JP5658520B2 - 蒸着装置 - Google Patents

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本発明は蒸着装置に関し、さらに詳細には、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の膜を蒸着する蒸着装置に関する。本発明の蒸着装置は、生産工程におけるタクトタイムの短縮が可能なものである。
LED照明装置に代わる次世代の照明装置として、有機EL(Electro Luminescence)装置が注目され、多くの研究がなされている。
有機EL装置は、ガラス基板や透明樹脂フィルムの基材に、有機化合物等で構成される有機EL素子を積層したものである。有機EL素子は、複数の有機層から成り、真空蒸着法等によって成膜される。
真空蒸着法とは、真空に減圧した雰囲気の中で、材料に熱エネルギーを加えて蒸発させ、蒸発した材料を基板上に堆積させる方法である。有機EL素子の材料として用いられる有機化合物は、大気中に含まれる水分ですぐに劣化してしまう。そのため、有機EL素子は、真空雰囲気中で成膜され、封止される。
特許文献1には、有機EL素子の製造装置が開示されている。特許文献1に記載の有機EL素子の製造装置では、クラスタ方式での生産方法を採用することによって、有機EL素子の量産を可能としている。クラスタ方式とは、基板を振り分ける搬送室を中心に据え、搬送室の周囲に複数の成膜室を房状(クラスタ状)に配置した生産方式であり、各成膜室のタクトタイムの同期が容易であり、システムの拡張性にも優れている。
特開2006−134825号公報
ところが、特許文献1に記載された有機EL素子の製造装置は、複数の成膜室への基板の出し入れをハンドリングロボットが行っているが、各成膜室にゲートバルブが設けられており、基板の出し入れを行う毎にゲートバルブの開閉が行われる。そのため、基板の出し入れに手間が掛かり、タクトタイム短縮のボトルネックとなっている。
上記した現状に鑑み、本発明は、生産工程におけるタクトタイムの短縮が可能な蒸着装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基材を設置可能な真空室と、薄膜材料を蒸発させる蒸発装置とを有し、真空室内に基材を設置し、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の膜を蒸着する蒸着装置において、基材を回転又は円弧軌跡上を回動させて基材の向きを変更する姿勢変更手段と、複数の蒸発装置とこれに対応する複数の薄膜材料放出部を有し、前記薄膜材料放出部は、互いに対向する位置にあるものを含み、基材を囲む位置に配置されており、前記姿勢変更手段によって前記基材を各薄膜材料放出部に順次対向させ、各薄膜材料放出部から順次薄膜材料を蒸散させて基材に異なる薄膜材料を積層することが可能であり、基材の周囲にフードが設けられ、1つの薄膜材料放出部とフードによって小ブースを形成するものであって、前記フードは、前記基材の背面側に位置する部分と前記基材の側面側に位置する部分とを有することを特徴とする蒸着装置である。
本発明で採用する「蒸発装置とこれに対応する薄膜材料放出部」は、1つの真空室内に複数配置されており、基材を取り囲んでいる。複数の薄膜材料放出部同士は、ゲートバルブ等で遮断されておらず、同一空間にある。一方、基材は、姿勢変更手段によって、回転又は円弧軌跡上を回動可能である。つまり、姿勢変更手段で基材を回転又は回動させることによって、基材を次々と複数の薄膜材料放出部に対向させ、各薄膜材料放出部から蒸散される薄膜材料を順次積層することができる。
すなわち、従来掛かっていた各成膜室への基材の出し入れ時間、並びにゲートバルブ等の開閉時間は不要となり、基材を回転又は回動させる時間のみへと大幅に短縮することができる。
本発明の蒸着装置によれば、生産工程におけるタクトタイムの短縮が可能である。
本発明で採用する「フードと1つの薄膜材料放出部とで形成される小ブース」は、簡略の成膜室である。すなわち、ゲートバルブ等で遮断していないにも関わらず、1つの薄膜材料放出部と他の薄膜材料放出部とを分離することができる。その結果、1つの薄膜材料放出部から蒸散される薄膜材料が、他の薄膜材料放出部等に付着することを防止できる。
本発明の蒸着装置によれば、コンタミネーションの発生を抑制可能である。
請求項2に記載の発明は、前記薄膜材料放出部は、保温用ヒータが取り付けられた蒸散管を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置である。
請求項3に記載の発明は、薄膜材料放出部は、円周状に並べられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着装置である。
