JP5109039B2 - 貝殻粉末の処理方法、およびそれによるプラスチック用フィラー - Google Patents

貝殻粉末の処理方法、およびそれによるプラスチック用フィラー Download PDF

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Description

この発明は、貝殻、特にホタテ貝殻を素材とする炭酸カルシウムに関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであって、貝殻処理に直接、間接に係わる技術分野をはじめ、それを処理するための設備を製造する設備機器の分野から、その設備機器に必要な資材、部品を提供する分野、それら資材、部品の加工に必要な機械、工具類を提供する分野、またそれら資材や機械装置、部品類に必要な素材、例えば木材、合板、プラスチック、各種金属材料を提供する分野、それらに組み込まれる電子分品やそれらを集積した制御機器の分野、各種計測器の分野、加工機械を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった、凡そ一般的に産業機械として総称される分野に包含される分野、更には、それらによって作り出された貝殻由来炭酸カルシウムを使う分野、例えばプラスチック製品の製造、販売に係わるあらゆる分野、そして、それらを試験、展示、販売、輸出入、ならびに使用する分野、将又、それらに伴って発生する廃棄物を回収、運搬する廃物処理の分野やそれらを効率的に再生利用するリサイクル分野、あるいは現時点で想定できない新たな分野までと、関係しない技術分野はない程である。
(着眼点)
ホタテ養殖の盛んな青森県では、毎年約5万トンものホタテ貝殻が廃棄処分されていて、それらの殆どのものが、現在でもなお野積み状態のままでの処理によって放置され続けてきたため、今では20万トンとも50万トンとも言われる膨大な累積量を抱える事態となっていて、風光明媚な名勝地として知られる陸奥湾に望む生産地のあちこちで確実にその景観を蝕んできていると共に、何よりも、ホタテ貝殻に付着するウロの断片を残した処理のままに放置されてしまうことに起因し、それらの腐敗による悪臭や塩害などを惹起してしまい、近隣住民の日常生活に不快感を与えることとなって行政当局に苦情が持ち込まれるものの、これまでのところではそのための有効な解決策も見出せないために住民の要望には応えきれておらず、また、観光や商用で県外から来県する人々に与えるイメージも損ね兼ねなく、これら問題は、ひいては経済活動にも支障を来すことになって財政上にも少なからぬ影響が出ているのではないかと懸念する向きもあるなど、この貝殻処理については長らく社会問題化し続けてきている。
(従来の技術)
そこで、このように日々溢れ続けるホタテ貝殻廃棄物の処理対策が、従来からも様々な角度から検討され続けて実験、追試が繰り返され、その中で実効あるものは一部実用化されたり、実用化に向けて着実に歩を進めてきているという実績を積んできているのも事実であり、例えば、古くはコンクリートの骨材に用いたり、表面に埋込んで化粧コンクリート板に応用したという極めて単純なものから、特開平7−304035号公報「貝殻レジンおよびその成形品の製造方法」発明に見られるような、所謂破砕貝殻を主原料とし、これに適宜合成樹脂材料、硬化剤及び効果促進剤の適量を混入して得られる混合物を固化してタイルやブロック、U字溝、植木鉢など栽培用品、魚礁ブロック等の成形品にしようとするもの、あるいは特開平9−158106号公報「道路の舗装方法」発明などに代表される土木建築資材の代替物にしようと試みるもの、あるいは、ホタテの生産高日本一で知られる網走市と同農協、北見農業事務所が協力してホタテ貝殻を暗渠の被覆材とする実用化に成功し、従来の被覆材よりも経済的だ農家に歓迎されると共に有効な貝殻処理対策として地元と漁業関係者からも好評を泊している事例などがある。
