JP5114341B2 - 亜鉛および珪素の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)電流効率が著しく低い
(2)得られる亜鉛の純度が低い
といった問題点があった。
(1)不溶不純物の存在により、生成亜鉛が合体しにくく、微粒子状での滞留時間が長くなり、亜鉛から塩化亜鉛への逆反応の発生頻度が高く、電流効率が著しく低くなる
(2)不純物(金属成分)の存在により、電解すると不純物が生成亜鉛に取り込まれ、亜鉛の純度が低くなる
と考えた。そこで、このような状況に対して、回収塩化亜鉛の精製のために蒸留を行ったところ、留出塩化亜鉛に上記不純物が随伴されてしまい、精製を行うことが困難であった。
図1は、本願発明の亜鉛還元法の流れを示すチャート図である。まず、塩化反応工程においては、原料である金属珪素(不純物を含む粗珪素)と塩素または塩酸を反応させて、塩化珪素を生成させる。ここで、珪素原料としては、金属珪素の他に、酸化珪素及び炭素を使用することもできる。次に、還元反応工程においては、塩化珪素と亜鉛を気相にて反応させて、目的の高純度珪素(ポリシリコン)を得るとともに、塩化亜鉛を副生する。副生した塩化亜鉛は、電気分解によって、亜鉛と塩素となり、亜鉛は塩化珪素の還元反応工程、塩素は珪素原料の塩化反応工程に再利用される。
塩化珪素と亜鉛ガスとの気相反応は、通常、800〜1200℃、好ましくは850〜1050℃の範囲で行われる。亜鉛ガスは、金属亜鉛を加熱し気化することにより得られる。塩化珪素ガスおよび亜鉛ガスの供給量は、還元反応が十分に進行する量であれば特に限定されない。例えば、モル比で塩化珪素ガス:亜鉛ガス=1:10〜10:1、好ましくは1:4〜4:1である。前記範囲内の比で塩化珪素ガスと亜鉛ガスとを供給することにより、多結晶珪素を安定的に生成および成長させることができる。
天井部に石英製の珪素塩化物ガス供給ノズルおよび亜鉛ガス供給ノズルがそれぞれ1本ずつ設置され、下部壁面に排気ガス抜き出しパイプが設置された、縦型円筒形の炭化珪素製反応器を用いた。この反応器を、電気炉により全体が約950℃ となるように加熱した。次いで、この反応器内に、珪素塩化物ガスとして950℃の四塩化珪素ガスと、950℃の亜鉛ガスとを、モル比で四塩化珪素:亜鉛=1:2となるように、各供給ノズルから供給して珪素の還元反応を行った。
(塩化亜鉛中のFe,Cr,Ni,Cd,Cu,Mg,Mn,Pb,Sn,Ti,Al,B,P分の定量)
高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)にて行った。
グロー放電質量分析法(GD−MS)を用いて行った。
石英容器で塩化亜鉛を溶融した後、カーボン電極を挿入し、1.5Vの直流電圧を印加する。電極間の距離は20mmである。この際に流れる電流は、塩化亜鉛中の水分の電気分解によるものである。電流が流れなくなるまで、電解を続け、そのときの電流と通電時間より、総電荷量を求め、水分量に換算した。この値を、塩化亜鉛の含有水分量とした。
水分量(質量%)=電解した水分総量(g)/投入した塩化亜鉛量(g)
電解した水分総量(g)=(総電荷量(C)×(1.0×2+16))/(96500×2)
総電荷量(C)=電流(A)×通電時間(秒)
試料5gを塩酸(35〜37%)と純水を1:1で混合した液50mlで常温にて溶解し、目開き1μmの濾紙で減圧濾過を行う。その残渣を乾燥させたものをSi,SiO2,SiOとする。
試料2gをエタノール50mlで常温にて溶解し、目開き1μmの濾紙で減圧ろ過を行う。その残渣を鉄ミョウバン2gと純水100mlで金属亜鉛を溶解する。硫酸(95%)と純水を1:1で混合した液100mlを加え、過マンガン酸カリウムで亜鉛溶解で生成した2価の鉄を滴定し、そこから金属亜鉛量を換算する(下記式参照)。
Zn+2Fe3+→Zn2++2Fe2+
5Fe2++MnO4 ―+8H+→5Fe3++Mn2++4H2O
試料5gをエタノール50mlで常温にて溶解し、目開き1μmの濾紙で減圧濾過を行う。その残渣を乾燥させたものをZn,ZnO,Si,SiO2,SiOとし、上記のSi,SiO2,SiOの定量した値とZnの定量した値を引いた値をZnOとする。
回収塩化亜鉛に金属亜鉛を添加し、金属亜鉛の含有量が5質量%の原料塩化亜鉛1を作製した。
図2に示す蒸留装置を組立てた。蒸留装置は石英製であり、原料を投入する加熱炉10とその上部と連結して還流部12、還流部12と回収容器14をつなぐ連結管13、回収容器14から構成される。加熱炉10、還流部12、連結管13、回収容器14の温度は夫々制御できるようになっている。なお、加熱炉10上部と接続する還流部12の下部には、石英の多孔板を設置し、その上に石英製のラシヒリングを充填した。
