JP5122697B1 - 耐候防音壁のパネル構造体及び製造方法 - Google Patents

耐候防音壁のパネル構造体及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水浸入を防止するため、第1の水浸入防止として、雨水時に吸音面材の表面に水の表面張力を用いた水膜壁を造り、第2に吸音面材に付着した水分および一部内部に浸入した水分の蒸発を促進させる対候防音壁を提供する。
【解決手段】吸音面材の表面に水の表面張力を用いた水膜壁を造る条件を整えるために、材料はアルミ繊維マット状材1を選択し、このアルミ繊維マット状材1の密度と積層構造を長期に安定させるため、吸音層を構成するハニカム材4に接着剤5を付着させた後、アルミ繊維マット状材面1に当て接着剤5を浸透させ、アルミ繊維マット状材1にハニカム形状の接着区画壁11を形成し、表面張力が効果的に働き水膜を造り易い条件を整える。
【選択図】図4

Description

耐候防音壁を実現するためのパネル構造体に関する
騒音対策の防音壁の構造は、一般的に吸遮音構造を採用している。具体的には、吸音面材、吸音層及び遮音面材の三層構造である。遮音面材は反射面材とも呼ばれる。
吸音層は多孔質材構造で、多くはグラスウール材・ロックウール材等繊維系が一般的である。しかしながらこれら繊維系の多孔質材は耐水性がなく水を含むと多孔構造が崩れ又含水した重量で体積減少が起き、初期機能が無くなる問題がある。
雨天時に材料の表面に含水しても防音機能が維持される、または、一時的に含水により防音機能が劣化しても、晴天になり時間が経過すれば、初期機能を回復する材料及び構造は知られていない。
このため、耐水対策としてフィルムで被う方法或いは吸音層に撥水剤を使用する方法がある(特許文献1〜4)。しかし、フィルム使用は、耐候性を上げるフィルム材質、厚さ、被い方法等の条件設定が伴い又作業中のフィルム破損・使用中破損等の対策条件を整えねばならない不安定な要素がある。フィルムを使用しない方法として撥水剤使用の材料又は吸音層を撥水性の表面材でカバーしている材料もあるが、撥水剤の径時劣化、むき出しになる切断部の端面処理等、完全な防水対策が出来ない部分がある。吸音機能の面からもフィルム及び撥水剤使用は、周波数帯の有効吸音性範囲を狭くするという問題もあった。
特許文献1の技術では、グラスウール、ロックウール材を吸音材(特許文献1では、吸音層を吸音材と称す。以下同じ)として使用し、耐水対策は撥水剤である。吸音材を保護するための網状板材は穴が穿設された薄板で、水切りには不十分であり、雨水が吸音材に直接触れる。撥水加工した吸音材でも吸音材の有する多孔の中には水が入って溜まり、重量による体積変化が起き、性能低下をもたらす。水の浸入による溜まりと蒸発が撥水剤を劣化させ、長期においては初期の吸音機能を失うという問題がある。
特許文献2の技術では、防水対策として、グラスウール材を着色合成繊維の不織布からなる着色防水層(フィルム)で被っている。又使用するフィルムの反射作用により、吸音率の良い範囲が250〜1、000Hzであり、開示された有効範囲が狭い。又吸音率を確保するため、空気層を設ける事で厚みが95mmと厚くなり、重量は25kg/mで重いという問題がある。
特許文献3の技術では、グラスウールはクロス・フィルム等により表面を被覆するため高周波数の吸音率が低下し、吸音性能を低下させる問題があり、その対策として、排水層及び排水口を配置した構造を開示している。
特許文献4の技術では、本構造パネルは、連通気泡の硬質フェノールフォームが充填されたハニカム材を用いて、雨水面(表側)にはアルミ繊維マット状材を使用しているが、耐水性に関しての説明がなく、耐水性を実現するための適正なアルミ繊維マット状材の開孔率(密度)などに関する記載もない。また、温度変化でアルミ繊維マット状材は密度変化を起こすが、この変化を防ぐために必要となる繊維部の押さえ方に触れてない。従って、変動する気象条件下の屋外では、アルミ繊維が膨張収縮を繰り返し、アルミ繊維に密度変化が起き多孔構造が変わる。この結果、雨水が浸入し易くなり、又氷結による繊維層の膨張破壊等が起きやすい状態となり、初期吸音機能の低下になるという問題がある。
特許第4427601号 特許第3629417号 特開平08−020917号 特許第3806744号
