JP2008069809A - 軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体潤滑被膜の形成工程を簡略化して、その成形コストの低減を図る。
【解決手段】 転がり軸受を構成する内輪2の軌道面3のうち、ボール6との接触部には固体潤滑被膜8が形成されている。この固体潤滑被膜8は、インク12の微小液滴が多数集合して形成されたものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸受装置およびその製造方法に関するものである。
高温、真空、極低温、あるいは放射線下など潤滑油やグリースを使用できない環境下で運転される各種機器の軸受装置では、潤滑性の向上を目的として、部材同士の接触部に固体潤滑被膜を設けるのが通例である。上記のような特殊環境下以外で使用される軸受装置においても、給油や給脂の手間を省くために固体潤滑被膜を設ける場合がある。また、潤滑性の更なる向上を目的として、潤滑油等の潤滑流体と上記の固体潤滑被膜とを併用する場合もある。
例えば、真空下で用いられ、内輪、外輪、転動体、および保持器からなる転がり軸受装置では、内輪の軌道面、外輪の軌道面、転動体の表面(転動面)、および保持器の転動体収容部(ポケット)のうち、少なくとも何れか一に固体潤滑被膜が設けられる。固体潤滑被膜を形成するための方法として、例えば以下示す(1)〜(4)が公知である。
(1)スパッタリング(例えば、特許文献1,2参照)
(2)スパッタリングによって固体潤滑被膜を形成した後、過剰に付着した固体潤滑剤を除去する目的でタンブリング処理を施す(例えば、特許文献3参照)。
(3)イオンプレーティング(例えば、特許文献4参照)
(4)溶液中に固体潤滑剤を分散させ、その溶液中に部材を浸漬させる(例えば、特許文献5,6参照)。
特開平07 −197936号公報 特開2002−130300号公報 特開平11 −209771号公報 特開2002−195276号公報 特開平03−255223号公報 特開平11−193477号公報
上記(1)〜(3)に示すスパッタリングやイオンプレーティングによる固体潤滑被膜の形成方法は、一般に条件管理が複雑で、また成膜に長時間を要す。そのため加工コストが高騰し易く、また高額投資が必要となる。
ところで、固体潤滑剤は一般に高価であるため、球(ボール)状の転動体に固体潤滑被膜を形成する場合を除き、固体潤滑被膜は部材表面のうち、他部材との接触部にのみ設けられるのが通例である。そのため、上記(1)〜(4)に示す従来方法で内・外輪の軌道面などに固体潤滑被膜を形成する場合には、軌道面を除く領域にマスキングを施す必要がある。従って、かかる場合には、被膜形成前のマスキング形成工程、および被膜形成後のマスキング除去工程が必要で、工程数の増加によるコストアップが避けられない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、固体潤滑被膜の形成コストの低減を図り、これを通じて固体潤滑被膜を有する軸受装置の低コスト化を図ることにある。
上記課題を解決するため、本発明では、部材同士の接触部に固体潤滑被膜を設けた軸受装置において、固体潤滑被膜が、固体潤滑剤を含有する微量インクの集合体で形成されたことを特徴とする軸受装置を提供する。
部材表面にインクを供給するための方法としては、インクを、インク供給部(例えば、ノズル)から微小液滴の状態で着弾あるいは滴下する方法、例えばインクジェット法が考えられる。この方法であれば、予めプログラムすることにより、任意の箇所に任意形状の被膜を形成することができる。そのため、従来方法で必要とされた部材表面にマスキングを形成・除去する工程が不要で、固体潤滑被膜の成形コストを低廉化することができる。また、インクの供給量を精密に制御可能であるから、インクの過剰使用を防止することができ、上記(2)で必要とされた仕上げ加工は不要となる。以上のことから、固体潤滑被膜の形成工程を簡略化することができ、この簡略化を通じて軸受装置の低コスト化を図ることができる。
インクは、インク供給部から供給可能であれば種々のものを使用することができ、例えば常温硬化性を有するものを使用することができる。かかるインクであれば、特段の硬化装置を設けることなく被膜を形成することができるので、形成装置の簡略化を通じてコスト低減を図ることができる。また、かかるインクを用いて得られる被膜は、インクの液体成分が揮発・消失し、固体潤滑剤が堆積した形態をなすため、部材同士の摺動接触に伴って固体潤滑剤を軸受の各所に供給することができる。従って、被膜の形成部位を狭小化して、換言するとインクの使用量を低減して、低コスト化を図ることも可能である。
