JP5110309B2 - 経済運転案内システム - Google Patents

Description

本発明は、車両の運転案内システムに係り、より詳しくは、車両の動力状況に応じて減速または加速か否かおよびその度合いを見計らうことができるように情報を提供し、特に曲線路または傾斜路においてＧＰＳの情報を用いてより現実的な情報を提供することにより、ドライバーが最適の燃費を実現することを可能にする経済運転案内システムに関する。

油価高騰の時代を迎え、車両の燃費の最適化は、自動車製造会社または消費者にとって、そして環境的な側面で緊急な課題になっている。製造会社にとってはリーンバーンエンジンの搭載、またはエンジンおよび変速機の効率化作業を研究し続けており、消費者にとっては経済運転方法が大きな話題となっている。一方、環境的な側面では、各種燃料消費効率の法規化およびその制限の上昇によって環境汚染に対応している。消費者にとっては、「経済運転１０十戒」という原則が流行るほど経済運転は大きい関心事である。

経済運転とは、同じリットルの燃料を用いてより遠い走行距離を実現するためのものであるが、従来の車両には、現在の燃費状態をディスプレイ部によって提供し、提供された情報に基づいてドライバーが加速または減速を決定するように案内するシステムが設けられていた。これは特許文献１に開示されている。

従来の経済運転案内システムは、車両のエンジンまたは変速機のセンサで測定される燃費と動力系統に関する情報、およびアクセラレータとブレーキパドルから得る動力情報を用いて、非経済領域なのか、経済領域なのかを示した。これは特許文献２にも開示されている。

具体的に、図１を参照して従来の経済運転案内システムを考察すると、従来では、減速と加速の度合いによって非経済領域、準経済領域および経済領域に分け、現車両の燃費の度合いをその領域に表示し、ドライバーの加速または減速を指示した。

ところが、これは、一般な直線路走行時、曲線路走行時および傾斜路走行時を同じ基準で判断することにより、曲線走行時および傾斜路走行時に案内システムの信頼度が低下し、事故が発生するおそれもあるという問題があった。

曲線路の場合、予め減速をしてコーナーの脱出時まで緩やかな減速を行うことが燃費の面で有利であるが、実際に従来の案内システムによれば、コーナー進入直前までは経済領域であることを表示し、その前に減速する場合にはむしろ準経済領域または非経済領域であると表示した。

したがって、ドライバーは、案内システムによる場合、コーナーに進入してから急減速を行う。これはむしろ燃費に不利な走行を行うように案内されるという問題があった。

図１はその一例である。図１に示すように、５０ｍｉｌｅ／ｈの速度で走行中に、ドライバーは曲線路に進入してから曲線路であることを認識し、制動を開始する。この場合、５０ｍｉｌｅ／ｈから２０ｍｉｌｅ／ｈに急減速し、さらに２０ｍｉｌｅ／ｈから６ｍｉｌｅ／ｈに急減速することにより、従来の案内システムによれば、むしろ燃費が悪化するのであった。

これは、傾斜路の場合も同様であって、傾斜路進入の前に十分な動力を得、これを基に反力を利用して傾斜を乗り越えるのが効率であるが、従来の一律的案内システムによれば、傾斜路の場合、駆動力の不足によってアクセラレータを必要以上に踏むことになり、燃費が低下するという問題があった。

米国特許第４，１６６，３８２号明細書 米国特許第６，０９２，０２１号明細書

本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、曲線路と傾斜路の走行特性を考慮して燃費を知らせることにより、ドライバーに信頼感を与えるとともに、実質的な燃費改善が行われるようにする、経済運転案内システムを提供することにある。

前記目的を達成するための本発明は、車両加速度の大きさ順で経済領域、準経済領域および非経済領域に区分された可変的な燃費領域を導出し、現在の燃費を算出し、ＧＰＳ(Global Positioning System)から道路類型および状況に関する情報を把握し、状況に応じて予め加速または減速を誘導するために、各燃費領域の範囲を調整する燃費領域算出部と、前記燃費領域算出部から算出された情報を用いて、各燃費領域を示し、その領域上に現在の燃費を表示するディスプレイ部とを含む、ことを特徴とする。

前記燃費領域算出部は、傾斜路の場合には、上り坂進入前の一定の区間から経済領域を加速側に移動させ、下り坂進入時から経済領域を減速側に移動させて燃費領域を算出することを特徴とする。

他方、曲線路の場合には、進入前に予め減速を誘導するために、曲線路進入前の一定の区間から経済領域を減速側に移動させ、準経済領域の範囲を拡大して燃費領域を算出することを特徴とする。

