JP5119572B2 - 放射線画像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネル(以下、単にパネルとも言う)の製造方法及びその製造方法により作製されたパネルに関し、詳しくは支持体上に気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体層を有するパネルの製造方法及びその製造方法により作製されたパネルに関する。
従来、放射線画像を得るために銀塩を使用した、いわゆる放射線写真法が利用されているが、近年では、銀塩を使用しないで放射線画像を画像化する方法が開発されている。この方法としては、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光または熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積した放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出して画像化する方法が開示されている。
具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号等に開示された様に支持体上に輝尽性蛍光体層を形成したパネルを使用するものである。この方法は、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線をあて、被写体各部の放射線透過度に対応する放射線エネルギーを輝尽性蛍光体層に蓄積させて潜像(蓄積像)を形成し、その後、この輝尽性蛍光体層を輝尽励起光(レーザ光が用いられる)で走査することによって各部に蓄積された放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を例えば、光電変換して、電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装置上に可視像として再生してもよいし、又ハードコピーとして再生してもよい。
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
このような輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
これらの輝尽性蛍光体を使用したパネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法ではプレートを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
このパネルには、支持体上に結着樹脂溶液の蛍光体粒子分散液を塗布乾燥する方法によって形成された分散タイプの輝尽性蛍光体層を有するものと、支持体上に気相堆積法によって形成された蒸着タイプの輝尽性蛍光体層を有するものとがある。
本発明のパネルは気相堆積法により形成された輝尽性蛍光体層であり、放射線吸収率及び光変換率が高いこと、画像の粒状性がよく、高鮮鋭性であることが要求される。
通常、放射線感度を高くするには輝尽性蛍光体層の膜厚を厚くする必要があるが、余り厚くなりすぎると、輝尽性蛍光体粒子間での輝尽発光の散乱のため発光が外部に出てこなくなる現象があり限界がある。鮮鋭性については、輝尽性蛍光体層を薄層化するほど向上するが、薄すぎると感度の減少が大きくなる。
又、粒状性についても画像の粒状性は放射線量子数の場所的ゆらぎ(量子モトル)或いは放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の構造的乱れ(構造モトル)等によって決定されるので、輝尽性蛍光体層の層厚が薄くなると輝尽性蛍光体層に吸収される放射線量子数が減少してモトルが増加したり、構造的乱れが顕在化して構造モトルが増加したりして画質の低下を生ずる。従って画像の粒状性を向上させるためには輝尽性蛍光体層の層厚が厚い必要があった。
蒸着タイプの輝尽性蛍光体層は、分散タイプの輝尽性蛍光体層に比較すると、輝尽性蛍光体が100%であることから、輝尽性蛍光体が同じ場合、同じ輝尽性蛍光体層の厚さでは感度が優れ、放射線吸収率が高いことで相対的に量子モトルが減少して粒状性も優れるパネルを与え、感度を同じ程度にすれば輝尽性蛍光体層の厚さを薄くできて、輝尽性蛍光体層厚内での放射線や励起光の拡散が減少し鮮鋭性の優れたパネルを与える筈であるが、感度の優れたパネルを与えることは上述のように容易であっても、粒状性と鮮鋭性も共に優れたパネルを与えることは容易でなかった。
この様に様々な要因からパネルを用いた放射線画像変換方法の画質及び感度は決定される。これらの感度や画質に関する複数の因子を調整して感度、画質を改良するため、これまで様々な気相堆積方法が検討されてきた。
例えば、特開2001−249198号には、CsBrを母体とする非常に高感度の輝尽性蛍光体層を蒸着法(気相堆積法)により形成し、高感度のパネルが得られることが開示されており、輝尽性蛍光体を用いたパネルの更なる高感度化、高画質化の要望がますます強くなってきている。
気相堆積法により支持体上に輝尽性蛍光体層を形成したパネルにおいて、蛍光体層の任意の二箇所における蛍光体の賦活剤/母体の中心元素のモル比a及びbが特定の関係式を満足することにより、高感度で高画質の放射線画像が得られることが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。蛍光体層の任意の二箇所における蛍光体の賦活剤/母体の中心元素のモル比a及びbの比を(a/b)を1に近い値とすることにより、面内での蛍光体組成のバラツキを低減させることにより、高感度で高画質を得ようとするものである。
しかしながら、蛍光体組成が一定であっても、厚さ方向での組成のバラツキや蛍光体層自体の厚さのバラツキが鮮鋭性のバラツキとして現れ、いまだ鮮鋭性としては十分なものではなかった。
これらの状況から、輝尽性蛍光体層の厚さを均一にし、高感度で、鮮鋭性にすぐれたパネル及びその製造方法の開発が望まれている。
特開2003−28994号公報
鮮鋭性ムラの極めて低減した放射線画像変換パネル及びその製造方法を提供する。
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
(請求項1)