インクとしては、上記の他、例えば光硬化性および熱硬化性のうち、少なくとも何れか一方の硬化特性を有するものを使用することもできる。かかるインクを用いて形成される被膜は、樹脂材料中に固体潤滑剤が分散した形態をなす。従って、固体潤滑剤の飛散を嫌う用途の軸受には、この種のインクを用いるのが望ましい。なお、光硬化性樹脂は比較的短時間で硬化させることができるため成形コストの低廉化に有利で、熱硬化性樹脂は光硬化性樹脂に比べて硬化時間が長い反面耐摩耗性に優れ、軸受の長寿命化を図ることができる。よって、インクを構成するベース樹脂は、要求特性等に応じて適宜選択すればよい。
インクに含有させ得る固体潤滑剤の種類は特に限定されるものでなく、例えば、MoS(二硫化モリブデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、BN(窒化ホウ素)等に代表される有機化合物、グラファイト、フラーレン等の炭素の同素体、および金、ニッケル、銀、鉛等の金属粉末など、公知の固体潤滑剤が使用可能である。これらは、単独で使用する他、複数組み合わせて使用することもでき、用途等に応じて適宜選択可能である。
上記構成の軸受装置は、例えば、固体潤滑剤を含有する微量インクを供給するインク供給部と軸受の構成部材とを相対移動させ、微量インクの集合体からなる固体潤滑被膜を、順次形成する工程を経て形成することができる。例えば転がり軸受を構成する内輪の軌道面に固体潤滑被膜を形成する場合、インク供給部と内輪とを相対回転させ、内輪の円周方向に固体潤滑被膜の形成を順次進行させるようにすれば、インクの供給(印刷)と硬化とを同時進行させることができ、効率的な被膜形成が可能となる。
以上より、本発明によれば、固体潤滑被膜の形成工程を簡略化することができ、この種の固体潤滑被膜を備えた軸受装置の低コスト化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる軸受装置を示すものである。同図に示す軸受装置1は転がり軸受、より厳密には玉軸受で、外周面に軌道面3を有する内輪2と、内周面に内輪2の軌道面3と対をなす軌道面5を有する外輪4と、両軌道面3,5間に転動自在に配された転動体としてのボール6と、内輪2と外輪4との間に配設され、ボール6を保持する保持器7とを備える。
内輪2の軌道面3および外輪4の軌道面5のうち、ボール6との接触部には、微量インクの集合体からなる固体潤滑被膜(以下、単に「被膜」という。)8が形成されている。
次に、内輪2の軌道面3に被膜8を形成する工程を図面に基づいて詳述する。
図2は、内輪2の軌道面3にインクの微小液滴を供給し、その集合体で被膜8を形成する装置、ここではインクジェット方式の印刷装置の概要を示すものである。同図に示す印刷装置は、軸状の治具14の両端を支持し、治具14およびこれに外嵌された内輪2を回転駆動させる支持部13と、内輪2の軌道面3と対向して設けられた一又は複数(図示例は一つ)のノズルヘッド10とを主要な構成要素として備える。ノズルヘッド10には、微小液滴状態のインク12を吐出するノズル11が縦横複数列に配設されている。治具14と内輪2との嵌め合いは、両者が同期して回転できる程度に設定されている。
ノズルヘッド10は、例えば図3(a)に示すように、定位置で回転駆動される内輪2の軸線と直交する鉛直線上に配置する(換言すると、インク12の吐出方向が、内輪2の接線方向に対して約90°となるように配置する)他、例えば図3(b)に示すように、内輪2の表面に対し、接線方向と法線方向の間の方向に沿って配置することができる。図3(b)に示す態様の場合、ノズルヘッド10の方向(インク12の吐出方向)は、接線方向に対して20°〜60°の角度であるのが望ましい。
インク12としては、硬化後に被膜8を形成可能な、いわゆる固体潤滑剤9を含有したものが用いられる。固体潤滑剤9としては、例えば、MoS(二硫化モリブデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、BN(窒化ホウ素)等に代表される有機化合物、グラファイト、フラーレン等に代表される炭素の同素体、および金、ニッケル、銀、鉛等に代表される金属粉末など、公知の固体潤滑剤が使用可能である。これらは、単独で使用する他、複数組み合わせて使用することもでき、用途等に応じて適宜選択可能である。
