JP3952425B2 - 可変容量圧縮機用制御弁、可変容量圧縮機、及び可変容量圧縮機用制御弁の組付方法 - Google Patents
可変容量圧縮機用制御弁、可変容量圧縮機、及び可変容量圧縮機用制御弁の組付方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両空調装置に使用される可変容量圧縮機の制御弁、可変容量圧縮機、及び可変容量圧縮機用制御弁の組付方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可変容量圧縮機としては、例えば特開平7−180659号公報に記載の構成が知られている。この可変容量圧縮機においては、吐出領域と制御圧室を兼ねるクランク室との間の給気通路の途中に容量制御弁が配設され、その容量制御弁の開度が車室内の冷房負荷に基づいて制御される。この容量制御弁の開度の調整により、吐出領域からクランク室への高圧の圧縮冷媒ガスの供給量が変更されて、クランク室内の圧力が昇降される。そして、このクランク室内の圧力の昇降に基づいて、クランク室内の圧力とシリンダボア内の圧力との差とが変更される。そして、この差に応じてカムプレートの傾角が変更されて、吐出容量が調整されるようになっている。
【0003】
この従来構成の可変容量圧縮機に使用される容量制御弁は、次のような構成となっている。すなわち、バルブプレート上に前記給気通路を開閉するためのリード弁よりなる弁体が設けられている。リヤハウジング上のこの弁体と対応する位置には、吸入領域に接続される感圧室が形成されている。その感圧室内には、吸入領域内の圧力、つまり吸入圧力の変動に応じて伸縮するベローズが配設されている。このベローズと前記弁体とは感圧ロッドを介して連結されており、ベローズの伸縮に応じて弁体が移動されて、前記給気通路が開閉されるようになっている。感圧室はリヤハウジングの外方に開口され、その開口部の内周面がネジ孔となっている。その開口部には調節ネジ部材が螺合され、この調節ネジ部材の螺合位置により、ベローズの初期設定位置が決定されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の可変容量圧縮機用制御弁においては、感圧室の開口部にネジ孔を形成するとともに、調節ネジ部材の外周面にも対応するネジ部を形成する必要がある。このため、部品の形状が複雑なものとなって、加工及び組みつけが面倒であり、製作コストの高騰を招いていた。
【0005】
また、このように、一対のネジ部の螺合によりベローズの初期設定位置の決定を行うためには、所定の長さのネジ部を確保しつつ、調節ネジ部材にその調節ネジ部材を締め込むためのジグの取付部を設ける必要がある。このため、調節ネジ部材が大型化して、ひいては制御弁全体の大型化を招くおそれがあった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、全体の大型化を招くことなく、簡単な構成で感圧部材の初期設定位置を決定することができて、製作コストの削減可能な可変容量圧縮機用制御弁、可変容量圧縮機、及び可変容量圧縮機用制御弁の組付方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁において、弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結されるベローズとを備え、筒体と、前記検圧通路に接続される検圧ポートが形成された1つの部材からなるキャップ部材とにより、前記感圧機構の周壁の一部を構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合するとともに所定位置に固定して、前記ベローズの初期設定位置を決定するようにしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明では、吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁において、弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁体にソレノイドロッドを介して連結されるソレノイド部と、前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結されるベローズとを備え、筒体と、前記検圧通路に接続される検圧ポートが形成された1つの部材からなるキャップ部材とにより、前記感圧機構の周壁の一部を構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合するとともに所定位置に固定して、前記ベローズの初期設定位置を決定するようにしたものである。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明において、互いに嵌合する前記筒体の外周面及び前記キャップ部材の内周面は、それぞれその一部が嵌合面をなすものである。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の可変容量圧縮機用制御弁における前記感圧機構を圧縮機内部に配設したものである。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記感圧機構は、前記検圧通路を介して前記吸入領域に接続されるとともに、前記周壁の一部を構成する前記キャップ部材が前記吸入領域に臨んで配設されたものである。
【0009】
請求項6に記載の発明では、吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁であって、弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結される感圧部材とを備えた可変容量圧縮機用制御弁の組付方法において、前記感圧機構の周壁の一部を筒体及びキャップ部材で構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合して、前記感圧機構内の感圧室に所定の圧力を付加した状態で、前記感圧部材が所定の初期設定位置に配置されるように、前記筒体とキャップ部材との嵌合長さを調節した後、前記キャップ部材を筒体に対して固定するものである。
【0010】
請求項7に記載の発明では、吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁であって、弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁体にソレノイドロッドを介して連結されるソレノイド部と、前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結される感圧部材とを備えた可変容量圧縮機用制御弁の組付方法において、前記感圧機構の周壁の一部を筒体及びキャップ部材で構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合して、前記ソレノイド部のコイルに所定の電流を供給しつつ、前記感圧機構内の感圧室に所定の圧力を付加した状態で、前記感圧部材が所定の初期設定位置に配置されるように、前記筒体とキャップ部材との嵌合長さを調節した後、前記キャップ部材を筒体に対して固定するものである。
【0011】
従って、請求項1,3,4,5,6に記載の発明では、感圧部材を収容する感圧室に所定の圧力を供給した状態で、筒体とキャップ部材との嵌合長さを調節し、前記キャップ部材を筒体に対して固定することで、感圧部材の初期設定位置が決定される。このため、筒体及びキャップ部材の形状を簡素化できるとともに、感圧部材の初期設定位置の決定を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2,3,4,5,7に記載の発明では、ソレノイド部のコイルに所定の電流を供給しつつ、感圧部材を収容する感圧室に所定の圧力を供給した状態で、筒体とキャップ部材との嵌合長さを調節し、前記キャップ部材を筒体に対して固定することで、感圧部材の初期設定位置が決定される。このため、筒体及びキャップ部材の形状を簡素化できるとともに、感圧部材の初期設定位置の決定を容易に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下に、この発明をクラッチレス可変容量圧縮機の容量制御弁に具体化した第1の実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0014】
