JP2020159351A - 容量可変型斜板式圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮機内部の改良により、圧縮機内の過剰な高圧化を防止できるとともに、車両等への優れた搭載性を実現できるようにする。【解決手段】本発明の圧縮機では、ハウジングに制御弁室7c、14cと、抽気通路40、50と、給気通路49、51、46と、吐出通路7d、14dとが形成されている。制御弁室7c、14cには、吐出容量を変更可能な容量制御弁19が収納されている。吐出通路7d、14dには、第1設定圧力を超える圧力の冷媒を吐出室7b、14bから外部冷凍回路に吐出させる逆止弁21が設けられている。ハウジングには、吐出通路7d、14dにおける逆止弁21より下流と給気通路51、46とを接続させるリリーフ通路53、55が形成されている。リリーフ通路53、55には、第1設定圧力より高い第2設定圧力を超える圧力の冷媒によって開放するリリーフ弁23、60が設けられている。【選択図】図2
Description
本発明は容量可変型斜板式圧縮機に関する。
特許文献1、2に従来の容量可変型斜板式圧縮機が開示されている。これらの圧縮機は、ハウジングと、斜板と、複数のピストンと、リリーフ弁とを備えている。ハウジングには、吸入室、複数のシリンダボア、クランク室及び吐出室が形成されている。斜板は、クランク室内に設けられ、クランク室内のクランク室圧力によって傾斜角度が変更される。各ピストンは、それぞれシリンダボア内に収容され、斜板に連結されてシリンダボア内を往復動する。
また、特許文献1の圧縮機ではハウジングにリリーフ通路が形成され、特許文献2の圧縮機ではハウジング外にリリーフ通路が設けられている。両リリーフ通路は、吐出室とクランク室とを接続している。それぞれのリリーフ通路には、設定圧力を超える圧力の冷媒によって開放するリリーフ弁が設けられている。
これらの圧縮機は、吐出室内の圧力が設定圧力を超えて異常な高圧となった場合、リリーフ弁が設定圧力を超える圧力の冷媒によってリリーフ通路を開放する。このため、圧縮機は、吐出室の冷媒をクランク室に放出し、吐出室の過剰な高圧化を防止することができる。
このリリーフ時、この圧縮機では、一般的な圧縮機のように吐出室の冷媒を大気に放出しないことから、放出方向の懸念がなく、環境維持の効果も奏することができる。また、冷凍回路から冷媒とともに潤滑油を排出しないことから、圧縮機の再度の使用に差し支えも生じない。さらに、リリーフ時にクランク室圧力を高めることができることから、斜板の傾斜角度を小さくし、吐出室の高圧化を抑制することもできる。
しかし、上記従来の圧縮機は、リリーフ通路が吐出室とクランク室とを単に接続しているに過ぎない。このため、特許文献1の圧縮機のように、ハウジングにリリーフ通路を形成する場合には、リリーフ通路と、吸入室、各シリンダボア、クランク室又は吐出室との相対位置が問題となってハウジングが大型化し易く、車両等への搭載性を損なうおそれがある。特許文献2の圧縮機のように、ハウジング外にリリーフ通路を形成する場合には、冷凍回路全体が大型化し、やはり車両等への搭載性を損なってしまう。
特に、斜板の傾斜角度を変更して吐出流量を変更することが可能な容量可変型斜板式圧縮機においては、ハウジングに容量制御弁を収納するための制御弁室が形成されているとともに、この制御弁室に連通する多くの通路も形成されている。また、このような圧縮機では、最小容量運転を継続できるように、吐出室を外部冷凍回路の凝縮器に接続させる吐出通路に逆止弁が設けられることが多い。このような場合には、ハウジングでのリリーフ通路の配置や相互関係がより複雑となり、上記の不具合がより顕著となる。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、圧縮機内部の改良により、圧縮機内の過剰な高圧化を防止できるとともに、車両等への優れた搭載性を実現できるようにすることを解決すべき課題としている。
本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、吸入室、シリンダボア、クランク室及び吐出室が形成されたハウジングと、
前記クランク室内に設けられ、前記クランク室内のクランク室圧力によって傾斜角度が変更される斜板と、
前記シリンダボア内に収容され、前記斜板に連結されて前記シリンダボア内を往復動するピストンとを備え、