現状の防音壁にはグラスウール等の繊維系材料の吸音層が主として使用されているが、雨水により吸音層の隙間に水分が入り、吸音性を低下させる問題がある。このため水浸入を防止するため、撥水処理のされたガラスクロスを水浸入側に貼り付ける、或いは吸音層全体をフィルムで包む等対策が必要になる。更に吸音面側に吸音層の保護として、水浸入側に水切りの孔あき板、ルーバー(板に水切りの溝)等を設けなければならない。これら対策方法は構造が複雑で厚く重くなり、周波数帯範囲の有効吸音率の幅が狭い課題がある。
グラスウール等繊維系材料は、一旦水が入ると重量が増し、体積減少を起こし吸音に必要な一定厚みと多孔構造をなくす。又水が蒸発しても元の性能条件に回復しない問題がある。
吸音面材として、アルミ繊維マット状材を表面材に使用する防音壁もあるが、長期間にわたり屋外で使用する場合、温度による膨張収縮の繰り返し、雨水浸入、氷結膨張等の自然条件により、アルミ繊維マット状材密度の低下、繊維層の多孔構造破壊の問題がある。
第一の水浸入防止手段は、雨水時に吸音面材の表面に水の表面張力を用いた水膜壁を造る条件を整える。材料はアルミ繊維マット状材を選択し、条件として太さ100μ以下の繊維を重ねた繊維マット層で、隙間が100μ以下のアルミ繊維マット状材で芯が密に構成される水膜壁が出来やすい材料を用いる。このアルミ繊維マット状材の密度を安定させるため、アルミエキスバンドメタル(Aluminum Expanded Metal)で挟む。更に耐水対策としては、水浸入側面のアルミエキスバンドメタルの菱型サイズを小さくし表面密度を上げ、菱形で出来る堰枠により表面張力が効果的に働き水膜を造り易い条件を整える。
アルミ繊維マット状材の密度と積層構造を長期に安定させるため、吸音層を構成するハニカム材に接着剤を付着させた後、アルミ繊維マット状材面に当て接着剤を浸透させ、アルミ繊維マット状材にハニカム形状の接着区画壁を形成し、水膜が出来易い条件を整える。繊維材に浸透した接着剤は繊維材部の強度も上げ、密度を安定させる手段にもなる。このハニカム形状の接着区画壁を形成したアルミ繊維マット状材と前述のアルミエキスバンドメタル菱形との組合せは表面張力が効果的に作用する条件となり、水膜壁の形成に有効となる。
第二の水浸入防止手段は、2つのエキスバンドメタルで挟まれたアルミ繊維マット状材のアルミ繊維の形状が円柱状のため熱吸収表面積が大きい点にある。表面積の大きいことは熱伝導が優れ、快晴時の温度上昇で繊維材内部及び繊維に接触する芯フォーム部の温度を急速に上げ、アルミ繊維マット状材に付着した水分及び一部内部に浸入した水分の蒸発を促進させる。
吸音層としては含水すると重量増加により体積変化を起こすグラスウール等繊維系を使用しない。本発明吸音層構造は、吸音層の体積変化対策の役割を担う耐水ハニカム材で厚さ及び強度を確保し、吸音層には含水しても体積変化、多孔構造に変化のない硬質連通気泡のフェノールフォームを選択し、ハニカム材セルに充填し用いる。
上述の構成を採用することで、10年間に渡る屋外暴露試験で、毎年、台風に遭ってもパネル重量変化に異常のない結果として表1を得た。台風時に200〜600g/mの一時的な増加があるが、この増加はアルミ繊維マット状材に付着した雨水量分であり、温度上昇により短時間の内に蒸発する。蒸発はアルミ繊維マット状材構造の熱吸収が蒸発促進の補完効果をする。
吸音率について、暴露試験開始時から10年経過までの各経過年時点でのパネルの一部を切り取り表2で対比したが吸音率(垂直入射法)に差はなく安定である。更にパネルの一部を解体し観察した所、アルミ繊維マット状材(厚さから見た密度変化)及び吸音層の材料であるハニカム材に材料崩壊が起きていないこと及び連通気泡硬質フェノールフォーム材に材料崩壊・気泡異常の材質異常が起きてない事が確認された。
表1、表2の効果が確認できたように、多孔質材の雨水対策として、従来の屋外防音壁で必要条件とされたフィルムによる対策、撥水剤処理による対策、水抜き構造による対策、表面の水切りカバーによる対策等々を本発明によれば必要としないことが判明した。
本発明構造のもう一つの効果は、薄く軽い防音壁パネルが可能となり、基礎工事の低減、設置構造の簡易化、土台部分の負荷低減、支え材料の軽量化及び削減に結び付くことが挙げられる。さらに、吸音率の良さは、防音壁の高さ低減に結び着き、更には全体防音パネルの使用量の削減、材料の削減になる。
