JP5119945B2 - 転動装置の製造方法 - Google Patents

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Description

発明は、転動装置の製造方法に関し、特に、転がり軸受、直動機器またはボールネジの製造方法に関する。
従来、転がり軸受としては、特開平8−312652号公報(特許文献1)に記載された玉軸受がある。
この玉軸受は、外輪、内輪、複数の玉および固形潤滑剤を備え、上記固形潤滑剤は、外輪と内輪との間に配設されている。
上記固形潤滑剤は、樹脂材料と、潤滑剤との混合物からなっている。上記固形潤滑剤は、外輪と内輪との間に流動状態で充填され、充填後、樹脂材料の融点以上の温度である150℃以上の温度に加熱され、その後、冷却されて、固形化されるようになっている。
上記従来の玉軸受では、潤滑剤として固形潤滑剤を使用しているから、高荷重、高温、衝撃荷重下などの厳しい潤滑条件においても、軌道輪および玉を確実に潤滑できる一方、固形潤滑剤を固形化するときに、内外輪の周辺の温度を150℃以上の温度まで加熱する必要があるから、この150℃以上の温度によって内外輪や転動体の硬さが抜けることがある。
内外輪や転動体は、熱処理、例えば、焼入れ、浸炭、浸炭窒化、浸炭焼入れ、焼戻しを施すことで硬くした高炭素クロム軸受鋼、肌焼鋼、高速度工具鋼などの鋼材から形成されるが、例えば焼戻し温度以上の温度によって、この硬さが抜け、硬度が小さくなってしまう。このため、150℃以上の温度まで加熱する場合には、加熱温度より焼戻し温度の高い熱処理を施すことや、冷却を速くすることが必要となり、コストアップになったり、温度や時間の管理を厳しくすることが必要になる。
また、内外輪の周辺の温度を、樹脂が溶解する150℃以上の温度まで上昇させるのに大きな時間を要し、玉軸受の製造のサイクルタイムが長くなる。
特開平8−312652号公報
そこで、本発明の課題は、軌道面の硬さ抜けが起こることがないと共に、製造のサイクルタイムが短い転動装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の転動装置の製造方法は、
転動体が配置されていると共に、密封されていない状態の非密封室内に、流動可能な状態において、電子線および紫外線のうちの少なくとも一方が照射されたときに硬化する性質を有する樹脂材料と、潤滑剤とを含むと共に、固まっていない状態の固形潤滑剤を配置し、
その後、上記固まっていない状態の上記固形潤滑剤に電子線および紫外線のうちの少なくとも一方を照射して、上記固形潤滑剤を硬化させ
上記転動体は、外輪の軌道面と内輪の軌道面との間に配置され、
上記非密封室は、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面とで画定され、
上記紫外線を、上記外輪の軸方向の外方から照射し、
上記紫外線を照射するタイミングを、上記固形潤滑剤の上記外輪の径方向の位置によって変えることを特徴としている。
本発明によれば、固形潤滑剤を硬化させるのに、上記非密封室の温度を、150度以上に上昇させる必要がない。したがって、上記150℃以上の温度によって、上記非密封室を構成する部材の硬さが抜けることがないと共に、上記非密封室を構成する部材がもろくなることがなくて、上記非密封室を構成する部材の強度を所定の強度に維持することができる。
また、本発明によれば、従来と異なり、固形潤滑剤を硬化させるのに、転動体配置室の温度を、150℃以上の温度に加熱した後に冷却する必要がない。したがって、転動体配置室の温度を、150℃以上の温度にするまでの時間を削減できて、転動装置の製造のサイクルタイムを格段に低減できる。
また、一実施形態では、上記樹脂材料は、光重合開始剤を含み、上記固まっていない状態の上記固形潤滑剤に紫外線を照射する。
上記実施形態によれば、上記樹脂材料は、光重合開始剤を含み、上記固まっていない状態の上記固形潤滑剤に紫外線を照射するから、固形潤滑剤を簡単安価かつ迅速に硬化させることができる。