本発明は、又、前記燃費領域算出部が傾斜路をさらに正確に感知することができるように、３軸地磁気センサをＧＰＳと共に用いることを特徴とする。

前記ディスプレイ部は、累積した燃費情報を各燃費領域別に分類し、その統計を表示し、累積した速度情報を一定の間隔の速度範囲別に分類し、その統計を表示することを特徴とする。

本発明に係る経済運転案内システムによれば、道路の曲線路か否かおよび勾配に応じて現実的な燃費領域を知らせることにより、ドライバーに信頼感を与えるうえ、実質的な燃費向上を実現することができる。

また、本発明のシステムによれば、ＧＰＳモジュールに３軸地磁気センサを備えることにより、さらに正確な勾配情報を得ることができ、現在の燃費情報だけでなく、累積した燃費情報も分かることができるため、運行習慣の改善の必要性も知らせることができる。

以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図２は本発明の一実施例に係る経済運転案内システムの構成を示す図である。経済運転案内システムは、車両の現在速度およびエンジンと変速機の動作状態に関する情報を収集して提供する運行情報提供部と、変速パターンデータを備える燃費データ格納部と、ＧＰＳモジュール部からの受信情報を用いて道路の類型および状況を判断して提供する道路類型判断部と、運行情報提供部の情報とデータ格納部のデータに基づき、非経済領域、準経済領域および経済領域に分けられた燃費領域と現在車両の燃費を算出し、曲線路と傾斜路の場合、進入前に予め加速または減速が誘導されるように経済領域を算出する燃費領域算出部と、燃費領域算出部から算出された情報を受信し、加速または減速による各燃費領域と、その領域を基準として現在の燃費の位置を示すディスプレイ部とから構成されるようにすることが好ましい。

前記運行情報提供部は、車速センサ、ＥＣＵ、ＴＣＵ、ＡＰＳ、ＢＰＳ、およびダンパークラッチから情報を収集するようにすることが好ましい。

ＥＣＵ(Engine Control Unit)は車両のエンジンや変速機、ＡＢＳ(Anti-Lock Braking System)などに取り付けられる演算処理装置を意味し、ＴＣＵ(Transmission Control Unit)はトランスミッションコントロールユニットを意味し、ＡＰＳ(Accelerator Position Sensor)はアクセラレータポジションセンサを意味し、ＢＰＳ(Brake Position Sensor)はブレーキポジションセンサを意味し、ダンパークラッチは変速機の効率を高めるためのスイッチ操作を意味する。

燃費領域算出部は、直線路の場合には、運行情報提供部の情報を受信して燃費データ格納部の変速パターン記録に代入して現在の燃費の位置を把握する。一実施例としては、変速点、ダンパークラッチの作動有無、および絞り弁の開度を車速と比較して燃費の領域を決定し、現在の燃費の度合いを表現する。

曲線路の場合は、ＧＰＳモジュール部と道路類型判断部から曲線路であることを把握し、予め減速を誘導するために経済領域をさらに減速した区間となるように表示する。

最終的に、ディスプレイ部は、左側を減速、右側を加速として、非経済領域、準経済領域および経済領域を示し、現在の燃費の度合いをその領域上に表現してドライバーの加速または減速の必要性を知らせる。

次に、図３を参照してこれをさらに詳しく説明する。曲線路進入前の一定の区間から予め経済領域を減速側に移動させ、準経済領域をさらに増やす。ドライバーは、表示された燃費領域をみて、経済領域が減速側に移動するにつれて、曲線路進入前の一定の区間から予め制動を開始する。これにより、ドライバーは急減速を減らして緩やかな減速を行い、燃費は上昇する。

図３はその一例である。図３に示すように、曲線路進入前の一定の区間から経済領域が減速側に移動し、ドライバーは、５０ｍｉｌｅ／ｈから減速を開始し、３０ｍｉｌｅ／ｈまで減速した状態で曲線路に進入する。

従来の場合、図１に示すように、５０ｍｉｌｅ／ｈの速度で曲線路に進入してから制動を開始して曲線路で急減速が行われた。本発明によれば、車両は３０ｍｉｌｅ／ｈの減速状態で曲線路に進入し、１５ｍｉｌｅ／ｈ、６ｍｉｌｅ／ｈに漸次減速して曲線路を通過する。これにより、本発明では、従来の場合とは異なり、急減速が減少して燃費が向上し、表示される燃費領域も非経済領域よりは準経済領域がより長時間表示される。

図４は傾斜路の場合を示す。図４を参照して傾斜路区間の案内を考察すると、前記道路類型判断部は、道路の傾斜有無とその度合いを判断し、燃費領域算出部は、上り坂の際には経済領域が加速側に移動し、下り坂の際には経済領域が減速側に移動するように算出されることが好ましく、前記道路類型判断部の正確な傾斜有無判断のために、ＧＰＳモジュール部には３軸地磁気センサが備えられることが好ましい。