上記の固体潤滑剤9は有機溶媒に溶解あるいは分散させて用いられ、従ってインク12は常温硬化性を有する。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等水溶性の有機溶媒の他、ヘキサン、酢酸エチル、トルエン、ベンゼン、キシレン等非水溶性の有機溶媒も使用可能である。なお、固体潤滑剤9を分散させて用いる場合、その粒径はノズル11の目詰まりを招かない程度のものが用いられる。
なお、インク12には染料や顔料等の着色材料を含有させてもよい。被膜8の視認性を高め、検査工程の簡略化を図るためである。
以上の構成において、支持部13で治具14を回転させながらノズルヘッド10のノズル11からインク12を間欠的に吐出することにより、インク12の微小液滴が内輪2の軌道面3の所定位置に着弾する。この微小液滴が多数集合することで、内輪2の軌道面3のうち、ボール6との接触部に被膜8が形成される。
被膜8の印刷は治具14の回転に伴って内輪2の円周方向に徐々に進行する形で行われ、着弾したインク12は順次硬化を開始する。着弾直後のインク12’は、図4(a)に示すように、最終的な被膜8の厚みよりも厚膜に形成される。被膜8はインク中の有機溶媒が揮発することによって形成され、有機溶媒が揮発すると、図4(b)に示すような固体潤滑剤9が堆積してなる薄膜状の被膜8が形成される。実際には、内輪2を1〜数十回転させて、内輪2の軌道面3のうち、ボール6との接触部近傍に所定量のインク12を供給する。内輪2をさらに回転させながらインク12を硬化させ被膜8が形成されると、内輪2の回転を停止させて支持部13から治具14、さらには内輪2を取り外す。なお、着弾したインク12’の硬化速度を早めるため、例えば内輪2や着弾後のインク12’を加熱する加熱手段を設けてもよい。
以上で説明した被膜8の形成方法では、インク12の吐出量や吐出箇所を精密に制御することができるから、インク12の使用量を適切に管理しつつ、任意形状の被膜8を任意の箇所に高精度に形成することができる。従って、被膜8の非形成部にマスキングの形成・除去を必要とする、スパッタリング、イオンプレーティング、ディッピング等の従来方法に比べ工程数を削減することができ、これを通じて被膜8の成形コストを低廉化することができる。またインク(固体潤滑剤)の過剰使用による仕上げ処理も不要である。また、被膜8は上記の簡易な印刷装置で形成することができるので、高額投資や複雑な条件管理が必要なスパッタリングやイオンプレーティングに比べて加工コストを低減することができる。
また、上記の態様で被膜8を形成すれば、インク12の供給(被膜8の形成)および硬化を同一工程内で行うことができ、効率的に被膜8を形成することが可能となる。なお複数回転させることによって被膜8を形成する場合でも、治具14(内輪2)の回転速度やインク12の供給タイミング等を適切に設定しておけば、硬化不十分なインク12が重なり、被膜8の成形精度が悪化するのを回避することができる。
なお、図示例では一の内輪2に被膜8を形成する形態を示しているが、被膜8の成形コストの更なる低廉化を図るため、内輪2を軸方向に複数並べ、複数の内輪2の軌道面3に同時に被膜8を形成することもできる。このとき、内輪2の内周には治具14が挿入され、各内輪2の姿勢は一定に保たれるから、各内輪2の軌道面3に形成される被膜8は均質かつ高精度なものとなる。この場合、ノズルヘッド10は図示例のように軸方向の一箇所だけでなく、軸方向の複数箇所に配設することもできる(図示省略)。
またインク12の供給方式としては、上述のインクジェット方式のみならず、例えば電気泳動を利用して液滴を吐出する方式、ノズルではなく液面から直接液滴を滴下させる、いわゆるノズルレスタイプの液滴吐出方式、あるいはマイクロピペットを介してインク12を液滴の状態ではなく連続的に吐出する方式、あるいは素材表面までの距離を短縮し、インク12を吐出と同時に定着面に接触させる方式などを採用することもできる。
本実施形態のように、常温硬化性を有するインク12を用いて被膜8を形成した場合、被膜8は、インク12を構成する有機溶媒が揮発・消失する結果、固体潤滑剤が多数堆積した形態をなす。そのため、ボール6の転動に伴って固体潤滑剤を軸受の各所に転着供給することが可能で、被膜8の形成部位以外の潤滑性を高めることも可能である。従って、被膜8の形成部位を極力狭小化して、換言するとインク12の使用量を極力低減して、被膜8の成形コストを低廉化することもできる。もちろん、潤滑性を一層高めるため、内輪2の軌道面3全面に被膜8を形成することもできる。
以上の説明では、被膜8の形成に用いるインクとして常温硬化性を有するものを例示したが、被膜8は光硬化性を有するインク22で形成することもできる。
