以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
図1(A)は本発明の発光素子の模式図である。本発明の発光素子は第1の電極100、第2の電極105からなる一対の電極間に、有機化合物を含む層を有し、有機化合物を含む層は少なくとも発光層102を有している。図1(A)では発光層102は第1の発光領域102aと第2の発光領域102bとキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103を有している。キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103は、第1の発光領域102aと第2の発光領域102bとの間に設けられている。従って、第1の発光領域102aと第2の発光領域102bは、互いに間隔をおいて形成されている。また、電極と発光層102との間には、キャリア注入性、輸送性を有する材料で形成された第1のキャリア輸送層101、第2のキャリア輸送層104が設けられていても良い。なお、図1(A)において、第1のキャリア輸送層101は発光層102から見て第1の電極100側に設けられ、第2のキャリア輸送層104は第2の電極105側に設けられていることとする。本発明において、発光領域は複数形成されるが、図1(A)では発光領域が2層である例を示した。
このような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極100及び第2の電極105からなる一対の電極のうち、どちらか一方の電極の電圧が他方の電極の電圧よりも高くなるように電圧をかけた際、発光層102から発光が得られる。
第1の電極100、第2の電極105のうち、光を取り出す方の電極を透光性を有する導電材料によって形成する。この際、他方の電極を反射率の高い材料で形成することによって効率よく発光を取り出すことができる。また、両方の電極を透光性を有する導電材料で形成すれば、発光素子の両側から光を取り出すこともできる。なお、発光層102からの発光を得る際に高い電圧をかける方の電極には仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)導電材料を用いることが望ましく、また、発光を得る際に低い電圧をかける方の電極には仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)導電材料を用いることが望ましいが、有機化合物を含む層にキャリアの注入性を有する材料を電極に接して設けることによって仕事関数に関わらず導電材料を電極として用いることができる。
これら電極の材料としては金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)などの導電性を有する金属、又はアルミニウムとシリコンからなる合金(Al−Si)、アルミニウムとチタンからなる合金(Al−Ti)、アルミニウム、シリコン、銅からなる合金(Al−Si−Cu)等の合金、または窒化チタン(TiN)等の金属材料の窒化物、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)等の金属化合物などを用いることができる。なお、ITO、ITSO、IZO等は透光性を有する導電材料であるため、発光を取り出す方の電極材料として好適に用いることができる。また、アルミニウムや銀など厚膜で形成すると非透光性であるが、薄膜化すると透光性を有するようになるため、アルミニウムや銀の薄膜を、透光性を有する電極として用いることもできる。なお、アルミニウムや銀等は反射率が高いため、ある程度以上の膜厚で形成することによって反射電極として用いることもできる。これらの電極はスパッタ法、蒸着法など公知の方法によって形成することができる。
第1の発光領域102a、第2の発光領域102bはホストと呼ばれるキャリア輸送性を有する材料に発光中心となる物質を分散して形成する。発光領域中の発光中心となる物質はホスト材料に対して0.001wt%乃至50wt%、好ましくは0.03wt%乃至30wt%含まれる。ホスト材料及び発光中心となる物質にはキャリア輸送性材料、発光性の高い材料をそれぞれ用いることができるが、本発明においては、発光中心となる物質の還元電位の絶対値がホスト材料の還元電位の絶対値より小さくなるように材料を組み合わせる。別言すると、発光中心となる物質の電子親和力が、ホスト材料の電子親和力より大きくなるように材料を組み合わせれば良い。このような組み合わせの場合、従来の素子構造では、発光中心となる物質が電子トラップとして作用するため、素子の駆動電圧が高くなってしまうが、本発明の素子構造を適用することにより、駆動電圧の上昇を解消することができる。
なお、還元電位は、サイクリックボルタンメトリ測定(CV測定)を行い、還元ピーク電位を検出することにより測定することができる。また、CV測定により明確な還元ピーク電位が見られない物質の還元電位の絶対値は、明確に還元ピーク電位が測定できる物質の還元電位の絶対値より大きいと言うことができる。このような関係を有する材料の組み合わせの代表例としては、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))またはアセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)2(acac))を発光中心となる物質とし、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)をホスト材料として用いる組み合わせがある。
本発明の発光領域におけるホスト材料として用いることができる物質としては以下のものが挙げられる。すなわち、上述した4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)、3−(4−ビフェニリル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ))、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等である。
また、発光中心となる物質(発光中心ともいう)として用いることができる物質として以下のものが挙げられる。すなわち、上述した(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))及びアセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3−ジフェニルキノキサリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(dpq)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(4−フルオロフェニル)−3−メチルキノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(MFpq)2(acac))、ビス[2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)キノキサリナト](ピコリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(CF3dpq)2(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)のような燐光材料や、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称;DPAnth)、ナイルレッド、クマリン6、クマリン545Tのような蛍光材料等である。
なお、従来は、発光中心となる物質に燐光材料を用いた場合、電流効率は高いが、駆動電圧が高いという欠点があった。本発明の形態に燐光材料を適用すると、電流効率が高く、かつ駆動電圧が低くなる。したがって、消費電力を大幅に低減できる。
また、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))、アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2−(4−フルオロフェニル)−3−メチルキノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(MFpq)2(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)はフルオロ基を、ビス[2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)キノキサリナト](ピコリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(CF3dpq)2(pic))はトリフルオロメチル基を、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)はシアノ基を、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称;DPAnth)、ナイルレッド、クマリン6、クマリン545Tはカルボニル基を有している。このように、フルオロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基のような電子吸引基を有している物質は電子トラップ性が高い(電子親和力が大きい)傾向にあるため、従来の形態では駆動電圧が高くなる。しかし、本発明の形態に適用すると、駆動電圧を低減することができる。
