JP5123482B2 - 円筒体検査装置および同装置の設備状態評価方法 - Google Patents

円筒体検査装置および同装置の設備状態評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、感光体ドラム基体等の円筒体の表面検査を行う円筒体検査装置、およびその設備状態評価方法等に関する。
感光ドラム用基体等の円筒体では、キズ、凹凸、異物付着および汚れ等の表面欠陥を検出するための表面検査等が行われている(下記特許文献1、2参照)。
このような表面検査における照明やカメラ等の光学系の位置設定は、検査位置にセットした円筒体を照明し、その反射光の強弱レベルや波形をオシロスコープ等で目視確認する方法が採られている。
特開平11−185040号 特開2003−121129号
ところで、感光ドラム基体等の表面検査では、微小な欠陥を検出できる高い検査精度が求められるため、光学系の位置設定等の設備状態について高い精度が求められる。
しかしながら、上述したオシロスコープ等を用いた目視確認方法では、各部に位置ずれが発生していてもその検出感度が十分に確保できないため、微妙な設備状態の良否を評価することが困難であった。
また、照明やカメラ等の位置を三次元測定器や別途の変位センサ等で測定することも考えられるが、このような検査装置を外側から評価する機器によると、照明の外形に対する光源の取付位置誤差や、カメラの外形に対するレンズや撮像素子の取付位置誤差等に対応することができず、最終的な設備状態を保証することができない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高い精度で設備状態を評価することができ、ひいては正確な検査を行って、高精度な円筒体を生産することができる円筒体検査装置およびその評価方法等を提供することを目的とする。
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
[1]検査対象物たる円筒体を所定の検査位置で周方向に回転可能に支持する支持部と、前記円筒体の外表面を照明する照明と、前記円筒体の軸方向に延びる検出領域を撮影するカメラと、を有する円筒体検査装置の設備状態評価方法であって、
前記支持部により前記円筒体を前記検査位置に支持し、
前記照明により、前記円筒体の軸方向に明暗縞が形成されるように前記円筒体の表面を照明し、
前記カメラにより前記円筒体を撮影して前記明暗縞各部の明暗階調を検出し、
検出された前記明暗縞の明暗階調に基づいて設備状態の良否を評価することを特徴とする円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[2]前記円筒体の軸方向に複数の遮光部と透光部とが交互に繰り返し形成されてなるスリット体を前記照明と円筒体との間の所定位置に配置し、該スリット体を介して前記照明により前記円筒体の表面を照明することにより前記明暗縞が形成される前項1に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[3]前記スリット体は、前記検査装置に常設されたものである前項2に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[4]前記評価は、前記明暗縞の暗部の明暗階調に基づいて行う請求項1〜3のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[5]前記明暗縞の暗部の最低階調が、前記カメラの感度域内に含まれる前項4に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[6]前記評価は、前記明暗縞の暗部の最低階調の階調値に基づいて行う前項5に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[7]前記評価は、前記明暗縞の暗部の最低階調の階調値が、所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて行う前項6に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[8]前記評価は、複数の暗部の最低階調の前記円筒体の軸方向における変化の傾向に基づいて行う請求項6に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[9]前記評価は、前記明暗縞の暗部の前記円筒体の軸方向についての幅に基づいて行う前項1〜3のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[10]前記評価は、設備状態評価時に検出された明暗縞の明暗階調と、特定のマスターワークについて当該検査装置において検出され、予め保存された明暗縞の明暗階調データとを比較して行う請求項1〜9のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[11]設備状態評価時における撮影対象に、前記マスターワークを用いることを特徴とする前項10に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[12]前記設備状態として、前記照明、前記カメラおよび前記円筒体の位置関係の良否を評価する前項1〜11のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[13]前記設備状態として、前記照明の照明ムラを検出する前項1〜12のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[14] 前記円筒体の表面に明暗縞を形成し、前記円筒体を回転させながら、前記明暗縞の明暗階調の前記円筒体の周方向における変化を検出する前項1〜13のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[15]前記カメラは、ラインセンサカメラである前項1〜14のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[16]前記円筒体は、その表面が鏡面状であることを特徴とする前項1〜15のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[17]前記検査対象物たる円筒体は、感光ドラム用基体であることを特徴とする前項1〜16のいずれかに記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
[18]円筒体検査装置に対して前項1〜17のいずれかに記載の設備状態評価方法により設備状態を評価するステップと、
前記評価結果に基づいて、当該円筒体検査装置の設備状態を調整するステップと、
を含むことを特徴とする円筒体検査装置の調整方法。
[19]円筒体検査装置に対して前項1〜17のいずれかに記載の設備状態評価方法により設備状態を評価するステップと、
前記評価結果に基づいて、当該円筒体検査装置の設備状態を調整するステップと、
設備状態が調整された円筒体検査装置により検査対象物たる円筒体に対して表面状態の検査を実行するステップと、
を含むことを特徴とする円筒体の検査方法。
[20]円筒体を成形するステップと、
円筒体検査装置に対して請求項1〜17のいずれかに記載の設備状態評価方法により設備状態を評価するステップと、
前記評価結果に基づいて、当該円筒体検査装置の設備状態を調整するステップと、
設備状態が調整された円筒体検査装置により検査対象物たる円筒体に対して表面状態の検査を実行するステップと、
を含むことを特徴とする円筒体の製造方法。
[21]検査対象物たる円筒体を所定の検査位置で周方向に回転可能に支持する支持部と、
前記円筒体の外表面を照明する照明と、
前記円筒体の軸方向に延びる検出領域を撮影するカメラと、
前記円筒体の軸方向に複数の遮光部と透光部とが交互に繰り返し形成され、前記照明と円筒体との間の所定位置に常設されたスリット体と、
前記支持部により前記円筒体を前記検査位置に支持し、前記スリット体を介して前記照明により前記円筒体の表面を照明して前記円筒体の表面に明暗縞を形成したとき、前記カメラにより前記円筒体を撮影して検出される前記明暗縞各部の明暗階調に基づいて、設備状態の良否を評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする円筒体検査装置。
[22]円筒体を成形する成形手段と、
前記円筒体を検査対象物として表面検査を行う前項21に記載の円筒体検査装置と、 前記円筒体検査装置における検査結果が所定の基準を満たすか否かにより当該円筒体を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該円筒体を完成品とする判別手段と、
を備えたことを特徴とする円筒体製造システム。
[23]前項20に記載の円筒体の製造方法により製造されたことを特徴とする円筒体。
[24]前項20に記載の円筒体の製造方法により製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