気相堆積法により支持体上に蛍光体層を形成する放射線画像変換パネルの製造方法において、真空容器内に蒸発源を有する蒸着装置を用い、同心円上に並べられた複数の蒸発源を同時に蒸発させることにより、蒸着膜からなる蛍光体層を形成することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
(2)
複数の蒸発源を同心円上に等間隔で配置することを特徴とする(1)に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
(3)
同心円上に並べられた4個以上の蒸発源を同時に蒸発させることにより鮮鋭性ムラを低減したことを特徴とする(1)又は(2)に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
(4)
蛍光体原料を蒸発源として原料容器に入れたことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
(5)
前記蒸発源を配置する同心円が複数個あることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
(6)
真空容器内に支持体回転機構を有し、支持体を回転しながら蒸着することを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
(7)
前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の製造方法により形成されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
(8)
蛍光体層に、基本組成式(I)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする(7)に記載の放射線画像変換パネル。
基本組成式(I)
M1X・aM2X′2・bM3X″3:zA
〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X′、X″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲンで原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、zはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z≦0.2の範囲の数値を表す。〕
鮮鋭性ムラの極めて低減した放射線画像変換パネルを得ることができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の放射線画像変換パネル製造方法は、気相堆積法により原料を堆積させる蒸着装置を用いて、支持体上に少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を膜形成する放射線画像変換パネル製造方法であって、該蒸着装置は、真空容器と、真空容器室を真空状態とする排気手段及び支持体保持手段及び輝尽性蛍光体を主体とする原料を蒸発させるための蒸発源を複数有するものであり、該蒸発源を同心円上に配置し、複数の蒸発源を同時に使用すること、そして、蒸発源を配置する同心円が複数あり、支持体保持手段に支持体回転機能を有するものであることが好ましい。
輝尽性蛍光体を支持体上に気相堆積させる方法としては、蒸着法、スパッタ法及びCVD法等がある。
蒸着法は、支持体を真空容器内に設置したのち、真空容器内を排気して1.3×10-4Pa程度の真空度とし、次いで、輝尽性蛍光体を蒸発源に入れ、抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて、支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに堆積させる。この結果、結着剤を含有せずに、輝尽性蛍光体単独で構成された輝尽性蛍光体層が形成される。本発明における蒸着工程は、複数の蒸発源を用い、複数の抵抗加熱器、あるいはエレクトロンビームを用いて蒸着を行う。
また、蒸着法においては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器、あるいはエレクトロンビームを用いて蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。更に、蒸着法においては、蒸着時に必要に応じて支持体を冷却或いは加熱してもよい。また、蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
スパッタ法は、上記蒸着法と同様に、支持体をスパッタ装置内に設置した後、スパッタ装置内を一旦排気して1.3×10-4Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内に導入して1.3×10-1Pa程度のガス圧とする。次いで、輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより、支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さ堆積させる。このスパッタ工程では、蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、複数の輝尽性蛍光体原料を用いて同時あるいは順次、ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用い、これを同時あるいは順次スパッタリングして、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、必要に応じてO2、H2等のガスを導入して、反応性スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法においては、スパッタ時に必要に応じて支持体を冷却あるいは加熱してもよい。また、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
CVD法は、目的とする輝尽性蛍光体あるいは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を、熱、高周波電力等のエネルギーで分解することにより、支持体上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであり、いずれも輝尽性蛍光体層を支持体の法線方向に対して特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成長させることが可能である。