なお、電子吸引基を有する燐光材料を本発明の形態に適用すると、電流効率が高く、より駆動電圧を低減することができる。
また、第1の発光領域102a、第2の発光領域102bの厚さは、それぞれ1nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上5nm以下であることが望ましい。発光領域はホスト材料と発光中心とする物質を共蒸着することによって形成することができる。また、湿式法やその他の方法で形成しても良い。
第1の発光領域102aと第2の発光領域102bはキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103を形成することによって間隔をあけて設けられている。キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103はキャリア輸送性を有し、発光領域からの発光を消光しなければどのような材料を用いて形成してもよいが、本発明ではそれぞれの発光領域の膜厚は1nm以上10nm以下、好ましくは1nm以上5nm以下とする。キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103としては、NPB、TPD、TDATA、MTDATA、DNTPD、m−MTDAB、TCTA、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、PBD、OXD−7、TAZ01、p−EtTAZ、BPhen、BCP、TPBI、BzOs等の材料を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いても良い。このキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103と発光層102のホスト材料を同じ材料で形成しても良く、この場合、作製工程が簡略化でき、有利である。キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103は蒸着法などの方法で作製すればよい。なお、作製上の理由でキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103中に発光中心となる物質が微量に含まれている場合があるが、それも問題なく動作することから本発明に含めることとする。
第1のキャリア輸送層101と第2のキャリア輸送層104は一方が正孔輸送性が高い材料、もう一方が電子輸送性が高い材料で形成される。発光層を基準として、発光層から発光を得る際、高い電圧をかける方の電極側に形成された方の層を正孔輸送性が高い材料で形成し、低い電圧をかける方の電極側に形成された方の層を電子輸送性が高い材料で形成する。これにより効率的にキャリアを発光層102まで輸送することができる。正孔輸送性が高い材料としては、NPB、TPD、TDATA、MTDATA、DNTPD、m−MTDAB、TCTA、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)、酸化モリブデン、酸化バナジウム等が挙げられる。また、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。電子輸送性が高い材料としては、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、PBD、OXD−7、TAZ01、p−EtTAZ、BPhen、BCP、TPBI、BzOs等が挙げられる。また、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。これらキャリア輸送層は蒸着法などの方法によって形成すればよい。材料によっては湿式法などを用いて形成しても良い。
上記構成を有する本発明の発光素子は、発光中心となる物質が電子をトラップすること及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103がキャリアの突抜を緩和することで、電子と正孔の各キャリアの再結合効率が良く、一層の厚い発光層を有する従来の発光素子と同程度の電流効率(電流密度と輝度との関係で表される)を得ることができる。また、本発明の発光素子は一層の厚い発光層を有する従来の発光素子より駆動電圧が低いことから、消費電力の低い発光素子とすることができる。また、本発明の発光素子は、発光層の厚さを、従来の発光素子の発光層の厚さよりも薄くすることができることから、消費電力の低い発光素子とすることができる。
図1(B)は図1(A)の構成に、第1のキャリア輸送層101、第2のキャリア輸送層104よりさらにキャリアの注入性に優れたキャリア注入層である第1のキャリア注入層106、第2のキャリア注入層107を設けた構成である。キャリア注入層はキャリア輸送層より電極側に設ける。また、発光層から発光を得る際、発光層の位置を基準として高い電圧をかける電極側に設ける方のキャリア注入層は正孔注入性に優れた材料で形成し、低い電圧をかける方の電極側に設けるキャリア注入層は電子注入性に優れた材料で形成する。なお、キャリア注入層にはキャリア輸送層に用いた材料より、相対的にキャリア注入性に優れた材料を用いれば良いが、具体的にはフタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(略称:CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等が挙げられる。電子注入性に優れた材料としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物等の無機物が挙げられる。また、無機物の他、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等が挙げられる。この構成とすることによってより効率的に電極からキャリアを注入することができるようになる。キャリア注入層は蒸着法などの方法によって形成することができる。
図1(C)は図1(B)の構成において、発光層102の両電極側にキャリア輸送性を有する材料よりなる領域108a、108bを設けた構成である。キャリア輸送性を有する材料よりなる領域108a、108bはキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103と同様の材料で形成すればよい。キャリア輸送性を有する材料よりなる領域108a、108bはどちらか片方のみ設けても良い。本発明の発光素子はこのような構成であっても良い。
なお、発光層から励起した発光中心となる物質のエネルギーが他の層(キャリア輸送層やキャリア注入層などの機能層)に移ってしまう恐れがある場合、当該エネルギーが移ってしまう恐れのある層と発光層との間にキャリア輸送性を有する材料よりなる領域108aもしくは108bを設けると良い。この際、キャリア輸送性を有する材料のバンドギャップを当該エネルギーが移ってしまう恐れのある層(例えば、キャリア輸送層101や104)に用いる物質のバンドギャップより大きくする。また、キャリア輸送性を有する材料よりなる領域108aもしくは108bは1nmから5nmの厚さとすると良い。このような構成を有する本発明の発光素子は、発光中心となる物質の励起エネルギーが他の層に移ってしまうことを効果的に抑制することができ、発光効率の向上に繋がる。また、この構成はキャリア輸送性を有する材料よりなる領域108aもしくは108bの厚さが1nmから5nmと薄いことから、駆動電圧の上昇もほとんど無く当該効果を得ることができる有利な構成である。
図2(A)では、発光層102は、第1の発光領域102a、第2の発光領域102b、第3の発光領域102c、キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103bで構成されている。この場合、第1の発光領域102aと第2の発光領域102bとの間に第1のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103aが、第2の発光領域102bと第3の発光領域102cとの間に第2のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103bが設けられる。従って、第1の発光領域102a、第2の発光領域102b、第3の発光領域102cは、互いに間隔をおいて形成されている。第3の発光領域102cに用いる材料等は図1における第1の発光領域102a、第2の発光領域102bと同様であり、また、第1のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、第2のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103bに用いる材料等は図1におけるキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。該当の記載を参照されたい。なお、図1(B)、図1(C)に記載の構成も組み合わせて用いることができる。