しかしながら、それら試みも、単に従前からのタイルや舗装材、暗渠被覆材としての代替物でしかなく、資源の有効活用と貝殻処理対策という点での評価は決して低くはないものの、対象とする製品自体の付加価値としてはさして変わりがないか、かえって製品コストからすると従前のものよりも高くついてしまうものもあったりして、なかなか広い範囲で繰り返し採用、普及するところまでには至っておらず、それもこれも、恐らくホタテ貝殻を単なる産業廃棄物扱いにするという観念が付きまとい、あくまでそれを前提にした活用に止まってしまっていたのではないのか、そして現在でもなおその固定概念から殆ど抜け出せないでいるのではないのかと予想され、ホタテ貝殻を構成する成分の特徴が実質有効に活かし切れていないため、これまでのホタテ貝殻由来の製品が、他の製品では用をなさず、どうしてもホタテ貝殻由来の製品でなければならないという需要の喚起がなされず、結果、何れの事例、提案も膨大な発生量のホタテ貝殻処理対策の決めてにはなり得なかったものと推察されるのである。
そうした反省からか、新しい流れとして幾つかの提案も散見される。その一つが、貝の処理として水熱法を採用する特開2002−102822号公報掲載の「浚渫貝の水熱反応処理装置」発明と、その改良に係わる特開2002−326078号公報「浚渫貝の処理方法及びその装置」発明に開示されている、破砕処理工程、浚渫貝に含まれる有機物を液状化する水熱反応処理工程、水固液分離して固形分を回収する回収処理工程とを備え、水熱反応処理工程では、破砕処理された浚渫貝を互いに衝突させ、回収される固形分の粒径が小さく、高性能の脱硫剤を製造するようにした技術的手段であり、その他にも特開2004−75964号公報にある「ホタテ貝殻含有合成樹脂組成物」発明も、ホタテ貝殻を0.1〜500μmの大きさに粉砕した粉砕物を、合成樹脂100重量部に対し1〜250重量部含有させ、機械的物性に優れた合成樹脂組成物を得るようにした技術的手段なども見い出すことができ、何れも大量に発生するホタテ貝殻をはじめとした貝殻が本来有している素材としての秀れた素材特性を生かそうとする提案となっている。
(1)特開平7−304035号公報 (2)特開平9−158106号公報 (3)特開2002−102822号公報 (4)特開2002−326078号公報 (5)特開2004−75964号公報
(問題意識)
そこで、この発明でも、これまでのようにホタテ貝殻を単に産業廃棄物としてその処分だけを目的にした開発を志向するのではなく、ホタテ貝殻特有の構成素材を素材として見直し、その素材を活かした付加価値の高いものの実現化こそが、最終的にホタテ貝殻の需要を継続的且つ量的に喚起する最も有効な手段になるものと確信し、膨大な廃棄量に苦慮する地域に居住する者の責任とし、それこそ有り余る程のホタテ貝殻を目の当たりにできる絶好の地の利を活かし、貝殻特有の構成素材、特にホタテ貝殻の主体をなす炭酸カルシウム(CaCO)の活用を取り上げ、しかも、従前までのもののように何かへの代替品としてだけで済まされてしまうことのない新規、有用なものの開発、完成を目途にすることにした。
幸い、先行する公知の技術手段として上記で取り上げてある特許文献(5)特開2004−75964号公報「ホタテ貝殻含有合成樹脂組成物」発明にも開示されているとおり、ホタテ貝殻粉砕物を合成樹脂に含有せしめると強化材として補強効果が得られ、合成樹脂成形体の剛性および強度を向上させるという技術手段は、日本で豊富に産出する石灰石を粉砕して得られる安価で良質の炭酸カルシウム(通称タンカル)が、タルクやセリサイト、硫酸カルシウム、モンモリロナイト、ゼオライト、亜硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、カオリンなど他の無機物と同様に、プラスチック、特に易処理性プラスチック辺りまでの、所謂タンパク質の分解点までに達しない処理、成形で足るプラスチックに不可欠の充填材(フィラー)であり、この発明の技術的思想によるものは、その鉱山から採掘される石灰石と化学成分を同じくする以上、極めて容易に想到し得るものであって何等新規性、進歩性も認め難いものといえるが、ホタテ貝殻の場合に、その成分処理の仕方によって得られる炭酸カルシウムに何等かの違いが見出せるのではないのかという期待を持つに至った。
(発明の目的)
