JP5123500B2 - ピッチャー、ピッチャーカバー及びそれらの組合せ - Google Patents
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Description
樽詰めされたビールを、ビールジョッキ又はグラスに泡の層を適正に形成して注ぐには、熟練が必要であり、飲食店の担当者がビールディスペンサーを用い、ビールジョッキ又はグラスにビールを注いで、来店者に提供することが多い。ビールジョッキ又はグラスを略垂直にしてビールを注ぐと、ビールディスペンサーから吐出されたビールが、ビールジョッキ又はグラスに既に注がれたビールの液面をたたくため、いわゆる「カニ泡」と呼ばれる目の粗い、泡持ちの悪い泡がビールに形成されてしまう。したがって、いわゆる「カニ泡」の形成が抑制されるよう飲食店の前記担当者は、前記ビールディスペンサーのビール吐出ノズルに前記ビールジョッキ又はグラスを近づけ、ビールジョッキ又はグラスを略45゜に傾け人為的にビールジョッキ又はグラスの傾斜状態を作り出し、前記ビール吐出ノズルからビールを注ぐ。
この場合、ピッチャーにビールを注ぐのは飲食店の店員であるものの、ピッチャーからビールジョッキ又はグラスにビールを注ぐのは一般の来店者であり、2リットル程度のビールが注がれて全体の重量が重くなったピッチャーでビールジョッキ又はグラス内にビールを注ぐのは、極めて操作性が悪く適正にビールが注がれない結果、ビールジョッキ又はグラス内に注がれたビールの液面に目の粗い、泡持ちの悪い泡の層が形成されるおそれがある。
しかしながら、この特許文献1に記載のピッチャーを含め従来のピッチャーでは、ピッチャーをビールディスペンサーの容器載置台の上に垂直の状態で置いたままその中にビールディスペンサーからビール等の発泡性飲料を注いだ場合に、液面にクリーミーできめ細かな泡の層を形成させることは困難であるため、そのピッチャーからジョッキ又はグラスにビールを注ぐ場合にもジョッキ又はグラスを傾けなければ液面にクリーミーできめ細かな泡の層を形成させることができない。
ビールが注がれて全体の重量が重くなったピッチャーを片手で傾斜状態に支えて、もう一方の手でビールディスペンサーからピッチャー内にビールがピッチャーの内壁面に沿って流れるように注入するのは、労力を要しまた操作性が悪い。
ビールの泡は、ビール中の炭酸ガスが抜け出たものであるので、ピッチャーにビールが注がれた状態で、多量の泡を形成すると、後でビールジョッキにビールを注いだ際に、気が抜けたビールになってしまう。
従来、ピッチャーにビールを注ぐ際の、泡の状態や量を考慮したピッチャーは存在しなかった。
本発明の他の目的は、ピッチャーからジョッキ又はグラスへの発泡性飲料を注いだときに液面にクリーミーできめ細かな泡の層を形成させることが可能なピッチャーカバーを提供することである。
本発明の別の目的は、上記ピッチャーとピッチャーカバーとの組合せを提供することである。
本発明の更に別の目的は、ピッチャーへの発泡性飲料の注ぎ方法を提供することである。
発泡性飲料を入れる収容部を確定する容器と、
前記容器に形成された注ぎ口と、を備え、
前記注ぎ口が前記容器の周壁に対して斜め上方に伸びる傾斜面により確定され、前記注ぎ口の高さが前記収容部の深さの20%ないし40%であることを特徴とするピッチャーが提供される。
注ぎ口の高さを上記の範囲にしたのは、20%より小さくなると注ぎ口の傾斜面に当たるように飲料を注ぐのが難しくなりまたピッチャー内で形成される泡(発泡性飲料、例えばビールを保護する)の層厚が薄くなるためであり、40%より大きくすると注がれる飲料が早期に液面をたたくようになるため、泡の層厚が厚くなり易いからである。