まず、クラッチレス可変容量圧縮機の構成について説明する。
図2に示すように、シリンダブロック11の前端には、フロントハウジング12が接合されている。シリンダブロック11の後端には、リヤハウジング13がバルブプレート14を介して接合固定されている。フロントハウジング12とシリンダブロック11との間には、制御圧室を兼ねるクランク室15が形成されているとともに、駆動シャフト16が回転可能に架設支持されている。
【0015】
前記駆動シャフト16の前端は、クランク室15から外部へ突出しており、この突出端部にはプーリ17が止着されている。プーリ17は、ベルト18を介して車両エンジン(図示略)に常時作動連結されている。プーリ17は、アンギュラベアリング19を介してフロントハウジング12に支持されている。フロントハウジング12は、プーリ17に作用するアキシャル方向の荷重及びラジアル方向の荷重の両方をアンギュラベアリング19を介して受け止める。
【0016】
前記駆動シャフト16の前端部とフロントハウジング12との間には、リップシール20が介在されている。リップシール20はクランク室15内の圧力洩れを抑制する。
【0017】
前記駆動シャフト16には、クランク室15内において、回転支持体21が止着されているとともに、カムプレートをなす斜板22が駆動シャフト16の軸線方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。斜板22には、先端部が球状をなす一対のガイドピン23が止着されている。前記回転支持体21には、支持アーム24が突設されており、その支持アーム24には一対のガイド孔25が形成されている。ガイドピン23は、ガイド孔25にスライド可能に嵌入されている。支持アーム24と一対のガイドピン23との連係により、斜板22が駆動シャフト16の軸線方向へ傾動可能かつ駆動シャフト16と一体的に回転可能となっている。
【0018】
そして、前記斜板22の傾動は、ガイド孔25とガイドピン23とのスライドガイド関係、駆動シャフト16のスライド支持作用により案内される。斜板22の半径中心部がシリンダブロック11側へ移動すると、斜板22の傾角が減少する。回転支持体21と斜板22との間には、傾角減少バネ26が介在されている。傾角減少バネ26は、斜板22をその傾角が減少する方向へ付勢している。また、回転支持体21の後面には、斜板22の最大傾角を規制するための傾角規制突部21aが形成されている。
【0019】
図2〜図4に示すように、前記シリンダブロック11の中心部には、収容孔27が駆動シャフト16の軸線方向に貫設されている。収容孔27内には、筒状の遮断体28がスライド可能に収容されている。遮断体28は、大径部28aと小径部28bとからなっている。その大径部28aと小径部28bとの段差と、収容孔27の端面との間には、吸入通路開放バネ29が介在されている。吸入通路開放バネ29は、遮断体28を斜板22側へ付勢している。
【0020】
前記遮断体28の筒内には、駆動シャフト16の後端部が挿入されている。大径部28aの内周面には、ラジアルベアリング30が嵌入支持されている。ラジアルベアリング30は、大径部28aの内周面に取り付けられたサークリップ31によって、遮断体28の筒内から抜け止めされている。駆動シャフト16の後端部は、ラジアルベアリング30にスライド可能に嵌入され、そのラジアルベアリング30及び遮断体28を介して収容孔27の周面で支持される。
【0021】
前記リヤハウジング13の中心部には、吸入領域を構成する吸入通路32が形成されている。吸入通路32は、遮断体28の移動経路となる駆動シャフト16の延長線上にある。吸入通路32は収容孔27に連通しており、収容孔27側の吸入通路32の開口の周囲には位置決め面33が形成されている。位置決め面33は、バルブプレート14上である。遮断体28の小径部28bの先端面は、位置決め面33に当接可能である。小径部28bの先端面が位置決め面33に当接することにより、遮断体28の後方への移動が規制される。
【0022】
前記斜板22と遮断体28との間の駆動シャフト16上には、スラストベアリング34が駆動シャフト16上をスライド可能に支持されている。スラストベアリング34は、吸入通路開放バネ29の付勢力によって常に斜板22と遮断体28の大径部28aの端面との間に挟み込まれている。
【0023】
斜板22が遮断体28側へ移動するのに伴い、斜板22の傾動がスラストベアリング34を介して遮断体28に伝達される。この傾動伝達により遮断体28が、吸入通路開放バネ29の付勢力に抗して位置決め面33側へ移動し、遮断体28が位置決め面33に当接する。斜板22の回転は、スラストベアリング34の存在によって遮断体28への伝達を阻止される。
【0024】
図2に示すように、前記シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア11a内には、片頭型のピストン35が収容されている。斜板22の回転運動は、シュー36を介してピストン35の前後往復揺動に変換され、これによって、ピストン35がシリンダボア11a内で前後動される。
【0025】
前記リヤハウジング13内には、吸入領域を構成する吸入室37及び吐出領域を構成する吐出室38が区画形成されている。バルブプレート14上には、吸入ポート39及び吐出ポート40が形成され、これらの吸入ポート39及び吐出ポート40と対応するように、吸入弁41及び吐出弁42が形成されている。ここで、ピストン35が上死点位置から下死点位置に向かう復動動作により、吸入室37内の冷媒ガスは、吸入ポート39から吸入弁41を押し退けてシリンダボア11a内へ流入する。シリンダボア11a内へ流入した冷媒ガスは、ピストン35が下死点位置から上死点位置に向かう往動動作により、所定の圧力に達するまで圧縮される。そして、この圧縮冷媒ガスが、吐出ポート40から吐出弁42を押し退けて吐出室38へ吐出される。この際、吐出弁42は、リテーナ43に当接して開度規制される。
【0026】
前記回転支持体21とフロントハウジング12との間には、スラストベアリング44が介在されている。スラストベアリング44は、シリンダボア11aからピストン35、シュー36、斜板22及びガイドピン23を介して回転支持体21に作用する圧縮反力を受け止める。
【0027】
図2〜図4に示すように、前記吸入室37は、通口45を介して収容孔27に連通している。遮断体28が位置決め面33に当接するとき、吸入通路32の前端が閉じられて、通口45が吸入通路32から遮断される。駆動シャフト16内には、軸心通路46が形成されている。軸心通路46の入口46aはリップシール20付近でクランク室15に開口しており、軸心通路46の出口46bは遮断体28の筒内に開口している。遮断体28の周面には、放圧通口47が貫設されている。放圧通口47は、遮断体28の筒内と収容孔27とを連通している。
【0028】
前記吐出室38とクランク室15とは、吐出領域と制御圧室とを連通する通路としての給気通路48により連通されている。給気通路48の途中には、その給気通路48を開閉するための制御弁としての容量制御弁49が設けられている。また、前記吸入通路32と容量制御弁49との間には、その容量制御弁49内に吸入圧力Psを導くための検圧通路50が形成されている。
【0029】
前記吸入室37へ冷媒ガスを導入するための入口となる吸入通路32と、吐出室38から冷媒ガスを排出する吐出フランジ51とは、外部冷媒回路52で接続されている。外部冷媒回路52上には、凝縮器53、膨張弁54及び蒸発器55が介在されている。蒸発器55の近傍には、温度センサ56が設置されている。温度センサ56は、蒸発器55における温度を検出し、この検出温度情報が制御コンピュータ57に送られる。また、制御コンピュータ57には、車両の車室内の温度を指定するための室温設定器58、室温センサ58a及び空調装置作動スイッチ59等が接続されている。
【0030】
そして、前記制御コンピュータ57は、例えば室温設定器58によって予め指定された室温、温度センサ56から得られる検出温度、室温センサ58aから得られる検出温度、及び空調装置作動スイッチ59からのオンあるいはオフ信号等の外部信号に基づいて、入力電流値を駆動回路60に指令する。駆動回路60は、指令された入力電流値を後述する容量制御弁49のソレノイド部62のコイル82に対して出力する。その他の外部信号としては、例えば室外温度センサ、エンジン回転数等からの信号があり、車両の環境に応じて入力電流値は決定される。
