JP5202170B2 - ベローズ組立体、可変容量圧縮機の容量制御弁、及び、可変容量圧縮機 - Google Patents
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吐出容量の制御には吸入室の圧力(吸入圧力)を制御対象とする吸入圧力制御があり、吸入圧力制御を実行するための容量制御弁には、ソレノイドユニットとともに、吸入圧力を感知するための感圧装置(感圧器)を内蔵するものがある(例えば特許文献1参照)。
より詳しくは、特許文献1の感圧器はベローズを含むベローズ組立体である。ベローズは蛇腹形状を有し軸線方向に伸縮自在である。ベローズの両端はエンド部材によって閉塞され、ベローズ及びエンド部材は密閉空間を規定する。
感圧器の一端は容量制御弁に固定された固定端であり、他端は、弁体を駆動すべく弁体の往復動方向に変位可能な自由端である。特開2003−322086号公報の図10及び図11に示された容量制御弁では、ベローズ組立体の自由端には係合部が一体に形成され、係合部は、ベローズの伸縮に応じて、弁体に一体に構成された開弁連結部に対して当接又は離間する。
好ましくは、前記第1の収縮規制部材は、前記ベローズの第2の端を超えて延びる軸部であって、前記第1の変位規制部材として機能する先端を有する軸部を含み、前記第2の収縮規制部材は、前記ベローズの第2の端に一体に連なり、前記軸部の先端に摺接して前記第2の変位規制部材として機能する周面を有し、前記軸部の長さ及び前記周面の長さは、前記ベローズの伸縮量にかかわらず前記軸部の先端が前記周面に摺接するよう設定されている(請求項3)。
また上記した目的を達成するため、本発明によれば、上述のいずれかのベローズ組立体を備えることを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御弁が提供される(請求項5)。
また、第2のエンド部材側に第1の変位規制部材と第2の変位規制部材との係合領域が偏って配置されていることにより、第1及び第2の変位規制部材間での遊びが同じであれば、ベローズの中間に第1及び第2の変位規制部材が配置されている場合に比べて、ベローズの傾きがより抑制される。
請求項2のベローズ組立体では、第1及び第2の変位規制部材が互いに当接して変位を防止する構造を有するため、ベローズ組立体の傾きが確実に抑制される。
また、第2のエンド部材側に係合領域が偏っていることで、ベローズ組立体の第2のエンド部材側の質量が軽くなる。このため、ベローズ組立体の第2のエンド部材側を自由端とした場合、ベローズ組立体に対して振動が加わっても、ベローズに加わる応力が小さくなる。それゆえこの場合、ベローズ組立体の寿命が更に長くなる。
請求項4のベローズ組立体では、第1のエンド部材と第1の収縮規制部材とは一体に形成されているため、構造が簡素化される。
また、第1のエンド部材に対して、第1の収縮規制部材及び固定部材が一体に形成され上で、固定部材が第1及び第2の変位規制部材と同軸に位置することで、固定部材を外部に固定したときに、外部に対して第1及び第2の変位規制部材が的確に位置決めされる。この結果として、このベローズ組立体によれば、固定部材を外部に固定するのみで、ベローズ組立体の伸縮方向を所望の方向に正確に一致させられる。
請求項6の可変容量圧縮機では、上述の容量制御弁を用いることによって、吐出容量制御の精度と信頼性が向上する。
圧縮機100は可変容量圧縮機であり、例えば斜板式のクラッチレス圧縮機である。圧縮機100はシリンダーブロック101を備え、シリンダーブロック101には、複数のシリンダボア101aが形成されている。シリンダーブロック101の一端にはフロントハウジング102が連結され、シリンダーブロック101の他端には、バルブプレート103を介してリアハウジング(シリンダヘッド)104が連結されている。
シリンダーブロック101及びフロントハウジング102はクランク室105を規定し、クランク室105内を縦断して駆動軸106が延びている。駆動軸106は、クランク室105内に配置された環状の斜板107を貫通し、斜板107は、駆動軸106に固定されたロータ108と連結部109を介してヒンジ結合されている。従って、斜板107は、駆動軸106に沿って移動しながら傾動可能である。