この発明は、プラスチックフィラーとしての可能性を求め、ホタテ貝殻を代表として貝殻特有の成分の一つであるタンパク質コンキオリンに注目し、それが、プラスチック成形過程においてタンパク質の分解点(200℃)以上の融点で行われたとき、当該有機質が成形品中にて分解、熱変性してしまい、成形物までもが褐変することとなってしまったり、その分解ガスによって成形物中に空隙を生じて強度の低下を来すことになるなどして成形されるプラスチックそのものに悪影響を及ぼし、フィラーとして用いることができなくなるのではないのかとの予測の下に、そのような現象を来すことがない新規な貝殻粉末の処理をするようにし、従前までの石灰石からの炭酸カルシウムとは違って易処理性もあり、しかもプラスチック成形には欠かせない剛性(弾性率)、強度、耐衝撃性の三大力学特性に秀れ、易処理性プラスチックの範疇を越えた、所謂PET(ポリエチレンテレフタレート、以下同様。)等エンジニアプラスチックにも十分適合し得るプラスチック用フィラーのための貝殻粉末の処理方法と、それによるプラスチック用フィラーとを実現しようとするものである。
(発明の構成)
この発明の基礎をなすをなすプラスチック用フィラーは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、平均粒子径25μmに調整してなる貝殻粉末を、pH11以上、濃度0.01%以上とした水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したまま所要時間以上に渡る水熱反応処理してコンキオリン等有機質を0.2%以下にまで除去するようにしてしまい、得た貝殻粉末をタンパク質の分解点以上の熱処理に適用してもその白色度を維持し得るようにした構成を要旨とする貝殻粉末の処理方法である
(関連する発明)
この基本的な発明に関連し、この出願には、その貝殻粉末の処理方法によって得られるプラスチック用フィラーを包含している。
即ち、pH11以上、濃度0.01%以上とした水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、所要時間以上に渡る水熱反応処理し、コンキオリン等有機質残留量を0.2%以下にまで除去した平均粒子径25μmのホタテ貝殻粉末を、濾過・乾燥して形成し、タンパク質の分解点以上の融点を必要とするPET等エンジニアプラスチック成形に適用してもその白色度が維持できるようにした構成による、前記したこの発明の基本なす貝殻粉末の処理方法を利用して得られるプラスチック用フィラーである
以上のとおりの構成からなるこの発明の貝殻粉末の処理方法によれば、例えば、PET等エンジニアプラスチック成形時に、そのフィラーとして採用されて貝殻に複合されたタンパク質の分解点(200℃)以上の融点において熱処理をしたとしても、当該フィラーとするための貝殻粉末の処理として、事前の貝殻粉末を、pH11以上、濃度0.01%以上とした水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したまま所要時間以上に渡る水熱反応処理してコンキオリン等有機質を極力除去するような処理を施し、熱変性の原因物質である有機質が貝殻の表層部分だけではなく、その組織の内部からも略完全に除去されてしまうようにしたことから、本来ならば貝殻組成として含まれる筈の有機質による熱変性などの分解はなくなって褐変などを惹起することもなくなり、プラスチック成形、特にエンジニアプラスチック成形にも十分適合するフィラーとなって、これから益々需要が見込まれるエンジニアプラスチックなどプラスチック成形の情勢に鑑み、それ用のフィラーとしてこの発明の有用性が評価され、溢れる貝殻の正に有効利用に繋げられて、この発明の所期の目的が完全に達成できることになるという大きな特徴を発揮するものである。