【0031】
次に、この実施形態の可変容量圧縮機用制御弁としての容量制御弁49について、詳細に説明する。
図1〜図4に示すように、容量制御弁49は、バルブハウジング61とソレノイド部62とを中央付近において接合して構成されている。バルブハウジング61とソレノイド部62との間には弁室63が区画形成され、その弁室63内に弁体64が収容されている。弁室63には弁体64と対向するように、弁孔66が開口されている。この弁孔66は、バルブハウジング61の軸線方向に延びるように形成されている。弁体64と弁室63の内壁面との間には、強制開放バネ65が介装され、弁体64を弁孔66の開放方向に付勢している。また、この弁室63は、弁室ポート67、及び前記給気通路48を介してリヤハウジング13内の吐出室38に連通されている。
【0032】
前記バルブハウジング61の先端部には、感圧室68が区画形成されている。この感圧室68は、検圧ポート69及び前記検圧通路50を介してリヤハウジング13の吸入通路32に連通されている。感圧室68の内部には、感圧部材としてのベローズ70が収容されている。感圧室68と弁室63との間には、前記弁孔66と連続する感圧ロッドガイド71が形成されている。感圧ロッド72は、感圧ロッドガイド71内に摺動可能に挿通されるともに、その先端がベローズ70の接続部70a内に挿入されている。そして、この感圧ロッド72を介して、前記ベローズ70と弁体64とが接離可能に作動連結されている。つまり、これら感圧室68、ベローズ70、感圧ロッドガイド71、及び感圧ロッド72により、吸入圧力Psの変動を弁体64に伝達する感圧機構が構成されている。また、この感圧ロッド72の弁体64側部分は、弁孔66内の冷媒ガスの通路を確保するために小径になっている。
【0033】
前記バルブハウジング61には、弁室63と感圧室68との間において、前記弁孔66と直交するように、ポート74が形成されている。ポート74は、給気通路48を介してクランク室15に連通されている。
【0034】
前記ソレノイド部62にはソレノイド室77が区画され、その上方開口部には固定鉄心76が嵌合されている。ソレノイド室77には、ほぼ有蓋円筒状をなす可動鉄心78が往復動可能に収容されている。可動鉄心78とソレノイド室77の底面との間には、追従バネ79が介装されている。なお、この追従バネ79は、前記強制開放バネ65よりも弾性係数が小さいものとなっている。
【0035】
前記固定鉄心76には、ソレノイド室77と前記弁室63とを連通するソレノイドロッドガイド80が形成されている。ソレノイドロッド81は、前記弁体64と一体形成されており、ソレノイドロッドガイド80内に摺動可能に挿通されている。また、ソレノイドロッド81の可動鉄心78側の端部は、前記強制開放バネ65及び追従バネ79の付勢力によって可動鉄心78に当接されている。そして、前記可動鉄心78と弁体64とが、ソレノイドロッド81を介して作動連結されている。
【0036】
固定鉄心76及び可動鉄心78の外側には、両鉄心76、78を跨ぐように円筒状のコイル82が配置されている。このコイル82には前記制御コンピュータ57の指令に基づいて駆動回路60から所定の電流が供給されるようになっている。
【0037】
さて、この第1の実施形態の容量制御弁49では、前記バルブハウジング61が本体83とキャップ部材84とで構成されている。本体83は、一端がソレノイド部62に接合されるとともに、他端には円筒状の筒体85が突設されている。この筒体85の外周面にはキャップ部材84が嵌合されている。このキャップ部材84は、筒体85との嵌合長さを調整することにより、ベローズ70の初期設定位置を決定する役割を担っている。この状態で、キャップ部材84が、筒体85に対してかしめにより固定されている。そして、これら本体83とキャップ部材84とにより、前記感圧室68が区画形成されている。つまり、筒体85とキャップ部材84とにより、感圧機構の周壁の一部が構成されている。
【0038】
次に、この第1の実施形態の容量制御弁49の感圧機構の組付方法について説明する。
まず、キャップ部材84内にベローズ70を収容する。そして、ベローズ70の接続部70aと感圧ロッド72とを相対移動可能に嵌合させつつ、キャップ部材84を本体83の筒体85の外周面に嵌合させる。
【0039】
次に、ソレノイド部62のコイル82に所定の電流を供給して、固定鉄心76と可動鉄心78との間に入力電流値に応じた吸引力を発生させる。この吸引力は、ソレノイドロッド81を介して、弁体64に作用する。これと同時に、検圧ポート69を介して、感圧室68に所定の圧力を供給すると、感圧室68内のベローズ70はその感圧室68の圧力に応じて変位される。この変位は、感圧ロッド72を介して弁体64に伝達される。つまり、この状態では、弁体64には、ソレノイド部62からの付勢力、ベローズ70からの付勢力、及び、強制開放バネ65による付勢力が作用することになる。そして、これらの付勢力のバランスに応じて、弁体64による弁孔66の開度が調整される。
【0040】
ここで、キャップ部材84と筒体85との嵌合長さを調整すると、ベローズ70の位置が変更される。このベローズ70の位置変更によって、ベローズ70から弁体64への付勢力の作用開始点が変更される。つまり、キャップ部材84と筒体85との嵌合長さが長くなるほど、ベローズ70と弁体68とが相対的に近くなり、感圧室68内の圧力がより高い状態でベローズ70の付勢力が弁体64に作用するようになる。一方、前記嵌合長さが短くなるほど、ベローズ70と弁体68とが相対的に遠くなり、感圧室68内の圧力がより低い状態でベローズ70の付勢力が弁体64に作用するようになる。
【0041】
そして、前記のように、ソレノイド部62及び強制開放バネ65により所定の付勢力を弁体68に作用させるとともに、感圧室68内に所定の圧力を供給した状態で、ベローズ70からの付勢力が感圧ロッド72を介して弁体68に伝達され始めるように前記嵌合長さを調整する。これにより、ベローズ70を所定の初期設定位置に配置する。そして、この状態で、キャップ部材84と筒体85とをジグを用いて、ともに変形させてかしめ、キャップ部材84を筒体85に対して固定する。
【0042】
次に、前記のように構成されたクラッチレス可変容量圧縮機の容量制御弁49の動作について説明する。
さて、空調装置作動スイッチ59がオン状態のもとで、室温センサ58aから得られる検出温度が室温設定器58の設定温度以上である場合には、制御コンピュータ57はソレノイド部62の励磁を指令する。すると、コイル82に駆動回路60を介して所定の電流が供給され、図2及び図3に示すように、両鉄心76、78間には入力電流値に応じた吸引力が生じる。この吸引力は、強制開放バネ65の付勢力に抗し、弁孔66の開度が減少する方向の力として、ソレノイドロッド81を介して弁体64に伝達される。
【0043】
一方、このソレノイド部62の励磁状態においては、ベローズ70が吸入通路32から検圧通路50を介して感圧室68に導入される吸入圧力Psの変動に応じて変位する。そして、ベローズ70は吸入圧力Psに感応し、このベローズ70の変位が感圧ロッド72を介して弁体64に伝えられる。従って、容量制御弁49は、ソレノイド部62からの付勢力、ベローズ70からの付勢力及び強制開放バネ65の付勢力とのバランスにより、弁孔66の開度が決定される。
【0044】
冷房負荷が大きい場合には、例えば室温センサ58aによって検出された温度と室温設定器58の設定温度との差が大きくなる。制御コンピュータ57は、検出温度と設定室温とに基づいて設定吸入圧力を変更するように入力電流値を制御する。すなわち、制御コンピュータ57は、駆動回路60に対して、検出温度が高いほど入力電流値を大きくするように指令する。よって、固定鉄心76と可動鉄心78との間の吸引力が強くなって、弁体64による弁孔66の開度の設定値を小さくする方向への付勢力が増大する。そして、より低い吸入圧力Psにて、弁体64の開閉が行われる。従って、容量制御弁49は、電流値が増大されることによって、より低い吸入圧力Psを保持するように作動する。
【0045】