これらの方法により形成した輝尽性蛍光体層の層厚は目的とする放射線画像変換パネルの放射線に対する感度、輝尽性蛍光体の種類等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、20μm〜800μmから選ばれるのがより好ましい。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明の放射線画像変換パネルついて、図を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の放射線画像変換パネルを構成する気相堆積法により形成した輝尽性蛍光体パネルの構成の一例を示す断面図である。
図1において、支持体11上に、気相堆積法により輝尽性蛍光体層12が形成され、更にその上部に保護層13を設けて、輝尽蛍光体パネルが構成されている。
図2は、本発明の放射線画像変換パネルを用いた放射線画像変換方法の一例を示す概略図である。
図2において、21は放射線発生装置、22は被写体、23は本発明の放射線画像変換パネル、24はレーザ等の輝尽励起光源、25は放射線画像変換パネル23により放射された輝尽蛍光を検出する光電変換装置、26は光電変換装置25で検出された信号を画像として再生する再生装置、27は再生された画像を表示する表示装置、28は輝尽励起光と輝尽蛍光とを分離し、輝尽蛍光のみを透過させるフィルタである。なお、25〜27は放射線画像変換パネル23からの光情報を何らかの形で画像として再生できるものであればよく、上記に限定されるものではない。
図2に示されるように、放射線発生装置21からの放射線Rは、被写体22を通して放射線画像変換パネル23に入射光RIとして照射される。この入射した放射線は放射線画像変換パネル23の輝尽蛍光体層に吸収され、そのエネルギーが蓄積され、放射線透画像の蓄積像として形成される。
次いで、この蓄積像を輝尽励起光源24からの輝尽励起光で励起し、輝尽発光として放出せしめる。
放射される輝尽発光の強弱は、蓄積された放射線エネルギー量に比例するので、この光信号を、例えば、光電子倍増管等の光電変換装置25で光電変換し、画像生成装置26によって画像として再生し、画像表示装置27によって表示することで被写体の放射線透過像を観察することができる。
輝尽励起光源24としては、放射線画像変換プレートに使用される輝尽性蛍光体の輝尽励起波長を含む光源が使用される。特にレーザ光を用いると光学系が簡単になり、また、輝尽励起光強度を大きくすることができるために輝尽発光効率を上げることができ、より好ましい結果が得られる。
レーザとしては、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、N2レーザ、YAGレーザ及びその第2高調波、ルビーレーザ、半導体レーザ、各種の色素レーザ、銅蒸気レーザ等の金属蒸気レーザ等がある。通常はHe−NeレーザやArイオンレーザのような連続発振のレーザが望ましいが、パネル1画素の走査時間とパルスを同期させればパルス発振のレーザを用いることもできる。また、フィルタ28を用いずに特開昭59−22046号に示されるような、発光の遅延を利用して分離する方法によるときは、連続発振レーザを用いて変調するよりもパルス発振のレーザを用いる方が好ましい。上記の各種レーザ光源の中でも、半導体レーザは小型で安価であり、しかも変調器が不要であるので特に好ましく用いられる。
次いで、本発明に係る気相堆積法による輝尽性蛍光体層の形成方法について、図を交えて説明する。
図3は、本発明に係る気相堆積方法で用いる蒸着室の蒸発源と加熱手段の構成の一例を示す概略平面図である。
図3では、原料蒸発源を複数箇所配している一例を示してある。図3において、真空容器31は、不図示の前段排気手段によりメインバルブ32を介して一旦ある値以下の真空にされ、また更に不図示の後段排気手段によりリークバルブ33を介して真空度が設定値以下に維持される。この真空容器には、必要に応じてガス導入バルブ34を介してN2、Ar、Ne、Heといった不活性ガスが雰囲気ガスとして導入される。
真空容器31内には、上部に支持体保持手段35が設けられており、支持体30が配置可能となっている。支持体30は複数枚配置しても、支持体保持手段35のいかなる位置に配置してもよく、支持体保持手段35は回転手段を有することが好ましい。
また、図4は図3におけるB−B′矢視図を示す。支持体配置手段(不図示)より下部に複数の原料蒸発源36−1〜36−8が同心円上に配置されており、蒸発源容器に原料である輝尽性蛍光体を所定量仕込む。図4においては、原料蒸発源内の原料加熱手段37は、いわゆる抵抗加熱方式である。
これらの蒸発源は、必要な個数のみを同心円上に設置してもよく、図4に示す如く予め多数の蒸発源を設置しておき、必要とする箇所の蒸発源にのみに原料が装填し加熱蒸発する方法であってもよい。蒸発源は複数で有れば良く、それらが等間隔であっても、又ランダムに選ばれた場所であってもよいが、等間隔に配置されていることが好ましい。
図5は、複数の蒸発源を配置する同心円が2重にあり、外周の蒸発源として31−1〜31−4の4個が、内周の蒸発源として31−5〜31−8の4個が配置された形式となっている。本発明においては蒸発源を配置する同心円が複数有る方が好ましい。
次いで、本発明の放射線画像変換パネルの構成について説明する。
本発明に係る気相堆積法において、蒸発源である輝尽性蛍光体としては、例えば、特開昭48−80487号に記載されているBaSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80488号記載のMgSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80489号に記載されているSrSO4:Axで表される蛍光体、特開昭51−29889号に記載されているNa2SO4、CaSO4及びBaSO4等にMn、Dy及びTbの中少なくとも1種を添加した蛍光体、特開昭52−30487号に記載されているBeO、LiF、MgSO4及びCaF2等の蛍光体、特開昭53−39277号に記載されているLi247:Cu,Ag等の蛍光体、特開昭54−47883号に記載されているLi2O・(Be22)x:Cu,Ag等の蛍光体、米国特許第3,859,527号に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、La22S:Eu,Sm及び(Zn,Cd)S:Mnxで表される蛍光体があげられる。また、特開昭55−12142号に記載されているZnS:Cu,Pb蛍光体、一般式がBaO・xAl23:Euであげられるアルミン酸バリウム蛍光体、及び、一般式がM(II)O・xSiO2:Aで表されるアルカリ土類金属珪酸塩系蛍光体があげられる。
