本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図25(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
図25(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図30(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図30(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図30において、ドライバIC2751は、FPC2750と接続している。
また、画素に設けるTFTを、結晶性が高い多結晶(微結晶)半導体で形成する場合には、図25(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図30(B)において、3701は画素部であり、信号線側駆動回路は、図25(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。本発明で形成するTFTのように、画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図25(C)は、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704をガラス基板4700上に一体形成することもできる。
本発明は、配線層若しくは電極を形成する導電層や、所定のパターンに形成するためのマスク層など表示パネルを作製するために必要な物体(その目的や機能に応じて膜や層などあらゆる形態で存在する)のうち、少なくとも一つ若しくはそれ以上を、選択的に所望な形状に形成可能な方法により形成して、表示装置を作製することを特徴とするものである。本発明は、薄膜トランジスタや表示装置を構成する、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層などの導電層、半導体層、マスク層、絶縁層など、所定の形状を有して形成される全ての構成要素に対して適用できる。選択的に所望な形状に形成可能な方法として、導電層や絶縁層などを形成し、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターンに形成することが可能な、液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)を用いる。また、物体が所望のパターンに転写、または描写できる方法、例えば各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)なども用いることができる。
本実施の形態は、流動性を有する形成する材料を含む組成物を、液滴として吐出(噴出)し、所望なパターンに形成する方法を用いている。形成物の被形成領域に、形成する材料を含む液滴を吐出し、焼成、乾燥等を行って固定化し所望なパターンで物体を形成する。本発明では、形成物の被形成領域に前処理を行う。
液滴吐出法に用いる液滴吐出装置の一態様を図23に示す。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することができる。描画するタイミングは、例えば、基板1400上に形成されたマーカー1411を基準に行えば良い。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。これを撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1407に送る。撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化物半導体を利用したイメージセンサなどを用いることができる。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
ヘッド1405内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサイズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで、導電性材料や有機、無機材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、層間膜のような広領域に描画する場合は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412は基板上を、矢印の方向に自在に走査し、描画する領域を自由に設定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
本発明では、形成物の被形成領域を含む近傍に、前処理として、光による照射処理を行い、選択的に表面を改質する処理を行う。この改質処理によって、形成する材料を含む組成物の吐出領域に、形成物との密着性が異なる少なくとも2種類以上の領域を形成することができる。改質された表面に導電性材料又は絶縁性材料を含む組成物を付着させ、導電層又は絶縁層を形成する。光の照射を基板裏面からの露光処理とすることで、自己整合的(セルフアライン的)に導電層又は絶縁層を形成することができる。よって本発明を用いると、自己整合的に薄膜トランジスタを含む表示装置を形成することができる。
改質処理に用いる光は、特に限定されず、赤外光、可視光、または紫外光のいずれか一またはそれらの組み合わせを用いることが可能である。例えば、紫外線ランプ、ブラックライト、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いてもよい。その場合、ランプ光源は、必要な時間点灯させて照射してもよいし、複数回照射してもよい。
また、改質処理に用いる光としてレーザ光を用いてもよく、レーザ発振器としては、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なレーザ発振器を用いることができる。レーザ発振器としては、ArF、KrF、XeCl、Xe等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使った固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波の第1高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。レーザ発振器から射出されるレーザ光の形状やレーザ光の進路を調整するため、シャッター、ミラー又はハーフミラー等の反射体、シリンドリカルレンズや凸レンズなどによって構成される光学系が設置されていてもよい。
なお、照射方法は、基板を移動して選択的に光を照射してもよいし、光をXY軸方向に走査して光を照射することができる。この場合、光学系にポリゴンミラーやガルバノミラーを用いることが好ましい。
また、光は、ランプ光源による光とレーザ光とを組み合わせて用いることもでき、比較的広範囲な加工処理を行う領域は、ランプによる照射処理を行い、高繊細な加工処理を行う領域のみレーザ光で照射処理を行うこともできる。このように光の照射処理を行うと、スループットも向上でき、かつ高繊細に所望の形状に加工された配線基板、表示装置などを得ることができる。
形成物として導電層を形成する例をとって説明する。絶縁層を形成する場合、吐出する材料として絶縁性材料を含む組成物を用いればよい。本実施の形態では、基板裏面から光を照射し、その照射領域のぬれ性を変化させるように改質する。よって、導電層の被形成領域近傍に、導電性材料を含む組成物に対するぬれ性の異なる領域が形成される。このぬれ性の違いは両領域の相対的な関係であり、形成物の形成領域と、その周囲の非形成領域とで導電性材料を含む組成物に対するぬれ性の程度に差を有していればよい。また、ぬれ性の異なる領域とは、導電性材料を含む組成物の接触角が異なることであり、導電性材料を含む組成物の接触角が大きい領域はよりぬれ性が低い領域(以下、低ぬれ性領域ともいう)となり、接触角が小さい領域はぬれ性の高い領域(以下、高ぬれ性領域ともいう)となる。接触角が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、組成物をはじくので、表面をぬらさないが、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は広がり、よく表面をぬらすからである。よって、ぬれ性が異なる領域は、表面エネルギーも異なる。ぬれ性が低い領域における表面の、表面エネルギーは小さく、ぬれ性の高い領域表面における表面エネルギーは大きい。本発明においては、このぬれ性の異なる領域の接触角の差は30度以上、好ましくは40度以上であるとよい。
本実施の形態では、ぬれ性の異なる領域を形成するために、光による照射処理を行う。被形成領域を光によって選択的に改質するのである。表面のぬれ性を変化させ、制御する方法の一つとして、光照射領域に光によってぬれ性が変化する特性を有する光反応性物質を形成する。光反応性物質は、光を照射すると、その領域表面において被形成材料に対するぬれ性が変化する。つまり、被形成材料に対する接触角の変化や表面エネルギーの変化が生じる。この特性を利用して、光反応性物質の反応する光の波長を選択して、被形成材料に対するぬれ性の制御を行うことができる。
被形成領域には、改質処理効率を高め、照射領域と非照射領域とのぬれ性の差を大きくするために、前処理として形成材料に対してぬれ性が高い光反応性物質、或いはぬれ性が低い光反応性物質を形成し、被形成領域表面のぬれ性を比較的大きく高い状態か、低い状態にすることが好ましい。被形成領域近傍にわたってそれらの物質を形成し、光により選択的にぬれ性を高める処理、ぬれ性を低める処理を行うのである。本実施の形態では、導電層の被形成領域に、導電性材料を含む組成物に対してぬれ性が低い光反応性物質を形成し、光反応性物質が、変質(改質)する程度の光を照射し、処理領域の光反応性物質を変質(改質)、(又は分解、除去することもありうる)により、処理領域のぬれ性を向上させ、高ぬれ性領域を形成する。光反応性物質とは、光照射によりぬれ性が変化する効果を有する材料を含む物質であればよく、この光反応性物質の性質の変化を光照射処理によって引き起こす。
本発明の実施の形態について、図1乃至図7を用いて説明する。より詳しくは、本発明を適用した、逆スタガ型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について説明する。図2乃至図6の(A)は表示装置画素部の上面図であり、図2乃至図6(B)は、図2乃至図6(A)における線A−Cによる断面図、(C)は線B−Dによる断面図である。図1は表示装置の断面図であり、図7(A)は上面図である。図7(B)は、図7(A)における線L−K(線I−Jを含む)による断面図である。
透光性を有する基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等からなるガラス基板、石英基板、又は本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いる。また、透光性を有する基板100の表面が平坦化されるようにCMP法などによって、研磨しても良い。なお、透光性を有する基板100上に、絶縁層を形成してもよい。絶縁層は、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、スピンコート法等の公知の方法により、珪素を含む酸化物材料、窒化物材料を用いて、単層又は積層して形成される。この絶縁層は、形成しなくても良いが、透光性を有する基板100からの汚染物質などを遮断する効果がある。本発明においては、形成物の被形成領域を改質処理する際に、裏面露光を用い、物質の形成される透光性を有する基板100側から、基板100を通過するように光を照射し、形成されている物質表面を改質処理する。よって、透光性を有する基板100は、形成物の被形成領域を改質できるだけの光を透過する物質である必要がある。
透光性を有する基板100上に、ゲート電極層102及びゲート電極層103を形成する。ゲート電極層102及びゲート電極層103は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。ゲート電極層102及びゲート電極層103は、Ag、Au、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複数層の構造でもよく、例えば、窒化タングステン(TiN)膜とモリブデン(Mo)膜との2層構造としてもよいし、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
ゲート電極層102及びゲート電極層103の形状に加工が必要な場合、マスクを形成し、ドライエッチングまたはドライエッチングにより加工すればよい。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、電極層をテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
加工処理のためのマスクは組成物を選択的に吐出して形成することができる。このように選択的にマスクを形成すると加工の工程が簡略化する効果がある。マスクは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
また、本実施の形態で、所望の形状への加工工程を行うためのマスクを液滴吐出法によって形成する際、前処理として、被形成領域近傍をぬれ性が異なる領域を形成する処理を行ってもよい。本発明において、液滴吐出法により液滴を吐出してパターンを形成する際、パターンの被形成領域に低ぬれ性領域、高ぬれ性領域を形成し、パターンの形状を制御することができる。この処理を被形成領域に行うことによって、被形成領域では、ぬれ性に差が生じ、ぬれ性が高い被形成領域のみ液滴が留まり、制御性よくパターンを形成することができる。この工程は、液状材料を用いる場合、あらゆるパターン形成の前処理として適用することができる。
本実施の形態では、ゲート電極層102、ゲート電極層103の形成は、液滴吐出手段を用いて行う。液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には0.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属の微粒子又は分散性ナノ粒子に相当し、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baなどの酸化物、ハロゲン化銀等の微粒子又は分散性ナノ粒子も混合してもよい。前記導電性材料も混合して用いてもよい。また、透明導電膜は、透光性なので裏面露光時に光を透過してしまうが、光を透過しない材料と積層体として用いることはできる。これらの透明導電膜として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。但し、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。バリア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)を用いるとことができる。
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤、水等を用いる。組成物の粘度は20cp以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止したり、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにしたりするためである。また、組成物の表面張力は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・sに設定するとよい。
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっきは電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下の粒子サイズが好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmである。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ましい。
本発明では、流動体の組成物と被形成領域近傍とのぬれ性の違いを利用して、所望のパターン形状に加工するため、組成物は、被処理物に着弾しても流動性を有していることが必要であるが、その流動性が失われない程度であれば、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。また、減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせたレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板100の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、該基板100を破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間的に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つまり、プラスチック基板等の耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
