JP5117644B2 - インフルエンザウィルス感染に対する予防剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インフルエンザの予防及びインフルエンザウィルスの不活性化を行うことができるバラ科植物の抽出物を有効成分とする抗インフルエンザウィルス剤、この抗インフルエンザウィルス剤を用いた飲食品、医療衛生用品及び寝装用品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インフルエンザはインフルエンザウィルスによって起る呼吸器感染症であり、病原ウィルスは呼吸器より侵入し、上気道で感染した後、逐次下気道に向かって進展する。ウィルス増殖は急速で、発症までの潜伏期は1〜3日ときわめて短く、潜伏期の後多くは突然、発熱をもって発病する。発病と同時に頭痛、腰痛、関節痛、筋肉痛や倦怠感といった全身症状がみられる。同時又はやや遅れて鼻水、のどの痛み、咳などの症状があらわれ、解熱と共にこれらの症状も軽快していくものである。
【0003】
このようにインフルエンザは、通常1週間程度で治癒する予後の良好な病気であるが、しばしば合併症、特に肺炎を起し重症化する場合もある。また、高熱を伴うため、高齢の老人や心臓等に疾患を持っている人にはインフルエンザは危険な病気の一つであり、予防に努めることが必要とされる。
【0004】
この場合、インフルエンザは、A型、B型又はC型として分類される数種類のミクソウィルスによって引き起こされる。これらインフルエンザウィルスは一般に同様な徴候をもたらすが、抗原的には完全に無関係であって、1種類による感染は他の種類に対し免疫性を付与しないものである。そして、インフルエンザは世界中で波状的流行病として生ずる傾向を有し、インフルエンザAは2〜3年のサイクルで発生する傾向があり、一方、インフルエンザBは4〜5年のサイクルで発生する傾向がある。このようにインフルエンザは近代的医薬により殆ど抑制されない一般的な感染病の一つである。
【0005】
このようなインフルエンザウィルスから身を守る手段としては、うがいをしたり、手の洗浄に気をつけたり、更にマスクなどをすることにより、インフルエンザウィルスの体内への侵入を防ぐといった方法が主に取られてきた。
【0006】
また、体内に侵入したインフルエンザウィルスの撃退法としては、ワクチンがあるが、標準的なインフルエンザワクチンは、新たなウィルスの変種に対処すべく毎年再設計しなければならず、付与される免疫性は短寿命であり、インフルエンザに対する安全かつ治療的な処置は未だ存在しないのが現状である。
【0007】
かかる現状に鑑み、特開平11−130692号公報には、カバノアナタケの抽出物がエイズ、インフルエンザ等に対して抗ウィルス活性を有すること、この抽出物を添加した健康飲食製品などが提案されている。
【0008】
また、特開平10−72358号公報には、バラ科バラ属の植物抽出物がIgEのIgEレセプターへの結合を阻害することによりアレルギー症状を包括的に改善できると共に、この抽出物が抗菌作用を有することについても記載されている。
【0009】
しかしながら、安全性、環境性及び生産性に優れ、かつ安価でありながら、高い抗インフルエンザウィルス活性を有し、インフルエンザの予防及びインフルエンザウィルスの不活性化に有効である抗インフルエンザウィルス剤に対する需要者の要望は極めて強く、十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、使用効果において優れることはもちろん、添加対象物の風味や使用感に対する悪影響が少なく、安全性や環境面でも問題のない優れた新規な抗インフルエンザウィルス剤、及びこの抗インフルエンザウィルス剤を用いた飲食品、医療衛生用品及び寝装用品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、バラ科植物の抽出物が高い抗インフルエンザウィルス活性を備えていることを知見した。
【0012】
この場合、バラ科植物は、古来から食品、香水、雑貨等に幅広く利用されている高級感を有し、親しみのある植物の一つである。特に西洋においては、摘みたてのバラの花弁とバラ水は料理の香り付け、料理の飾り用に砂糖漬けにして用いられている。バラ水は、疲れた目と肌を回復させる効果があることが知られている。乾燥させたバラの花弁は、香りが長持ちし、ポプリの原料となる。バラの実は、ジャム、シロップ、お茶、ワインなどに用いられている。バラ油は、ほとんどの上質の香水に使用されている。このように西洋では、バラ科植物は古来から様々な用途に余すところなく利用されているが、日本では、バラは鑑賞用として利用されることがほとんどであり、他の用途での利用は極めて少なく、有効利用が図られていなかった。
