JP5110647B2 - パチンコ機 - Google Patents

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Description

本発明は、ボス部とボス受け部との嵌合によって位置決めされる遊技盤を有するパチンコ機に関するものである。
近年、少なくとも一部分が透明な熱可塑性の合成樹脂で形成された板状部材と、その板状部材の外周を略覆うと共に、その板状部材を着脱可能に嵌合する嵌合段部を備えた土台部材とから成る遊技盤を備えたパチンコ機が考案されている。
この合成樹脂により形成された板状部材は熱や外力で変形しやすいため、板状部材に設けるボス受け部の形状を、その設置位置に応じて異ならせることで、温度変化に起因した板状部材の伸縮に伴う歪みを抑制するといった技術が考案されている。例えば特許文献1には、ボス受け部の形状を、板状部材の上部の外周近傍においては丸孔とし、板状部材の左右下部の外周近傍においては上下方向に伸びた長孔としている。
すなわち、特許文献1に記載のパチンコ機は、板状部材が温度変化や経時変化等によって伸縮した場合、板状部材の長孔型のボス受け部において固定位置を可動させ伸縮を許容することで、歪みを防止しようとしているものである。
特開2008−403号公報
しかしながら、特許文献1に記載のパチンコ機は、長孔型のボス受け部によって、上下方向の伸縮に起因する歪みは防止できるものの、長孔型のボス受け部に上下方向以外の応力が加わると歪みを解消することができなかった。
そこで、本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、板状部材の上下方向に設けられた複数のボス受け部と、同じく土台部材の上下方向に設けられた複数のボス部との嵌合状態を調節することによって、遊技盤における歪みの問題を効果的に解消できるパチンコ機を提供しようとするものである。
かかる本発明のうち請求項1に記載された発明は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成される板状部材と、当該板状部材をその背面で支持する土台部材とから成る合成樹脂製の遊技盤を有したパチンコ機であって、前記土台部材において、前記板状部材を位置決めするための基準ボス部を前記遊技領域外となる位置に設けるとともに、前記基準ボス部から鉛直方向で前記遊技領域を挟んだ位置に、前記板状部材を位置決めするための調節ボス部を設ける一方、前記板状部材において、前記基準ボス部を嵌合可能な基準ボス受け部と前記調節ボス部を嵌合可能な調節ボス受け部とを設け、さらに、前記基準ボス部を柱状の軸部から上下左右にリブ片を突設させて形成する一方、前記調節ボス部を柱状の軸部から左右方向へのみ前記基準ボス部と同様のリブ片を突設させて形成することにより、前記調節ボス部と前記調節ボス受け部との間の上下方向の遊びを、前記基準ボス部と前記基準ボス受け部との間の上下方向の遊びよりも大きくしたことを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記基準ボス受け部を、略正円状に形成された凹部又は孔部とする一方、前記調節ボス受け部を、上下方向に長い長円状に形成された凹部又は孔部とすることにより、前記調節ボス部と前記調節ボス受け部との上下方向の遊びを、前記基準ボス部と前記基準ボス受け部との上下方向の遊びよりも大きくしたことを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記土台部材の前面に、前記板状部材を嵌め込み可能な凹状の嵌め込み部を設け、前記嵌め込み部内に、前記基準ボス部を含めて左右方向へ複数のボス部を設けるとともに、前記板状部材に前記ボス部を嵌合可能なボス受け部を設け、前記ボス部と前記ボス受け部との間の左右方向における遊びを、前記基準ボス部からの距離に比例して大きくなるようにする一方、前記嵌め込み部の下辺部に、上方へ突出する複数の突起部を設け、前記嵌め込み部に嵌め込まれた前記板状部材を前記突起部の先端で支持可能としたことを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3に記載された発明において、前記遊技盤の前面に、遊技球発射装置によって発射された遊技球を前記遊技領域の下部から上部へ導くための一対のレール部材が設置されており、前記基準ボス部を前記レール部材の前記遊技領域の下部側の端部近傍に設けたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、土台部材上に設けられた基準ボス部、及びその鉛直方向で遊技領域を挟んだ位置に設けられた調節ボス部は、板状部材上のそれぞれのボス部が接する位置に穿設された各ボス受け部に嵌合させることで、土台部材と板状部材との位置決めを可能にするとともに、それぞれのボス部と対応するボス受け部との上下方向の遊びの調節により、遊技盤の上下方向における膨張または伸縮が許容され、遊技領域に歪みが生じにくい。
