JP5115039B2 - 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法 - Google Patents

低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5115039B2
JP5115039B2 JP2007151784A JP2007151784A JP5115039B2 JP 5115039 B2 JP5115039 B2 JP 5115039B2 JP 2007151784 A JP2007151784 A JP 2007151784A JP 2007151784 A JP2007151784 A JP 2007151784A JP 5115039 B2 JP5115039 B2 JP 5115039B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum hydroxide
less
precipitation
solution
soda
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007151784A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008303110A (ja
Inventor
高弘 黒田
和幸 山本
俊博 松葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP2007151784A priority Critical patent/JP5115039B2/ja
Publication of JP2008303110A publication Critical patent/JP2008303110A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5115039B2 publication Critical patent/JP5115039B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Description

この発明は、バイヤー法によって製造され、全ソーダ(T-Na2O)分の含有量が極めて低く、しかも、平均粒子径が極めて小さいギブサイト結晶(Al2O3・3H2O)からなる低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法に係り、特に限定するものではないが、プリント配線基板等の電気・電子材、電線被覆材、絶縁材料、建築用の内装材や外装材等の用途に用いられる合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂等の種々の高分子材料に配合され、耐熱性や難燃性を付与するための難燃材として特に有用な低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法に関する。
従来、この種の水酸化アルミニウムについては古くから多くの提案があり、例えば、米国特許第4,014,985号公報には、バイヤー法で得られたアルミン酸ソーダ溶液中のAl2O3/Na2O比を1.04以下とし、平均粒子径55μmの種子を添加して0.03g-Al2O3/m2-種子・h以下の極めてゆっくりとした析出を行い、全ソーダ分0.1重量%以下の水酸化アルミニウムを製造することが記載されている。
また、特開昭59-204,632号公報には、平均粒子径が0.5〜60μmであって全ソーダ分が0.1%以下、好ましくは0.07%以下であるギブサイト型水酸化アルミニウムを添加して得られた耐熱性樹脂成形体が記載されており、また、その実施例及び比較例には、中心粒径が8.0〜8.5μmで全ソーダ分(T-Na2O)が0.06〜0.21%のギブサイト型水酸化アルミニウムを用いることが記載されている。
更に、特開昭62-246,961号公報には、平均粒子径が0.5〜15μm、窒素ガス吸着法によるBET比表面積が2.8m2/g以上、好ましくは3〜4.5m2/g、及び全ソーダ分が0.08重量%以下であるギブサイト型水酸化アルミニウムを添加して得られた耐熱性樹脂組成物が記載されており、また、その実施例及び比較例には、平均粒子径0.8〜14.3μm、BET比表面積1.5〜4.5m2/g、及び全ソーダ分0.015〜0.21重量%のギブサイト型水酸化アルミニウムを用いることが記載されている。
更にまた、特開平2-74,521号公報には、平均粒子径が10μm以下、好ましくは5μm以下であって、全ソーダ分が0.10重量%以下であり、200℃以下の温度での低温脱水反応が抑制され、かつ、ベーマイト転移反応速度の小さいギブサイト型の耐熱性水酸化アルミニウムが記載されており、また、その実施例1には、平均粒子径1.7μm及び全ソーダ分0.06重量%の水酸化アルミニウムを得たことが記載されている。
また、特開平3-28,121号公報には、平均粒子径が5μm以下であって、全ソーダ分が0.10重量%以下であり、耐熱性に優れ、ゴムやプラスチックに充填した際に強度低下の少ない微粒の耐熱性水酸化アルミニウムが記載されており、そして、その実施例1には、平均粒子径が1.5μmで一次粒子径が0.5μmであり、全ソーダ分が0.06重量%である耐熱性水酸化アルミニウムが記載されている。
更に、特開平11-278,829号公報には、平均粒子径1〜6μm及び全ソーダ分0.1質量%以下の高純度水酸化アルミニウムや、平均粒子径15〜40μm及び全ソーダ分0.1質量%以下の高純度水酸化アルミニウムが記載されており、また、その比較例及び実施例には、平均粒子径1.8〜42.2μm及び全ソーダ分0.05〜0.31質量%以下の水酸化アルミニウムが記載されている。
更にまた、特開2002-348,408号公報には、SiO2含有量が0.02重量%未満であり、BET比表面積が3m2/g未満であり、かつ、110℃から210℃まで昇温し保持したときの重量減少率が0.3%以下の樹脂充填用水酸化アルミニウム粉末が記載されており、また、その実施例にはNa2O含有率が0.04重量%であって平均粒子径が5μmのギブサイト型水酸化アルミニウムを得たことが記載されている。
ところで、このような種々の高分子材料に耐熱性や難燃性を付与するための難燃材等として用いるギブサイト型水酸化アルミニウムについて検討してみると、その平均粒子径については、例えば半導体部品や積層板等において小型化や薄膜化に対応するという観点からは3μm以下、コンパウンドの粘度や成形作業性を考慮すると好ましくは0.5μm以上3μm以下であるのがよく、また、その全ソーダ(T-Na2O)分については、その含有量が多くなればなるほど200℃付近から始まるベーマイト転移による初期脱水反応が起き易くなくなって耐熱性が低下するので、0.1質量%以下、好ましくは可及的により少ないものであるのがよく、更に、そのBET比表面積については、その値が大きくなると樹脂との混練性や成形性が悪化するので、10m2/g以下、好ましくは5m2/g以下であるのがよい。
しかしながら、バイヤー法により平均粒子径が2μm以下と極めて小さく、しかも、全ソーダ分の含有量も0.04質量%以下と極めて少ないギブサイト型水酸化アルミニウムを製造する方法については知られておらず、また、これまでに未粉砕であって平均粒子径2μm以下、全ソーダ分0.04質量%以下及びBET比表面積10m2/g以下という条件を満たすギブサイト型の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムは製造されていない。
ところで、全ソーダ分の含有量が0.04質量%以下で平均粒子径が2μmを超えるギブサイト型水酸化アルミニウムを製造し、次いで既知の手段で粉砕することによりその平均粒子径を細かくし、これによって平均粒子径2μm以下及び全ソーダ分0.04質量%以下のギブサイト型水酸化アルミニウムを製造することは可能である。しかしながら、このような方法で製造されたギブサイト型水酸化ナトリウムは、粉砕により結晶自体がダメージを受け、また、チッピングが発生し易くなり、更に、BET比表面積も大きくなってしまうため、樹脂との混練性や成形性も悪化する。
米国特許第4,014,985号公報 特開昭59-204,632号公報 特開昭62-246,961号公報 特開平2-74,521号公報 特開平3-28,121号公報 特開平11-278,829号公報 特開2002-348,408号公報
そこで、本発明者らは、平均粒子径、全ソーダ(T-Na2O)分、及びBET比表面積が何れも小さいギブサイト型水酸化アルミニウムの開発について鋭意検討した結果、意外なことには、Na2O濃度30g/L以下及びAl2O3濃度30g/L以下の初期媒体中に種子として全ソーダ分0.05質量%以下及び平均粒子径1μm以下の水酸化アルミニウムを添加して初期溶液を調製し、この初期溶液中に添加溶液としてバイヤー法で得られたアルミン酸ナトリウム溶液を連続的又は間欠的に添加して析出溶液とし、この析出溶液から水酸化アルミニウムを析出させる際の析出温度と析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度とを所定の範囲に制御し、また、必要に応じて析出溶液から回収した水酸化アルミニウムを解砕することにより、目標とする平均粒子径2μm以下、全ソーダ分0.04質量%以下、及びBET比表面積10m2/g以下のギブサイト型水酸化アルミニウムを製造できることを突き止め、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、平均粒子径2μm以下、全ソーダ(T-Na2O)分0.04質量%以下、及びBET比表面積10m2/g以下のギブサイト型水酸化アルミニウムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このように平均粒子径2μm以下、全ソーダ(T-Na2O)分0.04質量%以下、及びBET比表面積10m2/g以下であるギブサイト型低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを容易に製造することができる低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、バイヤー法によって製造されたギブサイト型水酸化アルミニウムであり、平均粒子径が2μm以下であって、全ソーダ(T-Na2O)分が0.04質量%以下であり、BET比表面積が10m2/g以下であることを特徴とする低ソーダ微粒水酸化アルミニウムである。
また、本発明は、バイヤー法により低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを製造するに際し、Na2O濃度30g/L以下及びAl2O3濃度30g/L以下の初期媒体中に種子として全ソーダ(T-Na2O)分0.05質量%以下及び平均粒子径1μm以下の水酸化アルミニウムを添加して初期溶液を調製し、次いでこの初期溶液中にアルミン酸ナトリウム溶液からなる添加溶液を連続的又は間欠的に添加して水酸化アルミニウムの析出溶液を調製すると共に、この析出溶液からは析出温度60〜90℃で析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度が15g/Lを超えない範囲で水酸化アルミニウムを析出させ、必要に応じて上記析出溶液から回収した水酸化アルミニウムを解砕することを特徴とする低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法である。
本発明において、初期溶液を調製するのに用いられる初期媒体としては、それがNa2O濃度30g/L以下及びAl2O3濃度30g/L以下であればよいが、最も好ましくは純水であるのがよい。この初期媒体のNa2O濃度及びAl2O3濃度が30g/Lより高いと、水酸化アルミニウムが析出し難くなる。一定の析出速度を得ようとして添加溶液の供給流量増やしても、析出溶液の過飽和Al2O3濃度が高くなって、析出溶液から水酸化アルミニウムを析出させる際の析出条件、すなわち析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度を15g/Lを超えない範囲に維持することが難しくなり、目標とする平均粒子径、全ソーダ分、及びBET比表面積を有するギブサイト型水酸化アルミニウムの製造が困難になる。
また、初期溶液を調製する際に種子として用いる水酸化アルミニウムについては、少なくとも全ソーダ分が0.05質量%以下、好ましくは0.04質量%以下であって、平均粒子径が1μm以下、好ましくは0.9μm以下である必要がある。この種子として用いる水酸化アルミニウムの全ソーダ分が0.05質量%を超えると得られた低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの粒子中に全ソーダ分0.04質量%を超える部分が局部的に生じて熱分解開始温度が低下する虞があり、また、平均粒子径が1μmを超えると目標とする平均粒径2μm以下及び全ソーダ分0.04質量%以下の微粒水酸化アルミニウムを調製するのが難しくなる。このような種子として用いる水酸化アルミニウムは、バイヤー法により全ソーダ分0.05質量%以下の水酸化アルミニウムを調製し、得られた水酸化アルミニウムを平均粒子径1μm以下まで湿式粉砕することにより調製することができる。
更に、初期溶液における種子としての水酸化アルミニウムについては、そのBET比表面積が10m2/g以上、好ましくは10m2/g以上20m2/g以下とするのがよく、また、初期溶液における種子の添加量については、種子添加率(m2/L)に換算して、通常300m2/L以上、好ましくは300m2/L以上1000m2/L以下とするのがよい。この種子として用いる水酸化アルミニウムのBET比表面積が10m2/gより低いと種子添加率を300m2/L以上にするために多量の種子を添加する必要が生じて経済的でなく、また、この種子添加率が300m2/Lより少ないと、場合によっては生産性が低下する、あるいは、粒径が粗くなるという問題が生じ、また、1000m2/Lより多くしても、種子添加量の割に生産量が延びず、コスト高となる。
本発明において、上記初期溶液に連続的又は間欠的に添加して析出溶液を調製するのに用いられる添加溶液は、バイヤー法によって得られるアルミン酸ナトリウム溶液であり、そのAl2O3濃度については、上記の初期溶液に添加して水酸化アルミニウムを析出するのに十分な濃度を達成できるものであれば特に制限はなく、例えば通常100g/L以上200g/L以下、好ましくは140g/L以上170g/L以下のものが用いられ、また、その溶解Na2O分と溶解Al2O3分とのモル比(Na2O/Al2O3)については、例えば通常3.0以下、好ましくは1.4以上1.7以下のものが用いられる。この添加溶液のモル比が1.4より低いと添加溶液が不安定になるという問題があり、反対に、3.0より高くなるとほとんど析出しなくなるという問題が生じる。
また、この添加溶液については、溶液中の全有機物濃度(TOC)が1g/L以下、好ましくは可及的により少ないことが望ましい。この全有機物濃度(TOC)が1g/Lを超えると、析出し難くなり、全ソーダ分が高くなる傾向がある。
上記初期溶液に上記添加溶液を連続的又は間欠的に添加して水酸化アルミニウムの析出溶液を調製する際には、少なくとも析出溶液から水酸化アルミニウムを析出させる際の析出条件、すなわち析出温度が60℃以上90℃以下、好ましくは70℃以上80℃以下であって、析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度が15g/L、好ましくは10g/L、より好ましくは5g/Lを超えない範囲に維持される必要があり、この析出条件が維持されれば初期溶液に添加溶液を添加する方法に制限はない。析出温度が60℃より低いと析出する水酸化アルミニウムの全ソーダ分が高くなるという問題があり、反対に、90℃より高くなると生産性が悪化するという問題が生じ、また、平均過飽和Al2O3濃度が15g/Lより高くなると析出する水酸化アルミニウムの全ソーダ分が高くなるという問題が生じる。ここで、析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度とは、初期溶液に添加溶液を添加し始めて水酸化アルミニウムの析出を開始してから添加溶液の添加を終了して水酸化アルミニウムの析出を終了するまでの間に析出溶液の過飽和Al2O3濃度が徐々に上昇するが、この間に経時的に測定された複数の過飽和Al2O3濃度の単純平均値として求められる。
そして、初期溶液に添加溶液を添加して析出溶液を調製し水酸化アルミニウムを析出させる析出操作に際しては、好ましくは添加溶液の添加前に初期溶液の溶液温度を70℃以上、好ましくは70℃以上90℃以下に調整し、添加溶液が添加された直後から析出溶液の溶液温度が60〜90℃の範囲内に維持されるようにするのがよく、溶液温度が60℃より低くなると、析出する水酸化アルミニウムの全ソーダ分が高くなる傾向にあるので好ましくない。
また、この水酸化アルミニウムの析出操作中は、添加溶液の添加に応じて、また、水酸化アルミニウムの析出経過に応じて、析出溶液の過飽和Al2O3濃度が変化して一時的に過飽和Al2O3濃度15g/Lを超える場合が生じてもよいが、好ましくは、過飽和Al2O3濃度が15g/Lを超えないようにして析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度を15g/L以下に維持するのがよく、また、その析出操作途中から析出操作終了までの間における降温速度調整操作により析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度を15g/L以下に維持してもよい。
この析出操作は、従来の方法における場合と特には変わりなく、析出槽内で初期溶液を調製し、次いでこの析出槽内の初期溶液中に攪拌下に連続的又は間欠的に添加溶液を添加し、析出槽内で析出溶液としながら所定の析出条件下に水酸化アルミニウムを析出させ、析出槽内が所定の液量に達した時点で添加溶液の添加を停止し、その後、析出温度60〜90℃で所定時間、通常は添加溶液の添加に要した時間の0.02〜0.25倍程度であって0〜2時間程度保持し、最終的に析出温度60〜90℃を維持しながら析出操作を終了する。
このようにして析出操作終了後、フィルタープレス等による濾過、スクリューデカンター等による遠心分離等の手段で固液分離し、次いで常温から70〜90℃程度の温度の純水でリパルプした後に再度固液分離する水洗操作を複数回繰り返し、洗浄除去可能なフリーのソーダ(f-Na2O)分〔フリーソーダ(f-Na2O)分の含有量の測定は試料を温水に浸漬して溶出させた後、JIS R9301-3-9に準じた原子吸光法で行う。〕を0.002質量%以下、好ましくは可及的により低減せしめるのがよい。
本発明においては、析出操作で得られた水酸化アルミニウムは緩く凝集している。そこで、必要に応じて、析出操作で得られた水酸化アルミニウムを部分的に溶解させたり、あるいは、上記の水洗前又は水洗後に、好ましくは水洗後に、湿式解砕により析出操作で得られた水酸化アルミニウムの二次粒子を一次粒子にまで解砕する。この二次粒子を一次粒子に解砕する解砕操作は、具体的には例えば、得られた水酸化アルミニウムに純水を添加してスラリーを調製し、このスラリーを湿式解砕機(ビーズミル等)中に供給して行なわれる。
上記のようにして、必要に応じて二次粒子を解砕して得られた水酸化アルミニウムは、乾燥機等により乾燥した後、製品の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムとされる。この低ソーダ微粒水酸化アルミニウムは、通常その平均粒子径が2μm以下、好ましくは1.0μm以上2.0μm以下であり、また、全ソーダ分が0.04質量%以下であり、更に、BET比表面積が10m2/g以下である。
そして、この低ソーダ微粒水酸化アルミニウムについては、必要によりシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ステアリン酸等の表面処理剤による表面処理が施されてもよい。
本発明の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムは、平均粒子径2μm以下、全ソーダ分0.04質量%以下、及びBET比表面積10m2/g以下と何れも小さいギブサイト型水酸化アルミニウムであり、特に種々の高分子材料に耐熱性や難燃性を付与するための難燃材として優れた性能を発揮するものである。
また、本発明の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法によれば、このような平均粒子径、全ソーダ分、及びBET比表面積が何れも小さくて種々の高分子材料用の難燃材として優れた性能を発揮するギブサイト型水酸化アルミニウムをバイヤー法によって容易に製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
[実施例1]
〔種子用水酸化アルミニウムの調製〕
バイヤー法で調製した平均粒子径1.2μm、全ソーダ(T-Na2O)分0.040質量%及びBET比表面積12m2/gの水酸化アルミニウムを純水と混合して500g/Lのスラリーを調製し、湿式粉砕機(WAB社製ダイノーミルKDL-PILOT)を用いて湿式粉砕し、平均粒子径1.0μm、全ソーダ分0.047質量%及びBET比表面積14.8m2/gの水酸化アルミニウムを調製し、種子用水酸化アルミニウムとした。
〔初期溶液の調製〕
初期媒体として純水を用い、また、上記の種子用水酸化アルミニウム120gを用い、容積5Lの析出槽内で70℃に加温した純水と上記種子用水酸化アルミニウムとを混合してスラリー濃度60g/Lの初期溶液2Lを調製した。
〔添加溶液の調製〕
バイヤー法により溶解Na2O分(Na2O濃度)148g/L、溶解Al2O3分(Al2O3濃度)149g/L、及びこれら溶解Na2O分と溶解Al2O3分とのモル比(Na2O/Al2O3)1.6のアルミン酸ナトリウム溶液を調製し、これを70℃に加温して添加溶液とした。
〔析出操作〕
析出槽内の上記初期溶液中に、攪拌下に上記添加溶液を連続的に添加し、析出槽内で水酸化アルミニウムの析出溶液を調製すると共に、析出溶液の過飽和Al2O3濃度を15g/L以下に維持しながら水酸化アルミニウムを析出させ、添加溶液2Lが添加された時点で添加溶液の添加を終了し、引き続き70℃に維持しながら2時間攪拌して水酸化アルミニウムを析出させ、析出操作を終了した。
この析出操作の間、析出槽内の析出溶液は常に70℃に維持され、また、水酸化アルミニウムの析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度は4.5g/Lであった。更に、添加溶液1L当りに析出した水酸化アルミニウム量(アルミナ換算)として求められた析出率は74g/Lであった。
〔水洗・解砕操作〕
析出操作終了後、遠心分離機を用いて固液分離し、得られた個体について、70℃の純水4.8m3でリパルプした後に固液分離する水洗操作を5回繰り返して行い、析出した水酸化アルミニウムを回収した。
次に、この回収した水酸化アルミニウムについて、純水を添加してスラリー濃度300g/Lのスラリーを調製し、平均粒径が1.3μmとなるように解砕した。
次に、得られた水酸化アルミニウムを130℃の加熱下で約1時間乾燥して、実施例1の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを得た。
この実施例1で得られた低ソーダ微粒水酸化アルミニウムについて、平均粒子径、全ソーダ分、フリーソーダ(f-Na2O)分、及びBET比表面積をそれぞれ測定した。なお、平均粒子径はレーザー回折式粒度分布装置(日機装社製マイクロトラックX100)を用いて測定し、全ソーダ分及びフリーソーダ分はJIS R9301-3-9に準じた原子吸光法で測定し、また、BET比表面積は比表面積自動測定装置(マイクロメリテックス社製フローソーブII2300形)を用いて測定した。
結果を表1に示す。
[実施例2]
種子として使用した水酸化アルミニウムの平均粒子径、全ソーダ分、BET比表面積、添加量及び添加率と、添加溶液として用いたアルミン酸ナトリウム溶液の溶解Na2O分(Na2O濃度)、溶解Al2O3分(Al2O3濃度)、溶解Na2O分(Na2O濃度)と溶解Al2O3分(Al2O3濃度)とのモル比(Na2O/Al2O3)、添加量を表1に示す値に調整した以外は、上記実施例1と同様にして実施例2の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを得た。
この析出操作の間、析出槽内の析出溶液は常に70℃に維持され、また、水酸化アルミニウムの析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度は3.3g/Lであった。また、析出率は69g/Lであった。
この実施例2で得られた低ソーダ微粒水酸化アルミニウムについて、実施例1と同様に、その平均粒子径、全ソーダ分、フリーソーダ分、及びBET比表面積をそれぞれ測定した。
結果を表1に示す。
[比較例1]
種子として使用した水酸化アルミニウムの平均粒子径、全ソーダ分、BET比表面積、添加量及び添加率と、添加溶液として用いたアルミン酸ナトリウム溶液の溶解Na2O分(Na2O濃度)、溶解Al2O3分(Al2O3濃度)、溶解Na2O分(Na2O濃度)と溶解Al2O3分(Al2O3濃度)とのモル比(Na2O/Al2O3)、添加量を表1に示す値に調整した以外は、上記実施例1と同様にして比較例1の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを得た。
この析出操作の間、析出槽内の析出溶液は常に50℃に維持され、また、水酸化アルミニウムの析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度は7.1g/Lであった。また、析出率は98g/Lであった。
結果を表1に示す。
[比較例2]
初期媒体としてNa2O濃度134g/L、Al2O3濃度86g/L、モル比(Na2O/Al2O3)2.6及び添加量2Lのアルミン酸ナトリウム溶液を用い、また、種子として表1に示す平均粒子径、全ソーダ分、BET比表面積、添加量及び添加率の水酸化アルミニウムを使用し、更に、添加溶液として表1に示す溶解Na2O分(Na2O濃度)、溶解Al2O3分(Al2O3濃度)、溶解Na2O分(Na2O濃度)と溶解Al2O3分(Al2O3濃度)とのモル比(Na2O/Al2O3)、添加量のアルミン酸ナトリウム溶液を用いた以外は、上記実施例1と同様にして比較例2の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを得た。
この析出操作の間、析出槽内の析出溶液は常に70℃に維持され、また、水酸化アルミニウムの析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度は13.7g/Lであった。また、析出率は58g/Lであった。
結果を表1に示す。
Figure 0005115039
この表1に示す結果から明らかなように、実施例1及び実施例2の場合は、そのいずれも、解砕後の平均粒子径が2μm以下であって、全ソーダ(T-Na2O)分が0.04質量%以下であり、また、BET比表面積が10m2/g以下であるのに対し、比較例1の場合には析出温度が50℃であって全ソーダ分(T-Na2O)が0.074%と高く、また、比較例2の場合には初期媒体のNa2O濃度が134g/LでAl2O3濃度が86g/Lであって全ソーダ分(T-Na2O)が0.049%と高く、しかも、析出率が58g/Lであって実施例1及び2や比較例1の場合と比較してその生産性が低い。
本発明は、平均粒子径及び全ソーダ分、更には必要によりBET比表面積が何れも極めて小さいギブサイト型の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを提供するものであり、このような低ソーダ微粒水酸化アルミニウムは種々の高分子材料に耐熱性や難燃性を付与するための難燃材等の用途に極めて有用であり、その工業的価値の高いものである。

Claims (6)

  1. バイヤー法によって製造されたギブサイト型水酸化アルミニウムであり、平均粒子径が2μm以下であって、全ソーダ(Na2O)分が0.04質量%以下であり、BET比表面積が10m2/g以下であることを特徴とする低ソーダ微粒水酸化アルミニウム。
  2. 表面処理剤による表面処理が施されている請求項1に記載の低ソーダ微粒水酸化アルミニウム。
  3. 表面処理剤がシランカップリング剤、チタネート剤、又はステアリン酸である請求項2に記載の低ソーダ微粒水酸化アルミニウム。
  4. バイヤー法により低ソーダ微粒水酸化アルミニウムを製造するに際し、Na2O濃度30g/L以下及びAl2O3濃度30g/L以下の初期媒体中に種子として全ソーダ(Na2O)分0.05質量%以下及び平均粒子径1μm以下の水酸化アルミニウムを添加して初期溶液を調製し、次いでこの初期溶液中にアルミン酸ナトリウム溶液からなる添加溶液を連続的又は間欠的に添加して水酸化アルミニウムの析出溶液を調製すると共に、この析出溶液からは析出温度60〜90℃で析出開始から析出終了までの平均過飽和Al2O3濃度が15g/Lを超えない範囲で水酸化アルミニウムを析出させることを特徴とする低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法。
  5. 析出溶液は、その溶解Na2O分と溶解Al2O3分とのモル比(Na2O/Al2O3)が5.0以下である請求項4に記載の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法。
  6. 水酸化アルミニウムの析出操作中、降温速度を調整して析出溶液の平均過飽和Al2O3濃度を15g/L以下に維持する請求項4又は5に記載の低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法。
JP2007151784A 2007-06-07 2007-06-07 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5115039B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007151784A JP5115039B2 (ja) 2007-06-07 2007-06-07 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007151784A JP5115039B2 (ja) 2007-06-07 2007-06-07 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008303110A JP2008303110A (ja) 2008-12-18
JP5115039B2 true JP5115039B2 (ja) 2013-01-09

Family

ID=40232152

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007151784A Expired - Fee Related JP5115039B2 (ja) 2007-06-07 2007-06-07 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5115039B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI471368B (zh) * 2009-02-13 2015-02-01 Sumitomo Chemical Co Fine particles of aluminum hydroxide powder for filling resin and a method for producing the same
JP2011016672A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Nippon Light Metal Co Ltd 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法
JP5310471B2 (ja) * 2009-10-15 2013-10-09 日立化成株式会社 高耐熱性水酸化アルミニウム粒子、その製造方法及びこの粒子を含む樹脂組成物並びにこの樹脂組成物を使用したプリント配線板
JP5310472B2 (ja) * 2009-10-15 2013-10-09 日立化成株式会社 高耐熱性水酸化アルミニウム粒子、その製造方法及びこの粒子を含む樹脂組成物並びにこの樹脂組成物を使用したプリント配線板
JP5636072B2 (ja) * 2013-02-26 2014-12-03 住友化学株式会社 耐熱水酸化アルミニウムの製造方法
JP7135921B2 (ja) * 2019-02-14 2022-09-13 日本軽金属株式会社 水酸化アルミニウム粉体及びその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3651245B2 (ja) * 1998-03-27 2005-05-25 日本軽金属株式会社 高純度水酸化アルミニウムの製造方法
JP2002348408A (ja) * 2001-05-28 2002-12-04 Sumitomo Chem Co Ltd 樹脂充填用水酸化アルミニウム粉末
WO2007074562A1 (ja) * 2005-12-26 2007-07-05 Nippon Light Metal Company, Ltd. 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008303110A (ja) 2008-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5115039B2 (ja) 低ソーダ微粒水酸化アルミニウム及びその製造方法
JP5069865B2 (ja) 高純度水酸化マグネシウム粉末及びその製造方法
JP5016993B2 (ja) 酸化マグネシウム粒子凝集体及びその製造方法
US8529787B2 (en) Colloidal silica containing silica secondary particles having bent structure and/or branched structure, and method for producing same
JP5530672B2 (ja) ベーマイト粒子の製造方法及びアルミナ粒子の製造方法
JP5277633B2 (ja) 低ソーダ微粒水酸化アルミニウムの製造方法
KR101403820B1 (ko) 고순도 α-알루미나의 제조 방법
TW311905B (ja)
US4615875A (en) Process for preparing high purity alpha-alumina
JP2012513365A (ja) 硫酸法によるほぼ球形の硫酸バリウムの製造方法及び銅箔基板における使用
CA3074410C (en) Method for producing aluminum hydroxide-coated silicon carbide particle powder and method for producing dispersion containing the same powder and dispersing medium
KR101374985B1 (ko) 깁사이트 유형 수산화 알루미늄 입자
JP5529421B2 (ja) 高純度水酸化カルシウム粉末、高純度炭酸カルシウム粉末及び高純度酸化カルシウム粉末並びにそれらの製造方法
JP2007169146A (ja) ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子
CN108473333B (zh) 低α射线量硫酸钡颗粒以及其利用和其制造方法
JPWO2016117248A1 (ja) β−ユークリプタイト微粒子の製造方法
CN108473332B (zh) 低α射线量硫酸钡颗粒以及其利用和其制造方法
CN109422285A (zh) 低吸油值氢氧化铝及其制备方法和应用
JP2006321722A (ja) 蓚酸バリウムチタニルの製造方法及びチタン酸バリウムの製造方法
CN100465247C (zh) 高纯高分散氢氧化镁阻燃剂的制备方法
JP3651245B2 (ja) 高純度水酸化アルミニウムの製造方法
JP2011132107A (ja) 酸化セリウム微粒子の製造方法
JP4746853B2 (ja) 高純度の金属水酸化物、その精製方法および製造方法、これらの方法により得た水酸化物および酸化物、ならびに合成樹脂組成物および合成樹脂成形品
JPH06329411A (ja) 薄片状遷移アルミナの製造方法
JP2010155770A (ja) 微粒水酸化アルミニウムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110804

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120918

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121001

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees