JP2003071404A - 新規多孔性粒体 - Google Patents
新規多孔性粒体Info
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Abstract
性、比表面積、白色度、ワイヤー摩耗度が改善された新
規多孔性粒体を製造する。 【解決手段】 燃焼設備から排出される焼却灰を、ケイ
酸を含むアルカリ溶液中に浸漬し、これを酸により中和
することで、焼却灰をケイ酸、ケイ酸塩及びそれらの混
合物からなる群から選択される物質中に包含させること
によって新規多孔性粒体を製造する。燃焼設備から排出
される焼却灰を、ケイ酸、ケイ酸塩及びそれらの混合物
からなる群から選択される物質で浸漬処理した新規多孔
性粒体及び燃焼設備から排出される焼却灰を、ケイ酸、
ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択される
物質の粒子中に包含させた新規多孔性粒体を提供する。
Description
ボイラー等燃焼設備から排出される焼却灰(以下焼却灰
と略記)を、ケイ酸、ケイ酸塩及びそれらの混合物から
なる群から選択される物質(以下、ケイ酸等という。)
の粒子で包み込むことで、白色度、吸油度、比表面積、
ワイヤー摩耗度等を改善させ、焼却灰単体では得られな
かった、製紙用填料、顔料またはその他用途の充填剤と
しての適性を向上させる技術に関するものである。
動からの、産業廃棄物削減を余儀なくされている。これ
は製紙業界に限らず、発電もしくはごみ焼却等を行って
いる全ての企業、自治体に対してであり、いずれも焼却
灰の取り扱いについては、大きな社会問題となってい
る。現在、焼却灰は一部セメント原料や製鉄の酸化防止
剤、混和剤として国内発生量の約半分が有効利用されて
いるが、残りのほとんどは産業廃棄物となり、埋め立て
られることが多い。このように再利用があまり進んでい
ない理由として、構成元素が一定しないため、再利用品
の製品品質が一定しないことが最も大きな原因であり、
さらに焼却灰が未燃カーボンや硫黄酸化金属等を含むた
め、色の白さの指標である白色度が低いこともこの要因
の一つとして考えられる。さらに、発生量が膨大である
ことも一つの要因であろう。しかし、一部では社会的背
景を理由とした再利用方法も開発されつつある。その方
法とは大きく2通りに分けられる。それは、焼却灰をそ
のままなんらかの原料とし、再利用する方法と、焼却灰
になんらかの処理を行い、特定の性質を改善した後に原
料として用いる方法である。前者はセメント原料や製鉄
製造時の酸化防止剤、融雪剤、また有機汚泥等と混合す
ることで人工土壌として再利用する方法(特開平9-12167
4)などが検討され、これらはいずれも製品化されてい
る。後者は処理を行うことによりより複雑である。一例
を挙げると、製紙工程から発生するスラッジの焼却灰
を、軽質炭酸カルシウム(以下軽カル)と反応させ、白色
度や摩耗度を改善した後、再び填料または充填剤とする
方法(特開2000-178024、特開平8-49186、特開平9-11168
1)がある。これは、製紙工程からのスラッジ焼却灰にあ
る処理を行った後に、軽カル製造工程に用い、表面上に
新規結晶を付着させることにより、白色度の改善を行っ
ているものである。いずれも、焼却灰を廃棄物とせず、
何らかの付加価値を付け、再度原料として用いている点
では共通しており、現在の社会背景を反映していると考
えられる。一方でこれら焼却灰を用いた製品を再利用す
るためには、多くのコストとエネルギーを必要とする場
合があり、さらにユーザー側が求める品質に達しないこ
とも多い。例えば、軽カルで焼却灰の改質を行い、白色
度を確保するためには、前処理として未燃カーボン除
去、粒度調節のための微細化処理、さらに軽カルとの反
応工程が必要となる。そのため、これら焼却灰再利用の
ための各種前処理を行うためには、多くの費用と手間が
必要となり、企業側に利益をもたらすことはほとんどな
く、これらの技術を応用して製品をつくることは、企業
の環境活動促進としての観点以外に、あまりメリットは
ない。これも石炭灰再利用が積極的に進められない一つ
の理由となっている。
びスラッジ焼却灰再利用をさらに進展させていくために
は、焼却灰になんらかの処理を行い、付加価値を付け、
新規使用先を増やし拡大する必要がある。これは処理を
行われていない焼却灰は未燃物や、金属の酸化物または
硫黄酸化物を多量に含むため、色が黒く、品質安定が難
しく、さらに硬度が高いため、抄紙工程で使用するとプ
ラスティックワイヤー摩耗が激しくなるという弊害があ
るためである。
る。特開2000-178024で示されているスラッジ焼却灰を
水酸化カルシウム含有の懸濁液中に添加し、二酸化炭素
ガスを吹き込むことにより、嵩高い軽カルが製造される
方法が記載されている。このように軽カル中に焼却灰を
含ませる方法は多数検討されているが、他の物質を用い
た改質方法は意外に少ない。また、焼却灰を軽カル中に
含む方法で作られたものは、当然のように軽カルに似た
性質を示し、用途によっては、つまり軽カル以外の性能
を求める場合には、不適当な場合もある。そこで、本発
明者らは、軽カル以外の物質、特にケイ酸等の粒子中に
焼却灰を包括させる方法を鋭意検討した結果、ついに焼
却灰を含む新規多孔性粒体の開発に至った。
から排出される焼却灰を、ケイ酸、ケイ酸塩及びそれら
の混合物からなる群から選択される物質で浸漬処理した
新規多孔性粒体を提供される。また、燃焼設備から排出
される焼却灰を、ケイ酸、ケイ酸塩及びそれらの混合物
からなる群から選択される物質の粒子中に包含させた新
規多孔性粒体が提供される。さらにまた、燃焼設備から
排出される焼却灰を、ケイ酸を含むアルカリ溶液中に浸
漬し、これを酸により中和することで、焼却灰をケイ
酸、ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択さ
れる物質中に包含させることからなる新規多孔性粒体の
製造方法が提供される。
性条件下でケイ酸を溶解させた溶液とを混合し、これを
酸によって中和させることによりケイ酸等を析出させる
処理をいい、包含とは、焼却灰等表面の一部がケイ酸等
で覆われている状態をいう。
酸等の粒子と焼成灰粒子の集合したもの、ケイ酸粒子の
集合したもの、及び極く少量の焼却灰粒子(ケイ酸、ケ
イ酸塩及びそれらの混合物に包含されなかったもの)か
らなる。即ち、本発明の多孔性粒体は、焼却灰粒子の少
なくとも大部分がケイ酸等の粒子に包含されたものであ
る。本発明でいう多孔性粒体は、粉体又は造粒物の形態
をも含む概念である。
界に多数存在しているが、その製造方法によってはゴム
充填剤や製紙用填料として用いられている非晶質の形で
も存在し、ホワイトカーボンと呼ばれている。このホワ
イトカーボンは、他の填料と比較しても、吸油性、比表
面積、白色度が高く、ワイヤー摩耗性が低いためハンド
リングが良いことが知られており、これはホワイトカー
ボン内部にたくさんの細孔を持つためといわれている。
一般にホワイトカーボンはアルカリ性であるケイ酸ソー
ダに硫酸のような酸を用い、中和することで形成される
が、この細孔の容積、径は中和方法を微妙に変化させる
ことで大きく変化することが知られている。本発明は、
ケイ酸ソーダ中に焼却灰を混合し、酸を用いて中和する
ことで、ホワイトカーボン細孔内部に焼却灰を閉じ込め
ることが可能であり、さらに、焼却灰表面が直接表面上
に現れないようにすることで、石炭灰再利用時の各種問
題を解決できることを発明した。
粒体はホワイトカーボンに似た性質を示し、吸油性、比
表面積、白色度、ワイヤー摩耗度が焼却灰よりも改善さ
れる。さらに、焼却灰をケイ酸等の粒子中に包含するこ
とにより、単純に焼却灰とケイ酸等の粒子を混合したも
のより、これら諸性能向上幅は大きい。
子中に包含させた新規多孔性粒体の製造方法の詳細を記
載する。
法により得られた値を用いるものとする。(1) 吸油量:
JIS K5101の方法による。(2)白色度は、測定
光が裏側に透けない程度の厚みをもつよう、サンプルを
リング状の測定機具の中に入れ、約20kg/cm2の圧力をか
け、ペレット状にし、村上色彩技術研究所 CMS-35SPX
でD65光源、10度視野、紫外光を含む条件で測定した。
(3)粒度分布測定(レーザー法):水和珪酸の試料ス