光硬化性を有するインク22を用いて被膜8を形成する場合、インク22は、光硬化性樹脂、好ましくは紫外線硬化樹脂に光重合開始剤等を適宜配合したベース樹脂に、上述した固体潤滑剤9を分散させたものが使用される。インク22のベース樹脂を構成する紫外線硬化樹脂としては、例えばラジカル重合系モノマーやラジカル重合系オリゴマー、カチオン重合系モノマーの他、イミドアクリレート、あるいは環状ポリエン化合物やポリチオール化合物に代表されるエン・チオール化合物が挙げられるが、この中でもラジカル重合系モノマーやラジカル重合系オリゴマー、カチオン重合系モノマーを好ましく使用することができる。ラジカル重合系モノマーとしては、例えば単官能、2官能あるいは多官能のアクリレート系モノマーや、メタクリレート系モノマーが使用でき、ラジカル重合系オリゴマーとしては、例えばウレタンアクリレートや、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、あるいは不飽和ポリエステルなどが使用できる。また、カチオン重合系モノマーとしては、例えばビスフェノールA系エポキシ樹脂や、フェノールノボラックエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂の他、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等のオキセタン樹脂が使用できる。これら紫外線硬化樹脂は、単体で使用する他、2種類以上を混合して使用することもできる。
また、光重合開始剤としては、ラジカル系光重合開始剤や、カチオン系光重合開始剤等を使用することができる。ラジカル系光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノンや、オルソベンゾイン安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4‘−メチルジフェニルサルファイド、ベンゾフェノンのアンモニウム塩、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、チオキサントンのアンモニウム塩に代表される水素引抜型の光重合系開始剤が使用でき、あるいはベンゾイン誘導体や、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキサイド、モノアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド、アクリルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノン、チタノセン化合物に代表される分子内開裂型の光重合開始剤が使用できる。また、カチオン系光重合開始剤としては、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートや、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、SP−170やSP−150(共に旭電化(株)製)、FC−508やFC−512(共に3Mカンパニー社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトリックカンパニー社製)に例示されるポリアリールスルホニウム塩、Uvacure1590やUvacure1591(共にダイセル・ユーシービー社製)に例示されるトリアリルスルフォニュムヘキサフルオロフォスフェード塩の混合物、Irg−261(チバ・ガイギー社製)に例示されるメタロセン化合物、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートやP−ノニルフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4‘−ジエトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のポリアリールヨードニウム塩が使用できる。これら光重合開始剤は、1種類であるいは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
このように、紫外線硬化性を有するインク22を用いて被膜8を形成する場合、印刷装置にはインク22を硬化させるための硬化装置として紫外線ランプ15が設けられる。このとき、照射紫外線によるノズル11の目詰まりを防止するため、紫外線ランプ15は、図5に示すように、ノズルヘッド10と円周方向位置を異ならせて、好ましくは図示するように治具14を挟んでノズルヘッド10と対向するように配設される。かかるインク22および印刷装置を用いる場合、被膜8は以下のようにして形成される。