上記注ぎ口の高さ(又は長さ)は、好ましくは、前記収容部の深さの25%ないし35%であるとよい。その理由は、ピッチャーに注がれる発泡性飲料の流れをより的確に傾斜面に当てることができ、また発泡性飲料がピッチャー内に溜まってきたときに注がれる飲料が溜まっている飲料の液面をたたき始めるのを遅らせることができ、発泡性飲料の泡立ちをより少なく抑えることができるからである。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のピッチャーにおいて、前記注ぎ口の横断面形状が略V字形状であるピッチャーが提供される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載のピッチャーにおいて、更に、前記容器の外側に前記容器の周壁及び底壁との間で断熱空間を形成するように、固定された他の容器を備えるピッチャーが提供される。
前記注ぎ口の先端部を除く一部を被う第1の部分及び前記第1の部分に隣接していて前記ピッチャーの上部開口部の少なくとも一部を被う第2の部分とを備え、
前記第1の部分には前記第1の部分に被われていない前記注ぎ口から流出する飲料の主流に注入可能に副流を形成する少なくとも一つの副流孔が形成されていることを特徴とするピッチャーカバーが提供される。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載のピッチャーカバーにおいて、前記副流孔が2個であるピッチャーカバーが提供される。
請求項6に記載の発明によれば、請求項4又は5に記載のピッチャーカバーにおいて、前記ピッチャーの前記開口部の周縁を囲むように周方向に伸びるスカート部を備え、前記第1及び第2の部分が前記スカート部に一体的に取り付けられているピッチャーカバーが提供される。
請求項7に記載の発明によれば、請求項4ないし6のいずれかに記載のピッチャーカバーにおいて、前記第2の部分が前記開口部の少なくとも外周部分全体を被い得るピッチャーカバーが提供される。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載のピッチャーカバーにおいて、前記第2の部分には、前記ピッチャーの開口部の中央部分に対応する位置に、前記スカート部の伸長する方向に湾曲状に突出する第1の突出部と、前記第1の突出部とは不連続で第1の突出部とは反対方向に突出する第2の突出部とが形成され、前記第1及び第2でカバーの取っ手部を構成しているピッチャーカバー。
請求項10に記載の発明によれば、ビールディスペンサーから請求項1ないし5のいずれかに記載の注ぎ口付きピッチャーに発泡性飲料を注ぐ方法において、
ビールディスペンサーから吐出された発泡性飲料を、前記ピッチャーの前記注ぎ口の傾斜面に当てるように注ぐことを特徴とするピッチャーへの発泡性飲料の注ぎ方法が提供される。
発泡性飲料を注ぐ位置を上記のように限定したのは、ビール中の炭酸ガスが、ビール中から過度に抜け出さないようにビールディスペンサーからビールを注ぎ入れるためである。
上記発泡性飲料の注ぎ位置は、ビールが注ぎ口の傾斜面に当たるように注がれさえすればよい。
請求項3に記載の発明によれば、上記効果の他に、ピッチャー内の発泡性飲料が冷えた状態を長く維持できる効果を奏することができる。
請求項4ないし6のいずれかに記載の発明によれば、ピッチャーからジョッキ又はグラスに発泡性飲料を注いだときに、ジョッキ又はグラス等の器内に注がれた発泡性飲料の液面にクリーミーできめ細かな泡を適度の量発生させることができるという効果を奏することが可能である。
請求項7に記載の発明によれば、上記の効果の他に、ピッチャー内の発泡性飲料が冷えた状態を長く維持できる効果を奏することができる。
請求項8に記載の発明によれば、上記ピッチャーカバーの効果の他に、ピッチャーカバーを簡単かつ確実にピッチャーに着脱することができる効果を奏することが可能である。