前記ハウジングには、制御弁室と、前記クランク室と前記吸入室とを接続する抽気通路と、前記吐出室と前記クランク室とを接続する給気通路と、前記吐出室を外部冷凍回路に接続させる吐出通路とが形成され、
前記制御弁室には、前記抽気通路及び前記給気通路の少なくとも一方と接続され、吐出容量を変更可能な容量制御弁が収納され、
前記吐出通路には、第1設定圧力を超える圧力の冷媒を前記吐出室から前記外部冷凍回路に吐出させる逆止弁が設けられ、
前記ハウジングには、前記吐出通路における前記逆止弁より下流と前記給気通路とを接続させるリリーフ通路が形成され、
前記リリーフ通路には、前記第1設定圧力より高い第2設定圧力を超える圧力の冷媒によって開放するリリーフ弁が設けられていることを特徴とする。
前記クランク室内に設けられ、前記クランク室内のクランク室圧力によって傾斜角度が変更される斜板と、
前記シリンダボア内に収容され、前記斜板に連結されて前記シリンダボア内を往復動するピストンとを備え、
前記ハウジングには、制御弁室と、前記クランク室と前記吸入室とを接続する抽気通路と、前記吐出室と前記クランク室とを接続する給気通路と、前記吐出室を外部冷凍回路に接続させる吐出通路とが形成され、
前記制御弁室には、前記抽気通路及び前記給気通路の少なくとも一方と接続され、吐出容量を変更可能な容量制御弁が収納され、
前記吐出通路には、第1設定圧力を超える圧力の冷媒を前記吐出室から前記外部冷凍回路に吐出させる逆止弁が設けられ、
前記ハウジングには、前記吐出通路における前記逆止弁より下流と前記給気通路とを接続させるリリーフ通路が形成され、
前記リリーフ通路には、前記第1設定圧力より高い第2設定圧力を超える圧力の冷媒によって開放するリリーフ弁が設けられていることを特徴とする。
本発明の圧縮機では、ハウジングに吸入室、シリンダボア、クランク室及び吐出室の他、制御弁室、抽気通路、給気通路及び吐出通路が形成されている。制御弁室には容量制御弁が収納される。抽気通路はクランク室と吸入室とを接続する。給気通路は吐出室とクランク室とを接続する。吐出通路は吐出室を外部冷凍回路に接続させる。この吐出通路に逆止弁が設けられる。逆止弁は、第1設定圧力を超える圧力の冷媒を吐出室から外部冷凍回路に吐出させる。このため、この圧縮機では、吐出室内の冷媒の圧力が第1設定圧力未満であれば、逆止弁が吐出通路を閉じ、吐出室内の冷媒を外部冷凍回路の凝縮器に吐出せず、最小容量運転を継続できる。
この圧縮機では、この構成において、リリーフ通路が吐出通路における逆止弁より下流と給気通路とを接続させる。このリリーフ通路にリリーフ弁が設けられている。このため、この圧縮機では、ハウジングが他の構成要素によって複雑に構成されていても、リリーフ通路が給気通路と兼用される等、既存の構成要素を利用しつつ構成されていることから、ハウジングが大型化しない。
そして、冷凍回路の作動中、逆止弁が吐出通路を開いて第1設定圧力を超える圧力の冷媒を吐出室から外部冷凍回路に吐出させていても、例えば凝縮器内の冷媒の通路面積が異物によって小さくされたような場合、リリーフ弁が第1設定圧力より高い第2設定圧力を超える圧力の冷媒によってリリーフ通路を開放する。このため、吐出室の冷媒はクランク室に放出され、圧縮機内の過剰な高圧化を防止することができるとともに、クランク室内圧力を上昇させることで、斜板の傾斜角度を小さくし、吐出される高圧の冷媒の容量を減少させることができる。
したがって、本発明の圧縮機では、圧縮機内部の改良により、圧縮機内の過剰な高圧化を防止できるとともに、車両等への優れた搭載性を実現できる。
ハウジングは、吸入室及び吐出室が形成されたリヤハウジングと、シリンダボアが形成されたシリンダブロックとを有し得る。リリーフ通路はリヤハウジングに形成されていることが好ましい。この場合、リヤハウジング内部の改良により本発明の作用効果を奏することができる。
ハウジングは、吸入室及び吐出室が形成されたリヤハウジングと、シリンダボアが形成されたシリンダブロックと、シリンダブロックとともにクランク室を形成するフロントハウジングとを有し得る。フロントハウジング、シリンダブロック及びリヤハウジングは通しボルトによって締結され得るリヤハウジング及びシリンダブロックには、通しボルト周りにクランク室と連通する低圧間隙が形成され得る。リリーフ通路は低圧間隙に連通していることが好ましい。この場合、リヤハウジング内部の改良により本発明の作用効果を奏することができる。
本発明の圧縮機では、圧縮機内部の改良により、圧縮機内の過剰な高圧化を防止できるとともに、車両等への優れた搭載性を実現できる。