また、調節ボス部は、柱状の軸部から上下方向に突出するリブ片を無くすか、もしくはその突出量をかなり少なくして形成しているため、調節ボス部と調節ボス受け部との関係において、左右方向では基準ボス部と基準ボス受け部同様に遊びを小さくすることを可能とし、上下方向では遊びを大きくすることを可能としている。
請求項2に記載の発明によれば、調節ボス部に対応する調節ボス受け部の形状を、上下方向において縦長に形成している。この形状によって、板状部材は上下方向にズレることを寛容されるため、板状部材が熱によって上下方向に膨張または収縮した場合でも、その変形が無理に押さえられて歪みを生じることがない。
請求項3に記載の発明によれば、土台部材の前面に、板状部材を嵌め込み可能な凹状の嵌め込み部を設け、嵌め込み部内に、基準ボス部を含めて左右方向へ複数のボス部を設けるとともに、板状部材にボス部を嵌合可能なボス受け部を設け、ボス部とボス受け部との間の左右方向における遊びを、基準ボス部からの距離に比例して大きくなるようにしているため、遊技盤の左右方向における膨張または伸縮に対応することができる。
また、嵌め込み部の下辺部に、上方へ突出する複数の突起部を設け、嵌め込み部に嵌め込まれた板状部材を突起部の先端で支持可能としているため、板状部材の下辺と土台部材の嵌め込み部の内周とが、面と面とで接しており、熱膨張によって遊技盤が横方向へ移動しようとする時に、大きな摩擦を生じてしまう従来の構成と比較して、板状部材と土台部材との間であまり摩擦が生じない。したがって、板状部材の熱膨張による右側への移動が妨げられることがなく、その結果板状部材に反りが生じにくい。
請求項4に記載のパチンコ機によれば、基準ボス部と基準ボス受け部との嵌合状態に比較して、調節ボス部と調節ボス受け部との嵌合状態における遊びが大きくなるように調節されているので、発射レール入口付近の板状部材と土台部材の間には位置ズレが生じにくく、遊技球の発射精度をより安定させることができる。それに加え、遊技球発射装置から発射された遊技球がレール部材に衝突したとしても、その衝突によって位置ズレが生じることを抑制することができる。
また、遊技盤上部の調節ボス部と調節ボス受け部との遊びが大きくなるように調節しているため、遊技盤の上下方向における膨張または収縮が無理に抑えられず、遊技盤の歪みを効果的に抑制することができる。
以下、本発明のパチンコ機の一実施形態について、図面に基いて詳細に説明する。
(本体の説明)
図1におけるパチンコ機1は、パチンコ機1本体を支持する機枠2に、金属製のフレーム部材であるミドル枠(図示せず)を介して遊技盤10を設置すると共に、該遊技盤10の前方を閉塞可能な前扉3を片開き自在に取り付けてなるものである。そして、該前扉3により閉塞される遊技盤10の前方空間(遊技盤10の前面)を、遊技球が流下する略円形の遊技領域11としている。
遊技領域11は、円弧状に配設された外レール12や内レール13等により囲まれており、当該遊技領域11へは、外レール12と内レール13との間に形成される発射通路を介して遊技球を打ち込み可能となっている。また、遊技領域11の略中央には、「0」〜「9」の数字や絵柄等からなる「図柄」を表示する図柄表示領域22や、遊技球を左右へ揺動させるステージ部材20が設置されていると共に、当該ステージ部材20上へ遊技球を導くための誘導部材(図示せず)、及びステージ部材20の上方に形成される図柄表示領域22への遊技球の進入を防止する庇部材21等を組み付けてなるセンター部材が設置されている。
また、遊技領域には、多数の遊技釘(図示せず)、遊技球が通過可能なゲート部材14、一対の爪片を開閉動作可能に備えたチューリップ式電動役物15、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置16、遊技球が入賞可能な入賞部材17、17・・、風車18等が設置されている。
遊技盤10の下方には、遊技球を発射装置(図示せず)へ供給するための供給皿4、及び該供給皿4から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿5が機枠2に対して片開き可能に取り付けられている。また、貯留皿5の近傍には、発射装置を作動させるための発射ハンドル6、音声や効果音による演出を行うためのスピーカ7等が設置されている。
さらに、遊技盤10の後面には、「図柄」を図柄表示領域22内に表示させるための液晶表示装置(表示装置)、遊技に係る制御(例えば、所謂「大当たり抽選」や液晶表示装置における表示制御等)を行う制御装置等が設置されている。
以上のようなパチンコ機1では、遊技者によって発射ハンドル6が回動操作されると、発射装置が作動して遊技球が遊技領域11内へ打ち込まれる。そして、遊技領域を流下する遊技球がチューリップ式電動役物15へ入賞すると、制御装置にて所謂「大当たり抽選」を行い、「大当たり」である場合には、図柄表示領域22に所定態様の図柄を確定表示した後、大入賞装置16の扉部材を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」を生起させる。
以下、本発明の遊技盤の構成について、図2〜6に基いて詳細に説明する。図2は、板状部材31と土台部材32とから成る遊技盤10を前面側から示した説明図であり、図3は、板状部材31を示した図であり、図4は、土台部材32を示した図である。さらに、図5は、図2に示した遊技盤10の上部の拡大図であり、図6は、基準ボス部81と対応する基準ボス受け部91との挿通状態、及び調節ボス部82と対応する調節ボス受け部92との挿通状態を示した拡大図である。
遊技盤10は、一枚板状に形成された板状部材31と、該板状部材31の後面側で、該板状部材31全体を嵌め込んで固着される土台部材32とからなる。
板状部材31は、アクリル樹脂から成形された透明な略円形の板状体であって、その前面には、複数の障害釘が植設されている。また、板状部材31は、下部には略正円形状の基準ボス受け部91が穿設され、さらにその鉛直上方の外レール近傍には上下に伸びる長円形状の調節ボス受け部92が穿設されている。
土台部材32は、板状部材31よりも耐熱性の高い合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)により成形され、正面から見た際に、左上隅部、右上隅部、左下隅部、及び右下隅部にそれぞれ対応する格子部材51,52,53,及び54を連結してなる。各格子部材51〜54は、厚さ略2mmの底板部分から高さ略12mmのリブ片を突出させ、また上下方向及び左右方向に直交させた格子構造を備えている。
また、土台部材32の前面側の内周縁には、板状部材31と同形の凹状の嵌め込み部33が、面上から約9mmの深さで形成されている。さらに、土台部材32の嵌め込み部33内には、前面側から見て、基準ボス部81が外レール12下端部近傍に設置され、その鉛直上方には調節ボス部82が設置されている。
左上隅部の格子部材51は、略円弧状の一辺を持つ略三角形状で、右上隅部の格子部材52と接する右端部には、格子部材52の凹部内へ嵌入可能な凸部を、左下隅部の格子部材53と接する下端部には凹部をそれぞれ有している。
また、格子部材51の右半分は、土台部材32の組み立て状態において嵌め込み部33を形成する凹状の段部33aとされており、当該段部33a内には、調節ボス部82が設けられている。
そして、調節ボス部82は、円筒形の軸部から左右方向にのみリブ片を突設してなるもので、ボス部の左右方向のリブ片と調節ボス受け部92との隙間の幅をXとした場合、その幅Xを0.15mmとする一方、上下方向にはリブ片を設けていない(図6(b))。
右上隅部の格子部材52は、上記格子部材51同様の略三角形状で、左上隅部の格子部材51と接する左端部には凹部を、右下隅部の格子部材54と接する下端部には、格子部材54の凹部内へ嵌入可能な凸部をそれぞれ有している。また、格子部材51の左半分は、土台部材32の組み立て状態において嵌め込み部33を形成する凹状の段部33bとされている。さらに、該格子部材52の上部右側縁は、遊技盤10をミドル枠に設置するための切り欠きが形成されている。
左下隅部の格子部材53は、上記格子部材51同様の略三角形状で、左上隅部の格子部材51と接する上端部には、格子部材51の凹部内へ嵌入可能な凸部を、右下隅部の格子部材54と接する右端部には、格子部材54の凹部内へ嵌入可能な凸部をそれぞれ有している。また、格子部材53の右半分は、土台部材32の組み立て状態において嵌め込み部33を形成する凹状の段部33cとされており、当該段部33c内の外レール12の発射入口近傍には、基準ボス部81が設けられている。