請求項9に記載の発明によれば、ピッチャーを手で斜めに保持した状態にしないで平坦面に置いたままでビールディスペンサーからその中に発泡性飲料を注いでも、注がれた発泡性飲料が、ピッチャーの底面やピッチャーに既に注がれた発泡性飲料の液面をたたくようにピッチャー内に注ぎ入れられることがないため、発泡性飲料中の炭酸ガスが、発泡性飲料中から過度に抜け出すことなく、ビールディスペンサーから発泡性飲料を注ぎ入れることができ、かつピッチャーからジョッキ又はグラスに発泡性飲料を注いだときに、ジョッキ又はグラス内に注がれた発泡性飲料の液面にクリーミーできめ細かな泡の層を適度に形成させることができるという効果を奏することが可能である。
請求項10に記載の発明によれば、ピッチャーを手で斜めに保持した状態にしないで平坦面に置いたままでビールディスペンサーからその中に発泡性飲料を注いでも、注がれた発泡性飲料が、ピッチャーの底面やピッチャーに既に注がれた発泡性飲料の液面をたたくようにピッチャー内に注ぎ入れられることがないため、発泡性飲料中の炭酸ガスが、発泡性飲料中から過度に抜け出すことなく、ビールディスペンサーから発泡性飲料を注ぎ入れることできる効果を奏することが可能である。
図1において、本発明のピッチャーの一実施形態と本発明のピッチャーカバーの一実施形態とが組み合わされた、本発明によるそれらの組合せの実施形態が斜視図で示され、また、図2ないし図5において、ピッチャーとピッチャーカバーとが組み合わされた状態で側面図又は断面図で示されている。
図1において、1はビール等の発泡性飲料を入れるのに適したピッチャー、3はピッチャー1の上端開口部に被せて使用するのに適したピッチャーカバーを示す。
図2ないし図5において、ピッチャー1は発泡性飲料が入れられる収容部を確定する内側容器部分(請求項中の容器に対応する)10と、その内側容器部分10の外側に配置されていて内側容器部分の周壁との間で断熱空間gを形成するようにして内側容器部分10に固定された外側容器部分(請求項中の他の容器に対応する)20とを有している。図2ないし図7において、内側容器部分10は上広がりの略円錐状(テーパーの角度が小さい円錐状)の周壁11と、その周壁と一体的に形成された底壁12と、周壁の上端から下方に伸びるスカート部13とによって構成され、スカート部13は、後述する注ぎ口を除く部分の外周全体に亘って周方向に伸びている。底壁12と周壁11とは鈍角を成しており、それらは、好ましくは曲率半径25mmないし30mmの湾曲した接続部を介して接続されている。これは、発泡性飲料が周壁の内面を流れて底面に達するとき静かに底面上に達するようにするためである。周壁11とスカート部13とは周壁の上端部で一体的に接続され、その部分がピッチャーの上端縁14を形成する。なお、周壁は上部と下部とが同じ円筒状でも良い。
注ぎ口15の長さすなわち高さ(先端縁又は上端縁17a、17bから接合部18が周壁に一体的に接合する位置までの高さ)h1は、内側容器部分によって確定される収容部の高さ(すなわちピッチャーの深さ)h2の20%ないし40%であることが好ましいが、この実施形態では略30%の大きさになっている。注ぎ口の高さを上記の範囲にしたのは、20%より小さくなると注ぎ口から飲料を注ぐのが難しくなりまたピッチャー内で形成される泡(発泡性飲料、例えばビールを保護する)の層厚が薄くなるためであり、40%より大きくすると注がれる飲料が早期に液面をたたくようになるため、泡の層厚が厚くなり易いからである。
