JP5116085B2 - 放電灯 - Google Patents

放電灯 Download PDF

Info

Publication number
JP5116085B2
JP5116085B2 JP2007212578A JP2007212578A JP5116085B2 JP 5116085 B2 JP5116085 B2 JP 5116085B2 JP 2007212578 A JP2007212578 A JP 2007212578A JP 2007212578 A JP2007212578 A JP 2007212578A JP 5116085 B2 JP5116085 B2 JP 5116085B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
conductive oxide
electron conductive
discharge
oxide glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007212578A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009048825A (ja
Inventor
哲明 西田
賢一 小林
明 森重
武士 真辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kitakyushu Foundation for Advancement of Industry Science and Technology
Original Assignee
Kitakyushu Foundation for Advancement of Industry Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kitakyushu Foundation for Advancement of Industry Science and Technology filed Critical Kitakyushu Foundation for Advancement of Industry Science and Technology
Priority to JP2007212578A priority Critical patent/JP5116085B2/ja
Publication of JP2009048825A publication Critical patent/JP2009048825A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5116085B2 publication Critical patent/JP5116085B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Discharge Lamp (AREA)

Description

本発明は、表示装置等に用いられる放電灯に関するものである。
従来より、中空体に2個の電極を封入し放電により発光させる放電灯が用いられている。近年、表示装置等の高精細化や薄型化,低消費電力化等に伴い、放電灯も、素子の小型化や放電開始電圧の低減化を目的とした開発が行われている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)に「シリコンウェーハからなる基板と、前記基板上に形成された誘電体と、前記誘電体によって前記基板から電気的に絶縁された陽極と、前記誘電体及び前記陽極を貫通し前記基板内に中空陰極を形成する微小空洞と、前記微小空洞に封入された放電封入ガスと、を備えた放電ランプ」が開示されている。
特許3455234号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の図2には、微小空洞内に放電封入ガスを20〜100Torr(2.6〜13kPa)の圧力で封入した放電ランプにおいて、約300V(放電開始電圧)で放電が生じたことが記載されており、放電開始電圧が高いという課題を有していた。
(2)放電開始電圧が高いので、放電による放電封入ガスイオンの電極へのアタックにより電極が比較的短時間で磨耗するため、寿命が短く耐久性に欠けるという課題を有していた。