ラリーを分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2重量%を
添加した純水中で滴下混合して均一分散体とし、レーザ
ー法粒度測定機(使用機器:マルバーン社製マスターサ
イザーS型)を使用して粒度測定する。(4)ワイヤー
摩耗度は、リン青銅線円盤(以下ワイヤー)を用いるアイ
ンレーナーAT1000摩耗試験機を用いた。ワイヤー
は、超音波浴中で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗
浄し、さらにアセトンにより洗浄を行った。これを10
5℃で1時間以上乾燥し、デシケータ中で放冷した後、
0.1mgの精度で重量を測定した。このワイヤーを試験円
筒器の底に固定し、攪拌器を降ろしてワイヤーに接しさ
せた。測定サンプルはイオン交換水で10%濃度とし、
試験円筒器に注入した。この状態で、攪拌器を174,
000回転させた後のワイヤーを、再び超音波浴中で5
分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらにアセト
ンにより洗浄を行った。これを105℃で1時間以上乾
燥し、デシケータ中で放冷した後、0.1mgの精度で重量
を測定して、測定前の重量から測定後の重量を差し引
き、ワイヤー摩耗度とした。
程からのスラッジ焼却灰であり、前者はボイラー等で発
生する石炭の燃えかすを指す。組成は非常に複雑で、各
種金属およびそれらの酸化物、硫化物、塩化物等で構成
されているが、産地によっても種々異なり、一般的な表
現はできない。さらに、未燃カーボンのような石炭中の
またはスラッジ中の有機物の他、ハロゲンや重金属すら
含む。また、後者は製紙工程から発生するスラッジをキ
ルンや熱回収ボイラーなどの、焼却残査が原料であり、
組成は古紙リサイクル工程や製紙白水から排出された炭
酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリンのよう
な無機顔料、無機凝集剤であるバンド、さらにインク成
分や繊維の一部をも含む。いずれの焼却灰も場所、時間
などで逐次変化しており、画一的な組成の表現は不可能
である。しかし、驚くべき事に、本発明はどのような工
程から発生した焼却灰についても、ケイ酸等の粒子で包
含することが可能であり、いずれも白色度の改善が見ら
れている。そのため、焼却温度や時間、ボイラーの形状
等の燃焼条件に関係なく、多孔性粒体を形成することが
できる。しかし、完成造粒物の白色度は、この焼却灰の
白色度に大きく左右されるため、極力着色成分を取り除
いたほうが良い。また、石炭灰の粒径はフライアッシュ
はほぼ30μm以下、ボトムアッシュではこれ以上の大き
さのものが多いといわれるが、本発明ではいずれの大き
さ、形状にでも対応できるという柔軟さがある。これ
は、ホワイトカーボンは一次粒子と呼ばれる、微細なケ
イ酸等の粒子の塊で構成されており、この一次粒子が焼
却灰を核として凝集するためと考えている。さらに、今
回製紙用スラッジ灰を用いた場合、全ての粒子に対しホ
ワイトカーボンが付着していた点から、焼却灰以外に炭
酸カルシウムやタルク、カオリン、クレー等の無機顔
料、填料を用いた場合でも、ケイ酸等の粒子に包含させ
た多孔性粒体を作成できることは、自明である。
うなアルカリ溶液中に溶解した形で存在しているもの
を、出発原料として使うことが好ましい。ケイ酸ソーダ
は酸による中和でケイ酸分を析出させ、非晶質ケイ酸で
あるホワイトカーボンを形成するためである。さらに、
ケイ酸ソーダの二酸化ケイ素と酸化ナトリウムの比率は
いずれでも良い、一般に入手しやすいケイ酸ソーダは3
号ケイ素といわれる二酸化ケイ素と酸化ナトリウムのモ
ル比が約3:1のものでも、本発明に相当する新規多孔
性粒体を十分に作成できる。仕込み時のケイ酸ソーダ濃
度は、SiO2分として0.5〜25%の範囲が良いが、あまり薄
すぎると工業的に有利ではない。また、中和に使用され
る酸は、ホワイトカーボン製造時の定法としては、無機
酸である鉱酸が良く用いられる。この鉱酸とは硫酸、塩
酸、硝酸、燐酸、バンド等の無機酸の総称である。しか
し、本発明はいずれも、焼却灰を包含し、その周囲にケ