上記注ぎ口の高さ(又は長さ)は、より好ましくは、前記収容部の深さの25%ないし35%である。注ぎ口の先端縁部における(注ぎ口を形成する傾斜壁16a、16bの先端縁と内側容器部分10の上端縁14とが接続する部分における)注ぎ口の最大幅w1は、3cmないし10cm(又は内側容器の上端縁の直径の25%ないし80%)であるのが好ましい。このように注ぎ口を従来のピッチャーの注ぎ口に比較して大きくしたのは、ビールディスペンサーからピッチャー内に発泡性飲料を注ぐのを、注ぎ口を介して行い、発泡性飲料が傾斜壁によって確定される注ぎ口の傾斜面に当たって静かにピッチャー内に流れるようにするためである。
なお、内側容器部分及び外側容器部分は成型性、断熱性に優れた合成樹脂材料でそれぞれ一体成型され、係合凹部と係合凸部で互いに接合されている。
ピッチャーカバー3はピッチャー1の注ぎ口15の一部分(先端部15aを除く一部分)を被う第1の部分31と、その第1の部分に隣接していて、ピッチャー1の上部開口部を少なくとも部分的に被う第2の部分32とを有している。ピッチャーカバー3は、更に、ピッチャー1の上部外周を取り巻くスカート部33を有している。この実施形態において、スカート部33は注ぎ口15がある部分を除いてピッチャーの上部開口部外周を取り巻くように円周方向に伸び、前記第1の部分及び第2の部分とピッチャーと同じ合成樹脂材料で一体的に形成されている。ピッチャーカバー3の第2の部分32は、ピッチャー1の上部開口部全体を被う必要はないが、開口部を全体的に被うようにするのが好ましい。外部の熱が内側容器部分内の発泡性飲料に伝わりにくくするためである。
この実施形態において、第2の部分32の外周部34全体に亘ってスカート部33が一体的に接合されている。第1の部分31には、その先端縁35に隣接した位置に、少なくとも一つ(この実施形態では2個)の副流孔36が形成されている。この副流孔36の大きさは直径3mmないし8mmであるのが好ましく、より好ましくは、4mmないし7mmである。この副流孔は、ピッチャーからジョッキ又はグラスに発泡性飲料を注ぐとき、注ぎ口の第1の部分により被われていない部分(注ぎ口15の先端部15aであって第1の部分の先端縁35とにより画成される三角状の部分)から流出した主流に副流孔から流出した副流を注入し、副流が主流に適度な刺激を与えつつ、発泡性飲料が注がれ、ジョッキ又はグラスに注がれた発泡性飲料の液面にクリーミーできめ細かな泡の層を形成させる。副流が主流に合流する限り、副流孔36は3個以上でもよく、その形状も丸孔に限らず、三角、四角等の多角形孔、楕円孔、長円孔、その他あらゆる形状の孔でよい。注ぎ口15の先端部15aの端縁15bから、ピッチャーカバー3の先端縁35までの距離L1は7.1mmないし8.9mmであるのが好ましく、より好ましくは、7.5mmないし8.5mmである。
第2の部分の中央部(ピッチャーに取り付けられたときピッチャーの上部開口部の中央部に対応する部分)には、ピッチャーカバーの中心から見て第1の部分がある側とは反対の側に、下側すなわちスカート部33が伸長する方向に湾曲状に突出する第1の突出部32aと、それとは反対側(ピッチャーカバーの中心から見て第1の部分のある側)に、第1の突出部とは反対方向すなわち上側に湾曲状に突出する第2の突出部32bとが形成されている。第1及び第2の突出部が上下に食い違っていて対向する縁が互いに不連続で、ピッチャーカバーをピッチャーから取り外す時に複数の指をそれらの突出部により画成される空間内に入れて行い得るようになっている。すなわち二つの湾曲状の突出部は蓋の取っ手を構成する。なお38は二つの突出部間に形成される隙間である。この隙間の大きさは、この隙間を介してピッチャー内に発泡性飲料を注げない程度にするのが好ましい。それは、ピッチャーカバーを付けたままでこの隙間を介して発泡性飲料をピッチャー内に注ぐと、注がれた飲料がピッチャー内に溜まった飲料の液面をたたくように注がれ、目の粗い、泡持ちの悪い泡の層を形成させるからである。