そして、基準ボス部81は、円筒形の軸部からリブ片をボス部の上下左右へ突設してなるもので、その左右方向の基準ボス受け部91との隙間の幅Xは、調節ボス部82と同様に0.15mmとし、上下方向の隙間の幅Yは0.15mmとしている(図6(a))。
さらに、格子部材53前面に形成された嵌め込み部33の下辺部には、突起部80,80・・が一定間隔で設けられている。当該突起部80,80・・は、板状部材31に接する先端部分が基端部分より幅狭且つ丸みを帯びて形成されており、板状部材31を土台部材32に嵌め込んだ際に、その突起部80,80・・の先端で板状部材31を支持可能としている。
右下隅部の格子部材54は、上記格子部材51同様の略三角形状で、右上隅部の格子部材52と接する上端部には凹部を、左下隅部の格子部材53と接する左端部には凹部をそれぞれ有している。また、該格子部材54の下部右側縁は、遊技盤10をミドル枠に設置するための切り欠きが形成されている。
また、格子部材54の左半分は、土台部材32の組み立て状態において嵌め込み部33を形成する凹状の段部33dとされている。
さらに、格子部材54の嵌め込み部33の下辺部には、格子部材53同様に、半球状の突起部80,80・・が一定間隔で設けられている。
そして格子部材51〜54を、各凸部を対応する凹部に嵌入させ、ネジ止めして一体化することにより、リング状の土台部材32が形成される。
なお、各格子部材51〜54の凸部および凹部には、両者を連結状態で固定するためのネジ(図示せず)を挿入可能なネジ孔が穿設されている。
以上のように構成される板状部材31と土台部材32とは、土台部材32の前面に設けられた嵌め込み部33の嵌め込みに加え、土台部材32の前面に設けられた基準ボス部81及び調節ボス部82と、板状部材31に設けられた基準ボス受け部91及び調節ボス受け部92とをそれぞれ嵌合させることで位置決めされ、さらに板状部材31と土台部材32との重なり部分をネジ止めすることで、遊技盤10が形成されている。
上述したように遊技盤10の形成の際、嵌合状態になった調節ボス部82と調節ボス受け部92とは、調節ボス部82が上下方向にはリブ片を突出せず、また調節ボス受け部92が上下方向の縦長に形成されているため、上下方向における遊びが大きくなっている(図6(b))。
さらに、同様に嵌合状態になった基準ボス部81と基準ボス受け部91とは、基準ボス部81が四方向の全てにリブ片を多く突出するように形成されているため、基準ボス受け部91との遊びが全ての方向において小さくなっている(図6(a))。
本発明に係る基準ボス部と調節ボス部との位置関係は、基準ボス部の左右端部から鉛直方向への直線上に、調節ボス部の左右端部のいずれかが接するようにすれば、板状部材31の歪みを抑制する効果を果たすことができる。
望ましくは、基準ボス部の中心から遊技盤の鉛直方向への直線上に、調節ボス部の左右端部のいずれかが接するように位置することで、さらに望ましくは、基準ボス部の中心から遊技盤の鉛直方向への直線上に調節ボス部の中心が位置することである。
(実施例のパチンコ機の効果)
上述の如き本実施形態に係るパチンコ機1によれば、基準ボス部81と基準ボス受け部91とは、上下と左右のいずれの方向においても殆ど隙間を生じず、また、調節ボス部82と調節ボス受け部92とは、左右方向においては殆ど隙間を生じていないが、上下方向においては隙間にかなり余裕がある。
すなわち、基準ボス部81と基準ボス受け部91との嵌合状態は、他のボス部とボス受け部との嵌合状態に比べ最も遊びが少なくなるように調節されているため、板状部材31に温度変化が生じた場合には、その基準ボス部91を中心として放射状に膨張または伸縮が生じる。そして、板状部材31の左側にのみボス部とボス受け部とが設けられているため、板状部材31の右側においてはその膨張または伸縮が抑制されることがなく、基準ボス部81から左右方向もしくは斜め方向においては歪みが生じにくい。
さらに、本実施例においては、縦方向に生じた膨張または伸縮に対しては、基準ボス部81から鉛直上方に調節ボス部82を設け、それに対応する調節ボス受け部92を上下方向に伸びた長孔に形成し、調節ボス部82を調節ボス受け部92内で移動可能にすることによって、板状部材31の上下方向における膨張もしくは伸縮を許容し、その結果歪みが生じることを防止している。
なお、上記実施例の場合において、基準ボス部81の左右のリブ片は基準ボス受け部91と当接していてもよく、さらには調節ボス部82の左右のリブ片が調節ボス受け部92と当接していてもよい。その際には、本発明の目的を果たすために、調節ボス部82を基準ボス部81の鉛直上方に設けることが必要である。