駆動軸106は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通し、駆動軸106の外端には、動力伝達装置としてのプーリ112に連結されている。プーリ112は、ボール軸受113を介してボス部102aによって回転自在に支持され、外部駆動源としてのエンジン114のプーリとの間にベルト115が架け回される。
シリンダーブロック101の外側にはマフラ150が設けられ、マフラケーシング152は、シリンダーブロック101に一体に形成されたマフラベース101bに図示しないシール部材を介して接合されている。マフラケーシング152及びマフラベース101bはマフラ空間154を規定し、マフラ空間154は、リアハウジング104、バルブプレート103及びマフラベース101bを貫通する吐出通路156を介して吐出室142と連通している。マフラ空間154は、冷媒の流路断面積が拡張されるよう形成される。
リアハウジング104には、容量制御弁(電磁制御弁)300が収容され、容量制御弁300は給気通路160に介挿されている。給気通路160は、吐出室142とクランク室105との間を連通するようにリアハウジング104からバルブプレート103を経てシリンダーブロック101にまで亘っている。
また、吸入室140は、リアハウジング104に形成された感圧通路166を通じて、給気通路160とは独立して容量制御弁300に接続されている。
従って、容量制御弁300の弁開度を制御することで、クランク室105への冷媒の流入量が調整され、クランク室105の圧力を可変制御することができる。そして、クランク室105の圧力を可変制御することで、圧縮機100の吐出容量を可変制御することができる。
弁ユニットは、略円筒形状のバルブハウジング302を有し、バルブハウジング302は、第1感圧室304、弁室306、及び、第2感圧室308を有する。第1感圧室304、弁室306、及び、第2感圧室308は、バルブハウジング302の軸線上に配置されている。
出口ポート312は第1感圧室304に開口し、出口ポート312には給気通路160の下流側が接続される。従って、出口ポート312を通じて、クランク室105と第1感圧室304とが連通する。
弁室306と第2感圧室308との間を区画するバルブハウジング302の区画壁には支持孔316が形成され、第1感圧室304と弁室306との間を区画するバルブハウジング302の区画壁には弁孔318が形成されている。
連結部材324は、小円筒部と一体且つ同軸の大円筒部を有し、大円筒部は第1感圧室304内に位置している。そして、大円筒部の先端は、後述する感圧装置400に当接している。
作動ロッド320のソレノイドロッド部376の外周面と、固定コア366の貫通孔368の内周面との間には隙間が確保され、そして、可動コア374には、連通孔380が形成されている。従って、貫通孔368及び連通孔380を通じて、可動コア収容空間372における可動コア374の背面側の領域が、第2感圧室308と連通している。
図3は、図2の領域IIIの拡大図である。図3に示したように、感圧装置400としてのベローズ組立体はベローズ402を有し、ベローズ402は蛇腹形状を有し、自身の軸線方向に伸縮自在である。ベローズ402の一端は、第1のエンド部材404によって閉塞されている。
一方、ベローズ402の他端は、第2のエンド部材414によって閉塞され、ベローズ402、第1のエンド部材404及び第2のエンド部材414は、協働して密閉空間415を規定している。
第2のエンド部材414には第2の収縮規制部材420が合わされ、第2の収縮規制部材420は、第1の収縮規制部材410と協働してベローズ402の収縮量を規制する。ここでも合わされているとは、第2のエンド部材414と第2の収縮規制部材420とが一体であっても別体であってもよいという意味である。
そして、第2の収縮規制部材420の先端には、第2の変位規制部材422が一体に設けられている。第2の変位規制部材422は、第1の変位規制部材412と協働して、ベローズ402の軸線方向則ち伸縮方向との直交方向での第2のエンド部材414の変位(以下、直交方向変位とも言う)を規制する。
第1の変位規制部材412の外周面と第2の変位規制部材422の内周面424とは直接接触していてもよいが、外周面と内周面424との間の摺動抵抗は、ベローズ402の伸縮を妨げないように設定される。あるいは、外周面と内周面424との間には、直交方向変位が許容される範囲で、微小な隙間が存在してもよい。
上述の第1の収縮規制部材410、第2の収縮規制部材420、第1の変位規制部材412、及び、第2の変位規制部材422は、密閉空間415内に配置されている。また、密閉空間415内には、圧縮コイルばね426が配置されている。