また、液滴吐出法により、ゲート電極層102、ゲート電極層103を組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
次に、ゲート電極層102、ゲート電極層103の上にゲート絶縁層101を形成する。ゲート絶縁層101はその上に形成される物質を光照射によって改質する際、光を通過させるため、照射する光に対して透光性を有する必要がある。ゲート絶縁層101としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。またそれらや、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。好適には、緻密な膜質を有する窒化珪素膜を用いるとよい。また、液滴吐出法で形成される導電層に銀や銅などを用いる場合、その上にバリア膜として窒化珪素膜やNiB膜を形成すると、不純物の拡散を防ぎ、表面を平坦化する効果がある。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流が少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
次に半導体層を形成する。一導電性型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。またN型を有する半導体層を形成し、Nチャネル型TFTのNMOS構造、P型半導体層を形成したPチャネル型TFTのPMOS構造、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとのCMOS構造を作製することができる。また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、Nチャネル型TFT、Pチャネル型TFTを形成することもできる。N型を有する半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。半導体層は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜することができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端化する水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×1020cm-3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体層としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、公知の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると膜が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
また、結晶性半導体層を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
その他にも本発明に用いることができる有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより第1の半導体領域を形成することができる材料がある。なお、このような有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロフォルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)などを適用することができる。
本実施の形態では、ゲート絶縁層101上に、半導体層104、半導体層105をペンタセンを用いて液滴吐出法により形成する。
レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスクを液滴吐出法を用いて形成し、そのマスクを用いて、エッチング加工によりゲート絶縁層101の一部に開口部125を形成して、その下層側に配置されているゲート電極層103の一部を露出させる(図3参照。)。エッチング加工はプラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系ガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
次にソース電極層又はドレイン電極層を制御性よく形成するための前処理として電極層の被形成領域近傍を周囲の領域と比較して、改質する。本実施の形態では、光照射により、導電性材料を含む組成物に対して、ぬれ性が高まる光反応性物質を形成する。よって光照射前の光反応性物質は、ぬれ性が低い光反応性物質といえる。そして光の照射処理によって、選択的に照射領域の光反応性物質を改質し、ぬれ性を高め、高ぬれ性領域を形成する。光の非照射領域の光反応性物質のぬれ性は低いままなので、高ぬれ性領域に対して低ぬれ性領域となる。よって、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域が形成される。また、ぬれ性の差は、接触角によって確認することができ、接触角の差は30度以上、好ましくは40度以上であるとよい。
本実施の形態における表示装置は、アクティブマトリクス型であり、ゲート電極層と同工程で形成されるゲート配線層と、ソース電極層又はドレイン電極層と同工程で形成されるソース配線層及び電源線とは、ゲート絶縁層を介して一部交差するように形成される。本実施の形態では、ソース電極層及びドレイン電極層を選択的に自己整合的に形成するため、被形成領域近傍のぬれ性を制御する。ぬれ性を制御するための光照射は基板裏側からゲート電極層をマスクとして行われるため、ゲート電極層、及びゲート電極層と同工程で形成されるゲート配線層上に形成されたぬれ性が低い光反応性物質には、光が照射されず、改質されないので相対的に照射領域と比較してぬれ性の低い領域となる。よってぬれ性の低い領域上に、導電層は安定して形成できない。
本実施の形態では、このようなゲート電極層とソース電極層(以下ゲート電極層及びゲート電極層と同工程で形成するゲート配線層などの導電層を含めて「ゲート電極層」、ソース電極層、ドレイン電極層、及びソース電極層及びドレイン電極層と同工程で形成するソース配線層、電源線を含めて「ソース電極層又はドレイン電極層」とも記す)の交差する領域にぬれ性が低い光反応性物質が形成されないように、マスク層を形成する。
後にゲート電極層とソース電極層が重畳して形成される領域のゲート絶縁層101上に、マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cを形成する。マスク層106cは、ゲート絶縁層に形成された開口部125を覆うように形成する。
マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cは、無機材料でも有機材料でもよく、ぬれ性の低い物質を物理的にゲート絶縁層に付着させないためのマスクとして機能できればよいので、絶縁性材料でも導電性材料を用いてもよい。マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cは、後の工程で除去するため、除去する際に、行われるエッチング等の処理によって、被形成領域にダメージを与えずに除去できるものが好ましい。
絶縁性材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂材料を用いることができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、ポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。導電性材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属を用いることができる。また、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baなどの酸化物を用いてもよい。
マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cは、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cをポリビニルアルコール(以下、PVAとも記す)を用いて液滴吐出法により形成する。
ゲート絶縁層101、半導体層104、半導体層105、マスク層106a、マスク層106b、マスク層106c上に光反応性物質107を形成する(図3参照。)。
光反応性物質は、光を照射することによって、表面のぬれ性が変化する物質であれば有機材料、無機材料、またその混合物であっても用いることができる。例えば、トリフェニルメタン、アゾベンゼン、スピロピラン、上記材料のそれぞれの誘導体であるトリフェニルメタン誘導体、アゾベンゼン誘導体、スピロピラン誘導体などを用いることができる。本実施の形態では、300nm〜400nmの波長の光を照射することによってぬれ性が低い状態から高い状態に変化する、トリフェニルメタンロイコヒドロキシドを一部側鎖にもつポリスチレンを用いる。また光反応性物質は、膜厚が数ナノ程度の薄膜でもよくその形成方法により膜としての連続性を有さなくてもよい。この波長300nm〜400nmの光は、本実施の形態で基板100として用いるガラス基板を透過することができ、またゲート電極層102、ゲート電極層103は透過しないので、選択的に光反応性物質に光を照射することができる。光反応物質は、反応する光の波長に対する基板、半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極層との光透過性、また、被形成物質であるソース電極層又はドレイン電極層の材料に対するぬれ性によって、適宜選択すればよい。
次に、光反応性物質107に対して、透光性を有する基板100側から、基板100を通過して光源108a、光源108bにより光109a、光109bを照射する。光109a、109bは、そのエネルギーによって光反応性物質107のぬれ性を変化させ、ぬれ性を高める。ゲート電極層102及びゲート電極層103がマスクとなるため、ゲート電極層102及びゲート電極層103と重畳する領域の光反応性物質表面は改質処理されない。また、本実施の形態で用いるマスク層は光109a及び光109bを透過するので、ゲート電極層によって光が遮断されない領域のマスク層106a、マスク層106b、マスク層106c上の光反応性物質にも光が照射され、その表面が改質処理される。しかし、マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cは透光性を有していなくてもよく、その場合、マスク層によって光は遮断され、マスク層上の光反応性物質は改質される。
光109a、光109bの照射処理によって、光反応性物質107表面は、相対的にぬれ性が高い高ぬれ性領域110、相対的にぬれ性が低い低ぬれ性領域111a及び低ぬれ性領域111bとが形成される(図4参照。)。本発明では、制御性の良い表面改質処理をするための光照射(いわゆる裏面露光)を行うため、装置や工程が簡略化するので、コストや時間が軽減し、生産性も向上させることができる。
光照射によるぬれ性の制御を行った後、マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cとそれらのマスク層上に形成された光反応性物質とを除去する。本実施の形態では、マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cを水による洗浄により除去する。マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cが設けられていた領域には、ぬれ性を低く制御していた光反応性物質は形成されていないため、光照射により高ぬれ性にぬれ性が高められた領域と同様に、相対的に光反応性物質が形成されているぬれ性が低い領域よりもぬれ性が高い。
高ぬれ性領域110に、液滴吐出装置117a、液滴吐出装置117bより、導電性材料を含む組成物を吐出し、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114、ソース電極層又はドレイン電極層115を形成する(図5参照。)。液滴が吐出されるノズルの吐出口の大きさや、吐出口の走査能力などによってパターン材料の吐出方法が、精密に制御できない場合であっても、ぬれ性を高める処理をその被形成領域に施すことによって、液滴は、被形成領域のみに付着し、所望のパターンに形成される。被形成領域とその周囲の領域とで、ぬれ性が異なるので、液滴は低ぬれ性領域でははじかれ、よりぬれ性の高い形成領域に留まるからである。つまり、低ぬれ性領域によって液滴ははじかれるため、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域の境界に隔壁(土手)があるかのような機能を果たす。よって、流動性を有する導電性材料を含む組成物でも高ぬれ性領域に留まるので、所望の形状にソース電極層又はドレイン電極層を形成することができる。
マスク層106a、マスク層106b、マスク層106cによりぬれ性の低い物質が形成されなかった領域も高ぬれ性領域であるため、導電性材料を含む組成物ははじかれることなく、安定して形成することができる。
ソース電極層又はドレイン電極層112はソース配線層としても機能し、ソース電極層又はドレイン電極層114は電源線としても機能する。
ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114、ソース電極層又はドレイン電極層115とを形成する工程も、前述したゲート電極層102、ゲート電極層103を形成したときと同様に形成することができる。
ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114、ソース電極層又はドレイン電極層115を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
ゲート絶縁層101に形成した開口部125において、ソース電極層又はドレイン電極層113とゲート電極層103とを電気的に接続させる。ソース電極層又はドレイン電極層の一部は容量素子を形成する。ゲート電極層103の一部は選択的にマスク層106cに覆われていたため、ソース電極層又はドレイン電極層114の一部がゲート絶縁層を介して安定性よく設けられ、容量素子を形成することができる。
本発明を用いると、例えば電極層など、微細なパターンを形成したい場合、液滴の吐出口が多少大きくても、液滴が形成領域上で広がらず、形成領域のみに導電層を形成することができ、非形成領域へ誤って形成することによるショート等の不良を防止することができる。その配線の膜厚制御も可能になる。本実施の形態のように、基板側からの光照射により物質表面の改質を行うと、制御性よくパターンを形成できるだけでなく、高面積を処理することができるため、生産性が向上する。また、液滴吐出法を組み合わせることで、スピンコート法などによる全面塗布形成に比べ、材料のロスが防げ、コストダウンが可能になる。本発明により、配線等が、小型化、薄膜化により密集、複雑に配置される設計であっても、制御性よく形成することができる。
また、前処理として液滴吐出法による導電層や絶縁層に対する密着性を上げるために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。この場合、この物質上に、ぬれ性の異なる領域を形成する処理を行えばよい。有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114、ソース電極層又はドレイン電極層115を制御性良く形成した後、今度は基板裏面からではなく、素子側から光を照射し、低ぬれ性領域111a、及び低ぬれ性領域111bに残存する光反応性物質を変質、改質する。光照射によって、低ぬれ性領域111a及び低ぬれ性領域111bは高ぬれ性領域に改質される。光反応性物質は残してもよいし、電極層を形成後に、不必要な部分は除去してしまってもよい。光反応性物質の除去は、電極層をマスクとして用いることもでき、酸素等によるアッシング、ウェットエッチング、ドライエッチング、プラズマ処理、などにより除去すればよい。
また、ぬれ性を高めるという処理は、その領域上に吐出される液滴を留めておく力(密着力、固着力ともいう)を周囲の領域より高い状態にすることであり、光の照射処理により、領域を改質し、液滴との密着性を高めることとも同意味である。また、そのぬれ性は液滴に接し、留めておく表面だけでもよく、必ずしも膜厚方向全体にわたって同様の性質を有する必要はない。