(3)陰極となるシリコンウェーハからなる基板を集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等を用いて加工すると、基板にイオン照射等のダメージによって劈開等が生じるため、微細加工が難しいという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、対向する2個の電極を100μm程度やそれ以下の間隔で中空体内に配置させることができ、中空体を微細化させるとともに放電開始電圧を低減させて長寿命で耐久性に優れる放電灯を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の放電灯は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の放電灯は、中空体に2個の電極が封入された放電灯であって、前記電極が電子伝導性酸化物ガラスで形成され、2個の前記電極が、電子伝導性酸化物ガラス体の切断によって分割され10nm〜100μmの間隔で対向した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)電子伝導性酸化物ガラスは、結晶性固体の溶融急冷や蒸着法,スパッタ法,グロー放電法,ゾルゲル法等の極めて簡便な方法で製造することができるため生産性に優れる。
(2)電子伝導性酸化物ガラスは、集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等を用いて加工しても劈開等が生じないため、容易に100μm程度やそれ以下の超微細加工をすることができる。このため、集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等による切削加工で、対向する2個の電極の間隔を100μm程度やそれ以下に近づけることができるので、放電開始電圧を低減させることができる。このため、放電による発熱量を小さくすることができ、発光ダイオード程度の大きさの微細な放電灯を実現できる。
(3)放電開始電圧を低減できるので、放電によって不活性ガスイオン等が電極へアタックするエネルギーが著しく小さいため、電極の磨耗がほとんど生じず、長寿命で耐久性に優れる。また、集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等による切削加工で、対向する電極の先端を精密に鋭角的に加工できるため、発光効率を高めることができる。
(4)2個の電極が電子伝導性酸化物ガラス体の切断により分割され10nm〜100μmの間隔で対向しているので、電子伝導性酸化物ガラスは加工性に優れるため製品得率が高く、さらに放電開始電圧を低減させることができる。
ここで、電子伝導性酸化物ガラスとしては、バナジウム,鉄,マンガン,チタン,タングステン等の遷移金属酸化物を含有する半導性ガラス、CdO,PbO等を含有し光伝導を示す酸化物光伝導ガラスが用いられ、例えば、V−P系,V−P−BaO系,WO−P系,CdO−B−SiO系,CdO−Al−GeO系,PbO−Bi−SiO系,PbO−Al−GeO系等の酸化物ガラスを挙げることができる。
電子伝導性酸化物ガラスを製造する手段としては、遷移金属酸化物等の結晶質固体の混合物等を液体や気体に変えたのち、結晶化させないでガラス転移温度以下の固体である電子伝導性酸化物ガラスにできるものであれば特に制限されない。例えば、結晶質固体の混合物を加熱溶融したのち急冷することで電子伝導性酸化物ガラスを得ることができる。また、結晶質固体を、蒸着法,スパッタ法,CVD法,グロー放電法等で一旦、蒸気状態にすることでも電子伝導性酸化物ガラスを得ることができる。また、ゾルゲル法等のようにゲルを経ることによっても電子伝導性酸化物ガラスを得ることができる。
電極は、集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等による切削加工で、電子伝導性酸化物ガラス体から形成することができる。また、蒸着法,スパッタ法,グロー放電法,ゾルゲル法等で電子伝導性酸化物ガラスの薄膜層を形成し、これを電極とすることもできる。
ここで、電子伝導性酸化物ガラス体を切断するには、集束イオンビーム加工やレーザー加工等が用いられる。集束イオンビーム加工の際に電子電導性酸化物ガラスに照射するイオン種としては、Ga等の液体金属、Ar,Xe,Kr等の希ガス等を用いることができる。
電極は、先端が根元より縮径して形成されているのが望ましい。1乃至複数個の突起を形成することもできる。電界を集中させ放電し易くするためである。
対向する電極の間隔が50nmより狭くなるにつれ、電子伝導性酸化物ガラス体の切断や電極先端の精密加工が困難になる傾向がみられ、50μmより広くなるにつれ放電開始電圧が大きくなる傾向がみられる。特に、10nmより狭くなるか100μmより広くなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