そして、上述した特徴により、板状部材31の熱による伸縮に起因してレール部材の下部側の端部が位置ズレを起こすことがなく、遊技球発射装置からレール部材間への遊技球の打ち込みが安定する。また、発射された遊技球の衝突で負荷がかかりやすいレール部材の下部側端部は、当該衝突による位置ズレを生じることが抑えられる。
また、上記実施例のパチンコ機1においては、基準ボス部81と調節ボス部82とが板状部材31の左側に設置されているので、基準ボス部81と調節ボス部82の右側部分は膨張または収縮が押さえ込まれることがなく、その結果板状部材31の左右方向においても歪みが生じにくくなっている。
またさらに、板状部材31を土台部材32に嵌め込むタイプの遊技盤10の場合、従来の構成を採用するならば、遊技盤10を直立状態で設置した際には、土台部材32の嵌め込み部33の内周と板状部材31の外周とが全面で接地してしまい、遊技盤10が横方向へ移動しようとする時に、大きな摩擦を生じてしまう。
しかしながら、本実施例中のパチンコ機1では、板状部材31はその下辺において、土台部材32の嵌め込み部33の内周と、突起部80、80・・によって接している。従って、板状部材31の下辺と、土台部材32の嵌め込み部33の内周が、面と面とで接している従来の場合と比較して、本実施例においては、膨張または収縮によって板状部材31が右方向に動く場合、板状部材31と土台部材32との間であまり摩擦が生じず、板状部材31の膨張または収縮による右側への移動が妨げられない為、その結果板状部材31に歪みが生じにくい。
(パチンコ機の変更例)
なお、本発明のパチンコ機1の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、基準ボス部81,調節ボス部82、基準ボス受け部91,調節ボス受け部92、及び突起部80,80・・の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
本実施例においては、遊技盤10を構成する土台部材32は、板状部材31を嵌め込む嵌め込み部33を設けた形態を採用しているが、それに限らず、板状部材31の後面に固定するタイプならば板状部材31と同形のものでも構わない。
また、本実施例において、基準ボス部81及び調節ボス部82の素材には、土台部材32と同じポリカーボネート樹脂を採用し一体成形しているが、耐熱性プラスチックを採用し別成形した後に固着することも可能である。さらに、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂等のいずれかを用いてもよい。
さらに、ボス部とそれに対応するボス受け部との個数は、3個に限定されない。板状部材31が膨張または収縮によって上方に移動することが妨げられず、その結果、板状部材31の上下方向に歪みが生じにくい効果を維持できるならば、さらに個数を増加してもかまわない。
その場合、基準となるボス部からの距離に反比例させて、他のボス部における上下リブ片の突出量を小さくすることが望ましい。
また、本実施例においては、複数のボス部を遊技盤10の左端に設け、左端下部に位置したボス部を基準ボス部81としているが、他の実施例においては必ずしもこれに限定されず、また複数のボス部を右端に設けてもよい。その際には、最も遊びの少ない基準ボス部を何処に設置してもよいが、その鉛直方向には基準ボス部よりも遊びを生じさせる調節ボス部を設けることが必要である。
なお、本実施例では、上下方向にのみ複数のボス部が設けられたパチンコ機1について記載しているが、同時に左右方向にも複数のボス部62,63を設けることが可能である(図2,図4)。その場合には、略横方向に設けたボス部62,63の左右方向における遊びを、基準となるボス部81からの距離に比例して大きくなるように調節することで、板状部材31が熱膨張又は収縮した際に生じる各ボス受け部91,72,73間の左右方向における間隔の広がりに対応できる。
また、各ボス部81,62,63における左右方向の遊びを異ならせる方法としては、ボス部の柱状の軸部から上下左右に突設させたリブ片のうち、基準となるボス部81からの距離に反比例させて、他のボス部62,63の左右のリブ片の突出量を異ならせ、それぞれのボス受け部72,73との遊びを調節する方法を用いることができる。
また、突起部80、80・・は、上記実施例の如く、突起部80、80・・を土台部材32に一体的に成形したものに限定されず、別個に形成された突起部80、80・・を接着する方法等の、一体成形とは他の方法によって土台部材に突起部を設けたものでもよい。