続いて、ゲート絶縁層101上に選択的に、導電性材料を含む組成物を吐出して、第1の電極層119を形成する(図6参照。)。勿論この第1の電極層119を形成する際、低ぬれ性領域、高ぬれ性領域を形成する前処理を行ってもよい。高ぬれ性領域に導電性材料を含む組成物を吐出することによって第1の電極層119をより制御性よく、選択的に形成することもできる。第1の電極層119は、透光性を有する基板100側から光を放射する場合、または透過型の表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成しても良い。
また、好ましくは、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。より好ましくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング法で酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。この他、ZnOにガリウム(Ga)をドープした導電性材料、酸化珪素を含み酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された酸化物導電性材料であるインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))を用いても良い。スパッタリング法で第1の電極層119を形成した後は、液滴吐出法を用いてマスク層を形成しエッチングにより、所望のパターンに形成すれば良い。本実施の形態では、第1の電極層119は、透光性を有する導電性材料により液滴吐出法を用いて形成し、具体的には、インジウム錫酸化物、ITOと酸化珪素から構成されるITSOを用いて形成する。
本実施の形態では、ゲート絶縁層はゲート電極層側から、窒化珪素からなる窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜の3層の積層を用いる。好ましい構成として、酸化珪素を含む酸化インジウムスズで形成される第1の電極層119は、ゲート絶縁層101に含まれる窒化珪素からなる絶縁層と密接して形成され、それにより電界発光層で発光した光が外部に放射される割合を高めることが出来るという効果を発現させることができる。また、ゲート絶縁層はゲート電極層や、ゲート電極層と、第1の電極層の間に介在し、容量素子として機能することもできる。
第1の電極層119は、ソース電極層又はドレイン電極層115の形成前に、ゲート絶縁層101上に選択的に形成することもできる。この場合、本実施の形態とはソース電極層又はドレイン電極層115と、第1の電極層119の接続構造が、第1の電極層の上にソース電極層又はドレイン電極層115が積層する構造となる。第1の電極層119をソース電極層又はドレイン電極層115より先に形成すると、平坦な形成領域に形成できるので、被覆性がよく、CMPなどの研磨処理も十分に行えるので平坦性よく形成できる。
また、ソース電極層又はドレイン電極層115上に層間絶縁層となる絶縁層を形成し、配線層によって、第1の電極層119と電気的に接続する構造を用いてもよい。この場合、開口部(コンタクトホール)を絶縁層を除去して形成するのではなく、絶縁層に対してぬれ性が低い物質をソース電極層又はドレイン電極層115上に形成する。その後、絶縁層を含む組成物を塗布法などで塗布すると、ぬれ性が低い物質の形成されている領域を除いた領域に絶縁層は形成される。
加熱、乾燥等によって絶縁層を固化して形成した後、ぬれ性が低い物質を除去し、開口部を形成する。この開口部を埋めるように配線層を形成し、この配線層に接するように第1の電極層119を形成する。この方法を用いると、エッチングによる開口部の形成が必要ないので工程が簡略化する効果がある。
また、発光した光を透光性を有する基板100側とは反対側に放射させる構造とする場合、反射型のEL表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。他の方法としては、スパッタリング法により透明導電膜若しくは光反射性の導電膜を形成して、液滴吐出法によりマスクパターンを形成し、エッチング加工を組み合わせて第1の電極層119を形成しても良い。
第1の電極層119は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層119の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
以上の工程により、透光性を有する基板100上にボトムゲート型のTFTと画素電極が接続された表示パネル用のTFT基板が完成する。また本実施の形態のTFTは逆スタガ型である。本実施の形態で示すTFTは、本発明を用いるために、自己整合的に作製することができる。
次に、絶縁層121(隔壁、土手とも呼ばれる)を選択的に形成する。絶縁層121は、第1の電極層119上に開口部を有するように形成する。本実施の形態では、絶縁層121を全面に形成し、レジスト等のマスクによって、エッチングし所望の形状に加工する。絶縁層121を、直接選択的に形成できる液滴吐出法や印刷法などを用いて形成する場合は、エッチングによる加工は必ずしも必要はない。また絶縁層121も本発明の前処理によって、所望の形状に形成できる。
絶縁層121は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサンを有する材料(無機シロキサン、有機シロキサン)の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。絶縁層121は曲率半径が連続的に変化する形状が好ましく、上に形成される電界発光層122、第2の電極層123の被覆性が向上する。
また、液滴吐出法により、絶縁層121を組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。この工程により平坦性が向上すると、表示パネルの表示ムラなどを防止することができ、高繊細な画像を表示することができる。
表示パネル用のTFT基板である基板100の上に、発光素子を形成する(図1参照。)。
電界発光層122を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い第1の電極層119、絶縁層121中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずに電界発光層122を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
電界発光層122として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルタ同様、液滴吐出法により形成することもでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。電界発光層122上に第2の電極層123を積層形成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する。
図示しないが、第2の電極層123を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。表示装置を構成する際に設ける保護膜は、単層構造でも多層構造でもよい。パッシベーション膜としては、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO2)、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CNX)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。例えば窒素含有炭素膜(CNX)と窒化珪素(SiN)膜との積層、また有機材料を用いることも出来、スチレンポリマーなど高分子の積層でもよい。また、シロキサンを有する材料を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い電界発光層の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、電界発光層の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に電界発光層が酸化するといった問題を防止できる。
図7(B)に示すように、シール材136を形成し、封止基板140を用いて封止する。その後、ゲート電極層102と電気的に接続して形成されるゲート配線層に、フレキシブル配線基板を接続し、外部との電気的な接続をしても良い。これは、ソース配線層でもあるソース電極層又はドレイン電極層112と電気的に接続して形成されるソース配線層も同様である。
素子を有する基板100と封止基板140の間には充填剤135を封入して封止する。充填剤の封入には、液晶材料と同様に滴下法を用いることもできる。充填剤135の代わりに、窒素などの不活性ガスを充填してもよい。また、乾燥剤を表示装置内に設置することによって、発光素子の水分による劣化を防止することができる。乾燥剤の設置場所は、封止基板140側でも、素子を有する基板100側でもよく、シール材136が形成される領域に基板に凹部を形成して設置してもよい。また、封止基板140の駆動回路領域や配線領域など表示に寄与しない領域に対応する場所に設置すると、乾燥剤が不透明な物質であっても開口率を低下させることがない。充填剤135に吸湿性の材料を含むように形成し、乾燥剤の機能を持たせても良い。以上により、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図7参照。)。
また、表示装置内部と外部を電気的に接続するための端子電極層137に、異方性導電膜138によってFPC139が接着され、端子電極層137と電気的に接続する。
図7(A)に、表示装置の上面図を示す。図7(A)で示すように、画素領域150、走査線駆動領域151a、走査線駆動領域151b、接続領域153が、シール材136によって、基板100と封止基板140との間に封止され、基板100上にICドライバによって形成された信号線駆動回路152が設けられている。駆動回路領域には、薄膜トランジスタ133、薄膜トランジスタ134、画素領域には、薄膜トランジスタ131、薄膜トランジスタ130、容量素子132がそれぞれ設けられている。
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
本実施の形態では、スイッチングTFTはシングルゲート構造を示したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもできる。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いないことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本発明により、所望なパターンを制御性よく形成できる。また、材料のロスも少なく、コストダウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の発光表示装置を歩留まりよく作製することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について、図8乃至図11を用いて説明する。より詳しくは、本発明を適用した、ボトムゲート構造のコプラナー型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について説明する。図8は表示装置画素部の上面図であり、図9乃至図10は、図1を形製する各工程における線E−Fによる断面図である。図11(A)も表示装置の上面図であり、図11(B)は、図11(A)における線O−P(線U−Wを含む)による断面図である。なお表示素子として液晶材料を用いた液晶表示装置の例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
透光性を有する基板250上に、ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cを形成する。ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cは、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、Agを導電性材料として含む組成物を液滴吐出装置255a、液滴吐出装置255b、液滴吐出装置255cにより選択的に吐出し、ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cを形成する(図9(A)参照。)。図8で示すように、ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cは一体形成されており、図8ではゲート電極層254として記載されている。また、ゲート電極層と同工程で、容量配線層253も形成する(図8参照。)。
本実施の形態では、表面のぬれ性を変化させ、制御する他の方法として、光照射のエネルギーによって、表面の物質を分解し、領域表面を改質し、ぬれ性を変化させる方法を用いる。この場合、光照射領域に光による処理効率を高める物質を形成し、被形成材料に対するぬれ性が低い物質を形成することが好ましい。光による処理効率を高める物質としては光触媒物質を用いることができる。光触媒物質は、光吸収、エネルギー放射作用によって、光による処理効率を向上させる。光触媒物質の光活性エネルギーにより、積層される被形成材料に対するぬれ性が低い物質は分解、改質され、物質表面のぬれ性は変化する。ぬれ性が低い物質として、フッ化炭素鎖を含む物質、あるいはシランカップリング剤を含む物質を用いることができる。またシランカップリング剤はアルキル基を有していてもよい。
次に、ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cの上にゲート絶縁層256を形成する。ゲート絶縁層256はその上に形成されるぬれ性が低い物質を光照射によって分解する際、光を通過させるため、透光性を有する必要がある。ゲート絶縁層256としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。
本実施の形態においては、ぬれ性の異なる領域を正確に制御性よく形成するために、処理物への光の照射を、処理物の形成されている物質(基板)を通過して行う。本実施の形態では、処理に用いられる光に対して透光性を有する基板上に、あらかじめマスクとなる電極層やマスク層を形成し、その上にぬれ性が低い物質を形成する。そして透光性を有する基板側から、光を照射することによって、電極層形成領域以外のぬれ性が低い物質中に含まれるぬれ性の低める材料を分解する。電極層上に形成されているぬれ性が低い物質には光が照射されないため、ぬれ性の異なる領域を制御性よく形成することができる。また、マスク層を除去する際にマスク層上に形成されたぬれ性が低い物質も除去されるため、選択的に高ぬれ性領域を形成することができる。光の波長としては、使用するぬれ性が低い物質が分解、除去される波長である必要がある。しかし物質によっては、紫外光など、200nm以下のエネルギーの高い光が必要となり、その選択の幅は狭くなる。さらに、基板となる透光性を有する物質が吸収する波長であると、光は透光性を有する基板中で吸収され、処理物に光が照射されず、表面を改質処理することが困難である場合もある。
よって、本実施の形態では、光照射による処理効率を向上させるため、処理される物質に接して光触媒物質を形成する。光触媒物質は、光を吸収し活性化する。その活性エネルギーは、周囲の物質に作用し、結果として物質の物性を変化させ、改質する。本発明を用いると、光触媒物質によって改質処理能力が向上するので、光の波長の選択幅が広がる。よって、処理物が形成される物質があまり吸収しない領域の波長を選択することができ、制御性の良い表面改質処理をするための光照射をすることができる。また光の照射効率も向上できるので、光自体が低エネルギーであっても十分に処理を行うことができる。よって、装置や工程が簡略化するので、コストや時間が軽減し、生産性も向上させることができる。
また、光触媒物質の他に光照射による処理効率を向上させるため、処理される物質に、その光の波長領域に吸収域を有する光吸収体を添加することも有効である。光の波長領域に吸収域を持つ光吸収体は、照射された光を吸収し、周囲に放射(輻射)する。その放射エネルギーは、周囲の物質に作用し、結果として物質の物性を変化させ、改質する。光に合わせて、光吸収体を選択すればよいので光の選択の幅が広がる。
光吸収体としては、有機材料、無機材料、無機材料及び有機材料を含む物質などを用いることができ、用いるレーザ光の波長によって、その波長に吸収領域を持つものを選択すればよい。金属等の導電性材料でもよいし、有機樹脂などの絶縁性材料であってもよい。無機材料としては、鉄、金、銅、珪素やゲルマニウム、有機材料としては、ポリイミド、アクリルなどのプラスチックや色素などを用いることができ、例えば、レーザ波長が532nmに対応する色素としては、ローダミンB、エオシンY、メチルオレンジ、ローズベンガルなど、レーザ波長が405nmに対応する色素としては、クマリン系(クマリン6H、クマリン102、クマリン152、クマリン153など)をそれぞれ用いることができる。また、色素としては黒色のカーボンブラックなどや顔料系の黒色樹脂なども用いることができる。