また、本発明によれば、上記固形潤滑剤の上記外輪の径方向の位置によって上記紫外線を照射するタイミングを変えるようになっているから、固形潤滑剤において、硬化させる部分の順番を制御できる。したがって、固形潤滑剤が収縮する方向を制御できて、固形潤滑剤の実際の配置位置を、固形潤滑剤の所望の配置位置に近づけることができる。
発明の転動装置の製造方法によれば、軌道面の硬さ抜けを防止できると共に、転動装置の製造のサイクルタイムを短くすることができる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の転動装置の一実施形態である玉軸受の軸方向の断面図である。
この玉軸受は、外輪1、内輪2、転動体の一例としての複数の玉3、第1シール装置7、第2シール装置8、および、固形潤滑剤9を備えている。
上記外輪1は、内周面に、軌道面の一例としての深溝型の軌道溝11と、第1シール取付溝21と、第2シール取付溝31とを有する。上記第1シール取付溝21は、軌道溝11の軸方向の一方の側に位置する一方、第2シール取付溝31は、軌道溝11の軸方向の他方の側に位置している。
上記内輪2は、外周面に、軌道面の一例としての深溝型の軌道溝12を有している。また、上記複数の玉3は、外輪1の軌道溝11と、内輪2の軌道溝12との間に、保持器4によって保持された状態で、周方向に互いに間隔をおいて配置されている。
上記第1シール部材7は、中央部に貫通穴を有する環状部材である。上記第1シール部材7の径方向の外方側の端部は、第1シール取付溝21内に内嵌されて固定されている一方、第1シール部材7の径方向の内方側の端部は、内輪2の外周面に摺接するようになっている。また、第2シール部材8は、中央部に貫通穴を有する環状部材である。上記第2シール部材8の径方向の外方側の端部は、第2シール取付溝31内に内嵌されて固定されている一方、上記第2シール部材8の径方向の内方側の端部は、内輪2の外周面に摺接するようになっている。
上記固形潤滑剤9は、外輪1と、内輪2と、第1シール部材7と、第2シール部材8で囲まれた領域に配置されている。外輪1の内周面、内輪2の外周面、第1シール部材7の玉3側の軸方向の端面、第2シール部材8の玉3側の軸方向の端面は、転動体配置室を画定している。
上記固形潤滑剤9は、樹脂材料と、潤滑剤とを有し、樹脂材料は、流動可能な状態において、紫外線が照射されたときに硬化する性質を有している。上記樹脂材料は、光重合開始剤を含んでいる。
以下、上記固形潤滑剤9の一部として使用できる樹脂材料について説明する。固形潤滑剤9の一部として使用でき、流動可能な状態において、紫外線が照射されたときに硬化する性質を有する紫外線硬化樹脂は、一般的には、モノマー(樹脂の希釈剤であって、硬化後に樹脂となる物質)と、オリゴマー(最終的にはポリマー(固体)になるモノマー(液体)との中間的な物質であって、樹脂の主成分となる物質)と、光重合開始剤(紫外線を照射されると光重合反応を開始する物質)と、光重合促進剤と、添加剤(充填材、密着付与剤)と、着色剤とからなる。
ここで、光重合促進剤、添加剤および着色剤のうちの少なくとも一つは、樹脂材料への混入を省略することができる。
モノマーは、ラジカル重合系とカチオン重合系に分かれる。ラジカル重合系のモノマーとしては、単官能性アクリレート、2〜6官能性アクリレートがある。また、カチオン重合系のモノマーとしては、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタイン化合物がある。
また、オリゴマーは、ラジカル重合系とカチオン重合系に分かれる。ラジカル重合系のオリゴマーとしては、エポキシアクリレート、カルボキシル基変性エポキシアクリル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、共重合系アクリレートがある。また、カチオン重合系のオリゴマーとしては、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル、オキセタン化合物がある。