(電流効率)
電流効率(%)=回収した亜鉛の質量(g)/通電量からの理論生成量(g)×100
通電量からの理論生成量(g)=(総電荷量(C)×65.39(g/mol))/(96500(C/mol)×2)
総電荷量(C)=電流(A)×通電時間(秒)
金属亜鉛含有量が2質量%の原料塩化亜鉛2とした以外は、実施例1の同様の方法で蒸留および電気分解を行った。回収した留出塩化亜鉛と電解亜鉛の各成分を表5に示す。
電流効率は91.7%であった。また、得られた電解亜鉛は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であった。
金属亜鉛含有量が13質量%の原料塩化亜鉛3とした以外は、実施例1と同様の方法で蒸留および電気分解を行った。回収した留出塩化亜鉛と亜鉛の各成分を表6に示す。電流効率は91.3%であった。また、得られた電解亜鉛は、純度が99.999%以上(5N以上)であり、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であった。
(回収された亜鉛の再利用)
実施例1の電解亜鉛を用いて、実施例と同様の方法で塩化珪素と反応させ、高純度珪素を作製した。その結果、得られた多結晶珪素の純度は99.9999%以上であった。
回収塩化亜鉛の金属亜鉛含有量が0.5質量%のものを蒸留原料とした以外は、実施例1と同様の方法で蒸留および電気分解を行った。そのとき回収した留出塩化亜鉛と留出亜鉛の各成分を表7に示す。電流効率は90.8%であったが、得られた電解亜鉛は、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であったものの、純度は99.999%未満であった。
回収塩化亜鉛の蒸留精製を行わずにそのまま電解原料として、実施例1の電解と同様の方法で電解を行った。生成する電解亜鉛の溶体は粉状で凝集しなかった(電解槽の底に溶体で蓄積しなかった)。粉状の電解亜鉛を採取し、その成分、及び電流効率を表8に示す。電流効率は31.9%であり、得られた電解亜鉛は、硼素が1質量ppb未満、燐が5質量ppb未満、アルミニウムが5質量ppb未満であったものの、純度は99.999%未満であった。
Claims (7)
- 粗塩化亜鉛を溶融塩電解する亜鉛の製造方法であって、該粗塩化亜鉛は、塩化珪素と亜鉛を反応させて珪素とともに副生する粗塩化亜鉛であり、
上記粗塩化亜鉛を蒸留して精製塩化亜鉛を得る蒸留工程と、上記精製塩化亜鉛を溶融塩電解して亜鉛及び塩素を回収する溶融塩電解工程からなり、
さらに、上記蒸留工程に先立って、上記粗塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して金属亜鉛濃度を2質量%以上とすることを特徴とする亜鉛の製造方法。 - 前記粗塩化亜鉛中の金属亜鉛濃度は、2〜13質量%であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛の製造方法。
- 前記塩化珪素と前記亜鉛との反応を気相にて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛の製造方法。
- 前記塩化珪素は、塩酸又は塩素と珪素の反応により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛の製造方法。
- 前記塩化珪素は、塩素と酸化珪素と炭素の反応により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛の製造方法。
- 粗珪素または珪素化合物を塩酸又は塩素と反応させ塩素化して塩化珪素を得る塩化工程、上記塩化珪素と亜鉛を反応させて珪素および粗塩化亜鉛を得る珪素製造工程、上記粗塩化亜鉛を蒸留精製し、精製塩化亜鉛を得る蒸留工程、および上記精製塩化亜鉛を溶融塩電解して亜鉛および塩素を得る溶融塩電解工程からなる珪素の製造方法であって、
上記溶融塩電解工程において得られた亜鉛および塩素を、上記珪素製造工程および上記塩化工程にそれぞれ再利用し、
さらに、上記蒸留工程に先立って、上記粗塩化亜鉛に金属亜鉛を添加して金属亜鉛濃度を2質量%以上とすることを特徴とする珪素の製造方法。 - 前記粗塩化亜鉛中の金属亜鉛濃度は、2〜13質量%であることを特徴とする請求項6に記載の珪素の製造方法。
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