上記構成を有する本発明の発光素子は、発光中心となる物質が電子をトラップすること及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、103bがキャリアが再結合せずに発光層102を突抜けてしまうことを緩和することで、電子と正孔の各キャリアの再結合効率が良く、一層の厚い発光層を有する従来の発光素子と同程度の電流効率(電流密度と輝度との関係で表される)を得ることができる。また、本発明の発光素子は一層の厚い発光層を有する従来の発光素子より駆動電圧が低いことから、消費電力の低い発光素子とすることができる。また、本発明の発光素子は、発光層の厚さを、従来の発光素子の発光層の厚さよりも薄くすることができることから、消費電力の低い発光素子とすることができる。
図2(B)では、発光層102は、第1の発光領域102a、第2の発光領域102b、第3の発光領域102c、第4の発光領域102d、第1のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、第2のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103b、第3のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103cで構成されている。この場合、第1の発光領域102aと第2の発光領域102bとの間に第1のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、第2の発光領域102bと第3の発光領域102cとの間に第2のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103b、第3の発光領域102cと第4の発光領域102dとの間に第3のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103cが設けられる。従って、第1の発光領域102a、第2の発光領域102b、第3の発光領域102c、第4の発光領域102dは、互いに間隔をおいて形成されている。第3の発光領域102c、第4の発光領域102dに用いる材料等は図1における第1の発光領域102a、第2の発光領域102bと同様であり、また、第1のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、第2のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103b、第3のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103cに用いる材料等は図1におけるキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。該当の記載を参照されたい。なお、図1(B)、図1(C)に記載の構成も組み合わせて用いることができる。
上記構成を有する本発明の発光素子は、発光中心となる物質が電子をトラップすること及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、103b、103cがキャリアが再結合せずに発光層102を突抜けてしまうことを緩和することで、電子と正孔の各キャリアの再結合効率が良く、一層の厚い発光層を有する従来の発光素子と同程度の電流効率(電流密度と輝度との関係で表される)を得ることができる。また、本発明の発光素子は一層の厚い発光層を有する従来の発光素子より駆動電圧が低いことから、消費電力の低い発光素子とすることができる。また、本発明の発光素子は、発光層の厚さを、従来の発光素子の発光層の厚さよりも薄くすることができることから、消費電力の低い発光素子とすることができる。
図2(C)は発光層102を第1の発光領域102a〜第nの発光領域102xのn層(但しnは2以上の自然数)及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a〜キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103yのm層(但し、m=n−1を満たす)で構成した例である。この場合、キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a〜キャリア輸送性を有する材料よりなる領域103yのm層(但し、m=n−1を満たす)は、各々発光領域と発光領域との間に形成される。第1の発光領域102a〜第nの発光領域102xに用いる材料等は図1における第1の発光領域102a、第2の発光領域102bと同様であり、また、第1のキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a〜第mのキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103yに用いる材料等は図1におけるキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103と同様であるので繰り返しとなる説明を省略する。該当の記載を参照されたい。なお、図1(B)、図1(C)に記載の構成も組み合わせて用いることができる。
上記構成を有する本発明の発光素子は、発光中心となる物質が電子をトラップすること及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103a、103b、103cがキャリアが再結合せずに発光層102を突抜けてしまうことを緩和することで、電子と正孔の各キャリアの再結合効率が良く、一層の厚い発光層を有する従来の発光素子と同程度の電流効率(電流密度と輝度との関係で表される)を得ることができる。また、本発明の発光素子は一層の厚い発光層を有する従来の発光素子より駆動電圧が低いことから、消費電力の低い発光素子とすることができる。なお、nの数はあまり大きいと駆動電圧が高くなってしまうと考えられ、2以上5以下が好ましく、さらに好ましくは2以上3以下であることが望ましい。
図3(A)〜図3(C)は、図1(A)にバッファ層109(第1のバッファ層109a、第2のバッファ層109b)を設けた構成である。発光層を基準として発光を得る際、高い電圧をかける方の電極側に設けるバッファ層109は正孔輸送性を有する有機化合物と金属化合物との複合材料によって形成される。金属化合物としては、遷移金属の酸化物や窒化物が望ましく、4〜8族に属する金属の酸化物もしくは窒化物がさらに望ましい。その中でもバナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物及びルテニウム酸化物は好適である。正孔輸送性を有する有機化合物としては、NPB、TPD、TDATA、MTDATA、DNTPD、m−MTDAB、TCTA等のアリールアミノ基を有する有機材料の他、H2Pc、CuPc、VOPc等も用いることができる。
また、下記一般式(1)で表されるような有機材料も正孔輸送性を有する有機化合物として好適に用いることができ、その具体例としては3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)等を挙げることができる。この構造を有する有機化合物を用いた複合材料は熱的安定性に優れ、信頼性が良い。
(一般式(1)中、R
1およびR
3は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Ar
1は、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、R
2は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表し、R
4は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、一般式(2)で示される置換基のいずれかを表す。)
(一般式(2)中、R
5は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜7のアシル基のいずれかを表し、Ar
2は、炭素数6〜25のアリール基、炭素数5〜9のヘテロアリール基のいずれかを表し、R
6は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
また、下記一般式(3)乃至(6)のいずれかで示されるような有機材料も好適に用いることができる。下記一般式(3)乃至(6)のいずれかで表される有機化合物の具体例としては、N−(2−ナフチル)カルバゾール(略称:NCz)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9,10−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]アントラセン(略称:BCPA)、3,5−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ビフェニル(略称:BCPBi)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)等を挙げることができる。
