JP2006302864A - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の電極間に、少なくとも2層の発光層を有する有機電界発光素子であって、該少なくとも2層の発光層の各々が、相異なる発光材料を含み、該発光材料の少なくとも1種は燐光発光材料であり、該少なくとも2層の発光層における各々の発光層間にバッファー層を有し、該バッファー層に最高占有軌道と最低非占有軌道とのエネルギー差(Eg)が4.0eV以上である有機化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明は、発光効率及び発光輝度に優れた有機電界発光素子を提供することを目的とする。特に、本発明は、発光効率及び発光輝度に優れ、且つ色度の良好な白色発光素子に好適な有機電界発光素子を提供することを目的とする。
<1> 一対の電極間に、少なくとも2層の発光層を有する有機電界発光素子であって、
該少なくとも2層の発光層の各々が、相異なる発光材料を含み、該発光材料の少なくとも1種は燐光発光材料であり、
該少なくとも2層の発光層における各々の発光層間にバッファー層を有し、該バッファー層に最高占有軌道と最低非占有軌道とのエネルギー差(Eg)が4.0eV以上である有機化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(1) L−(Ar)m
一般式(1)中、Arは下記一般式(2)で表される基を表し、Lは3価以上のベンゼン骨格を表し、mは3以上の整数を表す。
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極間に、少なくとも2層の発光層を有する有機電界発光素子であって、該少なくとも2層の発光層の各々が、相異なる発光材料を含み、該発光材料の少なくとも1種は燐光発光材料であり、該少なくとも2層の発光層における各々の発光層間にバッファー層を有し、該バッファー層に最高占有軌道と最低非占有軌道とのエネルギー差(Eg)が4.0eV以上である有機化合物を含むことを特徴とする。
以下、本発明における有機化合物層について詳細に説明する。
発光層(有機発光層)は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
ここで、「相異なる発光材料」とは、化学構造の異なる発光材料を意味する。
本発明においては、燐光発光材料を少なくとも一種含む、(構造の)相異なる少なくとも2種の発光材料を用いることにより、任意の色に発光する発光素子を得ることができる。
本発明においては、総ての発光層に、燐光発光材料を含む態様がより好ましい。
上記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
また、発光層中に、発光材料として、蛍光発光材料を含む場合は、蛍光発光材料のみで発光層を形成する態様とすることも好適であり、また、ホスト材料中に蛍光発光材料を混合して発光層を形成する態様も好適である。発光層が、ホスト材料と蛍光発光材料との混合層である場合の蛍光発光性化合物の濃度は、発光層1層当たり、0.1〜99.9質量%含有されることが好ましく、1〜99質量%含有されることがより好ましく、10〜90質量%含有されることが更に好ましい。
本発明の発光素子は、上述した、少なくとも2層の発光層における各々の発光層間にバッファー層を有し、該バッファー層に最高占有軌道と最低非占有軌道とのエネルギー差Egが4.0eV以上である有機化合物(バッファー層に含まれる有機化合物)を含む。
即ち、本発明における発光層及びバッファー層の構成としては、例えば、発光層を2層有する場合であれば、発光層/バッファー層/発光層であり、発光層を3層有する場合であれば、発光層/バッファー層/発光層/バッファー層/発光層であるが、これらに限定されるものではない。
また、2層以上設けられた発光層においては、電子や正孔が一つの発光層から隣接する他の発光層に移動する場合に、隣接する発光層が発光してしまい、色度が悪化するという問題が生じることが予想されるが、本発明のごとく、相異なる発光層間にバッファー層を設け、該バッファー層中にEgの大きな化合物を含むことで、隣接する他の発光層への電子や正孔の移動を効率的に抑制することができ、色度の悪化を防止することができる。
即ち、本発明のごとく、相異なる発光層の間に、最高占有軌道と最低非占有軌道とのエネルギー差Egが4.0eV以上の有機化合物を含むバッファー層を有することにより、各発光層の発光輝度、及び発光効率を向上させることができ、また、色度の悪化を抑制し、所望の色度に発光させることが可能になる。その結果、非常に発光効率が高く、かつ色度に優れた発光素子を得ることができる。
バッファー層に、T1が2.7eV以上の有機化合物を含むことにより、該有機化合物への発光材料からの励起子拡散が抑制され、発光効率を一層向上させることができる点で好ましい。
特に、発光材料が青色燐光発光材料である場合には、そのT1が2.6eV前後よりも大きいことから、三重項励起子の拡散を抑制するためには、有機化合物のT1はそれ以上、即ち、2.7eV以上であることが好ましい。バッファー層にT1が2.7eV以上の有機化合物を含むことにより、青色燐光発光材料を用いる場合においても発光効率を一層向上させることができる。
本発明において、バッファー層に含まれる有機化合物のT1は、2.7eV以上であるが、その上限値としては、3.7eVであることが好ましい。
一般式(1)に含まれるLは、3価以上のベンゼン骨格を表す。Arは一般式(2)で表される基を表し、mは3以上の整数を表す。
Lで表されるベンゼン骨格としては、3価又は4価のベンゼン骨格であることが好ましい。
mは好ましくは3以上6以下であり、さらに好ましくは3又は4である。
一般式(2)に含まれるR1は置換基を表す。ここで置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、プロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる)、
一般式(3)におけるR2は置換基を表す。R2で表される置換基は、前記R1で表される置換基と同義であり好ましい態様も同様である。
n2は0から20の整数を表す。n2の好ましい範囲は0から10であり、さらに好ましくは0から5である。
バッファー層に含まれる正孔輸送材料又は電子輸送材料として用いられる材料としては、特に限定されることはなく、公知の材料から適宜選択して使用することができる。例えば、後述する特許公報等に記載の材料を用いることができる。
正孔輸送材料又は電子輸送材料のバッファー層中における含有量としては、0.5質量%以上98質量%以下が好ましく、さらに好ましくは1質量%以上95質量%以下である。
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153号、特開平11−111463号、特開平11−251067号、特開2000−196140号、特開2000−286054号、特開2000−315580号、特開2001−102175号、特開2001−160493号、特開2002−252085号、特開2002−56985号、特開2003−157981号、特開2003−217862号、特開2003−229278号、特開2004−342614号、特開2005−72012号、特開2005−166637号、特開2005−209643号等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
この他にも、特開平6−212153号、特開2000−196140号、特開2003−68468号、特開2003−229278号、特開2004−342614号等に記載の材料を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。Baytron P(PEDOT−PSS溶液(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸ドープ体)/バイエル社製)をUV−オゾン処理したITO基板上にスピンコートし(4000rpm、40sec)、120℃にて10分、真空乾燥した。PEDOT−PSS層の膜厚は40nmであった。
このPEDOT−PSS層上に、真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
NPD:膜厚40nm
(第1発光層)
CBP=92質量%、Firpic=8質量%の混合層:膜厚10nm
(第2発光層)
CBP=92質量%、Btp2Ir(acac)=8質量%の混合層:膜厚10nm
(第3発光層)
CBP=92質量%、Ir(ppy)3=8質量%の混合層:膜厚10nm
(電子輸送層)
BCP:膜厚10m
Firpic; 2.7eV
Btp2Ir(acac); 2.0eV
Ir(ppy)3; 2.5eV
このものを、大気に触れさせること無くアルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止した。
以上のようにして、比較例1の発光素子を作製した。
有機化合物層の層構成を下記のように変更した以外は、比較例1の発光素子と同様の方法で、実施例1の発光素子を作製した。
NPD:膜厚40nm
(第1発光層)
CBP=92質量%、Firpic=8質量%の混合層:膜厚10nm
(第1バッファー層)
化合物A=50質量%、CBP=50質量%の混合層:膜厚3nm
(第2発光層)
CBP=92質量%、Btp2Ir(acac)=8質量%の混合層:膜厚10nm
(第2バッファー層)
化合物A=50質量%、CBP=50質量%の混合層:膜厚3nm
(第3発光層)
CBP=92質量%、Ir(ppy)3=8質量%の混合層:膜厚10nm
(電子輸送層)
BCP:膜厚10m
実施例1及び比較例1で得られた発光素子を用いて、以下の方法により、発光効率、発光輝度、及び色度について評価した。
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を発光素子に印加し発光させて、発光性能を測定した。その時の最高輝度をLmaxとし、さらに1000Cd/m2時の発光効率を外部量子効率(η1000)とした。また、その時の発光スペクトルより、CIE色度座標を求めた。得られた結果を下記表1に示す。
Egは、化合物単独の蒸着膜の吸収スペクトルの吸収端より求めた。
T1は、化合物のサンプルを液体窒素温度下に冷却し、燐光測定して、その立ち上がり波長から求めた。
有機化合物層の層構成を下記のように変更する以外は、比較例1と同様の方法により、比較例2の発光素子を作製した。
NPD:膜厚40nm
(第1発光層)
CBP=92質量%、Firpic=8質量%の混合層:膜厚10nm
(第1バッファー層)
BCP:膜厚3nm
(第2発光層)
CBP=92質量%、Btp2Ir(acac)=8質量%の混合層:膜厚10nm
有機化合物層の構成を下記のように変更した以外は、比較例2の発光素子と同様の方法により、実施例2の発光素子を作製した。
NPD:膜厚40nm
(第1発光層)
CBP=92質量%、Firpic=8質量%の混合層:膜厚10nm
(第1バッファー層)
化合物A=75質量%、BCP=25質量%の混合層:膜厚3nm
(第2発光層)
CBP=92質量%、Btp2Ir(acac)=8質量%の混合層:膜厚10nm
得られた実施例2及び比較例2の発光素子を用いて、実施例1と同様にして評価した。
得られた結果を表3に、化合物A、CBP、及びBCPのEg及びT1を表4に示す。
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
このITO基板上に真空蒸着法にて以下の有機化合物を順次蒸着した。
NPD:膜厚40nm
(第1発光層)
1−[3,5−ジ(1−ピレニル)−フェニル]−ピレン:膜厚24nm
(第2発光層)
CBP=86質量%、Ir(ppy)3=14質量%の混合層:膜厚24nm
(第3発光層)
CBP=97質量%、ビス(2-フェニルキノリン)アセチルアセトナートイリジウム=3質量%の混合層:膜厚24nm
(電子輸送層)
2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[3−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン]:膜厚24nm
以上のようにして比較例3の発光素子を作製した。
有機化合物層の層構成を下記のように変更した以外は、比較例3と同様の方法により、実施例3の発光素子を作製した。
NPD:膜厚40nm
(第1発光層)
1−[3,5−ジ(1−ピレニル)−フェニル]−ピレン:膜厚24nm
(第1バッファー層)
化合物A=20質量%、CBP=80質量%の混合層:膜厚7nm
(第2発光層)
CBP=86質量%、Ir(ppy)3=14質量%の混合層:膜厚24nm
(第2バッファー層)
化合物A=20質量%、CBP=80質量%の混合層:膜厚7nm
(第3発光層)
CBP=97質量%、ビス(2-フェニルキノリン)アセチルアセトナートイリジウム=3質量%の混合層:膜厚24nm
(電子輸送層)
2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[3−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン]:膜厚24nm
得られた実施例4及び比較例4の発光素子を用いて、実施例1と同様にして評価した。
得られた結果を表5に示す。
上記実施例1、実施例2、及び実施例3において、化合物A(例示化合物(1))の代わりに、前記の例示化合物(4)、(11)、(20)、(35)、(44)を、それぞれ用いても、同様に良好な結果を得ることができる。例示化合物(4)、(11)、(20)、(35)、(44)のEg、T1については下記表6に示した。
Claims (8)
- 一対の電極間に、少なくとも2層の発光層を有する有機電界発光素子であって、
該少なくとも2層の発光層の各々が、相異なる発光材料を含み、該発光材料の少なくとも1種は燐光発光材料であり、
該少なくとも2層の発光層における各々の発光層間にバッファー層を有し、該バッファー層に最高占有軌道と最低非占有軌道とのエネルギー差(Eg)が4.0eV以上である有機化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。 - 前記有機化合物の最低励起三重項エネルギー準位(T1)が、2.7eV以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記バッファー層が、更に、正孔輸送材料又は電子輸送材料を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
- 前記バッファー層の膜厚が、0.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の有機電界発光素子。
- 前記バッファー層に含まれる正孔輸送材料又は電子輸送材料の濃度が、1質量%以上95質量%以下であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の有機電界発光素子。
- 白色発光であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の有機電界発光素子。
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