スカート部33の下端部には内側に突出する凸部39が周方向に隔てて複数個(この実施形態では3個)、形成されている。この凸部39は周方向にわずかに伸びていて、スカート部の周方向に隔てて、三点でピッチャーカバーをピッチャーに固定保持できるようになっている。なお、ピッチャーカバーがピッチャー内の発泡性飲料、特にビール、発泡酒の酸化を抑制するので、発泡性飲料がピッチャー内に注ぎ終わった時点でその発泡性飲料の表面に泡の層がほとんど形成されていなくても良い。
ピッチャー1内に飲料を注ぎ入れる場合には、図11に示されるようにピッチャーカバーをピッチャーの上部から外しておく。図11に示されるように、例えばビールディスペンサーのビール吐出ノズル6の吐出口の直下に、台5等に載せて置く。このとき吐出口の真下にピッチャー1の注ぎ口15が位置するように置く。
この状態で吐出ノズルの吐出口から発泡性飲料mを吐出すると、飲料の流れはピッチャー1の注ぎ口15の傾斜面にあたってピッチャー内に入る。このため発泡性飲料の流れは注ぎ口からピッチャーの内面すなわち内側容器部分10の内面に沿って底部に移動してそこに溜まる。したがって、ピッチャー内に溜まっている発泡性飲料の表面をたたくように注がれる場合に比較して、発泡性飲料中の炭酸ガスが発泡性飲料から過度に抜け出すことなくビールディスペンサーから発泡性飲料を注ぎ入れることができる。注ぎ部15に発泡性飲料を注ぐ場合、発泡性飲料は、その略全体が注ぎ口の傾斜面に当っていれば良い。このようにして注ぐことにより、注がれた発泡性飲料の液面が傾斜面に対応する位置に達するまでは、注がれた飲料が液面をたたくことが抑制されるため、泡立ちが抑制された状態で注がれ、液面が傾斜面に対応する位置まで上昇したときに初めて液面をたたき始めて泡が発生するので、ピッチャーに所定量の発泡性飲料を注ぎ終えたときに、注がれた発泡性飲料の表面に泡を適度の量しか発生させず、ピッチャー内の発泡性飲料、例えばビール中の炭酸ガス、味、香りが逃げることが防止される。
本発明のカバー付きピッチャーを用いればジョッキ又はグラス等の容器(以下総称して器と呼ぶ)7内に発泡性飲料を注ぐ場合器を予め手で斜めに支えておく必要はない。したがって、器は、図12に示されるように、テーブル等の平面(通常ほぼ水平の面になっている)上に置いておく。この状態で図12に示されるようにピッチャー1の注ぎ口から注ぎ部15を通して発泡性飲料をジョッキ又はグラス等の器内に注ぐと、ピッチャーカバーの第1の部分で塞がれていない注ぎ口の部分から飲料の主流f1が容器内に注がれる。それとほぼ同時に、副流孔から流出した飲料の副流f2は主流に注入される。このとき容器内に注がれた発泡性飲料にはクリーミーできめ細かな泡が発生する。
上記表1から明らかなように、本発明のピッチャーにビールを注ぎ口を介して注いだ場合に比べて、注ぎ口を介さず注いだ場合のピッチャー内に入ったビールの重量(泡の上端がピッチャーの上縁に達するまで注いだ場合)がかなり少ない(74.3%ないし75.8%)ことが分かる。これは注ぎ口を介さずに注いだ場合ピッチャー内で発生する泡が多くなることを意味し、それだけ、ピッチャー内に注がれているビールからは炭酸ガスが多く抜け出してしまっていることを意味する。
またビールジョッキに対するピッチャーの高さは、図12のHが25mmである。
表2から解るように、(3−0)の寸法、個数を有するピッチャーカバーを用いて注いだビールより、(3−1)の寸法、個数を有するピッチャーカバーを用いて注いだビールの方がきめ細かな泡が発生し、ビールを飲用した際の口当たりが良いことが判明した。
上記表2及び3のテスト結果によれば、副流孔を設けることでビールジョッキにビールを注いだ状態で液面に泡が生じていることが分かる。一方、実施例5,6との比較により、液面に泡が形成されるには、ビールディスペンサーからビールピッチャーにビールを注いだ後に、炭酸ガスが抜けていない方が良いことも分かる。