中空体としては、アルミナ、石英ガラス、合成樹脂等の透光性材料で中空状に形成されたものを用いることができる。基板に空洞を形成し、ガラスや合成樹脂等で形成された透光性キャップで封止したものを用いることもできる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放電灯であって、前記電子伝導性酸化物ガラスが、バナジン酸塩ガラスである構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)バナジン酸塩ガラスは高い電気伝導度を有しており、さらにガラス化させた後に熱処理を施すことによって、室温において10−1S・cm−1以上の高電気伝導度を発現できるため、電圧降下が生じず低電圧で安定に放電させることができる。熱処理を施すことによって、ガラス骨格の歪みを取り除き、電子がホッピングする活性化エネルギー(バンドギャップ)を小さくすることができるとともに、バナジン酸塩ガラス中の電子をエネルギー的に高い準位に分布させ、電子をホッピングさせるために必要な熱エネルギー(活性化エネルギー)を小さくできるので、電気伝導度を高くできるのではないかと推察している。
ここで、バナジン酸塩ガラスとしては、バナジウムを主成分又は副成分とする酸化物ガラスであって、バナジウムの他、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属、バリウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属、ホウ素,リン,セリウム,スズ,鉛,銅,鉄等のうちの1種若しくは複数種の構成元素の酸化物を含有するものが用いられる。
なかでも、バナジウム、バリウム及び鉄の酸化物を含有するものが好適に用いられる。これは、バナジウム、バリウム、鉄の原子が3次元的に関連しあったガラス骨格を形成させることができ、電子ホッピングによる高い電気伝導度を発現させることができ、さらに、ガラス骨格中に4価と5価のバナジウムと3価の鉄を配置できるので、電子ホッピングの確率が高められ電気伝導度を高めることができるからである。
ここで、バナジン酸塩ガラス中の酸化バリウム(BaO)、酸化バナジウム(V)、酸化鉄(Fe)の比率は、ガラス転移現象を示すのであれば特に限定されるものではないが、特に、酸化バリウム(B)の酸化バナジウム(V)に対するモル比(B:V)は、5:90〜35:50にするのが好ましい。
これにより、以下のような作用が得られる。
(1)バナジウムを主骨格とした3次元構造のガラス骨格を形成できるので、熱処理を施すことによって電気伝導度を飛躍的に高めることができる。
(2)熱処理前の電子伝導性酸化物ガラスの電気伝導度のばらつきが少なくなるとともに熱処理によって結晶化し難いので、熱処理後の電子伝導性酸化物ガラスの電気伝導度を所定範囲に収めることができ生産安定性に優れる。
ここで、モル比(B:V)が5:90より小さくなると、3次元構造のガラス骨格を形成させるのが困難になるとともに均質な電子伝導性酸化物ガラスが得られ難くなり、モル比(B:V)が35:50より大きくなるとガラス化が困難になり、熱処理によって結晶化し易くなり良好な導電性が発現されなくなるため好ましくない。
また、バナジン酸塩ガラス中の酸化鉄(F)の酸化バナジウム(V)に対するモル比(F:V)は、5:90〜15:50にするのが好ましい。
これにより、以下のような作用が得られる。
(1)バナジウムを主骨格とした3次元構造のガラス骨格を形成できるので、熱処理によって電気伝導度を飛躍的に高めることができる。
ここで、モル比(F:V)が5:90より小さくなるとガラス化し難くなり、モル比(F:V)が15:50より大きくなると、均質なバナジン酸塩ガラスが得られ難くなるので、いずれも好ましくない。
また、バナジン酸塩ガラス中の酸化バナジウム(V),酸化バリウム(BaO),酸化鉄(Fe)の3成分系における酸化バナジウム(V)は、40〜98モル%好ましくは60〜85モル%が好適である。60モル%より少なくなるにつれ、バナジウムを主骨格とするガラス骨格を維持させるのが困難になるうえ高い電気伝導度を得ることが困難になる傾向がみられ、85モル%より多くなるにつれ、相対的に副成分の含有量が減るため、副成分による電気伝導度や機械的特性等の調整機能が低下する傾向がみられる。特に、40モル%より少なくなるか98%より多くなると、これらの傾向が著しいためいずれも好ましくない。