さらに、突起部80、80・・の材質は、土台部材32と同じ材質(合成樹脂等)である必要はなく、土台部材32の材質と異ならせることも可能である。加えて、その様に突起部80、80・・の材質を土台部材32と異ならせる場合には、突起部80、80・・の材質を、突起部と接する板状部材32との間に摩擦が生じにくいような素材(すなわち、合成ゴムや天然ゴム等の摩擦係数が高い弾性材料を除く)とすることが好ましい。
かかる構成を採用することによって、板状部材31は、横方向に膨張または収縮する際に、板状部材31と突起部80、80・・との間に生じる摩擦によって、板状部材31の横方向への動きが抑制されることなく、歪みが生じにくい。
さらに、突起部80、80・・は、上記実施形態の如く、突起部を等間隔で設けたものに限定されず、突起部同士の間隔や配置や、突起部の数を必要に応じて適宜変更することができる。加えて、突起部の形状は、上記実施形態の如く、半球状のものでもよいが、それに限定されず、四角形状のもの、もしくは三角形、あるいは円柱状のベース部の先端に半球状の当節部分を設けたU字形ものを用いることも可能で、必要に応じて適宜変更することができる。
パチンコ機の前面を示した説明図である。 板状部材と土台部材とからなる遊技盤の説明図である。 板状部材の説明図である。 土台部材の説明図である。 遊技盤上部の拡大図である。 (a)基準ボス部81と基準ボス受け部91とを挿通させた状態の拡大図、(b)調節ボス部82と調節ボス受け部92とを挿通させた状態の拡大図である。
符号の説明
1・・パチンコ機、10・・遊技盤、12・・外レール(レール部材)、13・・内レール(レール部材)、31・・板状部材、32・・土台部材、81・・基準ボス部、82・・調節ボス部、91・・基準ボス受け部、92・・調節ボス受け部。

Claims (4)

  1. 遊技球が流下する遊技領域が前面に形成される板状部材と、当該板状部材をその背面で支持する土台部材とから成る合成樹脂製の遊技盤を有したパチンコ機であって、
    前記土台部材において、前記板状部材を位置決めするための基準ボス部を前記遊技領域外となる位置に設けるとともに、前記基準ボス部から鉛直方向で前記遊技領域を挟んだ位置に、前記板状部材を位置決めするための調節ボス部を設ける一方、
    前記板状部材において、前記基準ボス部を嵌合可能な基準ボス受け部と前記調節ボス部を嵌合可能な調節ボス受け部とを設け、
    さらに、前記基準ボス部を柱状の軸部から上下左右にリブ片を突設させて形成する一方、前記調節ボス部を柱状の軸部から左右方向へのみ前記基準ボス部と同様のリブ片を突設させて形成することにより、前記調節ボス部と前記調節ボス受け部との間の上下方向の遊びを、前記基準ボス部と前記基準ボス受け部との間の上下方向の遊びよりも大きくしたことを特徴とするパチンコ機。
  2. 前記基準ボス受け部を、略正円状に形成された凹部又は孔部とする一方、
    前記調節ボス受け部を、上下方向に長い長円状に形成された凹部又は孔部とすることにより、
    前記調節ボス部と前記調節ボス受け部との上下方向の遊びを、前記基準ボス部と前記基準ボス受け部との上下方向の遊びよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
  3. 前記土台部材の前面に、前記板状部材を嵌め込み可能な凹状の嵌め込み部を設け、前記嵌め込み部内に、前記基準ボス部を含めて左右方向へ複数のボス部を設けるとともに、前記板状部材に前記ボス部を嵌合可能なボス受け部を設け、前記ボス部と前記ボス受け部との間の左右方向における遊びを、前記基準ボス部からの距離に比例して大きくなるようにする一方、
    前記嵌め込み部の下辺部に、上方へ突出する複数の突起部を設け、前記嵌め込み部に嵌め込まれた前記板状部材を前記突起部の先端で支持可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ機。
  4. 前記遊技盤の前面に、遊技球発射装置によって発射された遊技球を前記遊技領域の下部から上部へ導くための一対のレール部材が設置されており、前記基準ボス部を前記レール部材の前記遊技領域の下部側の端部近傍に設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のパチンコ機。
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