JPH06183985A - 吸収性骨疾患の予防・治療剤 - Google Patents

吸収性骨疾患の予防・治療剤

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JPH06183985A
JPH06183985A JP4353908A JP35390892A JPH06183985A JP H06183985 A JPH06183985 A JP H06183985A JP 4353908 A JP4353908 A JP 4353908A JP 35390892 A JP35390892 A JP 35390892A JP H06183985 A JPH06183985 A JP H06183985A
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plant
bone
preventive
therapeutic agent
extract
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JP4353908A
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Yoshinobu Kiso
良信 木曽
Toru Kodama
亨 児玉
Katsuro Miyagawa
克郎 宮川
Koichi Nakahara
光一 中原
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Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 バラ科、ツバキ科またはクワ科植物より選ば
れた、少なくとも1種類の植物より得られる富ポリフェ
ノール抽出物(植物ポリフェノール画分)を有効成分と
する吸収性骨疾患の予防及び治療剤ならびに植物ポリフ
ェノール画分を含有する飲食物。 【効果】 本発明の有効成分である植物ポリフェノール
画分は、骨吸収作用を抑制することが確認され、しか
も、この植物ポリフェノール画分の原料となる植物は、
古くから食用、飲用または薬用に広く用いられているも
のであり、安全性おいて特に問題になる点はないもので
ある。従って、本発明の骨吸収性骨疾患の予防・治療剤
は、悪性高カルシウム血症、骨ぺージェット病、骨粗鬆
症等の骨吸収性骨疾患の予防または治療に有用なもので
ある。また、本発明の植物ポリフェノール画分を飲食物
に添加して日常的に摂取することにより、吸収性骨疾患
予防のための保健用食品等としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸収性骨疾患の予防・
治療剤に関し、更に詳細には、植物の富ポリフェノール
抽出物を有効成分として含有する、悪性高カルシウム血
症、骨ぺージェット病または骨粗鬆症等の吸収性骨疾患
の予防・治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢者人口の急激な増加と共に所
謂老人病が増加している。中でも、骨粗鬆症をはじめと
する骨疾患は骨折を多発し、寝たきり老人に繋がる疾病
として、その予防と治療法の開発が望まれている。
【0003】骨は一旦形成された後は全く変化しない構
築物ではなく、骨形成と骨吸収のバランスの上にその構
造および量は維持されている。従って、加齢あるいはそ
の他の原因によりそのバランスが崩れると、種々の骨疾
患を発症する。
【0004】骨疾患のうち、骨吸収の異常亢進によって
起きるものとしては、骨髄腫やリンパ腫などが原因で起
こる悪性高カルシウム血症、局所性骨吸収によりもたら
される骨ぺージェット病、原因は不明であるが加齢によ
り骨量が減少する骨粗鬆症等が挙げられる。
【0005】骨は主に有機質であるコラーゲン線維と無
機質であるカルシウム塩からなり、この両者が結びつい
て、張力にも圧力にも強い強固な構築物として形成され
る。とりわけ、カルシウム塩は全骨重量の70%を占め
