JP5112583B2 - カソデックス、その誘導体およびその中間体の鏡像体を非対照的に合成する方法 - Google Patents

カソデックス、その誘導体およびその中間体の鏡像体を非対照的に合成する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機化合物を合成する方法に関し、さらに詳細には、光学活性な製薬学的化合物およびそれらの中間体を不斉合成する方法に関する。
【0002】
本願は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす、1999年10月19日に提出された、N. Ekwuribe、米国特許仮出願第60/160,412号に関連し、その出願による優先権を主張するものである。
【0003】
【従来の技術】
アンドロゲン遮断は、前立腺癌患者の一般的な治療法である。種々の非ステロイド抗アンドロゲン剤が前立腺癌を治療する際に使用するために知られている。例えば、世界的に最も一般的に使用されている非ステロイド抗アンドロゲン剤の1つであるビカルタミドは、典型的には、前立腺癌の治療に使用されている。ビカルタミドはZeneka Pharmaceuticals社製のカソデックス登録商標Casodex(ビカルタミド)として市販されている。
【0004】
ビカルタミドの化学名はN-[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-3-[(4[フルオロフェニル)スルホニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパンアミド,(+-)である。ビカルタミドの構造式は以下のようである。
【化31】
Figure 0005112583
プロパンアミドのβ-炭素はキラル炭素である。結果として、ビカルタミドは光学活性な化合物である。
【0005】
光学活性な化合物は偏光面を回転することができる。光学活性な化合物を記載する際には、キラル中心周りの分子の絶対配置を示すために接頭語DおよびLまたはRおよびSを使用する。接頭語dおよびlまたは(+)および(-)は化合物の光学的な回転(すなわち、光学活性な化合物が回転させる偏光面の方向)を示すために使用される。lまたは(-)接頭語は、化合物が左旋性である(すなわち、偏光面を左すなわち反時計方向に回転させる)ことを示すが、dまたは(+)接頭語は、化合物が右旋性である(すなわち、偏光面を右すなわち時計方向に回転させる)ことを意味する。光学的な回転の符号、(-)および(+)は、分子の絶対配置、RおよびSには関連しない。
【0006】
ビカルタミドなどの光学活性な化合物は、互いが互いの鏡像であって重ならないという点を除いて同一である一対の立体異性体として存在する。R異性体などの特定の立体異性体を鏡像体と呼ぶことがある。RおよびS鏡像体の混合物をラセミ混合物と呼ぶことがある。
【0007】
ビカルタミドはラセミ混合物として現在市販されている。ビカルタミドのラセミ混合物は、例えば、Tuckerに付与された米国特許第4,636,505号に記載されている方法を含む種々の方法によって合成することができる。Tuckerは、抗アンドロゲン作用を有するビカルタミドの種々の誘導体および類似体についてさらに記載している。しかし、Tuckerは、登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその中間体の鏡像体を非対称的に不斉合成する方法を開示も示唆もしていない。
【0008】
Grayに付与された米国特許第5,985,868号は、Tuckerに付与された米国特許第4,636,505号に記載されている方法を使用してカソデックス登録商標Casodex(ビカルタミド)のラセミ混合物を合成し、分別結晶化またはキラル酸のジアステレオマーエステルのクロマトグラフィーを使用して登録商標Casodex(ビカルタミド)またはその中間体の鏡像体の分割によって登録商標Casodex(ビカルタミド)の(-)異性体を得ることを提案している。Grayは、単純な結晶化およびクロマトグラフィー分割などの他の標準的な方法も使用できることを記載している。Grayは登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその誘導体および/または中間体の鏡像体を非対称的に不斉合成する方法を開示も示唆もしていない。
【0009】
Howard Tucker et al., Resolution of the Nonsteroidal Antiandrogen 4'-Cyano-3-[(4-fluorophenyl)sulfonyl]-2-hydroxy-2-methyl-3'-(trifluoromethyl)-propioanilide and the Determination of the Absolute Configuration of the Active Enantiomer, 31 J. MED. CHEM. 885-887(1988)において、著者らは出発物質として(S)-プロリンのN-メタクリルアミドを使用して登録商標(S)-Casodex(ビカルタミド)の不斉合成を提案している。提案された反応スキームは以下のようである。
【化32】
Figure 0005112583
この著者は、この方法は、出発物質として入手しにくく高価な(R)-プロリンを必要とする、抗アンドロゲン剤類似体の活性化鏡像体の一般的な合成には好適ではないと記述している。
【0010】
Millerらに付与された米国特許第6,019,957号は、出発物質として(R)-プロリンを使用する登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド)の非対称合成を提案している。提案されている反応スキームは以下のようである。
【化33】
Figure 0005112583
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、(R)-プロリンは入手しにくく、高価な出発物質である。登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその誘導体および/または中間体の鏡像体を非対称的に合成する、出発物質として(R)-プロリンを使用しなくてもよく、より価格効率のよい方法を提供することが望ましいと思われる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の実施態様は、登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその中間体の鏡像体を非対称的に合成するための方法を提供する。本発明の実施態様によると非対称的な合成方法は、従来の方法より価格効率がよい。例えば、本発明の実施態様による非対称合成方法は、4-フルオロベンゼンチオールに上記の式1または2のブロモラクトンを反応させる。上記に提案するようにブロモラクトンを加水分解して、次いで4-フルオロベンゼンチオールに得られた酸を反応させないで、ブロモラクトンを加水分解する前に4-フルオロベンゼンチオールにブロモラクトンを反応させることによって、反応生成物の分離を改善し、従って収率を高くすることができる。さらに、本発明の実施態様による非対称合成は、出発物質として入手しにくく、高価な(R)-プロリンを使用する従来のスキームより価格効率をよくすることができるシトラマル酸(2-ヒドロキシ-2-メチルブタン二酸)を出発物質として使用して登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド)および/またはその中間体を生成する。
【0012】
本発明の実施態様によると、登録商標Casodex(ビカルタミド)またはその誘導体などのアシルアニリドの鏡像体を非対照的に合成する方法が提供される。本発明の方法は、開環したとき、式I、
【化34】
Figure 0005112583
(式中、
R1は、炭素原子数4以下のアルキルまたはハロアルキルであり、
R2は、炭素原子数6以下のアルキルであり、