また、特開昭55−12143号に記載されている一般式が(Ba1-x-yMgxCay)Fx:Eu2+で表されるアルカリ土類フッ化ハロゲン化物蛍光体、特開昭55−12144号に記載されている一般式がLnOX:xAで表される蛍光体、特開昭55−12145号に記載されている一般式が(Ba1-xM(II)x)Fx:yAで表される蛍光体、特開昭55−84389号に記載されている一般式がBaFX:xCe,yAで表される蛍光体、特開昭55−160078号に記載されている一般式がM(II)FX・xA:yLnで表される希土類元素賦活2価金属フルオロハライド蛍光体、一般式ZnS:A、CdS:A、(Zn,Cd)S:A,Xで表される蛍光体、特開昭59−38278号に記載されている下記いずれかの一般式
xM3(PO42・NX2:yA
xM3(PO42:yA
で表される蛍光体、特開昭59−155487号に記載されている下記いずれかの一般式
nReX3・mAX′2:xEu
nReX3・mAX′2:xEu,ySm
で表される蛍光体、特開昭61−72087号に記載されている下記一般式
M(I)X・aM(II)X′2・bM(III)X″3:cA
で表されるアルカリハライド蛍光体、及び特開昭61−228400号に記載されている一般式M(I)X:xBiで表されるビスマス賦活アルカリハライド蛍光体等が挙げられる。特に、アルカリハライド蛍光体は、蒸着、スパッタリング等の方法で柱状の輝尽性蛍光体層を形成させやすく好ましい。
本発明では、下記基本組成式(I)で表される輝尽性蛍光体粒子が好ましい。
基本組成式(I)
M1X・aM2X′2・bM3X″3:zA
〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X′、X″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲンで原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、zはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z≦0.2の範囲の数値を表す。〕
また、本発明において、蒸発源としては必ずしも輝尽性蛍光体のみである必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであってもよい。また、賦活剤は母体(basic substance)に対して賦活剤(activator)を混合したものを蒸着してもよいし、母体のみを蒸着した後に賦活剤をドープしてもよい。例えば、母体であるRbBrのみを蒸着した後、例えば賦活剤であるTlをドープしてもよい。ドーピングは形成された蛍光体の母体層中にドーピング剤(賦活剤)を熱拡散、イオン注入法によって行うことができる。
また、輝尽性蛍光体層中に高光吸収率の物質、高光反射率の物質等を充填してもよい。これにより輝尽性蛍光体層の補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散をほぼ完全に防止できる。
高光反射率の物質とは、輝尽励起光(500〜900nm、特に600〜800nm)に対する反射率の高いものをいい、例えばアルミニウム、マグネシウム、銀、インジウムその他の金属等、白色顔料及び緑色から赤色領域の色材を用いることができる。
白色顔料は輝尽発光も反射することができる。白色顔料として、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの中の少なくとも1種であり、XはCl、及びBrのうちの少なくとも1種である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸鉛、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウム等が挙げられる。これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線画像変換パネルの感度を顕著に向上させ得る。
また、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄等及び青の色材が用いられる。このうちカーボンは輝尽発光も吸収する。
また、色材は、有機または無機系色材のいずれでもよい。有機系色材としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。またカラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材も挙げられる。無機系色材としては群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−Co−NiO系顔料が挙げられる。
本発明の放射線画像変換パネルにおいては、上記の輝尽性蛍光体層上に、保護層を設けても良い。保護層は、保護層用塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成してもよいし、あらかじめ別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上に接着してもよい。あるいは別途形成した保護層上に輝尽性蛍光体層を形成する手順を取ってもよい。保護層の材料としては、例えば、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の通常の保護層用材料が用いられる。また、この保護層は蒸着法、スパッタリング法等により、SiC、SiO2、SiN、Al23などの無機物質を積層して形成してもよい。これらの保護層の層厚は一般的には0.1μm〜2000μm程度が好ましい。
また、透光性がよくシート状に形成できるものを用いることができ、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラスや、PET、OPP、ポリ塩化ビニルなどの有機高分子があげられる。
