JP2000065072A - 潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受 - Google Patents

潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受

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JP2000065072A
JP2000065072A JP10232849A JP23284998A JP2000065072A JP 2000065072 A JP2000065072 A JP 2000065072A JP 10232849 A JP10232849 A JP 10232849A JP 23284998 A JP23284998 A JP 23284998A JP 2000065072 A JP2000065072 A JP 2000065072A
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containing polymer
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Shunichi Yabe
俊一 矢部
Shigeaki Aihara
成明 相原
Tetsuo Watanabe
哲雄 渡邊
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸受の内部空間内に充填される潤滑剤含有ポリ
マと内輪及び/又は外輪との間の隙間の大きさを意図的
に制御することにより、低トルクで温度上昇が少なく、
したがって高速回転で使用可能な潤滑剤含有ポリマ充填
転がり軸受を提供する。 【解決手段】内輪1,外輪2,転動体3及び保持器4に
より形成される軸受空間内に潤滑剤含有ポリマ5を充填
してなる転がり軸受において、潤滑剤含有ポリマ5と、
内輪外周面1g及び外輪内周面2nのうち少なくともい
ずれか一方における軌道溝10を除く周面部分との間
に、大きさを制御した間隙C1(C2)を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑剤含有ポリマ
充填転がり軸受に係り、特に、例えばボールねじのサポ
ート軸受(TAC軸受)などの如く高速回転で使用され
る潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受
として、例えば特公昭62−60565(特許第143
276)号に提示されたものがある。これは、図7に示
すように、内輪1の周面と外輪2周面との間の転動体3
と保持器4とを除いた軸受内部空間に潤滑剤含有ポリマ
(プラスチックグリース)5を充填した転がり軸受であ
る。また、潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受の他の従来
例としては、実開平6−73447(実用新案登録第2
570747)号が知られている。これは、図8に示す
ように、潤滑剤含有ポリマ(プラスチックグリース)5
を転動体3同士の間に部分的に充填し、その他の軸受内
部空間には通常のグリース6を充填したシール付き転が
り軸受である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受には、それぞれに
以下のような問題点がある。 (1)特公昭62−60565号の場合 内輪1の周面と外輪2の周面との間の転動体3と保持器
4とを除いた軸受内部空間に、潤滑剤含有ポリマ5を充
填したことにより、潤滑剤含有ポリマ5がそれら各部品
それぞれの動きを阻害する恐れがある。それによって軸
受の動トルクが高くなり、回転による温度上昇も高くな
る可能性がある。また、高速に軸受を回転させると、温
度上昇によって軟化した潤滑剤含有ポリマ5が破損する
恐れもある。図7には、潤滑剤含有ポリマ5と内外輪
1,2の各周面との間にそれぞれ隙間があるように見え
るが、特になにも工夫しないと、外輪2側は固化時の収
縮で隙間があくが、内輪1側には隙間が無くなる場合が
ある。 (2)実開平6−73447号の場合 潤滑剤含有ポリマ5を転動体3同士の間に部分的に充填
することによって、低トルク化を達成することが可能に