支持部13で治具14を回転させながらノズルヘッド10のノズル11からインク22を間欠的に吐出することにより、インク22の微小液滴が内輪2の軌道面3の所定位置に着弾し、この微小液滴が多数集合することで、内輪2の軌道面3に被膜8が形成される。この被膜8の印刷は、内輪2の回転に伴い、内輪2の円周方向に徐々に進行する形で行われ、印刷された部分が円周方向にある程度進行すると(図示例の場合は半周すると)、印刷された部分が紫外線ランプ15の対向領域に達し、紫外線照射によりインク22が重合反応を起こして順次硬化する。このインク22の硬化も内輪2の回転に伴い円周方向に徐々に進行する。最終的には、上記同様、内輪2を一又は複数回転させてインク22を全て硬化させた後、内輪2の回転を停止させて支持部13から治具14を取り外し、そして治具14から内輪2を取り外す。
このように光硬化性(紫外線硬化性)を有するインク22で被膜8を形成すれば、常温硬化性のインク12で被膜8を形成する場合に比べ、インクの硬化時間を短縮することができ、サイクルタイムを減じて被膜8の成形コストを一層低廉化することができる。なお、このように紫外線硬化樹脂をベース樹脂とするインク22を用いて形成された被膜8は、樹脂材料中に固体潤滑剤が分散した形態をなす。従って、被膜8による潤滑性能を長期に亘って維持することができる。また、被膜8がかかる態様であることから、固体潤滑剤の飛散を嫌う用途に好適である。
以上では、常温硬化性あるいは光硬化性を有するインクを用いて被膜8を形成する形態について説明を行ったが、被膜8は他の硬化特性を有するインク、例えば熱硬化性を有するインク32を用いて形成することもできる。この場合、インク32を構成する熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を使用することができ、これらは溶融状態でそのまま用いる他、適宜溶剤に溶解して使用することもできる。なお、必要に応じてこれらに熱硬化開始剤等の各種添加剤を配合することもできる。
溶剤を用いる場合、熱硬化性樹脂を溶解することができるものであれば特に限定はなく、例えば熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いる場合にはエタノール等のアルコール系溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、あるいは酢酸ブチル等のエステル系溶剤を使用することができる。エポキシ樹脂を用いる場合にはトルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、あるいはエステル系溶剤を使用することができ、またアルキド樹脂を用いる場合には芳香族系溶剤やエステル系溶剤などを好ましく使用することができる。
熱硬化性を有するインク32を用いて被膜8を形成する場合、インク32の硬化は、例えば、予め加熱された内輪2を図2に示す印刷装置に投入することにより行うことができる。このとき、インク32の着弾と同時にインク32の硬化を開始させることができ、内輪2の回転に伴うインク32の脱落等を効果的に防止することができる。もちろんインク32の硬化は、印刷装置内に加熱装置等の硬化手段を別途設けることにより行うこともできる。さらに、両加熱方法を併用することもでき、この場合、インク32の硬化はインク表面と接着界面の双方から進行させることができる。
また一般に、熱硬化性樹脂は光硬化性樹脂に比べて硬化時間が長い反面耐摩耗性に優れる。従って、熱硬化性を有するインク32を用いて被膜8を形成すれば、長期に亘って安定した潤滑性を確保することができ、軸受の長寿命化を図ることができる。なお、このように熱硬化性樹脂をベース樹脂とするインク32を用いて形成された被膜8は、光硬化性樹脂をベースとするインク22で形成された被膜と同様に、樹脂材料中に固体潤滑剤が分散した形態をなす。従って、固体潤滑剤の飛散を嫌う用途に好適である。
さらに、被膜8を形成するためのインクとして、光硬化性および熱硬化性を併せ持つものを使用することもできる。この場合インクは、例えば、ラジカル重合系モノマーやラジカル重合系オリゴマー等の紫外線硬化樹脂をベース樹脂とし、これに熱・光硬化開始剤として、サンエイドSI−110、SI−180、SI−100L、SI−80L、あるいはSI−60L(何れも、三新化学工業株式会社製)等に例示される芳香族スルフォニウム塩を添加したものを使用することができる。なお、ベース樹脂に添加する硬化剤としては、上記の熱・光硬化開始剤の他、熱硬化開始剤と光重合開始剤とを混合したものを使用してもよい。