【0013】
そこで、本発明者が、更に鋭意検討を進めた結果、バラ科植物の抽出物、特に現在2万品種を超えるという数多くのバラ科植物の中からドッグローズ、アポテカリーズローズ、スイートプライヤー、ダマスクバラ、セイヨウバラ、マイカイカ及びハマナシから選ばれる少なくとも1種のバラ科植物の花蕾又は花弁を水、親水性有機溶媒又はこれらの混合液により抽出処理して得られた抽出物が、インフルエンザウィルス感染に対する優れた予防効果と、体内に侵入したウィルスの増殖を抑制することができる高いインフルエンザウィルスの不活性化効果を有していることを見出した。そして、これらの抽出物を用いることにより、飲食品、医療衛生用品及び寝装用品などに抗インフルエンザウィルス作用を付与し得ると共に、バラ科植物は、安全性、環境性及び信頼性が高く、しかも自然界に大量に存在しているため、豊富かつ安定供給可能であり安価に製造でき、バラ科植物の有効利用を促進できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0014】
即ち、本発明は、下記発明を提供する。
請求項1:
アポテカリーズローズの花弁又は花蕾を、50質量%エタノール(エタノールと水との混合溶媒)で抽出した抽出液の乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、インフルエンザウィルス感染に対する予防剤。
【0015】
なお、特開平10−72358号公報には、バラ科バラ属の植物抽出物が抗アレルギー作用と共に、抗菌作用を有することについても記載されているが、抗インフルエンザウィルス作用を有することについては開示も示唆もなく、その実施例においてもアトピー性皮膚炎と関連のある細菌〔コリネバクテリウム(Corynebacterium)属の菌、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、及びスタフィロコッカス アエルギノーザ(Staphylococcus aeruginosa)〕についての抗菌性が確認されているだけである。
【0016】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、バラ科植物の抽出物を有効成分とするものである。
【0017】
ここで、バラ科植物の抽出物の原料としては、バラ科植物(Rosa spp.)の花弁又は花蕾が用いられるが、特にドッグローズ(Rosa canina)、アポテカリーズローズ(Rosa gallica)、スイートプライヤー(Rosa rubiginosa)、ダマスクバラ(Rosa damascena)、セイヨウバラ(Rosa centifolia)、マイカイカ(Rosa roxburghii)及びハマナシ(Rosa rugosa)から選ばれる少なくとも1種のバラ科植物の花蕾又は花弁を抽出原料として用いることが好ましい。
【0018】
本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、上記抽出原料を用いて、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法により得ることができる。
【0019】
例えば、バラ科植物の花弁又は花蕾を生のまま又は乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して10〜90質量部添加することが好ましい。
【0020】
本発明において、抗インフルエンザウィルス剤成分を抽出するにあたり特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。
【0021】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽にバラ科植物の花蕾(又は花弁)を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を溜去し、乾燥することにより赤褐色のバラ抽出物が得られる。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜90℃で30分〜2時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜2時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明の抗インフルエンザウィルス剤の有効成分として用いることができる。