特に、この発明の貝殻の処理方法によって処理した後の貝殻粉末内のコンキオリン等有機質残留量を0.2%以下の値にまで除去されていることを確認したものでは、PET製品のように、300℃を超えるような温度帯での成形となるプラスチック成形時に、そのフィラーとして混入されて当該熱処理を受けたとしても、確実に熱変性を起こさないものとすることができ、成形後のPET製品の褐変現象を防止できることになり、また、処理対象の貝殻は、その粒度を微細とすればするに越したことはないものの、コストや作業工程などの兼ね合いから、実用的な範囲として平均粒子径25μmに調整するようにしたものが諸条件を全うして好ましいと言え、したがって、双方の条件を付加したものとしてこの発明における貝殻処理をするのが望ましく、そのような処理方法によって得られるようにした処理済み貝殻粉末は、これまで通常のプラスチック用フィラーとして多用されてきている鉱山等石灰石からの炭酸カルシウム粉末に比較しても、熱変性や白色度、それに比表面積において何れも優位にあり、この発明の貝殻粉末の処理方法による処理済み貝殻粉末ならではの秀れた機能を有する炭酸カルシウム粉末として高く評価され、それまでのフィラーに取って代わる可能性を十分に秘めるものといえる。
これらの特筆すべき効果は、例えば、前記した特許文献(3)特開2002−102822号公報掲載の「浚渫貝の水熱反応処理装置」発明や、その改良に係わる(3)特開2002−326078号公報「浚渫貝の処理方法及びその装置」発明に採用する一部水熱反応処理によるものでも全く予定されておらず、当然にそのための技術的思想についての開示が一切ないばかりか、少しでもそれを示唆する記載箇所すらさえも見い出すことができないものであり、また、従前から採用されてきているような水揚げした貝類のアルカリ水溶液処理、即ちアサリ、ハマクリ、アケガイ、アカガイまたはシジミなどの貝類の可食部を乾燥処理する前に中腸腺などの内臓を摘出し、その後、非摘出部の脂質を、ナトリウムもしくはカリウムの水酸化物、燐酸塩または炭酸塩等のアルカリ水溶液を用いて分解した後に水洗して除去する貝類の乾燥前の処理方法とも、水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬処理する(このためには、通常pH8ないし11程度のものとするのが望ましいとされている。)手段として全く処理目的を異にしていて技術的思想として明確な違いを有し、したがって、この発明のpH11以上、濃度0.01%以上とした水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬処理したまま水熱反応処理するようにした貝殻粉末の処理方法と、それによるプラスチック用フィラーとは極めて新規、有用な発明として高い評価がなされなければならない。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
先ず、貝殻は、この発明の研究、開発の動機が有り余るホタテ貝の有用活用にあったことからホタテ貝を代表として取り上げているものの、その技術的思想としては必ずしもホタテ貝に止まるものではなく、アサリ、ハマグリ、アカガイ、シジミなどお馴染みの二枚貝(分類学上、軟体動物斧足類)や、アワビ、サザエなどといった巻貝(分類学上、軟体動物腹足類)等で、特に廃棄処分量の多くなる養殖対象の貝殻全般が対象となるものであり、それら貝殻は、成分の殆どが純粋な炭酸石灰からなるものであって、リン酸石灰や炭酸マグネシウムがほんの僅かだけ含まれ、その炭酸石灰の結晶が有機質のコンキオリン(二枚の貝殻を結び付けている物質の靱帯〈蝶番靱帯〉の主成分としても知られ、貝殻組成の一つでもあるタンパク質)で固められていて、それらの間に金属化合物や色素が含まれることによって貝殻特有の色彩や模様を表す組成を有しており、この発明の目的の一つであるプラスチック用フィラーとするために熱変性で褐変しないようにするには、炭酸石灰以外の成分、即ち主としてコンキオリンとその周囲の炭酸石灰結晶との間の色素部分を何らかの目的で完全に近い状態で除去する必要があることを突き止めたことから、そのような処理対象に挙げられる貝殻類全てをこの発明は包含している。
これら貝殻は、貝肉部分や内臓などを摘出した後、邪魔者として廃棄処分されるものを、必要に応じて残存する油脂分など貝殻組織以外のものをきれいに洗浄処理するか、その処理を省略して多少の付着物を残したままに乾燥させた上、適宜手段、例えば公知のクラッシャーやジェットミルなどの粉砕機によって所定粒度、例えばこの発明のもう一つの目的であるプラスチック用フィラーにする場合などには100μm以下、望ましくは平均粒度が25μmとなるよう微細に粉砕したものとしなければならず、所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液浸漬して水熱反応処理する工程において、貝殻のタンパク質コンキオリンなどの有機質が貝殻組成内部に極力残存してしまうことのない確実な処理を実現するために欠かせない必須の構成であり、微細粉末であればあるほど望ましく、その範囲で目的に応じた最適な粒度のものを選択、採用するようにしなければならない。