薄くて軽い防音パネルは扱いも簡易に出来、従来の高速道路防音壁で課題であった事故時の部分交換も大型重機を用いず簡易に行えるという利点もある。
本発明の耐候防音壁の断面図 吸音面材の表面構造を示した図 吸音面材の接着剤浸透前の断面図 吸音面材の接着剤浸透後の断面図 ハニカム形状を示す浸透した接着剤区画壁跡が現れた図 雨水が当たった場合の吸音面材の断面図
吸音面材は、アルミ純度99.5%のエキスバンドメタルを用いて、純度99.7%のアルミ繊維マット状材を圧着で挟んだ構造で構成し、アルミ繊維マット状材の体積開孔率は39%、全体厚さ1.6mmの材料を選択した。アルミ繊維マット状材を挟むエキスバンドメタルの条件は、吸音面材の表面側に菱形寸法3×4.5mm、板厚0.4mmを、ハニカム材と接着させる裏面側には、菱形寸法4×8mm、厚み0.6mmの表面側より大きいサイズの菱形面を選択し、断面構造を図3に示す。芯となるアルミ繊維マット状材は、繊維径が100μ以下からなり、吸音面材のアルミエキスバンドメタルを含む全体密度は1、650g/mの材料からなる。
耐水表面を形成(水膜形成)させるため、アルミ繊維マット状材の開孔率39%を活かし、吸音率を表2及び表4を維持できるアルミエキスバンドメタル菱形サイズ及びハニカム材セルサイズの選択が要素になる。本発明では音源側(表面)の菱形サイズを3×4.5mmと小さく、ハニカム接着側は4×8mmと大きい2つのアルミエキスバンドメタルで挟み圧着したアルミ繊維マット状材を選択した。又アルミ繊維マット状材の圧着だけでは不安定な層を固定するため、繊維層に接着剤を浸透させる方法とした。浸透させ繊維密度を固定化させるための輪郭サイズの作製方法として、ハニカム材セルを選択し、セルサイズは15mmとした。この結果、吸音面材の表面として、表1の雨水に安定な面を実現することが出来た。
音源側のアルミエキスバンドメタル菱形サイズを3×4.5mmにした根拠は、水膜形成に適正なアルミ繊維マット状材の密度を保つ様にアルミ繊維マット状材を固定し、かつ音源側菱形で定まる適正な吸音率を実現するためであり、ハニカム材の接着側のアルミエキスバンドメタル菱形サイズを4×8mmとし、音源側より大きいサイズを選択した根拠は、接着剤浸透に必要な繊維部のむき出し部の面積を確保するためである。
なお、菱形サイズの面積が大き過ぎると圧着しても繊維の浮きが出て、繊維密度の安定が得られず、この条件での接着剤を浸透させる事は適切でない。ハニカム材のセルサイズは、アルミ繊維マット状材の開孔率及び菱形面を潰さず吸音率を維持出来るサイズ及び水膜形成に適正なサイズから選択される。セルサイズ15mmの選択根拠は表1、表2及び表5のデータによる。
吸音層となるハニカム材は耐水処理がされ、組成はケイ酸マグネシウム含有70%、パルプ24%、他6%材で厚さ30mm、セルサイズ15mmを選択する。ハニカム材は、耐水性のあるアルミハニカム等金属ハニカム、塩ビハニカム等樹脂ハニカム、フェノール樹脂等含浸させた紙ハニカム等でも良い。又ハニカムセル形状は六角形に限定されない。
ハニカムセルに充填するフォーム材は、連通気泡の硬質フェノールフォーム材で密度18〜21kg/m、セルサイズ100μ以下の微細気泡を有した厚さ29mmのフォームを選択する。
遮音面材すなわち反射面材は、一般に非通気材を用いるのが適切で、軽量化と電動工具での加工性を重視し、1050−H24の厚さ1.2mmアルミ材を選択する。
反射面材は金属・樹脂・無機材を単独又は積層での使用も良く、使い方は限定されない。
接着剤は、吸音面材のアルミエキスバンドメタル部菱形4×8mm側とハニカム材を接着させる部分に酢酸ビニールエマルジョン系を選択し、反射面材の厚さ1.2mmアルミ板面とハニカム材を接着させる部分にはエポキシ系接着剤を選択する。
