JP5116709B2 - 駐車場緑化システム - Google Patents
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Description
駐車場を緑化するための有効適切な手法は未だ確立されていないが、たとえば特許文献1や特許文献2に示されるような埋設型植栽装置の適用が可能であると考えられる。これは、地盤を掘り下げて埋設したプレキャストコンクリート容器内に植栽容器を配置し、その植栽容器内に芝生等の植物を植栽したうえで、その上部をグレーチング蓋により覆うことによって、地上部を道路等として使用しつつその領域を緑化するというものである。
その点に関し、特許文献1や特許文献2に示される埋設型植栽装置はいずれもグレーチング蓋により植栽物を保護するものであるので踏圧による影響は回避できるものの、灌水については保水性の高いマットを用いることや灌水の必要性の少ない植物を植栽することで対処し得るに過ぎない。
また、降雨の際には車輪乗入部の下部に設置した貯水槽に雨水が自ずと貯留され、その貯留水が導水シートにより吸い上げられて自ずと緑化部に供給されるから、緑化部が長期間にわたって自ずと湿潤状態に維持されて植栽物の生育に好ましい環境に常に維持可能である。したがって本システムの採用により、人為的な日常の灌水作業の手間を省略ないし大幅に軽減でき、駐車場を緑化するために必要とされている管理上およびコスト上の負担を充分に軽減することが可能である。
本実施形態の駐車場緑化システムは、図1に示すように歩行部1を挟んで車両1台分の駐車スペース2が多数並べられて配置されている屋外駐車場に適用するものであって、基本的には各駐車スペース2内の両側部の車輪乗入部3の間を緑化対象の緑化部4とするものである。
すなわち、この種の駐車場においては、各駐車スペース2に至る車路と、各駐車スペース2内の両側部の車輪乗入部3(駐車スペース2に車両が進入/退出する際に車輪が乗り入れて通過する範囲)と、歩行者用の通路として各駐車スペース2の間に確保される歩行部1については、車両と歩行者とによる踏圧によって植栽物への影響が避けられないことから、本実施形態の緑化システムでは車路はもとより車輪乗入部3と歩行部2への緑化は敢えて考慮せず、車輪や歩行者による踏圧の懸念のない車両乗入部3の間の領域のみを緑化対象の緑化部4としてそこに植栽を行うようにしており、それにより駐車場全体の面積の大半を緑化するようにしている。
なお、導水シート6の下に止水シートを設置しても良く、それにより水が地盤にしみ込むことによる無駄を減らすことができ、また降雨を貯水槽5に効率良く導くことができる。
緑化部4への植栽物の種類は特に限定されないが、芝生が好適である他、駐車車両の車高の範囲内で生育するものであれば各種の低草木類が好適に採用可能であり、特に排気ガスに対する充分な耐性を有するばかりでなく窒素固定能力に優れていることから排気ガスを浄化する作用も期待できるヒメイタビ(クワ科イチジク属のつる性常緑樹)が最適である。
土壌層8の土質や層厚はそこへの植栽物を生育するうえで好ましい条件となるように適正に調整すれば良く、天然の土材料によることでも人工培土の類によることでも良い。
本実施形態では、その導水シート6を緑化部4の全体にわたって土壌層8の下層側に全面的に敷設したうえで、図2および図3(b)に示すように導水シート6の両縁部を貯水槽5の上部にまで延出させてそこに貯水槽5内に保持される保持部9としており、さらにその保持部9の下面側には貯留水中に浸漬される2面の吸水部10を一体に形成したものとなっている。
蓋体12はその上部に車輪が乗入可能とされ、かつ車両重量を支持可能な強度を有するものであるが、この蓋体12の両側部にはスリット状の流入口13が形成されていて、降雨の際にはそれら流入口13に雨水が流入し、導水シート6の保持部9を透過して水槽本体11内に貯留可能とされている。
水槽本体11は流入口13から流入した雨水を所望水深で貯留可能なものであり、大雨時において多量の雨水が流入した際には両端部に形成している堰14および両側面に形成している溢水口15から余剰水を流出させて周囲地盤に浸透させるようになっている。
また、降雨の際に雨水を貯水槽5に有効に流入させるためには、貯水槽5の周囲の地表面を貯水槽5側に向かって若干の下がり勾配となるような傾斜面としておくと良い。
これにより、貯水槽5に貯留されている貯留水は吸水部10による毛細管現象によって自ずと吸い上げられて保持部9から導水シート6全体に浸透していき、その浸透水が導水シート6から土壌層8に対して自ずと給水されるようになっている。
したがって、貯水槽5の容量としては、降雨のたびごとに保有水がそのつど補充されて少なくとも次の降雨までの間に涸渇してしまうことがない範囲で最少限度に設定することが最も合理的であり、そのためには導水シート6による土壌層8への給水能力はもとより各地の年間を通じた降雨量や降雨日数等の気象条件も考慮して、年間を通じて安定な給水が可能なように貯水槽5の容量を最適に設定すれば良い。