バナジン酸塩ガラス中の上記3成分系における酸化バリウム(BaO)は、1〜40モル%好ましくは10〜30モル%が好適である。10モル%より少なくなるにつれ均質なガラス化が困難になる傾向がみられ、30モル%より多くなるにつれ機械的強度が低下しガラス化し難くなる傾向がみられる。特に、1モル%より少なくなるか40モル%より多くなると、これらの傾向が著しいためいずれも好ましくない。
バナジン酸塩ガラス中の上記3成分系における酸化鉄(Fe)は、1〜20モル%好ましくは5〜20モル%が好適である。5モル%より少なくなるにつれ、鉄の価電子による電子ホッピングへの寄与が低下し電気伝導度が向上し難くなる傾向がみられ、1モル%より少なくなるとこの傾向が著しくなるため好ましくない。また、20モル%より多くなると機械的強度が低下しガラス化し難くなるため好ましくない。
特に、酸化バナジウム(V)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉄(Fe)のモル比が、それぞれ60〜85モル%、10〜30モル%、5〜20モル%の範囲にあると、バナジン酸塩ガラスに熱処理を施すことによって、室温における電気伝導度を数桁以上上昇させて10−1S・cm−1以上にすることができるため好ましい。
なお、バナジン酸塩ガラスは、AgI、NaI、Ag、AgO、In、SnO、SnO、ReOの添加剤が添加されたものでもよい。添加剤の効果によって電気伝導度を高めることができるからである。また、AgI、NaI、Ag等に加えてCeO等の還元防止剤を添加してもよい。これにより、AgI、NaI、Ag等の添加剤が還元されるのを防止して高い電気伝導度を維持できる。
バナジン酸塩ガラスに施す熱処理条件としては、ガラス化させたバナジン酸塩ガラスを加熱してガラス転移温度以上、融点以下の温度領域、好ましくは結晶化温度以上、融点以下の温度領域に保持するものが用いられる。
ここで、熱処理温度がバナジン酸塩ガラスの結晶化温度より低くなるにつれ、バナジン酸塩ガラスに与えられる熱エネルギーが小さいため、電気伝導度の増加率が小さく、また増加率にばらつきがみられる傾向が強まり、ガラス転移点未満になると、この傾向が著しくなるため好ましくない。また、熱処理温度がバナジン酸塩ガラスの融点を超えると、酸化物ガラスの溶融や結晶の析出が促進され、電気伝導度が低下するため好ましくない。
熱処理を施す手段としては、例えば、電気炉等を予め熱処理温度に設定しておき炉内の温度が一定になったところで、バナジン酸塩ガラスを炉内に入れ、目標とする時間が経過したら直ちに電気炉等からバナジン酸塩ガラスを取り出し、空気や水,氷水等の流体、冷却した銅板やステンレス板,銅製やステンレス製等のローラ等の部材で冷却するものが用いられる。あるいは、上記バナジン酸塩ガラスを電気炉等の炉内で一定時間再加熱後、炉内の温度を徐々に下げたり炉内の加熱源から少しずつ遠ざけたりしてバナジン酸塩ガラスを炉内で放冷するものが用いられる。熱処理を施す炉内は空気、窒素,アルゴン等の不活性ガス雰囲気等にすることができる。
ガラス転移点、結晶化温度、融点は、バナジン酸塩ガラスを示差熱分析(DTA)や示差走査熱量測定(DSC)等により実測することによって求めることができる。また、推定される構成成分の状態図を用いた熱力学的計算等を行うことで求めることもできる。
示差熱分析(DTA)によって結晶化温度を求める場合、結晶化の発熱ピークの中心点又は裾の高温側測点温度における温度を結晶化温度とする。また、示差熱分析(DTA)によって融点を求める場合、結晶化温度より高温における吸熱ピークの中心点における温度を融点とする。
熱処理条件において熱処理温度領域の保持時間としては、熱処理を経たバナジン酸塩ガラスの電気伝導度が高くなるように適宜最適な時間に設定することができる。保持時間は、バナジン酸塩ガラスの組成や熱容量、熱処理温度によっても異なるが、例えば1〜180分に設定される。保持時間が1分より短くなると、バナジン酸塩ガラスに与えられる熱エネルギーが小さいため、電気伝導度の増加率が小さく、また増加率にばらつきがみられ、180分より長くなると、結晶が析出したり溶融したりすることにより電気伝導度が低下することがあるとともに生産性が低下するため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放電灯であって、前記中空体に、放電用ガスが10−2〜10Paの圧力で封入された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)中空体に放電用ガスが10−2〜10Paの圧力で封入されているので、放電効率が高く、かつ、長寿命を実現できる。