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1の容量可変型斜板式圧縮機は車両の空調装置に用いられるものである。この圧縮機は、図1に示すように、シリンダブロック1とフロントハウジング3とが両者の間にガスケット5を介して図示しない複数本の締結ボルトによって締結されている。また、シリンダブロック1とリヤハウジング7とが両者の間に弁ユニット9を介して締結されている。これらシリンダブロック1、フロントハウジング3、ガスケット5、弁ユニット9及びリヤハウジング7がハウジングに相当する。以下、フロントハウジング3側を前方とし、リヤハウジング7側を後方として説明する。
実施例1の容量可変型斜板式圧縮機は車両の空調装置に用いられるものである。この圧縮機は、図1に示すように、シリンダブロック1とフロントハウジング3とが両者の間にガスケット5を介して図示しない複数本の締結ボルトによって締結されている。また、シリンダブロック1とリヤハウジング7とが両者の間に弁ユニット9を介して締結されている。これらシリンダブロック1、フロントハウジング3、ガスケット5、弁ユニット9及びリヤハウジング7がハウジングに相当する。以下、フロントハウジング3側を前方とし、リヤハウジング7側を後方として説明する。
シリンダブロック1とフロントハウジング3との間にはクランク室11が形成されている。フロントハウジング3及びシリンダブロック1には軸孔3a、1aが貫設されている。軸孔3aには軸封装置13及びラジアル軸受15が設けられ、軸孔1aにはラジアル軸受17が設けられ、これら軸封装置13及びラジアル軸受15、17を介して駆動軸18がハウジングに回転可能に支承されている。シリンダブロック1には、駆動軸18の駆動軸心Oと平行に延びるシリンダボア1bが複数個貫設されている。
リヤハウジング7には、弁ユニット9を介して各シリンダボア1bと連通可能な吸入室7a及び吐出室7bが形成されている。吸入室7aは吐出室7bを囲むように環状又はU字形状をなしている。また、リヤハウジング7には、制御弁室7c、吐出通路7d及びリリーフ弁室7eが形成されている。制御弁室7cには容量制御弁19が収容され、吐出通路7dには逆止弁21が収容され、リリーフ弁室7eにはリリーフ弁23が収容されている。
弁ユニット9は、吸入弁板、バルブプレート、吐出弁板及びリテーナ板が一体とされたものである。シリンダブロック1の後端の中心側には軸孔1aと連通する中継室1cが形成され、中継室1cは弁ユニット9の吸入弁板と対面している。駆動軸18の後端には、中継室1c内に位置して駆動軸18と一体回転可能にストッパ25が設けられている。
駆動軸18は、前端がフロントハウジング3から露出し、中央がクランク室11に臨んでいる。駆動軸18には図示しないプーリや電磁クラッチが接続され、駆動軸18はプーリや電磁クラッチに巻き掛けられるベルトを介してエンジン等の駆動源によって回転駆動されるようになっている。また、各シリンダボア1b内にはそれぞれピストン27が往復動可能に収納されている。各ピストン27はそれぞれシリンダボア1b内に圧縮室29を形成している。
クランク室11内では、ラグプレート31が駆動軸18に固定されている。ラグプレート31とフロントハウジング3との間にはスラスト軸受33が設けられている。また、クランク室11内には斜板35が設けられている。斜板35には、駆動軸18を挿通させる挿通孔35aが形成されている。ラグプレート31と斜板35とはリンク機構37によって連結されている。斜板35は、リンク機構37の規制により、駆動軸18と同期回転可能とされているとともに、駆動軸心Oと直交する方向に対する傾斜角度が変更可能とされている。
また、ラグプレート31と斜板35との間には押圧ばね39とスリーブ41とが設けられている。押圧ばね39は、傾斜角度が小さくなる方向にスリーブ41を押圧する付勢力を有している。スリーブ41は押圧ばね39の付勢力によって斜板35と当接している。
斜板35と各ピストン27との間には、前後で対をなすシュー43が設けられている。斜板35が回転すると、各シュー43は斜板35に対して摺動し、斜板35は各ピストン27に対して揺動運動を行なう。こうして、各ピストン27は、斜板35の回転によって傾斜角度に応じたストロークでシリンダボア1b内を往復動する。
クランク室11と中継室1cとは、駆動軸18とラジアル軸受17との隙間によって連通している。シリンダブロック1及び弁ユニット9には、中継室1cと吸入室7aとを連通する通路45が形成されている。駆動軸18とラジアル軸受17との隙間、中継室1c及び通路45は、クランク室11と吸入室7aとを連通する抽気通路40に相当する。
また、リヤハウジング7において、吸入室7aと制御弁室7cとは検知通路47によって接続されており、吐出室7bと制御弁室7cとは第1給気通路49によって接続されている。リヤハウジング7、弁ユニット9及びシリンダブロック1において、制御弁室7cとクランク室11とは第2給気通路51によって接続されている。リヤハウジング7において、吐出通路7dにおける逆止弁21より下流とリリーフ弁室7eとは第1リリーフ通路53によって接続され、リリーフ弁室7eと制御弁室7cとは第2リリーフ通路55によって接続されている。
図2に示すように、容量制御弁19は、第1弁ケース61、第1カバー63、第2弁ケース65、ガイド67、コイル69、第2カバー71及び第3カバー73を有している。
第1弁ケース61の先端に第1カバー63が固定され、第1弁ケース61と第1カバー63との間にベローズ75が収納されている。ベローズ75と第1弁ケース61との間にはバネ77が設けられている。第1カバー63には複数個の吸入圧孔63aが貫設されている。ベローズ75は、各吸入圧孔63aから第1弁ケース61と第1カバー63との間に導入される吸入室7a内の吸入圧力Psによって軸方向で伸縮するようになっている。
第1弁ケース61には、軸方向に延びて先端が第1カバー63内に連通する軸孔61aが形成されている。軸孔61aには、コイル69側に位置する部分より内径が小さくされることにより、弁座19dが形成されている。軸孔61a内にはロッド79が軸方向で摺動可能に挿通されている。ロッド79の先端はベローズ75に嵌合されている。
第1弁ケース61には、それぞれ径方向に延びる第1導圧孔61b及び第2導圧孔61cが形成されている。第1導圧孔61bはベローズ75側に形成されており、第2導圧孔61cはコイル69側に形成されている。第1導圧孔61b及び第2導圧孔61cは軸孔61aに対して直交方向に連通している。
第1弁ケース61の後端には、固定鉄心81、ガイド67及び第2弁ケース65が固定されている。ガイド67内には軸方向に移動可能に可動鉄心83が設けられ、固定鉄心81と可動鉄心83との間には制御バネ85が設けられている。可動鉄心83及び固定鉄心81にも軸孔83a、81aが形成されている。ロッド79は固定鉄心81の軸孔81aを摺動可能に挿通し、可動鉄心83の軸孔83aに圧入されている。
ガイド67の周りにはコイル69が固定されている。また、コイル69の後方にはコネクタ87が固定されている。コネクタ87にはコイル69に接続されたリード線89が設けられ、リード線89は制御装置91に接続されている。コイル69の周りとコネクタ87の一部の周りとに第2カバー71が設けられている。
この容量制御弁19は、先端側から順に第1Oリング19a、第2Oリング19b及び第3Oリング19cが第1弁ケース61に装着されている。容量制御弁19が制御弁室7cに装着される。これにより、制御弁室7cは、第1Oリング19aより先端側と、第1Oリング19aと第2Oリング19bとの間と、第2Oリング19bと第3Oリング19cとの間と、第3Oリング19cより後方側とに区画される。
検知通路47は、制御弁室7cにおける第1Oリング19aより先端側の部分に連通している。第1給気通路49は、制御弁室7cにおける第1Oリング19aと第2Oリング19bとの間の部分に連通している。第2給気通路51は、制御弁室7cにおける第2Oリング19bと第3Oリング19cとの間の部分に連通している。
ロッド79は外径が小さくされた小径部79aを有しており、小径部79aは第1導圧孔61bが軸孔61aと連通する部分に位置している。容量制御弁19では、小径部79aの後端部が弁体19eとなり、弁座19dとの間で第1導圧孔61bと第2導圧孔61cとの開度を調整できるようになっている。
図3に示すように、逆止弁21は、弁座形成体101と、弁ケース103と、弁体105と、バネ107とを有している。
吐出通路7dは吐出室7bから外部に向かって延びており、弁座形成体101は吐出通路7dにおける吐出室7b側に固定されている。弁座形成体101には、吐出室7bと連通する吐出口101aが形成されているとともに、吐出通路7dに突出し、吐出口101aが中心に開く弁座101bが形成されている。