なお、第1のエンド部材404、第2のエンド部材414、第1の収縮規制部材410、第2の収縮規制部材420、第1の変位規制部材412、及び、第2の変位規制部材422の各々は、自身の軸線と直交する方向での断面形状が円形である。
容量制御弁300においては、好ましくは、ベローズ402の有効面積Sbと、弁体部322に対し弁孔318側よりクランク室105の圧力(クランク圧力Pc)が作用する面積(圧力受圧面積Sv)と、弁体部322に対し第2感圧室308において吸入室140の圧力(吸入圧力Ps)が作用する面積(圧力受圧面積Sr)とがほぼ同一値に設定される。このため、弁体部322に作用する力は式(1)で表される。
この結果として、吐出室142の冷媒が給気通路160を通ってクランク室105に供給され、クランク圧力Pcが上昇する。これにより、斜板107の傾角が減少して可変容量圧縮機100の吐出容量が減少し、吸入圧力Psが上昇する。
つまり、可変容量圧縮機100の容量制御は、外部環境に応じて制御装置250から内蔵するコイル364へ供給される電流量Iを調整することによって行うことができる。そして、容量制御弁300は、外部環境に応じて、吸入圧力Psを最適制御することで、容量制御を実行する。
より詳しくは、感圧装置400では、第1及び第2の変位規制部材412,422によって、感圧装置400の伸縮方向に対する感圧装置400の傾き、即ち、ベローズ402の自由端が伸縮方向と直交方向で変位することが抑制される。この結果として、この感圧装置400は円滑に伸縮する。
また、感圧装置400では、第1及び第2の変位規制部材412,422が互いに当接して変位を防止する構造を有するため、感圧装置400の傾きが確実に抑制される。
そしてベローズ402と第1のエンド部材404及び第2のエンド部材414との接合が、第1の変位規制部材412が第2の変位規制部材422である有底穴に挿入された状態で行われることで、ベローズ402、第1のエンド部材404及び第2のエンド部材414は、互いに傾くことなく、確実に同軸上に位置付けられる。このため、固定部材408がバルブハウジング302の同心上に位置決めされると、バルブハウジング302の軸線方向にベローズ402が伸縮する。
本発明は上述した第1実施形態に限定されることは無く、種々の変形が可能である。
図4は、図3に相当する第2実施形態の容量制御弁の部分拡大図である。第2実施形態の容量制御弁は、以下の点において容量制御弁300と異なる。
感圧装置500としてのベローズ組立体はベローズ502を有し、ベローズ502は蛇腹形状を有して軸線方向に伸縮可能である。ベローズ502の一端は、第1のエンド部材504によって気密に閉塞され、第1のエンド部材504は自身と一体の固定部508を有する。固定部508は円柱形状を有し、バルブハウジング302に圧入により固定される。
一方、ベローズ502の他端は、円柱形状の第2のエンド部材514によって閉塞され、これにより密閉空間515が規定される。そして、第2のエンド部材514には、ばね座部材516がかしめ加工により固定され、ばね座部材516は、ベローズ502と同心上のつば部を有する。つば部と固定部508との間には、ベローズ502を囲むように圧縮コイルばね526が配置され、圧縮コイルばね526は、ベローズ502を伸長方向に付勢する。
感圧装置500においても、第2の規制部材522の内周面と第1の収縮規制部材510の先端部の外周面とが直接接触しているか、これらの間に微小な隙間が存在しているのみである。そして、ベローズ502が最も伸長したときでも、第2の規制部材522の内周面から第1の収縮規制部材510の先端部が抜けることはない。このため、第2の規制部材522の内周面に第1の収縮規制部材510の先端部が当接することで、ベローズ502がその軸線方向との直交方向で変位することが規制される。
なお、ベローズ502の収縮は、第2の収縮規制部材520としての第2のエンド部材514の端面に、第1の収縮規制部材510の先端面が当接することにより規制される。
これら感圧装置500及び感圧装置600は、感圧装置400と同じ効果の他に、以下の効果を奏する。
また更に、感圧装置500及び感圧装置600では、ベローズ502と一体に第2の変位規制部材522を形成することにより、構成の簡易化が図られている。
図6に示す第4実施形態の容量制御弁700には、感圧装置800が配置されている。