R3は、CH2OR4(式中、R4は水素またはベンジルである)、C(O)CH3またはC(O)OR5(式中、R5は水素またはアルキルである)である)の構造を有する置換基を提供する環構造を有する化合物に式II、
R7-R6-X1H 式II
(式中、
R6は、直接結合または炭素原子数6以下のアルキルであり、
R7は、炭素原子数6以下のアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR7は、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルであるか、またはR7はナフチルであるか、またはR7は酸素、窒素および硫黄から選択される1、2または3つのヘテロ原子を含有し、単環またはベンゾ環に融合していてもよく、不飽和または1または2つのハロゲン、シアノもしくはアミノまたは炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルもしくはアルキルスルホニルまたはオキシもしくはヒドロキシ置換基を有するか、または十分に飽和されている場合には、1または2つのオキソ置換基を有してもよい5-または6因環の飽和または不飽和複素環であり、
X1は、酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)またはアルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)である)
を、式III、
【化35】
Figure 0005112583
(式中、X2は、酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)、酸化イミノアルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)または酸化アルキルイミノである)の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において接触させるステップを含む。本発明の方法は、登録商標Casodex(ビカルタミド)の純粋な鏡像体または登録商標Casodex(ビカルタミド)誘導体の純粋な鏡像体を提供するのに十分な条件下において式IIIの化合物を処理するステップをさらに含む。好ましい実施態様において、R1がメチルであり、R2がメチレンであり、R6が直接結合であり、R7が4-フルオロフェニルであり、X1が硫黄であり、式IIの化合物が4-フルオロベンゼンチオールであり、X2がスルホニルである。
【0013】
本発明による他の実施態様において、環構造を有する化合物が式IV、
【化36】
Figure 0005112583
(式中、
R9は水素または直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキルであり、
R10は直鎖または分岐鎖アルキル、アリールまたはR11X3 4(式中、R11はアルキルであり、X4はアルキル、ハロゲンまたはアリールである)であり、
X3は脱離基である)
の化合物である。式IVの化合物に、式V、
【化37】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において式IIの化合物を接触させる。好ましい実施態様において、R1はメチルであり、R2がメチレンである。特に好ましい実施態様において、式IVの構造を有する化合物を提供するためにシトラマル酸を出発物質として使用する。シトラマル酸は(R)-または(S)-鏡像体であってもよいが、シトラマル酸の(S)-鏡像体は入手がより容易で、(R)-プロリンとは異なって、登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその誘導体などのアリールアニリドを合成する際の比較的高価ではない出発物質であるので、シトラマル酸の(S)-鏡像体を使用することが好ましい。さらに、より活性型の登録商標Casodex(ビカルタミド)(登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド))は、(S)-シトラマル酸を使用して本発明の方法により合成することができる。
【0014】
本発明によるさらに他の実施態様において、環構造を有する化合物は式VIII、
【化38】
Figure 0005112583
(式中、X5は脱離基である)の化合物である。式VIIIの化合物に、式IX、
【化39】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において式IIの化合物を接触させる。
【0015】
本発明のさらに他の実施態様において、環構造を有する化合物は式XI、
【化40】
Figure 0005112583
の化合物である。式XIの化合物に、式XII、
【化41】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において式IIの化合物を接触させる。
【0016】
好ましい実施態様において、式IIIの化合物を式XIII、
【化42】
Figure 0005112583
(式中、
R13はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードもしくは水素、または炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
R14はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、または炭素原子数4以下のアルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
R15は水素またはハロゲンである)
の構造を有する化合物で、式XIV、
【化43】
Figure 0005112583
(式中、X2は、酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)、酸化イミノアルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)または酸化アルキルイミノである)の化合物を提供するのに十分な条件下において処理する。好ましい実施態様において、式XIIIの化合物は4-アミノ-2-トリフルオロメチルベンゾニトリルであり、式XIVの化合物は登録商標Casodex(ビカルタミド)である。
【0017】
本発明による非対称合成方法は、従来の方法より価格効率のよい方法で登録商標(Casodex)(ビカルタミド)および/またはその中間体の純粋な鏡像体を提供することができる。例えば、上記のように、登録商標Casodex(ビカルタミド)のより活性な(R)-鏡像体を提供することを試みている従来の方法は、ラセミ混合物のエステル誘導体を合成し、次いで(S)鏡像体から(R)鏡像体を分離して(S)鏡像体より(R)鏡像体の濃度が高い登録商標Casodex(ビカルタミド)を生成するか、または入手しにくく、高価な(R)-プロリンを出発物質として使用して(R)-鏡像体を非対称的に合成することによってそうしている。ラセミ混合物を合成し、次いで分離するのではなく、登録商標Casodex(ビカルタミド)の(R)鏡像体を非対称的に合成することによって、本発明の実施態様による方法は(S)鏡像体を捨てることに関連する経済的浪費をしなくてすむ。さらに、本発明の実施態様によると、登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド)は、入手しにくく、高価な(R)-プロリンではなく入手が容易な(S)-シトラマル酸を出発物質として使用して非対称的に合成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、好ましい実施態様に関して本明細書において記載される。しかし、これらの実施態様は本発明を例示する目的のためであって、請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではないことが理解されるべきである。R1〜R15、X1〜X5は上記に規定されているので、好ましい実施態様の好ましい置換基を記載する以外は本明細書ではさらに規定しない。