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては、各種のガラス、高分子材料、金属等が用いられるが、例えば石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、又、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート或いは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。これら支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。また、本発明においては、支持体と輝尽性蛍光体層の接着性を向上させるために、必要に応じて支持体の表面に予め接着層を設けてもよい。
これら支持体の厚みは用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜2000μmであり、取り扱い上の観点から、更に好ましいのは80μm〜1000μmである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《放射線画像変換パネルの作製》
〔試料1の作製〕
支持体は1mm厚の結晶化ガラス(日本電気ガラス社製)に、図3、図4及び図5に示した蒸着装置を用いて、輝尽性蛍光体(CsBr:Eu)を有する輝尽性蛍光体層を形成した。
なお、輝尽性蛍光体層形成にあたっては、上記支持体を蒸着室内に設置し、次いで蛍光体原料を蒸着源として原料容器に入れた。その後、蒸発室内を一旦排気し、その後Arガスを導入して0.133Paの真空度に調整した後、支持体の温度を約200℃に保持しながら原料蒸発源(表1記載の数)を加熱した。
輝尽性蛍光体層の膜厚が300μmとなったところで蒸発を終了させ、支持体の加熱及びArガス導入を停止した後、蒸着室を大気圧に戻し、原料が堆積された支持体を取り出した。その後、乾燥空気の雰囲気内で、支持体及び硼珪酸ガラスからなる保護層周縁部を接着剤で封入して、蛍光体層が密閉された構造の放射線画像変換パネルである各試料(比較例1,本発明1〜3)を作製した。
〔鮮鋭性ムラ〕
放射線画像変換パネルにCTFチャートを貼り付けた後、管電圧80kVP−PのX線を10mR(管球からパネルまでの距離:1.5m)照射した後、半導体レーザ光(発振波長:780nm、ビーム径:100μm)で走査して輝尽励起し、CTFチャート像を輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光として読み取り、光検出器(光電子増倍管)で光電変換して画像信号を得た。任意の2点のMTF(空間周波数 1lp/mmの時の値)をa,b(a>b)とした時のa/bの値を鮮鋭度ムラと定義する。
Figure 0005119572
本発明の複数の蒸発源を用いることにより、該蛍光体層の任意の2点における鮮鋭性a及びbの比(a/b)が優れた鮮鋭性を示すことが分かる。
本発明の放射線画像変換パネルを構成する気相堆積法により形成した輝尽性蛍光体層の構成の一例を示す断面図である。 本発明の放射線画像変換パネルを用いた放射線画像変換方法の一例を示す概略図である。 本発明に係る気相堆積方法で用いる蒸着室の原料蒸発源と支持体保持手段の一例を示す概略図である。 図3におけるB−B′矢視図であって、8個の蒸発源が一つの同心円上に配置されていることを示す図である。 図3におけるB−B′矢視図であって、8個の蒸発源が二つの同心円上に配置されていることを示す図である。
符号の説明
11、30 支持体
12 輝尽性蛍光体層
13 保護層
21 放射線発生装置
22 被写体
23 放射線画像変換パネル
24 輝尽励起光源
25 光電変換装置
26 再生装置
27 表示装置
28 フィルタ
31 真空容器
32 メインバルブ
33 リークバルブ
34 ガス導入バルブ
35 支持体保持手段
36−1〜8 蒸発源
37 電流供給部

Claims (8)

  1. 気相堆積法により支持体上に蛍光体層を形成する放射線画像変換パネルの製造方法において、真空容器内に蒸発源を有する蒸着装置を用い、同心円上に並べられた複数の蒸発源を同時に蒸発させることにより、蒸着膜からなる蛍光体層を形成することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
  2. 複数の蒸発源を同心円上に等間隔で配置することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
  3. 同心円上に並べられた4個以上の蒸発源を同時に蒸発させることにより鮮鋭性ムラを低減したことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
  4. 蛍光体原料を蒸発源として原料容器に入れたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
  5. 前記蒸発源を配置する同心円が複数個あることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
  6. 真空容器内に支持体回転機構を有し、支持体を回転しながら蒸着することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法により形成されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
  8. 蛍光体層に、基本組成式(I)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする請求項に記載の放射線画像変換パネル。
    基本組成式(I)
    M1X・aM2X′2・bM3X″3:zA
    〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X′、X″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲンで原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、zはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z≦0.2の範囲の数値を表す。〕
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