なったが、それだけでは潤滑剤の絶対量が少ないので、
それを補うために通常のグリース6を補給している。し
かし、この通常のグリース6で前記転動体同士の間の空
間以外の軸受内部空間が占められた状態で、軸受を高速
に回転させると、グリース6の攪拌抵抗によって軸受温
度が上昇する恐れがある。
【0004】そこで本発明は、このような従来の潤滑剤
含有ポリマ充填転がり軸受の問題点に着目してなされた
ものであり、軸受の内部空間内に充填される潤滑剤含有
ポリマと内輪及び/又は外輪との間の隙間の大きさを意
図的に制御することにより、低トルクで温度上昇が少な
く、したがって高速回転で使用可能な潤滑剤含有ポリマ
充填転がり軸受を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明は、内輪,外輪,転動体及び
保持器により形成される軸受空間内に潤滑剤含有ポリマ
を充填してなる転がり軸受において、当該潤滑剤含有ポ
リマと、内輪外周面及び外輪内周面のうち少なくともい
ずれか一方における軌道溝を除く周面部分との間に、大
きさを制御した間隙を設けたことを特徴とする。
【0006】以下、本発明の潤滑剤含有ポリマの構成材
料について詳細に説明する。本発明の潤滑剤含有ポリマ
は、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブチレン,ポ
リメチルペンテン等の基本的に同じ化学構造を有するポ
リオレフィン系樹脂の群から選定された合成樹脂に、潤
滑剤としてポリαーオレフィン油のようなパラフィン系
炭化水素油,ナフテン系炭化水素油,鉱油,ジアルキル
ジフェニルエーテル油のようなエーテル油,フタル酸エ
ステルのようなエステル油等の何れかを単独若しくは混
合油の形で混ぜて調整した原料を、樹脂の融点以上で加
熱して可塑化し、その後冷却することで固形状にしたも
のである。その潤滑剤の中に、予め酸化防止剤,錆止め
剤,摩耗防止剤,あわ消し剤,極圧剤等の各種添加剤を
加えたものでもよい。
【0007】上記潤滑剤含有ポリマの組成比は、全重量
に対してポリオレフィン系樹脂10〜50重量%,潤滑
剤90〜50重量%である.ポリオレフィン系樹脂が1
0重量%未満の場合は,あるレベル以上の硬さ・強度が
得られず、軸受の回転などによって負荷がかかった時に
初期の形状を維持するのが難しくなり、軸受の内部空間
から脱着する等の不具合を生じる可能性が高くなる。ま
た、ポリオレフィン系樹脂が50重量%を越える場合
(つまり潤滑剤が50重量%未満の場合)は、軸受への
潤滑剤の供給が少なくなる結果、軸受の寿命が短くな
る。
【0008】上記合成樹脂の群は、基本構造は同じでそ
の平均分子量が異なっており、700〜5×106 の範
囲に及んでいる。そのうちの平均分子量700〜l×l
4というワックス(例えばポリエチレンワックス)に
分類されるものと、平均分子量l×l04 〜l×l06
という比較的低分子量のものと、平均分子量1×10 6
〜5×106 という超高分子量のものとを、単独若しく
は必要に応じて混合して用いる。比較的低分子量のもの
と潤滑剤との組合わせによって、ある程度の機械的強
度,潤滑剤供給能力,保油性を持つ潤滑剤含有ポリマが
得られる。
【0009】この比較的低分子量のものの一部を、ワッ
クスに分類されるものに置き換えると、ワックスに分類
されるものと潤滑油との分子量の差が小さいために潤滑
油との親和性が高くなり、結果として潤滑剤含有ポリマ
の保油性が向上し、長期間にわたっての潤滑剤の供給が
可能になる。ただし、その反面、機械的強度は低下す
る。
【0010】ワックスとしては、ポリエチレンワックス
のようなポリオレフィン系樹脂の他にも、融点が100
〜130℃以上の範囲にある炭化水素系のもの(例えば
パラフィン系合成ワックス)であれば使用できる。それ
に対して、超高分子量のものに置き換えると、超高分子
量のものと潤滑油との分子量の差が大きいために潤滑油
との親和性が低くなり、結果として保油性が低下し、潤
滑剤含有ポリマからの潤滑剤の滲み出しが速くなる。そ
れによって、潤滑剤含有ポリマから供給可能な潤滑剤量
に達する時間が短くなり、軸受の寿命が短くなる。ただ
し、機械的強度は向上する。
【0011】成形性,機械的強度,保油性,潤滑剤供給
量のバランスを考慮すると、潤滑剤含有ポリマの組成比
は、ワックスに分類されるもの0〜5重量%,比較的低
