JP5118430B2 - 容量制御弁及びこれを用いた可変容量圧縮機 - Google Patents
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Description
容量制御弁は、例えば特許文献1に記載されているように、吸入室の圧力を受圧する感圧部材としてベローズを備え、ソレノイドによる弁体への付勢の他に、該ベローズによって受圧した吸入室の圧力に応じて弁体が付勢されて、吐出室からクランク室への作動流体の流入量を調整することで、吸入圧力を所定値に維持するように圧縮機の吐出容量をフィードバック制御する。
また、吸入圧力制御範囲を拡大する別の方法としては、吸入圧力を感知するベローズの感圧面積(有効面積)を小さく設定することが考えられる。しかしながら、ベローズを挟んで吸入圧力と対抗するベローズの内部の基準圧力は真空または大気圧となっており内部にバネを配置する必要があり、またベローズの伸縮量を規制するストッパを設ける必要があることからも、ベローズの小型化には限界があった。
本発明は上述した事情に基づいてなされたもので、その目的の一つは、吸入圧力制御範囲を大幅に拡大できる容量制御弁及びこれを用いた可変容量圧縮機を提供することにある。
また、圧縮コイルバネの付勢力の作用する位置が外周側に移動し、ベローズの倒れが軽減され、ベローズの軸方向の収縮、伸長動作が安定して行える。さらに圧縮コイルバネの設計自由度を大きくすることができる。
請求項3の可変容量圧縮機では、斜板の最小傾角で規定される最小ピストンストロークを非常に小さく設定でき容量制御範囲が大きく拡大可能であるので、容量制御弁による吸入圧力制御範囲の拡大による容量制御範囲の拡大効果を十分に発揮することができる。
図1に示すように、車両用空調システムの冷凍サイクル10は、作動流体としての冷媒(例えばR134a)が循環する循環路12を備える。循環路12には、冷媒の流動方向で順番に、可変容量圧縮機(以下、単に圧縮機100という)、放熱器(凝縮器)14、膨張器(膨張弁)16及び蒸発器18が介挿されている。圧縮機100は、冷媒の吸入工程、吸入した冷媒の圧縮工程及び圧縮した冷媒の吐出工程からなる一連のプロセスを行い、循環路12に冷媒を循環させる。
圧縮機100は、斜板式の可変容量圧縮機であり、複数のシリンダボア101aを備えたシリンダーブロック101と、シリンダーブロック101の一端に連結されたフロントハウジング102と、シリンダーブロック101の他端にバルブプレート103を介して連結されたリアハウジング104とを備えている。
駆動軸106は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通して、その先端が外側まで延在している。駆動軸106とボス部102aとの間には、軸封装置112が挿入されており、フロントハウジング102の内部と外部とを遮断している。駆動軸106はラジアル方向及びスラスト方向にベアリング113、114、115、116によって回転自在に支持されている。駆動軸106は、ボス部102aから突出した先端にエンジン等の外部駆動源から駆動力が伝達されて、回転駆動される。
リアハウジング104には、容量制御弁300が接続されており、容量制御弁300は給気通路125(連通路)に介挿されている。給気通路125は、吐出室120とクランク室105との間を連通するように、その一部はリアハウジング104からバルブプレート103を経てシリンダーブロック101にまで亘っている。
また、吸入室119は、リアハウジング104に形成された感圧通路126を通じて、給気通路125とは独立して容量制御弁300に接続されている。
図2に示すように、容量制御弁300は、弁ユニットと弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニットとから構成されている。弁ユニットは、円筒状の弁ハウジング301を有し、内部に第1感圧室302、弁室303及び第2感圧室307が軸方向に順番に並んで形成されている。第1感圧室302は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301a及び給気通路125の下流側部分を介してクランク室105と連通している。第2感圧室307は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301e及び感圧通路126を介して吸入室119と連通している。弁室303は弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301b及び給気通路125の上流側部分を介して吐出室120と連通している。第1感圧室302と弁室303とは、弁孔301cを介して連通可能となっている。弁室303と第2感圧室307との間には、支持孔301dが形成されている。