【0019】
本発明の実施態様はアシルアニリドの鏡像体を非対称的に合成する方法を提供する。特に好ましい方法は、従来の生成技法より価格効率のよい登録商標Casodex(ビカルタミド)およびその誘導体の合成経路を提供する。
【0020】
第1の実施態様において、アシルアニリドの鏡像体を非対称的に合成する方法は、開環したとき、式I、
【化44】
Figure 0005112583
の構造を有する置換基を提供する環構造を有する化合物に、式II、
R7-R6-X1H 式II
の構造を有する化合物を、式III、
【化45】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において接触させるステップと、アシルアニリドの純粋な鏡像体を提供するのに十分な条件下において式IIIの化合物を合成するステップとを含む。アシルアニリドの純粋な鏡像体は、好ましくは、登録商標Casodex(ビカルタミド)またはその誘導体の純粋な鏡像体である。さらに好ましくは、アシルアニリドの純粋な鏡像体は登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド)またはその誘導体である。
【0021】
好ましくは、R1およびR2は各々炭素原子数6以下の低級アルキルである。さらに好ましくは、R1はメチルであり、R2はメチレンである。R3は、好ましくは、CH2OHまたはC(O)OHである。好ましくは、R6は直接結合である(すなわち、X1とR7の間の1つ以上の結合)。R7は、好ましくは、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルである。さらに好ましくは、R7は、水素およびハロゲンから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニルである。最も好ましくは、R7は4-フルオロフェニルである。好ましくは、X1は、硫黄、スルフィニル、スルホニルまたはイミノである。X1は、さらに好ましくは、硫黄、スルフィニルまたはスルホニルであり、最も好ましくは、硫黄である。X2は、好ましくは、スルホニルである。
【0022】
開環したとき、式I、
【化46】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供する環構造を有する好ましい化合物の実施態様が図1を参照して本明細書において記載される。スキームAを最初に参照すると、環構造を有する化合物は式IV、
【化47】
Figure 0005112583
の化合物である。式IVの化合物は、式V、
【化48】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において式IIの化合物に接触する。図1、スキームAに例示するように、式Vの化合物は、2つの別個の合成経路の1つに従って式IIIの化合物を提供することができる。式Vの化合物を酸化してX1をX2に変換して、式VIの化合物を提供し、次いでこれを加水分解して式VIのラクトン(複素環)を開環して、式IIIの化合物を提供することができる。または、式Vの化合物を加水分解してオキシ酸を脱保護し、式VIIの化合物を提供し、次いでこれを酸化してX1をX2に変換して、式IIIの化合物を提供することができる。図1、スキームAに示す合成経路は酸化ステップを示しているが、酸化ステップは必要とされないこともあることが理解されるべきである。例えば、X1がスルホニルである場合、酸化ステップが反応過程の後半に実施される場合(例えば、アミド化ステップの後)またはアシルアニリド誘導体が十分に酸化されない場合には酸化ステップは必要とされないことがある。当業者に理解されるように、式Vのラクトンに酸水溶液または塩基水溶液を接触させることを含むが、それらに限定されない種々の手段を使用してラクトンを加水分解することができる。式Vのラクトンは、好ましくは、HClを使用して加水分解される。当業者は、また、式Vの化合物を酸化して式IIIの化合物を得るために種々の方法および薬剤を使用することができることを理解している。
【0023】
好ましくは、R9およびR10は、式IVのラクトンの加水分解を可能にするように選択される。R9は、好ましくは、水素または直鎖、分岐鎖もしくは環状低級アルキルである。さらに好ましくは、R9は水素である。R10は、好ましくは、アリールまたはR11X3 4(式中、R11は低級アルキルであり、X4は低級アルキル、ハロゲンまたはアリールである)である。さらに好ましくは、R10はベンジルまたはR11X3 4(式中、R11はメチルであり、X4はメチル、Cl、Brまたはフェニルである)である。当業者に理解されるように、X3は脱離基である。X3は、好ましくは、ハロゲンであり、さらに好ましくは、臭素である。
【0024】
最も好ましい実施態様において、式IVの化合物は、本明細書に記載されている、図2および3に例示する、シトラマル酸から合成される。 (R)-シトラマル酸、(S)-シトラマル酸またはそのラセミ混合物を出発物質として使用して以下の合成経路を使用することができる。シトラマル酸は、ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrich Corporationの一事業体としてのFluka社製である。アシルアニリド登録商標Casodex(ビカルタミド)およびその誘導体を合成するためには、(S)-シトラマル酸を出発物質として使用することが好ましい。(S)-シトラマル酸は、登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド)を提供する本発明の方法において出発物質として使用することができる。登録商標(R)-Casodex(ビカルタミド)は、前立腺癌および他のアンドロゲン関連疾患を治療するための最も活性な登録商標Casodex(ビカルタミド)鏡像体であると考えられている。入手しにくく、高価である(R)-プロリン出発物質とは全く異なり、(S)-シトラマル酸は入手が容易である。従って、(S)-シトラマル酸を出発物質として使用する本発明の合成方法は、(R)-プロリンを使用するしかない従来の方法より価格効率がよい。
【0025】
図2および3に例示する 種々の合成経路は、反応矢印の隣りの指名によって示される。最初の指名子(最初の小文字のローマ数字)はステップの番号を示すが、次の指名子(大文字、算用数字および2番目の小文字のローマ数字)は特定の経路を示す。共通の前段階のステップの2番目の指名子を全て有するステップの合成経路はその共通のステップを有する。例えば、図2において、ステップ(vi)(A)(1)(i)とステップ(v)(A)(1)(ii)は共通のステップ(iv)(A)(1)の2番目の指名子を全て有する。従って、ステップ(iv)(A)(1)は(A)(1)(i)合成経路および(A)(1)(ii)合成経路の一ステップである。
【0026】
図2に戻ると、ステップ(i)において、保護基がシトラマル酸に付加されて式XVの化合物を提供する。保護基は、式XVのジオキソランを形成することによって、脱炭酸ステップ(ii)からオキシ酸を保護するために使用される。保護基はまた、シトラマル酸分子に分子量を加算することもできる。この大きいシトラマル酸誘導体は、スルフィド形成の前に保護基を脱離する誘導体と比較して、スルフィド形成後により容易に分離することができる(例えば、図3、ステップ(iii)(B)および(iv)(B)(1))。保護基は、好ましくは、アルドール縮合反応によって付加され、さらに好ましくは、硫酸の存在下においてブロマールとシトラマル酸のアルドール縮合反応によって付加される。
【0027】
ステップ(ii)において、式XVの化合物は脱炭酸ハロゲン化を受けて式XVIの化合物を提供する。Hunsdiecker反応に伴う重金属を使用しなくてもいいように、参照としてその全体の内容が本明細書に組み入れられている、24 TETRAHEDRON LETT. 4979-4982(1983)においてBartonらによって提案されている脱炭酸臭素化方法を使用することが好ましい。この臭素化方法の一例は、本明細書の以下に記載する実施例2に提供されている。図2および3は、脱炭酸ハロゲン化ステップであるステップ(ii)を示すが、カルボン酸基を非ハロゲン脱離基と置換する他の脱炭酸ステップなどの種々の脱炭酸ステップを使用することができることは当業者に理解される。
【0028】
ステップ(iii)(A)において、式IIの化合物を式XVIの化合物に付加して式XVIIの化合物を提供する。当業者に理解されるように、式IIの化合物は、好ましくは、置換反応によって付加される。この置換反応の一例は、本明細書の以下に記載する実施例3に提供されている。
【0029】
ここで合成経路(A)(2)を参照すると、式XVIIの化合物はステップ(iv)(A)(2)において酸化されて、式XXIIの化合物を提供する。次いで、ステップ(v)(A)(2)において、好ましくは、加水分解によって保護基を式XXIIの化合物から脱離して、式XXIの化合物を提供する。次いで、ステップ(vi)(A)(2)において、式XIIIの化合物を式XXIの化合物に付加して、式XXのアシルアニリドを提供する。アミド化は、当業者に理解される種々の方法によって実施することができる。アミド化は、好ましくは、酸塩化物のインサイチュー生成によって実施される。塩化チオニルはこの目的に好ましい。
【0030】
合成経路(A)(1)(i)および(A)(l)(ii)は、合成経路(A)(2)について記載したものと同様の過程を使用するので、さらに記載しない。図3を参照すると、合成経路(B)(1)(i)および(B)(2)は合成経路(A)(2)について記載したものと同様の過程を使用するので、さらに記載しない。合成経路(B)(1)(ii)は図2および3の他の合成経路に使用するものと同様の過程を使用する。合成経路(B)(1)(ii)は、本明細書の以下の実施例1〜5に幾分詳細に記載されている。従って、シトラマル酸を出発物質として使用して、開環したとき、式I、
【化49】
Figure 0005112583
の構造を有する置換基を提供する、式IV、
【化50】
Figure 0005112583
環構造を有する化合物を形成することができる。
【0031】
図1を参照すると、スキームBは、開環したとき、式Iの構造を有する置換基を提供する環構造を有する化合物が式VIII、
【化51】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物である本発明の実施態様による他の方法を例示している。式VIIIの化合物は、例えば、参照としてその全体の内容が本明細書に組み入れられている、例えば、Millerらに付与された米国特許第6,019,957号およびHoward Tucker et al., Resolution of the Nonsteroidal Antiandrogen 4'-Cyano-3-[(4-fluorophenyl)sulfonyl]-2-hydroxy-2-methyl-3'-(trifluoromethyl)-propioanilide and the Determination of the Absolute Configuration of the Active Enantiomaer, 31 J. MED. CHE. 885-887(1988)に記載されている合成経路により生成することができる。上記のように、X5は脱離基である。X5は、好ましくは、ハロゲンであり、さらに好ましくは、臭素である。
【0032】
式VIIIの化合物は、式IX、
【化52】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において式IIの化合物に接触する。式IIの化合物は、好ましくは、当業者に理解されるように、置換反応によって式VIIIの化合物に付加される。例えば、実施例3に記載するものと同様の置換反応を使用することができる。
【0033】
図1、スキームBに例示するように、式IXの化合物は、2つの別個の合成経路の1つに従って式IIIの化合物を提供することができる。式IXの化合物を加水分解してオキシ酸を脱保護し、式VIIの化合物を提供し、次いでこれを酸化してX1をX2に変換して、式IIIの化合物を提供することができる。または、式IXの化合物を酸化してX1をX2に変換して、式Xの化合物を提供し、次いでこれを加水分解して式Xの6-因環の複素環を開環して、式IIIの化合物を提供することができる。図1、スキームBに示す合成経路は酸化ステップを示しているが、酸化ステップは必要とされないこともあることが理解されるべきである。例えば、X1がスルホニルである場合、酸化ステップが反応過程の後半に実施される場合(例えば、アミド化ステップの後)またはアシルアニリド誘導体が十分に酸化されない場合には酸化ステップは必要とされないことがある。当業者に理解されるように、式IXの複素環に酸水溶液または塩基水溶液を接触させることを含むが、それらに限定されない種々の手段を使用して6-因環の複素環を加水分解することができる。好ましくは、式IXの化合物はHClを使用して加水分解される。当業者は、また、式IXの化合物を酸化して式IIIの化合物を得るために種々の方法および薬剤を使用することができることを理解している。
【0034】
図1、スキームCを参照すると、開環したとき、式Iの構造を有する置換基を提供する環構造を有する化合物が、式XI、
【化53】
Figure 0005112583
の化合物である本発明による方法の実施態様がここに記載されている。式IXの化合物は、例えば、当業者に理解されるように、アルケノールなどのアルケンのキラルエポキシ化によって生成することができる。式XIの好ましい化合物は、ニュージャージー州フェアローンのAcros Organs USA社製である、2-メチル-1,2-エポキシプロパノール(R1は-CH3であり、R3は-CH2OHである)である。式XIの化合物は、式XII、
【化54】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物を提供するのに十分な条件下において式IIの化合物と接触する。式IIの化合物は、好ましくは、当業者に理解されるように、置換反応によって式XIの化合物に付加される。例えば、実施例3に記載するものと同様の置換反応を使用することができる。次いで、当業者に理解されるように、式XIIの化合物を酸化してX1をX2に変換し、必要に応じて、R3をカルボン酸に変換して式IIIの化合物を提供する。図1、スキームCに示す合成経路は酸化ステップを示しているが、酸化ステップが必要とされないおよび/または望ましくないことがあることが理解されるべきである。例えば、X1がスルホニルであり、および/またはR3がC(O)OHである場合には、酸化ステップは必要でなくおよび/または望ましくないことがある。
【0035】
図1に例示するように、式XIV、
【化55】
Figure 0005112583
の化合物を提供するのに十分な条件下において、式IIIの化合物を、式XIII、
【化56】
Figure 0005112583
の構造を有する化合物で処理することによって、式IIIの化合物をアシルアニリドに変換することができる。アミド化は、当業者に理解される種々の方法によって実施することができる。アミド化は、好ましくは、上記のように塩化チオニルを使用して、酸塩化物のインサイチュー生成によって実施される。
【0036】
R13は、好ましくは、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードまたは水素である。さらに好ましくは、R13は、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、最も好ましくは、R13はシアノである。R14は、好ましくは、炭素原子数4以下のパーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルまたはパーフルオロアルキルスルホニルである。さらに好ましくは、R14はパーフルオロアルキルであり、最も好ましくは、R14はパーフルオロメチルである。最も好ましくは、R15は水素である。X2は、好ましくは、スルフィニルである。