弁体64の弁開度が小さくなれば、吐出室38から給気通路48を経由してクランク室15へ流入する冷媒ガス量が少なくなる。この一方で、クランク室15内の冷媒ガスは、軸心通路46、遮断体28の内部、放圧通口47、収容孔27及び通口45を経由して吸入室37へ流出している。このため、クランク室15内の圧力Pcが低下する。また、冷房負荷が大きい状態では、吸入室37内の圧力も高くて、クランク室15内の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力との差が小さくなる。このため、斜板22の傾角が大きくなる。
【0046】
給気通路48における通過断面積が零、つまり容量制御弁49の弁体64が弁孔66を完全に閉止した状態になると、吐出室38からクランク室15への高圧冷媒ガスの供給は行われなくなる。そして、クランク室15内の圧力Pcは、吸入室37内の圧力Psとほぼ同一になり、斜板22の傾角は最大となる。斜板22の最大傾角は、回転支持体21の傾角規制突部21aと斜板22との当接によって規制され、吐出容量は最大となる。
【0047】
逆に、冷房負荷が小さい場合には、例えば室温センサ58aによって検出された温度と室温設定器58の設定温度との差は小さくなる。制御コンピュータ57は、駆動回路60に対して、検出温度が低いほど入力電流値を小さくするように指令する。このため、固定鉄心76と可動鉄心78との間の吸引力が弱くなって、弁体64による弁孔66の開度の設定値を小さくする方向への付勢力が減少する。そして、より高い吸入圧力Psにて、弁体64の開閉が行われる。従って、容量制御弁49は、電流値が減少されることによって、より高い吸入圧力Psを保持するように作動する。
【0048】
弁体64の弁開度が大きくなれば、吐出室38からクランク室15へ流入する冷媒ガス量が多くなり、クランク室15内の圧力Pcが上昇する。また、この冷房負荷が小さい状態では、吸入室37内の圧力が低くて、クランク室15内の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力との差が大きくなる。このため、斜板22の傾角が小さくなる。
【0049】
冷房負荷がない状態に近づいてゆくと、蒸発器55における温度がフロスト発生をもたらす温度に近づくように低下してゆく。温度センサ56からの検出温度が設定温度以下になると、制御コンピュータ57は駆動回路60に対してソレノイド部62の消磁を指令する。前記設定温度は、蒸発器55においてフロストを発生しそうな状況を反映する。そして、コイル82への電流の供給が停止されて、ソレノイド部62が消磁され、固定鉄心76と可動鉄心78との吸引力が消失する。
【0050】
このため、図4に示すように、弁体64は、強制開放バネ65の付勢力により、可動鉄心78及びソレノイドロッド81を介して作用する追従バネ79の付勢力に抗して図において下方に移動される。そして、弁体64が弁孔66を最大に開いた開度位置に移行する。よって、吐出室38内の高圧冷媒ガスが、給気通路48を介してクランク室15内へ多量に供給され、クランク室15内の圧力Pcが高くなる。このクランク室15内の圧力上昇によって、斜板22の傾角が最小傾角へ移行する。
【0051】
また、空調装置作動スイッチ59のオフ信号に基づいて、制御コンピュータ57はソレノイド部62の消磁を指令し、この消磁によっても、斜板22の傾角が最小傾角へ移行する。
【0052】
このように、容量制御弁49の開閉動作は、ソレノイド部62のコイル82に対する入力電流値の大小に応じて変わる。すなわち、入力電流値が大きくなると低い吸入圧力Psにて開閉が実行され、入力電流値が小さくなると高い吸入圧力Psにて開閉動作が行われる。圧縮機は、設定された吸入圧力Psを維持するように、斜板22の傾角を変更して、その吐出容量を変更する。
【0053】
つまり、容量制御弁49は、入力電流値を変えて吸入圧力Psの設定値を変更する役割、及び、吸入圧力Psに関係なく最小容量運転を行う役割を担っている。このような容量制御弁49を具備することにより、圧縮機は冷凍回路の冷凍能力を変更する役割を担っている。
【0054】
図4に示すように、斜板22の傾角が最小になると、遮断体28が位置決め面33に当接し、吸入通路32が遮断される。この状態では、吸入通路32における通過断面積が零となり、外部冷媒回路52から吸入室37への冷媒ガス流入が阻止される。この斜板22の最小傾角は、0°よりも僅かに大きくなるように設定されている。この最小傾角状態は、遮断体28が吸入通路32と収容孔27との連通を遮断する閉位置に配置されたときにもたらされる。遮断体28は、前記閉位置とこの位置から離間した開位置とへ、斜板22に連動して切り換え配置される。
【0055】
斜板22の最小傾角は0°ではないため、最小傾角状態においても、シリンダボア11aから吐出室38への冷媒ガスの吐出は行われている。シリンダボア11aから吐出室38へ吐出された冷媒ガスは、給気通路48を通ってクランク室15へ流入する。クランク室15内の冷媒ガスは、軸心通路46、遮断体28の内部、放圧通口47、収容孔27及び通口45を通って吸入室37へ流入する。吸入室37内の冷媒ガスは、シリンダボア11a内へ吸入されて、再度吐出室38へ吐出される。
【0056】
すなわち、最小傾角状態では、吐出領域である吐出室38、給気通路48、クランク室15、軸心通路46、遮断体28の内部、放圧通口47、収容孔27、通口45、吸入領域である吸入室37、シリンダボア11aを経由する循環通路が、圧縮機内に形成されている。そして、吐出室38、クランク室15及び吸入室37の間では、圧力差が生じている。従って、冷媒ガスが前記循環通路を循環し、冷媒ガスとともに流動する潤滑油が圧縮機内の各摺動部を潤滑する。
【0057】
空調装置作動スイッチ59がオン状態にあって、斜板22が最小傾角位置にある状態で、車室内の温度が上昇して冷房負荷が増大すると、室温センサ58aによって検出された温度が室温設定器58の設定温度を越える。制御コンピュータ57は、この検出温度変移に基づいて、ソレノイド部62の励磁を指令し、ソレノイド部62の励磁により、給気通路48が閉じられる。そして、クランク室15の圧力Pcが、軸心通路46、遮断体28の内部、放圧通口47、収容孔27及び通口45を介した吸入室37への放圧に基づいて減圧してゆく。この減圧により、吸入通路開放バネ29が図4の縮小状態から伸長する。そして、遮断体28が、位置決め面33から離間し、斜板22の傾角が図4の最小傾角状態から増大する。
【0058】
この遮断体28の離間に伴い、吸入通路32における通過断面積が緩慢に増大してゆき、吸入通路32から吸入室37への冷媒ガス流入量は徐々に増えていく。従って、吸入室37からシリンダボア11a内へ吸入される冷媒ガス量も徐々に増大してゆき、吐出容量が徐々に増大してゆく。そのため、吐出圧力Pdが徐々に増大してゆき、圧縮機における負荷トルクが短時間で大きく変動することはない。その結果、最小吐出容量から最大吐出容量に到る間のクラッチレス可変容量圧縮機における負荷トルクの変動が緩慢になり、負荷トルクの変動による衝撃が緩和される。
【0059】
外部駆動源をなす車両エンジンが停止すれば、圧縮機の運転も停止、つまり斜板22の回転も停止し、容量制御弁49のコイル82への通電も停止される。このため、ソレノイド部62が消磁されて、給気通路48が開放され、斜板22の傾角は最小となる。圧縮機の運転停止状態が続けば、圧縮機内の圧力が均一化するが、斜板22の傾角は傾角減少バネ26の付勢力によって小さい傾角に保持される。従って、車両エンジンの起動によって圧縮機の運転が開始されると、斜板22は、負荷トルクの最も少ない最小傾角状態から回転開始し、圧縮機の起動時のショックもほとんどない。
【0060】
以上のように構成された第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
この第1の実施形態の可変容量圧縮機用制御弁では、ベローズ70の初期設定位置が、筒体85とキャップ部材84との嵌合長さを調整し、そのキャップ部材84を筒体85に対して固定することで決定されるようになっている。このため、ベローズ70の初期設定位置を決定するために、ネジ部等の調整手段を形成する必要がない。従って、筒体85及びキャップ部材84の形状を簡素化できて、筒体85及びキャップ部材84の加工及び組み付けを容易に行うことができる。つまり、各部品の加工コスト及び容量制御弁49の組付コストを低減することができて、容量制御弁49全体の製作コストを削減することができる。
【0061】
しかも、所定長さのネジ部とともに、そのネジ部材を締め込むためのジグの取付部を設ける必要もない。従って、ベローズ70の初期設定位置を決定するための調整手段が大型化することがなく、ひいては容量制御弁49全体の小型化を図ることができる。
【0062】
さらに、この第1の実施形態の可変容量圧縮機用制御弁においては、キャップ部材84が筒体85に対して、かしめにより固定されている。このため、キャップ部材84を筒体85に対して、簡単な構成で確実に固定することができて、ベローズ70の初期設定位置の決定を容易かつ確実に行うことができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、この発明を前記第1の実施形態とは異なるタイプの可変容量圧縮機用の制御弁に具体化した第2の実施形態について、図5及び図6に基づいて説明する。なお、前記第1の実施形態と重複する部分については、前記第1の実施形態と同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0064】
図5に示すように、この第2の実施形態の制御弁としての容量制御弁91は、ソレノイド部62が省略され、外部からの信号により弁体64が弁孔66を強制的に開閉する機構が採用されていない。また、感圧部材がベローズ70に代わってダイヤフラム92及び押さえバネ93となっている。
【0065】
また、この容量制御弁91は、図6に示すように、内部に吸入通路32を開閉する機構を有しない可変容量圧縮機に採用されている。この可変容量圧縮機は、駆動シャフト16が図示しないクラッチを介して車両エンジン等の外部駆動源に接続されている。駆動シャフト16は、一対のラジアルベアリング30を介してフロントハウジング12及びシリンダブロック11に支持されている。また、駆動シャフト16の後端は、スラストベアリング94及びシャフト支持バネ94aを介してバルブプレート14で支持されている。さらに、駆動シャフト16上には、斜板22の最小傾角を規定するためのサークリップ16aが配設されている。しかも、軸心通路46は、シリンダブロック11の後端側中央の収容孔27の内部、シリンダブロック11の後端面に刻接された放圧溝95、及び、バルブプレート14に形成された連通孔96を介して、吸入室37に接続されている。なお、前記連通孔96は、所定の絞り量を有している。
【0066】
次に、この第2の実施形態の容量制御弁91について説明する。
図5及び図6に示すように、容量制御弁91は、バルブハウジング97の内部に、弁体64と、その弁体64の弁孔66に対する開度を調整するための感圧部材としてのダイヤフラム92及び押さえバネ93とを備えている。弁体64は、強制閉止バネ98により、常には弁孔66を閉止する方向に付勢されている。また、弁体64は、感圧ロッド72を介してダイヤフラム92と作動連結されている。
【0067】
バルブハウジング97内には、前記ダイヤフラム92を介して感圧室68とバネ室99とが区画されている。感圧室68は、検圧ポート69及び検圧通路50を介して吸入室37に連通されている。
【0068】
さて、この容量制御弁91のバルブハウジング97は本体100とキャップ部材101とで構成され、本体100の大径端をなす筒体102の外周面にキャップ部材101が嵌合されている。そして、これら筒体102、キャップ部材101及びダイヤフラム92により、バネ室99が形成される。このバネ室98内のキャップ部材101とダイヤフラム92上のバネ受け92aとの間には、前記押さえバネ93が介装されている。この押さえバネ93の付勢力により、ダイヤフラム92が所定の初期設定位置に配置されるようになっている。
【0069】
ここで、前記キャップ部材101は、筒体102との嵌合長さを調整することにより、押さえバネ93の初期たわみ長さを調整し、さらにダイヤフラム92の初期設定位置を決定する役割を担っている。この前記嵌合長さが調整された状態で、キャップ部材101が、筒体102に対してピン103により固定されている。
【0070】
つまり、これら感圧室68、バネ室99、ダイヤフラム92、押さえバネ93及び感圧ロッド72により、吸入圧力Psの変動を弁体64に伝達する感圧機構が構成されている。
【0071】
次に、この第2の実施形態の容量制御弁91の感圧機構の組付方法について説明する。
まず、キャップ部材101とダイヤフラム92のバネ受け92aとの間に押さえバネ93を介装させた状態で、キャップ部材101を本体100の筒体102の外周面に嵌合させる。そして、検圧ポート69を介して、感圧室68に所定の圧力を供給すると、感圧室68内のダイヤフラム92はその感圧室68の圧力に応じて変位される。この変位は、感圧ロッド72を介して弁体64に伝達される。つまり、この状態では、弁体64には、ダイヤフラム92からの付勢力及び強制閉止バネ98による付勢力が作用することになる。そして、これらの付勢力のバランスに応じて、弁体64による弁孔66の開度が調整される。
【0072】
ここで、キャップ部材101と筒体102との嵌合長さを調整すると、押さえバネ93の初期設定長さが変更され、その変更に応じてダイヤフラム92の位置が変更される。このダイヤフラム92の位置変更によって、ダイヤフラム92から弁体64への付勢力の作用開始点が変更される。つまり、キャップ部材101と筒体102との嵌合長さが短くなるほど、押さえバネ93の初期設定長さが大きく、ダイヤフラム92に対する押さえバネ93の初期付勢力が小さいものとなる。このため、感圧室28内の圧力に応じてダイヤフラム92が変位される際には、ダイヤフラム92自身の弾性が主な対抗力となる。従って、感圧室68内の圧力がより高い状態でダイヤフラム92の付勢力が弁体64に作用するようになる。
【0073】
一方、前記嵌合長さが長くなるほど、押さえバネ93の初期設定長さが小さく、ダイヤフラム92に対する押さえバネ93の初期付勢力が大きなものとなる。このため、感圧室28内の圧力に応じてダイヤフラム92が変位される際には、ダイヤフラム92自身の弾性の他に押さえバネ93の初期付勢力が大きな対抗力となる。従って、感圧室68内の圧力がより低い状態でダイヤフラム92の付勢力が弁体64に作用するようになる。
【0074】
そして、感圧室68内に所定の圧力を供給した状態で、ダイヤフラム92からの付勢力が感圧ロッド72を介して弁体68に伝達され始めるように前記嵌合長さを調整する。これにより、ダイヤフラム92を所定の初期設定位置に配置する。そして、この状態で、キャップ部材101と筒体102とにピン103を打ち込んで、キャップ部材101を筒体102に対して固定する。
【0075】
次に、この第2の実施形態の容量制御弁91を採用した可変容量圧縮機の容量制御動作について説明する。
容量制御弁91は、検圧通路50を介してダイヤフラム92に作用する吸入圧Psに応じて、弁体64による弁孔66の開度が調整される。この容量制御弁64の開度調整により、給気通路48を介して吐出室38からクランク15に供給される冷媒ガスの量が変更される。そして、ピストン35の前後に作用するクランク室15内の圧力Pcと、シリンダボア11a内の圧力との差が調整される。これにより、斜板22の傾角が変更されて、ピストン35のストロークが変えられ、吐出容量が調整されるようになっている。
【0076】
さて、車室内の温度が高く冷房負荷が大きい状態では、吸入室37内の吸入圧力Psが高く、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差はほとんどない。このため、斜板22は図6に実線で示す最大傾角状態に配置されて、ピストン35のストロークが増大され、圧縮機は最大吐出容量にて運転される。この際、前記容量制御弁91の感圧室68には、検圧通路50を介して高い吸入圧力Psが導かれる。この状態では、高い吸入圧力Psがダイヤフラム92に作用するので、ダイヤフラム92はバネ室99側に変位する。このため、弁体64は、強制閉止バネ98の付勢力により、弁孔66を閉鎖したままの状態となる。つまり、給気通路48が遮断された状態となって、吐出室38からクランク室15への高圧の圧縮冷媒ガスの供給は停止されている。
【0077】
車室内の温度が低下して冷房負荷が低下すると、吸入室37内の吸入圧力Psが低下する。この低い吸入圧力Psが検圧通路50を介して容量制御弁91の感圧室68に導かれると、ダイヤフラム92が吸入圧力Psの低下度合に応じて感圧室68側に変位される。この変位が感圧ロッド72を介して弁体64に伝達され、弁体64が弁孔66を開放する方向に移動される。そして、給気通路48の容量制御弁91の部分における開口面積が増大される。これにより、吐出室38から高圧の圧縮冷媒ガスが、給気通路48を通してクランク室15に供給される。なお、クランク室15に供給される冷媒ガスの流量は、弁孔66の開度に応じて変更される。この結果、クランク室15の圧力Pcが上昇して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力との各ピストン35を介した差が大きくなる。この差に応じて、斜板22が最小傾角側に移動され、ピストン35のストロークが減少されて、吐出容量が減少される。
【0078】
車室内の温度がさらに低下して、冷房負荷がほとんど存在しない状態に近づいていくと、吸入室37内の吸入圧力Psもさらに低下して、容量制御弁91の弁孔66が最大開度にて開放される。この状態では、吐出室38から高圧の冷媒ガスが、給気通路48を通してクランク室15に大量に供給される。このため、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力との各ピストン35を介した差がさらに大きくなって、斜板22は図6に鎖線で示す最小傾角状態に配置される。そして、ピストン35のストロークがさらに減少されて、圧縮機は最小吐出容量で運転される。
【0079】
一方、圧縮機がある吐出容量状態での運転が継続されて、車室内の温度が上昇し冷房負荷が増大すると、吸入室37内の吸入圧力Psが上昇する。この上昇した吸入圧力Psが検圧通路50を介して容量制御弁91の感圧室68に導かれると、ダイヤフラム92が吸入圧力Psの上昇度合に応じてバネ室99側に変位される。この変位が感圧ロッド72を介して弁体64に伝達されて、弁体64が弁孔66を閉止する方向に移動される。そして、給気通路48の容量制御弁91の部分における開口面積が減少される。これにより、吐出室38から給気通路48を通してクランク室15に供給される高圧の圧縮冷媒ガスの流量が低減される。この一方で、クランク室15内の冷媒ガスは、軸心通路46、収容孔27、放圧溝95及び連通孔96を介して、吸入室37に放出されている。この結果、クランク室15の圧力Pcが低下して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差が小さくなる。この差に応じて、斜板22が最大傾角側に移動され、ピストン35のストロークが増大されて、吐出容量が増大される。
【0080】
車室内の温度がさらに上昇し、冷房負荷がさらに増大すると、それに伴って吸入室38内の吸入圧力Psもさらに上昇して、弁体64が弁孔66を閉鎖した状態となる。この状態では、給気通路48が遮断されて、吐出室38からクランク室15への高圧の圧縮冷媒ガスの供給が停止される。そして、クランク室15内の冷媒ガスは、もっぱら軸心通路46、収容孔27の内部、放圧溝95及び連通孔96を介して吸入室37に放出されて、クランク室15内の圧力Pcが吸入室37内の吸入圧力Ps近づくように低下する。このため、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差が小さくなって、斜板22は最大傾角状態に配置される。そして、ピストン35のストロークが増大されて、圧縮機は最大吐出容量で運転される。
【0081】
すなわち、前記構成の可変容量圧縮機は、通常の状態において、冷房負荷、つまり吸入圧力Psの変動に応じた容量制御弁91の開度調整により、クランク室15内の圧力Pcを昇降させて吐出容量を変更し、最終的には吸入圧力Psをほぼ一定化する役割を担っている。
【0082】
以上のように構成された第2の実施形態によっても、前記第1の実施形態とほぼ同様の効果が得られるとともに、容量制御弁91の構成を簡素化することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
次に、この発明を前記各実施形態とは異なるタイプの可変容量圧縮機用の容量制御弁に具体化した第3の実施形態について、図7及び図8に基づいて説明する。なお、前記第各実施形態と重複する部分については、前記各実施形態と同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0084】
図7に示すように、この第3の実施形態の制御弁としての容量制御弁111は、前記第2の実施形態と同様、ソレノイド部62が省略され、外部からの信号により弁体64が弁孔66を強制的に開閉する機構が採用されていない。また、感圧ロッド72は、ベローズ70の接続部70aに一体移動可能に嵌合されている。そして、この容量制御弁111は、図8に示すように、内部に吸入通路32を開閉する機構を有しない可変容量圧縮機の制御圧室と吸入領域とを連通する通路としての抽気通路112の途中に配設されている。
【0085】
この抽気通路112は、軸心通路46、シリンダブロック11の後端側中央の収容孔27の内部、そして、バルブプレート14及びリヤハウジング13内に形成された連通路113よりなる抽気通路112が形成されている。その連通路113の途中に、前記容量制御弁111が配設されている。また、吐出室38とクランク室15とは、途中に絞り部114aを有する給気通路114により常時連通されている。
【0086】
図7及び図8に示すように、容量制御弁111のバルブハウジング115の内部には、弁体64を収容する弁室63と、感圧部材としてのベローズ70を収容する感圧室68とが区画形成されている。また、弁体64は、感圧ロッド72を介してベローズ70と作動連結されている。弁孔65は、ポート64及び下流側の連通路113を介して吸入室37に連通されている。一方、弁室63は、弁室ポート67、上流側の連通路113、収容孔27の内部及び軸心通路46を介して、クランク室15に連通されている。前記感圧室68は、検圧ポート69及び検圧通路50を介して吸入室37に連通されている。
【0087】
さて、この容量制御弁111は、前記第1の実施形態の容量制御弁49と同様に、前記バルブハウジング115が本体116とキャップ部材84とで構成されている。本体116の一側端には円筒状の筒体85が突設され、この筒体85の外周面にキャップ部材84が嵌合されている。ここで、キャップ部材84と筒体85との嵌合長さの調整により、ベローズ70の初期設定位置を決定した状態で、キャップ部材84が筒体85に対してかしめにより固定されている。そして、これら本体116とキャップ部材84とにより、前記感圧室68が区画形成されている。
【0088】
この第3の実施形態の容量制御弁111の感圧機構の組付方法は、まずベローズ70にキャップ部材84を被せるとともに、弁体64が弁孔66を閉止するように前記キャップ部材84を筒体85の外周面に嵌合させる。この状態で、検圧ポート69を介して感圧室68に所定の圧力を供給して、前記弁体64が弁孔66を開放し始めるように、キャップ部材84と筒体85との嵌合長さを調整する。これにより、ベローズ70を所定の初期設定位置に配置する。そして、この状態で、キャップ部材84と筒体85とをジグを用いて、ともに変形させてかしめ、キャップ部材84を筒体85に対して固定する。
【0089】
次に、この第3の実施形態の容量制御弁111を採用した可変容量圧縮機の容量制御動作について、説明する。
この可変容量圧縮機では、給気通路114を介して常時吐出室38からクランク室15に、所定量の高圧の圧縮冷媒ガスが供給され続けている。この一方で、容量制御弁111は、検圧通路50を介してベローズ70に作用する吸入圧力Psに応じて、弁体64による弁孔66の開度が調整される。この容量制御弁111の開度調整により、抽気通路112を介してクランク室15から吸入室37に抽出される冷媒ガスの量が変更される。つまり、クランク室15内の圧力Pcが変更されて、ピストン35の前後に作用するクランク室15内の圧力Pcと、シリンダボア11a内の圧力との差が調整される。これにより、斜板22の傾角が変更されて、ピストン35のストロークが変えられ、吐出容量が調整されるようになっている。
【0090】
さて、車室内の温度が高く冷房負荷が大きい状態では、吸入室37内の吸入圧力Psが高く、容量制御弁111の感圧室68には検圧通路50を介して高い吸入圧力Psが導かれる。この状態では、高い吸入圧力Psにより、ベローズ70は縮む方向に変位して、弁体64は弁孔66を開放したままの状態となる。つまり、抽気通路112が開放された状態となって、クランク室15内の冷媒ガスはもっぱら吸入室37に抽出されており、クランク室15内の圧力Pcの高騰が抑制されている。このため、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差はほとんど生じない。これにより、斜板22は図8に実線で示す最大傾角状態に配置されて、ピストン35のストロークが増大され、圧縮機は最大吐出容量にて運転される。
【0091】
車室内の温度が低下して冷房負荷が低下すると、吸入室37内の吸入圧力Psが低下する。この低い吸入圧力Psが検圧通路50を介して容量制御弁111の感圧室68に導かれると、ベローズ70が吸入圧力Psの低下度合に応じて伸びる方向に変位される。この変位が感圧ロッド72を介して弁体64に伝達され、弁体64が弁孔66を閉止する方向に移動される。そして、抽気通路112の容量制御弁111の部分における開口面積が減少される。これにより、クランク室15から吸入室37に抽出される冷媒ガス量が減少される。この一方で、給気通路114を介して、吐出室38からクランク室15に所定量の高圧の圧縮冷媒ガスが常時供給されている。この結果、クランク室15の圧力Pcが徐々に上昇して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差が大きくなる。この差に応じて、斜板22が最小傾角側に移動され、ピストン35のストロークが減少されて、吐出容量が減少される。
【0092】
車室内の温度がさらに低下して、冷房負荷がほとんど存在しない状態に近づいていくと、吸入室37内の吸入圧力Psもさらに低下して、ベローズ70がさらに伸ばされる。このベローズ70の変位が弁体64に伝達されて、弁体64により弁孔66が完全に閉止される。この状態では、クランク室15内の圧力Pcがさらに高められて、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差がさらに大きくなる。そして、斜板22は図8に鎖線で示す最小傾角状態に配置される。これにより、ピストン35のストロークがさらに減少されて、圧縮機は最小吐出容量で運転される。
【0093】
一方、圧縮機がある吐出容量状態での運転が継続されて、車室内の温度が上昇し冷房負荷が増大すると、吸入室37内の吸入圧力Psが上昇する。この上昇した吸入圧力Psが検圧通路50を介して容量制御弁111の感圧室68に導かれると、ベローズ70が吸入圧力Psの上昇度合に応じて縮む方向に変位される。この変位が感圧ロッド72を介して弁体64に伝達されて、弁体64が弁孔66を開放する方向に移動される。そして、抽気通路112の容量制御弁111の部分における開口面積が増大される。これにより、クランク室15から抽気通路112を通して吸入室37に抽出される冷媒ガスの量が増大される。この結果、クランク室15の圧力Pcが低下して、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差が小さくなる。この差に応じて、斜板22が最大傾角側に移動され、ピストン35のストロークが増大されて、吐出容量が増大される。
【0094】
車室内の温度がさらに上昇し、冷房負荷がさらに増大すると、それに伴って吸入室38内の吸入圧力Psもさらに上昇して、ベローズ70がさらに縮められる方向に変位され、弁体64が弁孔66の開度を大きくする方向に変位される。この状態では、抽気通路112が大きく開放されて、クランク室15内の冷媒ガスはもっぱら吸入室37に抽出される。このため、クランク室15内の圧力Pcが吸入室37内の吸入圧力Ps近づくように低下する。これにより、クランク室15の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差が小さくなって、斜板22は最大傾角状態に配置される。そして、ピストン35のストロークが増大されて、圧縮機は最大吐出容量で運転される。
【0095】
以上のように構成された第3の実施形態によっても、前記各実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
(変更例)
なお、実施の形態は、前記に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
【0096】
・ 前記第1の実施形態の容量制御弁49を、クラッチ付き可変容量圧縮機の制御弁に適用すること。
このように構成した場合、例えば空調装置作動スイッチ59がオフ状態のときのみクラッチを切り、空調装置作動スイッチ59がオン状態のときにはクラッチレス可変容量圧縮機と同様の動作を行うようにすれば、クラッチの断続回数を激減することができ、走行フィーリングを向上できる。
【0097】
・ 前記各実施形態の容量制御弁49、91、111において、感圧室68を検圧ポート69及び検圧通路50を介してクランク室15に連通させて、クランク室15の圧力Pcをほぼ一定に保持するように構成すること。
【0098】
・ 前記第1及び第2の実施形態の容量制御弁49、91において、給気通路48を介して、ポート74には吐出室38を、弁室ポート67には制御圧室を接続すること。
【0099】
・ 前記第2の実施形態の容量制御弁91において、ダイヤフラム92及び押さえバネ93に代えて、第1の実施形態に記載のようなベローズ70を採用すること。
【0100】
・ 前記第1及び第2の実施形態の容量制御弁49、91において、ポート74に上流側の給気通路48を介して吐出室38を接続して、弁孔66内に吐出圧力Pdを導入するとともに、弁室ポート67に下流側の給気通路48を介してクランク室15を接続して、弁室63内にクランク室圧力Pcを導入すること。
【0101】
・ 前記第3の実施形態の容量制御弁111において、ポート74に上流側の抽気通路112を介してクランク室15を接続するとともに、弁室ポート67に下流側の抽気通路112を介して吸入室37を接続すること。
【0102】
・ 前記各実施形態の容量制御弁49、91、111を、制御圧室をクランク室15とは独立して有し、その制御圧室の圧力を変更することにより斜板22を収容するクランク室15内の圧力Pcとシリンダボア11a内の圧力とのピストン35を介した差を変更し、その差に応じて斜板22の傾角を変更する可変容量圧縮機の制御弁に適用すること。この場合、給気通路48または抽気通路112は、その一端を制御圧室に開口させる。
【0103】
・ 前記各実施形態の容量制御弁49、91、111において、キャップ部材84、101の開口端をバルブハウジング61、97、115の本体83、100、116の筒体85、102の内周面側に挿入し、キャップ部材84、101と筒体85、102とを嵌合させること。
【0104】
これらのように構成しても、前記各実施形態とほぼ同様の効果が奏される。
・ 前記各実施形態の容量制御弁49、91、111において、キャップ部材84、101とバルブハウジング61、97、115の本体83、100、116の筒体85、102とを圧入嵌合させること。この場合、前記キャップ部材84、101と前記筒体85、102との内で、内周側となる部材の外径を、外周側となる部材の内径よりもわずかに大きくなるように形成する。そして、内周側となる部材の冷却または外周側となる部材の加熱の少なくとも一方を行って、両部材を嵌合させる。
【0105】
このように構成した場合、キャップ部材84、101と筒体85、102とをその嵌合部分において密着させることができ、キャップ部材84、101にがたつきが生じるおそれを抑制することができる。
【0106】
・ 前記第1及び第3の実施形態の容量制御弁49、111において、キャップ部材84をバルブハウジング61、115の本体83、116の筒体85に対して、その嵌合長さを調整した状態でかしめに代えてスポット溶接により固定すること。
【0107】
・ 前記第2の実施形態の容量制御弁91において、キャップ部材101をバルブハウジング97の本体100の筒体102に対して、その嵌合長さを調整した状態でピン70に代えてスポット溶接により固定すること。
【0108】
これらのように構成した場合、キャップ部材84、101と本体83、100、116とをほとんど変形させることなく固定することができる。従って、この変形に伴って、ベローズ70、押さえバネ93、及び、感圧ロッド72の移動に支障を来すおそれが生じるのを抑制することができる。
【0109】
なお、前記各実施形態及び前記各変更例からは、以下に記載の技術的思想をも抽出することができる。
(1) 前記キャップ部材を前記筒体に対して圧入嵌合した請求項1または請求項2に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