図3に示す吸音面材の構造ではアルミ繊維マット状材の密度を一定に保つには不安定であり、長期の気候変動下で固定化するためアルミ繊維マット状材に接着剤を浸透させる。接着剤は、不揮発分40〜45%、水分55〜60%で、粘度20〜75Pa・s(20℃)のエマルジョン系を用いる。接着剤の浸透方法は、セルサイズ15mmのハニカム材六角形端面に接着剤を付着させ、吸音面材のハニカム材と接着する面を上にして、平らな台の上に横たえ、上部より接着剤の付着したハニカム材を圧接し、接着剤を六角形の形状状態でアルミ繊維マット状材の内部に垂直方向に浸透させ、アルミ繊維マット状材のハニカム材との接着面とは異なる側の面まで浸透させる。諸条件が適切で、最良に仕上がった浸透状態は、図4に示す接着剤区画壁11及び図5に示す接着剤区画壁跡12が確認できる状態である。
図1において、Aは本発明の耐候防音壁を直立使用した場合の全体断面図であり、Bは屋外設置した場合の防音壁の土台である。
防音壁Aの構造は、2つのアルミエキスバンドメタルとそれらによりサンドイッチされたアルミ繊維マット状材1の芯からなる吸音面材Cが騒音の音源側にあり、吸音層部分は、ハニカム材4に硬質連通気泡フェノールフォーム材6が充填された構造で、反射面材7には厚さ1.2mmアルミ板材を使用し、吸音面材Cとハニカム材4とはハニカム材4の先端部のみに塗布されたエマルジョン系の接着剤5で接着させ、反射面材7とハニカム材4とは反射面材7の全面に塗布されたエポキシ系の接着剤8で接着する構造になっている。
パネル構造の外周枠はアルマイト処理のされた厚さ1.5mmアルミ枠材9でカバーされている。アルミ枠材9とパネル隙間には、水浸入防止と振動吸収のため、シリコーンシール材10を充填した構造となっている。
これらの主な製造工程の詳細は、先ず、ハニカム材4が吸音面材Cと接着する面側のセル壁の先端にエマルジョン系接着剤5を帯状に付着させる。吸音面材Cは、図3に示すように、アルミ繊維マット状材1を挟み込んだ2つのアルミエキスバンドメタル2及び3の菱形の大きい方の一面を上にして平たい台に横たえ、上記接着剤5を付着させたハニカム材4の先端部を上部から押し当て、上記エマルジョン系接着剤5を自重でアルミ繊維マット状材1内に落下浸透させ、図4に示すように、落下浸透する接着剤5により、区画壁11が構成され、やがて接着剤区画壁11は、上記吸音面材Cの他の一面に到達する。
さらに、連通気泡構造を有する硬質フェノールフォーム材6を上記ハニカム材4の他の一面から押し込みハニカム材4のセル空間へ充填させる。次に、上記硬質フェノールフォーム材6を充填させた側のハニカム面に反射面材7をエポキシ系の接着剤8で付着する。
なお、上記とはやや異なる製造工程もある。先ず、ハニカム材4が吸音面材Cと接着する面側のセル壁の先端にエマルジョン系接着剤5を帯状に付着させる。吸音面材Cは、アルミ繊維マット状材1を挟み込んだ2つのアルミエキスバンドメタル2及び3の菱形の大きい方の一面を上にしてに平たい台に横たえ、上記接着剤5を付着させたハニカム材4の先端部を上部から押し当てる。
接着剤が固まる前に、連通気泡構造を有する硬質フェノールフォーム材6を上記ハニカム材4の他の一面から押し込みハニカム材4のセル空間へ充填させる。この際の硬質フェノールフォーム材6の押し込み圧力で上記エマルジョン系接着剤5をアルミ繊維マット状材1内に浸透させ、上記吸音面材Cの他の一面に到達させる。次に、上記硬質フェノールフォーム材6を充填させた側のハニカム面に反射性面材7をエポキシ系の接着剤8で付着する。
図2は吸音面材Cのアルミエキスバンドメタル2とアルミ繊維マット状材1が圧着された面を示した図である。1がアルミ繊維マット状材で、2が音源側(屋外面)にある菱形の開孔部を有するアルミエキスバンドメタルである。
図3は接着剤5を浸透させる前の吸音面材Cの断面図である。音源側となるアルミエキスバンドメタル2の菱形面サイズが3×4.5mmと小さく、ハニカム材と接着する面のアルミエキスバンドメタル3は4×8mmと大きい。
図3の段階では、アルミ繊維マット状材1はこの2枚のアルミエキスバンドメタル2及び3で圧着された状態で、該2枚のアルミエキスバンドメタル間の距離を一定に保つための側面サポート構造はなく、さらに接着剤等による固定化もされていないのが特徴である。