弁室303内には、円柱状の弁体304が収容されている。弁体304は、外周面が支持孔301dの内周面に密接しつつ支持孔301d内を摺動可能であって、弁ハウジング301の軸線方向に移動可能である。弁体304の一端は弁孔301cを開閉可能であるとともに、他端は第2感圧室307内に突出している。
駆動ユニットは円筒状のソレノイドハウジング312を有し、ソレノイドハウジング312は弁ハウジング301の他端に同軸的に連結されている。ソレノイドハウジング312内には、ソレノイド314が収容されている。またソレノイドハウジング312内には、同心上に円筒状の固定コア310が収容され、固定コア310は、弁ハウジング301からソレノイド314の中央まで延びている。弁ハウジング301とは反対側の固定コア310の端部は筒状のスリーブ313によって囲まれて閉塞している。
挿通孔310aには、ソレノイドロッド309が挿通され、ソレノイドロッド309の一端が弁体304に同軸的に圧入固定されている。ソレノイドロッド309の他端部は、可動コア308に形成された貫通孔に嵌合され、ソレノイドロッド309と可動コア308とは一体化されている。また、固定コア310と可動コア308との間には、可動コア308を固定コア310から離れる方向(開弁方向)に付勢する強制解放バネ311が備えられている。
ソレノイド314には、圧縮機100の外部に設けられた制御装置400が接続され、制御装置400から制御電流Iが供給されると、ソレノイド314は電磁力F(I)を発生する。ソレノイド314の電磁力F(I)は、可動コア308を固定コア310に向けて吸引し、弁体304に対して閉弁方向に作用する。
図3に示すように、ベローズ組立体305は、ベローズ305aと、ベローズ305aの一端側を封止してベローズ305aに溶接固定された端部部材305bと、ベローズ305aの他端側を封止してベローズ305aに溶接固定された封止部材305cと、封止部材305cにかしめ固定された端部部材305dと、ベローズ305aの外周において端部部材305bと端部部材305dとの間に配置された圧縮コイルバネ305eとから構成される。
封止部材305cと端部部材305dとのかしめ部は、封止部材305c側に凹部が形成され、その凹部に端部部材305dの一部が塑性変形して入り込んで抜け止めとして機能している。
圧縮コイルバネ305eの両端は、端部部材305b及び端部部材305dに夫々形成されたガイド部305b3、305d1に位置決めされ、ベローズ305aの外周部に接触することなく、ベローズ305aとほぼ同軸に配置されている。また、封止部材305cには、連結部306を受けるガイド部305c2が形成されている。
容量制御弁300の弁体304に作用する力は、ソレノイド314による電磁力F(I)の他に、強制解放バネ311による付勢力fs、弁室303の圧力(吐出圧力Pd)による力、第1感圧室302の圧力(クランク圧力Pc)による力、第2感圧室307の圧力(吸入圧力Ps)による力及び圧縮コイルバネ305eによる付勢力Fbである。これらの関係は、ベローズ305aの有効受圧面積をSb、弁体304により遮蔽する弁孔301cの面積であるシール面積Sv、弁体304の円筒外周面の断面積Srとすると、式(1)で示される。なお、式(1)において、+が弁体304の閉弁方向、−が開弁方向を示す。
図4は、制御電流Iと吸入圧力Psとの関係を示すグラフである。
図4には、本参考形態では、例えば制御電流Iaである場合には吸入圧力Psaとなることが示されている。前述のようにベローズ305aの内側空間には圧縮コイルバネ305eが無いため、ベローズ305aの小型化(小径化)が可能となる。これによって、ベローズ有効面積Sbを小さく設定できる。したがって、図4に示すように、制御電流Iの最大値Imax、最小値Iminで規定される制御電流範囲における吸入圧力Psの制御範囲(最小値PsL〜最大値PsH’)を、ベローズ305aの内側空間には圧縮コイルバネ305eを配置した従来の容量制御弁での吸入圧力Psの制御範囲(最小値PsL〜最大値PsH)と比較して拡大することができる。