分子量のもの8〜48重量%,超高分子量のもの2〜1
5重量%,3つの樹脂分の合計10〜50重量%(残り
90〜50重量%が潤滑剤)とするのが好適である。
【0012】機械的強度の一つとして、本発明の潤滑剤
含有ポリマの硬さ[HDA ]は、65〜90の範囲にあ
ることが好ましく、より好ましくは70〜85の範囲で
ある。硬さ[HDA ]が65未満の場合は、強度的に弱
く軸受の回転によって破損する恐れがある。それに対し
て硬さ[HDA ]が90を越える場合は、転動体を拘束
する力が大きく、それによって軸受のトルクが大きくな
ったり、軸受の回転による発熱が大きくなって軸受の温
度が高くなる恐れがある。
【0013】本発明の潤滑剤含有ポリマの機械的強度を
向上させるため、上述のポリオレフィン系樹脂に、以下
のような熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を添加したもの
でもよい。
【0014】熱可塑性樹脂としては、ポリアミド,ポリ
カーボネート,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェ
ニレンサルファイド,ポリエーテルスルホン,ポリエー
テルエーテルケトン,ポリアミドイミド,ポリスチレ
ン,ABS樹脂等の各樹脂を使用することができる。ま
た、熱硬化性樹脂としては,不飽和ポリエステル樹脂,
尿素樹脂,メラニン樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド
樹脂,エポキシ樹脂等の各樹脂を使用することができ
る。これらの樹脂は、単独または混合して用いてもよ
い。更に、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の樹脂と
を、より均一な状態で分散させるために、必要に応じて
適当な相溶化剤を加えてあっても良い。
【0015】また、機械的強度を向上させるために、充
填材を添加しても良い。充填材としては、例えば、炭酸
カルシウム,炭酸マグネシウム,チタン酸カリウムウィ
スカ−やホウ酸アルミニウムウィスカー等の無機ウィス
カー類、或いはガラス繊維や金属繊維等の無機繊維類及
びこれらを布状に編組したもの、また有機化合物ではカ
ーボンブラック,黒鉛粉末,カーボン繊維,アラミド繊
維やポリエステル繊維等を添加してもよい。
【0016】更に、ポリオレフィン系樹脂の熱による劣
化を防止する目的で、N,N‘−ジフェニル−P−フェ
ニルジアミン,2,2‘−メチレンビス(4−エチル−
6−t−ブチルフェノール)等の老化防止剤、また光に
よる劣化を防止する目的で2−ヒドロキシ−4−n−オ
クトキシベンゾフェノン,2−(2‘−ヒドロキシ−3
‘−t−ブチルー5’−メチル−フェニル)−5ークロ
ロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤を添加してもよ
い。
【0017】以上の全ての添加剤(ポリオレフィン系樹
脂+潤滑剤以外)の添加量としては、添加剤全体とし
て、成形原料全量の20重量%以下であることが、潤滑
剤の供給能力を維持する上で好ましい。
【0018】本発明で用いることのできるポリマの材料
としては、上記説明したようなポリオレフィン系樹脂を
ベースとしたものの他、射出成形可能な熱可塑性樹脂で
あれば使用でき、その中で含油量を多くすることができ
るものとして例えば、ポリエステル系エラストマー等が
ある。
【0019】本発明にあっては、上記の潤滑剤含有ポリ
マを軸受空間に充填するにあたり、内輪外周面及び外輪
内周面の両方またはいずれか一方における軌道溝を除く
周面部分と充填した潤滑剤含有ポリマとの間に、大きさ
を制御した間隙を意図的に設ける。その間隙の大きさの
制御方法としては、以下のようなものがある。
【0020】すなわち、組み立て済の転がり軸受の軌道
溝を除く内輪外周面部あるいは外輪内周面部に接触させ
て所定の厚さのリング状の間座を嵌合する。その状態
で、未焼成の潤滑剤含有ポリマを軸受すき間内に充填す
る。次いで、潤滑剤含有ポリマをベースとなる樹脂の融
点以上で加熱して溶融させ、その後冷却して固化させ
る。その後で前記リング状間座を外すことによって、当
該リング状間座の厚さに見合った大きさの間隙を有する
潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受を作ることができる。
その際、ベースとなる樹脂が熱硬化性樹脂であれば、加
熱によってそのまま硬化する。一方、ベースとなる樹脂
が熱可塑性樹脂の場合は、上記の方法の他に、前記リン
グ状間座と同様の大きさの間隙を形成するような金型を
用いて、インサート成形(射出成形)することによって
も製造することができる。
【0021】潤滑剤含有ポリマと、内輪あるいは外輪の
軌道溝を除く周面部分との間に形成する前記間隙の大き
さは、0.1〜1.0mm程度がよく、より好ましくは
0.3〜0.7mmである。0.1mm未満であると、
軸受の回転等によって軸受温度が上昇すると軸受を構成
する金属に比べて潤滑剤含有ポリマの体積膨張が大きい
ために間隙がなくなる。一方、1.0mmを越える場合
は、その分潤滑剤含有ポリマの充填量が減少するととも
に、軸受内部に異物が侵入しやすくなる。
【0022】本発明の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受
にあっては、上記のようにして、内輪外周面及び/又は
外輪内周面の軌道溝を除く周面部分と潤滑剤含有ポリマ
との間に、大きさを0.1〜1.0mmの範囲に制御し
た間隙を設けたことから、従来のように軸受空間に潤滑
剤含有ポリマが隙間なく或いは自然発生的な隙間を介し
て充填されている場合に比べて、内輪あるいは外輪の動
きが潤滑剤含有ポリマで拘束されにくい。そのため、低
トルクであり軸受の回転による温度上昇を小さくでき、
その結果としてより高速回転での使用が可能である。
【0023】また、充填されている潤滑剤含有ポリマの
量は、軸受空間に密に充填されているものに比べて間隙
分だけ少ないだけであり、したがって潤滑剤の絶対量は
実質的にはほとんど変わらない。しかも、上述のように
温度上昇が少ないので、同じ回転数で比較した場合、潤
滑剤含有ポリマからの潤滑剤の放出速度(温度が高いほ
ど速くなる)が遅くなり、それだけ長時間の潤滑が維持
できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の潤滑剤含有ポリ
マ充填転がり軸受の一実施の形態を示す要部断面図で、
本発明を深溝玉軸受に適用したものである。なお、従来
と同一部分には同一の符号を付している。
【0025】内輪1の外周面1gと外輪2の内周面2n
と転動体3と保持器4とにより形成される軸受空間内
に、潤滑剤含有ポリマ5を充填してある。その潤滑剤含
有ポリマ5と内輪外周面1gの軌道溝10−1を除く周
面部分との間には、後述するようにして大きさを制御し
た間隙C1 を設けてある。また潤滑剤含有ポリマ5と外
輪内周面2nの軌道溝10−2を除く周面部分との間に
も、同様にして大きさを制御した間隙C2 を設けてあ
る。なお、間隙C1,C2 のうちどちらか一方を無くして
もよい。
【0026】潤滑剤含有ポリマ5の組成は次の通りであ
る。 高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類):10wt% 超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類):12.5wt% ポリエチレンワックス(ワックスに分類) :2.5wt% 鉱油 :75wt% 図2は、この深溝玉軸受における潤滑剤含有ポリマ5と
内輪外周面1gとの間隙C1 及び外輪内周面2nとの間
の間隙C2 の大きさの制御の仕方を説明する断面図であ
る。この図2に示す手段により、前記間隙C1 及びC2
の大きさを制御しつつ潤滑剤含有ポリマ5を充填する工
程を以下に説明する。
【0027】この実施の形態で間隙C1 及びC2 の大き
さ制御に用いた手段は、治具A及び治具Bである。これ
らの治具A,Bはいずれも、内輪1または外輪2の側面
に押し当てる当て板11の当て面側に、垂直に突設させ
た大小二重の間隙形成用リング突起12を同心円状に備
えている。小径のリング突起12dは内輪1の外周面1
gに嵌着され、大径のリング突起12Dの方は外輪2の
内周面2nに嵌着される。各リング突起12D,12d
の突出長Lは、内輪1の外周面1g及び外輪2の内周面
2nにおける端面(側面)から軌道溝10−1または1
0−2の側端までの長さと略同じである。
