JP5104049B2 - 回転速度検出装置 - Google Patents

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本発明は、車軸に装着された車輪の回転速度を検出するための回転速度検出装置に関するものである。
車両(例えば、自動車)のハブユニットには、車軸の先端部に装着されている車輪の回転速度を検出するための回転速度検出装置が取り付けられている。この回転速度検出装置によって得られた各種の情報は、車両のアンチロックブレーキシステム(ABS)等に使用される。この回転速度検出装置として、ハブユニットにおける転がり軸受の内輪に取り付けられ、内輪と一体に回転するパルサリングと、パルサリングと対向して転がり軸受の外輪に取り付けられ、静止状態に保持されるセンサとを有し、車輪の回転速度をセンサによって検出するように構成されたものが知られている(特許文献1を参照)。
車両のアンチロックブレーキシステム等を正確に作動させるためには、車輪の回転速度を高精度に検出することが必要である。しかし、センサの周辺部に異物(砂、泥、ごみ、雨水等)が侵入すると、異物が堆積したり、センサやパルサリングに付着したりして、センサの検出精度を低下させたり、センサからの出力を妨害させたりするおそれがある。
特開2000−221203号公報
本発明は、上記した不具合に鑑み、回転速度検出装置のセンサの周辺部に異物が侵入しないようにすることを課題としている。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を達成するための本発明は、
車軸に装着された車輪の回転速度を検出するための回転速度検出装置であって、
前記車軸に取り付けられ、車軸と一体に回転するパルサリングと、前記パルサリングと対向して車体に静止状態で取り付けられるリング状のカバー体と、前記パルサリングの回転数を検出するために、前記カバー体に取り付けられるセンサとを有し、
前記カバー体は、
円筒状で、前記センサを挿通させて周方向に位置決めするためのセンサ取付孔がラジアル方向に設けられた本体部と、
前記本体部におけるアキシャル方向の一方側に、ラジアル方向の内側に延設され、先端部にシール部材が取り付けられた周壁部と、
前記本体部におけるアキシャル方向の他方側に、前記周壁部と平行状態でラジアル方向の内側に延設され、前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたセンサをガイドするためのガイド壁部とを備え、
前記周壁部の先端部の全周に亘って前記シール部材が取り付けられ、さらにその中途部には、前記センサを前記ガイド壁部の側に向かって弾発状態で押圧し、かつ押圧状態で前記センサと係合してアキシャル方向に位置決めする係合部が全周に亘って設けられ、
前記ガイド壁部の先端部には、前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたセンサを当接させてラジアル方向に位置決めするためのストッパ部が全周に亘って設けられ、
前記本体部が車体に取り付けられた状態で、前記センサが前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたとき、前記センサは前記ガイド壁部のストッパ部に当接するとともに前記周壁部の係合部と係合し、前記周壁部のシール部材が車軸の外周面に摺接することを特徴とする。
本発明に係る回転速度検出装置は、上記したように構成されていて、センサが取り付けられるカバー体の周壁部の先端部に、シール部材が取り付けられている。そして、カバー体が車体に取り付けられた状態で、シール部材は、車軸の外周面に摺接される。これにより、車軸の外周面を伝って流下する異物が、センサの周辺部に侵入することが防止される。このため、異物が堆積したり、センサやパルサリングに異物が付着したりするおそれが小さくなり、長期間に亘って車輪の回転速度を高精度に検出することができる。
前記ガイド壁部の先端部に、前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたセンサを当接させるためのストッパ部が設けることができる。これにより、センサのラジアル方向の位置決めを容易に行うことができる。
前記ガイド壁部は、前記センサ取付孔に挿通されたセンサを、自身と前記周壁部とで挟み込んで保持するように設けられていて、
前記周壁部に、挟み込まれたセンサを前記ガイド壁部の側に向かって弾発状態で押圧し、かつ押圧状態でセンサと係合する係合部が設けることができる。
これにより、センサがガイド壁部に向かって押圧されるため、アキシャル方向の位置決めを容易に行うことができる。しかも、周壁部に設けられた係合部がセンサと係合することにより、アキシャル方向の位置決めがより確実になされるとともに、センサがラジアル方向にずれることの防止が図られる。
そして、前記センサ取付孔の周方向の長さは、前記センサの幅と同一に形成することができる。これにより、センサ取付孔に挿通されたセンサが、周方向にずれることが防止され、センサの周方向の位置決めがなされる。
更に、前記カバー体は、
円筒状の連結部を形成する連結部成形工程と、
前記連結部のアキシャル方向の一端部をラジアル方向の内側に屈曲させて周壁部を形成する周壁部成形工程と、
前記連結部の内周面に、円板状のガイド壁部の外周面を前記周壁部と平行に溶着するガイド壁部成形工程と、
を含んで製造することができる。
本発明の実施例を説明する。図1は本発明の実施例の回転速度検出装置100が装着されたハブユニット200の正面断面図、図2は車両アウタ側から見た回転速度検出装置100の分解斜視図、図3はセンサ16を分離させた状態のカバー体17の斜視図、図4は回転速度検出装置100の正面図、図5は同じく側面断面図である。
本発明の実施例の回転速度検出装置100について説明する。最初に、図1を参照しながら、車両のハブユニット200について説明する。図1においては、図面視における右側が「車両アウタ側」であり、同じく左側が「車両インナ側」である。本実施例のハブユニット200は、ハブホイール1と、車体(アクスルハウジング2)に対してハブホイール1を回転可能に支持するための転がり軸受3とを備えていて、アクスルハウジング2と等速ジョイント4(CVJ)との間に介装されている。等速ジョイント4の車両アウタ側の端部はハブホイール1とスプライン嵌合されていて、等速ジョイント3の駆動力が、ハブホイール1のフランジ部1aに取り付けられる車輪(図示せず)に伝達されるようになっている。また、車両インナ側の等速ジョイント4の外径は、車両インナ側の端面に向かうにつれて徐々に大きくなっている。なお、本明細書で使用される「車軸」は、ハブホイール1と等速ジョイント4との両方の概念を含んでいる。
転がり軸受3について説明する。図1に示されるように、本実施例の転がり軸受3は複列アンギュラ玉軸受であり、ハブホイール1の外周面に圧入され、等速ジョイント4によってアキシャル方向に押圧されることにより、ハブホイール1と一体に回転される一対の内輪(車両アウタ側の内輪5と車両インナ側の内輪6)と、取付用フランジ部7を介してアクスルハウジング2に固定される外輪8と、一対の内輪5,6と外輪8との間に介装される複数個の転動体(玉9)とを備えている。各内輪5,6は、連続状態で接合される大径部と小径部とから成り、両者の接合部分に玉9を転動させる内輪軌道面11,12が設けられている。車両アウタ側の内輪5の大径部側の端面部5a(車両アウタ側の端面部)は、ハブホイール1のフランジ部1aの下端部に当接されている。また、車両インナ側の内輪6の大径部側の端面部6a(車両インナ側の端面部)は、等速ジョイント4に当接されている。そして、各内輪5,6の小径部側の端面部は、突き合わされた状態で対向配置されている。
同様に、外輪8の内周面には外輪軌道面13が形成されている。そして、複数個の玉9は、保持器14によって保持されている。
回転速度検出装置100について説明する。図2及び図3に示されるように、本実施例の回転速度検出装置100は、ハブホイール1と一体に回転されるパルサリング15と、パルサリング15の回転数(車輪の回転速度)を検出するためのセンサ16と、センサ16を支持するためのリング状のカバー体17とを備えている。パルサリング15はリング状であり、N極とS極が周方向に交互に着磁されていて、車両インナ側の内輪6の大径部の外周面に固定されている(図1参照)。これにより、パルサリング15は、内輪6(即ち、ハブホイール1)と一体に回転される。
図2及び図3に示されるように、センサ16は、ヘッド部18とリード線19とを備えている。ヘッド部18の先端部で、その表面部(取付け状態における車両インナ側の面)には傾斜面部21が形成されている。また、ヘッド部18の表面部には、ヘッド部18の長手方向と直交する方向に凹溝部22が形成されている。
図1に示されるように、カバー体17は、短円筒状の本体部23におけるアキシャル方向の一端部(車両アウタ側の端部)に設けられた連結部24が、アクスルハウジング2と外輪8との隙間に圧入されることによって固定される。図2及び図3に示されるように、本体部23の所定位置には、センサ16のヘッド部18を挿通するためのセンサ取付孔25が、ラジアル方向に設けられている。図4に示されるように、センサ取付孔25の内幅(周方向の長さ)をW1、センサ16のヘッド部18の幅をW2とすると、センサ取付孔25の内幅W1はヘッド部18の幅W2よりも僅かに大きい。また、図5に示されるように、センサ取付孔25のアキシャル方向の長さをL1、センサ16のヘッド部18の厚みをL2とすると、センサ取付孔25の長さL1は、ヘッド部18の厚みL2よりも僅かに大きい。
カバー体17の本体部23におけるアキシャル方向の他端部(車両インナ側の端部)には、ラジアル方向の内側(等速ジョイント4の軸線側)に向かって環状の周壁部26が延設されている。周壁部26の先端部26aは車両アウタ側に向かって所定角度で折り曲げられていて、当該部分にその全周に亘ってシール部材27が固着されている。この周壁部26は、カバー体17の本体部23がアクスルハウジング2と外輪8との隙間に圧入されたときに、その先端部26aに固着されたシール部材27が、等速ジョイント4の外周面に摺接するだけの長さを有している。
カバー体17の周壁部26の背面部(取付け状態における車両アウタ側の面)には、連結部24の側に突出する突条28が、周壁部26の全周に亘って設けられている。これにより、周壁部26の正面部には、凹溝が周壁部26の全周に亘って設けられている。この突条28は、本体部23の挿通センサ取付孔25に挿通されたセンサ16のヘッド部18をアキシャル方向に押圧するという機能を有している。
カバー体17の本体部23において、連結部24と周壁部26との間の内周面から、ラジアル方向の内側にガイド壁部29が延設されている。本実施例のカバー体17の場合、ガイド壁部29は、本体部23の内周面に溶接によって固着されている。ガイド壁部29において、本体部23のセンサ取付孔25と対応する部分(センサ16のヘッド部18が配置される部分)には検出孔31が設けられているとともに、その先端部は周壁部26の側に折り曲げられていて、当該部分にストッパ部32が形成されている。カバー体17の本体部23のセンサ取付孔25に挿通されたセンサ16のヘッド部18は、ガイド壁部29にガイドされて、周壁部26を押し広げながら(弾性変形)ラジアル方向の内側に移動して、その先端部をストッパ部32に当接させる。この状態で、周壁部26が弾性復元して、突条28がヘッド部18の凹溝部22に嵌り込む。これにより、センサ16のヘッド部18がアキシャル方向及びラジアル方向に位置決めされて保持される。
上記したカバー体17は、例えば図6に示されるように、円筒状の連結部24を形成する連結部成形工程33と、連結部24のアキシャル方向の一端部をラジアル方向の内側に屈曲させて周壁部26を形成する周壁部成形工程34と、連結部24の内周面に、円板状のガイド壁部29の外周面を周壁部26と平行に溶接するガイド壁部成形工程35とを経て製造される。なお、周壁部26の先端部26aにシール部材27を取り付ける工程は、連結部24とガイド壁部29とを溶接する前であっても、溶接した後であってもよい。また、周壁部26を連結部24の一端部に溶接することによって、両者を連結させてもよい。
本実施例の回転速度検出装置100の作用を説明する。図1及び図5に示されるように、パルサリング15が、車両インナ側の内輪6の外周面に装着される。内輪6は、車輪(図示せず)が取り付けられるハブホイール1に圧入されている。このため、パルサリング15は、車輪と一体に回転する。また、カバー体17の本体部の連結部24が、アクスルハウジング2と外輪8との隙間に圧入される。このため、カバー体17は、車体(アクスルハウジング2)に静止状態で取り付けられる。
センサ16のヘッド部18が、カバー体17の本体部23に設けられたセンサ取付孔25に挿通される。ヘッド部18の先端部に傾斜面部21が形成されているため、ヘッド部18をセンサ取付孔25に挿通させ易い。このヘッド部18は、ガイド壁部29にガイドされながら、その先端部をストッパ部32に当接させる。これにより、センサ16のヘッド部18が、ラジアル方向に位置決めされる。この状態で、周壁部26の突条28がヘッド部18の凹溝部22に嵌り込んで、ヘッド部18をアキシャル方向に押圧する。これにより、センサ16のヘッド部18が、アキシャル方向に位置決めされるとともに、ヘッド部18のラジアル方向の位置決めがより確実になされるとともに、ヘッド部18の抜止めが図られる。そして、ヘッド部18の幅W2は、センサ取付孔25の内幅W1よりも僅かに小さいだけであるため、ヘッド部18の周方向のずれも僅かである。これにより、センサ16のヘッド部18が、周方向に位置決めされる。上記した結果、センサ16のヘッド部18が、アキシャル方向、ラジアル方向及び周方向に位置決めされた状態でカバー体17に保持される。この状態で、パルサリング15とヘッド部18とは対向配置されている。なお、ヘッド部18の周方向のずれを最小にするため、センサ取付孔25の内幅W1をヘッド部18の幅W2とほぼ同一にすることが望ましい。
カバー体17が、アクスルハウジング2に取り付けられたとき、周壁部26の先端部26aに取り付けられたシール部材27は、等速ジョイント4の外周面に摺接される。これにより、等速ジョイント4の回転を妨げることなく、センサ16のヘッド部18の周辺空間部が閉塞され、等速ジョイント4の外周面を伝って流下する異物(砂、泥、ごみ、雨水等)が、センサ16の周囲に侵入することが防止される。即ち、センサ16の周囲に侵入した異物が堆積したり、パルサリング15やセンサ16のヘッド部18に付着したりすることによって、センサ16の検出精度に悪影響を及ぼすことが防止されるため、常に高精度な検出結果が得られる。
本発明の実施例の回転速度検出装置100が装着されたハブユニット200の正面断面図である。 車両アウタ側から見た回転速度検出装置100の分解斜視図である。 センサ16を分離させた状態のカバー体17の斜視図である。 回転速度検出装置100の正面図である。 同じく側面断面図である。 カバー体17の製造方法を示す工程図である。
符号の説明
100 回転速度検出装置
1 ハブホイール(車軸)
2 アクスルハウジング(車体)
4 等速ジョイント(車軸)
15 パルサリング
16 センサ
17 カバー体
18 ヘッド部(センサ)
23 本体部
25 センサ取付孔
26 周壁部
27 シール部材
28 突条(係合部)
31 ガイド壁部
32 ストッパ部
W1 センサ取付孔の周方向の長さ
W2 センサの幅

Claims (1)

  1. 車軸に装着された車輪の回転速度を検出するための回転速度検出装置であって、
    前記車軸に取り付けられ、車軸と一体に回転するパルサリングと、前記パルサリングと対向して車体に静止状態で取り付けられるリング状のカバー体と、前記パルサリングの回転数を検出するために、前記カバー体に取り付けられるセンサとを有し、
    前記カバー体は、
    円筒状で、前記センサを挿通させて周方向に位置決めするためのセンサ取付孔がラジアル方向に設けられた本体部と、
    前記本体部におけるアキシャル方向の一方側に、ラジアル方向の内側に延設され、先端部にシール部材が取り付けられた周壁部と、
    前記本体部におけるアキシャル方向の他方側に、前記周壁部と平行状態でラジアル方向の内側に延設され、前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたセンサをガイドするためのガイド壁部とを備え、
    前記周壁部の先端部の全周に亘って前記シール部材が取り付けられ、さらにその中途部には、前記センサを前記ガイド壁部の側に向かって弾発状態で押圧し、かつ押圧状態で前記センサと係合してアキシャル方向に位置決めする係合部が全周に亘って設けられ、
    前記ガイド壁部の先端部には、前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたセンサを当接させてラジアル方向に位置決めするためのストッパ部が全周に亘って設けられ、
    前記本体部が車体に取り付けられた状態で、前記センサが前記本体部のセンサ取付孔に挿通されたとき、前記センサは前記ガイド壁部のストッパ部に当接するとともに前記周壁部の係合部と係合し、前記周壁部のシール部材が車軸の外周面に摺接することを特徴とする回転速度検出装置。
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