【0037】
上記のように、登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその誘導体の純粋な鏡像体は、本発明の実施態様による方法によって非対称的に合成することができる。これらの鏡像体は、種々の疾患を治療するために使用することができる。例えば、前立腺癌などのアンドロゲン依存性疾患を治療するためには、本発明の方法によって合成された登録商標Casodex(ビカルタミド)の(R)-鏡像体を使用することが好ましい。本発明の方法によって合成される登録商標Casodex(ビカルタミド)および/またはその誘導体は、例えば、参照として開示内容がその全体として本明細書に組み入れられている、Grayに付与された米国特許第5,985,868号に記載されているような治療方法および製薬学的組成物などの種々の治療方法および製薬学的組成物に使用することができる。
【0038】
本発明は以下の実施例を参照して本明細書において説明されている。これらの実施例は本発明の態様を例示する目的のものであって、請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0039】
【実施例】
実施例1
4-メチル-5-オキソ-2-トリフルオロメチル-[1,31-ジオキソラン4イル]-酢酸の合成
ブロマール(89.1 mmol)と(S)-シトラマル酸(74.2 mmol)を125 mLのフラスコ中で不活性雰囲気下において0℃に冷却した。硫酸(25 mL)を撹拌しながら滴加した。2時間後、内容物は黄色の溶液となり白色の結晶が出現した。氷浴をはずし、反応物を室温において終夜撹拌した。暗色の溶液を氷で希釈して、酢酸エチルで4回抽出した。有機層を水で抽出して、次いでMgSO4で乾燥した。ろ過後、ろ液を油状になるまで濃縮した。トルエン/ヘキサンから結晶化して、生成物を白色の固形物として得た。収率60%; mp 151℃(昇華);MS(FAB+)433(M+Na);1H NMR(CDCl3):δ5.77(s, 1H), 3.06(d, J=1.79, 2H), 1.74(s, 3H);13C NMR:δ174.05, 105.55, 79.63, 43,68, 42,73, 25.38;IR:3158, 2939, 1825, 1792, 1732;UV:λmax208, λ1/2max237。元素分析。C7H7Br3O5の計算値;C, 20.46;H, 1.72。観察値:C, 20.89;H, 174。
【0040】
実施例2
5-ブロモメチル-5-メチル-2-トリブロモメチル-[1,3]ジオキソラン-4-オンの合成
実施例1で生成したジオキソラノンと2-メルカプトピリジンN-オキサイドをCBrCl3に懸濁した。反応液を加熱還流し、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)のCBrCl3溶液を30分でゆっくり添加した。反応液をさらに1時間撹拌した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/ヘキサン(1/2))で精製して、同じ溶媒から白色針状物として得た。収率65%; mp 110-113℃;MS(FAB+)親イオンなし;1H NMR(CDCl3):δ5.93(s, 1H), 3.65(d, J=1.4, 1H), 1.79(s, 3H);13C NMR:δ170.58, 105.39, 83.00, 43,51, 35.97, 23.38;IR:2926, 1825, 1176;UV:λmax210, λ1/2max242。元素分析。C6H6Br4O3の計算値;C, 16.17;H, 1.36。観察値:C, 16.38;H, 129。
【0041】
実施例3
3-(4-フルオロ-フェニルスルファニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオン酸の合成
実施例2で生成した保護基を導入したオキシ酸をイソプロパノール:1 M NaOHの1:1混合物に溶解した。3時間後、反応混合物は溶液で、TLC(薄層クロマトグラフィー)で出発物質は検出されなかった。次いで、4-フルオロベンゼンチオールを添加し、反応液を終夜撹拌した。次いで、反応液をHClでpH 8に調節し、CH2Cl2で2回抽出した。次いで、水層をpH 1に調節して、CH2Cl2で抽出した。有機層を油状になるまで濃縮し、放置して結晶化した。オキシ酸はさらに精製しないで次の反応に使用するか、またはクロロホルム/石油エーテルから再結晶した。収率80%; mp 73-75℃;MS(FAB+)230;1H NMR:δ7.43(dd, J=9.0, J=5.1, 2H), 6.96(dd, J=9.0, J=9.0, 2H), 3.40(dd, J=13.8, J=0.9, 1H), 3.15(dd, J=13.8, J=0.9, 1H), 1.53(s, 3H);13C NMR:δ1180,06, 162.37(d, J=327.8),133.93(d, J=10.6), 130.30, 116.31(J=29.2), 74.95, 46.22, 25.83;19F NMR:δ-114.21;IR:3065, 1719;UV:λmax251。
【0042】
実施例4
N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-3-(4-フルオロ-フェニルスルファニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオンアミドの合成
実施例3で生成したオキシ酸(8.5 mmol)と4-アミノ-2-トリフルオロメチルベンゾニトリル(11 mmol)を不活性雰囲気下において乾燥DMA(ジメチルアセトアミド)(15 mL)に溶解した。溶液を-10℃に冷却してから、塩化チオニル(10 mL)をゆっくり添加した。反応液を-10℃において15分間撹拌し、次いで氷浴をはずした。室温において終夜撹拌後、反応液をCH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3で1回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥して、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(6%酢酸エチルのCH2Cl2溶液)で生成物を精製した。収率45%;MS(FAB+)339(M+1);1H NMR:δ8.98(s, 1H), 7.91(s, 1H), 7.74(m, 2H), 7.39(m, 2H), 6.88(m, 2H), 3.75(d, J=14.1, 1H), 3.10(d, J=14.1, 1H), 1.53(s, 3H);13C NMR:δ173.10, 160,87, 141,38, 135.90, 133.97, 128.64, 121.84, 117.34, 116.57. 115.68. 104.83, 75.60, 46.07, 26.61;19F NMR:δ-62.74, -113.22;IR:3357, 3095, 2981, 2232, 1685。
【0043】
実施例5
N-(4-シアノ-3-トリフルオロメチル-フェニル)-3-(4-フルオロ-フェニルスルホニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパンアミドの合成
実施例4で生成したスルフィド(3.19 mmol)のCH2Cl2(43 mL)溶液にmCPBA(meta-クロロパー安息香酸(meta-chloroperbenzoic acid))(9.57 mmol)を添加した。室温において終夜撹拌後、反応液を酢酸エチルで希釈して、Na2SO3およびNaHCO3で2回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥して、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製後、生成物をベンゼン/石油エーテルから白色結晶として得た。収率94%;mp 178℃;MS(FAB+) (M+1);1H NMR:59.16(s, 1H), 8.00(d, J=1.5, 1H), 7.88-7.93(m, 2H), 431(m, 2H), 7.14-7.20(m, 2H), 5.02(s, 1H), 4.00(d, J=14.5, 1H),7.79-7.80 (m, 2H), 7.14-7.20(m, 2H), 5.02(s, 1H), 4.00(d, J=14.5, 1H), 3.51(d, J=14.5, 1H), 1.61(s, 3H);13C NMR:δ171.40, 166.03(JFC=256.7), 141.01, 135.65, 135.01, 133.88(JFC=32.4), 130.78(JFC=9.7), 121.92(JFC=272.0), 121.79, 117.23, 116.75(JFC=22.7), 115.26, 104.82, 74.44, 61.83, 27.80;19F NMR:δ-62.71, -101.63;IR:3449, 3333, 3104, 2984, 2933, 2231, 1697, 1587, 1517;UV:λmax214.271。元素分析。C18H14F4N2O4Sの計算値:C, 50.23;H, 3.28;N, 6.51。観察値:C, 50.01;H, 3.26;N, 6.23。
【0044】
実施例6
本発明の方法によって合成した登録商標Casodex(ビカルタミド)の純粋な鏡像体と登録商標Casodex(ビカルタミド)のラセミ混合物を比較する生物データ
ジヒドロテストステロンのデータはEC50である。このアッセイは、テストステロン応答を50%低下する化合物の量を測定しているので、あとのデータはIC50である。
【0045】
【表1】
Figure 0005112583
【0046】
本発明の図面および明細書では、本発明の好ましい代表的な実施態様が開示されており、特定の用語が使用されているが、それらは、一般的で説明的な意味で使用されており、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 式IIの化合物を本発明による環構造を有する化合物に結合するステップを含む登録商標Casodex(ビカルタミド)などのアシルアニリドを合成する反応スキームを例示する。
【図2】 シトラマル酸を出発物質として使用し、本発明による複素環を加水分解する前に式IIの化合物を複素環の環構造に結合して、登録商標Casodex(ビカルタミド)などのアシルアニリドを合成する3つの経路を例示する。
【図3】 シトラマル酸を出発物質として使用し、シトラマル酸誘導体に本発明による式IIの化合物を反応させる前に複素環を加水分解することにより登録商標Casodex(ビカルタミド)などのアシルアニリドを合成する3つの経路を例示する。

Claims (39)

  1. (a)開環したとき、式I、
    Figure 0005112583
    (式中、
    R1は、炭素原子数4以下のアルキルまたはハロアルキルであり、
    R2は、炭素原子数6以下のアルキレンであり、
    R3は、CH2OR4(式中、R4は水素またはベンジルである)、C(O)CH3またはC(O)OR5(式中、R5は水素またはアルキルである)である)
    の構造を有する置換基を提供する化合物であって、式IV、
    Figure 0005112583
    (式中、
    R1は、炭素原子数4以下のアルキルまたはハロアルキルであり、
    R 2 は、炭素原子数6以下のアルキレンであり、
    R9は水素または直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキルであり、
    R10は直鎖または分岐鎖アルキル、アリールまたはR11X4 3(式中、R11はアルキルであり、X4はアルキル、ハロゲンまたはアリールである)であり、
    X3は脱離基を有するハロゲンである)
    の化合物に、
    式II、
    R7-R6-X1H 式II
    (式中、
    R6は、直接結合または炭素原子数6以下のアルキレンであり、
    R7は、炭素原子数6以下のアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR7は、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル、並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルであるか、またはR7はナフチルであるか、またはR7は酸素、窒素および硫黄から選択される1、2または3つのヘテロ原子を含有し、単環またはベンゾ環に融合していてもよく、不飽和または1または2つのハロゲン、シアノもしくはアミノまたは炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルもしくはアルキルスルホニルまたはオキシもしくはヒドロキシ置換基を有するか、または十分に飽和されている場合には、1または2つのオキソ置換基を有してもよい5-または6因環の飽和または不飽和複素環であり、
    X1は、酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)またはアルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)である)
    の構造を有する化合物を、
    式III、
    Figure 0005112583
    (式中、X2は、酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)、酸化イミノアルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)または酸化アルキルイミノである)
    の構造を有する化合物を提供するために酸化条件またはそれに続く加水分解条件下にて接触させるステップと、
    (b)アシルアニリドまたはその誘導体の純粋な鏡像体を提供するのに十分な条件下において式IIIの化合物を処理するステップであって、このステップ(b)が、式IIIの化合物を式XIII、
    Figure 0005112583
    (式中、
    R13はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードもしくは水素、または炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
    R14はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、または炭素原子数4以下のアルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
    R15は水素またはハロゲンである)
    の構造を有する化合物で処理して、式XIV
    Figure 0005112583
    (式中、X2は酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)、酸化イミノ、アルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)または酸化アルキルイミノである)
    の構造を有する化合物を提供することを含む、アシルアニリドまたはその誘導体の鏡像体を不斉合成する方法。
  2. ステップ(a)が式IVの化合物に式IIの化合物を接触させて、式V、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. R1がメチルであり、R2がメチレンである、請求項2に記載の方法。
  4. 式IVの構造を有する化合物を提供するために、出発化合物シトラマル酸を処理するステップをさらに含み、シトラマル酸が(S)-シトラマル酸であり、アシルアニリドの純粋な鏡像体が登録商標(R)-カソデックス(ビカルタミド)またはその誘導体である、請求項2に記載の方法。
  5. X1は硫黄であり、R6は直接結合であり、R7は4-フルオロフェニルであり、式IIの化合物が4-フルオロベンゼンチオールである、請求項1に記載の方法。
  6. 式XX、
    Figure 0005112583
    (式中、
    R6は直接結合または炭素原子数6以下のアルキレンであり、
    R7は炭素原子数6以下のアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR7は、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルであるか、またはR7はナフチルであるか、またはR7は酸素、窒素および硫黄から選択される1、2または3つのヘテロ原子を含有し、単環またはベンゾ環に融合していてもよく、不飽和または1または2つのハロゲン、シアノもしくはアミノまたは炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルもしくはアルキルスルホニルまたはオキシもしくはヒドロキシ置換基を有するか、または十分に飽和されている場合には、1または2つのオキソ置換基を有してもよい5-または6因環の飽和または不飽和複素環であり、
    X2は、酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)または酸化イミノ、アルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)または酸化アルキルイミノであり、
    R13はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードもしくは水素、または炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
    R14はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、または炭素原子数4以下のアルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
    R15は水素またはハロゲンである)
    の構造を有するアシルアニリドの純粋な鏡像体を不斉合成する方法であって、
    この方法は、シトラマル酸に保護基を付加してジオキソラノンを提供するステップであって、この保護基が脱炭酸化においてオキシ酸を保護するものであるステップと、ジオキソラノンを脱炭酸化してジオキソラノンのカルボキシル基を、脱離基を有するハロゲンと置換するステップと、この脱離基を-X1-R6-R7基で置換するステップであって、この脱離基の置換は、ジオキソラノンから保護基を脱離する前または後に行うことで、カルボン酸基を提供するステップと、このカルボン酸基を式XIII、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物と反応させるステップとを含む、方法。
  7. シトラマル酸に保護基を付加するステップが、シトラマル酸と、R9C(O)R10の構造を有する縮合反応を受けることができる化合物を縮合反応することで、
    式XV
    Figure 0005112583
    (式中、
    R9は水素または直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキルであり、
    R10は直鎖または分岐鎖アルキル、アリールまたはR11X4 3(式中、R11はアルキルであり、X4はアルキル、ハロゲンまたはアリールである)である)
    の構造を有する化合物を提供することを含む請求項6に記載の方法。
  8. シトラマル酸とR9C(O)R10の構造を有する化合物との反応が、硫酸の存在下においてシトラマル酸にブロマールを接触させることを含み、R9が水素でR10がCBr3である、請求項7に記載の方法。
  9. ジオキソラノンを脱炭酸するステップが、式XVの化合物を脱炭酸化して、式XVI、
    Figure 0005112583
    (式中、X3は脱離基を有するハロゲンである)
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項7に記載の方法。
  10. ジオキソラノンから保護基を脱離するステップが、酸水溶液または塩基水溶液の存在下で、式XVIの化合物を加水分解して、
    式XXIII、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 脱離基を置換するステップが、酸化条件下で式XXIIIの化合物とR7-R6-X1-Hの構造を有する化合物とを反応させて、式XXI、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. R7-R6-X1-Hの構造を有する化合物が4-フルオロベンゼンチオールである、請求項11に記載の方法。
  13. 脱離基を置換するステップが、追加の酸化プロセスとともに式XVIの化合物とR7-R6-X1-Hの構造を有する化合物とを反応させて、式XXII、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項9に記載の方法。
  14. ジオキソラノンから保護基を脱離するステップが、酸水溶液または塩基水溶液の存在下で、式XXII、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. カルボン酸基と式XIIIの化合物とを反応させるステップが、式XXI、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物と式XIIIの化合物とを反応させて、式XXの化合物を提供することを含む、請求項14に記載の方法。
  16. カルボン酸基と式XIIIの化合物とを反応させるステップが、式XXIIIの化合物と式XIIIの化合物とを反応させて、以下の式、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供することを含む、請求項10に記載の方法。
  17. 脱離基を置換するステップが、酸化条件下において以下の式、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物とR7-R6-X1-Hの構造を有する化合物とを反応させて、式XXの構造を有する化合物を提供することを含む、請求項16に記載の方法。
  18. カルボン酸基と式XIIIの化合物とを反応させるステップが、式XXI、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物と式XIIIの化合物とを反応させて、式XXの構造を有する化合物を提供することを含む、請求項11に記載の方法。
  19. ジオキソラノンを脱炭酸するステップが、ジオキソラノンを2-メルカプトピリジンN-オキサイド、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびCBrCl3で脱炭酸臭素化することを含む、請求項6に記載の方法。
  20. ジオキソラノンから保護基を脱離してカルボン酸基を提供するステップが、酸水溶液または塩基水溶液の存在下でジオキソラノンを加水分解することを含む、請求項6に記載の方法。
  21. カルボン酸基と式XIIIの化合物とを反応させるステップが、
    カルボン酸基に塩化チオニルを接触させて酸塩化物を提供するステップと、
    この酸塩化物に4-アミノ-2-トリフルオロメチルベンゾニトリルを接触させるステップとを含む、請求項6に記載の方法。
  22. R7が、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル、並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルである請求項6に記載の方法。
  23. R7が、水素およびハロゲンから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニルである請求項6に記載の方法。
  24. R7が4-フルオロフェニルである請求項6に記載の方法。
  25. X2がスルフィニル(-SO-)である請求項6に記載の方法。
  26. R13がシアノ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである請求項6に記載の方法。
  27. R13がシアノである請求項6に記載の方法。
  28. R14が炭素原子数4以下のパーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニルである請求項6に記載の方法。
  29. R14がパーフルオロメチルである請求項6に記載の方法。
  30. R7が、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル、並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルであり、
    R13がシアノ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり、
    R14が炭素原子数4以下のパーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニルである請求項6に記載の方法。
  31. R7が、水素およびハロゲンから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニルであり、
    R13がシアノ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり、
    R14が炭素原子数4以下のパーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニルである請求項6に記載の方法。
  32. 脱離基を-X1-R6-R7基で置換するステップの後で、保護基を脱離するステップを行う請求項6に記載の方法。
  33. 脱離基を-X1-R6-R7基で置換するステップの前に、カルボン酸基と式XIIIの化合物とを反応させるステップを行う請求項6に記載の方法。
  34. アシルアニリドの純粋な鏡像体を不斉合成する方法であって、シトラマル酸を処理してアシルアニリドの純粋な鏡像体を提供するステップを含み、シトラマル酸が(S)-シトラマル酸であり、アシルアニリドの純粋な鏡像体が登録商標(R)-カソデックス(ビカルタミド)である、請求項6に記載の方法。
  35. アシルアニリドまたはその誘導体の純粋な鏡像体を不斉合成する方法であって、
    シトラマル酸と、R9C(O)R10の構造を有する縮合反応を受けることができる化合物とを反応させて、式XV、
    Figure 0005112583
    (式中、
    R9は水素または直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキルであり、
    R10は直鎖または分岐鎖アルキル、アリールまたはR11X4 3(式中、R11はアルキルであり、X4はアルキル、ハロゲンまたはアリールである)である)
    の構造を有する化合物を提供するステップと、
    式XVの化合物を脱炭酸化して、式XVI、
    Figure 0005112583
    (式中、X3は脱離基を有するハロゲンである)
    の構造を有する化合物を提供するステップと、
    式XVIの化合物を加水分解して、
    式XXIII、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供するステップと、
    式XXIIIの化合物と、以下の式、
    R7-R6-X1-H
    (式中、
    X1は酸素、硫黄、スルフィニル(-SO-)、スルホニル(-SO2-)、イミノ(-NH-)またはアルキルイミノ(-NR8-)(式中、R8は炭素原子数6以下のアルキルである)であり、
    R6は直接結合または炭素原子数6以下のアルキレンであり、
    R7は炭素原子数6以下のアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR7は、水素、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルバモイルおよびシアノから独立に選択される1、2または3つの置換基を有するフェニル、炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニル、パーフルオロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびN-アルキルカルバモイル並びにフェニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニルおよびフェニルスルホニルであるか、またはR7はナフチルであるか、またはR7は酸素、窒素および硫黄から選択される1、2または3つのヘテロ原子を含有し、単環またはベンゾ環に融合していてもよく、不飽和または1または2つのハロゲン、シアノもしくはアミノまたは炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルもしくはアルキルスルホニルまたはオキシもしくはヒドロキシ置換基を有するか、または十分に飽和されている場合には、1または2つのオキソ置換基を有してもよい5-または6因環の飽和または不飽和複素環である)
    の構造を有する化合物とを酸化条件下において反応させて、式XXI
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供するステップと、
    式XXIの化合物のカルボン酸基と、式XIII
    Figure 0005112583
    (式中、
    R13はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードもしくは水素、または炭素原子数4以下のアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
    R14はシアノ、カルバモイル、ニトロ、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード、または炭素原子数4以下のアルカノイル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルキルチオ、パーフルオロアルキルスルフィニルもしくはパーフルオロアルキルスルホニル、またはフェニルチオ、フェニルスルフィニルもしくはフェニルスルホニルであり、
    R15は水素またはハロゲンである)
    の構造を有する化合物とを反応させて、式XX、
    Figure 0005112583
    の構造を有する化合物を提供するステップと
    を含む方法。
  36. シトラマル酸とR9C(O)R10の構造を有する化合物とを反応させるステップが、硫酸の存在下でシトラマル酸とブロマールとを接触させることを含む、請求項35に記載の方法。
  37. 式XVの化合物を脱炭酸化するステップが、式XVの化合物を2-メルカプトピリジンN-オキサイド、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびCBrCl3で脱炭酸臭素化することを含む、請求項35に記載の方法。
  38. 式XVIの化合物を加水分解するステップが、HCl水溶液を式XVIの化合物に接触させることを含む、請求項35に記載の方法。
  39. カルボン酸基と式XIIIの化合物とを反応させるステップが、
    カルボン酸基に塩化チオニルを接触させて酸塩化物を提供するステップと、
    この酸塩化物に4-アミノ-2-トリフルオロメチルベンゾニトリルを接触させるステップとを含む、請求項35に記載の方法。
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