JP5114341B2 - 亜鉛および珪素の製造方法 - Google Patents

亜鉛および珪素の製造方法 Download PDF

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Description

本願発明は、珪素原料の塩化反応により得られる四塩化珪素を亜鉛で還元して高純度珪素を得る亜鉛還元法による珪素の製造方法に関する。また、亜鉛還元法に用いる亜鉛の製造方法であって、繰り返し利用することができる亜鉛の製造方法に関する。
太陽電池用シリコンセル用途の高純度珪素を製造するプロセスとしては、トリクロロシラン等を還元して珪素を得るシーメンス法、金属珪素の溶融および固化を繰り返し行い、珪素の純度を上げる冶金法、金属珪素や珪素化合物を塩化反応により四塩化珪素にし、亜鉛で還元反応を起こし珪素を得る亜鉛還元法がある。
シーメンス法は、現在主流の製造方法であり、9N(99.9999999%)以上の高純度珪素を製造することができる反面、反応率が2割程度と低く、反応温度も1200℃と高温であるため、製造コストが高いという問題がある。また、この方法で製造された珪素は半導体グレードであり、その規格外品を太陽電池用としているので、太陽電池製造の需要に供給が追いつかない状況である。さらに、太陽電池用途としては9Nもの純度は必要ではなく、用途に品質が見合わずに効率が悪いという問題がある。
冶金法は、粗珪素の溶融と固化を繰り返して結晶化させて高純度させる方法であるが、現在のところ純度は4N以上程度であり、太陽電池用途に適した純度まで高純度化が実現できるかが課題となっている。
亜鉛還元法は、反応率が7割程度と高く、反応温度もシーメンス法よりも低いため、シーメンス法と比較して低コスト化が可能であるという利点があり、また、珪素の純度は8N程度であり、太陽電池用途の珪素製造法として注目されている技術である。
上記亜鉛還元法においては、珪素原料を塩素化して塩化珪素とする第1の工程、および塩化珪素を亜鉛で還元して金属珪素と塩化亜鉛を生成する第2の工程の2つの製造プロセスが含まれるが、さらに、副生した塩化亜鉛を塩素と亜鉛に電気分解する工程を加えることによって、第1の工程で塩素化に使用する塩素ガスと、第2の工程で使用する亜鉛を再生することができるので、全体として系に出入りするのは珪素原料および珪素最終製品のみとなり、系をクローズド化できる事が知られている(例えば、特許文献1〜4および非特許文献1参照)。
特開2003−34519号公報 特開2003−342016号公報 特開平11−011925号公報 特開2004−256907号公報 JETI 55巻4号164〜166頁(2007年)
上記各文献では、単に副生物の塩化亜鉛を電気分解して亜鉛と塩素をリサイクルすることができるという記載があるのみで、電気分解の実操業に関しては詳しく言及されていない。しかしながら、実際には、上記製造プロセスにて回収される粗塩化亜鉛(以後、回収塩化亜鉛と呼ぶ場合がある)の電気分解には、
(1)電流効率が著しく低い
(2)得られる亜鉛の純度が低い
といった問題点があった。
本願発明者らは、亜鉛還元法により珪素原料を還元剤である亜鉛で還元する際、高純度珪素とともに副生する塩化亜鉛を亜鉛に還元して再び亜鉛還元法の還元剤として用いるにあたり、塩化亜鉛が亜鉛に還元される際の挙動が、塩化亜鉛中に含まれる不純物に依って影響されることに着目した。具体的には、副生した塩化亜鉛を溶解後、電気分解を行い、亜鉛を得る場合、
(1)不溶不純物の存在により、生成亜鉛が合体しにくく、微粒子状での滞留時間が長くなり、亜鉛から塩化亜鉛への逆反応の発生頻度が高く、電流効率が著しく低くなる
(2)不純物(金属成分)の存在により、電解すると不純物が生成亜鉛に取り込まれ、亜鉛の純度が低くなる
と考えた。そこで、このような状況に対して、回収塩化亜鉛の精製のために蒸留を行ったところ、留出塩化亜鉛に上記不純物が随伴されてしまい、精製を行うことが困難であった。
本願発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、亜鉛還元法において副生する回収塩化亜鉛を電気分解して亜鉛を得るに際して効率良く高純度な亜鉛を製造する方法、また、この亜鉛を用いた珪素を製造する方法を提供することを目的としている。