【0110】
このように構成した場合、キャップ部材と筒体とをその嵌合部分において密着させることができ、キャップ部材にがたつきが生じるおそれを抑制することができる。
【0111】
(2) 前記キャップ部材を前記筒体に対してかしめにより固定した請求項1、請求項2または前記(1)のいずれか一項に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
(3) 前記キャップ部材と、前記筒体とをピンを用いて固定した請求項1、請求項2または前記(1)のいずれか一項に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
【0112】
これらのように構成した場合、キャップ部材と筒体との固定構成を簡素化できて、制御弁の製作コストを低減することができる。
(4) 前記キャップ部材を前記筒体に対してスポット溶接により固定した請求項1、請求項2または前記(1)のいずれか一項に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
【0113】
このように構成した場合、キャップ部材と筒体とをほとんど変形させることなく固定することができる。従って、ベローズ等の感圧部材及びその感圧部材の変位を弁体に伝達する感圧ロッドの移動に支障を来すおそれが生じるのを抑制できる。
【0114】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば以下の優れた効果を奏する。
すなわち、筒体及びキャップ部材の形状を簡素化できるとともに、感圧部材の初期設定位置の決定を容易に行うことができる。従って、一対のネジ部材により感圧部材の初期設定位置を決定するような従来構成に比べて、感圧機構の全長が大型化することがなく、制御弁全体の大型化を招くことがない。また、簡単な構成で感圧部材の初期設定位置を決定することができて、制御弁の製作コストの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の可変容量圧縮機用制御弁を示す断面図。
【図2】 図1の制御弁をクラッチレス可変容量圧縮機に装着した状態を示す断面図。
【図3】 図2の斜板が最大傾角位置にある状態を示す要部拡大断面図。
【図4】 図2の斜板が最小傾角位置にある状態を示す要部拡大断面図。
【図5】 第2の実施形態の可変容量圧縮機用制御弁を示す断面図。
【図6】 図5の制御弁を可変容量圧縮機に装着した状態を示す断面図。
【図7】 第3の実施形態の可変容量圧縮機用制御弁を示す断面図。
【図8】 図7の制御弁を可変容量圧縮機に装着した状態を示す断面図。
【符号の説明】
15…制御圧室を兼ねるクランク室、32…吸入圧領域を構成する吸入通路、37…吸入領域を構成する吸入室、38…吐出領域を構成する吐出室、48…吐出領域と制御圧室とを連通する通路としての給気通路、49、91、111…制御弁としての容量制御弁、50…検圧通路、62…ソレノイド部、63…弁室、64…弁体、66…弁孔、68…感圧機構の一部を構成する感圧室、70…感圧機構の一部を構成するとともに感圧部材としてのベローズ、71…感圧機構の一部を構成する感圧ロッドガイド、72…感圧機構の一部を構成する感圧ロッド、81…ソレノイドロッド、82…コイル、84、101…キャップ部材、85…筒体、92…感圧機構の一部を構成するとともに感圧部材としてのダイヤフラム、93…感圧機構の一部を構成するとともに感圧部材としての押さえバネ、99…感圧機構の一部を構成するバネ室、112…吸入領域と制御圧室とを連通する通路としての抽気通路。
Claims (7)
- 吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁において、
弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、
その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、
前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、
その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結されるベローズとを備え、
筒体と、前記検圧通路に接続される検圧ポートが形成された1つの部材からなるキャップ部材とにより、前記感圧機構の周壁の一部を構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合するとともに所定位置に固定して、前記ベローズの初期設定位置を決定するようにした可変容量圧縮機用制御弁。 - 吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁において、
弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、
その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、
前記弁体にソレノイドロッドを介して連結されるソレノイド部と、
前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、
その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結されるベローズとを備え、
筒体と、前記検圧通路に接続される検圧ポートが形成された1つの部材からなるキャップ部材とにより、前記感圧機構の周壁の一部を構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合するとともに所定位置に固定して、前記ベローズの初期設定位置を決定するようにした可変容量圧縮機用制御弁。 - 互いに嵌合する前記筒体の外周面及び前記キャップ部材の内周面は、それぞれその一部が嵌合面をなす請求項1または請求項2に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の可変容量圧縮機用制御弁における前記感圧機構を圧縮機内部に配設した可変容量圧縮機。
- 前記感圧機構は、前記検圧通路を介して前記吸入領域に接続されるとともに、前記周壁の一部を構成する前記キャップ部材が前記吸入領域に臨んで配設されている請求項4に記載の可変容量圧縮機。
- 吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁であって、
弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結される感圧部材とを備えた可変容量圧縮機用制御弁の組付方法において、
前記感圧機構の周壁の一部を筒体及びキャップ部材で構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合して、前記感圧機構内の感圧室に所定の圧力を付加した状態で、前記感圧部材が所定の初期設定位置に配置されるように、前記筒体とキャップ部材との嵌合長さを調節した後、前記キャップ部材を筒体に対して固定する可変容量圧縮機用制御弁の組付方法。 - 吸入領域または吐出領域と制御圧室とを連通する通路を開閉して、吐出容量を変更するようにした可変容量圧縮機の制御弁であって、
弁孔を介して前記通路に接続される弁室と、その弁室内に収容され、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁体にソレノイドロッドを介して連結されるソレノイド部と、前記吸入領域または制御圧室に検圧通路を介して接続される感圧機構と、その感圧機構内に収容され、前記吸入領域または制御圧室の圧力に応じて変位するように構成され、前記弁体に感圧ロッドを介して連結される感圧部材とを備えた可変容量圧縮機用制御弁の組付方法におい て、
前記感圧機構の周壁の一部を筒体及びキャップ部材で構成し、その筒体にキャップ部材を嵌合して、前記ソレノイド部のコイルに所定の電流を供給しつつ、前記感圧機構内の感圧室に所定の圧力を付加した状態で、前記感圧部材が所定の初期設定位置に配置されるように、前記筒体とキャップ部材との嵌合長さを調節した後、前記キャップ部材を筒体に対して固定する可変容量圧縮機用制御弁の組付方法。
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