ゲート絶縁層256上に、光触媒物質258を形成する。光触媒物質は、酸化チタン(TiOX)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、セレン化カドミウム(CdSe)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、硫化カドミウム(CdS)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化タングステン(WO3)等が好ましい。これら光触媒物質に紫外光領域の光(波長400nm以下、好ましくは380nm以下)を照射し、光触媒活性を生じさせることができる。
光触媒物質は、ゾルゲル法のディップコーティング法、スピンコーティング法、液滴吐出法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、CVD法、スパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマ溶射法、プラズマスプレー法、又は陽極酸化法により形成することができる。また物質は、その形成方法により膜としての連続性を有さなくても良い。複数の金属を含む酸化物半導体からなる光触媒物質の場合、構成元素の塩を混合、融解して形成することができる。ディップコーティング法、スピンコーティング法等の塗布法により光触媒物質を形成する場合、溶媒を除去する必要があるとき、焼成したり、乾燥すればよい。具体的には、所定の温度(例えば、300℃以上)で加熱すればよく、好ましくは酸素を有する雰囲気で行う。
この加熱処理により、光触媒物質は所定の結晶構造を有することができる。例えば、アナターゼ型やルチル−アナターゼ混合型を有する。低温相ではアナターゼ型が優先的に形成される。そのため光触媒物質が所定の結晶構造を有していない場合も加熱すればよい。また塗布法により形成する場合、所定の膜厚を得るために複数回にわたって光触媒物質を形成することもできる。
更に光触媒物質へ遷移金属(Pd、Pt、Cr、Ni、V、Mn、Fe、Ce、Mo、W等)をドーピングすることにより、光触媒活性を向上させたり、可視光領域(波長400nm〜800nm)の光により光触媒活性を起こすことができる。遷移金属は、広いバンドギャップを持つ活性な光触媒の禁制帯内に新しい準位を形成し、可視光領域まで光の吸収範囲を拡大しうるからである。例えば、CrやNiのアクセプター型、VやMnのドナー型、Fe等の両性型、その他Ce、Mo、W等をドーピングすることができる。このように光の波長は光触媒物質によって決定することができるため、光照射とは光触媒物質の光触媒活性化させる波長の光を照射することを指す。
また光触媒物質を真空中又は水素環流中で加熱し還元させると、結晶中に酸素欠陥が発生する。このように遷移元素をドーピングしなくても、酸素欠陥は電子ドナーと同等の役割を果たす。特に、ゾルゲル法により形成する場合、酸素欠陥が最初から存在するため、還元しなくともよい。またN2等のガスをドープすることにより、酸素欠陥を形成することができる。
本実施の形態では、光触媒物質として酸化チタン層を形成する。酸化チタン層は、TiCl3溶液をスピンコート法により塗布し、基板に付着させて、酸素雰囲気下で焼成して形成する。また、チタニアゾルを塗布し、乾燥してもよい。チタニアゾルにはバインダーを用いることもでき、バインダーとしてはケイ酸塩系、無機コロイド系、金属アルコキシド系などの無機バインダーを用いることが好ましい。また、スパッタリング法により所定の結晶構造を有する酸化チタン(TiOX(代表としてはTiO2))結晶を形成してもよい。この場合ターゲットには金属チタンチューブを用い、アルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光触媒活性の高い酸化チタン層を形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高めにする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながら酸化チタン層を形成すると好ましい。このように形成される酸化チタン層は非常に薄膜であっても光触媒機能を有する。
光触媒物質258上に選択的にマスク層257を形成する。マスク層257は、ゲート絶縁層256を介してゲート電極層とソース電極層又はドレイン電極層が交差する領域に選択的に形成される。本実施の形態では、マスク層257はPVAを用いて液滴吐出法によって形成する。
マスク層257及び光触媒物質258上にぬれ性が低い物質259を形成する(図9(B)参照。)。
ぬれ性が低い物質として、フッ化炭素鎖を含む物質、あるいはシランカップリング剤を含む物質を用いることができる。シランカップリング剤は、Rn−Si−X(4-n)(n=1、2、3)の化学式で表される。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン(FAS))を用いることにより、よりぬれ性を低めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下、FASともいう。)が挙げられる。
ぬれ性が低い物質として、シランカップリング剤のRにフッ化炭素鎖を有さず、アルキル基を有す物質も用いることができ、例えば有機シランとしてオクタデシルトリメトキシシラン等を用いることができる。
低ぬれ性領域を形成する溶液の溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなど、低ぬれ性表面を形成する溶媒を用いる。
また、低ぬれ性領域を形成する溶液の組成物の一例として、フッ化炭素(フルオロカーボン)鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチレンプロペンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いることができる。
また、低ぬれ性領域を示さない(すなわち、高ぬれ性領域を示す)有機材料を用い、後にCF4プラズマ等による処理を行って、低ぬれ性領域を形成してもよい。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)のような水溶性樹脂を、H2O等の溶媒に混合した材料を用いることができる。また、PVAと他の水溶性樹脂を組み合わせて使用してもよい。有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシロキサン樹脂を用いてもよい。さらには、低ぬれ性表面を有する材料であっても、さらにプラズマ処理等を行うことによって、ぬれ性をより低下させることができる。
本実施の形態では、ぬれ性が低い物質259としてFASを用い、スピンコート法により広い領域(全面塗布など)に形成する。このぬれ性は後工程で形成するソース電極層又はドレイン電極層を構成する導電性材料を含む組成物に対してである。本実施の形態で用いるFASは200nm以下の光で分解するが、ガラス基板は300nm以下の波長を吸収し透過しない。基板としてガラス基板を用いた場合FASに光を照射することは困難である。よって本実施の形態では、380nm以下の光照射によって光触媒効果を示す酸化チタン層を形成する。光源として200nmから450nmの波長の光を照射する紫外線ランプであるメタルハライドランプを用いる。用いる光の波長に合わせて、適宜光触媒物質は選択すればよい。
次にソース電極層又はドレイン電極層を制御性よく形成するための前処理としてソース電極層及びドレイン電極層の被形成領域近傍を周囲の領域と比較して、改質する。光の照射処理による光触媒物質の光活性を用いて、選択的にぬれ性を変化させ、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域を形成する。また、ぬれ性の差は、接触角によって確認することができ、接触角の差は30度以上、好ましくは40度以上であるとよい。本発明においては、光の照射処理効率を向上させるため、照射する光の波長で活性化する光触媒物質を処理物に接して形成する。
光触媒物質258に対して、透光性を有する基板250側から、基板250を通過して光源260により光262を照射する。光262は、光触媒物質258を活性化し、そのエネルギーによってぬれ性が低い物質259を分解し、ぬれ性を高める。よって高ぬれ性領域より、低ぬれ性領域に含まれるぬれ性が低い物質の濃度(ぬれ性を低める効果をもつフッ化炭素鎖の濃度、量など)は低くなる。光触媒物質の光触媒効果を用いるため、処理効率が向上する。ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cがマスクとなるため、ゲート電極層254a、ゲート電極層254b、ゲート電極層254cと重畳する領域のぬれ性が低い物質表面は改質処理されない。光262の照射処理によって、ぬれ性が低い物質259表面は、相対的にぬれ性が高い高ぬれ性領域268a、高ぬれ性領域268b、高ぬれ性領域268cと、相対的にぬれ性が低い低ぬれ性領域267a、低ぬれ性領域267b、低ぬれ性領域267cとが形成される(図9(C)参照。)。本発明を用いると、光に合わせて、光触媒物質を選択すればよいので光の選択の幅が広がる。よって、処理物が形成される物質があまり吸収しない領域の波長を選択することができ、制御性の良い表面改質処理をするための光照射(いわゆる裏面露光)をすることができる。また光の照射効率も向上できるので、光自体が低エネルギーであっても十分に処理を行うことができる。よって、装置や工程が簡略化するので、コストや時間が軽減し、生産性も向上させることができる。
光照射によるぬれ性の制御を行った後、マスク層257を、マスク層257上に形成されたぬれ性の低い物質ごと除去する。本実施の形態では、マスク層257を水による洗浄により除去する。マスク層257が設けられていた領域には、ぬれ性が低い物質は形成されていないため、光照射により高ぬれ性にぬれ性が高められた領域と同様に、相対的にぬれ性が低い物質が形成されているぬれ性が低い領域よりもぬれ性が高い。
高ぬれ性領域268a、高ぬれ性領域268b、高ぬれ性領域268cに、液滴吐出装置269a、液滴吐出装置269b、液滴吐出装置269cより、導電性材料を含む組成物を吐出し、ソース電極層又はドレイン電極層263、ソース電極層又はドレイン電極層264、ソース電極層又はドレイン電極層266を形成する(図9(D)参照。)。本実施の形態では導電性材料としてAgを用いる。液滴が吐出されるノズルの吐出口の大きさや、吐出口の走査能力などによってパターン材料の吐出方法が、精密に制御できない場合であっても、ぬれ性を高める処理をその被形成領域に施すことによって、液滴は、被形成領域のみに付着し、所望のパターンに形成される。被形成領域とその周囲の領域とで、ぬれ性が異なるので、液滴は低ぬれ性領域でははじかれ、よりぬれ性の高い形成領域に留まるからである。つまり、低ぬれ性領域によって液滴ははじかれるため、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域の境界が隔壁(土手)があるかのような機能を果たす。よって、流動性を有する導電性材料を含む組成物でも高ぬれ性領域に留まるので、所望の形状にソース電極層又はドレイン電極層を形成することができる。ソース電極層又はドレイン電極層263はソース配線層としても機能する。
本発明を用いると、例えば電極層など、微細なパターンを形成したい場合、液滴の吐出口が多少大きくても、液滴が形成領域上で広がらず、形成領域のみに導電層を形成することができ、非形成領域へ誤って形成することによるショート等の不良を防止することができる。その配線の膜厚制御も可能になる。本実施の形態のように、基板側からの光照射により物質表面の改質を行うと、制御性よくパターンを形成できるだけでなく、高面積を処理することができるため、生産性が向上する。また、液滴吐出法を組み合わせることで、スピンコート法などによる全面塗布形成に比べ、材料のロスが防げ、コストダウンが可能になる。本発明により、配線等が、小型化、薄膜化により密集、複雑に配置される設計であっても、制御性よく形成することができる。
本実施の形態では、低ぬれ性領域267a、低ぬれ性領域267bに光照射を行い、ぬれ性が低い物質を分解し、ぬれ性を高める処理を行う。また、光触媒物質及びぬれ性が低い物質の不必要な部分は除去してしまってもよい。除去は、電極層をマスクとして用いることもでき、酸素等によるアッシング、ウェットエッチング、ドライエッチング、プラズマ処理、などにより除去すればよい。その後、半導体層270としてペンタセンを用いて液滴吐出法により形成し、ボトムゲート構造のコプラナー型の薄膜トランジスタ271を形成する(図10(A)参照。)。
また、ぬれ性を高めるという処理は、その領域上に吐出される液滴を留めておく力(密着力、固着力ともいう)を周囲の領域より高い状態にすることであり、光の照射処理により、領域を改質し、液滴との密着性を高めることとも同意味である。また、そのぬれ性は液滴に接し、留めておく表面だけでもよく、必ずしも膜厚方向全体にわたって同様の性質を有する必要はない。
続いて、ソース電極層又はドレイン電極層266に接して、選択的に導電性材料を含む組成物を吐出して、画素電極層272を形成する(図10(B)参照。)。勿論この画素電極層272を形成する際、低ぬれ性領域、高ぬれ性領域を形成する前処理を行ってもよい。高ぬれ性領域に導電性材料を含む組成物を吐出することによって画素電極層272をより制御性よく、選択的に形成することもできる。画素電極層272は、前述した第1の電極層119と同様な材料を用いることができ、透過型の液晶表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンに形成し、焼成によって形成しても良い。勿論前記材料を蒸着法(PVD法、CVD法)、スパッタ法などで形成してもよい。本実施の形態では、画素電極層272としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いる。
次に、画素電極層272及び薄膜トランジスタ271を覆うように、印刷法やスピンコート法により、配向膜と呼ばれる絶縁層273を形成する。なお、絶縁層273は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビングを行う。続いて、シール材282を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する。
その後、配向膜として機能する絶縁層275、カラーフィルタとして機能する着色層277、対向電極として機能する導電体層276、偏光板278が設けられた対向基板280とTFT基板である基板250とをスペーサ281を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層274を設けることにより液晶表示パネルを作製することができる(図10(C)及び図11参照。)。基板250の素子を有する面と反対側にも偏光板279が設けられている。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板280には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、素子を有する基板250と対向基板280とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
ディスペンサ方式を採用した液晶滴下注入法を図29を用いて説明する。図29の液晶滴下注入法は、制御装置40、撮像手段42、ヘッド43、液晶33、マーカー35、マーカー45は、バリア層34、シール材32、TFT基板30、対向基板20からなる。シール材32で閉ループを形成し、その中にヘッド43より液晶33を1回若しくは複数回滴下する。液晶材料の粘性が高い場合は、連続的に吐出され、繋がったまま被形成領域に付着する。一方、液晶材料の粘性が低い場合には、図29のように間欠的に吐出され液滴が滴下される。そのとき、シール材32と液晶33とが反応することを防ぐため、バリア層34を設ける。続いて、真空中で基板を貼り合わせ、その後紫外線硬化を行って、液晶が充填された状態とする。またTFT基板側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
以上の工程で形成された表示装置内部と外部の配線基板を接続するために接続部を形成する。大気圧又は大気圧近傍下で、酸素ガスを用いたアッシング処理により、接続部の絶縁体層を除去する。この処理は、酸素ガスと、水素、CF4、NF3、H2O、CHF3から選択された一つ又は複数とを用いて行う。本工程では、静電気による損傷や破壊を防止するために、対向基板を用いて封止した後に、アッシング処理を行っているが、静電気による影響が少ない場合には、どのタイミングで行っても構わない。