かかる実情に鑑みて発明者らが鋭意検討を重ねてきたところ、回収塩化亜鉛を蒸留するに先立って金属亜鉛を添加して所定濃度とすることで、不純物の随伴を抑制しつつ蒸留を行うことができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
即ち、本願発明の亜鉛の製造方法は、粗塩化亜鉛を溶融塩電解する亜鉛の製造方法であって、該粗塩化亜鉛は、塩化珪素と亜鉛を反応させて該珪素とともに副生する粗塩化亜鉛であり、粗塩化亜鉛(回収塩化亜鉛)を蒸留して精製塩化亜鉛を得る蒸留工程と、精製塩化亜鉛を溶融塩電解して亜鉛及び塩素を回収する溶融塩電解工程からなり、さらに、蒸留工程に先立って、粗塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して金属亜鉛濃度を2質量%以上とすることを特徴としている。
また、本願発明の珪素の製造方法は、粗珪素または珪素化合物を塩酸又は塩素と反応させ塩素化して塩化珪素を得る塩化工程、塩化珪素と亜鉛を反応させて珪素および粗塩化亜鉛を得る珪素製造工程、粗塩化亜鉛を蒸留精製し、精製塩化亜鉛を得る蒸留工程、および精製塩化亜鉛を溶融塩電解して亜鉛および塩素を得る溶融塩電解工程からなる珪素の製造方法であって、溶融塩電解工程において得られた亜鉛および塩素を、珪素製造工程および塩化工程にそれぞれ再利用し、さらに、蒸留工程に先立って、粗塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して金属亜鉛濃度を2質量%以上とすることを特徴としている。
上記亜鉛および珪素の製造方法においては、蒸留工程に先立って金属亜鉛を添加するに際し、金属亜鉛を2〜13質量%とすることを好ましい態様としている。
本願発明によれば、回収塩化亜鉛を蒸留するに先立って金属亜鉛を添加して所定濃度とすることで、塩化亜鉛および金属亜鉛の蒸留の際に不純物の随伴が抑制され、純度の高い精製塩化亜鉛および精製金属亜鉛を回収することができるという効果を奏するものである。その結果、精製金属亜鉛はそのまま塩化珪素の還元に用いて高純度珪素を製造することができ、精製塩化亜鉛は電気分解(溶融塩電解、以下同じ)に供して高純度亜鉛を製造することができる。
以下、本願発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本願発明の亜鉛還元法の流れを示すチャート図である。まず、塩化反応工程においては、原料である金属珪素(不純物を含む粗珪素)と塩素または塩酸を反応させて、塩化珪素を生成させる。ここで、珪素原料としては、金属珪素の他に、酸化珪素及び炭素を使用することもできる。次に、還元反応工程においては、塩化珪素と亜鉛を気相にて反応させて、目的の高純度珪素(ポリシリコン)を得るとともに、塩化亜鉛を副生する。副生した塩化亜鉛は、電気分解によって、亜鉛と塩素となり、亜鉛は塩化珪素の還元反応工程、塩素は珪素原料の塩化反応工程に再利用される。
本願発明の不純物を含む回収塩化亜鉛は、塩化珪素を亜鉛で還元して珪素を生成する際に同時に副生する塩化亜鉛を好適に用いることができる。しかしながら、還元反応工程で得られる回収塩化亜鉛は、未反応の塩化珪素や、珪素原料、装置材料由来の不純物を含有している粗塩化亜鉛であり、すでに述べたとおり、この回収塩化亜鉛をこのまま電気分解すると好ましくない。そこで、回収塩化亜鉛を精製することが求められるが、このまま蒸留に供した場合、後述の実施例および比較例において述べるように、不純物が留出物に随伴されてしまう。本願発明は、蒸留工程に先立って、回収塩化亜鉛に金属亜鉛が2質量%以上添加された塩化亜鉛(以下、原料塩化亜鉛と呼ぶ場合がある)とすることによってこの問題を解決している。
図2は、このような回収塩化亜鉛を精製するための蒸留装置を示す。符号10は加熱炉であり、加熱炉10の上部には、原料の投入口11および還流部12が設けられ、還流部12の下流側には、連結管13を経由して回収容器14が接続されている。回収容器14の上部には、留出物の抜き出し口15が設けられている。加熱炉10、還流部12、連結管13、回収容器14の温度は夫々制御できるようになっている。なお、加熱炉10上部と接続する還流部12の下部の充填物3として、石英の多孔板を設置し、その上に石英製のラシヒリングが充填されている。加熱炉10には、塩化珪素の還元反応工程で生じた回収塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して2質量%以上とした蒸留原料(原料塩化亜鉛)2が充填されている。この装置を用いて蒸留原料2を蒸留することによって、回収容器14において、精製塩化亜鉛と金属亜鉛の混合物からなる留出物4が回収され、大部分の不純物は加熱炉10に残留する。