また、光重合開始剤は、ラジカル重合系とカチオン重合系に分かれる。ラジカル重合系の光重合開始剤には、ベンゾフェノン系の光重合開始剤、アセトフェノン系の光重合開始剤、チオキサントン系の光重合開始剤、ホスフィンオキサイド系の光重合開始剤がある。また、カチオン系の光重合開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩がある。
また、光重合促進剤は、ラジカル重合系とカチオン重合系に分かれる。ラジカル重合系の光重合促進剤には、3級アミンがある。また、カチオン重合系の光重合促進剤には、アントラセン系の光重合促進剤、ナオキサントン系の光重合促進剤がある。
また、添加剤には、重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、溶剤、チクソ性付与剤、ポリマー、充填材、レベリング剤等がある。また、着色剤には、顔料、染料がある。
一例として、アクリル系紫外線硬化樹脂について説明すると、アクリル系紫外線硬化樹脂は、アクリロイル基と呼ばれる反応性の化学構造を持つプレポリマー、モノマーおよび光重合開始剤で構成され、紫外線を照射することにより、秒単位で固体となる。
上記各カテゴリーに属する具体的な物質は、ここでは、詳述しないが、例えば、「UV・EB硬化材料の開発」(シーエムシー出版)に記載されているものがある。
また、上記固形潤滑剤9の一部として使用できる潤滑剤としては、例えば、種々の潤滑油を、使用することができる。ここで、潤滑油は、特に、樹脂の原料と潤滑成分とを固形化する際に樹脂と反応して、当該樹脂の機械的性質を低下させるおそれがないものがふさわしい。潤滑成分として使用できる潤滑油としては、例えば、鉱油、ポリ−α−オレフィン油、ジエステル油、ポリオールエステル油、アルキルジフェニルエーテル油、シリコーン油、パラフィン油、ふっ素油等があげられる。
潤滑剤として使用できる潤滑油には、潤滑性、安定性その他の特性を改善するために、各種の添加剤を配合することもできる。また、潤滑剤としては、上記記載の潤滑油を、それぞれ単独で使用できる他、上記記載の潤滑油のうちの2種以上を併用することもできる。
また、上記固形潤滑剤9の一部として使用できる潤滑剤としては、例えば、金属石けん型グリースおよび非金属石けん型有機系グリースがある。
具体的には、炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアルミニウム塩を増ちょう剤として含むグリースがある。また、少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を増ちょう剤として含むグリースがある。
また、少なくとも1種の、炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸、少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸及び、炭素原子数2〜11の脂肪族モノカルボン酸のカルシウム塩を増ちょう剤とするカルシウムコンプレックス石けんグリースがある。また、炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸と炭素原子数7〜24の芳香族モノカルボン酸のアルミニウム塩を増ちょう剤とするアルミニウムコンプレックス石けんグリースがある。
また、少なくとも1種の、炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸、少なくとも1個のヒドロキシルを含む炭素原子数12〜24の脂肪族モノカルボン酸と、少なくとも1種の、炭素原子数2〜12の脂肪族ジカルボン酸またはジカルボン酸ジエステル、または炭素原子数7〜24の芳香族モノカルボン酸またはモノカルボン酸エステルまたはリン酸エステル類またはホウ酸エステル類のリチウム塩を増ちょう剤とするリチウムコンプレックス石けんグリースがある。また、ジウレア化合物(R1NHCONHR2NHCONHR1で示される式中、R1は炭素原子数6〜24である直鎖状または分岐状の飽和または不飽和のアルキル基を表し、R2は炭素原子数6〜15の2価の芳香族炭化水素基を表す。)またはポリウレア化合物を含むグリースがある。また、ポリテトラフルオロエチレンを含むグリースがある。
固形潤滑剤9を構成する樹脂材料と潤滑剤との配合量は、とくに限定されないが、固形潤滑剤9の総量に占める樹脂材料の割合が10〜80重量%(逆に言えば、固形潤滑剤9の総量に占める潤滑剤の割合が、20〜90重量%)となるように、配合されている。
また、本発明の転動装置では、固形潤滑剤の樹脂材料として、次の紫外線硬化タイプの反応系樹脂を含む樹脂材料を使用することもできる。
具体的には、ベース樹脂として、シリコーン系樹脂の変性品を使用し、反応開始剤として、光重合開始剤を使用する。ここで、反応開始剤としては、ラジカル重合型の開始剤や、光カチオン型の開始剤(光カチオン触媒)を使用でき、例えば、光カチオン型の開始剤としては、芳香族オニウム塩を含んだ材料等を使用できる。
上記シリコーン系樹脂の変性品を使用し、反応開始剤として、光重合開始剤を使用する材料に、グリースおよび油のうちの少なくとも一方を混合して、これらの材料を含む固形潤滑剤を作成する。
上記ベース樹脂として使用できる紫外線硬化型シリコーンとしては、以下に区分するものがある。
I.ラジカル硬化型:
(1)アクリル変性ポリシロキサン(アクリルシリコーン)
(2)メルカプト変性ポリシロキサン(メルカプトシリコーン)
II.カチオン硬化型
(1)エポキシ変性ポリシロキサン(エポキシシリコン)
III.複合硬化型
(1)メルカプト/脱アセトン硬化シリコーン
(2)アクリル/脱アルコール硬化シリコーン
図2は、上記実施形態の玉軸受を製造している途中の模式図である。以下、図2を用いて本発明の転動装置の製造方法の一実施形態である玉軸受の製造方法を説明する。尚、図2は、模式図であり、玉軸受の形状は正確なものではなく、かつ、図2においては、保持器の図示も省略している。
先ず、外輪1と、内輪2と、複数の玉3と、図示しない保持器とを組み付けて、アッセンブリを形成する。
次に、上で説明した紫外線硬化樹脂材料(光重合開始剤を含む)と、上で説明した潤滑剤のうちの少なくとも一つの潤滑剤とを含むと共に、固まっていない状態(流動可能状態)の固形潤滑剤9を、外輪1の内周面と、内輪2の外周面とで画定される非密封室内に配置する。
その後、図2に示すように、上記固まっていない状態の固形潤滑剤9に、紫外線ランプ120を用いて紫外線を照射して、固形潤滑剤9を硬化させる。詳しくは、紫外線ランプ120を、外輪1と内輪2との間の軸方向の一方の側の開口に軸方向に対向している状態を維持しながら、円上に回転させて、固形潤滑剤9における玉3の軸方向の一方の側の部分を重点的に硬化させる。その後、紫外線ランプ120を、外輪1と内輪2との間の軸方向の他方の側の開口に軸方向に対向する位置に移動させて、紫外線ランプ120を、外輪1と内輪2との間の軸方向の他方の側の開口に軸方向に対向している状態を維持しながら、円上に回転させて、固形潤滑剤9における玉3の軸方向の他方の側の部分を重点的に硬化させる。
最後に、外輪1と内輪2との間における軸方向の一方および他方の開口を塞ぐように二つのシール部材(図示しない)を配置する。このようにして、玉軸受の製造を完了する。
上記実施形態の玉軸受によれば、転動体配置室内に固形潤滑剤9が配置されているから、高荷重、高温、衝撃荷重下などの厳しい潤滑条件においても、内外輪1,2および玉3を確実に潤滑できる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、固形潤滑剤9に含まれている樹脂材料が、紫外線硬化樹脂であって、樹脂材料が流動可能な状態において、紫外線が照射されたときに硬化する性質を有しているから、転動体配置室内に固形潤滑剤9を配設する際に、固まっていない状態の固形潤滑剤に、紫外線を数十秒程度照射するだけで、固形潤滑剤9を硬化させることができる。したがって、従来と異なり、固形潤滑剤9を硬化させるのに、上記転動体配置室の温度を、150℃以上の温度に加熱した後に冷却する必要がない。したがって、上記150℃以上の温度によって、上記転動体配置室を構成する部材である外輪1および内輪2の硬さが抜けることがないと共に、もろくなることがなくて、上記転動体配置室を構成する部材(この実施形態では、外輪1と内輪2)の強度を所定の強度に維持することができる。また、固形潤滑剤9を短時間で硬化させることができ、使用期間(ポットライフ)を長くできる。また、紫外線硬化樹脂は、溶剤が使用されていないから、環境に悪影響を及ぼすことがなく、かつ、玉軸受の内部は、遮光下に保たれているから、長期に保存されることができる。
また、上記実施形態の玉軸受によれば、従来と異なり、固形潤滑剤9を硬化させるのに、転動体配置室の温度を、150℃以上の温度に加熱した後に冷却する必要がない。したがって、転動体配置室の温度を、150℃以上の温度にするまでの時間を削減できて、玉軸受の製造のサイクルタイムを格段に低減できる。
また、上記実施形態の玉軸受の製造方法によれば、固形潤滑剤9を硬化させるのに、上記非密封室の温度を、150℃以上に上昇させる必要がない。したがって、上記150℃以上の温度によって、上記非密封室を構成する部材(この実施形態では、外輪1と内輪2)の硬さが抜けることがないと共に、上記非密封室を構成する部材がもろくなることがなくて、上記非密封室を構成する部材の強度を所定の強度に維持することができる。
また、上記実施形態の玉軸受の製造方法によれば、従来と異なり、固形潤滑剤を硬化させるのに、転動体配置室の温度を、150℃以上の温度に加熱した後に冷却する必要がない。したがって、転動体配置室の温度を、150℃以上の温度にするまでの時間を削減できて、玉軸受の製造のサイクルタイムを格段に低減できる。
また、上記実施形態の玉軸受の製造方法によれば、樹脂材料が、光重合開始剤を含んでいるから、固まっていない状態の固形潤滑剤9に紫外線を照射するだけで、固形潤滑剤9を硬化させることができて、固形潤滑剤9を簡単安価かつ迅速に硬化させることができる。
尚、上記実施形態では、転動体が玉3である転がり軸受の外輪1と内輪2との間に、固形潤滑剤9を配設したが、この発明では、転動体が円筒ころ、円錐ころ、または、凸面ころ等の玉以外の転動体である転がり軸受の外輪と内輪との間に、固形潤滑剤を配設しても良い。また、上記実施形態では、保持器を有する玉軸受の外輪1と内輪2との間に、固形潤滑剤9を配設したが、この発明では、保持器を有さない総玉軸受の外輪と内輪との間に、固形潤滑剤を配設しても良い。
また、上記実施形態では、転動装置が玉軸受で、外輪1と内輪2との間に固形潤滑剤9を配設したが、転動装置が直動機器で、直動機器の転動体配置室内に、紫外線の照射で硬化する樹脂材料を含んだ固形潤滑剤を配設しても良い。また、転動装置がボールネジで、ボールネジのボール配置室内に、紫外線の照射で硬化する樹脂材料を含んだ固形潤滑剤を配設しても良い。
また、上記実施形態では、図1に示すように、第1シール部材7が内輪2に接触していると共に、第2シール部材8が内輪2に接触していて、上記転動体配置室は、密封された状態になっている。しかしながら、この発明では、例えば、シール部材は、内輪に非接触で、シール部材は、ラビリンスシールを行っていても良い。更には、シール部材はなくても良い。このように、転動体配置室は、完全に密封された状態でなくても良く、転動体配置室は、密封されている状態であっても、密封されていない状態であってもどちらでも良い。
また、上記実施形態の玉軸受の製造方法では、紫外線ランプ120を、一方の上記開口に対向する位置から他方の上記開口に対向する位置まで移動させて、玉3の両側に位置する固形潤滑剤9の各部分を硬化させる。しかしながら、この発明では、鏡面を玉の方に向けた状態で、外輪と内輪との間の軸方向の一方の側の開口を塞ぐように、鏡を配置した上で、紫外線ランプを、外輪と内輪との間の軸方向の他方の側の開口に軸方向に対向している状態を維持しながら、円上に回転させて、紫外線ランプを、一方の上記開口に対向する位置から他方の上記開口に対向する位置まで移動させずに、固形潤滑剤を硬化させるようにしても良い。外輪の内周面と内輪の外周面は、金属面であって鏡面としての機能を果たすから、この方法でも、固形潤滑剤を硬化させることができるのである。
また、上記実施形態の玉軸受の製造方法では、紫外線ランプ120を、外輪1と内輪2との間の軸方向の一方の側の開口に軸方向に対向している状態を維持しながら、円上に回転させて、固形潤滑剤9を硬化させたが、この発明では、紫外線ランプを、内輪の中心軸(図2において、pに相当する軸)上に配置して、紫外線ランプを、円上に回転させずに、固形潤滑剤を硬化させても良い。
尚、この方法においても、紫外線ランプを、内輪の中心軸上における、内輪の軸方向の一方の側の位置から、内輪の中心軸上における、内輪の軸方向の他方の側の位置に移動させて、固形潤滑剤を硬化させても良く、鏡面を玉の方に向けた状態で、外輪と内輪との間の軸方向の一方の側の開口を塞ぐように、鏡を配置した上で、紫外線ランプを、内輪の中心軸上における、内輪の軸方向の他方の側の位置に配置して、固形潤滑剤を硬化させても良いことは、言うまでもない。
また、複数の紫外線ランプを、転がり軸受の軌道輪の軸方向の端面の法線方向で、かつ、転がり軸受から遠い箇所に配置して、上記法線方向に平行な紫外線を、転がり軸受の軸方向の端面全面に同時に照射して、固形潤滑剤を硬化させるようにしても良い。
また、上記実施形態の玉軸受の製造方法では、固形潤滑剤9が、紫外線の照射で硬化する樹脂材料を含み、流動状態の固形潤滑剤9に紫外線を照射して、固形潤滑剤を硬化させたが、この発明では、固形潤滑剤が、電子線の照射で硬化する樹脂材料を含み、流動状態の固形潤滑剤に電子線を照射して、固形潤滑剤を硬化させても良い。尚、電子線の照射で硬化する樹脂材料としては、紫外線の照射で硬化する樹脂材料や、上で説明した材料で、光重合開始剤や光重合促進剤を含まない樹脂材料等がある。
紫外線の照射で硬化する樹脂を含む固形潤滑剤は、紫外線が照射された箇所のみ硬化する。したがって、上記固形潤滑剤の上記外輪の径方向の位置によって上記紫外線を照射するタイミングを変えることにより、固形潤滑剤において、硬化させる部分の順番を制御できて、固形潤滑剤が収縮する方向を制御でき、固形潤滑剤の実際の配置位置を、固形潤滑剤の所望の配置位置に近づけることができる。
図3は、本発明の転動装置の製造方法の他の実施形態である玉軸受の製造方法を説明する模式図である。尚、図3は、模式図であり、玉軸受の形状は正確なものではなく、かつ、図3においては、保持器の図示も省略している。
また、図3で説明する実施形態の玉軸受の製造方法では、図2を用いて説明した実施形態の玉軸受の製造方法と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、図2を用いて説明した実施形態の玉軸受の製造方法と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
この実施形態では、玉軸受を次のように製造する。
先ず、外輪201と、内輪202と、複数の玉203と、図示しない保持器とを組み付けて、アッセンブリを形成する。
次に、上で説明した紫外線硬化樹脂材料と、上で説明した潤滑剤のうちの少なくとも一つの潤滑剤とを含むと共に、固まっていない状態(流動可能状態)の固形潤滑剤209を、外輪201の内周面と、内輪202の外周面とで構成される非密封室内に配置する。
その後、円板部材215を玉軸受の軸方向の端面を覆うように配置する。図4は、円板部材215の一方の端面を示す平面図である。円板部材215は、紫外線を遮断できる素材からなる円板状の第1紫外線遮断部301と、紫外線が透過できる素材からなる環状の紫外線透過部302と、紫外線を遮断できる素材からなる環状の第2紫外線遮断部303とからなる。図4に示すように、第1紫外線遮断部301の外周面は、紫外線透過部302の内周面に接続しており、紫外線透過部302の外周面は、第2紫外線遮断部303の内周面に接続している。紫外線透過部302の径方向の中間の位置が描く円の径は、図3の玉軸受のピッチ円径(PCD)に一致している。上記円板部材215の一方の端面が、玉軸受の軸方向の端面に当接すると共に、円板部材215の中心軸q2(図4参照)が内輪202の中心軸q1に一致するように、円板部材215を配置する。
次に、紫外線ランプ220を、紫外線透過部302の径方向の中央に軸方向に対向している状態で、円上に移動させながら、円板部材215を、非常にゆっくり玉軸受の軸方向の端面の法線方向に玉軸受から離れる方向である図3に矢印aで示す方向に移動させる。このようにして、紫外線があたる範囲を、玉軸受のピッチ円を含むと共に、上記法線方向に伸びる円筒面b上の位置から、この位置を中心にして径方向の内外に徐々に広げて、固形潤滑剤209を、円筒面b上の位置から、径方向の内外に徐々に硬化させる。
そして、固形潤滑剤209における玉203の軸方向の一方の側が硬化した後、円板部材215および紫外線ランプ220を、玉203の軸方向の他方の側に移動させて、固形潤滑剤209における玉203の軸方向の他方の側を、固形潤滑剤209における玉203の軸方向の一方の側と同様に硬化させる。
最後に、外輪201と内輪202との間における軸方向の一方および他方の開口を塞ぐように二つのシール部材(図示しない)を配置して、玉軸受の製造を完了する。
上記他の実施形態の玉軸受の製造方法によれば、固形潤滑剤209を硬化させる過程において、固形潤滑剤209を、径方向の外方から径方向の中央に収縮させることができると共に、径方向の内方から径方向の中央に収縮させることができる。したがって、固形潤滑剤209が外輪201および内輪202に接触することを抑制できる。
尚、上記他の実施形態の玉軸受の製造方法によれば、固形潤滑剤209を、固形潤滑剤209における、玉軸受のピッチ円を含むと共に、上記法線方向に伸びる円筒面b上の位置から、径方向の内方および外方に徐々に硬化させる。しかしながら、この発明では、固形潤滑剤を径方向の外方から径方向の内方に徐々に硬化させて、固形潤滑剤の内周面を最後に硬化させても良い。
尚、紫外光を当てる順番は、軸受の種類、仕様等によって、適宜変更できることは、言うまでもない。
本発明の転動装置の一実施形態の玉軸受の軸方向の断面図である。 上記実施形態の玉軸受を製造している途中の模式図である。 本発明の転動装置の製造方法の他の実施形態である玉軸受の製造方法を説明する模式図である。 円板部材の一方の端面を示す平面図である。
1,201 外輪
2,202 内輪
3,203 玉
9,209 固形潤滑剤
11 軌道溝
12 軌道溝
120,220 紫外線ランプ

Claims (2)

  1. 転動体が配置されていると共に、密封されていない状態の非密封室内に、流動可能な状態において、電子線および紫外線のうちの少なくとも一方が照射されたときに硬化する性質を有する樹脂材料と、潤滑剤とを含むと共に、固まっていない状態の固形潤滑剤を配置し、
    その後、上記固まっていない状態の上記固形潤滑剤に電子線および紫外線のうちの少なくとも一方を照射して、上記固形潤滑剤を硬化させ、
    上記転動体は、外輪の軌道面と内輪の軌道面との間に配置され、
    上記非密封室は、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面とで画定され、
    上記紫外線を、上記外輪の軸方向の外方から照射し、
    上記紫外線を照射するタイミングを、上記固形潤滑剤の上記外輪の径方向の位置によって変えることを特徴とする転動装置の製造方法。
  2. 請求項に記載の転動装置の製造方法において、
    上記樹脂材料は、光重合開始剤を含み、
    上記固まっていない状態の上記固形潤滑剤に紫外線を照射することを特徴とする転動装置の製造方法。
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