イ酸等により非晶質の物質を形成できれば、問題はない
ため、鉱酸に限らず有機酸でも良い。
ダに、焼却灰を浸漬し、懸濁液とする。この場合、石炭
焼却灰とスラッジ焼却灰は単独でも、混合していても問
題はない。また、焼却灰投入率(焼却灰重量/ホワイトカ
ーボン重量)を低くすると、ホワイトカーボンとしての
特徴が顕著になり、白色度と吸油度が高くなる。逆に少
なくすると白色度と吸油度は低下するが、それでも焼却
灰のみの場合より、白色、吸油度は改善される。このよ
うに、焼却灰を包含した新規多孔性粒体は、焼却灰投入
率が多くても少なくても構成することができ、またそれ
ぞれに特徴が有るため、焼却灰投入率はケイ酸又はケイ
酸塩との重量比で、0.5〜99.5%と幅広い範囲内でケイ酸
等の粒子による包含が可能である。さらに、好ましい焼
却灰投入率は、0.5〜90.0%である。焼却灰投入率が上昇
するとケイ酸等の粒子による包含は完全には行われてい
ないが、焼却灰単体より吸油度やワイヤー摩耗度改善は
改善される。また、焼却灰を投入するタイミングは、酸
による中和が行われる前のケイ酸ソーダに投入すること
が好ましい。しかし、本発明物を構成するためには、こ
の酸による中和を行う前である必要はなく、アルカリ条
件下で焼却灰を投入すれば問題ない。これは、好ましく
はpH7〜14以上であればよく、さらに好のましくにはpH1
0〜14である。一方、あまり中和が進んだ状態で焼却灰
を投入すると、焼却灰を中心とした本発明であるケイ酸
等の粒子での包含は難しくなる。
し、攪拌を行いながら酸を滴下し、十分に混合する。酸
は硫酸、塩酸、硝酸、燐酸のような鉱酸の他に、有機酸
である酢酸、シュウ酸、クエン酸、炭酸のようなもので
もよい。さらに、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含
む金属含有の酸でも構わず、バンドや塩化鉄、硫酸亜鉛
等でも問題ない。また濃度は、ケイ酸等がゲル状になら
ないよう混合することができれば関係ないが、しかし、
0.1N以下の薄い酸を用いた場合、中和により懸濁液全容
積が極端に増えることとなるため、0.1N以上の適度な酸
濃度が必要であり、できれば濃硫酸のように1N以上の酸
濃度をもつ酸が好適である。ここで注意を要すること
は、前述の濃硫酸のように1N以上の高濃度の酸を用いる
場合には、十分な攪拌を行う必要が有るということであ
る。これを怠ると懸濁液がゲル状となり、粒子の形態を
とりにくくなるため、注意が必要である。また、この中
和時にバンドのような金属を含有した酸を用いてケイ酸
塩化することにより、出来上がり製品の白色度や吸油性
に変化がみられた。ここで、ケイ酸とは、二酸化ケイ素
(一定組成を持たない水和物を含めて)をいい、ケイ酸
塩とは、一般式xM2O・ySiO2、xMO・ySiO
2、xM2O3・ySiO2で表される化合物で、Mはその
酸化数によって変わる。Mは、Al、Fe2、Ca、M
g、Na及びK等の金属である。また、この金属は複数
含まれていても良く、またその比率は任意に設定でき
る。この理由は定かでないが、ケイ酸塩化することで光
の反射率が高くなること、微細孔の分布が変化すること
が原因と考えられる。今回製造した多孔性粒体は、金属
を含有させたケイ酸塩で包含したものは、ケイ酸で包含
したものと比較して、白色度は高くなるが、吸油度は減
少する傾向があった。しかし、ワイヤー摩耗度改善効果
については、大きな変化はなかった。このように、酸の
種類により物性が変化するため、ケイ酸とケイ酸塩の比
率はいずれでも問題はなく、さらに、この比率を変化さ
せることによって白色度、吸油度が変化し、各々に特徴
のある粒体が得られる。
が、酸濃度が濃い場合、添加速度を速めた場合、攪拌が
十分に行われない場合など、アルカリ分が十分に中和さ
れにくい場合は、数回に分けて酸添加を行ったほうが良
い。また、数回に分けて酸添加を行う場合には、その合
間に熟成という時間を取り、ケイ酸ソーダと酸の反応を
十分に行わせたほうが良い。この熟成とは、中和を行わ
ず、スラリーが沈降しないようアジテータまたはポンプ
による攪拌を行い、スラリーの沈降を制御し、かつ適切