弁ケース103は弁座形成体101における弁座101b周りに嵌合されている。弁ケース103は、円筒状の周壁に貫設された複数個の開口103aと、吐出通路7d側の底壁に形成されたばね座103bとを有している。吐出通路7dには、弁ケース103より外部側に第1リリーフ通路53が連通している。
弁体105は、弁ケース103内に設けられ、弁ケース103の周壁に沿って摺動可能になっている。弁体105と弁ケース103のばね座103bとの間にバネ107が設けられている。バネ107は、第1設定圧力で弁体105を弁座101bに着座させ、吐出口101aを閉じている。この状態では、弁ケース103の開口103aも弁体105の周面によって閉鎖されている。弁体105が弁座101bから離間すれば、吐出口101aが弁ケース103内に開放され、かつ弁体105が開口103aを開放するようになっている。
図2に示すように、第1リリーフ通路53はリリーフ弁室7eの底面に連通し、第2リリーフ通路55はリリーフ弁室7eの側面に連通している。第2リリーフ通路55の他端は制御弁室7cにおける第2Oリング19bと第3Oリング19cとの間の部分に連通し、第2給気通路51に連通している。
リリーフ弁室7eにはリリーフ弁23が設けられている。このリリーフ弁23は、ベローズ76及び蓋部材23aからなる。蓋部材23aは、リリーフ弁室7eを閉じるように固定されている。リリーフ弁23は、第1リリーフ通路53に作用する冷媒の圧力が第2設定圧力未満であれば、ベローズ76が伸長して第1リリーフ通路53を閉鎖し、第1リリーフ通路53に作用する冷媒の圧力が第2設定圧力を超えれば、ベローズ76が縮小して第1リリーフ通路53を開放する。リリーフ弁23が第1リリーフ通路53を開放すれば、第1リリーフ通路53と第2リリーフ通路55とが連通する。
図1に示すように、圧縮機の吸入室7aは配管2によって蒸発器4に接続され、蒸発器4は配管2によって膨張弁6に接続され、膨張弁6は配管2によって凝縮器8に接続され、凝縮器8が配管2によって圧縮機の吐出通路7dに接続されている。これら圧縮機、蒸発器4、膨張弁6、凝縮器8及びこれらを接続する配管2が車両の冷凍回路を構成している。冷凍回路内には潤滑油を混合した冷媒ガスが封入される。圧縮機を除く冷凍回路が外部冷凍回路である。
以上のように構成された圧縮機では、エンジン等の駆動源によって駆動軸18が回転され、ラグプレート31及び斜板35が駆動軸18と同期回転する。このため、各ピストン27が斜板35の傾斜角度に応じたストロークでシリンダボア1b内を往復動し、圧縮室29内に吸入室7a内の冷媒ガスを吸入し、圧縮室29内で冷媒ガスを圧縮し、圧縮室29から高圧の冷媒ガスを吐出室7bに吐出する。吸入室7a内には蒸発器4から冷媒ガスが供給され、吐出室7b内の高圧の冷媒ガスは逆止弁21及び吐出通路7dを経て凝縮器8に吐出される。
この間、容量制御弁19は、吸入室7a内の吸入圧力Psとクランク室11内のクランク室圧力Pcとの差圧によって作動する。熱負荷が大きく、吸入圧力Psが設定吸入圧力より高ければ、ベローズ75が第1弁ケース61から離れるように縮小して弁体19eが弁座19dに着座する。このため、第1給気通路49が第2給気通路51と連通しない。一方、クランク室11内の冷媒は抽気通路40を経て吸入室7aに流れ、クランク室11内のクランク室圧力Pcは低い状態とされる。この場合、斜板35は大きな傾斜角度で回転し、各ピストン27が長いストロークで往復動する。このため、吐出室7b内の吐出圧力Pdは第1設定圧力より高くなり、逆止弁21の弁体105が弁座101bから離間する。このため、吐出口101aが弁ケース103内に開放され、かつ弁体105が開口103aを開放する。このため、圧縮機は、冷媒を最大の吐出容量で外部冷凍回路に吐出する。
他方、熱負荷が小さく、吸入圧力Psが設定吸入圧力より低ければ、ベローズ75が第1弁ケース61に近づくように伸長して弁体19eが弁座19dから離間する。このため、第1給気通路49が第2給気通路51と連通する。このため、吐出室7b内の高圧の冷媒がクランク室11に供給され、クランク室11内のクランク室圧力Pcが高い状態とされる。この場合、斜板35は最小の傾斜角度で回転し、各ピストン27が最短のストロークで往復動する。このため、吐出室7b内の吐出圧力Pdは第1設定圧力未満となり、逆止弁21の弁体105が弁座101bに着座する。このため、吐出口101aが閉じられる。このため、圧縮機は、冷媒を外部冷凍回路に吐出しない最小容量運転となる。