吸音面材Cをもう少し詳しく説明すると、吸音面材Cの芯は、純度99.7%、繊維径100μ以下の厚さ1.6mmからなるアルミ繊維マット状材1であり、該アルミ繊維マット材1挟む音源側(屋外面)のエキスバンドメタル2は、菱形寸法3×4.5mm、板厚0.4mm材であり、他方のハニカム材4を接着させる面のアルミ繊維マット状材1を挟むエキスバンドメタル3の菱形寸法は、4×8mm、厚み0.6mmである。この吸音面材Cの面向きの使い方が重要で、音源側(屋外側)は雨水が当たる面となるため、菱形サイズ3×4.5mmの小さい面を用いる。菱形サイズ4×8mmの面はハニカム材4に付着させる面で、アルミ繊維マット状材1のむき出し面が大きく接着剤5がアルミ繊維マット状材1に浸透し易い面である。
図6は、図3または図4のX−X’断面(上下は逆)であって、雨水が分断され、水滴の表面張力により雨水がアルミ繊維状マット材1の隙間から内部に浸透し難くなる様子を示したものである。すなわち、微小な水滴13がアルミ繊維マット状材1を構成するアルミ繊維の隙間を埋め、全体としては水膜状となって、それ以上の水の浸入を防ぐ。
ここでアルミ繊維の直径を100μm、体積開孔率を39%とすると
/(S+50π)=0.39
より定まるS=13、400μmが上記の隙間の面積になり、仮にこの隙間が正方形であれば1辺が約116μm、仮にこの隙間が円であれば直径が約130μmに相当する。いずれにしても、表面張力により水滴の形状を維持するに十分な約100μm程度の微小な隙間である。
なお、雨水を吸音面材Cに当てる実験を行なった直後に、吸音面材Cを分解する事で、アルミ繊維マット状材1の雨水が当たる側表面近傍に雨水が水滴として留まり、アルミ繊維マット状材1のハニカム材と接着する面側には雨水が到達していない事が明確に確認できた。
この実験では、吸音面材Cとして175mm×82mm(面積14、350mm)の試験体を直立させ、該試験体の一方の表面に1、500グラムの水をかけたところ、該試験体の重量は水をかける前の204グラムから209グラムになり、5グラムが増加した。すなわち、残りの1、495グラムの水は該試験体には浸透しなかった。また、水は該試験体の表面から1mmまでの内部にしか浸透せず、1.6mm厚ある該試験体の裏面には水は到達していなかった。つまり、吸音面材Cの厚さが1mm以上あれば、吸音面材Cの裏面に水は到達しない事になる。
図4の接着剤区画壁11部の役割は、アルミ繊維マット状材1の密度を長期間安定的に固定化する点にある。図3のように吸音面材Cを圧着のみで構成するのでは、屋外使用条件での気候変動に耐える構造としては安定性がない。この対策としてハニカム材の壁先端部に付着させた接着剤5をアルミ繊維マット状材1に届くまで浸透させ、接着剤区画壁11を生成し、接着剤でアルミ繊維マット状材1とアルミエキスバンドメタル2及び3との間を固定させる。この結果、接着剤区画壁11は、ハニカム形状の先端部からの接着剤がアルミエキスバンドメタル3の面を経由してハニカム形状のまま、もう一つのアルミエキスバンドメタル2の面に達し、そのハニカム形状を、図5の接着剤区画壁跡12として視認することが出来る。
このハニカム形状をなす接着剤区画壁11と上記2つのアルミエキスバンドメタル2及び3の菱形枠とが合わさる事で、密度が安定した吸音面材Cの面が形成される。表面を小さく仕切られたアルミ繊維マット状材1の表面の壁は雨水の流れ堰となり、雨水を受けた時に表面張力による効果の発揮を促し、水膜壁形成を伴い、防水壁になる。なお、アルミ繊維マット状材1内に浸透した接着剤5の形成する接着剤区画壁11は、ハニカム材と同一形状をしているので、浸透接着剤5によっては、アルミ繊維マット状材1の実質的な吸音率の低下は発生しない。
本発明の防音パネル構造の耐候性の証明実験として、防音パネルがパネル寸法において高さ1、000mm、幅600mm、厚さ33mmで、音源側に菱形サイズが3×4.5mmの小さいアルミエキスバンドメタル2の面を使用し、パネルの周囲に厚さ1.5mmのコ型状の枠材9を嵌め、枠材内部はシリコーンシール材10で水浸入対策をし、吸音面材Cのアルミエキスバンドメタル2のみを雨水が浸入する面とした防音パネルとして垂直に立て、暴露試験を実施した。
その結果が表1で、台風時に100〜400g一時的に重量増加があるが、5時間以内に元に戻ってしまうことから、温度上昇による水の蒸発によって戻ると考えられる。したがって、この増加分は、繊維部分に付着残留した水膜部分の増量分と見られる。5年、10年で暴露パネルの一部を切断解体し、内部材料を観察した所、構成材料の異常及び吸音率に影響を与えるフォーム材の体積減少、気泡形状の変化は観察されてない。