勿論、本システムは駐車場施工時に貯水槽5の設置と導水シート6の敷設を行うだけでそれ以上の灌水設備は不要であるから安価に導入できるものであるし、動力源および給水源も不要であり、保守管理も殆ど不要(必要に応じて貯水槽5に対して時折の清掃作業を行う程度)であり、したがって駐車場を緑化するために必要とされている管理上およびコスト上の負担を充分に軽減することができるものである。
すなわち、各駐車スペース2のそれぞれに本システムによる貯水槽5を設けておくことにより、駐車場全体ではそれら貯留槽5の全体で多量の雨水を一時的に貯留できるものとなり、したがって集中豪雨の際に駐車場が短時間で冠水してしまうような水害事故を未然に回避することが期待できる。
また、駐車場からの雨水流出量がピークカットされる(駐車場への降雨量がそのまま一気に場外に流出してしまうことが抑制される)から、公共下水道の雨水処理能力に対するバッファ効果も期待でき、以上のことから本システムは特に都市域に設ける大規模な屋外駐車場に適用するものとして極めて合理的であり有効である。
上記実施形態では車輪および歩行者による踏圧を避けるために、緑化部4を各駐車スペース2内の両側部の車輪乗入部3の間の領域にのみ設定し、それによっても駐車場全体の面積の大半を緑化できるのであるが、以下の実施形態では緑化対象範囲のさらなる拡張を目的として車輪の踏圧による影響を回避しつつ車輪乗入部3も緑化するようにしたものである。
勿論、
すなわち、図5に示しているように開口部20に嵌着可能な凸部を有するブロック状の車輪止め21を用意して、その車輪止め21をいずれかの開口部20に装着することのみで、車輪止め21を車輪乗入部3の要所に容易に設置することが可能である。
図6に示す実施形態は、貯水槽5の蓋体をグレーチング22により形成してそのグレーチング22の下方に植栽を行うようにしたものである。
すなわち、本実施形態では車輪を支持可能なグレーチング22によって貯水槽5の蓋体を形成してそれを水槽本体11に装着することにより、グレーチング22の周部の枠体と水槽本体11との間で導水シート6の保持部9を保持するとともに、その保持部9とグレーチング22の下面との間を植栽のための空間として確保し、そこに土壌層8を形成して植栽を行うようにしたものである。
たとえば、上記実施形態では導水シート6の縁部に保持部9および吸水部10を形成して、保持部9を貯水槽5の水槽本体11と蓋体12とにより保持した状態で吸水部10を保有水中に浸漬するようにしたが、要は導水シート6がそれ自体で保有水を吸い上げて土壌層8に対して給水できるように構成すれば良いのであって、その限りにおいてたとえば導水シート6の縁部を単にそのまま保有水に浸漬するような構成でも良い。
また、上記実施形態では貯水槽5に浸透枡の機能も持たせるべく堰14や溢水口15を設けたが、貯水槽5は基本的には貯水機能があれば良いからそれらの堰14や溢水口15は必ずしも設けることはなく省略しても差し支えない。
2 駐車スペース
3 車輪乗入部
4 緑化部
5 貯水槽
6 導水シート
7 基盤
8 土壌層
9 保持部
10 吸水部
11 水槽本体
12 蓋体
13 流入口
14 堰
15 溢水口
20 開口部
21 車輪止め
22 グレーチング(蓋体)
Claims (4)
- 屋外に設けられる駐車場を緑化するためのシステムであって、
1台の車両が駐車する駐車スペースを対象として該駐車スペース内の両側部に確保される車輪乗入部の下部にその周辺への降雨を集水して貯留する貯水槽をそれぞれ設置し、
前記両側の貯水槽の間を緑化対象の緑化部としてその表層部を土壌層として該土壌層に植栽を行うとともに、該土壌層の下層側には水分を保有可能な導水シートを敷設して、該導水シートの両縁部をそれぞれ前記貯水槽内の貯留水中に浸漬することにより、
前記貯水槽に貯留されている雨水を前記導水シートにより吸い上げて該導水シートにより前記緑化部の土壌層への給水を行う構成としたことを特徴とする駐車場緑化システム。 - 請求項1記載の駐車場緑化システムであって、
前記貯水槽を、上部が開放されたU断面の溝形の容器本体と、該容器本体の上部に装着されて車両が乗り入れ可能かつ車両重量を支持可能な蓋体とにより構成し、
前記導水シートの縁部に、前記容器本体と前記蓋体との間に挟持されて前記貯水槽内の上部に保持される保持部を形成するとともに、該保持部の下面側に貯留水中に浸漬される吸水部を形成し、
前記蓋体は周囲への降雨を前記容器体内に流入させるための流入口を有するとともに、前記容器本体の側部には流入雨水の水位が制限水位を超える際に周囲に流出せしめる溢水口を形成してなることを特徴とする駐車場緑化システム。 - 請求項2記載の駐車場緑化システムであって、
前記蓋体を板体により構成して該蓋体に植物を植栽するための開口部を設け、該開口部内に前記導水シートの保持部により支持して土壌層を形成して植栽を行う構成としたことを特徴とする駐車場緑化システム。 - 請求項2記載の駐車場緑化システムであって、
前記蓋体をグレーチングにより構成して該蓋体の下面と前記導水シートの保持部との間に間隔を確保し、該蓋体の下面側に前記導水シートの保持部により支持して土壌層を形成して植栽を行う構成としたことを特徴とする駐車場緑化システム。
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