設定吸入圧力は、制御装置91からコイル69に通電する電流値によって制御可能である。制御装置91からの制御信号により、コイル69が励磁されれば、可動鉄心83は固定鉄心81に近づき、第1給気通路49と第2給気通路51との開度は小さくなる。一方、コイル69が消磁されれば、可動鉄心83は固定鉄心81から離間され、第1給気通路49と第2給気通路51との開度は大きくなる。
この圧縮機では、この構成において、第1、2リリーフ通路53、55が吐出通路7dにおける逆止弁21より下流と第2給気通路51とを接続させるだけである。この第1、2リリーフ通路53、55にリリーフ弁23が設けられている。このため、この圧縮機では、リヤハウジング7が他の構成要素によって複雑に構成されていても、リヤハウジング7内部を改良して第1、2リリーフ通路53、55及びリリーフ弁23をそれらの構成要素を利用しつつ構成していることから、リヤハウジング7が大型化しない。特に、第1、第2リリーフ通路53、55及びその下流は、給気通路と兼用されているため、リリーフ通路を設けることによる製造工程の増加や圧縮機の大型化が抑制されている。
そして、冷凍回路の作動中、逆止弁21が吐出通路7dを開いて第1設定圧力を超える圧力の冷媒を吐出室7bから外部冷凍回路に吐出させている場合、例えば、凝縮器8内の冷媒の通路面積が異物によって小さくされて異常に高圧となれば、吐出通路7dにおける逆止弁21より下流の圧力が高くなり、第1リリーフ通路53内の圧力が高くなる。このため、ベローズ76が縮小してリリーフ弁23が開き、第1リリーフ通路53がリリーフ弁室7eに連通し、第1リリーフ通路53と第2リリーフ通路55とが連通する。このため、吐出通路7dにおける逆止弁21より下流側の冷媒は、第1リリーフ通路53、リリーフ弁室7e、第2リリーフ通路55、制御弁室7c、第2導圧孔61c及び第2給気通路51を経てクランク室11に放出され、吐出通路7dの下流側の過剰な高圧化を防止することができる。また、クランク室11に高圧の冷媒を放出することで、クランク室内圧力Pcは上昇し、斜板35の傾斜角度は小さくなり、吐出容量は低下するため、リリーフ弁23から吐出される冷媒の量も減少しやすい。
したがって、この圧縮機では、圧縮機内部の改良により、吐出通路7dの下流の過剰な高圧化を防止できるとともに、車両等への優れた搭載性を実現できる。
(実施例2)
実施例2の圧縮機は、図4に示すように、シリンダブロック10とフロントハウジング12とが締結されている。また、シリンダブロック10とリヤハウジング14とが両者の間に弁ユニット16を介して締結されている。これらシリンダブロック10、フロントハウジング12、弁ユニット16及びリヤハウジング14がハウジングに相当する。
実施例2の圧縮機は、図4に示すように、シリンダブロック10とフロントハウジング12とが締結されている。また、シリンダブロック10とリヤハウジング14とが両者の間に弁ユニット16を介して締結されている。これらシリンダブロック10、フロントハウジング12、弁ユニット16及びリヤハウジング14がハウジングに相当する。
シリンダブロック10とフロントハウジング12との間にはクランク室20が形成されている。フロントハウジング12及びシリンダブロック10には軸孔12a、10aが貫設されている。軸孔12aには軸封装置22及びラジアル軸受24が設けられ、軸孔10aにはラジアル軸受26が設けられ、これら軸封装置22及びラジアル軸受24、26を介して駆動軸70がハウジングに回転可能に支承されている。シリンダブロック1には、駆動軸70の駆動軸心Oと平行に延びるシリンダボア10bが複数個貫設されている。
リヤハウジング14に吸入室14a及び吐出室14bが形成されている。また、リヤハウジング14には、制御弁室14c、吐出通路14d及びリリーフ弁室14eが形成されている。制御弁室14cに容量制御弁19が収容され、吐出通路14dに逆止弁21が収容され、リリーフ弁室14eにリリーフ弁23が収容されている。
シリンダブロック10の後端の中心側には軸孔10aと連通する中継室10cが形成され、中継室10cは弁ユニット16の吸入弁板と対面している。駆動軸70は、前端がフロントハウジング12から露出し、中央がクランク室20に臨んでいる。また、各シリンダボア10b内にはそれぞれピストン28が往復動可能に収納されている。各ピストン28はそれぞれシリンダボア10b内に圧縮室30を形成している。