(一般式(3)中、Arは炭素数6〜42の芳香族炭化水素基を表し、nは1〜3の自然数を表し、R
1、R
2は水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
(一般式(4)中、Arは炭素数6〜42の1価の芳香族炭化水素基を表し、R
1、R
2は水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
(一般式(5)中、Arは炭素数6〜42の2価の芳香族炭化水素基を表し、R
1〜R
4は水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
(一般式(6)中、Arは炭素数6〜42の3価の芳香族炭化水素基を表し、R
1〜R
6は水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。)
さらに、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、テトラセン、ルブレン、ペンタセン等の芳香族炭化水素も用いることができる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称;DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称;DPVPA)等のビニル基を有する芳香族炭化水素も用いることができる。
バッファ層109は上述した金属化合物と正孔輸送性を有する有機化合物を共蒸着することによって作製することができるが、湿式法やその他のどの方法によって形成されていても良い。なお、バッファ層109において有機化合物と金属化合物とは質量比で95:5〜20:80、さらには90:10〜50:50であることが望ましい。
なお、発光層102を基準として、発光を得る際に低い電圧をかける方の電極側にバッファ層109を設ける場合は、バッファ層109を2層構造として形成することが好ましい。具体的には電子を発生する機能を有する層をバッファ層109内の発光層102側にさらに設ける。電子を発生する機能を有する層は、透明導電材料や、電子輸送性を有する有機化合物と無機化合物との複合材料で形成すればよい。無機化合物としてはアルカリ金属及びアルカリ土類金属、もしくはそれらを含む酸化物や窒化物が望ましく、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム酸化物、マグネシウム窒化物、カルシウム窒化物であることが好ましい。また、電子輸送性を有する有機化合物としては、例えば、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBD、OXD−7、TAZ01、p−EtTAZ、BPhen、BCP等を用いることができる。
バッファ層109は、その厚みを調節することにより光の光路長を調節する役割を有する。電極で反射され、戻ってきた光は直接発光素子外部に射出する光と干渉を起こす。バッファ層の109の厚みを調節し、直接発光素子外部に射出する光と反射電極で反射され戻ってくる光の位相を合わせることによって発光を増幅し、同じ電流を流した場合により大きな輝度を得ることができるようになる。すなわち、発光効率を向上させることができるようになる。また、光の位相を合わせることはある特定の波長においてなされるため、色純度も向上する。上述したような材料は波長の長さ程度に厚く形成しても駆動電圧の上昇をほとんど招かず上記のような光学設計を行うことが可能となる。
また、先に形成する電極(第1の電極100)上に上記バッファ層109を設けることによって、電極上に形成されてしまった凹凸を緩和することができ、第1の発光領域102a、第2の発光領域102b、及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103などが当該凹凸によって途切れてしまう不良を大幅に低減することも可能となる。本発明の発光素子において、第1の発光領域102a、第2の発光領域102b、及びキャリア輸送性を有する材料よりなる領域103は非常に薄く形成されるため、僅かな凹凸でも層が途切れてしまう可能性があり、バッファ層109を設けることは有効であると考えられる。
なお、バッファ層109は第1の電極100側、第2の電極105側、もしくはその両方に設けることができる。
なお、図3(A)〜(C)の構成は図1、図2の構成いずれにも適宜組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の発光装置の作製方法について図4〜図6を参照しながら説明する。なお、本実施の形態ではアクティブマトリクス型で対向基板側に光を射出する発光装置を作製する例を示したが、もちろんパッシブマトリクス型の発光装置にも適用することができる。
まず、基板50上に第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bを形成した後、さらに半導体層を第2の下地絶縁層51b上に形成する。(図4(A))
基板50の材料としてはガラス、石英やプラスチック(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホンなど)等を用いることができる。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから使用しても良い。本実施の形態においてはガラス基板を用いる。
第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bは基板50中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような元素が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設ける。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒素を含む酸化ケイ素、酸素を含む窒化ケイ素などを用いることができる。本実施の形態では第1の下地絶縁層51aを窒化ケイ素で、第2の下地絶縁層51bを酸化ケイ素で形成する。本実施の形態では、下地絶縁層を第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bの2層で形成したが、単層で形成してもかまわないし、2層以上の多層であってもかまわない。また、基板からの不純物の拡散が気にならないようであれば下地絶縁層は設ける必要がない。
下地絶縁層は基板50の表面を高密度プラズマによって処理することによって形成しても良い。高密度プラズマは例えば2.45GHzのマイクロ波を用いることによって生成され、電子密度が1011〜1013/cm3且つ電子温度が2eV以下、イオンエネルギーが5eV以下であるものとする。このような高密度プラズマは活性種の運動エネルギーが低く、従来のプラズマ処理と比較してプラズマによるダメージが少ないため、欠陥の少ない膜を形成することができる。マイクロ波を発生するアンテナから基板50までの距離は20〜80mm、好ましくは20〜60mmとすると良い。
窒素雰囲気、例えば、窒素と希ガスとを含む雰囲気下、または窒素と水素と希ガスを含む雰囲気下、またはアンモニアと希ガスを含む雰囲気下において、上記高密度プラズマ処理を行うことによって基板50の表面を窒化することができる。基板50としてガラス基板、石英基板またはシリコンウエハなどを用いた場合、上記高密度プラズマによる窒化処理を行った場合、基板50表面に形成される窒化膜は窒化ケイ素を主成分とするため、第1の下地絶縁層51aとして利用することができる。この窒化物層の上に酸化ケイ素または酸化窒化ケイ素をプラズマCVD法により第2の下地絶縁層51bを形成しても良い。
また、酸化ケイ素や酸化窒化ケイ素などからなる下地絶縁層の表面に同様の高密度プラズマによる窒化処理を行うことによって、その表面に窒化膜を形成することができる。この窒化膜は基板50からの不純物の拡散を抑制することができるが、きわめて薄く形成することができる為、その上に形成する半導体層への応力の影響が少ないので好ましい。
続いて形成される半導体層は本実施の形態では非晶質ケイ素膜をレーザ結晶化して得る。第2の下地絶縁層51b上に非晶質ケイ素膜を25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の膜厚で形成する。作製方法としては、スパッタ法、減圧CVD法またはプラズマCVD法などがある。その後、500℃で1時間の加熱処理を行い、水素出しをする。
続いてレーザ照射装置を用いて非晶質ケイ素膜を結晶化して結晶質ケイ素膜を形成する。本実施の形態のレーザ結晶化ではエキシマレーザを使用し、発振されたレーザビームを光学系を用いて線状のビームスポットに加工し非晶質ケイ素膜に照射することで結晶質ケイ素膜とし、半導体層として用いる。
非晶質ケイ素膜の他の結晶化の方法としては、他に、熱処理のみにより結晶化を行う方法や結晶化を促進する触媒元素を用い加熱処理を行う事によって行う方法もある。結晶化を促進する元素としてはニッケル、鉄、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、白金、銅、金などが挙げられ、このような元素を用いることによって熱処理のみで結晶化を行った場合に比べ、低温、短時間で結晶化が行われるため、ガラス基板などへのダメージが少ない。熱処理のみにより結晶化をする場合は、基板50を熱に強い石英基板などにすればよい。