ここで、放電用ガスとしては、He,Ar,Ne,Xe,Kr等の不活性ガスが用いられる。不活性ガスに加え、水銀やヨウ化物等の発光物質を封入することもできる。放電用ガスや発光物質の種類に応じて発光色を変えることができる。
封入された放電用ガスの圧力が10−2Paより小さくなると、発光しないか発光効率が低下する傾向がみられ、10Paより大きくなると電極が早期に磨耗し寿命が短くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
以上のように、本発明の放電灯によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)電極となる電子伝導性酸化物ガラスは、結晶性固体の溶融急冷や蒸着法,スパッタ法,グロー放電法,ゾルゲル法等の極めて簡便な方法で製造することができるため、生産性に優れた放電灯を提供できる。
(2)電子伝導性酸化物ガラスは、集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等を用いて加工しても劈開等が生じないため、容易に100μm程度やそれ以下の超微細加工をすることができるので、対向する2個の電極の間隔を100μm程度やそれ以下に近づけることができ、微細化させることができるとともに放電開始電圧を低減させることができ、このため放電による発熱量を小さくすることができ発光ダイオード程度の大きさの微細な放電灯を提供できる。
(3)放電開始電圧を低減できるので、放電によって不活性ガスイオン等が電極へアタックするエネルギーが著しく小さいため、電極の磨耗がほとんど生じず、長寿命で耐久性に優れるとともに、発光効率の高い放電灯を提供できる。
(4)電子伝導性酸化物ガラスは加工性に優れるため製品得率が高く、さらに放電開始電圧を低減させることができる放電灯を提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)バナジン酸塩ガラスは高い電気伝導度を有しており、さらにガラス化させた後に熱処理を施すことによって、室温において10−1S・cm−1以上の高電気伝導度を発現できるため、電圧降下が生じず低電圧で安定に放電させることができる放電灯を提供できる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)中空体に放電用ガスが10−2〜10Paの圧力で封入されているので、放電効率が高く、かつ、長寿命の放電灯を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における放電灯の断面図であり、図2は図1のA部の拡大図であり、図3は図1のB部の拡大図であり、図4はB部の変形例の拡大図である。
図1において、1は本発明の実施の形態1における放電灯、2はアルミナ,石英ガラス等の透光性材料で形成された中空体、3は中空体2の内側に形成された中空室、4は中空体2の両端部に中空室3と連通して形成された開口部、5はCu−Ag系,Cu−Zr系等の合金等で棒状に形成され開口部4に挿入された端子、6はSiO−Al−MgO系等のガラス材で形成され端子5と開口部4の内壁面との間に封入され中空室3と外部とを気密状態に封着する封着部、7は両端が端子5,5に接続されて中空室3内に配設された電極部材である。
図2において、8はSiO−Al−Fe系,V−P系,WO−P系,CdO−B−SiO系,CdO−Al−GeO系,PbO−Bi−SiO系,PbO−Al−GeO系等の導電性ガラスで形成され抵抗率が10〜10Ω・mに調製された電極部材7の高抵抗の外周部、9は外周部8内に埋設された繊維状のバナジン酸塩ガラスの電子伝導性酸化物ガラス体、10は電子伝導性酸化物ガラス体9の両端が外周部8の両端から延設した延設部であり、端子5に接続されている。
図3において、11は電極部材7の外周部8の外周面から切削して電子伝導性酸化物ガラス体9を切断して分割した分割部、12は電子伝導性酸化物ガラス体9が分割されたことによって分割部11の内壁面に露出した電子伝導性酸化物ガラスにより形成された電極である。なお、分割部11は電子伝導性酸化物ガラス体9を分割しているが、外周部8を完全に切断していないため、電極部材7は外周部8で繋がっている。
図4において、11aは電極部材7の外周部8から切削して電子伝導性酸化物ガラス体9を切断して分割した分割部、12aは電子伝導性酸化物ガラス体9が分割されたことによって分割部11の内壁面に対向して配置され先端に行くに従って鋭角状に縮径して形成された電極である。