続いて、画素部と電気的に接続されている端子電極層287に、異方性導電体層285を介して、接続用の配線基板であるFPC286を設ける。FPC286は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
図11(A)に、液晶表示装置の上面図を示す。図11(A)で示すように、画素領域290、走査線駆動領域291a、走査線駆動領域291bが、シール材282によって、基板250と対向基板280との間に封止され、基板250上にICドライバによって形成された信号線駆動回路292が設けられている。駆動領域には薄膜トランジスタ283及び薄膜トランジスタ284を有する駆動回路が設けられている。
本実施の形態では、スイッチングTFTはダブルゲート構造としたが、シングルゲート構造でもよく、より複数のマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもできる。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
以上示したように、本実施の形態では、工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種の構成物(パーツ)を形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本発明により、表示装置を構成する構成物を、所望なパターンで制御性よく形成できる。また、材料のロスも少なく、コストダウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の液晶表示装置を歩留まりよく作製することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態として、図12乃至図17を用いて説明する。本実施の形態は、薄膜トランジスタとして逆コプラナー型の薄膜トランジスタを用いて、表示装置を作製するものである。なお表示素子として液晶材料を用いた液晶表示装置の例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。なお、図12(A)乃至図17(A)は表示装置の上面図であり、図12(B)乃至図17(B)は、図12(A)乃至図17(A)における線G−Hの断面図である。
本実施の形態でも、光触媒物質の光活性効果を用い、基板を通過しての光照射処理より、照射領域のぬれ性を変化させるように改質する。
透光性を有する基板300上に、ゲート電極層301、ゲート電極層303、容量配線層326を形成する。ゲート電極層301は図12(B)の断面図においては、ゲート電極の領域をゲート電極層301a、ゲート配線の領域はゲート電極層301bと二つに分離して記載してある。ゲート電極層301、ゲート電極層303、容量配線層326は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、Agを導電性材料として含む組成物を液滴吐出装置302a、液滴吐出装置302bにより選択的に吐出し、ゲート電極層301a、ゲート電極層301bを形成する(図12(B)参照。)。
次に、ゲート電極層301、ゲート電極層303、容量配線層326の上にゲート絶縁層304を形成する。ゲート絶縁層304はその上に形成されるぬれ性が低い物質を光照射によって分解する際、光を通過させるため、透光性を有する必要がある。ゲート絶縁層304としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。
本実施の形態では、光照射による処理効率を向上させるため、処理される物質に接して光触媒物質を選択的に形成する。光触媒物質は、光を吸収し活性化する。その活性エネルギーは、周囲の物質に作用し、結果として物質の物性を変化させ、改質する。本発明を用いると、光触媒物質によって改質処理能力が向上するので、光の波長の選択幅が広がる。よって、処理物が形成される物質があまり吸収しない領域の波長を選択することができ、制御性の良い表面改質処理をするための光照射をすることができる。また光の照射効率も向上できるので、光自体が低エネルギーであっても十分に処理を行うことができる。よって、装置や工程が簡略化するので、コストや時間が軽減し、生産性も向上させることができる。
ゲート絶縁層304上に、光触媒物質306a、光触媒物質306b、光触媒物質306cを選択的に形成する(図13参照。)。本実施の形態では光触媒物質は、酸化チタン(TiOX)を用いる。光触媒物質は、液滴吐出法や印刷法などで選択的に形成してもよいし、形成後に所望の形状にマスク等を用いて所望の形状に加工してもよい。
光触媒物質306a、光触媒物質306b、光触媒物質306c、ゲート電極層301、ゲート電極層303、容量配線層326上に選択的にマスク層305a、マスク層305b、マスク層305c、マスク層305d、マスク層305e、マスク層305f、マスク層305g、マスク層305h、マスク層305iを形成する(図14参照。)。マスク層305a、マスク層305b、マスク層305c、マスク層305d、マスク層305e、マスク層305f、マスク層305g、マスク層305h、マスク層305iは、ゲート絶縁層304を介してゲート電極層、又は容量配線層とソース電極層又はドレイン電極層が交差する領域に選択的に形成される。このように、マスク層を形成するのは、本実施の形態の表示装置がアクティブマトリクス構造であり、ゲート線とソース線が絶縁層を介して交差する構造であるためである。本実施の形態では、マスク層305a、マスク層305b、マスク層305c、マスク層305d、マスク層305e、マスク層305f、マスク層305g、マスク層305h、マスク層305iはPVAを用いて液滴吐出法によって形成する。マスク層としてポリイミドなどを用いてもよい。
マスク層及び光触媒物質上にぬれ性が低い物質330を形成する。本実施の形態では、ぬれ性が低い物質330としてFASを用い、スピンコート法により広い領域(全面塗布など)に形成する。このぬれ性は後工程で形成するソース電極層又はドレイン電極層を構成する導電性材料を含む組成物に対してである。本実施の形態で用いるFASは200nm以下の光で分解するが、ガラス基板は300nm以下の波長を吸収し透過しない。基板としてガラス基板を用いた場合FASに光を照射することは困難である。よって本実施の形態では、380nm以下の光照射によって光触媒効果を示す酸化チタン層を形成する。光源として200nmから450nmの波長の光を照射する紫外線ランプであるメタルハライドランプを用いる。用いる光の波長に合わせて、適宜光触媒物質は選択すればよい。
次にソース電極層又はドレイン電極層を制御性よく形成するための前処理としてソース電極層及びドレイン電極層の被形成領域近傍を周囲の領域と比較して、改質する。光の照射処理による光触媒物質の光活性を用いて、選択的にぬれ性を変化させ、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域を形成する。また、ぬれ性の差は、接触角によって確認することができ、接触角の差は30度以上、好ましくは40度以上であるとよい。本発明においては、光の照射処理効率を向上させるため、照射する光の波長で活性化する光触媒物質を処理物に接して形成する。
光触媒物質306a、光触媒物質306b、光触媒物質306cに対して、透光性を有する基板300側から、基板300を通過して光源307により光331を照射する。光331は、光触媒物質306a、光触媒物質306b、光触媒物質306cを活性化し、そのエネルギーによってぬれ性が低い物質330を分解し、ぬれ性を高める。光触媒物質が存在しない領域上のぬれ性が低い物質、及びゲート電極層301、ゲート電極層303、容量配線層326がマスクとなり、たとえ光触媒物質が存在しても光触媒物質に光が照射されない領域上のぬれ性が低い物質表面は改質処理されない。光331の照射処理及び光触媒物質の光活性効果によって、ぬれ性が低い物質330表面は、相対的にぬれ性が高い高ぬれ性領域309a、高ぬれ性領域309b、高ぬれ性領域309c、高ぬれ性領域309d、高ぬれ性領域309e、高ぬれ性領域309f、高ぬれ性領域311a、高ぬれ性領域311b、高ぬれ性領域311c、高ぬれ性領域311d、高ぬれ性領域311e、高ぬれ性領域311fと、相対的にぬれ性が低い低ぬれ性領域310(図15(B)では断面図のため低ぬれ性領域310を低ぬれ性領域310a、低ぬれ性領域310b、低ぬれ性領域310cと分離して記載している)とが形成される(図15参照。)。本発明を用いると、光に合わせて、光触媒物質を選択すればよいので光の選択の幅が広がる。また、光触媒物質を選択的に形成し、光触媒物質が活性化する波長の光を照射することで、改質領域をより、微細かつ自由に選択することができる。よって、装置や工程が簡略化するので、コストや時間が軽減し、生産性も向上させることができる。
光照射によるぬれ性の制御を行った後、マスク層305a、マスク層305b、マスク層305c、マスク層305d、マスク層305e、マスク層305f、マスク層305g、マスク層305h、マスク層305i上に形成されたぬれ性の低い物質ごと除去する。本実施の形態では、マスク層305a、マスク層305b、マスク層305c、マスク層305d、マスク層305e、マスク層305f、マスク層305g、マスク層305h、マスク層305iを水による洗浄により除去する。マスク層305a、マスク層305b、マスク層305c、マスク層305d、マスク層305e、マスク層305f、マスク層305g、マスク層305h、マスク層305iが設けられていた領域には、ぬれ性が低い物質は形成されていないため、光照射により高ぬれ性にぬれ性が高められた領域と同様に、相対的にぬれ性が低い物質が形成されているぬれ性が低い領域よりもぬれ性が高い。
高ぬれ性領域309a、高ぬれ性領域309b、高ぬれ性領域309c、高ぬれ性領域309d、高ぬれ性領域309e、高ぬれ性領域309f、高ぬれ性領域311a、高ぬれ性領域311b、高ぬれ性領域311c、高ぬれ性領域311d、高ぬれ性領域311e、高ぬれ性領域311fに、液滴吐出装置312a、液滴吐出装置312b、液滴吐出装置312cより、導電性材料を含む組成物を吐出し、ソース電極層又はドレイン電極層313a、ソース電極層又はドレイン電極層313b、ソース電極層又はドレイン電極層313c、ソース電極層又はドレイン電極層314a、ソース電極層又はドレイン電極層314b、ソース電極層又はドレイン電極層314c、ソース電極層又はドレイン電極層314d、ソース電極層又はドレイン電極層314e、ソース電極層又はドレイン電極層314fを形成する(図16参照。)。本実施の形態では導電性材料としてAgを用いる。液滴が吐出されるノズルの吐出口の大きさや、吐出口の走査能力などによってパターン材料の吐出方法が、精密に制御できない場合であっても、ぬれ性を高める処理をその被形成領域に施すことによって、液滴は、被形成領域のみに付着し、所望のパターンに形成される。被形成領域とその周囲の領域とで、ぬれ性が異なるので、液滴は低ぬれ性領域でははじかれ、よりぬれ性の高い形成領域に留まるからである。つまり、低ぬれ性領域によって液滴ははじかれるため、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域の境界に隔壁(土手)があるかのような機能を果たす。よって、流動性を有する導電性材料を含む組成物でも高ぬれ性領域に留まるので、所望の形状にソース電極層又はドレイン電極層を形成することができる。ソース電極層又はドレイン電極層313a、ソース電極層又はドレイン電極層313b、ソース電極層又はドレイン電極層313cはソース配線層としても機能する。
本発明を用いると、例えば電極層など、微細なパターンを形成したい場合、液滴の吐出口が多少大きくても、液滴が形成領域上で広がらず、形成領域のみに導電層を形成することができ、非形成領域へ誤って形成することによるショート等の不良を防止することができる。その配線の膜厚制御も可能になる。本実施の形態のように、基板側からの光照射により物質表面の改質を行うと、制御性よくパターンを形成できるだけでなく、高面積を処理することができるため、生産性が向上する。また、液滴吐出法を組み合わせることで、スピンコート法などによる全面塗布形成に比べ、材料のロスが防げ、コストダウンが可能になる。本発明により、配線等が、小型化、薄膜化により密集、複雑に配置される設計であっても、制御性よく形成することができる。
本実施の形態では、低ぬれ性領域310a、低ぬれ性領域310b、低ぬれ性領域310cに光照射を行い、ぬれ性が低い物質を分解し、ぬれ性を高める処理を行う。その後半導体層315a、半導体層315b、半導体層315c、半導体層315d、半導体層315e、半導体層315fをペンタセンを用いて液滴吐出法により形成し、逆コプラナー型の薄膜トランジスタを形成する。
続いて、ソース電極層又はドレイン電極層314a、ソース電極層又はドレイン電極層314b、ソース電極層又はドレイン電極層314c、ソース電極層又はドレイン電極層314d、ソース電極層又はドレイン電極層314e、ソース電極層又はドレイン電極層314fに接して、選択的に導電性材料を含む組成物を吐出して、画素電極層316a、画素電極層316b、画素電極層316c、画素電極層316dを形成する(図17参照。)。勿論この画素電極層316a、画素電極層316b、画素電極層316c、画素電極層316dを形成する際、低ぬれ性領域、高ぬれ性領域を形成する前処理を行ってもよい。高ぬれ性領域に導電性材料を含む組成物を吐出することによって画素電極層316a、画素電極層316b、画素電極層316c、画素電極層316dをより制御性よく、選択的に形成することもできる。画素電極層316a、画素電極層316b、画素電極層316c、画素電極層316dは、前述した第1の電極層119と同様な材料を用いることができ、透過型の液晶表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンに形成し、焼成によって形成しても良い。勿論前記材料を蒸着法(PVD法、CVD法)、スパッタ法などで形成してもよい。本実施の形態では、画素電極層316a、画素電極層316b、画素電極層316c、画素電極層316dとしてインジウム錫酸化物(ITO)を用いる。
次に、画素電極層316a、画素電極層316b、画素電極層316c、画素電極層316d及び薄膜トランジスタを覆うように、印刷法やスピンコート法により、配向膜と呼ばれる絶縁層317を形成する。なお、絶縁層317は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビングを行う。続いて、シール材を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する。
その後、配向膜として機能する絶縁層319、カラーフィルタとして機能する着色層321、対向電極として機能する導電体層320、偏光板323が設けられた対向基板322とTFT基板である基板300とをスペーサを介して貼り合わせ、その空隙に液晶層318を設けることにより液晶表示パネルを作製することができる(図17(B)参照。)。基板300の素子を有する側と反対側にも偏光板324が設けられている。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板322には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、素子を有する基板300と対向基板322とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
以上の工程で形成された表示装置内部と外部の配線基板を接続するために接続部を形成する。大気圧又は大気圧近傍下で、酸素ガスを用いたアッシング処理により、接続部の絶縁体層を除去する。この処理は、酸素ガスと、水素、CF4、NF3、H2O、CHF3から選択された一つ又は複数とを用いて行う。本工程では、静電気による損傷や破壊を防止するために、対向基板を用いて封止した後に、アッシング処理を行っているが、静電気による影響が少ない場合には、どのタイミングで行っても構わない。
続いて、画素部と電気的に接続されている端子電極層に、異方性導電体層を介して、接続用の配線基板であるFPCを設ける。FPCは、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
本実施の形態では、スイッチングTFTはシングルゲート構造としたが、ダブルゲート構造でもよく、より複数のマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもできる。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
