の経過と共にその供給量を連続的に増加させる。SiAlON膜14の形成は有機層11に近い側(密着層13に接する側)から実行されていくため、上記供給方法でもって各ガスを供給すると、有機層11側より封止膜表面側に対し、膜厚方向に組成傾斜が発現する事となる。この組成傾斜は封止膜表面方向にいくに連れAlが少なくSiが多い組成傾斜となる。なお、ここでOガス供給量(図示せず)は、流量を変化させてもよく、一定としてもよい。
Alは、結晶化しやすい傾向にあり、封止膜表面にAlが多く存在すると、封止膜表面に結晶粒界が生じるため、水分や酸素の防止ができず、有機層のバリアーとしての封止膜の役割が果たせなくなる可能性がある。そこで、SiAlON膜内に上記組成傾斜を発現させることで封止膜を表面に結晶粒界の生じないアモルファス状の膜とすることが可能となる。
このように、本実施の形態にかかる有機電子デバイスの製造方法によれば、有機EL素子を保護するために必要な(1)物理的衝撃から素子を充分に保護すること、(2)成膜温度が低いこと、(3)水分や酸素を透過させないこと、(4)膜のストレス制御、熱伝導の制御、表面荒さの制御が可能であること、(5)光学的に透明であること、のすべての要求を満たしたバランスの良い封止膜を形成することができる。この結果、本実施の形態の封止膜によって、水分や酸素から有機EL素子を保護し水分や酸素の透過によって有機EL素子の発光強度や寿命などを劣化させることなく、また、光学的に透明であり自発光する有機EL素子の発光を妨げないような有機電子デバイスが得られることとなる。
なお、上記表1に示したように、スパッタリングを用いて成膜した各種の膜の耐透湿性と透明性を比較すると、Al−O結合を持つSiAlO膜は透明であり、かつその耐透湿性はかなり高いことが分かる。例えば、封止対象が有機EL素子である場合、その封止膜に求められる耐透湿性は10−5g/mday程度が好ましいとされる。
スパッタリングを用いて例えばSiAlON膜14を成膜する場合、高い電子温度のプラズマを用いて成膜を行うため、膜へのダメージが大きいことや、スパッタリングではドライクリーニングを行うことができないため、パーティクルが多くなり、欠陥の多い膜となってしまうことなどから、例えば有機EL素子の封止膜として求められるだけの封止性を備えたSiAlON膜14を成膜することは困難である。
また、従来の平行平板型プラズマCVD処理装置のプラズマ電子温度は、最大で10eVもの高い電子温度となる。このような強いエネルギーを与えてSiAlON膜14の成膜を行う場合、SiAlON膜14内においてAlとOとが結晶化し、Al(アルミナ)の粒となり、SiAlON膜14の耐透湿性および透明性に影響を与える恐れがある。また、高い電子温度のプラズマは封止膜(SiAlON膜14)下層の有機層へダメージを与えるため、有機EL素子の発光性能等に影響を及ぼす可能性が高い。さらに、高いプラズマ電子温度のもとでは、成膜に使用されるガスが過剰に解離されてしまうため、Al−O結合を10atm%程度含有した封止膜を成膜することは困難である。
そこで、本実施の形態においては、マイクロ波プラズマ処理装置PM3として、低電子温度を1つの特徴とするRLSA型マイクロ波プラズマCVD処理装置を用いてSiAlON膜14を成膜することとしている。RLSA型マイクロ波プラズマCVD処理装置の処理空間は、プラズマを生成するプラズマ励起領域と基板を処理する拡散プラズマ領域に分けられ、拡散プラズマ領域でのプラズマの電子温度は、1eV程度と低い。このため、封止膜下層の有機層へのダメージに起因する欠陥や主に処理容器内壁から発生する不純物を抑制し、より良質な膜を成膜することができる。特に、成膜に用いるガスとしてAl(sec−OCを用いる場合、低い電子温度のプラズマを用いるため、Al(sec−OCガス中のAl−O結合を過剰解離させることなく、基板上に堆積させることができ、Al−O結合を10atm%程度含有し、透明性と耐透湿性(封止性)を兼備したSiAlON膜14を成膜することができる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態においては、Al−O結合を含むSiAlON膜を封止膜として形成させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、周期律表の第3周期に含まれる金属であるXとOの結合であるX−O結合を含むSiXON膜を封止膜として形成することとしている。例えば、成膜に用いるガスとして、MgEtCpやMgMeCpといったMg(マグネシウム)を含む有機金属化合物ガスとSiHガス、Nガス、Oガスを用いることによってSiMgON膜を封止膜として形成することとしてもよい。このSiMgON膜は上記実施の形態にかかるSiAlON膜と同様の耐透湿性・透明性を有するため、例えば有機EL素子の封止膜としてSiAlON膜と同様の効果が期待できる。また、MgはAlよりも酸化されやすい性質であるため、Mg−O結合はAl−O結合よりも容易に作ることができるという利点もある。なお、ここでEtはエトキシ基、Cpはシクロペンタジエニル基、Meはメチル基である。
また、例えば、本発明にかかる封止膜は、有機EL素子の封止膜に限られず、たとえば、成膜材料に主に液体の有機金属を用い、気化させた成膜材料を500〜700℃に加熱された被処理体上で分解させることにより、被処理体上に薄膜を成長させるMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)により形成された有機金属素子を封止するために使用することもできる。さらに、本発明にかかる封止膜は、有機トランジスタ、有機FET(Field Effect Transistor)、有機太陽電池などの有機素子や、液晶ディスプレイの駆動系に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)等の有機電子デバイスを封止するために使用することもできる。