水酸化ナトリウム水溶液は、常温(温度上昇と共にpHも上昇)においてpH11以上、濃度0.01%以上となるように調整したものを、処理対象となる上記した粒度範囲の貝殻粉末処理量に見合った容量だけ用意しておき、水熱反応処理用の容器中に貯留する。
この水酸化ナトリウム水溶液中への貝殻粉末の浸漬時間は、pH値やその濃度、処理温度、それに貝殻粉末の粒度等にも左右されるために一概に規定することはできず、pH11以上、濃度0.01%以上となる所定値に調整した所定量の水酸化ナトリウム水溶液中で、水熱反応処理条件を適宜設定して処理するようにした上、それら処理済み貝殻粉末について、PET製品成形時のような300℃以上の加熱条件下での熱変性状態を確認することにより、この浸漬時間をはじめとする諸条件を設定する外ないといえる。
こうして所定の水酸化ナトリウム水溶液中に、所定粒度とした貝殻粉末の所定量を浸漬した上、反応条件の90℃程度に昇温するようにした昇圧、昇温するようにした水熱反応処理を、上記した諸条件に応じた時間(後述の実施例では丸一昼夜の24時間)に渡って実施するものであり、この水酸化ナトリウム水溶液中での水熱反応処理は、貝殻組織の主要成分である炭酸石灰以外の成分、即ち熱変性の元凶となる主としてコンキオリンとその周囲の炭酸石灰結晶との間の色素部分を略完全に、具体的には貝殻粉末が含む有機質の中、その残留量が0.2%以下の値になるようにした除去をする機能に係わっている。
上記までのようにして処理されて得られる貝殻粉末は、一旦中和された上で公知の吸引濾過瓶などによって濾過して固液分離してしまい、その後適宜乾燥機にかけて絶乾状態にまで乾燥してしまえば、融点の高いプラスチックにも適用可能なこの発明のフィラーとすることができる。
以下では、この発明を代表する実施例を取り上げ、詳細な説明を加えることによって上記までこの発明の貝殻粉末の処理方法、およびそれによるプラスチック用フィラーの構成が明確に把握できるようにする。
この発明の課題である有機質の極めて少ないホタテ貝殻からの炭酸カルシウムを得るため、供試材料として、平均粒子径25μmのホタテ貝殻粉末約10gを用意し、それらを2%水酸化ナトリウム水溶液2の100ccに浸漬し、密封できるテフロン(登録商標)製容器1中に封じ込めたまま、90℃にて24時間水熱処理を行った上、塩酸などの酸で中和してから濾過することによって濾液分離してから、東洋製作所製の送風定温乾燥器にかけて十分乾燥させ、絶乾状態の処理済みのホタテ貝殻粉末3,3,……を得るようにするこの発明に基づく貝殻粉末の処理方法を実施した。この製造過程の概略が、工程図として図1に示されている。
上記処理方法によって得た最終商品の物性を比較するため、比較用炭酸カルシウムとして、八戸炭酸カルシウム工業株式会社製石灰石(平均粒子径17μm)を用い、次のような実験を試みることにした。
先ず、ホタテ貝殻粉末から有機質が取り除かれたことを確認するために、処理後の貝殻粉末を105℃にて乾燥した上、PET融点付近の300℃で熱処理し、全くこの発明の処理方法を経ていない無処理ホタテ貝殻粉末と比較用炭酸カルシウムと共に、その重量減少を比較してみた。この実験結果において重量減少率が高い程、有機質残留量が多いことを意味する。
次に、上記で有機質残留量を比較、確認した三つの試料から、重量減少測定後の粉末の白色度を測定した。
有機質が残存した状態で熱処理すると着色するという熱変性を起こすことが知られている。
更に、それら炭酸カルシウム粉末を、例えば、プラスチック用フィラーとして用いるとすると、その比表面積が大きい程プラスチック補強効果が期待できるとされていることから、その補強効果を比較するため、その比表面積の測定を行った。
(実施例の作用、効果)