以上示したように、本実施の形態では、工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種の構成物(パーツ)を形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本発明により、表示装置を構成する構成物を、所望なパターンで制御性よく形成できる。また、材料のロスも少なく、コストダウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の液晶表示装置を歩留まりよく作製することができる。
(実施の形態4)
本発明を適用して薄膜トランジスタを形成し、該薄膜トランジスタを用いて表示装置を形成することができるが、発光素子を用いて、なおかつ、該発光素子を駆動するトランジスタとしてN型トランジスタを用いた場合、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。ここでは、いずれの場合に応じた発光素子の積層構造について、図21を用いて説明する。
また、本実施の形態では、本発明を適用したチャネル保護型の薄膜トランジスタ461、471、481を用いる。薄膜トランジスタ481は、透光性を有する基板480上設けられ、ゲート電極層493、ゲート絶縁膜497a、ゲート絶縁膜497b、ゲート絶縁膜497c、半導体層494、n型を有する半導体層495、ソース電極層又はドレイン電極層487、チャネル保護層496により形成される。本実施の形態では、半導体層として結晶性半導体層を用い、一導電型の半導体層としてn型を有する半導体層を用いる。n型を有する半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。半導体層は本実施の形態に限定されず、実施の形態1示したように、非晶質半導体層を用いることもできる。本実施の形態のようにポリシリコンのような結晶性半導体層を用いる場合、一導電型の半導体層を形成せず、結晶性半導体層に不純物を導入(添加)して一導電型を有する不純物領域を形成してもよい。また、ペンタセンなどの有機半導体を用いることもでき、有機半導体を液滴吐出法などによって選択的に形成すると、所望の形状に加工する工程を簡略化することができる。
本実施の形態では、半導体層494として非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する。結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜650℃で5分〜24時間)により結晶化を行う。結晶化を助長する元素としては、この珪素の結晶化を助長する金属元素としては鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができ、本実施の形態ではニッケルを用いる。
結晶化を促進する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。本実施の形態では、ゲッタリングシンクとして機能する不純物元素を含む半導体層を、n型を付与する不純物元素であるリン(P)を含んだn型を有する半導体層を形成する。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、n型を有する半導体層を形成し、熱処理(550℃〜650℃で5分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、n型を有する半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減され、半導体層494が形成される。一方n型を有する半導体層は、結晶性を促進する元素である金属元素を含む、n型を有する半導体層495となる。このようにn型を有する半導体層495は、半導体層494のゲッタリングシンクとしても機能し、そのままソース領域及びドレイン領域としても機能する。
本実施の形態では、半導体層の結晶化工程とゲッタリング工程を複数の加熱処理により行うが、結晶化工程とゲッタリング工程を一度の加熱処理により行うこともできる。この場合は、非晶質半導体層を形成し、結晶化を促進する元素を添加し、ゲッタリングシンクとなる半導体層を形成した後、加熱処理を行えばよい。
本実施の形態では、ゲート絶縁層を複数層の積層で形成し、ゲート絶縁膜497aとして窒化酸化珪素膜、ゲート絶縁膜497bとして酸化窒化珪素膜を積層した後、酸化窒化珪素膜上に、ゲート絶縁膜497cとして膜厚0.3nm〜5nmの窒化酸化珪素膜を形成し、3層の積層構造とする。このような構造であると、半導体層中の金属元素のゲッタリング効率も上がり、かつ半導体層への窒化珪素膜の悪影響も軽減できる。また積層される絶縁層は、同チャンバー内で真空を破らずに同一温度下で、反応ガスを切り変えながら連続的に形成するとよい。真空を破らずに連続的に形成すると、積層する膜同士の界面が汚染されるのを防ぐことができる。
またチャネル保護層496及び、n型を有する半導体層495上に、光触媒物質499及びぬれ性が低い物質490が形成されている。本実施の形態では、この光触媒物質499に、透光性を有する基板側から、光を照射し、ゲート電極層493によって遮断されない光により光触媒物質499を活性化し、ぬれ性が低い物質490の表面を改質する。光として、その光触媒物質が活性化する波長の光を照射する。光触媒物質の活性化によるエネルギーによって、光の照射による改質処理能力は向上する。光触媒物質を選択することにより、照射する光の波長の選択幅が広がるので、透光性を有する基板が吸収する波長をさけた光を選択することができる。
本実施の形態では、導電性材料を含む組成物に対してぬれ性が低い物質490表面において、ゲート電極層493がマスクとなるチャネル保護層496に重畳する表面以外を、光の照射によってより高いぬれ性となるように改質している。よってぬれ性が低い物質490表面には、相対的に高いぬれ性領域である高ぬれ性領域492a、高ぬれ性領域492b、相対的に低いぬれ性領域である低ぬれ性領域491が形成される。チャネル保護層表面の低ぬれ性領域491は、周囲のN型半導体表面の高ぬれ性領域492a、高ぬれ性領域492bよりぬれ性が低いので導電性材料を含む組成物は付着せず、結果としてぬれ性の高い高ぬれ性領域492a、高ぬれ性領域492bにソース電極層又はドレイン電極層487が制御性よく形成される。本実施の形態で用いたぬれ性が低い物質はFASであり、単分子レベルの極薄膜なので、n型を有する半導体層と電極層とを絶縁することはない。導電性を持たすか絶縁性を持たすかは、形成する構造によって、材料、膜厚などを適宜決定すればよい。
薄膜トランジスタ481において、チャネル保護層上には、導電性材料を含む組成物に対して低いぬれ性を有する物質が形成されている。この物質が、薄膜トランジスタ481を覆うように形成する絶縁層498に対しても低いぬれ性を有する場合、密着性が低下するなどの絶縁層498の形成不良が生じる可能性があるため、ぬれ性が低い物質を除去するか、光照射を行い、ぬれ性を高める改質処理を行った方が好ましい。絶縁層を蒸着法、CVD法、スパッタ法などによって形成する場合は必ずしもこの処理は必要ではない。図21(A)における薄膜トランジスタ481を覆う絶縁層498は、蒸着法によって形成し、チャネル保護層上の低いぬれ性物質に処理を加えない例を示す。図21(C)における薄膜トランジスタ471上を覆う絶縁層478は、液滴吐出法を用いて形成するため、絶縁層498を形成する前に低ぬれ性領域491に光を照射し、ぬれ性を高める処理を行う例を示す。
チャネル保護層496は、液滴吐出法を用いてポリイミド又はポリビニルアルコール等を滴下してもよい。その結果、露光工程を省略することができる。チャネル保護層としては、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。また、シロキサンを有する材料を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られる膜なども用いることができる。
まず、基板480側に放射する場合、つまり下面放射を行う場合について、図21(A)を用いて説明する。この場合、薄膜トランジスタ481に電気的に接続するように、ソース電極層又はドレイン電極層487に接して、第1の電極層484、電界発光層485、第2の電極層486が順に積層される。光が透過する基板480は少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する必要がある。次に、基板460と反対側に放射する場合、つまり上面放射を行う場合について、図21(B)を用いて説明する。薄膜トランジスタ461は、前述した薄膜トランジスタと同様に形成することができる。
薄膜トランジスタ461に電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層462が第1の電極層463と接し、電気的に接続する。第1の電極層463、電界発光層464、第2の電極層465が順に積層される。ソース電極層又はドレイン電極層462は反射性を有する金属層であり、発光素子から放射される光を矢印の上面に反射する。ソース電極層又はドレイン電極層462は第1の電極層463と積層する構造となっているので、第1の電極層463に透光性の材料を用いて、光が透過しても、該光はソース電極層又はドレイン電極層462において反射され、基板460と反対側に放射する。もちろん第1の電極層463を反射性を有する金属膜を用いて形成してもよい。発光素子から放出する光は第2の電極層465を透過して放出されるので、第2の電極層465は、少なくとも可視領域において透光性を有する材料で形成する。最後に、光が基板470側とその反対側の両側に放射する場合、つまり両面放射を行う場合について、図21(C)を用いて説明する。薄膜トランジスタ471もチャネル保護型の薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタ471の半導体層に電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層477に第1の電極層472が電気的に接続している。第1の電極層472、電界発光層473、第2の電極層474が順に積層される。このとき、第1の電極層472と第2の電極層474のどちらも少なくとも可視領域において透光性を有する材料、又は光を透過できる厚さで形成すると、両面放射が実現する。この場合、光が透過する絶縁層や基板470も少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する必要がある。
本実施の形態において適用できる発光素子の形態を図22に示す。発光素子は、電界発光層860を第1の電極層870と第2の電極層850で挟んだ構成になっている。第1の電極層及び第2の電極層は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極層及び第2の電極層は、画素構成によりいずれも陽極、又は陰極となりうる。本実施の形態では、駆動用TFTの極性がNチャネル型であるため、第1の電極層を陰極、第2の電極層を陽極とすると好ましい。また駆動用TFTの極性がpチャネル型である場合、第1の電極層を陽極、第2の電極層を陰極とするとよい。
図22(A)及び(B)は、第1の電極層870が陽極であり、第2の電極層850が陰極である場合であり、電界発光層860は、第1の電極層870側から、HIL(ホール注入層)HTL(ホール輸送層)804、EML(発光層)803、ETL(電子輸送層)EIL(電子注入層)802、第2の電極層850の順に積層するのが好ましい。図22(A)は第1の電極層870から光を放射する構成であり、第1の電極層870は透光性を有する酸化物導電性材料からなる電極層805で構成し、第2の電極層は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されている。図22(B)は第2の電極層850から光を放射する構成であり、第1の電極層は、アルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する電極層807と、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第2の電極層806より構成されている。第2の電極層は、第2の電極層は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されているがいずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極層850から光を放射することが可能となる。
図22(C)及び(D)は、第1の電極層870が陰極であり、第2の電極層850が陽極である場合であり、電界発光層860は、陰極側からEIL(電子注入層)ETL(電子輸送層)802、EML(発光層)803、HTL(ホール輸送層)HIL(ホール注入層)804、陽極である第2の電極層850の順に積層するのが好ましい。図22(C)は第1の電極層870から光を放射する構成であり、第1の電極層870は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されているがいずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層870から光を放射することが可能となる。第2の電極層は、電界発光層860側から、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第2の電極層806、アルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する電極層807より構成されている。図22(D)は第2の電極層850から光を放射する構成であり、第1の電極層870は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されており、膜厚は電界発光層860で発光した光を反射可能な程度に厚く形成している。第2の電極層850は、少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する酸化物導電性材料からなる電極層805で構成されている。なお電界発光層は、積層構造以外に単層構造、又は混合構造をとることがでる。
また、電界発光層として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルタ同様、液滴吐出法により形成することもでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。
また上面放射型の場合で、第2の電極層に透光性を有するITOやITSOを用いる場合、ベンゾオキサゾール誘導体(BzOs)にLiを添加したBzOs−Liなどを用いることができる。また例えばEMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合DCM等、Gの場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。
なお、電界発光層は上記材料に限定されない。例えば、CuPcやPEDOTの代わりに酸化モリブデン(MoOx:x=2〜3)等の酸化物とα−NPDやルブレンを共蒸着して形成し、ホール注入性を向上させることもできる。また電界発光層の材料は、有機材料(低分子又は高分子を含む)、又は有機材料と無機材料の複合材料として用いることができる。以下発光素子を形成する材料について詳細に述べる。
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4'−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4',4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げられる。
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であってもよい。
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光版などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
発光材料には様々な材料がある。低分子有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9-イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
一方、高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。高分子系有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子系有機発光材料を用いたときと基本的には同じであり、順に陰極、有機発光層、陽極となる。しかし、高分子系有機発光材料を用いた発光層を形成する際には、低分子系有機発光材料を用いたときのような積層構造を形成させることは難しく、多くの場合2層構造となる。具体的には、順に陰極、発光層、正孔輸送層、陽極という構造である。