また、本発明にかかる保護膜の成膜装置としては、上述した複数のスロットを備えた平面アンテナを有するRLSA型マイクロ波プラズマCVD処理装置であってもよいが、これに限られることはない。例えば、複数の誘電体板が処理容器の天井面にタイル状に形成され、各誘電体板上に設けられたスロットを介して各誘電体板を透過したマイクロ波のパワーにより処理室内にてガスをプラズマ化させて被処理体をプラズマ処理するCMEP(Cellular Micro−wave Excitation Plasma)装置を使用することもできる。また、複数の誘電体板が処理容器の天井面にタイル状に形成され、各誘電体の処理容器に面する側に設けられた金属板と処理容器内のプラズマ間を伝播するようにマイクロ波を導入し、基板を処理するMSEP(Metal Surfacewave Plasma)装置を使用することもできる。
本発明は、有機電子デバイス、有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイスの製造装置に適用できる。
本発明の実施の形態にかかるデバイスの製造工程を示した図である。 本発明の実施の形態にかかる基板処理システムを示した図である。 実施の形態にかかる蒸着装置の縦断面図である。 実施の形態にかかるシリル化処理装置の縦断面図である。 実施の形態にかかるRLSA型マイクロ波プラズマ処理装置の縦断面図である。 処理時間の経過に伴うAl(CHガスの供給およびSiHガスの供給量の推移をグラフ化したものである。
符号の説明
1…基板処理装置
10…ITO
11…有機層
12…メタル電極
13…密着層
14…SiAlON膜
20…制御装置
G…ガラス基板
Sys…基板処理システム

Claims (19)

  1. 被処理体上に形成された有機素子と、
    前記有機素子を覆う封止膜と、を備える有機電子デバイスであって、
    前記封止膜は、X換算で10atm%以下のX−O結合を含むSiXON膜である、有機電子デバイス。
    但し、前記Xは周期律表の第3周期に含まれる金属である。
  2. 前記XはAlまたはMgである、請求項1に記載の有機電子デバイス。
  3. 前記有機素子および前記被処理体の露出部分と前記封止膜との間にカップリング剤による密着層が形成される、請求項1または2に記載の有機電子デバイス。
  4. 前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的な傾斜組成である、請求項1〜3のいずれかに記載の有機電子デバイス。
  5. 前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、前記SiXON膜表面のほうが、前記SiXON膜内部よりSiが多くXが少ない組成となっている、請求項4に記載の有機電子デバイス。
  6. 前記有機素子は、複数の有機層が連続成膜された有機EL素子である、請求項1〜5のいずれかに記載の有機電子デバイス。
  7. 有機電子デバイスの製造方法であって、
    有機素子を被処理体上に形成し、
    前記有機素子を保護するための封止膜として、X換算で10atm%以下のX−O結合を含むSiXON膜を形成する、有機素子デバイスの製造方法。
    但し、前記Xは周期律表の第3周期に含まれる金属である。
  8. 前記XはAlまたはMgである、請求項7に記載の有機デバイスの製造方法。
  9. 前記有機素子および前記被処理体の露出部分と前記封止膜との間にカップリング剤による密着層を形成する、請求項7または8に記載の有機素子デバイスの製造方法。
  10. 前記SiXON膜は、
    X−O結合を有するガスとSiを有するガスとNを有するガスとをマイクロ波のパワーにより励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを用いて成膜される、請求項7〜9のいずれかに記載の有機素子デバイスの製造方法。
  11. 前記SiXON膜は、
    X−O結合を有するガスとSi−N結合を有するガスとをマイクロ波のパワーにより励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマを用いて成膜される、請求項7〜9のいずれかに記載の有機素子デバイスの製造方法。
  12. 前記SiXON膜は、
    マイクロ波プラズマ処理装置の処理室内の圧力が50mTorr以下、同処理室内に供給されるマイクロ波のパワーが4w/cm以上、同処理室内に載置される被処理体近傍の温度が100℃以下の条件下で形成される、請求項10または11に記載の有機素子デバイスの製造方法。
  13. 前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的に変化する傾斜組成である、請求項7〜12のいずれかに記載の有機電子デバイスの製造方法。
  14. 前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、前記SiXON膜表面のほうが、前記SiXON膜内部よりSiが多くXが少ない組成となっている、請求項13に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  15. 有機電子デバイスの製造装置であって、
    有機素子を被処理体上に形成し、
    前記有機素子を保護するための封止膜として、X換算で10atm%以下のX−O結合を含むSiXON膜を形成する、有機電子デバイスの製造装置。
    但し、前記Xは周期律表の第3周期に含まれる金属である。
  16. 前記XはAlまたはMgである、請求項15に記載の有機デバイスの製造装置。
  17. 前記SiXON膜中のXおよびSiの組成は、膜厚方向において連続的な傾斜組成である、請求項15または16に記載の有機電子デバイスの製造装置。
  18. 前記SiXON膜中のAlおよびSiの組成は、前記SiXON膜表面のほうが、前記SiXON膜内部よりSiが多くXが少ない組成となっている、請求項17に記載の有機電子デバイスの製造装置。
  19. 前記有機素子は、複数の有機層が連続成膜された有機EL素子である、請求項15〜18のいずれかに記載の有機電子デバイスの製造装置。
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