以上のように構成された実施の形態1における放電灯の製造方法の一例について、以下説明する。
まず、二重るつぼ法等により、繊維状(糸状)に形成された電子伝導性酸化物ガラス体9の表面にSiO−Al−Fe系(SiO,Al,Feのモル比は70:20:6、他はKO,MgOなど)等の高抵抗の導電性ガラスの外周部8を形成する。電子伝導性酸化物ガラス体9の両端を残して外周部8を形成することで、両端に延設部10が形成された電極部材7を作製することができる。次に、電極部材7の両端と端子5,5とを溶着等によって接合して、電子伝導性酸化物ガラス体9の延設部10と端子5とを電気的に接続する。
次に、電極部材7を電子伝導性酸化物ガラス体9のガラス転移温度以上、融点以下の温度領域、好ましくは結晶化温度以上、融点以下の温度領域に保持する熱処理を施す。これにより、電子伝導性酸化物ガラス体9の室温における電気伝導度を10−1S・cm−1程度、若しくはそれ以上にすることができる。
次に、集束イオンビーム加工やレーザー加工等を用い、電極部材7の外周部8から切削して電子伝導性酸化物ガラス体9を切断し10nmから100μmの幅で分割部11を形成することにより、分割部11の内壁面に対向した電極12,12を形成する。外周部8の抵抗率はガラスの組成に依存して10〜10Ω・mに調製されているので、集束イオンビーム加工でも絶縁破壊による劈開が生じることなく、外周部8を切削し分割部11を形成することができる。
次に、中空体2の開口部4から電極部材7の端子5を挿入し、中空室3内に電極部材7を配設する。放電灯封着装置を用いて、封着部6を形成するガラス材を赤外線等により加熱溶融させて開口部4と端子5との間を気密状態に封着するとともに、放電用ガスを10−2〜10Paの圧力で中空室3内に封入することにより、実施の形態1における放電灯1を製造することができる。
実施の形態1における放電灯1の端子5,5間に交流電圧を印加すると、低抵抗の電子伝導性酸化物ガラス体9で形成された電極12,12間に放電が生じ、封入された放電用ガスや発光物質の種類に応じた色の発光が生じる。
以上のように構成された実施の形態1における放電灯によれば、以下のような作用が得られる。
(1)電子伝導性酸化物ガラス体9は、蒸着法,スパッタ法,グロー放電法等の極めて簡便な方法で製造することができるため生産性に優れる。
(2)電子伝導性酸化物ガラス体9は、集束イオンビーム(FIB)加工やレーザー加工等を用いて加工しても劈開等が生じないため、容易に100μm程度やそれ以下の超微細加工をすることができる。このため、対向する電極12,12の間隔を100μm程度やそれ以下に近づけることができるので、放電開始電圧を低減させることができる。この結果、放電による発熱量を小さくすることができ、発光ダイオード程度の大きさの微細な放電灯を実現できる。
(3)放電開始電圧を低減できるので、放電によって不活性ガスイオン等が電極12へアタックするエネルギーが著しく小さいため、電極12の磨耗がほとんど生じず、長寿命で耐久性に優れる。
(4)バナジン酸塩ガラスは高い電気伝導度を有しており、さらにガラス化させた後に熱処理を施すことによって、室温において10−1S・cm−1以上の高電気伝導度を発現できるため、電圧降下が生じず低電圧で安定に放電させることができる。
(5)中空体2に放電用ガスが10−2〜10Paの圧力で封入されているので、放電効率が高く、かつ、長寿命を実現できる。
(6)2個の電極12,12が電子伝導性酸化物ガラス体9の切断により分割され10nm〜100μmの間隔で対向した電子伝導性酸化物ガラスで形成されているので、加工性に優れるため製品得率が高く、さらに放電開始電圧を低減させることができる。
(7)繊維状の電子伝導性酸化物ガラス体9を外周部8に埋設させた電極部材7を用いているので、電子伝導性酸化物ガラス体9を外周部8が補強し耐久性に優れる。
また、以上のように構成された実施の形態1の変形例における放電灯によれば、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)対向する電極12a,12aの先端が縮径した鋭角状に形成されているので、放電を集束させ発光効率を高めることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
始めに、示差熱分析用の試料を作製するため、酸化バリウム(BaO)が20モル%、五酸化二バナジウム(V)が70モル%、三酸化二鉄(Fe)が10モル%で全量が10gになるように試薬特級の各試薬を秤量し、メノウ乳鉢で混合したのち白金るつぼに入れた。白金るつぼに入れた混合物を1000℃に昇温した電気炉内で大気中90分間加熱し溶融させて示差熱分析用の溶融物を得た。この溶融物を厚さ10mmのステンレス板の上に流し出して室温まで冷却し、板状に固化したガラスを得た。