続いて、必要に応じて半導体層にしきい値をコントロールする為に微量の不純物添加、いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得る為にN型もしくはP型を呈する不純物(リン、ボロンなど)をイオンドーピング法などにより添加する。
その後、図4(A)に示すように半導体層を所定の形状に加工し、島状の半導体層52を得る。この工程は半導体層にフォトレジストを塗布し、所定のマスク形状を露光し、焼成して、半導体層上にレジストマスクを形成し、このマスクを用いてエッチングをすることにより行われる。
続いて半導体層52を覆うようにゲート絶縁膜53を形成する。ゲート絶縁膜53はプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて膜厚を40〜150nmとしてケイ素を含む絶縁層で形成する。本実施の形態では酸化ケイ素を用いて形成する。この場合、ゲート絶縁膜53の表面を酸素雰囲気もしくは窒素雰囲気で高密度プラズマにより処理し、酸化または窒化処理を行い緻密化しても良い。
なお、ゲート絶縁膜53を形成する前に、半導体層52の表面に対し、高密度プラズマ処理を行って、半導体層の表面を酸化または窒化処理しても良い。このとき、基板50の温度を300〜450℃とし、酸素雰囲気または窒素雰囲気で処理することにより、その上に形成するゲート絶縁膜53と良好な界面を形成することができる。
次いで、ゲート絶縁膜53上にゲート電極54を形成する。ゲート電極54はタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶ケイ素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、本実施の形態ではゲート電極54は単層で形成されているが、下層にタングステン、上層にモリブデンなどの2層以上の積層構造でもかまわない。積層構造としてゲート電極を形成する場合であっても前段で述べた材料を使用するとよい。また、その組み合わせも適宜選択すればよい。ゲート電極54の加工はフォトレジストを用いたマスクを利用し、エッチングをして行う。
続いて、ゲート電極54をマスクとして半導体層52に高濃度の不純物を添加する。これによって半導体層52、ゲート絶縁膜53、及びゲート電極54を含む薄膜トランジスタ70が形成される。
なお、薄膜トランジスタの作製工程については特に限定されず、所望の構造のトランジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
本実施の形態では、レーザ結晶化を使用して結晶化した結晶性シリコン膜を用いたトップゲートの薄膜トランジスタを用いたが、非晶質半導体膜を用いたボトムゲート型の薄膜トランジスタを画素部に用いることも可能である。非晶質半導体はケイ素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができ、シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
また非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶粒を観察することができる微結晶半導体膜(セミアモルファス半導体)を用いてもよい。また0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶半導体膜は、いわゆるマイクロクリスタル(μc)とも呼ばれている。
セミアモルファス半導体であるセミアモルファスシリコン(SASとも表記する)は、ケイ素を含む気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的なケイ素を含む気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。このケイ素を含む気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲でケイ素を含む気体を希釈することが好ましい。グロー放電分解による被膜の反応生成は0.1Pa〜133Paの範囲の圧力で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が好適である。
このようにして形成されたSASはラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の終端化のため、水素又はハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。セミアモルファスシリコンを用いたTFTの移動度(μ)は1〜10cm2/Vsecとなる。
また、このSASをレーザでさらに結晶化して用いても良い。
続いて、ゲート電極54、ゲート絶縁膜53を覆って絶縁膜(水素化膜)59を窒化ケイ素により形成する。絶縁膜(水素化膜)59を形成したら480℃で1時間程度加熱を行って、不純物元素の活性化及び半導体層52の水素化を行う。絶縁膜(水素化膜)59を形成した後に、水素ガスを導入して高密度プラズマ処理をすることで絶縁膜(水素化膜)59の水素化を行っても良い。これにより当該層を緻密化することができる。また、その後400〜450度の熱処理を行って水素を放出させ、半導体層52の水素化をすることができる。
続いて、絶縁膜(水素化膜)59を覆う第1の層間絶縁層60を形成する。第1の層間絶縁層60を形成する材料としては酸化ケイ素、アクリル、ポリイミドやシロキサン、低誘電率材料等を用いるとよい。本実施の形態では酸化ケイ素膜を第1の層間絶縁層として形成した(図4(B))。
次に、半導体層52に至るコンタクトホールを開口する。コンタクトホールはレジストマスクを用いて、半導体層52が露出するまでエッチングを行うことで形成することができ、ウエットエッチング、ドライエッチングどちらでも形成することができる。なお、条件によって一回でエッチングを行ってしまっても良いし、複数回に分けてエッチングを行っても良い。また、複数回でエッチングする際は、ウエットエッチングとドライエッチングの両方を用いても良い(図4(C))。
そして、当該コンタクトホールや第1の層間絶縁層60を覆う導電層を形成する。当該導電層を所望の形状に加工し、接続部61a、配線61bなどが形成される。この配線はアルミニウム、銅、アルミニウムと炭素とニッケルの合金、アルミニウムと炭素とモリブデンの合金等の単層でも良いが、基板側からモリブデン、アルミニウム、モリブデンの積層構造やチタン、アルミニウム、チタンの積層構造やチタン、窒化チタン、アルミニウム、チタンの積層構造でも良い(図4(D))。
その後、接続部61a、配線61b、第1の層間絶縁層60を覆って第2の層間絶縁層63を形成する。第2の層間絶縁層63の材料としては自己平坦性を有するアクリル、ポリイミド、シロキサンなどが好適に利用できる。本実施の形態ではシロキサンを第2の層間絶縁層63として用いる(図4(E))。
続いて第2の層間絶縁層63上に窒化ケイ素などで絶縁層を形成してもよい。これは後の画素電極のエッチングにおいて、第2の層間絶縁層63が必要以上にエッチングされてしまうのを防ぐ為に形成する。そのため、画素電極と第2の層間絶縁層のエッチングレートの比が大きい場合には特に設けなくとも良い。続いて、第2の層間絶縁層63を貫通して接続部61aに至るコンタクトホールを形成する。
そして当該コンタクトホールと第2の層間絶縁層63(もしくは絶縁層)を覆って、透光性を有する導電層を形成したのち、当該透光性を有する導電層を加工して薄膜発光素子の第1の電極64を形成する。ここで第1の電極64は接続部61aと電気的に接触している。
第1の電極64の材料としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)などの導電性を有する金属、又はアルミニウムとシリコンからなる合金(Al−Si)、アルミニウムとチタンからなる合金(Al−Ti)、アルミニウム、シリコン、銅からなる合金(Al−Si−Cu)等の合金、または窒化チタン(TiN)等の金属材料の窒化物、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)等の金属化合物など実施の形態1に示したような導電膜により形成することができる。
また、発光を取り出す方の電極は透明性を有する導電膜により形成すれば良く、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)などの金属化合物の他、Al、Ag等金属の極薄膜を用いる。本実施の形態では、対向基板側(第2の電極側)から発光を取り出すため、第1の電極は反射率の高い材料(Al、Ag等)を用いることが好ましい。本実施の形態ではアルミニウムを第1の電極64として用いた(図5(A))。