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2'−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセプター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウスルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポリスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
また、発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であるナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法により発光層を形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
発光層は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで示した白色発光が得られる発光素子の他にも、発光層の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
さらに、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10族に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。
以上に掲げる発光層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくは実施例2で示すようなアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
よって、図21には図示していないが、素子を有する基板と対向する封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は液滴吐出法によって選択的に形成することができる。カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークを鋭くなるように補正できるからである。
以上、各RGBの発光を示す材料を形成する場合を説明したが、単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば封止基板に形成し、基板へ張り合わせればよい。また上述したように、単色の発光を示す材料、カラーフィルタ(着色層)、及び色変換層のいずれも液滴吐出法により形成することができる。
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
上記構成において、陰極としては、仕事関数が小さい材料を用いることが可能で、例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。電界発光層は、単層型、積層型、また層の界面がない混合型のいずれでもよい。またシングレット材料、トリプレット材料、又はそれらを組み合わせた材料や、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸送物質及び発光材料で形成し、その分子数から低分子系有機化合物、中分子系有機化合物(昇華性を有さず、且つ分子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物を指していう)、高分子系有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、電子注入輸送性又は正孔注入輸送性の無機化合物と組み合わせてもよい。第1の電極層484、第2の電極層465、第1の電極層472、第2の電極層474は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された透明導電膜を用いる。なお、第1の電極層484、第1の電極層463、第1の電極層472形成前に、酸素雰囲気中でのプラズマ処理や真空雰囲気下での加熱処理を行うとよい。隔壁(土手とも記す)は、珪素を含む材料、有機材料及び化合物材料を用いて形成する。また、多孔質膜を用いても良い。但し、アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
次に、実施の形態4乃至7によって作製される表示パネルに駆動用のドライバ回路を実装する態様について説明する。
まず、COG方式を採用した表示装置について、図30(A)を用いて説明する。基板2700上には、文字や画像などの情報を表示する画素部2701が設けられる。複数の駆動回路が設けられた基板を、矩形状に分断し、分断後の駆動回路であるドライバIC2751は、基板2700上に実装される。図30(A)は複数のドライバIC2751、該ドライバIC2751の先にFPC2750を実装する形態を示す。また、分割する大きさを画素部の信号線側の辺の長さとほぼ同じにし、単数のドライバICに、該ドライバICの先にテープを実装してもよい。
また、TAB方式を採用してもよく、その場合は、図30(B)で示すように複数のテープを貼り付けて、該テープにドライバICを実装すればよい。COG方式の場合と同様に、単数のテープに単数のドライバICを実装してもよく、この場合には、強度の問題から、ドライバICを固定する金属片等を一緒に貼り付けるとよい。
これらの表示パネルに実装されるドライバICは、生産性を向上させる観点から、一辺が300mmから1000mm以上の矩形状の基板上に複数個作り込むとよい。
つまり、基板上に駆動回路部と入出力端子を一つのユニットとする回路パターンを複数個形成し、最後に分割して取り出せばよい。ドライバICの長辺の長さは、画素部の一辺の長さや画素ピッチを考慮して、長辺が15〜80mm、短辺が1〜6mmの矩形状に形成してもよいし、画素領域の一辺、又は画素部の一辺と各駆動回路の一辺とを足した長さに形成してもよい。
ドライバICのICチップに対する外形寸法の優位性は長辺の長さにあり、長辺が15〜80mmで形成されたドライバICを用いると、画素部に対応して実装するのに必要な数がICチップを用いる場合よりも少なくて済み、製造上の歩留まりを向上させることができる。また、ガラス基板上にドライバICを形成すると、母体として用いる基板の形状に限定されないので生産性を損なうことがない。これは、円形のシリコンウエハからICチップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
また、図25(B)のように走査線側駆動回路3702は基板上に一体形成される場合、画素部3701の外側の領域には、信号線側の駆動回路駆動回路が形成されたドライバICが実装される。これらのドライバICは、信号線側の駆動回路である。RGBフルカラーに対応した画素領域を形成するためには、XGAクラスで信号線の本数が3072本必要であり、UXGAクラスでは4800本が必要となる。このような本数で形成された信号線は、画素部3701の端部で数ブロック毎に区分して引出線を形成し、ドライバICの出力端子のピッチに合わせて集められる。
ドライバICは、基板上に形成された結晶質半導体により形成されることが好適であり、該結晶質半導体は連続発光のレーザ光を照射することで形成されることが好適である。従って、当該レーザ光を発生させる発振器としては、連続発光の固体レーザ又は気体レーザを用いる。連続発光のレーザを用いると、結晶欠陥が少なく、大粒径の多結晶半導体層を用いて、トランジスタを作成することが可能となる。また移動度や応答速度が良好なために高速駆動が可能で、従来よりも素子の動作周波数を向上させることができ、特性バラツキが少ないために高い信頼性を得ることができる。なお、さらなる動作周波数の向上を目的として、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の走査方向と一致させるとよい。これは、連続発光レーザによるレーザ結晶化工程では、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の基板に対する走査方向とが概ね並行(好ましくは−30度以上30度以下)であるときに、最も高い移動度が得られるためである。なおチャネル長方向とは、チャネル形成領域において、電流が流れる方向、換言すると電荷が移動する方向と一致する。このように作製したトランジスタは、結晶粒がチャネル方向に延在する多結晶半導体層によって構成される活性層を有し、このことは結晶粒界が概ねチャネル方向に沿って形成されていることを意味する。
レーザ結晶化を行うには、レーザ光の大幅な絞り込みを行うことが好ましく、そのレーザ光の形状(ビームスポット)の幅は、ドライバICの短辺の同じ幅の1mm以上3mm以下程度とすることがよい。また、被照射体に対して、十分に且つ効率的なエネルギー密度を確保するために、レーザ光の照射領域は、線状であることが好ましい。但し、ここでいう線状とは、厳密な意味で線を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは長楕円形を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10以上10000以下)のものを指す。このように、レーザ光のレーザ光の形状(ビームスポット)の幅をドライバICの短辺と同じ長さとすることで、生産性を向上させた表示装置の作製方法を提供することができる。
図30(A)、(B)のように走査線駆動回路及び信号線駆動回路の両方として、ドライバICを実装してもよい。その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにするとよい。
画素領域は、信号線と走査線が交差してマトリクスを形成し、各交差部に対応してトランジスタが配置される。本発明は、画素領域に配置されるトランジスタとして、非晶質半導体又はセミアモルファス半導体をチャネル部としたTFTを用いることを特徴とする。非晶質半導体は、プラズマCVD法やスパッタリング法等の方法により形成する。セミアモルファス半導体は、プラズマCVD法で300℃以下の温度で形成することが可能であり、例えば、外寸550×650mmの無アルカリガラス基板であっても、トランジスタを形成するのに必要な膜厚を短時間で形成するという特徴を有する。このような製造技術の特徴は、大画面の表示装置を作製する上で有効である。また、セミアモルファスTFTは、SASでチャネル形成領域を構成することにより2〜10cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。また本発明を用いると、パターンを所望の形状に制御性よく形成することができるので、このようなチャネル幅が短い微細な配線もショート等の不良が生じることなく安定的に形成することができる。画素を十分機能させるのに必要な電気特性を有するTFTを形成できる。従って、このTFTを画素のスイッチング用素子や、走査線側の駆動回路を構成する素子として用いることができる。従って、システムオンパネル化を実現した表示パネルを作製することができる。
半導体層をSASで形成したTFTを用いることにより、走査線側駆動回路も基板上に一体形成することができ、半導体層をASで形成したTFTを用いる場合には、走査線側駆動回路及び信号線側駆動回路の両方をドライバICを実装するとよい。
その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにすることが好適である。例えば、走査線側のドライバICを構成するトランジスタには30V程度の耐圧が要求されるものの、駆動周波数は100kHz以下であり、比較的高速動作は要求されない。従って、走査線側のドライバを構成するトランジスタのチャネル長(L)は十分大きく設定することが好適である。一方、信号線側のドライバICのトランジスタには、12V程度の耐圧があれば十分であるが、駆動周波数は3Vにて65MHz程度であり、高速動作が要求される。そのため、ドライバを構成するトランジスタのチャネル長などはミクロンルールで設定することが好適である。本発明を用いると、微細なパターン形成が制御性よくできるので、このようなミクロンルールにも十分に対応することが可能である。
ドライバICの実装方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法を用いることができる。
ドライバICの厚さは、対向基板と同じ厚さとすることで、両者の間の高さはほぼ同じものとなり、表示装置全体としての薄型化に寄与する。また、それぞれの基板を同じ材質のもので作製することにより、この表示装置に温度変化が生じても熱応力が発生することなく、TFTで作製された回路の特性を損なうことはない。その他にも、本実施形態で示すようにICチップよりも長尺のドライバICで駆動回路を実装することにより、1つの画素領域に対して、実装されるドライバICの個数を減らすことができる。
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
(実施の形態6)
本発明の表示装置に具備される保護回路の一例について説明する。
図30で示すように、外部回路と内部回路の間に保護回路2713を形成することができる。保護回路は、TFT、ダイオード、抵抗素子及び容量素子等から選択された1つ又は複数の素子によって構成されるものであり、以下にはいくつかの保護回路の構成とその動作について説明する。まず、外部回路と内部回路の間に配置される保護回路であって、1つの入力端子に対応した保護回路の等価回路図の構成について、図27を用いて説明する。図27(A)に示す保護回路は、pチャネル型薄膜トランジスタ7220、7230、容量素子7210、7240、抵抗素子7250を有する。抵抗素子7250は2端子の抵抗であり、一端には入力電圧Vin(以下、Vinと表記)が、他端には低電位電圧VSS(以下、VSSと表記)が与えられる。
図27(B)に示す保護回路は、pチャネル型薄膜トランジスタ7220、7230を、整流性を有するダイオード7260、7270で代用した等価回路図である。図27(C)に示す保護回路は、pチャネル型薄膜トランジスタ7220、7230を、TFT7350、7360、7370、7380で代用した等価回路図である。また、上記とは別の構成の保護回路として、図27(D)に示す保護回路は、抵抗7280、7290と、nチャネル型薄膜トランジスタ7300を有する。図27(E)に示す保護回路は、抵抗7280、7290、pチャネル型薄膜トランジスタ7310及びnチャネル型薄膜トランジスタ7320を有する。保護回路を設けることで電位の急激な変動を防いで、素子の破壊又は損傷を防ぐことができ、信頼性が向上する。なお、上記保護回路を構成する素子は、耐圧に優れた非晶質半導体により構成することが好ましい。本実施の形態は 、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
本実施の形態は、実施の形態1乃至14とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態で示す表示パネルの画素の構成について、図28に示す等価回路図を参照して説明する。本実施の形態では、画素の表示素子として発光素子(EL素子)を用いる例を示す。
図28(A)に示す画素は、列方向に信号線710及び電源線711、電源線712、電源線713、行方向に走査線714が配置される。また、TFT701は、スイッチング用TFT、TFT703は駆動用TFT、TFT704は電流制御用TFTであり、他に容量素子702及び発光素子705を有する。
図28(C)に示す画素は、TFT703のゲート電極が、行方向に配置された電源線715に接続される点が異なっており、それ以外は図28(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図28(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、行方向に電源線712が配置される場合(図28(A))と、列方向に電源線715が配置される場合(図28(C))では、各電源線は異なるレイヤーの導電体層で形成される。ここでは、TFT703のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図28(A)(C)として分けて記載する。
図28(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内にTFT703、TFT704が直列に接続されており、TFT703のチャネル長L3、チャネル幅W3、TFT704のチャネル長L4、チャネル幅W4は、L3/W3:L4/W4=5〜6000:1を満たすように設定される点が挙げられる。6000:1を満たす場合の一例としては、L3が500μm、W3が3μm、L4が3μm、W4が100μmの場合がある。また本発明を用いると、微細な加工処理ができるので、このようなチャネル幅が短い微細な配線も、ショート等の不良が生じることなく安定的に形成することができる。よって、図28(A)(C)のような画素を十分機能させるのに必要な電気特性を有するTFTを形成でき、表示能力の優れた信頼性の高い表示パネルを作製することが可能となる。