上記発明[1]によると、円筒体の表面に明暗縞を形成し、この明暗縞の明暗階調をカメラによって検出するため、高い精度で設備状態を評価することができ、ひいては正確な検査を行って、高精度な円筒体の生産に寄与することができる。
また、実際の検査時に使用される支持部、照明およびカメラ自身による検出結果に基づいて設備状態を評価するため、照明やカメラの位置ずれを変位センサ等で検出する場合のような照明の外形に対する光源の取付位置誤差や、カメラの外形に対するレンズや撮像素子の取付位置誤差等による影響が生じることもなく、実際の検査時と近似した条件下で設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[2]によると、スリット体を介して前記照明により円筒体の表面に明暗縞を形成するが、このようにして形成される明暗縞は各部の位置関係に対して敏感に変化するため、カメラによりその明暗階調を検出することにより、さらに高い精度で設備状態を評価することができ、ひいては正確な検査を行って、高精度な円筒体の生産に寄与することができる。
上記発明[3]によると、前記スリット体も検査装置に常設されたものであるため、円筒体に対する実際の検査時にさらに近似した条件下で設備状態の評価をより適切に行うことができる。
上記発明[4]によると、前記評価を、各部の位置関係の変化がより敏感に検出されやすい明暗縞の暗部の明暗階調に基づいて行うため、より高い精度で設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[5]によると、明暗縞の暗部の最低階調がカメラの感度域内に含まれるため、暗部の明暗階調を確実に捉えて、より高い精度で設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[6]によると、前記評価を、各部の位置関係の変化がより敏感に検出されやすい明暗縞の暗部の最低階調の階調値に基づいて行うため、さらに高い精度で設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[7]によると、明暗縞の暗部の最低階調の階調値が所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて評価が行われるため、簡便に設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[8]によると、複数の暗部の最低階調の軸方向における変化の傾向に基づいて評価が行われるため、軸方向における変化の傾向に表れる設備状態の不良の種類や程度についても評価することができる。
上記発明[9]によると、明暗縞の暗部の前記円筒体の軸方向についての幅に基づいて評価が行われるため、簡便に設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[10]によると、前記評価が、設備状態評価時に検出された明暗階調と、マスターワークの明暗階調データとを比較して行われるため、当該装置における適切な設備状態を基準として現在の設備状態を評価することができる。
上記発明[11]によると、設備状態評価時における撮影対象に前記マスターワークを用いるため、円筒体に原因のある誤差を排除して、より正確に設備状態の評価を行うことができる。
上記発明[12]によると、設備状態として各部の位置関係を評価することができる。
上記発明[13]によると、設備状態として照明ムラを評価することができる。
上記発明[14]によると、前記円筒体を回転させながら明暗縞の周方向変化を検出するため、前記支持部における円筒体の回転支持状態を評価することができる。
上記発明[15]によると、ラインセンサカメラが用いられるため、円筒体の軸方向に延びる検査領域の各部分の連続的な変化を確実に捉えることができる。
上記発明[16]によると、円筒体の表面が鏡面状であるため、検査領域における拡散光の影響を軽減して明暗縞を捉えることができる。
上記発明[17]によると、感光ドラム用基体に求められる表面精度の検査精度を評価して、好適な感光ドラム用基体の生産に寄与することができる。
上記発明[18]にかかる調整方法によると、上述した設備状態評価方法による評価結果に基づいて設備状態を調整するため、設備状態を高い精度で調整して、高精度な円筒体の生産に寄与することができる。
上記発明[19]にかかる円筒体の検査方法によると、円筒体の表面状態を高い精度で確実に検査して、高精度な円筒体の生産に寄与することができる。
上記発明[20]にかかる円筒体の製造方法によると、成形した円筒体の表面精度を高い精度で確実に検査して、高精度な円筒体を製造することができる。
上記発明[21]にかかる円筒体検査装置によると、円筒体の表面状態を高い精度で確実に検査して、高精度な円筒体の生産に寄与することができる。
上記発明[22]にかかる円筒体製造システムによると、成形した円筒体の表面精度を高い精度で確実に検査して、高精度な円筒体を製造することができる。
上記発明[23]にかかる円筒体によると、高い表面精度を確実に確保することができる。
上記発明[24]にかかる感光ドラム用基体によると、高い表面精度を確実に確保することができる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、模式的な説明図を参照しながら説明する。
図1は、この第1実施形態にかかる表面検査装置(円筒体検査装置)の検査対象物とされる円筒体(管体)の斜視図である。
<検査対象物>
この図1に示すように、円筒体(管体)90は、たとえば電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、FAX装置、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、現像ローラ、その他各部に利用されるものであり、その外周面91が表面検査の検査対象領域とされる。
このような円筒体90としては、具体的には、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム用の素管や基体を挙げることができる。なお、感光ドラム用の基体とは、切削加工や引抜き加工等が行われた後の円筒体であって、感光層の形成前の円筒体をいう。また、感光ドラム用基体に感光層を形成した後の円筒体も、本発明の検査を行う対象たる円筒体とできる。感光ドラム用基体外周面の検査対象領域91は、金属光沢を有し、入射した光のほとんどを正反射する鏡面となっている。
この表面検査装置の検査対象物とされる感光ドラム用基体は、たとえば直径が10〜60mm、長さ200〜500mm程度のものである。
このような円筒体90の製造方法としては、後述するように、押出成形および引き抜き成形の組み合わせを挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、押出成形、引き抜き成形、鋳造、鍛造、射出成形、切削加工またはこれらの組み合わせなど、円筒体を製管できる方法であればよい。
また、対象とする円筒体90の材質は特に限定されるものでなく、各種の金属材料の他、合成樹脂等を適用することができる。たとえば、アルミニウムおよびアルミニウム合金(1000〜7000系)、銅および銅合金、鋼材、マグネシウムおよびマグネシウム合金を挙げることができる。
特に好ましい材質の例として、アルミニウム合金の3003合金、6061合金、6051合金および7075合金を挙げることができる。たとえば3003合金は好ましくは感光ドラム用基体として用いることができ、6061合金は好ましくは自動車部品であるプロペラシャフトとして用いることができ、6051合金は好ましくは一般機械部品として用いることができ、7075合金は好ましくはバット用素管として用いることができる。なお、本明細書中の「アルミニウム」はアルミニウム合金を含むものである。
<全体構成>
図2は、本発明の第1実施形態にかかる表面検査装置の正面図である。図3は、同装置の平面図である。図4は、同装置の側面図である。
この表面検査装置1は、図2に示すように、照明(光源)10、遮光体20、カメラ30、検査位置の円筒体(検査対象物)90を支持するチャック部70およびカメラ30によって撮像された画像を処理する画像処理装置80等を備えた検査装置本体2と、検査装置本体2に円筒体90を供給する円筒体供給コンベア51と、検査装置本体2から円筒体90を順次搬出する合格品搬出コンベア52および不合格品搬出コンベア53とを備えている。
円筒体供給コンベア51は、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台59…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台59…を図示しない駆動チェーンで移動させることにより、検査前の円筒体90を検査装置本体2に移送する。
検査装置本体2の円筒体供給側(図2,図3の左側)には、円筒体90を両側端部から挟んで持ち上げて移送するコンベア間移載装置54が設けられており、円筒体供給コンベア51によって搬送されてきた円筒体90を、コンベア間移載装置54によって検査装置本体2内の搬送コンベア61に移載するようになっている。