【0022】
このようにして得られるバラ科植物の抽出物は、原料に由来する好ましい風味を有しており、そのまま抗インフルエンザウィルス剤として利用可能であるが、必要に応じて、抗インフルエンザウィルス活性の向上、脱色、脱臭等を目的とする精製を施したり、用途に応じて、アルコールその他の有機溶剤の溶液又は水溶液の形で抗インフルエンザウィルス剤として利用することができる。なお、精製手段としては、特に制限されず、活性炭処理、樹脂吸着処理、イオン交換樹脂処理、液−液向流分配等の方法が挙げられる。
【0023】
本発明のバラ科植物の抽出物を抗インフルエンザウィルス剤として製剤化するに当っては、これ以外にも他の物質、例えば緑茶、ウーロン茶、タマリンドハスク、ウラジロガシ、イチョウ、シソ、コショウ、ショウキョウ、チョウジ、キョウニン、メース、セージ、カキ葉、ソウハクヒ、トウガラシ、ロジン、エラグ酸、クロロフィリン誘導体、メントール、ペパーミント、柿渋、塩酸クロルヘキシジン、アクチゾル、メイラード反応物、サイクロデキストリン等を併用することもできる。
【0024】
本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、一般的な飲食品に配合して用いることが好ましい。このような飲食品としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;種々の形態の健康・栄養補助食品;その他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げられ、これらを製造するに当り通常用いられる補助的な原料や添加物と共に添加することができる。
【0025】
このような原料及び添加物としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
【0026】
更に、本発明抗インフルエンザウィルス剤は、上記飲食品以外にも経口摂取する、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品等、口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などに用いることができる。
【0027】
本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、上記飲食品、各種歯磨類、マウスウォッシュ、トローチ、口中清涼剤、口臭防止のための各種エチケット商品等に製造工程の任意の段階で配合するか、又は製造後付着することによりインフルエンザの予防及びインフルエンザウィルスの不活性化に役立たせることができる。これらの用途における本発明の抗インフルエンザウィルス剤の配合量は0.01〜5質量%程度である。
【0028】
また、本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、包帯、マスク、ガーゼ、タオル、ハンカチ、おしぼり、ティッシュ、ウエットティッシュ、オムツ、手袋、下着、白衣、手術着等の医療衛生用品、又はパジャマ、ネグリジェ、スエットスーツ、シーツ、ベッドカバー、ベッドパッド、ベッド、布団、毛布、タオルケット、ソファー、枕、枕カバー等の寝装用品などに付着させることにより、これら医療衛生用品又は寝装用品に抗インフルエンザウィルス作用を備えさせることができ、インフルエンザの予防及びインフルエンザウィルスの不活性化に寄与し得るものである。
【0029】
この場合、抗インフルエンザウィルス剤の付着方法としては、特に制限されず、抗インフルエンザウィルス剤を配合したスプレーを医療衛生用品又は寝装用品に噴霧含浸する方法、抗インフルエンザウィルス剤を天然又は合成バインダーと混合し、この混合液に医療衛生用品又は寝装用品を浸漬して固着する方法などが挙げられる。抗インフルエンザウィルス剤の付着量は、用途に応じて異なり一概には規定できないが、通常0.001〜5質量%程度であり、洗濯及び経時により効果が低下すれば、再度、付着処理することにより、効果を維持することができるものである。
【0030】
なお、本発明抗インフルエンザウィルス剤の用途は、上記の例に限られず、他にも種々の用途に用いることができる。例えば以下のような利用が可能である。
(1)居室、トイレット等の空間に噴霧するスプレーへの配合。
(2)家畜や愛玩動物の飼料又は餌に配合して家畜や愛玩動物がインフルエンザに感染するのを予防する。
【0031】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0032】
〔製造例1〕
バラの花蕾(Rosa gallica)300gに50質量%エタノールを2000mL加え、還流冷却器を付けて、80℃にて1時間抽出した後、濾紙で濾過して抽出液1を得た。また、抽出残渣に50質量%エタノール1500mLを加え、同様に還流冷却器を付けて、80℃にて1時間抽出した後、濾紙で濾過して抽出液2を得た。得られた抽出液1,2を合せて減圧下で濃縮、乾燥させて、製造例1のバラ粉末抽出物100gを得た(収率33.3%)。
【0033】
〔製造例2〕
バラの花弁(Rosa centifolia)300gに水2000mLを加え、90℃にて1時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥させて、製造例2のバラ粉末抽出物100gを得た(収率33.3%)。
【0034】
〔実施例1、比較例1〕
製造例1,2で得られたバラ抽出物を用いて、下記方法に従って抗インフルエンザウィルス作用を調べた。
【0035】
(i)製造例1,2のバラ抽出物を0.03質量%、0.05質量%、0.10質量%、0.20質量%の濃度になるよう、イーグルMEM培地で希釈した。なお、比較例1としてバラ抽出物を無添加のものを用いた。
(ii)H−1type(北京株)のインフルエンザウィルスの感染価約200FFU/25μlのウイルス液と(i)の各希釈液とを等量混合した。
(iii)37℃の恒温水槽内に90分置いて反応させた。
(iv)予めマイクロプレートに準備しておいたマジン・ダルビー・イヌ腎臓(MDCK)細胞に、各々の反応液の25μlづつ接種した。
(v)60分、炭酸ガスフラン器内で吸着させた後、細胞を2回洗浄して、MDCK細胞用の培地を加えた。
(vi)炭酸ガスフラン器内で、約30時間培養した後、エタノール固定して、PAP染色を行い、フォーカス数を算定した。
【0036】
各々のバラ抽出物希釈液のウィルス感染価(FFU/25μl)を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0005117644
【0038】
表1の結果から、0.2質量%に希釈したバラ抽出物をインフルエンザウィルスに作用させるとウィルス感染価は無添加のものに比べて1/10以下にまで低下した。また、0.1質量%に希釈したバラ抽出物ではウィルス感染価は無添加のものに比べて1/3以下に低下した。このことから、製造例1,2のバラ抽出物はいずれも有意な抗インフルエンザウィルス作用を有し、インフルエンザウィルスの増殖を抑制できることが確認できた。
【0039】
〔実施例2、比較例2〕
製造例1のバラ抽出物を用いて、インフルエンザウィルス感染に対する予防効果に関する試験を下記方法で行った。
【0040】
まず、生後約4週齢のBALB/cCrSlcの雌マウスをA,B,Cの3群(各群7匹づつ)に分けた。2群(A群、B群)のマウスにはインフルエンザウィルス接種の10日前から、製造例1のバラ抽出物0.2質量%水溶液を給水瓶で経口的に投与した。C群のマウスは比較例2(対照)とし、普通水を与えた。ウィルス接種はインフルエンザウィルスA/FM/1/47(H1N1)株の約104FFU/25μlのウィルス液を経鼻的にマウス1匹につき25μlづつ接種して行った。
【0041】
次に、A群のマウスは、ウィルス接種後も17日目までバラ抽出物水溶液を与えた。一方、B群のマウスは、ウィルス接種後は普通(水道)水に換えて与えた。C群のマウスは普通水を与え続けた。バラ抽出物水溶液と普通水は2〜3日毎に交換し、その摂取水量を測定した。結果を表2に示す。
【0042】
また、各群のマウスについて、ウィルス接種日(0日)、4日、6日、8日、11日、14日、17日の体重測定を行った。結果を表3に示す。
【0043】
また、各群において死亡したマウス(A群3匹/7匹、B群3匹/7匹、C群3匹/7匹)の死亡原因を確認するため、肺を摘出して肺組織を乳鉢ですり潰し、2ml/のHanks液で乳剤とした。この乳剤をフィルター濾過し、除菌後、適当な濃度に希釈して、予め準備しておいたMDCK細胞に接種した。数日間培養後に培養液を赤血球凝集抑制(HI)試験法によりインフルエンザウィルスを同定した結果、接種したインフルエンザウィルスと同一株であることが確認できた。
【0044】
【表2】
Figure 0005117644
【0045】
【表3】
Figure 0005117644
【0046】
表2の摂取水量の結果から、インフルエンザウイルス接種後6日目までは、各群のマウスとも1匹当たりの推定摂取水量には殆ど差は見られなかったが、8日目以降、バラ抽出物を投与しなかったC群のマウスの摂取水量は減少している。また、体重が回復しはじめた14日目でもC群のマウスはA,B群(投与群)のマウスより摂取水量がやや少ないことが認められた。
【0047】
また、表3のマウスの平均体重の結果から、バラ抽出物を投与しなかったC群のマウスでは、ウィルス感染後6日目からの体重低下がA,B群(投与群)のマウスに比べて大きく、また元の体重に復帰するのは、A群のマウスでは7日目であるが、C群のマウスでは17日目でも元の体重に復帰しなかった。
【0048】
従って、以上の結果から、インフルエンザウィルス接種後6日目以降の病的状態からのそれぞれの回復能が明らかにバラ抽出物を与えたマウスの方が優れていること、即ちバラ抽出物にはインフルエンザウィルスに対する有意な治療効果が認められた。
【0049】
以下、製造例1,2のバラ抽出物を配合した他の処方例を実施例として以下に示した。
【0050】
〔実施例3〕 スプレー
下記配合の抗インフルエンザウィルス用スプレーを作成した。
製造例1のバラ抽出物 0.2質量部
クエン酸 1.0質量部
クエン酸三ナトリウム 0.8質量部
エタノール 20.0質量部
水 78.0質量部
【0051】
参考例1タブレット
下記の混合物を常法により打錠して、タブレット状のインフルエンザ予防食品を製造した。
製造例2のバラ抽出物 1.0質量部
サイクロデキストリン 2.0質量部
クエン酸 0.1質量部
ブドウ糖 30.0質量部
粉糖(ショ糖) 55.9質量部
グリセリン脂肪酸エステル 6.0質量部
ビタミンC 5.0質量部
【0052】
〔実施例キャンディー
下記の原料を常法により混合し、更に煮詰めることにより、インフルエンザ予防キャンディーを製造した。
製造例1のバラ抽出物 0.05質量部
緑茶抽出物 0.05質量部
カリンエキス 0.05質量部
テンチャエキス 0.05質量部
クエン酸 0.50質量部
水飴 35.0 質量部
グラニュー糖 75.0 質量部
赤キャベツ色素 0.10質量部
イチゴフレーバー 0.02質量部
【0053】
参考例2チューイングガム
下記の原料を常法により処理して、インフルエンザ予防チューイングガムを製造した。
チューインガムベース 20.0質量部
粉末マルチトール 65.0質量部
ソルビット液 15.0質量部
軟化剤 4.0質量部
製造例2のバラ抽出物 1.0質量部
ウーロン茶抽出物 0.2質量部
【0054】
〔実施例練歯磨
下記の原料を用い、常法に従ってインフルエンザ予防練歯磨を製造した。
製造例1のバラ抽出物 2.0質量部
アロエエキス 0.5質量部
グリチルリチン酸二カリウム 0.1質量部
第二リン酸カルシウム 43.0質量部
CMC−Na 1.0質量部
グリセリン 20.0質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0質量部
ショ糖脂肪酸エステル 2.0質量部
L−メントール 1.0質量部
パラオキシ安息香酸ブチル 0.005質量部
水 30.0質量部
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、古来から飲食品、香水、雑貨などに利用されてきたバラ科植物の花弁又は花蕾を原料として容易に製造することが可能な、安全性と、使用し易く、安価な抗インフルエンザウィルス剤が得られる。
【0056】
そして、本発明の抗インフルエンザウィルス剤は、優れたインフルエンザに対する予防効果とインフルエンザウィルスの不活性化効果を備えていると共に、経口摂取しても何ら安全性に心配がなく、環境性に優れた天然の抗インフルエンザウィルス剤としてのみならず、飲食品、医療衛生用品及び寝装用品等に幅広く用いることができるものである。

Claims (1)

  1. アポテカリーズローズの花弁又は花蕾を、50質量%エタノール(エタノールと水との混合溶媒)で抽出した抽出液の乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、インフルエンザウィルス感染に対する予防剤。
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