このテスト結果によれば、副流孔を設けることでビールジョッキにビールを注いだ状態で泡が生じ、この泡が苦味成分を吸着することから、口当たりの際、苦味を感じなくなることが分かる。
一方、実施例5,6との比較により、液面に形成される泡がきめ細かである実施例10の方が、苦味を感じない結果となっており、ビールディスペンサーからビールピッチャーにビールを注いだ後に、炭酸ガスが抜けない方がビールジョッキに注いだビールの口当たりが良いことが分かる。
10 内側容器部分 11 周壁
12 底壁 13 スカート部
14 上端縁 15 注ぎ口
16a、16b 傾斜壁 17a、17b 上端縁
18 接合部 19 凸部
20 外側容器部分 21 周壁
3 ピッチャーカバー
31 第1の部分 32 第2の部分
33 スカート部 36 副流孔
Claims (10)
- 発泡性飲料ディスペンサーから発泡性飲料を充填する際の、カニ泡の発生を抑えるためのピッチャーにおいて、
発泡性飲料を入れる収容部を確定する容器と、
前記容器に形成された注ぎ口と、を備え、
前記注ぎ口が前記容器の周壁に対して斜め上方に伸びる傾斜面により確定され、前記注ぎ口の上下方向の長さが前記収容部の深さの20%ないし40%であることを特徴とするピッチャー。 - 請求項1に記載のピッチャーにおいて、前記注ぎ口の横断面形状が略V字形状であるピッチャー。
- 請求項1又は2に記載のピッチャーにおいて、更に、前記容器の外側に前記容器の周壁及び底壁との間で断熱空間を形成するように、固定された他の容器を備えるピッチャー。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載のピッチャーと、このピッチャーに取り付けて使用するピッチャーカバーとを備える、カバー付きピッチャーにおいて、
前記注ぎ口の先端部を除く一部を被う第1の部分及び前記第1の部分に隣接していて前記ピッチャーの上部開口部の少なくとも一部を被う第2の部分とを備え、
前記第1の部分には前記第1の部分に被われていない前記注ぎ口から流出する飲料の主流に注入可能に副流を形成する少なくとも一つの副流孔が形成されていることを特徴とするカバー付きピッチャー。 - 請求項4に記載のカバー付きピッチャーにおいて、前記副流孔が2個であるカバー付きピッチャー。
- 請求項4又は5に記載のカバー付きピッチャーにおいて、前記ピッチャーの前記開口部の周縁を囲むように周方向に伸びるスカート部を備え、前記第1及び第2の部分が前記スカート部に一体的に取り付けられているカバー付きピッチャー。
- 請求項4又は5に記載のカバー付きピッチャーにおいて、前記第2の部分が前記開口部の少なくとも外周部分全体を被い得るカバー付きピッチャー。
- 請求項6に記載のカバー付きピッチャーにおいて、前記第2の部分が前記開口部の少なくとも外周部分全体を被い得るカバー付きピッチャー。
- 請求項8に記載のカバー付きピッチャーにおいて、前記第2の部分には、前記ピッチャーの開口部の中央部分に対応する位置に、前記スカート部の伸長する方向に湾曲状に突出する第1の突出部と、前記第1の突出部とは不連続で第1の突出部とは反対方向に突出する第2の突出部とが形成され、前記第1の突出部及び第2の突出部でカバーの取っ手部を構成しているカバー付きピッチャー。
- ビールディスペンサーから請求項1ないし3のピッチャーもしくは請求項4ないし9のカバー付きピッチャーのいずれかに記載の注ぎ口付きピッチャーに発泡性飲料を注ぐ方法において、
ビールディスペンサーから吐出された発泡性飲料を、前記ピッチャーの前記注ぎ口の傾斜面に当てるように注ぐことを特徴とするピッチャーへの発泡性飲料の注ぎ方法。
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