次に第2の層間絶縁層63(もしくは絶縁層)及び第1の電極64を覆って有機材料もしくは無機材料からなる絶縁層を形成する。続いて当該絶縁層を第1の電極64の一部が露出するように加工し、隔壁65を形成する。隔壁65の材料としては、感光性を有する有機材料(アクリル、ポリイミドなど)が好適に用いられるが、感光性を有さない有機材料や無機材料で形成してもかまわない。また、隔壁65の材料にチタンブラックやカーボンナイトライドなどの黒色顔料や染料を分散材などを用いて分散し、隔壁65を黒くすることでブラックマトリクスのように用いても良い。隔壁65の第1の電極に向かう端面は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい(図5(B))。
次に、有機化合物を含む層66を形成し、続いて有機化合物を含む層66を覆う第2の電極67を形成する。これによって第1の電極64と第2の電極67との間に有機化合物を含む層66を挟んでなる発光素子93を作製することができる。対向基板側から光を射出する発光装置では第2の電極67は透光性を有する導電材料を用い、本実施の形態ではITSOにより第2の電極67を形成する。これで第1の電極64、第2の電極67の間に有機化合物を含む層66を挟んでなる発光素子が形成された。発光素子は実施の形態1に示したような構成を有する。
その後、プラズマCVD法により窒素を含む酸化ケイ素膜をパッシベーション膜として形成する。窒素を含む酸化ケイ素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化窒化ケイ素膜を形成すれば良い。
また、パッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜は単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁層を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。また、窒化炭素膜と窒化ケイ素膜の多層膜やスチレンポリマーの多層膜、窒化ケイ素膜やダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化ケイ素膜の代わりに形成してもよい。
続いて発光素子を水などの劣化を促進する物質から保護するために、表示部の封止を行う。対向基板を封止に用いる場合は、図示しない絶縁性のシール材により、外部接続部が露出するように貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填しても良いし、シール材を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を貼り合わせても良い。シール材には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール材には乾燥剤や基板間のギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。続いて外部接続部にフレキシブル配線基板を貼り付けることによって、発光装置が完成する(図6)。本実施の形態では対向基板94と素子との間に透光性を有する樹脂88等を充填し、封止を行う。これにより発光素子93が水分により劣化することを防ぐ事ができる。また、樹脂88が吸湿性を有していることが望ましい。さらに樹脂88中に透光性の高い乾燥剤89を分散させるとさらに水分の影響を抑えることが可能になるためさらに望ましい形態である。
なお、表示機能を有する本発明の発光装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信号が電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の発光装置及びその駆動方法には、上記したどの駆動方法を用いてもよい。
上記構成を有する本発明の発光装置は消費電力の小さい発光装置である。
本実施の形態は他の適当な実施の形態と組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態3)
本発明の実施に用いる蒸着装置及び、その蒸着装置を用いて本発明の発光素子を形成する方法の一つについて、図12〜15を用いて説明する。本実施の形態では、発光領域のホスト材料とキャリア輸送性を有する層を形成する材料が同じである場合に特に有効である。なお、この方法で作製された発光素子におけるキャリア輸送性を有する層には発光中心となる物質がごく微量混入してしまう場合もある。
本発明の実施に用いる蒸着装置には、被処理物に対し蒸着する処理を行う処理室1001の他、搬送室1002が設けられている。被処理物は搬送室1002を経て処理室1001へ搬送される。搬送室1002には、被処理物を移載する為のアーム1003が備え付けられている(図15)。
処理室1001内には、図12に示すように、被処理物を保持する為の保持部と、第1の材料が保持された蒸発源1011aと、第2の材料が保持された蒸発源1011bが設けられている。図12において、被処理物を保持する為の保持部は、軸1013を中心として回転する第1の回転板1012と、第1の回転板1012上に設けられた複数の第2の回転板1014a〜1014dとで構成されている。第2の回転板1014a〜1014dは、軸1013とは別に、第2の回転板1014a〜1014dのそれぞれに対して設けられた軸を中心として、それぞれ独立に回転する。被処理物1015a〜1015dは、第2の回転板1014a〜1014dのそれぞれの上に保持される。
図12において、第2の回転板1014aには被処理物1015aが保持され、第2の回転板1014bには被処理物1015bが保持され、第2の回転板1014cには被処理物1015cが保持され、第2の回転板1014dには被処理物1015dが保持されている。
発光領域は次のようにして形成する。先ず、蒸発源1011a、1011bに保持された材料を加熱して昇華させる。また、第1の回転板1012、及び被処理物が保持された第2の回転板1014a〜1014dを回転させる。図12に表されているように、被処理物1015aと蒸発源1011aとの距離が、被処理物1015aと蒸発源1011bとの距離よりも近いとき、被処理物1015a上には、第2の材料の濃度よりも第1の材料の濃度の方が高くなるように、それぞれの材料が蒸着される。これに対し、被処理物1015cのように、被処理物1015cと蒸発源1011bとの距離が、被処理物1015cと蒸発源1011aとの距離よりも近いとき、被処理物1015c上には、第1の材料の濃度よりも第2の材料の濃度の方が高くなるように、それぞれの材料が蒸着される。
次に、第1の回転板1012の回転により処理室1001内における第2の回転板1014aの位置が変わって、図12における第2の回転板1014cの位置において被処理物1015aが保持され、被処理物1015aと蒸発源1011bとの距離が、被処理物1015aと蒸発源1011aとの距離よりも近くなると、被処理物1015a上には、第1の材料の濃度よりも第2の材料の濃度が高くなるように、それぞれの材料が蒸着される。
このように、蒸発源1011a、1011bに対する被処理物1015a〜1015dの位置を変えることによって、被処理物1015a〜1015d上に、含まれている材料の濃度比がそれぞれ異なる複数の領域を有する発光領域を形成することができる。ここで、発光領域に含まれる各領域の積層方向の厚さ(濃度比の周期的変化の一周期の長さ)は、第1の回転板1012の回転速度等を調節することによって、適宜変えればよい。
例えば、第1の回転板1012の回転を速くすると、第1の材料と第2の材料の濃度比の変化の一周期は短くなる。つまり、発光領域に含まれる、発光中心となる物質とホスト材料の濃度比の変化の一周期は短くなる。
また、第1の回転板1012の回転速度を一定にし、蒸発源1011aおよび蒸発源1011bからの蒸着速度を大きくすることにより、第1の材料と第2の材料の濃度比の変化の一周期を長くすることもできる。
よって、本実施の形態で示した蒸着装置を用いて、例えば第1の材料として発光中心となる物質を用い、第2の材料としてホスト材料を用いることにより、本発明の発光素子を簡便に作製することが可能となる。
また、本発明の発光素子を形成する場合、他に蒸発源と被処理物との間にあるシャッターを開閉することにより各領域を形成する方法が考えられる。
なお、図12に示す構成において、第1の回転板と第2の回転板はそれぞれ独立に回転してもよい。例えば、第1の回転板のみ回転させて蒸着してもよい。
また、第1の回転板1012及び第2の回転板1014a〜1014dの形状について特に限定はなく、図12に表されるような円形の他、四角形等の多角形であってもよい。また、第2の回転板1014a〜1014dは、必ずしも設けなくてもよいが、第2の回転板1014a〜1014dを設けることによって、被処理物に形成される層の厚さ等の面内バラツキを低減することができる。
処理室1001内の構成は図12に表されるものには限定されず、例えば、図13に表されるような蒸発源の位置が変わるような構成であってもよい。
図13において、蒸発源1021a、1021bが固定され、軸1027を中心に回転する回転板1026と、被処理物を保持する為の保持部1022とが、対向して設けられている。また、保持部1022には、被処理物1025a〜1025dが保持されている。蒸発源1021aには第1の材料が、蒸発源1021bには第2の材料が、それぞれ保持されている。そして、蒸発源1021bよりも蒸発源1021aの方が被処理物1025aに近くなるようにそれぞれの蒸発源が位置しているとき、被処理物1025a上には、第2の材料の濃度よりも第1の材料の濃度の方が高くなるように、それぞれの材料が蒸着される。また、回転板1026が回転し、蒸発源1021aよりも蒸発源1021bの方が被処理物1025aに近くなるように位置するようなれば、被処理物1025a上には、第1の材料の濃度よりも第2の材料の濃度の方が高くなるように、それぞれの材料が蒸着される。このように、蒸着装置は、蒸発源の位置が変わることによって、被処理物に対する蒸発源の位置が変わるような構成を有するものであってもよい。つまり、蒸発源と被処理物とは、それぞれの位置が相対的に変化するように設けられていればよい。
図13の構成の場合、蒸発源1021aおよび蒸発源1021bの回転を速くすると、第1の材料と第2の材料の濃度比の周期的変化の一周期の長さは短くなる。つまり、発光領域に含まれる、発光中心となる物質とホスト材料の濃度比の変化の一周期は短くなる。
また、図12、図13に表されるような構成の他、図14に表されるように、蒸発源と保持部との間に開口部が設けられた回転板を有する構成であってもよい。この回転板は開口部の位置が変わるとマスクとして機能する。
図14において、第1の材料が保持された蒸発源1031aと第2の材料が保持された蒸発源1031bとは開口部1040が設けられた回転板1038を間に挟んで、それぞれ保持部1032と対向するように設けられている。回転板1038は、軸1039を中心として回転し、回転することによって開口部1040の位置が変わる。開口部1040が、蒸発源1031bよりも蒸発源1031aに近くなるように位置しているとき、開口部1040から保持部1032の方へ、第1の材料の濃度の方が第2の材料の濃度よりも高い状態で気体が拡散し、保持部1032に保持された被処理物1035へ、第1の材料の濃度の方が第2の材料の濃度よりも高くなるようにそれぞれの材料が蒸着される。また、回転板1038が回転し、開口部1040が蒸発源1031aよりも蒸発源1031bに近くなるように位置すれば(例えば、点線1041で表されるように位置すれば)、第2の材料の濃度の方が第1の材料の濃度よりも高くなるように、被処理物1035上にそれぞれの材料が蒸着される。
図14の構成の場合、回転板1038の回転を速くすると、第1の材料と第2の材料の濃度比の変化の一周期は短くなる。つまり、発光領域に含まれる、発光中心となる物質とホスト材料の濃度比の変化の一周期は短くなる。
以上のように、蒸発源と、被処理物の位置が相対的に変わるようにすることで、本発明の発光素子を形成することができる。また、蒸発源の他、マスクとして機能する回転板に設けられた開口部の位置が相対的に変わるようにすることで、本発明の発光素子を形成することもできる。
なお、蒸着装置の構成は、図15に示されたものには限定されず、例えば、発光素子を封止する為の封止室がさらに設けられた構成であってもよい。また、蒸着を行う処理室は、一室だけでなく、二室以上設けられていてもよい。
なお、蒸発源の蒸着速度は、第1の材料と第2の材料とでは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、ホスト材料の蒸着速度と発光中心となる物質の蒸着速度をほぼ同じとすることで、ホスト材料の濃度が高い領域と、発光中心となる物質の濃度の高い領域とが交互に積層した構造とすることができる。
また、ホスト材料の蒸着速度を高くし、発光中心となる物質の蒸着速度を低くした場合、ホスト材料の濃度が高い領域と、ホスト材料に発光中心となる物質が分散している領域とを交互に積層した構造とすることできる。
なお、周期的変化の一周期は、基板の回転速度、蒸着速度以外に、基板と蒸発源との距離、蒸発源と蒸発源との距離、基板と回転軸との距離等により変化するため、それぞれの装置において最適値を適宜設計すれば良い。なお、基板の大きさにもよるが、蒸発源と蒸発源の距離は、基板中心と回転軸との距離の2倍程度であることが好ましい。例えば、12cm×12cmの基板を用いる場合、基板と蒸発源との距離を20〜40cmとし、蒸発源と蒸発源との距離を15〜30cm、基板の中心と回転軸との距離を8〜15cmとし、蒸着速度を0.2〜2.0nm/s、回転速度を4〜12rpmとすることにより、本発明の発光素子を形成することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明のアクティブマトリクス型発光装置のパネルの外観について図7を用いて説明する。図7(A)は基板上に形成されたトランジスタおよび発光素子を対向基板4006との間に形成したシール材によって封止したパネルの上面図であり、図7(B)は図7(A)の断面図に相応する。また、このパネルの発光素子が有する構造は、実施の形態1に示したような構成である。
基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また、画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって充填材4007と共に密封されている。
また、基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とは薄膜トランジスタを複数有しており、図7(B)では信号線駆動回路4003に含まれる薄膜トランジスタ4008と、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010とを示す。
また、発光素子4011は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。
また、引き回し配線4014は画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とに、信号、または電源電圧を層供給する為の配線に相当する。引き回し配線4014は、引き回し配線4015a及び4015bを介して接続端子4016と接続されている。接続端子4016はフレキシブルプリントサーキット(FPC)4018が有する端子と異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
なお、充填材4007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いる事ができる。
なお、本発明の発光装置は発光素子を有する画素部が形成されたパネルと、該パネルにICが実装されたモジュールとをその範疇に含む。
以上の様な構成を有する本発明の発光装置は、消費電力が小さい発光装置とすることができる。
本実施の形態は他の適当な実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4で示したパネル、モジュールが有する画素回路、保護回路及びそれらの動作について説明する。
図8(A)に示す画素は、列方向に信号線1410及び電源線1411、1412、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、電流制御用TFT1404、容量素子1402及び発光素子1405を有する。
図8(C)に示す画素は、駆動用TFT1403のゲート電極が、行方向に配置された電源線1412に接続される点が異なっており、それ以外は図8(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図8(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、行方向に電源線1412が配置される場合(図8(A))と、列方向に電源線1412が配置される場合(図8(C))とでは、各電源線は異なるレイヤーの導電膜で形成される。ここでは、駆動用TFT1403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図8(A)(C)として分けて記載する。
図8(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内に駆動用TFT1403と電流制御用TFT1404が直列に接続されており、駆動用TFT1403のチャネル長L(1403)、チャネル幅W(1403)、電流制御用TFT1404のチャネル長L(1404)、チャネル幅W(1404)は、L(1403)/W(1403):L(1404)/W(1404)=5〜6000:1を満たすように設定するとよい。
なお、駆動用TFT1403は、飽和領域で動作し発光素子1405に流れる電流値を制御する役目を有し、電流制御用TFT1404は線形領域で動作し発光素子1405に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましく、本実施の形態ではnチャネル型TFTとして形成する。また駆動用TFT1403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明の発光装置は、電流制御用TFT1404が線形領域で動作するために、電流制御用TFT1404のVgsの僅かな変動は、発光素子1405の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子1405の電流値は、飽和領域で動作する駆動用TFT1403により決定することができる。上記構成により、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた発光装置を提供することができる。
図8(A)〜(D)に示す画素において、スイッチング用TFT1401は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、スイッチング用TFT1401がオンとなると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、容量素子1402にそのビデオ信号の電圧が保持される。なお図8(A)(C)には、容量素子1402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、容量素子1402を設けなくてもよい。
図8(B)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図8(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図8(D)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図8(C)に示す画素構成と同じである。
TFT1406は、新たに配置された走査線1414によりオン又はオフが制御される。TFT1406がオンとなると、容量素子1402に保持された電荷は放電し、電流制御用TFT1404がオフとなる。つまり、TFT1406の配置により、強制的に発光素子1405に電流が流れない状態を作ることができる。そのためTFT1406を消去用TFTと呼ぶことができる。従って、図8(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図8(E)に示す画素は、列方向に信号線1410、電源線1411、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、容量素子1402及び発光素子1405を有する。図8(F)に示す画素は、TFT1406と走査線1415を追加している以外は、図8(E)に示す画素構成と同じである。なお、図8(F)の構成も、TFT1406の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
駆動用TFT1403を強制的にオフにする場合の画素構成の例を図10に示す。選択TFT1451、駆動用TFT1453、消去ダイオード1461、発光素子1454が配置されている。選択TFT1451のソースとドレインは各々、信号線1455と駆動用TFT1453のゲートに接続されている。選択TFT1451のゲートは、第1ゲート線1457に接続されている。駆動用TFT1453のソースとドレインは各々、第1電源線1456と発光素子1454に接続されている。消去ダイオード1461は、駆動用TFT1453のゲートと第2ゲート線1467に接続されている。
容量素子1452は、駆動用TFT1453のゲート電位を保持する役目をしている。よって、駆動用TFT1453のゲートと電源線1456の間に接続されているが、これに限定されない。駆動用TFT1453のゲート電位を保持できるように配置されていればよい。また、駆動用TFT1453のゲート容量などを用いて、駆動用TFT1453のゲート電位を保持できる場合は、容量素子1452を省いても良い。
動作方法としては、第1ゲート線1457を選択して、選択TFT1451をオン状態にして、信号線1455から信号を容量素子1452に入力する。すると、その信号に応じて、駆動用TFT1453の電流が制御され、第1電源線1456から、発光素子1454を通って、第2電源線1458に電流が流れる。
信号を消去したい場合は、第2ゲート線1467を選択(ここでは、高い電位にする)して、消去ダイオード1461がオンして、第2ゲート線1467から駆動用TFT1453のゲートへ電流が流れるようにする。その結果、駆動用TFT1453がオフ状態になる。すると、第1電源線1456から、発光素子1454を通って、第2電源線1458には、電流が流れないようになる。その結果、非点灯期間を作ることができ、点灯期間の長さを自由に制御できるようになる。
信号を保持しておきたい場合は、第2ゲート線1467を非選択(ここでは、低い電位にする)しておく。すると、消去ダイオード1461がオフするので、駆動用TFT1453のゲート電位は保持される。
なお、消去ダイオード1461は、整流性がある素子であれば、なんでもよい。PN型ダイオードでもよいし、PIN型ダイオードでもよいし、ショットキー型ダイオードでもよいし、ツェナー型ダイオードでもよい。
以上のように、多様な画素回路を採用することができる。特に、非晶質半導体膜から薄膜トランジスタを形成する場合、駆動用TFT1403、1453の半導体膜を大きくすると好ましい。そのため、上記画素回路において、発光積層体からの光が対向基板側から射出する上面発光型とすると好ましい。
このようなアクティブマトリクス型の発光装置は、画素密度が増えた場合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利であると考えられている。
本実施の形態では、一画素に各TFTが設けられるアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、パッシブマトリクス型の発光装置にも適用可能である。パッシブマトリクス型の発光装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率となる。発光が発光積層体の両側へ射出する発光装置の場合、パッシブマトリクス型の発光装置を用いる透過率が高まる。
続いて、図8(E)に示す等価回路を用い、走査線及び信号線に保護回路としてダイオードを設ける場合について説明する。
図9には、画素部1500にスイッチング用TFT1401、1403、容量素子1402、発光素子1405が設けられている。信号線1410には、ダイオード1561と1562が設けられている。ダイオード1561と1562は、スイッチング用TFT1401又は1403と同様に、上記実施の形態に基づき作製され、ゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を有する。ダイオード1561と1562は、ゲート電極と、ドレイン電極又はソース電極とを接続することによりダイオードとして動作させている。
ダイオードと接続する共通電位線1554、1555はゲート電極と同じレイヤーで形成している。従って、ダイオードのソース電極又はドレイン電極と接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
走査線1414に設けられるダイオードも同様な構成である。
このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを形成する位置は、これに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
このような保護回路を有する本発明の発光装置は、当該発光装置は消費電力が低く、また、上記構成を有することで、発光装置としての信頼性をさらに高めることが可能となる。
(実施の形態6)
本発明の発光装置(モジュール)を搭載した本発明の電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図11に示す。
図11(A)は発光装置でありテレビ受像器やパーソナルコンピュータのモニターなどがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明の発光装置は消費電力が小さい発光装置である。画素部にはコントランスを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、対向基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
図11(B)は携帯電話であり、本体2101、筐体2102、表示部2103、音声入力部2104、音声出力部2105、操作キー2106、アンテナ2108等を含む。本発明の携帯電話は消費電力が小さい携帯電話である。
図11(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明のコンピュータは消費電力が小さいコンピュータである。図11(C)ではノート型のコンピュータを例示したが、デスクトップ型のコンピュータなどにも適用することが可能である。
図11(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明のモバイルコンピュータは消費電力が小さいモバイルコンピュータである。
図11(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明の携帯型ゲーム機は消費電力が小さい携帯型ゲーム機である。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
本実施の形態は他の適当な実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。