なお、容量制御弁700も容量制御弁300と同様に、弁体の作動により給気通路160を開閉し、弁体には、コイルへの通電により発生するソレノイドユニットの電磁力、感圧装置800の付勢力等が作用する。
また、第1乃至第3実施形態では、給気通路160の上流側を通じて第1感圧室304と吐出室142とを連通させているが、給気通路160の上流側を通じて弁室306とクランク室105とを連通させてもよい。
また更に、クランク室105と吸入室140とを連通する抽気通路162を開閉制御する容量制御弁に本発明に係るベローズ組立体を適用しても良い。あるいは、抽気通路162と給気通路160とを連動して開開制御する容量制御弁に本発明に係るベローズ組立体を適用しても良い。つまり、容量制御弁の構成は、容量制御弁300,700に限定されることはない。
本発明に係る感圧装置を備えた容量制御弁は、揺動板式可変容量圧縮機や電動モータで駆動される可変容量圧縮機にも使用でき、また電磁クラッチを装備した可変容量圧縮機及びクラッチレス圧縮機の何れにも使用できる。
本発明に係るベローズ組立体は、可変容量圧縮機用の容量制御弁のみならず、広く冷凍装置の制御機器、例えば膨張器の駆動部材にも適用可能である。
320 作動ロッド
322 弁体部(弁体)
300 容量制御弁
364 コイル(ソレノイドコイル)
376 ソレノイドロッド部(ソレノイドロッド)
400 感圧装置(ベローズ組立体)
402 ベローズ
404 第1のエンド部材
408 固定部材
410 第1の収縮規制部材
412 第1の変位規制部材
414 第2のエンド部材
420 第2の収縮規制部材
422 第2の変位規制部材
426 圧縮コイルばね
Claims (6)
- 第1の端及び第2の端を有し、自身の軸線方向に伸縮可能なベローズと、
前記ベローズを伸長方向に付勢する圧縮コイルばねと、
前記ベローズの第1の端を閉塞する第1のエンド部材と、
前記ベローズの第2の端を閉塞し、前記ベローズ及び第1のエンド部材と協働して密閉空間を規定する第2のエンド部材と、
前記第1のエンド部材に合わされて前記密閉空間に位置する第1の収縮規制部材と、
前記第2のエンド部材に合わされて前記密閉空間に位置し、前記第1の収縮規制部材と協働して前記ベローズの収縮量を規制する第2の収縮規制部材と、
前記第1の収縮規制部材と一体に形成された第1の変位規制部材と、
前記ベローズと一体に形成され、前記第1の変位規制部材と協働して前記軸線方向との直交方向での前記ベローズの変位を規制する第2の変位規制部材と
を備え、
前記第2のエンド部材側に前記第1の変位規制部材と前記第2の変位規制部材との係合領域が偏って配置されていることを特徴とするベローズ組立体。 - 前記第1の変位規制部材及び第2の変位規制部材は、前記軸線方向との直交方向で前記ベローズが変位しようとしたときに互いに当接することを特徴とする請求項1に記載のベローズ組立体。
- 前記第1の収縮規制部材は、前記ベローズの第2の端を超えて延びる軸部であって、前記第1の変位規制部材として機能する先端を有する軸部を含み、
前記第2の収縮規制部材は、前記ベローズの第2の端に一体に連なり、前記軸部の先端に摺接して前記第2の変位規制部材として機能する周面を有し、
前記軸部の長さ及び前記周面の長さは、前記ベローズの伸縮量にかかわらず前記軸部の先端が前記周面に摺接するよう設定されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベローズの組立体。 - 前記第1のエンド部材を外部に対して固定するために前記第1のエンド部材と一体に設けられた固定部材であって、前記密閉空間の外側にて前記第1及び第2の変位規制部材と同軸に位置する固定部材を更に備え、且つ、
前記第1のエンド部材と前記第1の収縮規制部材とは一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のベローズ組立体。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載のベローズ組立体を備えることを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御弁。
- 請求項5に記載の可変容量圧縮機の容量制御弁を備えることを特徴とする可変容量圧縮機。
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