基材を囲む複数の薄膜材料放出部は、円周状に配置することによって、多くの異なる薄膜材料放出部を並べることができる。その結果、多くの異なる薄膜材料を、基材に連続して積層させることができる。
本発明の蒸着装置によれば、生産工程におけるタクトタイムの短縮がより可能である。
請求項4に記載の発明は、薄膜材料放出部は、薄膜材料を蒸散させる開口部を複数有し、当該開口部が面状に分布していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置である。
複数の開口部が面状に分布した薄膜材料放出部は、エリアソースと称される原料供給方式である。例えば、エリアソースの面積を基材と略同一とすることで、基材への成膜速度を上げることができる。
本発明の蒸着装置によれば、生産工程におけるタクトタイムの短縮がさらに可能である。
請求項5に記載の発明は、薄膜材料放出部は、薄膜材料を蒸散させる開口部を複数有し、当該開口部が線状に分布しており、基材の回転又は回動に伴って基材と薄膜材料放出部とが対向する位置が変化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置である。
複数の開口部が線状に分布した薄膜材料放出部は、リニアソースと称される原料供給方式である。例えば、リニアソースを基材の周囲に円弧状に配置することで、エリアソースに比べてはるかに多くの種類の薄膜材料放出部を並べることができる。そして、姿勢変更手段で基材を回転又は回動させることにより、線状の薄膜材料放出部を用いて面状に成膜することができる。
本発明の蒸着装置によれば、生産設備の集積率を向上可能である。
請求項6に記載の発明は、基材を一回だけ回転又は回動することによって基材に異なる薄膜材料を積層することが可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置である。
基材は、回転又は回動する際に、周囲に配置された複数の薄膜材料放出部に順次対向していく。すなわち、基材を1周させるだけで、所望する複数の異なった薄膜材料を積層することができる。その結果、成膜工程が単純化される。
本発明の蒸着装置によれば、生産管理が容易となる。
請求項7に記載の発明は、基材を複数回に渡って回転又は回動することによって基材に異なる薄膜材料を積層することが可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置である。
例えば、有機EL素子に用いられる有機材料は、真空蒸着時に高温となる。その結果、有機材料が積層された基材には熱が蓄積される。ところが、各有機層は、残留熱によりダメージを受ける恐れがある。そのため、1枚の基材に複数の有機層を成膜する際には、1層成膜する毎に基材を冷却することが好ましい。
本発明で採用する「基材を複数回に渡って回転又は回動することによって基材に異なる薄膜材料を積層する」という構成では、例えば、基材に1層成膜する毎に、成膜を伴わない回転を行うことで、基材を冷却することが可能である。
本発明の蒸着装置によれば、薄膜材料を複数積層した場合にでも、残留熱による成膜層の損傷を防止できる。
本発明の蒸着装置によれば、生産工程におけるタクトタイムの短縮が可能である。
本発明の実施形態に係る蒸着装置を示す斜視図である。 蒸着装置の動作を示す平面図であり、(a)はガラス基板の払い出し状態、(b)は1つの成膜装置による蒸着状態、(c)は他の成膜装置による蒸着状態である。 ガラス基板を囲むフードを示す斜視図である。 ガラス基板と薄膜材料放出部による小ブースを示す平面図である。 本発明の実施形態の変形例に係る蒸着装置を示す図であり、(a)はガラス基板がオフセットされたインデックステーブルの斜視図、(b)は複数の成膜装置に囲まれるインデックステーブルの平面図である。 2枚のガラス基板がオフセットされたインデックステーブルを示す斜視図である。 本発明の実施形態の別の変形例に係る蒸着装置を示す斜視図である。 図7の蒸着装置の積層方法を示す平面図である。 図8の蒸着装置の一部拡大図である。 図7の蒸着装置における別の積層方法を示す概念図であり、1層目の積層状態である。 図7の蒸着装置における別の積層方法を示す概念図であり、2層目の積層状態である。 図7の蒸着装置における別の積層方法を示す概念図であり、3層目の積層状態である。
以下、本発明の蒸着装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
図1に示す蒸着装置1は、有機EL素子等の薄膜素子を製造可能な装置である。蒸着装置1は、真空室2を有し、真空室内2には5台の成膜装置7と、1台の姿勢変更手段8と、1台の気体排出装置10とを備えている。
真空室2は、公知のそれと同様に、ガラス基板(基材)20を設置することができる広い空間9を有している。ガラス基板8は、図示しない基板設置台で支持されている。
真空室2は、気密性を有している。また、真空室2は、気体排出装置10を備えており、空間9を高真空雰囲気に保つことができる。なお、気体排出装置10は、ダクト11と、バルブ12と、真空ポンプ13から構成されている。
姿勢変更手段8は、ガラス基板20を垂直姿勢に支持したまま回転可能なものである。姿勢変更手段8は、公知のインデックステーブル14から構成されている。ガラス基板20は、インデックステーブル14の略中央に配置されており、図示しない固定具でインデックステーブル14に固定されている。
円形のインデックステーブル14は、所望する角度や距離に応じて回転させることができる。インデックステーブル14はモータ15に連結されている。モータ15は、図示しないPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)に接続されており、PLCからの指令信号で制御される。
成膜装置7は、ガラス基板20に薄膜材料を積層させるためのものである。成膜装置7は、5台の成膜装置7a〜7eから構成されている。成膜装置7a〜7eは、姿勢変更手段8の周囲を取り囲むように配置されている。具体的には、インデックステーブル14を6等分した内の5つの箇所に位置しており、成膜装置7a〜7eの順に反時計回りに隣接している。なお、残りの1つの箇所は、ガラス基板20を姿勢変更手段8へ出し入れするための隙間21である。
成膜装置7a〜7eは、各々蒸発装置3と、蒸気通路4と、制御バルブ5と、薄膜材料放出部6とを備えている。成膜装置7a〜7eは、図示しないPLCに接続されており、PLCからの指令信号で制御される。
蒸発装置3は、公知の坩堝16と気化用電気ヒータ17によって構成されている。蒸発装置3の構造及び機能は、公知のそれと同一であり、坩堝16内に薄膜材料を入れ、電気ヒータ17で薄膜材料を溶融し、さらに気化させることができる。
蒸気通路4は、蒸発装置3から排出される薄膜材料の蒸気が通過する通路として機能するものである。蒸気通路4は、管から構成される。蒸気通路4の途中には、制御バルブ5が設けられており、蒸気の排出量を調整可能である。蒸気通路4は、薄膜材料放出部6に接続されている。
薄膜材料放出部6は、当業者の間で、エリアソースと称される原料供給方式を採用するものである。薄膜材料放出部6は、シャワープレートとも呼ばれている。薄膜材料放出部6の面積は、ガラス基板20と同等か又はガラス基板20以上の大きさである。成膜装置7a〜7eに設けられた各薄膜材料放出部6は、回転するガラス基板20に対向可能なように配置されている。薄膜材料放出部6は、蒸散管18を有している。
蒸散管18は、気化した薄膜材料をガラス基板20に蒸散させるためのノズルである。蒸散管18は、縦7列、横5列の合計35本が略面状に配置されている。蒸散管18は、開口19を有している。すなわち、蒸発装置3から排出された薄膜材料の蒸気は、蒸気通路4を経由して薄膜材料放出部6に至り、蒸散管18から蒸散される。なお、蒸散管18の外周面には、図示しない保温用ヒータが取り付けられている。
つぎに、蒸着装置1におけるガラス基板20への薄膜材料の積層方法について、図2(a)〜2(c)を用いて説明する。
図2(a)は、ガラス基板20払い出し状態を示している。ガラス基板20は、図示しないハンドリングロボットや搬送装置等で、成膜装置7aと7eの隙間21から姿勢変更手段8に払い出され、インデックステーブル14に載置される。この時、成膜装置7a〜7eには、各々異なる種類の有機材料(薄膜材料)が仕込まれている。
図2(b)は、成膜装置7aによる蒸着状態を示している。インデックステーブル14に載置されたガラス基板20は、姿勢変更手段8によるインデックステーブル14の回転に伴って、成膜装置7a(薄膜材料放出部6)に対向配置される。その状態において、成膜装置7aからガラス基板20へ気化した有機材料が蒸散され、1層目の有機層がガラス基板20に積層される。1層目の有機層が積層されると、ガラス基板20は姿勢変更手段8で回転され、成膜装置7bに対向配置される。
図2(c)は、成膜装置7bによる蒸着状態を示している。成膜装置7bに対向配置されたガラス基板20は、成膜装置7bからガラス基板20へ気化した有機材料が蒸散され、2層目の有機層が積層される。
以降、前述と同様の手順で、ガラス基板20は姿勢変更手段8で回転されて、成膜装置7c〜7eへと順番に対向配置する。その結果、成膜装置7c〜7eによってガラス基板20に3層目〜5層目の有機層が積層される。
以上のように、蒸着装置1では、姿勢変更手段8を用いてガラス基板20を回転させるだけで、成膜装置7a〜7eへと順番に対向配置させることができ、1層目〜5層目の有機層を積層することができる。成膜装置7a〜7e同士は、従来のようにゲートバルブ等で遮断されておらず、同一の空間9内にあって、隣接している。すなわち、従来行われていた各成膜室へのガラス基板20の出し入れ動作が無い。さらに、ゲートバルブ等を有していないので、従来行われていたゲートバルブ等の開閉動作も無い。その結果、ガラス基板20の積層工程におけるタクトタイムを、従来に比べて大幅に短縮することができる。
図3は、ガラス基板20の周囲にフード25が設けられた状態を示す。フード25は、ガラス基板20よりも大きい板部材であり、平面視で略コ字状である。フード25は、ガラス基板20の背面と左右面の3方を覆っている。なお、フード25は、インデックステーブル14に固定されるものであり、ガラス基板20を支持する固定具を兼ねている。
図4に示すように、薄膜材料放出部6(成膜装置7)にガラス基板20が対向配置されると、薄膜材料放出部6とフード25で、ガラス基板20の4方が囲まれた状態となる。すなわち、薄膜材料放出部6とフード25によって、小ブース26が形成されている。小ブース26は簡略の成膜室であり、薄膜材料放出部6から蒸散される有機材料は、小ブース26の外へ飛散する恐れがない。そのため、蒸着装置1内でのコンタミネーションの発生を防止できる。
図5(a),5(b)は、本発明の実施形態の変形例に掛かる蒸着装置30を示すものである。なお、蒸着装置30において、蒸発装置1と共通する構成部品については、同一符号で表しており、説明を省略する。
図5(a)に示すように、蒸着装置30が備えるインデックステーブル31は、前述のインデックステーブル14よりも大きい。そのため、インデックステーブル31では、ガラス基板20はインデックステーブル31の中心31a付近ではなく、円弧31bに近い箇所にオフセットして配置される。すなわち、モータ15でインデックステーブル31を回転させると、ガラス基板20は円弧31bに沿って回動する。換言すると、ガラス基板20は円弧31bの軌跡上を回動する。
図5(b)に示すように、蒸着装置30において、成膜装置7は7台の成膜装置7a〜7gから構成されている。成膜装置7a〜7gは、インデックステーブル31の円周31c状に並べられている。成膜装置7a〜7eには、各々異なる種類の有機材料(薄膜材料)が仕込まれている。つまり、ガラス基板20を円弧31bに沿って回動させることにより、成膜装置7a〜7gにて7層の有機層を連続的に積層することができる。
なお、図6に示すように、インデックステーブル31には、2枚のガラス基板20を載置しても良い。或いは、インデックステーブル31に載せることが可能な限り、ガラス基板20を載置しても構わない。
図7は、本発明の実施形態の別の変形例に掛かる蒸着装置40を示すものである。なお、蒸着装置40において、蒸発装置1及び30と共通する構成部品については、同一符号で表しており、説明を省略する。
図7に示すように、蒸着装置40が備える成膜装置41は、19台の成膜装置41a〜41sから構成されている。成膜装置41a〜41sには、各々異なる種類の有機材料(薄膜材料)が仕込まれている。成膜装置41a〜41sは、各々薄膜材料放出部42を備えている。
薄膜材料放出部42は、当業者の間で、リニアソースと称される原料供給方式を採用するものである。薄膜材料放出部42の高さは、ガラス基板20の高さと同等か又はガラス基板20以上である。薄膜材料放出部42は、縦5列の蒸散管18を有している。
図8に示すように、インデックステーブル31を回転させ、ガラス基板20を成膜装置41a〜41sの順番に対向配置させていく。この時、ガラス基板20は途中で停止させず、一定速度で回転させる。この状態において、回転するガラス基板20に、成膜装置41a〜41sから順番に有機材料を蒸散させる。
ここで、蒸着装置40における有機材料の積層方法を、図9に記載の成膜装置41a〜41dを用いて説明する。図9において、ガラス基板20は、成膜装置41aから成膜装置41dの方向へと移動する。ガラス基板20が成膜装置41aの前を通過すると、成膜装置41aから蒸散された有機材料が、1層目の有機層51としてガラス基板20に積層される。積層された有機層51は、一定速度で移動するガラス基板20に伴って、隣接する成膜装置41bの方へ移動する。有機層51が成膜装置41bの前を通過すると、成膜装置41bから蒸散された有機材料が、2層目の有機層52として有機層51の上に積層される。
以降、前述と同様に、有機層52が成膜装置41cを通過して、3層目の有機層53が積層され、有機層53が成膜装置41dを通過して、4層目の有機層54が積層される。
すなわち、蒸着装置40では、ガラス基板20を1回転させるだけで、成膜装置41a〜41dによって19層の有機層を成膜することができる。
また、蒸着装置40では、ガラス基板20を複数回に渡って回転又は回動させて有機材料を積層させることも可能である。図10〜12に記載の成膜装置41a〜41cを用いて説明する。
図10(a)において、インデックステーブル31を一定速度で回転させると、ガラス基板20は成膜装置41aの前を通過していく。この時、成膜装置41aからガラス基板20に有機材料(薄膜材料)60が蒸散される。その結果、図10(b)に示すように、ガラス基板20の上に、1層目の有機層61が積層される。インデックステーブル31は回転を続け、図11(a)に示すように、ガラス基板20は2週目の回転を迎える。
図11(a)において、ガラス基板20は、成膜装置41bの前を通過していく。この時、成膜装置41bからガラス基板20に有機材料60が蒸散される。その結果、図11(b)に示すように、ガラス基板20の上に、2層目の有機層62が積層される。インデックステーブル31は回転を続け、図12(a)に示すように、ガラス基板20は3週目の回転を迎える。
図12(a)において、ガラス基板20は、成膜装置41cの前を通過していく。この時、成膜装置41cからガラス基板20に有機材料60が蒸散される。その結果、図12(b)に示すように、ガラス基板20の上に、3層目の有機層63が積層される。複数の有機層が積層されたガラス基板20は、有機EL素子70と成る。
前述のように、蒸着装置40では、ガラス基板20が1周回転する毎に、有機層を1層、積層することができた。
このほか、ガラス基板20への有機材料60の蒸散は、3周に1回の割合や、10周に1回の割合等、任意に設定可能である。なお、積層を伴わない空打ち回転においては、ガラス基板20が回転する間、ガラス基板20を冷却することができ、残留熱によって有機層61〜63が損傷されることを防止できる。
以上のように、本発明の蒸着装置1,30,40によれば、生産工程におけるタクトタイムの短縮が可能である。
1,30,40 蒸着装置
2 真空室
3 蒸発装置
6,42 薄膜材料放出部
8 姿勢変更手段
19 開口
20 ガラス基板(基材)
25 フード
26 小ブース
60 有機材料(薄膜材料)

Claims (7)

  1. 基材を設置可能な真空室と、薄膜材料を蒸発させる蒸発装置とを有し、真空室内に基材を設置し、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の膜を蒸着する蒸着装置において、
    基材を回転又は円弧軌跡上を回動させて基材の向きを変更する姿勢変更手段と、複数の蒸発装置とこれに対応する複数の薄膜材料放出部を有し、前記薄膜材料放出部は、互いに対向する位置にあるものを含み、基材を囲む位置に配置されており、
    前記姿勢変更手段によって前記基材を各薄膜材料放出部に順次対向させ、各薄膜材料放出部から順次薄膜材料を蒸散させて基材に異なる薄膜材料を積層することが可能であり、
    基材の周囲にフードが設けられ、1つの薄膜材料放出部とフードによって小ブースを形成するものであって、
    前記フードは、前記基材の背面側に位置する部分と前記基材の側面側に位置する部分とを有することを特徴とする蒸着装置。
  2. 前記薄膜材料放出部は、保温用ヒータが取り付けられた蒸散管を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
  3. 薄膜材料放出部は、円周状に並べられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着装置。
  4. 薄膜材料放出部は、薄膜材料を蒸散させる開口部を複数有し、当該開口部が面状に分布していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置。
  5. 薄膜材料放出部は、薄膜材料を蒸散させる開口部を複数有し、当該開口部が線状に分布しており、基材の回転又は回動に伴って基材と薄膜材料放出部とが対向する位置が変化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置。
  6. 基材を一回だけ回転又は回動することによって基材に異なる薄膜材料を積層することが可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置。
  7. 基材を複数回に渡って回転又は回動することによって基材に異なる薄膜材料を積層することが可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置。
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