すなわち、ＧＰＳを用いた衛星情報、および３軸地磁気センサ（Ｇ−センサ）の補完によって得た勾配情報を用いて、上り坂の際には傾斜の前に予め加速を行うようにしてその反力を利用し、下り坂の際には減速を行うようにして燃費を向上させる。すなわち、上り坂の直前には経済領域を加速側に移動させて加速を誘導し、下り坂の開始時には減速側に移動させて無駄な加速を防止する。

本発明は、上述した曲線路と傾斜路の場合にのみ適用されるのではなく、市内走行区間で信号による停車の際にも有用に利用できる。また、本発明は、道路の環境が急激に変化して急減速が必要な場合など、急減速または急加速が予想される全ての状況をＧＰＳを用いて探知し、ドライバーが適切に対応するようにすることにより、燃費を向上させることができる。

また、図５を参照して考察すると、前記ディスプレイ部は、累積した燃費情報の分布を各燃費領域と車速の範囲によって分けて算出し、表示することが好ましい。ディスプレイ部は、現在の燃費情報だけでなく、累積した燃費情報を各領域別に百分率で表示し、車速の区間によって百分率で表示することにより、ドライバーが自分の運行習性を把握し、将来燃費改善のための正しい習慣を持つことができるように誘導する。

図６は経済運転案内システムの実現順序を示すフローチャートである。ＧＰＳモジュール部を用いて曲線路を判断し、曲線路の場合には予め準経済領域を増加させ、減速を誘導する。傾斜路の場合は、ＧＰＳモジュール部とＧ−センサを用いて傾斜路を判断し、上り坂の際には経済領域を加速側に移動させて加速を保つようにし、下り坂の際には減速側に移動させて減速を保つようにする。

以上、本発明の特定の実施例について図示、説明したが、特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想から逸脱しない範疇内において、本発明に様々な改良および変形を加え得ることは、当該分野における通常の知識を有する者には自明であろう。

本発明は、道路の曲線路か否かおよび勾配に応じて現実的な燃費領域を知らせることにより、ドライバーに信頼感を与えるとともに、実質的な燃費向上を実現することができる経済運転案内システムの分野に適用できる。

従来の経済運転案内システムの曲線路走行時の案内方法を示す図である。 本発明の一実施例に係る経済運転案内システムの構成を示す図である。 図２に示した経済運転案内システムの曲線路走行時の案内方法を示す図である。 図２に示した経済運転案内システムの傾斜路走行時の案内方法を示す図である。 図２に示した経済運転案内システムのディスプレイ部の表示情報を示す図である。 図２に示した経済運転案内システムの実現過程を示すフローチャートである。

Claims (5)

1. エンジンと変速機の動作情報を用いて、現在の燃費と適正の燃費を算出し、これらを比較してドライバーに必要な加速または減速の度合いを知らせる経済運転案内システムであって、
   車両加速度の大きさ順で経済領域、準経済領域および非経済領域に区分された可変的な燃費領域を導出し、現在の燃費を算出し、ＧＰＳ(Global Positioning System)から道路類型および状況に関する情報を把握し、状況に応じて予め加速または減速を誘導するために、各燃費領域の範囲を調整する燃費領域算出部と、
   前記燃費領域算出部から算出された情報を用いて、各燃費領域を示し、その領域上に現在の燃費を表示するディスプレイ部とを含むことを特徴とする経済運転案内システム。
2. 前記燃費領域算出部は、傾斜路の場合には、上り坂進入前の一定の区間から経済領域を加速側に移動させ、下り坂進入時から経済領域を減速側に移動させて燃費領域を算出することを特徴とする、請求項１に記載の経済運転案内システム。
3. 前記燃費領域算出部は、曲線路の場合には、進入前に予め減速を誘導するために、曲線路進入前の一定の区間から経済領域を減速側に移動させ、準経済領域の範囲を拡大して燃費領域を算出することを特徴とする、請求項１に記載の経済運転案内システム。
4. 前記燃費領域算出部が傾斜路をさらに正確に感知することができるように、３軸地磁気センサをさらに含むことを特徴とする、請求項１または２に記載の経済運転案内システム。
5. 前記ディスプレイ部は、累積した燃費情報を各燃費領域別に分類し、その統計を表示し、累積した速度情報を一定の間隔の速度範囲別に分類し、その統計を表示することを特徴とする、請求項１ないし３のいずれか１項に記載の経済運転案内システム。

Images