図2に示す棒グラフには、ホタテ貝殻の絶乾状態から300℃で熱処理した夫々の試料についてその重量減少率が表されている。
それによると、無処理ホタテ貝殻粉末と処理済みホタテ貝殻粉末とでは、コンキオリンに起因すると考えられる重量減少率に大きな差があり、処理済みホタテ貝殻粉末は無処理のものの72%に相当する有機質が取り除かれていることになり、この結果からホタテ貝殻の含有する有機質は、この発明の貝殻粉末の処理方法によって確実に低減化することが裏付けられた。
図3の棒グラフには、夫々の試料について、PET樹脂成形時の融点である300℃熱処理の前後における夫々の白色度を示してある。
それらの結果によれば、この発明の処理方法によって処理したものが、無処理のものと比べて確実に白色度の高い傾向を示していることが証明され、しかも、無処理の試料では、熱処理することによって白色度が低下してしまうが、この発明の処理方法による処理をした試料では、PET樹脂成形時の融点300℃での熱処理後でも、概ね変化が無いか、やや高い傾向を看取できることから、白色度の減少はコンキオリン等有機質が褐変したことに起因するものであると考えられる。
更に驚くべきことに、この発明の処理方法で形成されたホタテ貝殻粉末は、石灰石よりも白色度が非常に高い傾向ことが判明する。
以上の事実からして、ホタテ貝殻粉末をこの発明の処理方法によって処理することにより、貝殻組織内のコンキオリン等有機質が低減化(残留率0.2%以下に低減化)されてしまう結果、PET樹脂成形時などの融点300℃での熱処理を経た後でも、殆ど熱変性を惹起しないどころか、その白色度においては、これまで通常のプラスチック用フィラーとして多用されてきている鉱山等石灰石からの炭酸カルシウムよりもかなり高い傾向にあるという、この発明の貝殻粉末の処理方法による処理済み貝殻粉末ならではの秀れた機能を有する炭酸カルシウムの製造が可能になるといえる。
続いて、図4のグラフには、比表面積と平均粒子径との関係を示してあり、それによるとホタテ貝殻粉末の方が石灰石粉末よりも平均粒子径は大きいにも拘わらず、その比表面積では高い数値を示し結果となっており、この事実は、貝殻、特にホタテ貝殻特有の特徴であると考えられ、フィラーとして比表面積が高い方が望ましい素材とされていることに鑑みても、この発明の貝殻粉末の処理方法による処理済み貝殻粉末をプラスチック用フィラーとして用いることの優位点が浮き彫りになる。
図面は、この発明の代表的な貝殻粉末の処理方法と、それによるプラスチック用フィラーとの実施例に基づいて得られたデーターを示すものである。
この発明の処理方法を概念的に表した工程図である。 この発明の処理方法による試料等を、300℃の熱処理したときの重量減少率を示す棒グラフである。 この発明の処理方法による試料等の300℃熱処理前後の白色度を示す棒グラフである。 この発明の処理方法による試料等の比表面積と平均粒子径との関係を示すグラフである。
1 蓋のできる密閉容器
2 水酸化ナトリウム水溶液
3 貝殻粉末

Claims (2)

  1. 平均粒子径25μmに調整してなる貝殻粉末を、pH11以上、濃度0.01%以上とした水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したまま所要時間以上に渡る水熱反応処理してコンキオリン等有機質を0.2%以下にまで除去するようにしてしまい、得た貝殻粉末をタンパク質の分解点以上の熱処理に適用してもその白色度を維持し得るようにしたことを特徴とする貝殻粉末の処理方法。
  2. pH11以上、濃度0.01%以上とした水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、所要時間以上に渡る水熱反応処理し、コンキオリン等有機質残留量を0.2%以下にまで除去した平均粒子径25μmのホタテ貝殻粉末を、濾過・乾燥して形成し、タンパク質の分解点以上の融点を必要とするポリエチレンテレフタレート等エンジニアプラスチック成形に適用してもその白色度が維持できるようにした、請求項1記載の貝殻粉末の処理方法によって形成してなるプラスチック用フィラー。
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