【0028】予め組み立てた軸受を脱脂洗浄後、フッ素
系離型剤がフッ素系溶剤で希釈された溶液の中に浸漬さ
せて取り出し放置することで、軸受表面にフッ素系雛型
剤の被膜を形成させた。これは、本出願人が特開平7‐
139551に提示した工程である。その後、軸受の内
部空間に潤滑剤含有ポリマ5を一杯に充填してから、治
具Bを軸受に嵌めて、潤滑剤含有ポリマ5が軌道溝10
−1,10−2を除く軸受内外輪の外周面1g及び内周
面2nと接触しないようにした。そして、治具Bを下側
にした状態で、180℃に加熱した加熱プレス機の上下
の加熱板の間に軸受を挿入し、プレス機の下の加熱板上
に治具Bを介して載置した。このとき、プレス機の上の
加熱板とは非接触とする。そのまましばらく加熱するこ
とで、軸受空間内に充填されている潤滑剤含有ポリマ5
を完全に溶融させ、その後に治貝Aを軸受に嵌めこみ、
冷却プレス機に移して加圧しながら冷却した。室温まで
冷却させてから冷却プレス機から取出し、治具A,Bを
外して本発明の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受を完成
させた。この場合、間隙の間隔C1 及びC2 の大きさは
0.5mmとした。
【0029】なお、同じく図1の構造を有する潤滑剤含
有ポリマ充填転がり軸受を、図3に示すような金型13
を使ってインサート成形(射出成形)で製造することも
できる。その場合は、小径のリング12d’を内輪1の
外周面1gに、また大径のリング12D’を外輪2の内
周面2nに、それぞれインサートした軸受を金型13に
装着する。そして、金型の片側に当該軸受の各転動体3
同士の中間位置に対応させて設けた複数のピンゲートG
から、軸受空間内に溶融状態の潤滑剤含有ポリマ5を注
入する。注入した潤滑剤含有ポリマ5が固化したら、金
型13を割って潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受を取り
出せばよい。
【0030】第2の実施の形態を説明する。潤滑剤含有
ポリマ組成は上記第1の実施の形態と同じである。軸受
構造(TAC軸受,アンギュラ玉軸受)を図4に示す。
この実施の形態の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受で
は、軸受空間内に充填した潤滑剤含有ポリマ5と内輪1
の外周面1gとの間にのみ間隙C1 を設けた。この間隙
C1 の大きさは、治具A及び治具Bにより0.5mmに
制御している。これらの治具A,Bはいずれも、図2の
場合と同じく内輪1または外輪2の側面にそれぞれ押し
当てて用いる(図5参照)。
【0031】これらの治具A,Bはいずれも、内輪1ま
たは外輪2の側面に押し当てる当て板15の当て面側
に、垂直に突設させた間隙形成用リング突起16を1個
ずつ備えている。これらのリング突起16は、内輪1の
両側面からそれぞれに外周面1gに挿入嵌着される。リ
ング突起16の突出長Lは、内輪1の外周面1gにおけ
る端面(側面)から軌道溝10−1側端までの長さと略
同じである。なお、当て板15は、間隙形成用リング突
起16を突設した板に突設してない板を固定ねじ17で
一体に連結して形成している。
【0032】この治具A,Bを用いて行う、軸受内部空
間への潤滑剤含有ポリマ5の充填工程は第1の実施の形
態の場合と略同様でよく、図5に示すように治具Bの方
を下にして加熱成形することができる。
【0033】また、図3と同様の金型を用いて同様に射
出成形で製造することもできる。 (実施例)続いて、実施例と比較例とを用いて行った回
転試験について述べる。
【0034】試験の供試体として深溝玉軸受6205を
使用し、これに18kgのラジアル荷重を負荷しつつ回
転試験を施し、平衡に達した時の外輪温度を測定して比
較した。実施例の供試体としては図1のものを使用し
た。一方、比較例の供試体には、図1とほぼ同じ構造で
あるが、充填した潤滑剤含有ポリマ5と軸受内外輪との
間に間隙C1 ,C2 を有しないものを使用した。各供試
体につき、回転数1000〜8000rpmの範囲で1
000rpmごとに増加させつつ各回転数で24hr回
転させ、平衡に達した外輪温度を測定した。
【0035】各回転数における測定外輪温度を図6に示
す。図6からも明らかのように、いずれの回転数の場合
も実施例1は比較例1に比べて軸受外輪温度が10〜1