かかるインクを用いる場合、被膜8の形成は、例えば図5に示す印刷装置に予め加熱した内輪2を投入することにより行うことができる。そしてインクの硬化は、まず着弾と同時に熱硬化反応により接着界面から表面に向かう形で徐々に進行し、内輪2が半周すると、印刷された部分が紫外線ランプ15の対向領域に達し、紫外線の照射を受けたインクが光重合反応を起こして順次硬化する。この硬化は、上記とは逆にインクの表面から接着界面に向かう形で徐々に進行する。従って、インクは両方向からの硬化作用を受けるため、硬化速度を一層早め、被膜8の成形コストを一層低廉化することができる。
以上では、内輪2の軌道面3に被膜8を形成する場合について説明を行ったが、同様の手法で外輪4の軌道面5に被膜8を形成することもできる。この場合、例えば、図6に示すように外輪4の内径側にノズルヘッド10を配置し、このノズルヘッド10の外径側で外輪4を回転させれば、以上で説明を行った内輪2の軌道面3に被膜8を形成する場合と同様に、被膜8の形成を外輪4の円周方向に順次進行させることができる。なお、図示例は特段の硬化装置を設けない形態を例示したものであるが、インクとして光硬化性を有するものを使用する場合には、紫外線がノズル11に照射されないように紫外線ランプ15を配設すればよい。
以上、転がり軸受の内輪2および外輪4にインクジェット方式の印刷装置を用いて被膜8を形成する場合について説明を行ったが、例えば図7に示す態様で保持器7の転動体保持部(ポケット)に被膜8を形成することもできる。この場合、まず図2等に示す治具14(図2のものと直径は異なる)に保持器7を外嵌し、これを印刷装置に投入する。このときノズルヘッド10は、図3(b)に示す態様と同様に、保持器7の表面に対し、接線方向と法線方向の間の方向に沿って配置され、またインク12の吐出方向が、保持器7の接触角方向と略一致するように配置される。そして、保持器7とノズルヘッド10とを相対回転させ、保持器7の円周方向に被膜8を順次形成する。
また、図示は省略するが、例えば転動体が円筒ころや円錐ころである場合には、上述した印刷方法で転動体表面の一部領域に被膜8を形成することもできる。
また以上では、いわゆる転がり軸受に本発明を適用した場合について説明を行ったが、本発明は転がり軸受に限定適用されるものではなく、固定側部材と可動側部材とが摺動接触を伴って直動あるいは揺動するタイプの軸受(いわゆる、すべり軸受)にも好ましく適用することができる。
転がり軸受装置の要部拡大断面図である。 内輪に固体潤滑被膜を形成するための印刷装置を示す側面図である。 (a)図はインク供給部の配置態様の一例を示す図、(b)図はインク供給部の配置態様の他例を示す図である。 (a)図は着弾直後のインクを概念的に示す図、(b)図は硬化後のインクを概念的に示す図である。 内輪に固体潤滑被膜を形成するための印刷装置の他例を示す側面図である。 外輪に固体潤滑被膜を形成する印刷装置の要部拡大断面図である。 保持器に固体潤滑被膜を形成する印刷装置の要部拡大断面図である。
符号の説明
1 軸受装置
2 内輪
3 軌道面
4 外輪
5 軌道面
6 ボール(転動体)
7 保持器
8 固体潤滑被膜
9 固体潤滑剤
10 ノズルヘッド
11 ノズル
12、22、32 インク
13 支持部
14 治具
16 紫外線ランプ

Claims (4)

  1. 部材同士の接触部に固体潤滑被膜を設けた軸受装置において、
    固体潤滑被膜が、固体潤滑剤を含有する微量インクの集合体で形成されたことを特徴とする軸受装置。
  2. インクが、常温硬化性を有する請求項1に記載の軸受装置。
  3. インクが、光硬化性および熱硬化性のうち、少なくとも何れか一方の硬化特性を有する請求項1に記載の軸受装置。
  4. 部材同士の接触部に固体潤滑被膜を設けた軸受装置を製造するに際し、
    固体潤滑剤を含有する微量インクを供給するインク供給部と部材とを相対移動させ、微量インクの集合体からなる固体潤滑被膜を、順次形成する工程を含むことを特徴とする軸受装置の製造方法。
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JP2009002505A (ja) * 2007-05-24 2009-01-08 Jtekt Corp 転動装置および転動装置の製造方法
JP2010089386A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Tokyo Lithmatic Corp シート

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