るが、骨粗鬆症のような骨吸収性の骨疾患においては、
その進行と共にカルシウム塩が骨から血液中に溶出して
ゆく高カルシウム血症を伴い、この結果、骨からカルシ
ウム塩が徐々に失われて行く。
【0006】このような疾患の予防、治療方法として
は、これまで、カルシウムを補うかあるいは維持する方
法が採用され、活性型ビタミンD3 製剤やカルシウム製
剤等が用いられてきた。 また、骨からの脱灰を抑制す
る目的で、エストロゲン製剤およびカルシトニン製剤の
ようなホルモン剤が用いられてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの薬剤
の効果は、疼痛の軽減、病状の進行の防止等にはある程
度の効果が認められるものの、その効果は満足のいくも
のではなく、より確実な効果を示す薬効成分の開発が求
められていた。また、当該成分は、医薬品成分として利
用できるのみならず、吸収性骨疾患の予防のために日常
的に飲食物の配合成分として飲食物とともに摂取しう
る、安全性が高いものであることが望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は先に、PT
Hrp(副甲状腺ホルモン関連蛋白質)またはその活性
フラグメントが誘発する培養新生仔マウス頭蓋冠からの
カルシウムおよび無機リン酸遊離が、骨粗鬆症のような
骨吸収性骨疾患のメカニズムと高い相関関係を有するこ
とを知った。 そして、この手法を用いて、吸収性骨疾
患に対する予防、治療効果を種々の植物抽出物について
探索していたところ、バラ科、ツバキ科またはクワ科植
物から得られる富ポリフェノール抽出物が、この評価系
で、カルシウムおよび無機リン酸の遊離抑制作用を示す
ことを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の第一の目的は、バラ
科、ツバキ科またはクワ科植物より選ばれた、少なくと
も1種類の植物より得られる富ポリフェノール抽出物を
有効成分とする吸収性骨疾患の予防・治療剤を提供する
ものである。
【0010】また、本発明の第二の目的は、上記の富ポ
リフェノール抽出物を含有する飲食物を提供するもので
ある。
【0011】本発明における、バラ科、ツバキ科または
クワ科植物より選ばれた、少なくとも1種類の植物より
得られる富ポリフェノール抽出物(以下、「植物ポリフ
ェノール画分」という)は、これら植物を水系溶媒、低
級アルコール、低級エステルに代表される有機溶媒、含
水有機溶媒等で抽出することにより得られる抽出画分
で、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロ
カテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、
エピガロカテキンガレート等のカテキン類およびそれら
の没食子酸エステルまたはそれらの配糖体などのポリフ
ェノール化合物を主成分とするものを指称する。
【0012】そして、当該画分はフォリン−デニス(Fo
lin-Denis)法(ジャーナル・オブ・サイエンティフィッ
ク・フード・アンド・アグリケミストリー,10巻,63−
68頁,1959年)でポリフェノールを定量した時
に、重量換算で10%以上のポリフェノール類を含むも
のである。
【0013】本発明の植物ポリフェノール画分を得るた
めに利用される原料植物は、前記のように、バラ科、ツ
バキ科またはクワ科植物であるが、これらは古くから食
用、飲用または薬用に広く用いられているものである。
例えば、バラ(Rosa sp.)は、広く鑑賞用に栽培されて
いるバラ科植物であるが、その香気成分が香料原料とし
て用いられ、その花弁がジャムに加工されることもあ
る。
【0014】また、バラ科植物であるキンミズヒキ(Ag
rimonia pilosa)は、その全草が漢方名仙鶴草として強
壮剤に、同じく甜茶(Rubus suavissimus) は、その葉
の熱水抽出物が中国茶として飲用に、更にワレモコウ
(Sanguisorba officinalis)は、その根部の乾燥物が
漢方名地楡として止血収斂剤や去痰剤に用いられている
ものである。
【0015】一方、ツバキ科植物であるチャ(Camellia
sinensis)は、広く飲用に用いられており、例えばプ
アール茶は、その葉を醗酵させて製造される中国茶の一
種である。 また、クワ科植物であるクワ(Morus albu
s)は、その根皮が桑白皮(局方)と称して消炎性利
尿、緩下剤として用いられているものである。
【0016】このように、本発明の植物ポリフェノール
画分を得るために好適に用いられる原料植物は、すでに
生薬や飲食物として知られているものであるが、これま
でその成分が吸収性骨疾患の予防もしくは治療に有効で
あるとの知見は全くなかった。
【0017】本発明の有効成分である植物ポリフェノー
ル画分は、上記植物体などの原料からポリフェノール類
を効果的に抽出し得る溶媒を用いて抽出するか、これら
を部分精製することにより得られる。
【0018】この抽出において使用される溶媒は、ポリ
フェノール類を効果的に抽出しうる溶媒であれば特に限
定されるものではないが、例えば、水や、アセトンもし
くはメタノール、エタノール、プロパノール等の低級ア
ルコールのように水と混和する有機溶媒、またはそれら
の混液、酢酸エチル等の低級エステル等を用いるのが好
ましい。
【0019】有効成分である植物ポリフェノールの抽出
にあたっては、原料をそのままこれらの溶媒で抽出する
こともできるが、好ましくは、抽出効率を高めるため
に、これらの原料を細かく裁断してから溶媒で抽出する
ことが望ましい。
【0020】好ましい抽出方法としては、細かく裁断し
た原料1gに対して5〜100ml程度、特に10〜2
0ml程度の溶媒を用いる方法が挙げられる。抽出溶媒
として有機溶媒を用いる場合は、1日から1カ月間、好
ましくは2〜5日間、2〜4回に分けて室温で行うこと
が望ましい。 また、抽出溶媒として水を用いる場合
は、抽出効率を高めるため、加温することが望ましい。
【0021】更に、抽出物中の有効成分の濃度を高める
ために、所望により、得られた抽出物を更に、濃縮、液
液分配、吸着クロマトグラフィー、順相もしくは逆相ク
ロマトグラフィー等の手段に付すことも可能である。
【0022】なお、本発明に用いる植物ポリフェノール
画分は、単一の植物から得られたものであっても良く、
また、種々の植物から得られた植物ポリフェノール画分
を混合して用いても良い。
【0023】本発明の吸収性骨疾患の予防・治療剤を製
造するには、上記の様にして得た植物ポリフェノール画
分を有効成分とし、常法にしたがって公知の医薬品用担
体と組合せて製剤化すれば良い。
【0024】本発明の吸収性骨疾患の予防・治療剤は、
種々の剤型での投与が可能であり、例えば経口投与剤と
しては、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ
剤、ドライシロップ剤等が例示される。 また、非経口
投与剤としては、坐薬、膣坐薬等の坐剤、噴霧剤等の経
鼻投与剤、軟膏、経皮吸収性テープ等の経皮吸収剤が例
示できる。
【0025】本発明の吸収性骨疾患の予防・治療剤は、
原料乾物換算として、通常成人1日当たり1〜100
g、好ましくは10〜30gの植物ポリフェノール画分
を1〜3回に分けて経口または非経口で投与できる投与
単位とすればよい。 これらの投与量は、患者の年齢、
症状等により適宜増減することが可能である。
【0026】また、本発明の飲食物は、通常の飲食物中
に、植物ポリフェノール画分を添加することにより調製
される。添加しうる食品の種類には特に限定はないが、
植物ポリフェノール画分は苦味を呈することが多いた
め、例えばドリンク剤等の飲料やキャンディー等の甘味
の強い食品に添加することが好ましい。
【0027】このようにして得られた飲食物は、日常的
に摂取することが可能であるため、吸収性骨疾患の予防
効果が期待でき、保健用食品として有用である。
【0028】なお、本発明の飲食物における植物ポリフ
ェノール画分の添加量は、対象食品の種類に応じ、食品
本来の味を損ねない範囲で添加すればよく、通常対象食
品に対し0.01〜1重量%の範囲内で添加すればよ
い。
【0029】本発明の、吸収性骨疾患の予防・治療剤お
よび飲食物において用いられる植物ポリフェノール画分
は、前記の通り、すでに食品、生薬等として用いられて
いる植物から得られるものであるので、安全性おいて特
に問題になる点はないものである。
【0030】次に、本発明の有効成分である植物ポリフ
ェノール画分について、そのカルシウムおよび無機リン
酸の遊離抑制作用の評価方法について説明する。
【0031】PTHrp(副甲状腺ホルモン関連蛋白
質)は、ヒトの高カルシウム血症惹起因子として同定さ
れた蛋白質であり、この1−34番目のアミノ酸残基よ
りなるフラグメントであるPTHrp(1−34)は活
性型である。そして、このPTHrp(1−34)は、
イン・ビトロで骨吸収促進作用が示されているので(ジ
ャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション、
81巻、2号、596−600頁、1988年;エンド
クリノロジー、123巻、2841−2848頁198
8年)、骨粗鬆症の評価系として使用することが可能で
ある。
【0032】そこで、本発明有効成分のイン・ビトロで
の骨吸収抑制作用の評価を、培養新生仔マウス頭蓋冠お
よびPTHrp(1−34)を用いて行った。 この評
価系は、胎児ラットの前腕骨および 45Caを使用する
ロイスの方法(ジャーナル・オブ・クリニカル・インベス
ティゲーション,44巻,1号,103−116頁,196
5年)に改良を加えたもので、放射性同位元素を使用せ
ずに、多数の検体を安全に評価できる利点を有する。
【0033】この改良法は、すでに骨疾患治療剤のスク
リーニング系として広く用いられている方法(日本骨代
謝学会雑誌,8巻,3号,221頁,1990年、同9巻,
3号,239頁,1991年、ジャパニーズ・ジャーナル・
オブ・ファーマコロジー,55巻補遺1号,120頁,19
91年)であるが、その概略を説明すれば以下の通りで
ある。
【0034】即ち、4〜6日齢ICR系マウスの頭蓋冠
を採取し、1日間前培養したのち、検定すべき試料およ
び10-8MのPTHrp(1−34)を添加した培地に
交換してさらに2日間培養し、培養終了後、培養上清中
のカルシウムおよび無機リン濃度を測定し、PTHrp
(1−34)のみの添加群と比較する方法である。
【0035】この方法で、骨吸収抑制作用を評価したと
ころ、後記実施例に示すように、本発明の有効成分を添
加した群は、PTHrp(1−34)のみの処理群に較
べて培養上清中のカルシウムおよび無機リン濃度が低下
していることが判明した。
【0036】一方、本発明の有効成分のイン・ビボの評
価は、PTHrp(1−34)が誘発する高カルシウム
血症モデルを用いて行った。即ち、5週齢ウイスター系
ラットに本発明の有効成分を前投与し、5nmole/
kgのPTHrp(1−34)処理により高カルシウム
血症を誘発させた時の血中カルシウム濃度を、試料を投
与しないコントロールの血中カルシウム濃度と比較して
行った。
【0037】この方法でイン・ビボの評価したところ、
後記実施例に示すように、本発明の有効成分は、PTH
rp(1−34)が誘発する高カルシウム血症モデルに
おいて、血中カルシウム濃度を有意に低下させた。この
ことから、本発明の有効成分は、PTHrp(1−3
4)により惹起される骨吸収促進作用を抑制するので、
骨疾患の予防または治療剤として有用であることが判明
した。
【0038】
【作用】本発明の有効成分である植物ポリフェノール画
分は、後記実施例に示すように、副甲状腺ホルモン関連
蛋白質であるPTHrp(1−34)が惹起する培養新
生仔マウス頭蓋冠からのカルシウムおよび無機リン遊離
を抑制する作用を有する。 また、ラットにおけるPT
Hrp(1−34)が誘発する高カルシウム血症モデル
において、血中カルシウム濃度の上昇を抑制する作用も
有する。
【0039】このように本発明で有効成分として使用さ
れる植物ポリフェノール画分は、カルシウムおよび無機
リン遊離を抑制する作用を有し、かつ、血中カルシウム
濃度の上昇を抑制する作用も有するので、悪性高カルシ
ウム血症、骨ぺージェット病、骨粗鬆症等の吸収性骨疾
患を有効に予防、治療するものと推測される。
【0040】
【実施例】次に、実施例、製剤例に基づいて本発明を更
に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 実 施 例 1 バラ花弁よりの植物ポリフェノール画分の抽出:バラの
花弁(ピンク色)5gを細かく裁断し、50%エタノー
ル水50mlに3日間浸漬し濾過した。 残渣に再び5
0%エタノール水50mlを加え、更に3日間浸漬し濾
過した。 濾液を集め、減圧濃縮の後凍結乾燥して、抽
出物2.0gを得た。 この抽出物中のポリフェノール類
の含有量をフォーリン−デニス法で測定したところ約2
0%であった。
【0041】実 施 例 2 キンミズヒキよりの植物ポリフェノール画分の抽出:キ
ンミズヒキの全草乾燥物(仙鶴草)5gを細かく裁断
し、実施例1と同様に50%エタノール水50mlで2
回抽出し、同様に処理して、抽出物0.6gを得た。 こ
の抽出物中のポリフェノール類の含有量はフォーリン−
デニス法で約25%であった。
【0042】実 施 例 3 甜茶よりの植物ポリフェノール画分の抽出:甜茶葉2k
gを10リッターの沸騰水で2回抽出し、濾液を集め、
減圧濃縮の後凍結乾燥して抽出物550gを得た。 こ
の抽出物中のポリフェノール類の含有量はフォーリン−
デニス法で約35%であった。
【0043】実 施 例 4 ワレモコウよりの植物ポリフェノール画分の抽出:ワレ
モコウの根部乾燥物(地楡)5gを細かく裁断し、実施
例1と同様に50%エタノール水50mlで2回抽出
し、同様に処理して、抽出物1.1gを得た。 この抽出
物中のポリフェノール類の含有量はフォーリン−デニス
法で約20%であった。
【0044】実 施 例 5 プアール茶よりの植物ポリフェノール画分の抽出:プア
ール茶葉10gを細かく裁断し、50%エタノール水1
00mlに3日間浸漬し、濾過した。 残渣に再び50
%エタノール100mlを加え、更に3日間浸漬し濾過
した。 濾液を集め、減圧濃縮の後凍結乾燥して、抽出
物2.2gを得た。 この抽出物中のポリフェノール類の
含有量は、フォーリン−デニス法で約40%であった。
【0045】実 施 例 6 クワよりの植物ポリフェノール画分の抽出:クワの樹皮
乾燥物(桑白皮)10gを細かく裁断し、エタノール水
50mlに3日間浸漬し、濾過した。 残渣に再びエタ
ノール50mlを加え、更に3日間浸漬し、濾過した。
濾液を集め、減圧濃縮の後、蒸留水に溶解し、凍結乾
燥して、抽出物0.4gを得た。 この抽出物中のポリフ
ェノール類の含有量はフォーリン−デニス法で約20%
であった。
【0046】実 施 例 7 甜茶抽出物の吸着カラムクロマトグラフィーによる分
画:実施例3で得られた甜茶抽出物550gを6リッタ
ーの脱イオン水に溶解し、濾過して不溶物を除いた後、
ダイアイオンHP−20(三菱化成(株)製)の直径2
0cm、長さ50cmのカラムに通液し、60リッター
の脱イオン水で洗浄した。 通過液と洗浄液を集めて、
減圧濃縮の後凍結乾燥して290gのフラクション1を
得た。 このフラクションのポリフェノール含有量はフ
ォーリン−デニス法で5%以下であった。
【0047】次に、カラムを30リッターの20%エタ
ノール水で溶出し、溶出液を減圧濃縮の後、凍結乾燥し
て120gのフラクション2を得た。 このフラクショ
ンのポリフェノール含有量はフォーリン−デニス法で6
2%であった。
【0048】また、上記カラムを30リッターの30%
エタノール水で溶出し、溶出液を減圧濃縮の後凍結乾燥
して45gのフラクション3を得た。 このフラクショ
ンのポリフェノール含有量はフォーリン−デニス法で4
2%であった。
【0049】更に、上記カラムを30リッターの70%
エタノール水で溶出し、溶出液を減圧濃縮の後凍結乾燥
して118gのフラクション4を得た。 このフラクシ
ョンのポリフェノール含有量はフォーリン−デニス法で
5%以下であった。
【0050】実 施 例 8 カルシウムおよび無機リン遊離に対する抑制効果の測定
(その1):実施例1〜6で得られた植物ポリフェノー
ル画分について、PTHrp(1−34)により惹起さ
れた培養マウス新生仔頭蓋冠からのカルシウムおよび無
機リン遊離に対する抑制効果を次の様にしての測定し
た。
【0051】すなわち、ICR系マウス(4〜6日齢)
の頭蓋冠を切り出して軟組織を除去した後、直径4mm
にパンチアウトする。これを、5%ウシ胎児血清(FB
S)を含むフィトン−ジャクソン モディファイドBG
Jb培地(Fitton-Jackson modification BGJb)(シグ
マ社製、カタログナンバー B6644;以下、「BG
Jb培地」と略す)を含む48穴プレートに1片ずつ入
れて、37℃、5%炭酸ガス/空気の条件下に24時間
前培養する。 前培養終了後、10-8MのPTHrp
(1−34)および実施例1−6で得られた試料100
μg/mlを含む5%FBS−BGJb培地に交換し、
さらに48時間培養する。
【0052】培養終了後、日本電子(株)製のVX10
00型生化学自動分析装置を用いて、培養上清のカルシ
ウム濃度をOCPC法で、無機リン濃度をモリブデン酸
直接法で測定し、PTHrp(1−34)のみ添加の対
照群の値と比較して、骨吸収抑制作用を検討した。 こ
の結果を表1に示す。
【0053】
【0054】表1の結果から明らかな通り、本発明の植
物ポリフェノール画分は、カルシウムおよび無機リンの
遊離を抑制した。 この結果は、本発明の植物ポリフェ
ノール画分が悪性高カルシウム血症を予防または抑制し
得ることを強く示唆し、吸収性骨疾患の予防または治療
剤として有用であることを示すものである。
【0055】実 施 例 9 カルシウムおよび無機リン遊離に対する抑制効果の測定
(その2):実施例7で得られた甜茶の各分画フラクシ
ョンについて、実施例8の方法で骨吸収抑制作用を検討
した。 その結果を表2に示す。
【0056】 数字は、n=3の平均±標準誤差を示す。 p<0.05
* , p<0.01 **
【0057】表2の結果と、実施例7の結果から明らか
なように、骨吸収抑制作用とポリフェノールの含有量と
の間には相関が認められた。
【0058】実 施 例 10 高カルシウム血症モデルにおける血中カルシウム濃度抑
制効果:PTHrp(1−34)誘発ラット高カルシウ
ム血症モデルを用い、血中カルシウム濃度抑制効果を次
の様にして調べた。ウイスター系ラット(5週齢、雄、
70〜90g、一群5匹)に実施例7で得られたフラク
ション2を、1日1回、腹腔内に30mg/kgで3日
間投与した。
【0059】3回目の投与から4時間後にPTHrp
(1−34)を5nmole/kg静注して高カルシウ
ム血症を誘発させ、その1時間後に採血した。 採血し
た血液の血中カルシウム濃度を日本電子(株)製のVX
1000型生化学自動分析装置を用いて、OCPC法で
測定し、PTHrp(1−34)のみ添加の対照群の値
と比較して、高カルシウム血症抑制効果を測定した。
この結果を表3に示す。
【0060】 数字は、n=5の平均±標準誤差を示す。 p<0.01 **
【0061】表3の結果から明らかなように、植物ポリ
フェノール画分である実施例8のフラクション2は、イ
ン・ビボの試験においても高カルシウム血症を有意に抑
制した。
【0062】これらの実験事実から、本発明の植物ポリ
フェノール画分が、骨からのカルシウム遊離の予防およ
び血中カルシウム濃度の低下作用を示すことが明らかで
ある。
【0063】製 剤 例 1 カプセル剤の製造: ( 処 方 ) 実施例8のフラクション2 100部(重量部) 馬鈴薯澱粉 148部 〃 ステアリン酸マグネシウム 2部 〃
【0064】( 製 法 )処方に従って上記の成分を擂
潰機でよく混和した後、1号ハードゼラチンカプセルに
250mgづつ充填し、1カプセル中100mgの植物ポ
リフェノール画分を含有するカプセル剤を得た。
【0065】製 剤 例 2 ドリンク剤の製造: ( 処 方 ) 実施例8のフラクション2 2g DL−酒石酸ナトリウム 10mg コハク酸 1mg 液 糖 80g クエン酸 1.2g ビタミンC 1g 香 料 1ml 塩化カリウム 0.1g 硫酸マグネシウム 50mg
【0066】( 製 法 )処方に従って上記の成分を蒸
留水800mlに溶解し、蒸留水を加えて全量1000
mlとした後、0.22μmの除菌フィルターで滅菌
し、100mlずつ褐色びんに無菌充填して、1剤あた
り200mgの植物ポリフェノール画分を含有するドリ
ンク剤を得た。
【0067】製 剤 例 3 キャンディーの製造: ( 処 方 ) 実施例8のフラクション2 0.5g グラニュー糖 48g 水 飴 48g クエン酸 0.5g 精 製 水 3g
【0068】( 製 法 )精製水に実施例8のフラクシ
ョン2およびクエン酸を加え、均一溶液とし、これを常
法に従って加熱溶融したグラニュー糖および水飴の混合
物に添加した。この混合物を均一に溶解した後、1粒4
gのキャンディーを製造した。 このキャンディー1粒
には20mgの植物ポリフェノール画分を含有する。
【0069】
【発明の効果】本発明の有効成分である植物ポリフェノ
ール画分は、カルシウムおよび無機リン遊離を抑制し、
高カルシウム血症を抑制するものであり、骨吸収作用を
抑制することが確認された。 そして、この植物ポリフ
ェノール画分の原料となる植物は、古くから食用、飲用
または薬用に広く用いられているものであり、安全性お
いて特に問題になる点はないものである。
【0070】従って、本発明の骨吸収性骨疾患の予防・
治療剤は、悪性高カルシウム血症、骨ぺージェット病、
骨粗鬆症等の骨吸収性骨疾患の予防または治療に有用な
ものである。また、本発明の植物ポリフェノール画分を
飲食物に添加して日常的に摂取することにより、吸収性
骨疾患予防のための保健用食品等としても有用である。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 光一 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バラ科、ツバキ科またはクワ科植物より
    選ばれた、少なくとも1種類の植物より得られる富ポリ
    フェノール抽出物を有効成分とする吸収性骨疾患の予防
    及び治療剤。
  2. 【請求項2】 バラ科植物がバラ(Rosa sp.)、キンミ
    ズヒキ(Agrimoniapilosa)、甜茶(Rubus suavissimu
    s)またはワレモコウ(Sanguisorbaofficinalis)から
    選ばれた植物である請求項第1項記載の吸収性骨疾患の
    予防・治療剤。
  3. 【請求項3】 ツバキ科植物がチャ(Camellia sinensi
    s)である請求項第1項記載の吸収性骨疾患の予防・治
    療剤。
  4. 【請求項4】 クワ科植物がクワ(Morus albus)であ
    る請求項第1項記載の吸収性骨疾患の予防・治療剤。
  5. 【請求項5】 吸収性骨疾患が、悪性高カルシウム血
    症、骨ぺージェット病または骨粗鬆症である請求項第1
    項ないし第4項のいずれかの項記載の吸収性骨疾患の予
    防・治療剤。
  6. 【請求項6】 バラ科、ツバキ科またはクワ科植物より
    選ばれた、少なくとも1種類の植物より得られる富ポリ
    フェノール抽出物を含有する飲食物。
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