合格品搬出コンベア52および不合格品搬出コンベア53は、ともに、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台59…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台59…を図示しない駆動チェーンで移動させることにより、検査後の円筒体90を検査装置本体2から搬出する。また、合格品搬出コンベア52と不合格品搬出コンベア53をまたぐ位置には、不合格品払出ロボット56が設けられており、検査装置本体2における検査で不合格品と判定された円筒体90を、合格品搬出コンベア52上から不合格品搬出コンベア53上に送り出すようになっている。
検査装置本体2の円筒体搬出側(図2,図3の右側)には、円筒体90を両側端部から挟んで持ち上げて移送するコンベア間移載装置55が設けられており、検査装置本体2内の搬送コンベア62上の円筒体90を、コンベア間移載装置55によって合格品搬出コンベア52に移載するようになっている。
検査装置本体2内の搬送コンベア61,62は、上縁部がV型に切り欠かれた円筒体支持台63…で各円筒体90…の両端近傍部分を支持し、各円筒体支持台63…を駆動チェーンで移動させることにより、検査直前および直後の円筒体90を移送する。
<回転移送装置>
検査前後の搬送コンベア61,62の間には、円筒体90を検査位置Bに移送する回転移送装置64が配置されている。この回転移送装置64は、円筒体90を支持するチャック部70を複数(ここでは4個)備えている。
各チャック部70…は、回転駆動モータ65の回転軸66に接続された回転フレーム67に取り付けられており、搬送コンベア61から円筒体90を取り出すの取出位置Aと、光源10、遮光体20およびカメラ30等の検査光学系による検査を実行する検査位置Bと、搬送コンベア62に円筒体90を送り出す送出位置Cとに同時に位置するチャック部70…が存在するように配置されている。
そして、取出位置Aに位置するチャック部70は搬送コンベア61から検査前の円筒体90をチャックして取り出し、検査位置Bに位置するチャック部70は円筒体90を回転支持して表面検査を実行し、送出位置Cに位置するチャック部70は検査後の円筒体90のチャックを解除して搬送コンベア62に送り出す作業を、同時並行して行うことができるようになっている。また、取出位置Aから検査位置Bに移動するチャック部70は、検査位置Bに搬送するまでに円筒体90の回転が安定するように、予め円筒体90の回転駆動を開始するようになっており、これにより検査位置Cに到着すれば即座に表面検査を実行して、サイクルタイムの短縮を図ることができるようになっている。
<チャック部>
図5は、第1実施形態におけるチャック部70の正面図である。図6は、同チャック部70の側面図である。
これらの図に示すように、各チャック部70は、1つの基準ローラ71と、2つの支持ローラ72,72とを備えており、円筒体90の両側に配置された一対のチャック部70,70が協働して、1本の円筒体90をチャックするようになっている。
各チャック部70における基準ローラ71は、検査位置Bにおける姿勢では、円筒体90の内周面の上側に接触してその高さ位置を規定する。基準ローラ71は、チャック部本体76に対して回転可能に取り付けられ、検査実行時に円筒体90とともに回転する。また、協働して1本の円筒体90をチャックする一対のチャック部70の一方には、基準ローラ回転駆動モータ73が設けられ、検査実行時に基準ローラ71を回転駆動することにより、円筒体90を回転させることができるようになっている。
支持ローラ72,72は、検査位置Bにおける姿勢では、円筒体90の内周面の下側左右にそれぞれ接触し、エア駆動圧によって円筒体90を下方に付勢することにより、円筒体90の内周面の上側を確実に基準ローラ71に接触させて、その高さ位置を安定させる。また、支持ローラ72、72は、チャック部本体76に対して回転可能に取り付けられ、検査実行時には円筒体90とともに回転する。また、支持ローラ72,72は、図5,図6に破線と実線とで示すように、検査位置Bにおける姿勢では、上下方向に移動することにより基準ローラ71との距離を円筒体90の内径よりも小さくして、円筒体90をチャックする前後には基準ローラ71とともに円筒体90の内側に挿入することができるようになっている。これらの動作のため、各チャック部70…には、支持ローラ72,72をエア駆動圧によって上下に移動動作させる支持ローラ駆動部74が設けられている。
基準ローラ71および支持ローラ72,72が取り付けられたチャック部本体76は、回転移送装置64の回転フレーム67に取り付けられたチャック部ベース77に対し、スライド駆動部75によって円筒体90の軸方向にスライド動作可能となっており、円筒体90を両外側から挟み込んでチャックすることができるようになっている。
回転移送装置64およびチャック部70は、円筒体90を所定の検査位置Bで回転可能に支持する支持部を構成している。
<照明(光源)>
照明(光源)10は、検査位置Bに搬送されてきた円筒体90の外表面に対して検査のための照明光を照射する。この照明10は、高輝度が得られる蛍光灯等のライン状光源から構成され、円筒体90の長手方向に沿った広がりを有している。この照明10は、図2に示すように、光源支持フレーム13によって、検査位置Bにある円筒体90のほぼ真上に配置され、照射する光を効率的に円筒体90側に向けるため、光源フード12によって下方以外が覆われている。
この照明10は、所定の広がりを有し、拡散光を照射する光源を備えている。
拡散光とは、光源からランダムな方向に拡散して照射される光をいう。なお、拡散光でない光としては、平行光が挙げられる。平行光とは、光源から発せられた光を、例えばレンズまたはファイバーを用いて集光させ、方向性を持った光の束として照射されるようにしたものである。
照明10の光源が所定の広がりを有するとは、光源が実質的に点光源でなく、拡散光を発する部位が一定の面積を有することをいう。
このような所定の広がりを有し、拡散光を照射する照明10を用いれば、円筒体90の表面の各部位には、この照明10の各部から種々の方向の光が入射することとなる。
<遮光体>
遮光体20は、光源10から照射される光の一部を遮光して、円筒体90の外周面91に明暗縞を形成することで種々の異なる光学条件を構成する。
図7は、第1実施形態における遮光体20の斜視図である。図7に示すように、第1実施形態の遮光体20は、複数のスリット孔状の透光部23…と、遮光部24…とが交互に繰り返すように形成されたスリット体から構成されている。
透光部23および遮光部24の大きさは、適宜設定することができるが、たとえば、透光部23の幅(開口幅)aは1〜6mm程度、遮光部24の幅は3〜6mm程度が好ましい。
この遮光体20は、図2〜図4に示すように、遮光体支持台25に取り付けられ、照明10と検査位置Bの円筒体90との間に常設配置されている。
このような透光部23…および遮光部24…が形成された遮光体(スリット体)20を介し、所定の広がりを有し、拡散光を照射する照明10によって円筒体90を照明すると、円筒体90の表面では、部位によって遮光部24…により遮光される光量が異なることとなるため、到達光量が連続的に変化した明暗縞が形成されることになる。
<カメラ>
カメラ30は、多数の光量検出要素が一次元的に配列されてなるラインセンサ32と、円筒体90の軸方向に延びる所定の検出領域31をラインセンサ32上に結像するレンズ等を備えたラインセンサカメラとして構成されており、検出領域31の各部から入射する光量を検出する。
なお、ラインセンサ32は、一次元的な光量情報を検出できるものであればよく、一列の白黒ラインセンサでも、たとえばRGB等の各色用のセンサが合計3列に並べられたカラーラインセンサ、あるいは各色用のセンサを交互に配列してなるカラーラインセンサでもよい。さらに、ラインセンサの主たる配列方向とは垂直方向に複数列のセンサを配列したTDIラインセンサでもよい。あるいは、2次元的に配列されたセンサの特定の1または複数列のみを選択的に用いることで実質的にラインセンサとして利用されるパーシャルスキャンカメラ等であってもよい。
このカメラ30は、その位置および角度を微調整可能なカメラ支持台34に取り付けられ、検査位置Bの円筒体90の外周面91のうち、軸方向に延びる所定の領域を検出領域31として狙っている。
<スライドテーブル>
遮光体20が取り付けられる遮光体支持台25およびカメラ30が取り付けられるカメラ支持台34は、ともにスライドテーブル40上に取り付けられ、検査位置Bの円筒体90の軸方向についてスライド移動動作可能となっている。すなわち、スライドテーブル40は、本体フレームに固定されたスライドテーブル支持台42上をスライドコロ41によってスライド移動動作可能に支持され、スライド駆動モータ43によってスライド駆動されるようになっている。