クランク室20内では、ラグプレート32が駆動軸70に固定されている。ラグプレート32とフロントハウジング12との間にはスラスト軸受34が設けられている。また、クランク室20内には斜板36が設けられている。斜板36には、駆動軸70を挿通させる挿通孔36aが形成されている。ラグプレート32と斜板36とはリンク機構38によって連結されている。
斜板36と各ピストン28との間には、前後で対をなすシュー72が設けられている。クランク室20と中継室10cとは、駆動軸70とラジアル軸受26との隙間によって連通している。シリンダブロック10及び弁ユニット16には、中継室10cと吸入室14aとを連通する通路42が形成されている。駆動軸70とラジアル軸受26との隙間、中継室10c及び通路42は、クランク室20と吸入室14aとを連通する抽気通路50に相当する。
また、フロントハウジング12、シリンダブロック10及びリヤハウジング14は通しボルト44によって締結されている。リヤハウジング14及びシリンダブロック10には、通しボルト44周りにクランク室20と連通する低圧間隙14f、10dが形成されている。リヤハウジング14において、制御弁室14cと低圧間隙14fとは第2給気通路46によって接続されている。このため、第2リリーフ通路55は第2給気通路46を介してクランク室20に連通している。他の構成は実施例1の圧縮機と同様である。同様の構成については同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
この圧縮機でも、リヤハウジング14内部の改良により実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例3)
実施例3の圧縮機は、図5に示すリリーフ弁60を採用している。このリリーフ弁60は、蓋部材52、スプール54及びバネ56からなる。蓋部材52は、リリーフ弁室7eを閉じるように固定されている。スプール54は、蓋部材52と対向してリリーフ弁室7e内に移動可能に設けられている。バネ56は、蓋部材52とスプール54との間に設けられている。バネ56が伸長すれば、スプール54が第1リリーフ通路53を閉鎖し、バネ56が縮小すれば、スプール54が第1リリーフ通路53を開放するようになっている。他の構成は実施例1、2の圧縮機と同様である。同様の構成については同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
実施例3の圧縮機は、図5に示すリリーフ弁60を採用している。このリリーフ弁60は、蓋部材52、スプール54及びバネ56からなる。蓋部材52は、リリーフ弁室7eを閉じるように固定されている。スプール54は、蓋部材52と対向してリリーフ弁室7e内に移動可能に設けられている。バネ56は、蓋部材52とスプール54との間に設けられている。バネ56が伸長すれば、スプール54が第1リリーフ通路53を閉鎖し、バネ56が縮小すれば、スプール54が第1リリーフ通路53を開放するようになっている。他の構成は実施例1、2の圧縮機と同様である。同様の構成については同一の符号を付して構成の詳細な説明を省略する。
この圧縮機でも実施例1、2と同様の作用効果を奏することができる。
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、容量制御弁19は、実施例1〜3で採用したものに限定されない。圧縮機の構造、容量等の種別に応じ、他の容量制御弁を採用することもできる。また、逆止弁21及びリリーフ弁23、60についても、実施例1〜3で採用したものに限定されない。
本発明は車両等の空調装置に利用可能である。
7a、14a…吸入室
1b、10b…シリンダボア
11、20…クランク室
7b、14b…吐出室
1、3、5、7、9、10、12、14、16…ハウジング(1、10…シリンダブロック、3、12…フロントハウジング、5…ガスケット、7、14…リヤハウジング、9、16…弁ユニット)
Pc…クランク室圧力
35、36…斜板
27、28…ピストン
7c、14c…制御弁室
40、50…抽気通路
49、51、46…給気通路(49…第1給気通路、51、46…第2給気通路)
7d、14d…吐出通路
19…容量制御弁
21…逆止弁
53、55…リリーフ通路(53…第1リリーフ通路、55…第2リリーフ通路)
23、60…リリーフ弁
44…通しボルト
10d、14f…低圧間隙
1b、10b…シリンダボア
11、20…クランク室
7b、14b…吐出室