5℃低い。また、比較例1が5000rpmで潤滑剤含
有ポリマが変形して破損したのに対し、実施例1は70
00rpmまで異常はなく、8000rpmに至ってで
同様の破損が認められた。なお、各回転数(1000,
2000,3000,4000rpm)における動トル
クは、比較例の値を100%とすると、実施例1では5
5〜65%であり、かなり低トルクであった。
【0036】なお、本発明は、玉軸受とは限らず、各種
のころ軸受にもが適用可能である。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の潤滑剤含
有ポリマ充填転がり軸受によれば、内輪及び/又は外輪
の軌道溝を除く内周部分と潤滑剤含有ポリマとの間に大
きさを制御した間隙を設けたため、低トルクで且つ軸受
の回転による温度上昇が小さくなり、その結果高速回転
で使用可能という効果を奏する。
【0038】しかも、充填されている潤滑剤含有ポリマ
の量が軸受空間内に一杯に充填されているものに比べて
実質的にはほとんど変わらず、潤滑寿命に問題は生じな
い。また、温度上昇が少ないことで、軸受空間内に一杯
に充填されているものと同じ回転数で比較した場合の潤
滑剤含有ポリマからの潤滑剤の放出速度が、より遅くな
りそれだけ長時間の潤滑が維持できて長寿命が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受の一
実施の形態における要部断面図である。
【図2】図1に示すものの潤滑剤含有ポリマ充填工程を
説明する断面図である。
【図3】潤滑剤含有ポリマ充填工程の他の例を説明する
断面図である。
【図4】本発明の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受の他
の実施の形態における要部断面図である。
【図5】図4に示すものの潤滑剤含有ポリマ充填工程を
説明する断面図である。
【図6】軸受回転数の増大に伴う外輪温度の推移を表し
た実験結果のグラフである。
【図7】従来の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受の要部
断面図である。
【図8】従来の他の潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受
で、(a)は要部断面図、(b)はそのII−II線半断面
図である。
【符号の説明】
1 内輪 1g 内輪外周面 2 外輪 2n 外輪内周面 3 転動体 4 保持器 5 潤滑剤含有ポリマ C1(C2) 間隙
フロントページの続き (72)発明者 渡邊 哲雄 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA01 AA32 AA52 AA53 AA54 AA62 CA40 EA52 EA53 FA32 FA60

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪,外輪,転動体及び保持器により形
    成される軸受空間内に潤滑剤含有ポリマを充填してなる
    転がり軸受において、当該潤滑剤含有ポリマと、内輪外
    周面及び外輪内周面のうち少なくともいずれか一方にお
    ける軌道溝を除く周面部分との間に、大きさを制御した
    間隙を設けたことを特徴とする潤滑剤含有ポリマ充填転
    がり軸受。
JP10232849A 1998-08-19 1998-08-19 潤滑剤含有ポリマ充填転がり軸受 Pending JP2000065072A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003166545A (ja) * 2001-11-30 2003-06-13 Koyo Seiko Co Ltd ポリマ潤滑剤を内蔵した機械要素およびその製造方法
DE10149070B4 (de) * 2000-10-05 2004-07-08 Nsk Ltd. Wälzlager und Wälzlagervorrichtung
DE10164848B4 (de) * 2000-10-05 2006-02-02 Nsk Ltd. Wälzlager
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