なお、TFT703は、飽和領域で動作し発光素子705に流れる電流値を制御する役目を有し、TFT704は線形領域で動作し発光素子705に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましい。またTFT703には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明は、TFT704が線形領域で動作するために、TFT704のVGSの僅かな変動は発光素子705の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子705の電流値は、飽和領域で動作するTFT703により決定される。上記構成を有する本発明は、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して画質を向上させた表示装置を提供することができる。
図28(A)〜(D)に示す画素において、TFT701は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、TFT701がオンして、画素内にビデオ信号が入力されると、容量素子702にそのビデオ信号が保持される。なお図28(A)(C)には、容量素子702を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、明示的に容量素子702を設けなくてもよい。
発光素子705は、2つの電極間に電界発光層が挟まれた構造を有し、順バイアス方向の電圧が印加されるように、画素電極と対向電極の間(陽極と陰極の間)に電位差が設けられる。電界発光層は有機材料や無機材料等の広汎に渡る材料により構成され、この電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と、三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
図28(B)に示す画素は、TFT706と走査線716を追加している以外は、図28(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図28(D)に示す画素は、TFT706と走査線716を追加している以外は、図28(C)に示す画素構成と同じである。
TFT706は、新たに配置された走査線716によりオン又はオフが制御される。TFT706がオンになると、容量素子702に保持された電荷は放電し、TFT706がオフする。つまり、TFT706の配置により、強制的に発光素子705に電流が流れない状態を作ることができる。従って、図28(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図28(E)に示す画素は、列方向に信号線750、電源線751、電源線752、行方向に走査線753が配置される。また、TFT741はスイッチング用TFT、TFT743は駆動用TFTであり、他に容量素子742及び発光素子744を有する。図28(F)に示す画素は、TFT745と走査線754を追加している以外は、図28(E)に示す画素構成と同じである。なお、図28(F)の構成も、TFT745の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
以上のように、本発明を用いると、配線等のパターンを形成不良を生じることなくっ精密に安定して形成することが出来るので、TFTに高い電気的特性や信頼性をも付与することができ、使用目的に合わせて画素の表示能力を向上するための応用技術にも十分対応できる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至16とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態を図18を用いて説明する。図18は、本発明を適用して作製されるTFT基板2800を用いてEL表示モジュールを構成する一例を示している。図18において、TFT基板2800上には、画素により構成された画素部が形成されている。
図18では、画素部の外側であって、駆動回路と画素との間に、画素に形成されたものと同様なTFT又はそのTFTのゲートとソース若しくはドレインの一方とを接続してダイオードと同様に動作させた保護回路部2801が備えられている。駆動回路2809は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成されたスティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
TFT基板2800は、液滴吐出法で形成されたスペーサ2806a、スペーサ2806bを介して封止基板2820と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。TFT2802、TFT2803とそれぞれ接続する発光素子2804、発光素子2805上であって、TFT基板2800と封止基板2820との間にある空隙には少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
図18では発光素子2804、発光素子2805、発光素子2815を上面放射型(トップエミッション型)の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素は、画素を赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板2820側に各色に対応した着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素を白色発光素子として着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cと組み合わせても良い。
外部回路である駆動回路2809は、TFT基板2800の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板2810で接続される。また、TFT基板2800に接して若しくは近接させて、ヒートパイプ2813と放熱板2812を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
なお、図18では、トップエミッションのELモジュールとしたが、発光素子の構成や外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造、もちろん上面、下面両方から光が放射する両面放射構造としても良い。トップエミッション型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法により形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック等を混合させて形成すればよく、その積層でもよい。
また、EL表示モジュールは、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断する構成にしてもよい。トップエミッション型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法により形成することができ、顔料系の黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料にカーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順にTFT基板2800、発光素子2804、封止基板(封止材)2820、第1の位相差板、第2の位相差板(λ/4板、λ/2板)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
TFT基板2800において、画素部が形成された側にシール材や接着性の樹脂を用いて樹脂フィルムを貼り付けて封止構造を形成してもよい。本実施の形態では、ガラス基板を用いるガラス封止を示したが、樹脂による樹脂封止、プラスチックによるプラスチック封止、フィルムによるフィルム封止、など様々な封止方法を用いることができる。樹脂フィルムの表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。フィルム封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至17とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態9)
本実施の形態を図19及び図20を用いて説明する。図19、図20は、本発明を適用して作製されるTFT基板2600を用いて液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
図19は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間に画素部2603と液晶層2604が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、2607、レンズフィルム2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、ASM(Axially Symmetric
aligned Micro−cell)モード、OCBモードなどを用いることができる。
なかでも、本発明で作製する表示装置は高速応答が可能なOCBモードを用いることでより高性能化することができる。図20は図19の液晶表示モジュールにOCBモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルターを並べる必要がないため同じ面積で9倍の画素を表示できる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の表示装置に、FS方式、及びOCBモードを適用すると、一層高性能で高画質な表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
OCBモードの液晶層は、いわゆるπセル構造を有している。πセル構造とは、液晶分子のプレチルト角がアクティブマトリクス基板と対向基板との基板間の中心面に対して面対称の関係で配向された構造である。πセル構造の配向状態は、基板間に電圧が印加されていない時はスプレイ配向となり、電圧を印加するとベンド配向に移行する。さらに電圧を印加するとベンド配向の液晶分子が両基板と垂直に配向し、光が透過する状態となる。なお、OCBモードにすると、従来のTNモードより約10倍速い高速応答性を実現できる。
また、FS方式に対応するモードとして、高速動作が可能な強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)を用いたHV−FLC、SS−FLCなども用いることができる。OCBモードは粘度の比較的低いネマチック液晶が用いられ、HV−FLC、SS−FLCには、スメクチック液晶が用いられるが、液晶材料としては、FLC、ネマチック液晶、スメクチック液晶などの材料を用いることができる。
また、液晶表示モジュールの高速光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。上記高速化は、TNモードの液晶表示モジュールの画素領域の画素、またはドットピッチが30μm以下の場合に、より効果的である。
図20の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cをそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
以上のように本発明を用いると、高繊細、高信頼性の液晶表示モジュールを作製することができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至17とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態10)
上記実施の形態により作製される表示モジュール(表示パネルとも記す)によって、テレビジョン装置を完成させることができる。表示パネルには、図25(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図30(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図30(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図25(B)に示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図25(C)のように画素部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナで受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路などからなっている。コントロール回路は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナで受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路に送られ、その出力は音声信号処理回路を経てスピーカに供給される。制御回路は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部から受け、チューナや音声信号処理回路に信号を送出する。
これらの液晶表示モジュール、EL表示モジュールを、図26(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。図18のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置を、図19、図20のような液晶表示モジュールを用いると、液晶テレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカ部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
図26(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図26(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
(実施の形態11)
本発明を適用して、様々な表示装置を作製することができる。即ち、それら表示装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの例を図24に示す。
図24(A)は、パーソナルコンピュータであり、本体2101、筐体2102、表示部2103、キーボード2104、外部接続ポート2105、ポインティングマウス2106等を含む。本発明は、表示部2103の作製に適用される。本発明を用いると、小型化し、配線等が精密化しても、信頼性の高い高画質な画像を表示することができる。
図24(B)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2201、筐体2202、表示部A2203、表示部B2204、記録媒体(DVD等)読み込み部2205、操作キー2206、スピーカー部2207等を含む。表示部A2203は主として画像情報を表示し、表示部B2204は主として文字情報を表示するが、本発明は、これら表示部A、B2203、2204の作製に適用される。本発明を用いると、小型化し、配線等が精密化しても、信頼性の高い高画質な画像を表示することができる。
図24(C)は携帯電話であり、本体2301、音声出力部2302、音声入力部2303、表示部2304、操作スイッチ2305、アンテナ2306等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部2304に適用することで、小型化し、配線等が精密化する携帯電話であっても、信頼性の高い高画質な画像を表示できる。
図24(D)はビデオカメラであり、本体2401、表示部2402、筐体2403、外部接続ポート2404、リモコン受信部2405、受像部2406、バッテリー2407、音声入力部2408、操作キー2409等を含む。本発明は、表示部2402に適用することができる。本発明により作製される表示装置を表示部2304に適用することで、小型化し、配線等が精密化するビデオカメラであっても、信頼性の高い高画質な画像を表示できる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
また本発明は、半導体装置にも適用でき、本発明を適用した半導体装置の用途は広範にわたるが、例えば、本発明の半導体装置の一形態であるIDチップは、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。また、本発明はいろいろな信号処理機能を有する集合体であるプロセッサチップにも用いることができる。