1、3、5、7、9、10、12、14、16…ハウジング(1、10…シリンダブロック、3、12…フロントハウジング、5…ガスケット、7、14…リヤハウジング、9、16…弁ユニット)
Pc…クランク室圧力
35、36…斜板
27、28…ピストン
7c、14c…制御弁室
40、50…抽気通路
49、51、46…給気通路(49…第1給気通路、51、46…第2給気通路)
7d、14d…吐出通路
19…容量制御弁
21…逆止弁
53、55…リリーフ通路(53…第1リリーフ通路、55…第2リリーフ通路)
23、60…リリーフ弁
44…通しボルト
10d、14f…低圧間隙
Claims (3)
- 吸入室、シリンダボア、クランク室及び吐出室が形成されたハウジングと、
前記クランク室内に設けられ、前記クランク室内のクランク室圧力によって傾斜角度が変更される斜板と、
前記シリンダボア内に収容され、前記斜板に連結されて前記シリンダボア内を往復動するピストンとを備え、
前記ハウジングには、制御弁室と、前記クランク室と前記吸入室とを接続する抽気通路と、前記吐出室と前記クランク室とを接続する給気通路と、前記吐出室を外部冷凍回路に接続させる吐出通路とが形成され、
前記制御弁室には、前記抽気通路及び前記給気通路の少なくとも一方と接続され、吐出容量を変更可能な容量制御弁が収納され、
前記吐出通路には、第1設定圧力を超える圧力の冷媒を前記吐出室から前記外部冷凍回路に吐出させる逆止弁が設けられ、
前記ハウジングには、前記吐出通路における前記逆止弁より下流と前記給気通路とを接続させるリリーフ通路が形成され、
前記リリーフ通路には、前記第1設定圧力より高い第2設定圧力を超える圧力の冷媒によって開放するリリーフ弁が設けられていることを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。 - 前記ハウジングは、前記吸入室及び前記吐出室が形成されたリヤハウジングと、前記シリンダボアが形成されたシリンダブロックとを有し、
前記リリーフ通路は前記リヤハウジングに形成されている請求項1記載の容量可変型斜板式圧縮機。 - 前記ハウジングは、前記吸入室及び前記吐出室が形成されたリヤハウジングと、前記シリンダボアが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックとともに前記クランク室を形成するフロントハウジングとを有し、
前記フロントハウジング、前記シリンダブロック及び前記リヤハウジングは通しボルトによって締結され、
前記リヤハウジング及び前記シリンダブロックには、前記通しボルト周りに前記クランク室と連通する低圧間隙が形成され、
前記リリーフ通路は前記低圧間隙に連通している請求項1記載の容量可変型斜板式圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019063112A JP2020159351A (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 容量可変型斜板式圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019063112A JP2020159351A (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 容量可変型斜板式圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020159351A true JP2020159351A (ja) | 2020-10-01 |
Family
ID=72642519
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019063112A Pending JP2020159351A (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 容量可変型斜板式圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020159351A (ja) |
-
2019
- 2019-03-28 JP JP2019063112A patent/JP2020159351A/ja active Pending
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