な温度を維持し、ケイ酸等の粒子の析出を促す工程をい
う。この数回に分けて酸を添加し、さらに熟成工程を設
けることで、ケイ酸等の粒子で焼却灰を包含した多孔性
粒体を析出させることができる。さらに、特開平8-9182
0のように、この熟成中に粉砕工程を設け、粒径をコン
トロールしても問題はなく、さらにこの粉砕時期はいず
れの熟成時でも問題はない。
は、レーザー法による平均粒子径測定結果によると、平
均粒子径で1〜1000μmというの広範囲の多孔質の粒子と
なる。この平均粒子径は、出発原料である焼却灰の大き
さにより大きく影響され、フライアッシュのような平均
粒径1〜30μm程度の微粒子を多く含む焼却灰を原料とし
た場合の造粒物は平均粒径1〜50μとなるが、ボトムア
ッシュのような、大き目の焼却灰を含む場合は大き目と
なる。紙の填料、顔料とする場合には、出発原料となる
焼却灰に粉砕処理や粒度毎の分級を行い、平均粒径100
μ以下に微細化することが好ましい。製紙用填料または
顔料として用いる場合、好適には原料の平均粒子径0.1
〜50μm、ケイ酸等の粒子により包含された状態で、平
均粒子径は0.2〜100μmである。粉砕処理は、粉砕機を
用いる方法で行う方法が最も良く、その粉砕方法は、湿
式、乾式を問わない。粉砕工程に用いる粉砕機として
は、ボールミル、ロッドミル等の広義のボールミルや、
タワーミル、アトライター、セイトリーミル、サンドグ
ラインダー、アニューラミル等の媒体撹拌式粉砕機、コ
ロイドミル、ホモミキサー、インラインミル等の高速回
転粉砕機の他に、ジェットミルのような乾式の粉砕機で
も良い。篩による分級は、振動篩、超音波篩、ジェット
スクリーン、エアセパレータ、トロンメルスクリーン等
が挙げられる。また、この粉砕工程は、ケイ酸ソーダま
たはケイ酸ソーダを一部中和させたケイ酸スラリー中で
行っても良く、特開平8-91820で示されるような硫酸添
加後、1回目の熟成時に粉砕を行い小粒径化する技術は
特に好適である。本発明で析出する粒子は微細であり、
特に第1工程で析出したシリカにより包含されている焼
却灰は、前記の粉砕機のほか分散機や乳化機の類で粉砕
することもできるから、これらを粉砕機と組み合わせて
使用しても差し支えない。なお、このようにして作られ
た多孔性粒体中には、副生した硫酸ソーダが含まれてお
り、これ除去するため、濾過、水洗およびリパルプ処理
を施すことで、硫酸ソーダを一部取り除くことができ
る。しかし、使用目的に硫酸ソーダが含まれていても問
題ない場合には、そのまま使用しても問題ない。また、
輸送等の問題で乾燥が必要な場合、加熱または減圧する
ことで乾燥することができ、これは再度リパルプ処理を
行っても、造粒物の物性はほとんど変わらない。
は、平均粒子径が1〜1000μm、吸油量と白色度は出発原
料となる焼却灰より高くなる。また、焼却灰表面上にケ
イ酸等が存在するために、核となる焼却灰の品質変動に
よる性能差が少なくなり、工業的な利用も有利となる。
この焼却灰はケイ酸等の粒子中に包含されているが、完
全に包含されているものと、一部焼却灰表面がさらされ
ているものが混在する。また、焼却灰が個別にケイ酸等
の粒子に包含されている場合と、ケイ酸等の粒子で処理
された後の一つの粒子中に数個の焼却灰が含まれている
場合もある。これらを分別することが不可能であるが、
いずれの場合も、表面上にケイ酸等の粒子が存在するた
め、性能改善効果、特に吸油度とワイヤー摩耗度につい
ては著しく良化する。さらに、現在廃棄物として用いら
れている焼却灰を再利用しているため環境面への負荷低
減も可能である。また、焼却灰に対する前処理が少ない
ため、軽カルを用いた場合より吸油度は高く、ワイヤー
摩耗度も少ないため、このような事項が要求される場合
は、特異的に使用されると思われる。このように、ケイ
酸等の粒子に焼却灰を包含することで、今までにない優
れた性能を持つ多孔性粒体を開発するに至った。
体的に説明する。なお、新規多孔性粒体の特性評価(白
色度、吸油度、平均粒子径、填料の比散乱係数)は上述
した方法で実施した。また、製紙用填料として用いた場
合の白色度、不透明度についても合わせて測定した。こ
の製紙用填料としての性能評価は以下の方法により実施
している。
業(株)製の配向性抄紙機により、抄紙原料としてLB
KPのパルプスラリーを用い、各実施例において得られ
た填料スラリーを填料として、その添加率を対パルプ
6、12、18%で坪量60g/m2となるように抄造し
て、プレスにより脱水後、シリンダードライヤーにて乾
燥し、シートサンプルを作製した。このシートサンプル
を、ハンター白色度計を用い、白色度はP8123、不透明
度はP8138に従って測定した。
っている。紙中填料は、JIS P8128の方法で温
度575℃にて測定した紙中の灰分%から填料を無配合
で抄造した試料の灰分%を差し引き、紙中填料%を測定
した後、紙中填料と白色度、不透明度測定値をグラフ上
にプロットし、紙中填料6%時の白色度と不透明度を計
算した。
3号珪酸ソーダ(SiO2:20.0% 、Na2O:9.5%)を水で希釈
し、SiO2 として6.9重量%の希釈珪酸ソーダ溶液
2Lを調製した。これにケイ酸100重量部に対し、石
炭焼却灰(A)を30重量混合し、珪酸ソーダ懸濁液を
85℃に加熱したのち、中和当量の40%に相当する量
の98%濃硫酸を2g/分の滴下速度で、粗大ゲルが発
生しない十分な強撹拌下で添加した。この後、定温のま
ま、攪拌を続けながら2時間熟成を行った。次いで、ス
ラリー温度を85℃一定のまま、第1工程と同濃度の硫
酸を第一工程同様の条件で、中和当量の80%まで添加
し、攪拌下で32分間熟成した。引き続き、熟成後のス
ラリーに同濃度の硫酸を0.8g/分の添加速度で同様
に添加し、スラリーpHを6に調節した。第3工程終了
後のスラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプして水和
珪酸スラリーを回収した。得られたスラリーの平均粒子
径を測定し、また填料として、上記に示した方法で抄紙
し、填料の比散乱係数と紙の白色度、不透明度の評価を
行った。また、スラリーを濾過し、エタノール中に固形
分10%になるよう溶解し再度濾過し、これを105℃
にて乾燥して造粒物の吸油量、白色度を測定した。その
結果を適用した変動条件と対比させて表1に示した。
ンドで行った以外は実施例1と同様の方法で作成した。
スラッジ焼却灰を用いた以外は、実施例2と同様の方法
で作成した。
用いず、ケイ酸ソーダを濃硫酸で中和し、得られたケイ
酸を、実施例(4)と同様の方法で処理し、参考例サン
プルとした。
灰(A)を、純水で10%に希釈、濾過し、エタノール
中に固形分10%になるよう溶解し再度濾過し、これを
105℃にて乾燥して造粒物の吸油量、白色度を測定し
た。
焼却灰(A)を、純水で10%に希釈、濾過し、エタノ
ール中に固形分10%になるよう溶解し再度濾過し、こ
れを105℃にて乾燥して造粒物の吸油量、白色度を測
定した。
比較例2の石炭焼却灰(A)を、ケイ酸100重量部に
対し、石炭焼却灰(A)30重量混合した後、スラリー
を純水で10%に希釈、濾過し、エタノール中に固形分
10%になるよう溶解し再度濾過し、これを105℃に
て乾燥して造粒物の吸油量、白色度を測定した。
比較例3のスラッジ焼却灰Aを、ケイ酸100重量部に
対し、スラッジ焼却灰(A)30重量混合した後、スラ
リーを純水で10%に希釈、濾過し、エタノール中に固
形分10%になるよう溶解し再度濾過し、これを105
℃にて乾燥して造粒物の吸油量、白色度を測定した。
O2 として6.9重量%の希釈珪酸ソーダ溶液2Lを中
和するのに必要な硫酸を加えた。これにケイ酸100重
量部に対し、石炭焼却灰(A)を30重量となるよう石
炭焼却灰を混合し、硫酸懸濁液を85℃に加熱したの
ち、中和当量の40%に相当する量の市販の3号珪酸ソ
ーダ(SiO2:20.0% 、Na2O:9.5%)を、十分な強撹拌下で、
硫酸添加時と同じ時間(19g/分)で滴下、中和し
た。この後、定温のまま、攪拌を続けながら2時間熟成
を行った。次いで、スラリー温度を85℃一定のまま、
第1工程と同濃度のケイ酸ソーダを第一工程同様の条件
で、中和当量の80%まで添加し、攪拌下で32分間熟
成した。引き続き、熟成後のスラリーに同濃度の硫酸を
7g/分の添加速度で同様に添加した。
ンプル、および填料無添加品をブランクとして、実施例
冒頭に記した方法により手抄き試験を行い、白色度、不
透明度を比較した。結果は表2に示す。
ず、実施例1、2は原料である比較例2の石炭焼却灰よ
り、白色度、吸油度いずれも優れ、ワイヤー摩耗度も極
端に低下している。同様に実施例3も、比較例3のスラッ
ジ焼却灰より優れた性能を示している。さらに、比較例
1と石炭焼却灰を単純に混合したのみである比較例4よ
り実施例1の方が白色度、吸油度ともに優れており、ケ
イ酸による包含することで、高性能化が可能であること
がわかる。さらに、焼却灰をケイ酸塩化した実施例2
は、比較例4と比べて、15ポイントもの大幅な白色度
改善、ワイヤー摩耗度も約1/4となり、非常に効果大
である。
験では、スラッジ焼却灰(A)の白色度が高かったた
め、実施例2のような大きな効果は見られていないが、
いずれも白色度、ワイヤー摩耗度は改善されている。し
かし、実施例2、3で、吸油度が低下しているのは、ケ
イ酸に金属を用い、ケイ酸塩化することで、吸油度が低
下することが一般に知られており、この影響と考えられ
る。また、初期の懸濁液を酸性とし、ケイ酸ソーダによ
る中和を行ったものは、反応途中でゲル化してしまい、
粒子状の形態とならなかった。このように、初期の段階
でアルカリとすることが、本発明の必要条件となってい
る。
ぼ同等の値を示していた。これらは比較例1より白色度
は若干低下したが、不透明度は改善されていた。さら
に、填料無添加のブランクと比較すると、白色度は若干
低下したものの、不透明度は3ポイント以上改善されて
おり、紙面の充填剤としての利用が期待される。また、
原料となるスラッジ焼却灰の白色度が高かった実施例3
は、ブランクより白色度、不透明度いずれも改善すると
いう、非常に良好な結果を示している。これは比較例5
より白色度で1ポイント改善されていた。このように、
ケイ酸等の粒子で焼却灰を包含することにより、紙面の
不透明度、白色度のいずれか、または両方とも改善する
ことが可能であり、今後の製紙用填料として大きな期待
が持たれる。
ケイ酸塩に包含された新規多孔質造粒物は、その原料と
なる焼却灰より白色度、吸油度が優れ、ワイヤー摩耗度
も低下した。さらにそれぞれを混合したものより高性能
であることがわかった。また、製紙填料として使用した
場合、原料焼却灰白色度が低いと充填剤として、逆に白
色度が高い場合には、品質改良用填料として用いること
が出来ることがわかった。加えて、製紙原料として必要
不可欠なワイヤー摩耗度が低下したことは非常に好まし
い改善点としてあげることができる。このように、本方
法を利用して、現在産業廃棄物として廃棄されている石
炭やスラッジ等の焼却灰を製紙用填料をはじめとする各
種充填剤への幅広い利用が期待される。
Claims (4)
- 【請求項1】 燃焼設備から排出される焼却灰を、ケイ
酸、ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択さ
れる物質で浸漬処理した新規多孔性粒体。 - 【請求項2】 燃焼設備から排出される焼却灰を、ケイ
酸、ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択さ
れる物質の粒子中に包含させた新規多孔性粒体。 - 【請求項3】 燃焼設備から排出される焼却灰を、ケイ
酸を含むアルカリ溶液中に浸漬し、これを酸により中和
することで、焼却灰をケイ酸、ケイ酸塩及びそれらの混
合物からなる群から選択される物質中に包含させること
からなる新規多孔性粒体の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2いずれか記載の新規多孔
性粒体を含む紙。
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- 2001-08-31 JP JP2001264221A patent/JP4177569B2/ja not_active Expired - Fee Related
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