JP5113431B2 - 車両用ホイール - Google Patents

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Description

本発明は自動車用のホイールに関し、詳しくは樹脂製の加飾部材をもつホイールに関する。
自動車のタイヤが装着されるホイールは、燃費の向上を目的として、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽合金から形成されたものが多く用いられている。このような軽合金製のホイールはリム部とディスク部とよりなるものであり、ディスク部に飾り穴を形成することによってさらなる軽量化を達成するとともに、意匠性の向上、冷却効率の向上が図られている。
軽合金製のホイールは、その金属光沢を利用して、ホイールキャップを用いることなくホイール本体のみで意匠を表現するのが一般的である。しかしながらホイール本体のみで意匠を表現すると、意匠面に傷が付いた場合などにはホイール本体を交換しなければならず不経済である。また意匠によっては、ホイールとしての強度を満足しないものもあり、そのような意匠を具現することは困難である。
そこで特開平11−227402号公報、特開2002−079801号公報、特開2003−159901号公報、特開2005−324799号公報などには、樹脂製の加飾部材をホイール本体に着脱可能に組付けた加飾軽合金ホイールが提案されている。例えば特開2003−159901号公報に記載の加飾軽合金ホイールでは、ホイール本体のスポーク部を含む表面に窪みを形成し、樹脂製の加飾部材をその窪みに交換可能に装着している。また特開2005−324799号公報に記載の加飾軽合金ホイールでは、スポーク部に形成された貫通孔に弾性ブッシュを介して樹脂製加飾カバーから突出する突起部が嵌合することで、加飾カバーを交換可能に装着している。
上記した樹脂製の加飾部材を用いることで、ホイール本体の強度を確保しつつ意匠の自由度が大幅に向上する。
ところで樹脂製の加飾部材をホイール本体に取付ける場合には、加飾部材が外れるのを防止する必要があることから、加飾部材にボルトを一体に埋め込み、ホイール本体に形成されたボルト孔を介してボルトとナットで固定する方法が一般的である。加飾部材は裏面側をホイール本体の表面に対向させて組付けられるのが通常であるため、ボルトの軸方向はホイール本体の軸方向と略平行となる。したがってホイール本体の表面側からボルトをボルト孔に挿通し、ホイール本体の裏面側からナットで締結することとなる。
ところがボルトをボルト孔に挿通しただけでは、ホイール本体をひっくり返した時に加飾部材が抜け落ちてしまう。そのため作業者は一方の手で加飾部材をホイール本体の表面側に押しつけながら、他方の手でホイール本体の裏側からナットを締結する必要があるが、ホイール本体は軽合金製とはいえどもかなりの重量があるために、その作業は工数が多大なものとなっている。
特開平11−227402号 特開2002−079801号 特開2003−159901号 特開2005−324799号
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、加飾部材の組付け時における工数を大幅に低減することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の車両用ホイールの特徴は、リム部とディスク部とよりなるホイール本体と、ホイール本体に保持された樹脂製の加飾部材と、からなる車両用ホイールであって、加飾部材は、ホイール本体の表面側に形成された第1係止部とホイール本体の裏面側又は側面側に形成された第2係止部との少なくとも二つの係止部でホイール本体に保持され、第1係止部及び第2係止部は加飾部材の内周表面から内側へ突出する突起又はボルトを含み、第1係止部における突起又はボルトの突出方向と、第2係止部における突起又はボルトの突出方向とが異なっていることにある。
本発明の車両用ホイールによれば、加飾部材は、互いに異なる方向で係止される第1係止部と第2係止部との少なくとも二つの係止部でホイール本体に保持されている。例えば第2係止部がホイール本体の軸方向と同一方向の係止方向である場合、先ずホイール本体の側面側にある第1係止部で加飾部材を係止しておけば、ホイール本体の表面側を下方にした状態でも加飾部材は抜け落ちることがない。したがって加飾部材を手で保持しておく必要なく、第2係止部での組付作業を行うことができるので、工数を大幅に低減することができる。
本発明の車両用ホイールは、ホイール本体と、加飾部材とから構成される。ホイール本体は、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽合金から形成されたものを用いることができる。ホイール本体は、タイヤのビード部が着座するリム部とディスク部とよりなる。
ディスク部はボルト孔を有するハブ部と外縁とを備えている。ハブ部と外縁との間にはスポーク部、メッシュ部、あるいは板部などが形成され、それぞれスポークタイプディスク、メッシュタイプディスク、ディッシュタイプディスクと呼ばれている。ディスク部には一般に飾り穴が形成され、スポークタイプディスクでは隣接するスポークどうしの間に飾り穴を形成することができる。メッシュタイプディスクでは、メッシュの目を飾り穴とすることができる。さらにディッシュタイプディスクでは、板部に形成された貫通孔を飾り穴とすることができる。
加飾部材は、軽量化の観点より樹脂から形成され、硬質樹脂から形成することが望ましい。硬質樹脂としては、例えばABS、PP、PA、ノリル樹脂、ポリカABSアロイ樹脂などが例示される。またカーボン繊維、ガラス繊維あるいはセラミック粉末などの各種フィラーで強化された強化樹脂を用いることもできる。
加飾部材の加飾方法としては、無電解メッキ、蒸着、塗装など既知の方法を用いることができ、その意匠としては金属光沢、車両のボディ塗色などが挙げられる。
加飾部材は、ホイール本体の種々の部位に設けることができる。例えばスポーク部の表面を覆うように保持されてもよいし、飾り穴内に突出するように設けることもできる。この加飾部材は、第1係止部と、第1係止部の係止方向とは異なる方向で係止される第2係止部と、の少なくとも二つの係止部でホイール本体に保持されている。
例えば第1係止部をスポーク部の表面側に設け、その係止方向がホイール本体の軸方向と平行である場合には、第2係止部はスポーク部の側面側又はスポーク部の裏面側に設けられその係止方向をホイール本体の軸方向と交差させる。このように係止方向が互いに交差する少なくとも二つの係止部で保持することで、組付作業の工数を大幅に低減することができる。またホイール本体に対して加飾部材が相対移動するのが防止でき、走行時の回転による遠心力などによって加飾部材が変位してホイール本体の一部と干渉するような不具合を防止することができる。
第1係止部又は第2係止部としては、ボルト、ボルト穴、埋め込みナット、ピンとピン穴、係止爪と係止穴、などの組み合わせ、あるいは両面テープ、接着剤などによる接合構造、又は凹凸係合などを用いることができる。また第1係止部又は第2係止部に、加飾部材を構成する樹脂の弾性を利用してスポーク部などを挟持する手段を併用することも好ましい。
第1係止部及び第2係止部は、加飾部材の周縁部より内周側に形成されていることが好ましい。これによりホイールを車外から正面視したときに、第1係止部及び第2係止部が視認されにくくなり、意匠性がさらに向上する。
第1係止部又は第2係止部は、ハブ部やスポーク部あるいはリム部に設けることができる。またハブ部やスポーク部あるいはリム部から飾り穴内に延出する舌片部あるいは薄肉部などを形成し、その舌片部あるいは薄肉部などを第1係止部又は第2係止部としてもよい。この場合、加飾部材の周縁部が舌片部あるいは薄肉部を覆うように構成し、舌片部又は薄肉部が視認されにくくすることが望ましい。
ディスク部はハブ部と、ハブ部とリム部を連結する複数のスポーク部とを有し、加飾部材は円板部と、円板部から放射状に延びる複数のスポーク被覆部と、からなる一体成形品であり、複数のスポーク被覆部がスポーク部をそれぞれ加飾することが好ましい。このようにすれば、後述の実施例で説明するように、加飾部材をホイール本体にあてがい一方向に回転させることで、全てのスポーク被覆部を第1係止部又は第2係止部で同時に係止することができる。したがって加飾部材の組付作業性が格段に向上する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本実施例の車両用ホイールの正面図を、図2にその断面図を示す。このホイールは、アルミニウム合金製の金属光沢を有するホイール本体1と、ポリカABSアロイ樹脂から射出成形により形成された加飾部材2と、から構成されている。
ホイール本体1は、タイヤのビード部が着座する略円筒状のリム部10と、車軸を取付けるハブ部11と、リム部10とハブ部11とを連結する複数のスポーク部12と、を有している。ハブ部11にはハブ穴110 が形成され、ハブ穴110 周りにホイールを車軸のハブに固定するためのハブボルトが貫通する複数のボルト孔111 が形成されている。なお本実施例ではリム部10、ハブ部11及びスポーク部12は一体に形成されているが、それぞれ別に形成されたリム部10とハブ部11及びスポーク部とが結合されたホイール本体を用いることもできる。
スポーク部12は7本形成され、ハブ部11から星型略放射状に延びている。スポーク部12どうしの間には、飾り穴13が形成されている。
それぞれのスポーク部12の外周側表面には、加飾部材2が配置されている。加飾部材2の表面は、無電解めっき処理によって金属光沢の意匠を呈している。
加飾部材2は互いに対向する一対の脚部20、21をもつ断面略U字形状に形成され、図3、4に示すように、一対の脚部20、21の内周表面には第1突起22と第2突起23とがそれぞれ形成されている。第1突起22と第2突起23とは、共に内側へ向かって突出している。
一方、スポーク部12には、表面側に第1凹部13が形成され、裏面側に第2凹部14が形成されている。そして第1突起22が第1凹部13と係合し、第2突起23が第2凹部14と係合することで、加飾部材2は自身の弾性力によってスポーク部12に組付けられている。
組付け前におけるスポーク部12と加飾部材2との関係は、図4に示すスポーク部12の高さ(H)が加飾部材2の内幅(L)より僅かに大きくなるように構成されている。したがって加飾部材2をスポーク部12に取り付ける際には、加飾部材2の一対の脚部20、21の開口側をスポーク部12に押し付ける。するとスポーク部12の表面によって案内されることで、図4に破線で示すように一対の脚部20、21が互いに離れる方向へ弾性変形する。そしてその弾性反力によって第1突起22が第1凹部13と係合し、第2突起23が第2凹部14と係合するとともに、弾性反力によって一対の脚部20、21がスポーク部12を把持する。
したがって本実施例の車両用ホイールによれば、加飾部材2をスポーク部12にワンタッチで組付けることができる。しかも一対の脚部20、21でスポーク部12を挟んだ状態で組付けられるので、組付け前に加飾部材2がホイール本体1から脱落するような不具合がなく、加飾部材2の組付作業性が大幅に向上する。
さらに第1突起22と第1凹部13とが係合した第1係止部と、第2突起23と第2凹部とが係合した第2係止部とは、加飾部材2の裏面側にあって加飾部材2で覆われているので、正面から第1係止部及び第2係止部が視認されることがなく高い意匠性を備えている。そして加飾部材2は樹脂製であるので、同じ意匠を全てアルミニウム合金で形成する場合に比べて軽量化を達成でき燃費の向上に貢献できる。
また加飾部材2はスポーク部12の表面側と裏面側の2箇所でホイール本体1に組付けられているので、走行時の荷重に十分耐えることができ、交換も容易である。さらに、色彩的にも自由度が高い加飾部材とすることができ、合金製のホイール本体と協働して新規な意匠のホイールとすることができる。
(実施例2)
本実施例のホイールは、第2係止部の構造が異なること以外は実施例1と同様であるので、実施例1との相違部分についてのみ説明する。図5に示すように、スポーク部12の裏面側にはボルト孔15が形成され、加飾部材2の一方の脚部21には貫通孔23が形成されている。そして第1突起22が第1凹部13と係合し、貫通孔23に挿通されたボルト3がボルト孔15に螺止されることによって、加飾部材2がスポーク部12に組付けられている。
本実施例のホイールにおいては、加飾部材2の組付け時には一対の脚部20、21の開口側をスポーク部12に押し付ける。この時、加飾部材2に弾性変形が生じなくても、一対の脚部20、21がスポーク部12を表裏で挟んだ状態となる。したがってその状態でホイール本体1をひっくり返しても、加飾部材2がホイール本体1から脱落するような不具合がなく、加飾部材2の組付作業性が大幅に向上する。
なおボルト3に代えて両面テープを用いて接合することも可能であり、この場合も同様の作用効果が奏される。
(実施例3)
本実施例のホイールは、断面略く字状の加飾部材4を用い、第2係止部の構造が異なること以外は実施例1と同様であるので、実施例1との相違部分についてのみ説明する。
実施例1と同様に、加飾部材4の一端部40に設けられた突起41がスポーク部12に形成された第1凹部13と係合している。一方、加飾部材4の他端部42はスポーク部12の側面に対向し、その部分にはボス部43が形成され、ボス部43からは埋め込みボルト44が突出している。この埋め込みボルト44は、スポーク部12の裏面側に形成された断面U字形状の溝部16に係合し、溝部16の開口より径の大きなワッシャ45、46を介してナット5が締結されている。
本実施例のホイールにおいて加飾部材2の組付け時には、突起41を第1凹部13と係合するとともに、埋め込みボルト44を溝部16に係合させる。すると加飾部材4の一端部40と埋め込みボルト44とがスポーク部12を表裏から挟んだ状態となる。したがってその状態でホイール本体1をひっくり返しても、組付け前に加飾部材4がホイール本体1から脱落するような不具合がなく、加飾部材4の組付作業性が大幅に向上する。
(実施例4)
本実施例に用いたホイール本体5の背面図を図7に示し、加飾部材6の背面図を図8に示す。ホイール本体5は、実施例1と同様に、タイヤのビード部が着座する略円筒状のリム部50と、車軸を取付けるハブ部51と、リム部50とハブ部51とを連結する複数のスポーク部52と、を有している。図7は背面図であるため、スポーク部52の裏面側に存在する肉盗み部が表出している。
スポーク部52は実施例1とほぼ同様の形状であり、その表面及び裏面には実施例1の第1凹部13及び第2凹部14に相当する凹部が形成されている。図7には、実施例1の第2凹部14に相当する第2凹部54が示されている。実施例1の第1凹部13に相当する凹部は隠れている。
加飾部材6は、ハブ部51に対応する円板部60と、円板部60から略放射状に突出しスポーク部62に対応する複数の腕部61と、それぞれの腕部61の先端に形成された断面略U時形状の加飾部62と、から構成されている。加飾部62は、無電解めっきによってクロム調の金属光沢を有している。
加飾部62は、実施例1の加飾部材2と同様に一対の脚部62a 、62b をもつ断面略U字形状に形成され、一対の脚部一対の脚部62a 、62b の内周表面には第1突起63と、隠れて図示されない第2突起とが形成されている。
本実施例のホイールでは、加飾部材6を組み付ける際には、先ず図9に示すように加飾部材6をホイール本体5の裏面側に配置し、加飾部62をスポーク部52どうしの間の飾り穴内に位置させる。その後図9の矢印方向へ加飾部材6を回動させると、実施例1と同様に加飾部62の一対の脚部62a 、62b の開口側がスポーク部52に押し付けられる。すると実施例1と同様に一対の脚部62a 、62b が互いに離れる方向へ弾性変形する。そしてその弾性反力によって第1突起63が図示されない凹部と係合し、図示されない第2突起が第2凹部54と係合するとともに、弾性反力によって一対の脚部62a 、62b がスポーク部52を把持する。
したがって本実施例の車両用ホイールによれば、実施例1と同様の作用効果が奏されるとともに、加飾部材6を回動させるだけで複数の加飾部62を複数のスポーク部52に同時に組付けることができ、組付け作業性が格段に向上する。
なお本実施例では、加飾部材6をホイール本体のディスク部の背面側に配置したが、ディスク部の表面側に加飾部材を配置する場合でも同様の作用効果が奏されることは云うまでもない。
本発明の一実施例に係るホイールの平面図である。 本発明の一実施例に係るホイールの断面図である。 本発明の一実施例に係るホイールの要部拡大断面図を示し、加飾部材をスポーク部に組付け後の状態を示す説明図である。 本発明の一実施例に係るホイールの要部拡大断面図を示し、加飾部材をスポーク部に組付け前の状態を示す説明図である。 本発明の第2の実施例に係るホイールの要部拡大断面図である。 本発明の第3の実施例に係るホイールの要部拡大断面図である。 本発明の第4の実施例に用いたホイール本体の背面図である。 本発明の第4の実施例に用いた加飾部材の背面図である。 本発明の第4の実施例に係るホイールにおいて、加飾部材の組付け方法を示す説明図である。
符号の説明
1:ホイール本体 2:加飾部材 3:ボルト
10:リム部 11:ハブ部 12:スポーク部

Claims (4)

  1. リム部とディスク部とよりなるホイール本体と、該ホイール本体に保持された樹脂製の加飾部材と、からなる車両用ホイールであって、
    該加飾部材は、該ホイール本体の表面側に形成された第1係止部と該ホイール本体の裏面側又は側面側に形成された第2係止部との少なくとも二つの係止部で該ホイール本体に保持され、
    該第1係止部及び該第2係止部は該加飾部材の内周表面から内側へ突出する突起又はボルトを含み、該第1係止部における該突起又はボルトの突出方向と、該第2係止部における該突起又はボルトの突出方向とが異なっていることを特徴とする車両用ホイール。
  2. 前記加飾部材は互いに対向する一対の脚部をもつ断面略U字形状に形成され、一対の該脚部の内周表面に前記突起又はボルトがそれぞれ形成されている請求項1に記載の車両用ホイール。
  3. 一方の前記突起が該ホイール本体の表面側に形成された第1凹部に係合することで前記第1係止部が構成され、他方の前記突起が前記ホイール本体の裏面側に形成された第2凹部に係合することで前記第2係止部が構成されている請求項2に記載の車両用ホイール。
  4. 前記ディスク部はハブ部と、該ハブ部と前記リム部を連結する複数のスポーク部とを有し、前記加飾部材は円板部と、該円板部から放射状に延びる複数のスポーク被覆部と、からなる一体成形品であり、複数の該スポーク被覆部が該スポーク部をそれぞれ加飾する請求項1又は請求項2に記載の車両用ホイール。
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