例えば、ソレノイド314の制御電流Iを最大値Imaxとして可変容量圧縮機100を起動させると、起動直後は吸入圧力Psが所定値Psimaxより高く、ベローズ305が収縮して連結部306から離間し、ソレノイド314の電磁力に付勢されて弁体304が弁座に当接して弁孔301cを閉じる。
図5は、本実施形態に係るベローズ組立体405の構造図である。なお、参考形態のべローズ組立体305と同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態のベローズ組立体405は、参考形態のベローズ組立体305とストッパ部の構造が異なっている。詳しくは、参考形態の端部部材305dに相当する端部部材405dの外周端部が圧縮コイルバネ305eを覆うように端部部材405bに向かって円筒状に延びている。そして、その先端405d1が端部部材405bに当接することで、ベローズ305aの過剰な収縮を規制するストッパ部を構成している。これに伴い、封止部材405c及び端部部材405bをベローズ305a内に延ばす必要がなく、ベローズ305aの内径を更に小さくすることができる。したがって、ベローズ305aの有効面積Sbを更に小さく設定でき、吸入圧力Psの制御範囲を更に拡大することができる。
例えば、上記の実施形態において、端部部材405dと封止部材405cとの固定を、圧入、溶接またはねじ嵌合で行ってもよく、あるいは、端部部材405dと封止部材405cとを一体成形としてもよい。また、ガイド部305b3、305d1を溝形状にしてもよい。連結部306が当接するガイド部405c2を封止部材405cとは別体の高硬度な部材で形成してもよい。
また、冷媒としては、R134aに限定されず、二酸化炭素やその他の新冷媒を使用してもよい。
300 容量制御弁
304 弁体
305 ベローズ組立体
305a ベローズ
314 ソレノイド
305e 圧縮コイルバネ
305b、305d、405b、405d 端部部材
305d1、305b3 ガイド部
305c 封止部材
Claims (3)
- 内部に吐出室、吸入室、クランク室及びシリンダボアが区画形成されたハウジングと、前記シリンダボアに配設されたピストンと、前記ハウジング内に回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復運動に変換する傾角可変の斜板要素を含む変換機構とを備え、前記クランク室の圧力を変化させることにより前記ピストンのストロークを調整して前記吸入室から前記シリンダボアに吸入された冷媒を圧縮して前記吐出室に排出する可変容量圧縮機に用いられる容量制御弁であって、
前記吸入室及び前記吐出室の少なくともいずれか一方と前記クランク室とを連通する連通路を開閉する弁体と、前記弁体と連結することにより前記吸入室または前記クランク室の圧力に応じて前記弁体を開閉制御する感圧装置と、前記弁体または前記感圧装置に電磁力を作用させるソレノイドとを備え、
前記感圧装置は、ベローズと、前記ベローズの両端部に配置されベローズの外径より大径の端部部材と、前記ベローズの周囲に配置され、前記端部部材に挟持されて前記ベローズを伸長する方向に付勢する圧縮コイルバネとを備え、前記端部部材のうち一方は弁ハウジングに前記感圧装置を位置決めする位置決め部材を兼ね、他方は外周端部が前記ベローズの収縮を規制するストッパを兼ねていることを特徴とする容量制御弁。 - 前記弁体は、前記吐出室と前記クランク室とを連通する連通路に配置された弁孔を開閉し、前記感圧装置は前記弁孔の下流側の前記連通路途上に配置され、前記弁体が弁孔を閉じたときに規定される前記クランク室の圧力が作用する前記弁体のシール面積は、前記ベローズの有効面積と同一または近接して設定されていることを特徴とする請求項1に記載の容量制御弁。
- 内部に吐出室、吸入室、クランク室及びシリンダボアが区画形成されたハウジングと、前記シリンダボアに配設されたピストンと、前記ハウジング内に回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復運動に変換する傾角可変の斜板要素を含む変換機構と、請求項1または2に記載の容量制御弁とを備え、前記クランク室の圧力を変化させることにより前記ピストンのストロークを調整して前記吸入室から前記シリンダボアに吸入された冷媒を圧縮して前記吐出室に排出することを特徴とする可変容量圧縮機。
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