続いて、図3は、塩化亜鉛の電気分解装置を示す。上記で回収された留出物4は、精製塩化亜鉛と金属亜鉛に分離され、金属亜鉛は塩化珪素の還元反応工程に再利用され、精製塩化亜鉛は、この電気分解装置によって電気分解に供される。符号50は、電解槽であり、その内部に電解浴(精製塩化亜鉛)7が満たされ、図示しない加熱手段によって溶融状態で保持されており、陰極60、および陽極61が浸漬配置されている。電解槽50の上部には、原料投入口51(亜鉛抜き出し口)、塩素吸引配管52が設けられている。また、必要に応じて、陰極60と陽極61の間にバイポーラ極62を浸漬配置しても良い。この装置に通電して電解浴7を電気分解することにより、陰極60の表面に金属亜鉛が析出し、その密度が電解浴よりも大きいことから、電解槽50の底部に沈降し、回収される。また、陽極61の表面には塩素が生成し、塩素吸引配管52によって系外に抜き出され、珪素の塩化反応工程で再利用される。
次に、上述した各工程における実施態様を詳細に説明する。
塩化珪素と亜鉛ガスとの気相反応は、通常、800〜1200℃、好ましくは850〜1050℃の範囲で行われる。亜鉛ガスは、金属亜鉛を加熱し気化することにより得られる。塩化珪素ガスおよび亜鉛ガスの供給量は、還元反応が十分に進行する量であれば特に限定されない。例えば、モル比で塩化珪素ガス:亜鉛ガス=1:10〜10:1、好ましくは1:4〜4:1である。前記範囲内の比で塩化珪素ガスと亜鉛ガスとを供給することにより、多結晶珪素を安定的に生成および成長させることができる。
純度99.9999%(6N)以上の多結晶珪素を得るためには、純度99.999%(5N)以上で硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満の金属亜鉛が必要である。なお、本願発明の純度とは、Fe、Cr、Ni、Cd、Cu、Mg、Mn、Pb、Sn、Ti、Al、B、Pを不純物の対象とし、酸素、珪素は含まない。回収塩化亜鉛には、通常、不純物として表1のようなものが含まれる。
Figure 0005114341
このような回収塩化亜鉛を直接蒸留しても、留出塩化亜鉛に不純物が随伴されてしまい、塩化亜鉛を高純度化することが困難であるが、回収塩化亜鉛の蒸留では、金属亜鉛を添加して含有量を2質量%以上とした原料塩化亜鉛とすると、不純物(金属化合物成分)、特に塩化鉄等の鉄化合物を効率的に除去することができる。
このように、金属亜鉛の含有量を2質量%以上とすると、蒸留後に電気分解して得られる亜鉛の純度が99.999%以上となる。金属亜鉛は多い分には問題はないが、経済性等の観点から通常13質量%以下である。
原料塩化亜鉛の蒸留では、回収塩化亜鉛から塩化亜鉛と亜鉛を効率的に分離すること、回収塩化亜鉛中に分散している亜鉛を凝集して回収できること、上記の金属亜鉛の還元効果により亜鉛より貴な金属の化合物(特に塩化鉄等の鉄化合物)を還元し蒸留釜内に固定し、留出塩化亜鉛を高純度化できる効果がある。蒸留により、原料塩化亜鉛中に含まれる水分を20質量ppm以下、酸化亜鉛を0.1質量%以下、鉄、クロム、ニッケルは1質量ppm未満とすることができる。
原料塩化亜鉛の蒸留には、図2に示す通常の蒸留装置を用いることができるが、塩化亜鉛中に不純物の混入を防ぐため、塩化亜鉛の気体、溶体と接触する部分の材質が、石英、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素及びそれらの複合材料であることが好ましい。
原料塩化亜鉛は、蒸留装置へ投入後、加熱する前に、蒸留装置の内部を不活性ガス、塩素ガスで置換する。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、窒素などを用いることができる。
原料塩化亜鉛の蒸留は700〜950℃で行う。また、蒸留の還流比は1以上が好ましい。1より高いと効率よく塩化亜鉛の精製が可能である。還流比は高すぎても時間がかかるだけであり、1〜5で行われる。そのために、蒸発管に充填物の層、多孔板を設置することが望ましい。
蒸留による留出物は、塩化亜鉛と金属亜鉛の混合液である。静置すると2液相に分相した状態となる。静置温度を550℃〜600℃と設定すると分相を速めることができる。分相後、留出物から金属亜鉛を抜き出すことにより、塩化亜鉛と金属亜鉛を分離回収する。
なお、混合液として留出した蒸留後の金属亜鉛(以後、留出亜鉛と呼ぶ場合がある)は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、塩化珪素の還元反応に繰り返し用いることが可能である。また、蒸留後の塩化亜鉛(以後、留出塩化亜鉛と呼ぶ場合がある)は、溶体のまま電解槽に投入し、電気分解を行い亜鉛と塩素に分離する。
電気分解の方式は、通常の溶融塩電解を行う。留出塩化亜鉛を電解浴として用いるほか、支持電解質として、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びこれらの複合塩等を用いることができる。
電解槽は図3に示す通常の溶融塩の電解槽を使用できる。電解槽は、亜鉛、塩化亜鉛中に不純物の混入を防ぐため、亜鉛の溶体、塩化亜鉛の気体、溶体と接触する部分の材質が、石英、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、及びこれらの複合材料であることが好ましい。
溶体の留出塩化亜鉛を投入後、通電を開始する。通電中は、陰極側で亜鉛、陽極側で塩素が発生する。電極には、カーボン、亜鉛などの材料を用いることができる。電極の配置は、バイポーラ方式でも構わない。なお、電解中は、雰囲気に水分、酸素を取り込まないようにし、酸化亜鉛の生成を抑制する。
電気分解により得られた金属亜鉛は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であるので、塩化珪素の還元による高純度珪素の製造に繰り返し用いることができる。
また、電気分解により得られた塩素は、塩化珪素を得る塩化工程に繰り返し用いることができる。また、塩素は塩化水素とした後、塩化珪素を得る塩化工程に用いてもよい。塩化水素は、水素や有機化合物と反応させることにより得ることができる。
以下、実施例によって本願発明をさらに詳細に説明する。
天井部に石英製の珪素塩化物ガス供給ノズルおよび亜鉛ガス供給ノズルがそれぞれ1本ずつ設置され、下部壁面に排気ガス抜き出しパイプが設置された、縦型円筒形の炭化珪素製反応器を用いた。この反応器を、電気炉により全体が約950℃ となるように加熱した。次いで、この反応器内に、珪素塩化物ガスとして950℃の四塩化珪素ガスと、950℃の亜鉛ガスとを、モル比で四塩化珪素:亜鉛=1:2となるように、各供給ノズルから供給して珪素の還元反応を行った。
四塩化珪素ガスおよび亜鉛ガスの供給を停止し、反応器を冷却した後の解体時内部観察で、珪素塩化物ガス供給ノズルの直下に、多結晶珪素の生成が確認された。得られた多結晶珪素の純度は99.9999%以上であった。一方、塩化亜鉛は、下部壁面の排気ガス抜き出しパイプからの排気ガスを急冷し、回収容器にて回収した。この回収塩化亜鉛の各成分を表2に示す。
Figure 0005114341
なお、各成分の分析方法は以下のとおりである。
(塩化亜鉛中のFe,Cr,Ni,Cd,Cu,Mg,Mn,Pb,Sn,Ti,Al,B,P分の定量)
高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)にて行った。
(金属亜鉛中のFe,Cr,Ni,Cd,Cu,Mg,Mn,Pb,Sn,Ti,Al,B,P分の定量)
グロー放電質量分析法(GD−MS)を用いて行った。
(塩化亜鉛中の水分の定量)
石英容器で塩化亜鉛を溶融した後、カーボン電極を挿入し、1.5Vの直流電圧を印加する。電極間の距離は20mmである。この際に流れる電流は、塩化亜鉛中の水分の電気分解によるものである。電流が流れなくなるまで、電解を続け、そのときの電流と通電時間より、総電荷量を求め、水分量に換算した。この値を、塩化亜鉛の含有水分量とした。
水分量(質量%)=電解した水分総量(g)/投入した塩化亜鉛量(g)
電解した水分総量(g)=(総電荷量(C)×(1.0×2+16))/(96500×2)
総電荷量(C)=電流(A)×通電時間(秒)
(Si,SiO,SiOの定量)
試料5gを塩酸(35〜37%)と純水を1:1で混合した液50mlで常温にて溶解し、目開き1μmの濾紙で減圧濾過を行う。その残渣を乾燥させたものをSi,SiO,SiOとする。
(金属Znの定量方法)
試料2gをエタノール50mlで常温にて溶解し、目開き1μmの濾紙で減圧ろ過を行う。その残渣を鉄ミョウバン2gと純水100mlで金属亜鉛を溶解する。硫酸(95%)と純水を1:1で混合した液100mlを加え、過マンガン酸カリウムで亜鉛溶解で生成した2価の鉄を滴定し、そこから金属亜鉛量を換算する(下記式参照)。
Zn+2Fe3+→Zn2++2Fe2+
5Fe2++MnO +8H→5Fe3++Mn2++4H
(ZnOの定量方法)
試料5gをエタノール50mlで常温にて溶解し、目開き1μmの濾紙で減圧濾過を行う。その残渣を乾燥させたものをZn,ZnO,Si,SiO,SiOとし、上記のSi,SiO,SiOの定量した値とZnの定量した値を引いた値をZnOとする。
(実施例1)
回収塩化亜鉛に金属亜鉛を添加し、金属亜鉛の含有量が5質量%の原料塩化亜鉛1を作製した。
図2に示す蒸留装置を組立てた。蒸留装置は石英製であり、原料を投入する加熱炉10とその上部と連結して還流部12、還流部12と回収容器14をつなぐ連結管13、回収容器14から構成される。加熱炉10、還流部12、連結管13、回収容器14の温度は夫々制御できるようになっている。なお、加熱炉10上部と接続する還流部12の下部には、石英の多孔板を設置し、その上に石英製のラシヒリングを充填した。
まず、装置内部をアルゴンガスで置換した後、装置全体を500℃まで昇温し、加熱炉10内に原料塩化亜鉛1を溶体で投入口11から投入した。その後、加熱炉10の温度を850℃、還流部12の温度を650℃、連結管13の温度を500℃、回収容器14の温度を500℃となるように設定した。塩化亜鉛の蒸気が連結管13まで達したら、塩化亜鉛14の蒸気が連結管13で凝縮し、液化するように連結管13の温度を500℃へ下げた。加熱炉10及び還流部12のヒーターの出力調整により留出速度を調整し還流比を1〜2となるようにして蒸留を行った。平均的な留出速度は30kg/時であった。
所定量留出させたら、装置全体を500℃、回収容器14は600℃に設定し、10分静置した。回収容器14中の留出塩化亜鉛と留出亜鉛が分相したことを確認した後、回収容器14の底に溜まった留出亜鉛を抜き出し口15より石英製の吸引器で抜き出し、その後回収容器14に残った留出塩化亜鉛を回収した。原料の投入と留出液の回収を繰り返し、所定量の留出塩化亜鉛を回収した。得られた留出塩化亜鉛と留出亜鉛の各成分を表3に示す。
Figure 0005114341
得られた留出塩化亜鉛を、図3に示すようなバイポーラ方式の電解槽に投入し、支持電解質として40モル%量の塩化ナトリウムを混合後、電解浴温度を500℃、電流密度1.0A/cmにて電解を行った。電極材料には、陰極60、陽極61、及び複極62全てにカーボンを使用、電解槽50内へはアルゴンガスパージを行い、雰囲気中への水分、酸素の混入を遮断した。
電解により分解消費した塩化亜鉛分を2時間毎に原料投入口より追加投入し、電解浴7のレベルを一定に保ちながら連続して通電を行った。発生する塩素は、塩素吸引配管52で系外に吸引回収し、生成する亜鉛8は電解槽の底に溶体で蓄積させた。所定量の亜鉛が堆積したところで、電解槽の底より、亜鉛抜き出し口51から吸い上げて電解亜鉛として回収した。この電解亜鉛の成分及び電流効率を表4に示す。なお、電流効率は以下の式より算出した。
(電流効率)
電流効率(%)=回収した亜鉛の質量(g)/通電量からの理論生成量(g)×100
通電量からの理論生成量(g)=(総電荷量(C)×65.39(g/mol))/(96500(C/mol)×2)
総電荷量(C)=電流(A)×通電時間(秒)
電流効率は92.0%であった。また、得られた電解亜鉛は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であった。また、留出亜鉛は、電解亜鉛と同等の品質のものが得られた。
Figure 0005114341
(実施例2)
金属亜鉛含有量が2質量%の原料塩化亜鉛2とした以外は、実施例1の同様の方法で蒸留および電気分解を行った。回収した留出塩化亜鉛と電解亜鉛の各成分を表5に示す。
電流効率は91.7%であった。また、得られた電解亜鉛は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であった。
Figure 0005114341
(実施例3)
金属亜鉛含有量が13質量%の原料塩化亜鉛3とした以外は、実施例1と同様の方法で蒸留および電気分解を行った。回収した留出塩化亜鉛と亜鉛の各成分を表6に示す。電流効率は91.3%であった。また、得られた電解亜鉛は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であった。
Figure 0005114341
(実施例4)
(回収された亜鉛の再利用)
実施例1の電解亜鉛を用いて、実施例と同様の方法で塩化珪素と反応させ、高純度珪素を作製した。その結果、得られた多結晶珪素の純度は99.9999%以上であった。
(比較例1)
回収塩化亜鉛の金属亜鉛含有量が0.5質量%のものを蒸留原料とした以外は、実施例1と同様の方法で蒸留および電気分解を行った。そのとき回収した留出塩化亜鉛と留出亜鉛の各成分を表7に示す。電流効率は90.8%であったが、得られた電解亜鉛は、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であったものの、純度は99.999%未満であった。
Figure 0005114341
(比較例2)
回収塩化亜鉛の蒸留精製を行わずにそのまま電解原料として、実施例1の電解と同様の方法で電解を行った。生成する電解亜鉛の溶体は粉状で凝集しなかった(電解槽の底に溶体で蓄積しなかった)。粉状の電解亜鉛を採取し、その成分、及び電流効率を表8に示す。電流効率は31.9%であり、得られた電解亜鉛は、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であったものの、純度は99.999%未満であった。
Figure 0005114341
亜鉛還元法における回収塩化亜鉛の電気分解の高効率化および亜鉛の高品質化を実現し、太陽電池の製造コスト削減に寄与する。
亜鉛還元法の流れを示すチャート図である。 本願発明の蒸留装置を示す模式断面図である。 本願発明の溶融塩電解装置を示す模式断面図である。
符号の説明
10…加熱炉、11…投入口、12…還流部、13…連結管、14…回収容器、15…抜き出し口、2…蒸留原料(原料塩化亜鉛)、3…充填物、4…留出物、50…電解槽、51…原料投入口(亜鉛抜き出し口)、52…塩素吸引配管、60…陰極、61…陽極、62…バイポーラ極、7…電解浴、8…亜鉛

Claims (7)

  1. 粗塩化亜鉛を溶融塩電解する亜鉛の製造方法であって、該粗塩化亜鉛は、塩化珪素と亜鉛を反応させて珪素とともに副生する粗塩化亜鉛であり、
    上記粗塩化亜鉛を蒸留して精製塩化亜鉛を得る蒸留工程と、上記精製塩化亜鉛を溶融塩電解して亜鉛及び塩素を回収する溶融塩電解工程からなり、
    さらに、上記蒸留工程に先立って、上記粗塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して金属亜鉛濃度を2質量%以上とすることを特徴とする亜鉛の製造方法。
  2. 前記粗塩化亜鉛中の金属亜鉛濃度は、2〜13質量%であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛の製造方法。
  3. 前記塩化珪素と前記亜鉛との反応を気相にて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛の製造方法。
  4. 前記塩化珪素は、塩酸又は塩素と珪素の反応により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛の製造方法。
  5. 前記塩化珪素は、塩素と酸化珪素と炭素の反応により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛の製造方法。
  6. 粗珪素または珪素化合物を塩酸又は塩素と反応させ塩素化して塩化珪素を得る塩化工程、上記塩化珪素と亜鉛を反応させて珪素および粗塩化亜鉛を得る珪素製造工程、上記粗塩化亜鉛を蒸留精製し、精製塩化亜鉛を得る蒸留工程、および上記精製塩化亜鉛を溶融塩電解して亜鉛および塩素を得る溶融塩電解工程からなる珪素の製造方法であって、
    上記溶融塩電解工程において得られた亜鉛および塩素を、上記珪素製造工程および上記塩化工程にそれぞれ再利用し、
    さらに、上記蒸留工程に先立って、上記粗塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して金属亜鉛濃度を2質量%以上とすることを特徴とする珪素の製造方法。
  7. 前記粗塩化亜鉛中の金属亜鉛濃度は、2〜13質量%であることを特徴とする請求項6に記載の珪素の製造方法。
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