このスライド駆動動作のストロークは、遮光体20の透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和よりも大きく設定されている。具体的には、たとえば、透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和の1.1倍以上程度が好ましい。これにより、円筒体90の外周面の検査対象領域91の軸方向位置の全域が、遮光体20の透光部23および遮光部24の直下に位置する場合が実現されるようになっている。
<要部>
図8は、第1実施形態にかかる円筒体90の表面検査装置の要部の概略を表した側面図である。図9は、同斜視図である。
図8に示すように、カメラ30は、円筒体90の曲率に応じて、遮光体20が存在しなければ常に光源10から円筒体90外周面の検査対象領域91に入射する光の正反射光を受光する位置に配置されている。
また、カメラ30による検出領域31は、円筒体90の内周面側が基準ローラ71によって支持されている部分に対向する外周面91側部分となっている。この部分は、円筒体90の各部のうちで、基準ローラ71によって支持されているために最も位置および角度が安定する部分である。したがって、円筒体90の曲がり等の形状精度により、表面検査の結果に影響が及ぶことを低減することができる。
また、カメラ30による検出領域31は基準ローラ71に対向する部分となっているため、サイズ(直径)が異なる円筒体90であっても、ほぼ同一の光学条件を構成することができる。とくに、円筒体90の厚みが同一であれば、検出領域31については実質的に同一の光学条件を構成することができる。したがって、種々のサイズの円筒体90の表面検査を行う場合であっても、段取り替えに要する手間および時間を最小限に抑え、効率的に表面検査を実行することができる。
また、円筒体90は、その内周面側から支持されているため、基準ローラ71等が円筒体90の外周面91に影を生じるなどの表面検査への悪影響を低減することができる。
また、図8に示すように、光源10は、円筒体90の軸方向に広がりを有し、下向きに種々の角度の光を照射するため、円筒体90外周面91の検査対象領域の各部位には遮光体20の透光部23を通過した種々の角度の光が入射するが、遮光体20の遮光部24…により入射する光の角度は制限される照明制限領域となっている。そして、カメラ30から見ると、カメラ30の検出領域31には、カメラ30に入射する正反射光が存在する正反射光領域28と、正反射光が存在しない正反射光制限領域29とが形成されている。このため、この第1実施形態では、正反射光制限領域29において、各部が正常である場合にカメラ10への正反射光となる光を遮光し、反射光に僅かな変化しか生じない軽微な表面欠陥による反射光を、正常部の正反射光に埋もれさせてしまうことなく、高いコントラストをもって検出することができる。
また、カメラ30の検出領域31は、この照明制限領域に形成される正反射光領域28および正反射光制限領域29、さらにこれらの境界を通過し、入射角度の制限等の光学条件が変化する連続した領域となっている。検出領域31内のいずれかの部分に、各種類の表面欠陥を検出するために好適な光学条件が構成され、容易にこれを検出することができる。また、各領域で検出される表面欠陥を効率的に捉えることができる。
また、カメラ30は、ラインセンサカメラから構成されているため、この光学条件が変化する検出領域31の各部分の連続的な変化を確実に捉えることができる。
また、検出領域31は、正反射光領域28と正反射光制限領域29との境界を通過するように形成されているため、正反射光制限領域29のうち、正反射光領域28に非常に近接した部分を含んでいる。このため、僅かにしか反射角度を変化させない浅くなだらかな凹欠陥であっても、正常部の正反射光によって埋もれてしまうことなく検出することができる。
また、正反射光領域28および正反射光制限領域29は、検出領域31の長手方向について複数の正反射光領域28および正反射光制限領域29とが交互に繰り返すように形成され、検出領域31は、正反射光領域28および正反射光制限領域29の境界が延びる方向に対して垂直にこの境界を横切っている。この境界は、カメラの受光角度の大きさや遮光体による光の回折等によって正反射光の一部が入射しやすい部分であるが、検出領域31は、この境界を垂直に横切ることで最短で通過しており、これにより、正反射光の影響がなく、より正反射光領域28に近接する部分を検出領域31内に構成することができる。
また、検出領域31は、複数の正反射光領域28および正反射光制限領域29を通過するように形成されているため、正反射光制限領域29において正反射光領域28に近接する部分を複数形成して、効率的に微細な表面欠陥の検出を行うことができる。
具体的な表面検査の実行は、検査位置Bに送り込まれ、基準ローラ70によって回転駆動される円筒体90に対して、カメラ30により連続的にその外周面91を撮像することによって行われる。したがって、円筒体90の外周面91の各周方向位置が順次カメラ30の検出領域31となり、その全域を検査することができる。
この円筒体90の回転速度は、検出したい欠陥サイズとカメラ30のラインセンサ取込速度に応じて設定される。すなわち、カメラ30によって撮影される検出領域31の実質的な幅は、円筒体90が回転している場合、ラインセンサ取込速度と円筒体90の回転速度に応じて決定されることになるが、この検出領域31の実質的な幅が、検出したい欠陥サイズより小さくなるように設定されている。
また、こうして円筒体90を回転させながら、遮光体20は円筒体90の軸方向について、遮光体20の透光部23の幅aおよび遮光部24の幅bの和よりも大きなストロークでスライド移動動作する。このため、円筒体90の外周面91全域を正反射光領域28および正反射光制限領域29、さらにこれらの境界としてカメラ30の検出領域31に含れることとなり、外周面91の全域について微細な表面欠陥をも検出できる表面検査を行うことができる。
具体的に検出される表面欠陥は、カメラの解像度30等にもよるが、たとえばミリオーダー、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダー等の種々の大きさや深さの欠陥、さらに凹み角度等の形状の異なる多様な欠陥を検出することができる。
また、カメラ30が遮光体20とともにスライド移動動作するため、カメラ30の検出領域31内では、常に同じ位置に正反射光領域28および正反射光制限領域29が形成されることになる。このため、表面欠陥の検出を、単純な画像処理によって確実に行うことができる。
また、円筒体90を回転させながら遮光体20およびカメラ30が円筒体90の軸方向に移動するため、円筒体90の外周面91上の正反射光領域28や正反射光制限領域29、さらにカメラ30の検出領域31は、円筒体90の外周面91上を螺旋状に移動することとなる。この場合、円筒体90の外周面91上の各部位は、遮光体20およびカメラ30の移動により、円筒体90の一回転毎に異なる光学条件の下で表面検査されることになる。
<画像処理例>
図10は、カメラによって撮像された画像から表面欠陥を検出するため、画像処理装置80によって行われる画像処理工程の例を示す説明図である。
図10(a)は、カメラ30によって撮影された画像の例である。この図では、ある瞬間にカメラ(ラインセンサ)30によって検出された検出領域31の明るさがグラフとして表されており、横軸が検出領域31の各部位を、縦軸が明暗階調を示している。
この図に示すように、この例では、明領域と暗領域との境界領域の明暗階調が、カメラ30の感度域の中間の階調域で段階的に階調変化するように、カメラ感度(明暗分解能)や感度域(検出階調領域)が設定されている。
図10(b)は、管体90を回転させながら撮影された画像の例である。この図では、横軸方向の各ラインが各瞬間にカメラ(ラインセンサ)30によって検出された検出領域31の明るさを示しており、管体90を回転させながら順次連続的に撮像を繰り返して得られた画像を縦軸方向に並べている。
カメラ30は遮光体20とともに管体90の軸方向に移動するため、この図に示す撮像画像では、正反射光領域28(図中、縦方向に延びる白い部分)や正反射光制限領域29(図中、縦方向に延びる黒い部分)の横方向位置が変化していない。ちなみに、カメラ30を移動させなければ、正反射光領域28等は、図中で斜め方向に延びることになる。
こうして得られる画像に対しては、欠陥検出を容易にするため、微分処理、積分処理、膨張処理、収縮処理などの画像処理を駆使して、正反射光制限領域(暗領域)29や境界領域の微弱信号を強調する加工を行うことが望ましい。
図10(c)は、カメラ30によって撮像された画像を、カメラ30の走査方向(ラインセンサの並び方向、図の横軸方向)に対して差分処理を行い、明るさの変化量を表現したものである。
このとき、明暗階調が段階的に変化する部分では、表面欠陥等による階調変化がもともとの段階的な階調変化に上乗せされるため強調されやすく、その結果、表面欠陥等による階調変化が検出されやすいという画像処理上の特徴がある。
上述したように、この例では、明領域と暗領域との境界領域において段階的な階調変化が見られるようにカメラ感度や感度域が設定されているため、かかる境界領域において特に表面欠陥等による階調変化が検出されやすいようになっている。
図10(d)は、さらに、各ラインのデータについて、以前の1または複数のラインの同位置のデータとの差分を算出し、その差分の大きさを濃淡で表現したものである。
図10(e)は、得られた濃淡データから、所定のしきい値(基準値)を越える部分を表面欠陥として表示したものである。
このように第1実施形態では、画像処理装置80が表面検査の結果から表面欠陥の評価をして、円筒体90に表面欠陥がない場合あるいは見出された表面欠陥の種類や程度が許容できる範囲内である場合、当該円筒体90を合格品(完成品)と判別する。すなわち、画像処理装置80は、判別手段として機能している。
なお、上述の画像処理は一例であり、任意の処理手順を採用することが可能である。
<設備状態評価>
次に、本発明にかかる円筒体検査装置の設備状態評価方法について説明する。
上述した円筒体検査装置(表面検査装置)において適切に表面検査を行うためには、当然ながら、装置の設備状態が整っていることが必要である。たとえば、照明光が適切に検査領域に照射され、検査対象物(円筒体)からの反射光は意図どおりにカメラに入射しなければならない。適切な反射光量が得られなければ、意図する表面検査画像が得られず適切な検査ができない。
特に、円筒体を対象として表面検査を行う場合、円筒体の軸位置が光路を外れる方向に僅かでもずれれば、検査面となる円筒体の外表面の角度が変化してしまうため、反射光量が極端に変動してしまうという困難性がある。
したがって、円筒体を対象とする場合、設備状態の調整を極めて正確に行うことが必要であり、このため、各部の位置関係や、角度(向き)、さらに照明ムラ、照明やカメラ等の光学系の汚れ付着等を評価することが求められる。
以下、この表面検査装置に対して、検査対象物たる円筒体(感光ドラム基体)への表面検査に先立って行われる設備状態の評価および調整について説明する。
なお、このような設備状態の評価および調整は、日々の就業開始時や、定期メンテナンス時、あるいは設備状態に疑義のある時に適宜行われる。
この表面検査装置における設備状態の評価は、特定のマスターワークについて、当該装置の設備状態が良いときに予め検出して保存しておいたマスターデータと、設備状態評価時現在に、同じマスターワークに対して検出されるデータとを比較することによって行われる。このように設備状態が良いときのマスターデータを検出した際と同じマスターワークを用いて現在の設備状態を検出すれば、円筒体に原因のある誤差を排除して、正確に設備状態の評価を行うことができる。
比較されるデータは、通常の円筒体90に対する表面検査と同様に、所定の検査位置にマスターワークを支持し、照明10からの照明光で遮光体(スリット体)20を介してマスターワークの表面に明暗縞を形成し、これをカメラ30によって撮影して検出した明暗階調が用いられる。所定の検査位置Bに支持されたマスターワークは、後述するように回転させても、静止状態であってもよい。
マスターワークは、検査対象物たる円筒体90から、形状や表面状態に優れた特定のもの、例えば形状や表面状態が検査基準に合格したものから任意に選んだものである。ただし、マスターワークは、その保存性等を高めるため、通常の検査対象物たる円筒体90と、異なる材質や特別な表面処理等を施しておいてもよい。
なお、このようなマスターデータは、当該表面検査装置が備える画像処理装置80を構成するコンピュータ上に記憶されている。また、画像処理装置80は、設備状態評価時に検出された明暗階調に基づき、後述する各種の設備状態の良否評価を行う評価手段として機能するものである。
上述したように、設備状態の評価は、実際の検査時に使用される支持部、照明およびカメラ自身による検出結果に基づいて行われるため、照明やカメラの位置ずれを変位センサ等で検出する場合のような照明の外形に対する光源の取付位置誤差や、カメラの外形に対するレンズや撮像素子の取付位置誤差等による影響が生じることがなく、実際の検査時と近似した条件下で設備状態の評価を行うことができるという利点がある。
図11〜14、図16〜18では、横軸が円筒体の軸方向を表し、縦軸に円筒体軸方向に延びる検出領域各部の明暗階調値が現れている。
図11は、設備状態評価時に検出された明暗階調と、予め保存された設備良好時の明暗階調(マスターデータ)とを合わせて表した明暗階調グラフであって、破線が良好な設備状態の下で検出されたデータ(マスターデータ)を表したものであり、実線が評価時現在に検出されたものである。
なお、この図11では、マスターデータのグラフを視認できるように、設備状態評価時の明暗階調グラフに対して若干横軸方向にずらして表示しているものを図示しているが、実際には両グラフにおける暗部の形成位置は円筒体の軸方向について一致している。
また、マスターデータのグラフと設備状態評価時のグラフとが実際にずれている場合には、マスターデータ取得時と設備状態評価時とで、遮光体(スリット体)またはカメラの設置位置がずれていると判断できる。
ここでは、円筒体90の表面に形成される明暗縞のうち、暗部の明暗階調値を用いて設備状態評価を行うようになっている。このため、カメラ30の感度域が明暗縞の暗部の最低階調をその内側に含むように調整されており、これにより、明暗縞の暗部の明暗階調を確実に捉えられるようになっている。
このようにスリット体によって形成される明暗縞は照明、円筒体およびカメラを含む光学系の位置関係に対して敏感に変化する特性がある。特に、明暗縞の暗部は、もともと光量が少ないため、光学系の位置関係の変化による光量変化の割合(変化率)が大きく、変化を敏感に検出しやすい。したがって、明暗縞の暗部の階調値を用いれば、より高い精度で設備状態の評価を行うことができる。
暗部の明暗階調値を用いた評価は、例えば各暗部ごとの最低階調値を評価時現在とマスターデータとで比較する方法を挙げることができる。図11では、円筒体90の軸方向中央付近の暗部について、評価時現在の暗部の最低階調値とマスターデータのそれとの明暗階調の差が着目されている。この差に基づいて、評価時現在の設備状態が、マスターデータが検出された時の良好な設備状態からどれだけずれているかのずれ(変位)の程度を評価することができる。
また、現在の設備状態が、所定の表面検査精度を確保できる許容範囲にあるか否かを判断するのであれば、たとえばマスターデータを基準とした許容階調領域を設定しておき、現在の明暗縞の暗部の明暗階調がこの許容階調領域内にあるか否かから簡易に判別することも可能である。
図12は、マスターデータを基準とした許容階調領域の設定例である。同図においてグラフはマスターデータの明暗階調、2本の破線に挟まれた領域が許容階調領域を示している。
この設定例は、たとえば、マスターデータを中心にして±α%(α=許容定数:例えば1〜20)を許容範囲として設定した例である。
この例では、評価時現在に検出された明暗縞の各暗部の最低階調値が、前記許容階調領域にあれば、現在の設備状態は許容範囲内にあると判断できる。
また、上記図11のように、マスターデータと設備評価時の明暗階調グラフどおしを直接比較してもよいが、円筒体の表面形状(凹凸)や反射光量(光沢)のバラツキの影響を極小化するためには、それぞれのグラフの特徴を抽出して、これを比較判定する方が望ましい。
このような方法としては、たとえば、円筒体90の軸方向に並ぶ複数の暗部の変化の傾向に基づいて、現在の設備状態にどのような種類の設備不良が発生しているかを評価することができる。設備不良の種類に応じた特徴が、軸方向に並ぶ暗部の明暗階調の変化の傾向に現れるためである。
この複数の暗部の変化の傾向は、たとえば、各暗部をそれぞれの最低階調値に代表させ、これら最低階調値を軸方向にプロットし、これらをならした曲線の形状や位置によって特徴付けることができる。
具体的に、このような明暗階調グラフの特徴を抽出した曲線(傾向曲線)の求め方としては、上記の最低階調値をならして形成する他、ローパスフィルタ処理、最低階調値の多次元曲線へのフィッティング処理、さらにそのようにして求めた曲線の累積曲線化などを挙げることができる。
このように、発生している設備不良の種類についても評価することができれば、設備状態の調整を容易かつ適切に行うことが可能となる。
<設備状態評価の具体例>
以下、設備状態評価の具体例について説明する。
図13、図14は、照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が平行にずれている場合に検出される明暗階調グラフの例である。これらの図において、左右に延びる破線は、マスターデータにおける各暗部の最低階調値をプロットし、これらをならして得られたマスターデータの暗部の変化傾向を表す傾向曲線である。また左右に延びる実線は、評価時に検出した各暗部の最低階調値の変化傾向を表す傾向曲線である。
図13および図14に示すように、三者の位置関係が平行にずれた場合には、マスターデータの傾向曲線に対して、暗部の明暗階調値が全域にわたってほぼ均一に上側または下側にずれている。
このように暗部の明暗階調値が全域にわたってほぼ均一にずれるのは、軸方向各部で差異のない設備状態のずれが生じていることを示している。原因としては、照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が平行にずれている可能性が高い。なお、位置関係の平行ずれには、カメラや照明の向き(角度)のずれも含まれる。また、円筒体の位置は円筒体を支持する支持部によるため、円筒体の位置ずれは、支持部に対する円筒体(マスターワーク)のセット状態の不良、あるいは支持部の位置ずれであると判断できる。
図13または図14のように、マスターデータの傾向曲線に対するずれがプラス向きとマイナス向きのいずれであるかに応じて、照明、円筒体およびカメラの光学系の三者のいずれかが、どの方向にずれ(変位)を生じているかを判断することが可能である。
これは、この例において対象としている表面検査装置が、照明、円筒体およびカメラの三者の位置関係として、カメラへの入射光量を最多とするのではなく、そこから光量が低下し始めた部位を狙う設定を最適な設備状態としていることを前提としているためである。
図15は、この表面検査装置における階調変化量と光学系の軸ずれ量との関係図の一例である。この例では、照明、円筒体およびカメラの三者のうち、円筒体の位置ずれ量をもって光学系の軸ずれ量を代表させており、同図では、三者が適正な位置関係にあるときを0とした円筒体の位置ずれ量を横軸に表している。同図縦軸は、光量(明暗階調)の変化量を示している。
図15の例に示す関係を有する表面検査装置では、円筒体の位置ずれがプラスとされる側にカメラに入射する反射光がピークとなる部位が存在していることが分かる。
このような階調変化量と軸ずれ量の関係が予め明らかであれば、マスターデータからの階調変化から、照明、円筒体およびカメラの三者の位置関係のずれについて、その向きおよびずれ量(距離)を求めることができる。
たとえば、図13では、マスターデータに対して暗部の明暗階調値が増加しているため、マスターデータが検出された時の適正な設備状態に比較して、カメラに入射する反射光量が多くなる向き(プラス向き)に、照明、円筒体およびカメラの少なくともいずれかがずれていることが分かる。また、図14では、カメラに入射する反射光量が少なくなる向き(マイナス向き)にずれが生じていることが分かる。また、検出された階調変化量により円筒体のずれ量に換算したずれ量を求めることができる。
このような関係が明らかであれば、当該円筒体検査装置の照明やカメラ等の光学系や、円筒体の支持部等に対して、外部から調整できる調整機構を設けておくことによって、例えば図15のデータを基に、位置関係のずれを各調整機構にフィードバックすることによって、三者の位置関係のずれの補正を自動的に行うことができる。その結果、定期的にマスターワークを測定して、位置関係の調整をしながら運転を行うことができるようになる。
図16は、照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が、斜めに傾くようにずれている場合に検出される明暗階調グラフの例である。図中の破線は、上述したマスターデータの傾向曲線であり、実線は、評価時に検出した各暗部の最低階調値の変化傾向を表す傾向曲線である。
この図に示すように、照明、円筒体およびカメラの三者の位置関係が斜めに傾くようにずれた場合には、マスターデータの傾向曲線に対する暗部の明暗階調値のずれが、軸方向の一端側から他端側に向かって連続的に増加するように変化する。
このように暗部の明暗階調値のずれが連続的に増加するように変化するのは、一端側から他端側に向かって設備状態のずれが徐々に大きくなっていることを示している。原因としては、照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が斜めに傾くようにずれたために、位置ずれ量の小さい一端側では明暗階調値のずれが小さく、他端側に向かって位置ずれ量が拡大するにつれて明暗階調値のずれも大きくなっている可能性が高い。
図16では、同図の左側に対応する部位では、光学系の位置関係はほぼ適正位置にあるが、右側に向かってカメラに入射する光量が少なくなる向き(マイナス向き)に、照明、円筒体およびカメラの少なくともいずれかがずれていることが分かる。
また、図15に示したような階調変化量と軸ずれ量の関係が予め明らかであれば、たとえば右端側でのマスターデータからの階調変化量により、右端側の光学系のずれ量(変位量)を求めることができる。
図17は、照明の両側端部の光量低下が発生した場合に検出される明暗階調グラフの例である。図中の破線は、上述したマスターデータの傾向曲線であり、実線は、評価時に検出した各暗部の最低階調値の変化傾向を表す傾向曲線である。
蛍光灯等の場合には、長期の使用に伴い長手方向両端部の光量低下を招くことがある。この場合、図17に示すように、マスターデータの傾向曲線に対して、両側端部における暗部の明暗階調値が低下する。
このように両側端部における暗部の明暗階調値が低下している場合には、両端部の光量低下等の照明ムラを検出することができる。
なお、図17のように、両側端部の明暗階調値が低下するのは、照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が斜めに傾くようにずれたことが原因の場合もある。
以上の設備状態の評価は、支持部に支持された円筒体を静止状態であっても実行できるが、通常の表面検査を行う場合と同様に、円筒体を支持部に支持させた状態で回転させながら、その表面に形成された明暗縞の明暗階調を検出するようにしてもよい。このようにすると、明暗縞の明暗階調の時間変化や、円筒体の周方向における階調変化を検出することができる。
図18は、円筒体を回転させながら明暗縞の明暗階調を検出した明暗階調グラフの例である。図中の波形は、ある瞬間に検出された明暗階調を示し、左右に延びる2本の破線は、明暗階調値が時間変化する中で暗部の最低階調値の変動幅(振れ幅)を示している。
この図18の例では、明暗階調は、円筒体の回転によって、あるいは時間の経過に伴って振動しているが、このような振動は、蛍光灯等のちらつきに代表される照明の発光量変動や、円筒体を回転動作させる支持部の回転支持状態に起因する機械振動等の原因がありうる。
なお、円筒体を回転させながら設備状態の評価を行う場合には、その回転速度は、円筒体に対する表面検査(欠陥検出)を行う場合と同じ速度にしてもよいが、設備状態の評価に適した別の速度を設定してもよい。この場合、カメラの撮像時間間隔に応じて、円筒体の周方向について複数の位置を撮影できるように設定することが望ましく、具体的には、円筒体の周方向に90度ピッチの少なくとも4方向における撮影ができるように、円筒体の1回転あたり、カメラにより4回以上の撮像ができる速度を設定することが望ましい。
以上のような各種の設備状態評価は、画像処理装置内に設けられた演算部にて、マスターデータ格納記憶部のマスターデータとカメラから取り込んだ撮像画像データとを、上記のような演算処理、比較処理をすることで実現できる。また、処理結果を表示部に表示することもできる。
このように設備状態の評価を行い、発生している設備不良の種類や程度についても評価ができれば、この評価に基づいて当該検査装置の設備状態を容易かつ適切に調整することができる。
具体的に、この第1実施形態にかかる表面検査装置では、上述したように円筒体90を支持するチャック部を4つ有しているため、各チャック部に順次マスターワークをセットして設備状態の評価と調整を行うことで、設備状態を高い精度に保つことができ、ひいては正確な検査を行って、高精度な円筒体の生産に寄与することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
この第2実施形態は、上述した第1実施形態にかかる表面検査装置1を備えた円筒体90の製造システムである。
図19は、第2実施形態にかかる円筒体の製造システム700の構成を示す機能ブロック図である。
この製造システム700は、円筒体10を製管する製管装置710と、上述した円筒体の表面検査装置1と、表面検査装置1の検査結果を製管装置710にフィードバックするフィードバック部720とを備えている。
製管装置710は、たとえば、アルミニウム合金の引抜き加工によって感光ドラム基体を製管する場合であれば、原料を溶解させて押出加工材料を製造する工程、押出工程、引抜工程、曲がり矯正工程、所定長さへの切断工程、粗洗浄工程、仕上げ洗浄工程等を実行する各機械装置の集合として構成されている。
押出工程は、たとえばアルミニウム製のビレットを押出してアルミニウム押出素管を得る工程である。
図20は、この押出工程を行う押出機の概略平面図である。押出機本体730から押し出されたアルミニウム押出素管740は、複数対配置された支持ローラ750…によって押出方向前方に搬送され、切断機760により所定長さRに切断される。
図21は、押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。この押出ダイス770は、ポートホールダイスであり、771はダイス雌型、772はダイス雄型である。ダイス雌型771には中央部に貫通上の押出孔773が形成されるとともに、押出孔773の入口側の周面が円形のベアリング部774となされている。なお、775はレリーフ部である。一方、ダイス雄型772は、その中央部に断面円形の成型凸部776を有するとともに、成形凸部776の先端周面に円形のベアリング部777が形成されている。なお778は、アルミニウムビレットを通過させる通過孔である。そして、前記ダイス雌型771と前記ダイス雄型772とが組み合わされ、雄型772の成形凸部776先端が雌型771の押出孔773に望んで雌雄両型のベアリング部774,777が環状の成形間隙779を介して対向状の配置されている。
なお、押出方式は特に限定されることはなく、ポートホールダイスを用いたものでもマンドレル押出でもよい。
引抜き工程は、押出加工によって得られた所定長さのアルミニウム押出素管を引抜き加工してアルミニウム引抜管を得る工程である。
図22は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。この引抜き機780は、たとえば、アルミニウム押出素管781を引抜きダイス782と引抜きプラグ783との間に通し、押出素管781先端に形成された口付け部784をキャリッジ部のチャック部785で掴んで該キャリッジ部を前方に移動させることにより、アルミニウム引抜き管786を得るようになっている。引抜きプラグ783は、ロッド787によって支持されている。このロッド787には1個または複数個の中子788がその略全長に亘って装着されており、この中子788は、押出素管781の内周面に当接して自重により押出素管781がたわむことを防止して、引抜きの初めから終わりまで押出素管781の軸線をダイス782の軸線に一致した状態に保持できるようになっている。また、引抜き加工中には、引抜きダイス782と押出素管781との間に潤滑油が供給されるようになっている。
なお、この引抜き工程は、プラグを固定しない浮きプラグ引き方式によって引抜きを行うようにしてもよい。また、引抜きは、1回だけ行ってアルミニウム引抜き管を得るようにしてもよいが、引抜きを複数回繰り返し行って順次的に縮径し、もってアルミニウム引抜き管を得るようにするのが好ましい。とくに、引抜きを2回行ってアルミニウム引抜き管を得るのが好ましい。
曲がり矯正工程は、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管の曲がりを矯正する工程である。具体的には、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管は、まず、その口付け部がプレス切断法により除去され、その後、ロール矯正機に投入され、内部の矯正ロールの作用で真っ直ぐに矯正される。
図23は、口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。この切断機790は、アルミニウム引抜き管791の口付け部792側の端部を金型793,793の内方に挿入し、切断刃794を下降させることにより、該口付け部792を切断除去する。この切断は突切り刃によって行われるから切粉の発生はなく、切粉等がロール矯正機内に持ち込まれ、アルミニウム引抜き管791にキズがつくことがないようになっている。
図24は、曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。このロール矯正機810は、その内部の矯正ローラ812の作用によって、口付け部が切除されたアルミニウム引抜き管811を真っ直ぐに矯正するようになっている。
粗洗浄工程は、上記引抜き工程等においてアルミニウム引抜き管に付着した潤滑油等を除去する工程である。この粗洗浄工程は、たとえば脱脂力を有する溶剤を用いて行われる。具体的手法としては、特に限定されないが、たとえば浸漬法、シャワー法等が挙げられる。
仕上げ洗浄工程は、好適には、たとえば超音波洗浄によって行われる。
図25は、超音波洗浄機の一例を示す概念図である。この超音波洗浄機830は、洗浄増831に貯められた洗浄液832に被洗浄物である複数個のアルミニウム引抜き管833を浸漬しておき、振動子834によって洗浄液832中に超音波を送ることにより、被洗浄物であるアルミニウム引抜き管833を洗浄するものである。
超音波の照射方式は特に限定されることはなく、図25に示す投げ込み型のほか、接着型、振動伝達子型その他各種の洗浄機を用いることができる。また、洗浄液としては、一般には白灯油、軽油、アルカリ、界面活性剤あるいはトリクロロエチレンなどが用いられるが、これらに限定されることはなく、水系、炭化水素系、塩素系有機溶媒などを適宜用いればよい。
上記のような押出工程、切断工程、引抜き工程、曲がり矯正工程、洗浄工程、仕上げ洗浄工程を経て得られた円筒体(アルミニウム引抜き管)90は、表面品質精度に優れ、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラム基体として好適である。
こうして製管された円筒体(アルミニウム引抜き管)90は、上述した表面検査装置1においてその表面状態が所定の許容範囲内にあるか否かが検査され、この検査結果が所定の許容範囲内にあるのであれば、その円筒体90を完成品と判定する。
また、表面検査装置1において、円筒体90に発生している不良の種類や特徴等が判別された場合には、この検査結果をフィードバック部720が製管装置710にフィードバックし、これにより不良管の発生を未然に防止するようになっている。
こうして検査結果がフィードバックされた製管装置710においては、検査結果の内容に応じて、製管条件の設定に供される。具体的には、押出ダイスの取付状態や押出速度等の押出条件の設定、素管の選別、引抜きダイスの取付状態の確認や引抜き速度等の引抜き条件の設定、ロール矯正機におけるロール高さ調整や搬送速度等のロール矯正機条件が制御される。これにより、より確実に必要十分な表面精度を持った円筒体を得ることができるとともに、仮に不良管が発生した場合でも、速やかにこれに対応し、不良管の発生数を抑えることができる。
このような製造システム700によれば、所定の形状精度を有する円筒体、および円筒体の集合を確実に得ることができる。
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、明暗縞の暗部の明暗階調値に基づいて設備状態を評価したが、明暗縞の明部の明暗階調値に基づいて評価してもよい。また、明部と暗部との境界領域の形成位置や、同境界領域における明暗階調の軸方向についての変化率に基づいて評価するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、明暗縞の暗部の明暗階調に基づく設備状態の評価として、暗部の最低階調値に着目したが、所定階調値以下となっている暗部の円筒体軸方向についての幅に着目して設備状態の評価を行うようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、設備状態が良好な時のマスターデータを検出する際に用いたマスターワークを用いて設備状態評価時の明暗縞を形成したが、設備状態評価時にはマスターワークとは異なる円筒体を用いて設備状態を評価するようにしてもよい。このようにすると、円筒体の差異による誤差は含まれるものの、簡易に設備状態を評価することができる。またこの場合、マスターワークを用いたマスターデータとの相関を予め求めた円筒体を準マスターワークとして、日常の設備状態評価に用いるようにすることが望ましい。このようにすると、真のマスターワークを安全に保存しながら、日常の設備状態評価を適切に行うことができる。
(4)上記実施形態では、設備状態評価時の明暗縞の明暗階調をマスターデータと比較して設備状態を評価したが、マスターワークによらず、所定の許容階調範囲を設定しておき、評価時の明暗縞の明暗階調を許容階調範囲に基づいて評価するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、円筒体検査装置にスリット体(遮光体)が常設されるものとしたが、設備状態の評価時のみスリット体を取り付けるようにしてもよい。
(6)検査領域の大きさ等に応じて複数台のカメラを用いてもよい。
(7)カメラはラインセンサカメラに限定されず、二次元的な広がりを有する撮像領域をもつエリアセンサや、特定の一点の光量を検出する光センサから構成されるカメラ等であってもよい。
(8)上記実施形態では、カメラを検査照明光の正反射光を受光する位置に配置したが、正反射光を受光する位置からずれた位置を狙うようにカメラを配置し、表面欠陥が存在する場合に正反射光がカメラに入射するようにしてもよい。
(9)上記実施形態では、透光部および遮光部の光学特性が変化しないスリット体により明暗縞を形成したが、減光フィルター(NDフィルター)を用いたスリット体により、明部や暗部の光量を調整できるようにしてもよい。また、液晶パネルを用いたスリット体により、明部や暗部の光量を調整したり、遮光形態を連続的にまた自由に可変できるようにしてもよい。
(10)上記実施形態では、検出すべき表面欠陥に応じて遮光体(スリット体)における透光部および遮光部の幅(サイズ)を決定したが、設備状態の評価に適した幅(サイズ)に設定するようにしてもよい。
たとえば、設備状態の評価精度のみを考慮すれば、スリット体の透光部および遮光部の幅(サイズ)は、評価したい円筒体検査装置における照明光量およびカメラの絞り量等の光学条件のもとで、スリット体によって形成される明暗縞の暗部の最低階調値が、カメラの感度内でも特に高い感度で検出できる階調域に含まれるように設定することが望ましい。
第1実施形態にかかる表面検査装置の検査対象物たる円筒体の斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかる表面検査装置の正面図である。 同装置の平面図である。 同装置の側面図である。 第1実施形態におけるチャック部の正面図である。 同チャック部の側面図である。 第1実施形態における遮光体の斜視図である。 第1実施形態にかかる円筒体の表面検査装置の要部の概略を表した側面図である。 同斜視図である。 カメラによって撮像された画像から表面欠陥を検出する画像処理の例を示す説明図である。 設備状態評価時に検出された明暗階調と、予め保存された設備良好時の明暗階調(マスターデータ)とを合わせて表した明暗階調グラフである。 マスターデータを基準とした許容階調領域の設定例である。 照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が平行にずれている場合に検出される明暗階調グラフの例である。 照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が平行にずれている場合に検出される明暗階調グラフの例である。 この表面検査装置における階調変化量と光学系の軸ずれ量との関係図の一例である。 照明、円筒体およびカメラの光学系の三者の位置関係が、斜めに傾くようにずれている場合に検出される明暗階調グラフの例である。 照明の両側端部の光量低下が発生した場合に検出される明暗階調グラフの例である。 円筒体を回転させながら明暗縞の明暗階調を検出した明暗階調グラフの例である。 第2実施形態にかかる円筒体の製造システムの構成を示す機能ブロック図である。 押出工程を行う押出機の概略平面図である。 押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。 は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。 口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。 曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。 超音波洗浄機の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 表面検査装置(円筒体検査装置)
2 検査装置本体
10 照明
20 遮光体(スリット体)
23 透光部
24 遮光部
30 カメラ
31 検出領域
40 スライドテーブル
64 回転移送装置(支持部)
70 チャック部(支持部)
71 基準ローラ
72 支持ローラ
80 画像処理装置(評価手段)
90 円筒体
91 外周面
700 製造システム
B 検査位置

Claims (10)

  1. 検査対象物たる円筒体を所定の検査位置で周方向に回転可能に支持する支持部と、前記円筒体の外表面を照明する照明と、前記円筒体の軸方向に延びる検出領域を撮影するカメラと、を有する円筒体検査装置の設備状態評価方法であって、
    前記支持部により前記円筒体を前記検査位置に支持し、
    前記照明により、前記円筒体の軸方向に明暗縞が形成されるように前記円筒体の表面を照明し、
    前記カメラにより前記円筒体を撮影して前記明暗縞各部の明暗階調を検出し、
    検出された前記明暗縞の明暗階調に基づいて設備状態の良否を評価するものとし、
    前記明暗縞の暗部の最低階調が、前記カメラの感度域内に含まれ、
    前記評価は、前記明暗縞の各暗部ごとの最低階調の階調値に基づいて行うとともに、
    前記評価は、前記円筒体の軸方向に並ぶ複数の暗部の最低階調の階調値の変化の傾向に基づいて行うことを特徴とする円筒体検査装置の設備状態評価方法。
  2. 検査対象物たる円筒体を所定の検査位置で周方向に回転可能に支持する支持部と、前記円筒体の外表面を照明する照明と、前記円筒体の軸方向に延びる検出領域を撮影するカメラと、を有する円筒体検査装置の設備状態評価方法であって、
    前記支持部により前記円筒体を前記検査位置に支持し、
    前記照明により、前記円筒体の軸方向に明暗縞が形成されるように前記円筒体の表面を照明し、
    前記カメラにより前記円筒体を撮影して前記明暗縞各部の明暗階調を検出し、
    検出された前記明暗縞の明暗階調に基づいて設備状態の良否を評価するものとし、
    前記明暗縞の暗部の最低階調が、前記カメラの感度域内に含まれ、
    前記評価は、前記明暗縞の各暗部ごとの最低階調の階調値に基づいて行うとともに、
    前記評価は、前記明暗縞の暗部の最低階調の階調値が、各暗部ごとに設定された所定の許容範囲にあるか否かに基づいて行うことを特徴とする円筒体検査装置の設備状態評価方法。
  3. 前記円筒体の軸方向に複数の遮光部と透光部とが交互に繰り返し形成されてなるスリット体を前記照明と円筒体との間の所定位置に配置し、該スリット体を介して前記照明により前記円筒体の表面を照明することにより前記明暗縞が形成される請求項1または2に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
  4. 前記スリット体は、前記検査装置に常設されたものである請求項3に記載の円筒体検査装置の設備状態評価方法。
  5. 円筒体検査装置に対して請求項1〜4のいずれかに記載の設備状態評価方法により設備状態を評価するステップと、
    前記評価結果に基づいて、当該円筒体検査装置の設備状態を調整するステップと、
    を含むことを特徴とする円筒体検査装置の調整方法。
  6. 円筒体検査装置に対して請求項1〜4のいずれかに記載の設備状態評価方法により設備状態を評価するステップと、
    前記評価結果に基づいて、当該円筒体検査装置の設備状態を調整するステップと、
    設備状態が調整された円筒体検査装置により検査対象物たる円筒体に対して表面状態の検査を実行するステップと、
    を含むことを特徴とする円筒体の検査方法。
  7. 円筒体を成形するステップと、
    円筒体検査装置に対して請求項1〜4のいずれかに記載の設備状態評価方法により設備状態を評価するステップと、
    前記評価結果に基づいて、当該円筒体検査装置の設備状態を調整するステップと、
    設備状態が調整された円筒体検査装置により検査対象物たる円筒体に対して表面状態の検査を実行するステップと、
    を含むことを特徴とする円筒体の製造方法。
  8. 検査対象物たる円筒体を所定の検査位置で周方向に回転可能に支持する支持部と、
    前記円筒体の外表面を照明する照明と、
    前記円筒体の軸方向に延びる検出領域を撮影するカメラと、
    前記円筒体の軸方向に複数の遮光部と透光部とが交互に繰り返し形成され、前記照明と 円筒体との間の所定位置に常設されたスリット体と、
    前記支持部により前記円筒体を前記検査位置に支持し、前記スリット体を介して前記照明により前記円筒体の表面を照明して前記円筒体の表面に明暗縞を形成したとき、前記カメラにより前記円筒体を撮影して検出される前記明暗縞各部の明暗階調に基づいて、設備状態の良否を評価する評価手段と、を備え、
    前記明暗縞の暗部の最低階調が、前記カメラの感度域内に含まれ、
    前記評価は、前記明暗縞の各暗部ごとの最低階調の階調値に基づいて行うとともに、
    前記評価は、前記円筒体の軸方向に並ぶ複数の暗部の最低階調の階調値の変化の傾向に基づいて行うことを特徴とする円筒体検査装置。
  9. 検査対象物たる円筒体を所定の検査位置で周方向に回転可能に支持する支持部と、
    前記円筒体の外表面を照明する照明と、
    前記円筒体の軸方向に延びる検出領域を撮影するカメラと、
    前記円筒体の軸方向に複数の遮光部と透光部とが交互に繰り返し形成され、前記照明と 円筒体との間の所定位置に常設されたスリット体と、
    前記支持部により前記円筒体を前記検査位置に支持し、前記スリット体を介して前記照明により前記円筒体の表面を照明して前記円筒体の表面に明暗縞を形成したとき、前記カメラにより前記円筒体を撮影して検出される前記明暗縞各部の明暗階調に基づいて、設備状態の良否を評価する評価手段と、を備え、
    前記明暗縞の暗部の最低階調が、前記カメラの感度域内に含まれ、
    前記評価は、前記明暗縞の各暗部ごとの最低階調の階調値に基づいて行うとともに、
    前記評価は、前記明暗縞の暗部の最低階調の階調値が、各暗部ごとに設定された所定の許容範囲にあるか否かに基づいて行うことを特徴とする円筒体検査装置。
  10. 円筒体を成形する成形手段と、
    前記円筒体を検査対象物として表面検査を行う請求項8または9に記載の円筒体検査装置と、
    前記円筒体検査装置における検査結果が所定の基準を満たすか否かにより当該円筒体を分別し、前記所定の基準を満たす場合に当該円筒体を完成品とする判別手段と、
    を備えたことを特徴とする円筒体製造システム。
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