このガラスを棒状に切り出し試料を作製し、示差熱分析(DTA)を行った。示差熱分析(DTA)は、基準物質にαアルミナを使用し窒素雰囲気中で10℃/分の昇温速度で行った。示差熱分析の結果、ガラス転移温度は328℃、結晶化温度は392℃、融点は540℃であることがわかった。
次に、放電灯の電極を作製するため、同様に、酸化バリウム(BaO)が20モル%、五酸化二バナジウム(V)が70モル%、三酸化二鉄(Fe)が10モル%で全量が10gになるように試薬特級の各試薬を秤量し、白金るつぼ内で同様に溶融して熱電対式温度センサ用の溶融物を得た。幅10mm、長さ10mm、深さ1mmの矩形状の溝が形成されたステンレス製の型を準備し、この型を電気炉で350℃に加熱した後、型を電気炉から取り出して溝内に前記溶融物を流し込んだ。
この型を再び350℃に維持された電気炉内に戻した後、60分かけて電気炉の温度を、ガラスの結晶化温度以上融点以下の500℃まで上昇させた。電気炉を500℃で20分間保持する熱処理を行った後、電気炉のスイッチを切って型を電気炉内で放冷した。電気炉内を室温になるまで冷却させたら電気炉から型を取り出し、固化した電子伝導性酸化物ガラス体を型から取り出した。電子伝導性酸化物ガラス体は、表面をダイヤモンドで研磨し平滑化した。なお、得られた電子伝導性酸化物ガラス体の室温における電気伝導度を直流四探針法で測定したところ、1×10−1S・cm−1であった。
図5は実施例1における放電灯の製造方法を説明する模式図であり、(a)は基板及び電子伝導性酸化物ガラス体の模式平面図であり、(b)は基板及び電子伝導性酸化物ガラス体の模式側面図であり、(c)は電子伝導性酸化物ガラス体を切断して電極を形成した基板及び電子伝導性酸化物ガラスの模式側面図である。
図5(a),(b)において、20はアルミナ製の基板、21は基板20の上面に形成されたアルミニウムの蒸着層、22は蒸着層21及び基板20の一部を切削した幅1mmの溝、23は溝22を跨ぐようにして溝22の両側の蒸着層21と導電性ペーストで接合された電子伝導性酸化物ガラス体である。
図5(c)において、24は電子伝導性酸化物ガラス体23を集束イオンビームにより切断して幅1μmの間隔で分割した分割部、25は基板の上面に1μmの間隔で対向した電極である。
図5(a),(b)に示すように、上面にアルミニウムの蒸着層21を形成した後、蒸着層21及び基板20の一部を切削して幅1mmの溝22を形成し、溝22の両側の蒸着層21を絶縁したアルミナ製の基板20を準備した。次いで、溝22を跨ぐようにして溝22の両側の蒸着層21と電子伝導性酸化物ガラス体23を導電性ペーストで接合した。次に、基板20に形成された溝22の上で、電子伝導性酸化物ガラス体23を集束イオンビームにより切断して分割し、分割された電子伝導性酸化物ガラス体23によって、基板20の上面に1μmの間隔で対向した電子伝導性酸化物ガラスで電極25,25を形成した。電極25,25が形成された基板20を、図示しない光透過性ガラス管(中空体)に収容するとともに、中空体にNeを50Paの圧力で封入した。溝22の両側の蒸着層21には高周波電源を接続した。
高周波電源を用いて1.5Vの電圧を印加したところ、放電が開始され発光が観察された。
以上の実施例によれば、電極となる電子伝導性酸化物ガラスは加工性に優れているため、対向する2個の電極の間隔を近づけることができ、数ボルト以下の低電圧で放電を開始させられる放電灯が得られることが明らかになった。
本発明は、表示装置等に用いられる放電灯に関し、対向する2個の電極を100μm程度やそれ以下の間隔で中空体内に配置させることができ、中空体を微細化させることができるとともに放電開始電圧を低減させることのできる放電灯を提供することができる。
実施の形態1における放電灯の断面図 図1のA部の拡大図 図1のB部の拡大図 B部の変形例の拡大図 (a)基板及び電子伝導性酸化物ガラス体の模式平面図 (b)基板及び電子伝導性酸化物ガラス体の模式側面図 (c)電子伝導性酸化物ガラス体を切断して電極を形成した基板及び電子伝導性酸化物ガラスの模式側面図
符号の説明
1 放電灯
2 中空体
3 中空室
4 開口部
5 端子
6 封着部
7 電極部材
8 外周部
9 電子伝導性酸化物ガラス体
10 延設部
11,11a 分割部
12,12a 電極
20 基板
21 蒸着層
22 溝
23 電子伝導性酸化物ガラス体
24 分割部
25 電極