表1


また、経年による吸音率の変化が表2である。測定方法は、垂直入射法による。表2より、屋内放置、屋外暴露による差がないことが分かる。

表2
図4は、接着剤5を浸透させた後の吸音面材Cの断面図を示す。図4において、ハニカム材4の先端部に付着させた接着剤5を用い接着剤区画壁11を生成するように浸透させる方法は、吸音面材Cを構成するアルミ繊維マット状材1を挟む菱形サイズの大きいアルミエキスバンドメタル3の面を上にして平たい台の上に横たえ、上部から接着剤5付きハニカム材4を押し当てた後、加圧しながらフェノールフォーム6を充填する。この際、前述したように、充填時の圧力と接着剤5の自重の双方あるいは片方の力の働きにより、エマルジョン系接着剤材の浸透性の良さの効果もあって、接着剤5はアルミ繊維マット状材1の隙間に浸透する。
使用した接着剤5は酢酸ビニール系エマルジョン形で粘度35〜65Pa・s(23℃)、不揮発分43〜45%、水分52〜57%で、浸透状態は図4の接着剤区画壁11で示す通りであり、菱形サイズの小さなアルミエキスバンドメタル2が位置する表面側に六角形形状の輪郭で浸透し、その状態は図5の接着剤区画壁跡12のように観察される。又接着剤5の使用量が重要で、少なすぎるとアルミ繊維マット状材1に浸透せず、多すぎるとアルミ繊維マット状材1の水平方向に拡散し、吸音に重要な開孔を潰し、吸音率の低下に結びつく。
アルミ繊維マット状材1への接着剤区画壁11によるアルミ繊維マット状材1の区切り壁は、温度変化によるアルミの膨張収縮による繊維マット状材の密度変化を防ぐだけでなく、含水、乾燥の条件が加えられても性能変化を起こさない。表3及び表4に実験による測定結果を示す。表3は、含水有無による防音効果を比較したものであり、表4は、含水有無による体積、重量変化を比較したものである。
このときの実験条件は、次の通りである。
実験条件:試験装置=BOX外寸法400×370×340H
厚さ=33mm
音源=セイコースーパー雷電目覚まし時計=93dB
測定位置=音源から1m 測定機器=リオンNA27

減音値=BOXフタ閉じ条件

表3

表4
本発明構造の公的機関(財:小林理学研究所)によるJISA1409残響室法吸音率の成績が表5ある。パネル構造体は厚さ33mm、重量8kg/mと薄くて軽い.一方比較すると特許文献2によれば、厚さ95mm、重量25kg/mである。又吸音率は250〜1、000の範囲は良いが、範囲を外れると急カーブで低下の傾向を示すが本発明による防音壁は表5に示す通り1、000Hz以上でも吸音最大値を維持する。

表5
軽量かつ高性能な屋外防音壁としての用途が見込まれる。
A 本発明の耐候防音壁を直立使用した場合の全体断面図
B 防音壁土台
C 吸音面材
1 アルミニウム繊維マット状材
2 菱形サイズが小さいアルミエキスバンドメタル(音源側面)
3 菱形サイズが大きいアルミエキスバンドメタル(ハニカム材接着側面)
4 ハニカム材
5 吸音面材層に浸透させる接着剤
6 連通気泡硬質フェノールフォーム
7 反射面材
8 反射面材とハニカム材を接着させる接着剤
9 パネル周囲をカバーする枠材
10 パネルと枠材を接着シールするシール材
11 アルミ繊維マット状材に浸透し、ハニカム形状の六角壁を形成する接着剤区画壁
12 アルミ繊維マット状材表面に染み出したハニカム六角形形状の接着剤区画壁跡
13 水滴

Claims (7)

  1. アルミニウム繊維マット状材の両面を2枚のアルミエキスバンドメタルで挟んだ吸音面材と、上記吸音面材の片方の面に接着されたハニカム材と、上記ハニカム材のセル空間内に充填された連通気泡の硬質フェノールフォーム材と、上記ハニカム材の上記吸音面材との接着面とは異なる他方の面に接着された金属、樹脂、或いは無機材など非通気材よりなる反射面材からなり、
    上記吸音面材のアルミエキスバンドメタルが有する菱形開孔部を介してアルミ繊維マット状材と上記ハニカム材とを接着した接着剤が上記ハニカム材の形状を維持しながら上記アルミ繊維マット状材の内部を浸透して上記ハニカム材との接着面とは異なる側の吸音面に到達していること
    を特徴とする耐候性防音パネル構造体。

  2. アルミ繊維マット状材を構成するアルミ繊維の繊維間の隙間は、吸音面材のハニカム材が接着されている面とは反対側の面から侵入する水が表面張力で形成する水滴以下のサイズを有し、上記アルミ繊維マット状材は上記水滴の侵入深さ以上の厚みを有することを特徴とする請求項1記載の耐候性防音パネル構造体。
  3. フォーム材は連通気泡の硬質フェノールフォーム材からなることを特徴とする請求項1記載の耐候性防音パネル構造体。
  4. ハニカム材質は金属・樹脂・パルプ系の耐水材又は耐水処理がされた材料からなることを特徴とする請求項1記載の耐候性防音パネル構造体。
  5. アルミ繊維層部を含むアルミエキスバンドメタル部とハニカム材の接着はエマルジョン系接着剤を用い、反射面材とハニカム材との接着はエポキシ系接着剤からなることを特徴とする請求項1記載の耐候性防音パネル構造体。
  6. ハニカム材の一方の面のセル壁の先端に液状接着剤を帯状に付着させ、2枚のアルミエキスバンドメタルでアルミ繊維マット状材を挟んだ吸音面材の一面に上記接着剤を付着させたハニカム材を上部から押し当て、上記接着剤を自重でアルミ繊維マット状材内に落下、浸透させ上記吸音面材の他の一面に到達させ、連通気泡構造を有する硬質フェノールフォーム材を上記ハニカム材の他の一面から押し込みハニカム材のセル空間へ充填させ、上記硬質フェノールフォーム材を充填させた側のハニカム面に反射面材を接着剤で付着させる工程を含む耐候性防音パネル構造体の製造方法。
  7. ハニカム材の一方の面のセル壁の先端に液状接着剤を帯状に付着させ、2枚のアルミエキスバンドメタルでアルミ繊維マット状材を挟んだ吸音面材の一面に上記接着剤を付着させたハニカム材を上部から押し当て、上記接着剤の硬化前に連通気泡構造を有する硬質フェノールフォーム材を上記ハニカム材の他の一面から押し込みハニカム材のセル空間へ充填させ、上記充填圧力により上記接着剤をアルミ繊維マット状材内に落下、浸透させ上記吸音性面材の他の一面に到達させ、上記硬質フェノールフォーム材を充填させた側のハニカム面に反射性面材を接着剤で付着させる工程を含む耐候性防音パネル構造体の製造方法。

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