Claims (3)

  1. 中空体に2個の電極が封入された放電灯であって、前記電極が電子伝導性酸化物ガラスで形成され、2個の前記電極が、電子伝導性酸化物ガラス体の切断により分割され10nm〜100μmの間隔で対向していることを特徴とする放電灯。
  2. 前記電子伝導性酸化物ガラスが、バナジン酸塩ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の放電灯。
  3. 前記中空体に、放電用ガスが10-2〜102Paの圧力で封入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電灯。
JP2007212578A 2007-08-17 2007-08-17 放電灯 Expired - Fee Related JP5116085B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007212578A JP5116085B2 (ja) 2007-08-17 2007-08-17 放電灯

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007212578A JP5116085B2 (ja) 2007-08-17 2007-08-17 放電灯

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009048825A JP2009048825A (ja) 2009-03-05
JP5116085B2 true JP5116085B2 (ja) 2013-01-09

Family

ID=40500870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007212578A Expired - Fee Related JP5116085B2 (ja) 2007-08-17 2007-08-17 放電灯

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5116085B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63202838A (ja) * 1987-02-18 1988-08-22 Hitachi Ltd 殺菌灯
JP3400489B2 (ja) * 1993-05-20 2003-04-28 東京電測株式会社 複合放電ランプ
JPH07142031A (ja) * 1993-11-22 1995-06-02 Tdk Corp 放電ランプ電極
US5686789A (en) * 1995-03-14 1997-11-11 Osram Sylvania Inc. Discharge device having cathode with micro hollow array
JP2000243236A (ja) * 1999-02-24 2000-09-08 Canon Inc 電子放出素子、電子源基板及び画像形成装置
US7126266B2 (en) * 2004-07-14 2006-10-24 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Field emission assisted microdischarge devices

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009048825A (ja) 2009-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4982423B2 (ja) 酸化亜鉛薄膜形成用スパッタターゲットと、それを用いて得られる酸化亜鉛薄膜を有する表示素子及び太陽電池
TWI595668B (zh) 氧化物半導體薄膜及薄膜電晶體
US20090241554A1 (en) Peltier device and temperature regulating container equipped with the peltier device
TWI342580B (en) Fluorescent lamp having ceramic-glass composite electrode
KR101757309B1 (ko) 전자방출 물질 및 이의 제조방법
JPWO2014136650A1 (ja) リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの製造方法、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスおよびリチウムイオン二次電池
JP4696289B2 (ja) 熱電対式温度センサ及びその製造方法
JP5116085B2 (ja) 放電灯
JP2006160535A (ja) 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電性薄膜
KR20050004761A (ko) 글라스, 그 제조방법, 및 fed 장치
JPWO2008143189A1 (ja) ガラス微粒子集合体およびその製造方法
JP2005076105A (ja) 酸窒化チタン膜の成膜方法
JP5342470B2 (ja) 電界放射型電子源およびそれを用いた発光装置
JP5778863B2 (ja) セリウムをドープしたタングステン酸バリウム・マグネシウム発光薄膜及びその製造方法、並びに電界発光デバイス
JP5164072B2 (ja) バナジン酸塩ガラスの製造方法
JP4347353B2 (ja) 冷陰極蛍光ランプ及びその製造方法
JP2012020894A (ja) 陽極接合用ガラス
JP2015026612A (ja) 有機発光表示装置及び該有機発光表示装置の製造方法
JP2005320192A (ja) 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電性薄膜
JP2007012508A (ja) 放電ランプ
JP6534544B2 (ja) オゾンガス発生装置およびオゾンガス発生装置の製造方法
JP2010040437A (ja) 冷陰極蛍光ランプ及びその製造方法
JP2011175800A (ja) 電界放射型電子源およびそれを用いた発光装置
JP3076649B2 (ja) 冷陰極蛍光ランプ
JPH06267404A (ja) 電極材料,電極材料製造方法及び電極

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120327

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121012

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees