JP5315624B2 - 車輪支持装置 - Google Patents
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これにおいては、図11に示すように、ハブホイール110のハブ軸113の外周面に、内輪121、外輪130及び玉(転動体)141、142を備えた転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受120が組み付けれている。
一方、駆動軸151の端部が連結される等速ジョイント150の外輪160にはその外輪筒部161の端面162から外輪軸部163が一体に突出されている。
また、ハブホイール110のハブ軸113の内孔の内周面には内歯スプライン114が形成され、この内歯スプライン114に噛み合う外歯スプライン164が外輪軸部163の外周面に形成されている。
そして、内・外歯のスプライン114、164が相互に噛み合わされながらハブホイール110のハブ軸113の内孔に外輪軸部163が嵌挿され、外輪軸部163の先端から突出された雄ねじ部165に締付ナット166が締め付けられることで、ハブホイール110と等速ジョイント150とがトルク伝達可能に連結されている。
ところで、急発進時など想定を越える大きなトルクが加えられた場合などに、等速ジョイント150の外輪160の端面162と、ハブホイール110のハブ軸113の端面(かしめ部117の端面)との相互の接触面の間において相対的な滑り(ねじれを含む滑り)が生じ、異音が発生する恐れがある。
前記ハブ軸の端面と、この端面に突き合わされる前記等速ジョイントの外輪の端面には、相互に噛み合うことで前記ハブホイールと前記等速ジョイントの外輪とをトルク伝達可能に連結するサイドフェーススプラインがそれぞれ形成され、
前記ハブ軸の外周に設けられた転がり軸受の外輪と、前記等速ジョイントの外輪との間には、前記サイドフェーススプラインの噛み合い部分及び前記両外輪間の隙間を覆ってシールするカバー部材が取り付けられ、
前記カバー部材又は車体側部材には車速検出器が配設され、
前記カバー部材の内部には、前記車速検出器の検出部に臨んでパルサーリングが配設されており、
前記ハブ軸の端面と、この端面に突き合わされる前記等速ジョイントの外輪の端面との相互には、内径側環状部分と外径側環状部分とがそれぞれ設けられ、
前記内径側環状部分と外径側環状部分のうち、一方の環状部分には、相互に噛み合うことで前記ハブホイールと前記等速ジョイントの外輪とをトルク伝達可能に連結する前記サイドフェーススプラインがそれぞれ形成され、
他方の環状部分には、相互に密接して環状シール部を構成する平坦面がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
このようにして、サイドフェーススプラインの噛み合いによって等速ジョイント側のトルクをハブホイール側に良好に伝達することができる。
このため、従来と異なり、等速ジョイントの外輪の端面と、ハブホイールのハブ軸の端面との間の相対的な滑りを抑制して異音の発生を防止することができる。
また、ハブ軸側の転がり軸受の外輪と、等速ジョイントの外輪との間に取り付けられたカバー部材によって、両サイドフェーススプラインの噛み合い部分及び両外輪間の隙間を覆ってシールすることができる。このため、車両走行時に車輪が跳ね上げる泥水等がハブ軸側の転がり軸受の内部や両サイドフェーススプラインの噛み合いの隙間に浸入して発錆させることを防止することができる。
また、カバー部材の内部に車速検出器に対するパルサーリングが配設されることによって、パルサーリングを泥水や塵等から保護することができる。
また、ハブ軸の端面と等速ジョイントの外輪の端面との内径側環状部分と外径側環状部分のうちの他方の環状部分にそれぞれ形成された平坦面の密接によって環状シール部を構成することによって、仮に、カバー部材によるシール不良が不測に発生して泥水等が内部に浸入したとしても、環状シール部によってこれ以上内部に泥水等が浸入することを防止することができる。
カバー部材は、ハブ軸の転がり軸受の外輪の内周面に圧入嵌合される筒状部と、この筒状部の端部から等速ジョイントの外輪の外周面に向けて突出された環状部を有する芯金と、
前記芯金の環状部に一体状に接合され、かつ先端部が前記等速ジョイントの外輪の外周面に密接する弾性シール体とを備えていることを特徴とする。
前記構成によると、ハブ軸の転がり軸受の外輪に対しては、芯金の筒状部が圧入嵌合されるため、当該部分からの泥水等の浸入を良好に防止することができる。
また、等速ジョイントの外輪の外周面に対しては、芯金の環状部に一体状に接合された弾性シール体の先端部が密接することで、当該部分からの泥水等の浸入を良好に防止することができる。
芯金の筒状部には車速検出器の検出部に対応する挿通孔が形成され、
前記車速検出器は、その検出部が前記挿通孔に挿通されて前記芯金の筒状部に取り付けられることで、前記検出部がパルサーリングの外周面に接近することを特徴とする。
前記構成によると、カバー部材が車速検出器の取付部材として兼用することができると共に、車速検出器の検出部とパルサーリングとの位置合せを容易にかつ正確に行うことができる。
カバー部材の芯金は、非磁性体によって形成され、
前記芯金の筒状部の外周面に車速検出器の検出部が接近して配設される一方、
前記車速検出器の検出部に対応する位置でかつ前記芯金の筒状部の内周面に接近して着磁リングよりなるパルサーリングが配設されていることを特徴とする。
前記構成によると、カバー部材の芯金の筒状部に、検出器の検出部に対する挿通孔を孔明けする必要がないため、シール性の向上を図ることができる。
この発明の実施例1を図1〜図4にしたがって説明する。
図1はこの発明の実施例1に係る車輪支持装置を示す側断面図である。図2はハブ軸のアンギュラ玉軸受の外輪と、等速ジョイントの外輪との間にカバー部材が取り付けられた状態を拡大して示す断面図である。図3はハブ軸の端面と等速ジョイントの端面とが離反した状態を示す断面図である。図4はハブホイールのハブ軸の端面を示す正面図である。
図1に示すように、この実施例1の車輪支持装置は、ハブホイール10と、転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受20と、等速ジョイント50とを備えて構成されている。
ハブ軸13の外周には、外輪30、内輪21、転動体としての複数の玉41、42及び保持器45、46を備えた複列のアンギュラ玉軸受20が組み付けられている。
さらに、外輪30の他方の軌道面32に対応する軌道面23が外周面に形成された内輪21がハブ軸13の小径軸部16の外周面に嵌込まれた後、小径軸部16の先端部がかしめられてかしめ部17が形成されることによって、内輪21が段差部とかしめ部17との間に固定されている。
また、外輪30の外周面には、車両の懸架装置(図示しない)に支持された車体側部材(ナックル、又はキャリア)にボルトによって取り付けるための固定フランジ35が一体に形成されている。
等速ジョイント50の外輪60は、椀形状の外輪筒部61と、外輪筒部61の一端側に段差面61bをもって突出された円柱状の突出部61aと、この突出部61aの先端面の中心部から一体に突出された外輪軸部63とを備え、外輪軸部63の先端には雄ねじ部65が形成されている。
カバー部材80は、金属製の芯金81と、軟質樹脂、ゴム等のエラストマ材料よりなる弾性シール体85とを一体に備えている。
芯金81は、低炭素鋼板等の金属板がプレス加工されることで形成され、ハブ軸13のアンギュラ玉軸受20の外輪30の一端部の開口部内周面に圧入嵌合される筒状部82と、この筒状部82の端部(圧入側と反対側の端部)から等速ジョイント50の外輪60の突出部61a外周面に向けて突出された環状部83とを有している。
そして、図2に示すように、外側リップ86の先端部が、外輪60の段差面61bの外周縁に弾性的に密接し、中間リップ87が、段差面61bの中間位置に弾性的に密接し、奥側リップ88が二股状に分かれて外輪60の突出部61aの外周面に弾性的に密接するようになっている。
取付部材92は、ハブホイール10の内輪21の外周面に圧入固定される筒部93と、この筒部93の一端から半径方向外側に直角状に折り曲げられたフランジ部94とを有して断面略L字状をなしている。そして、取付部材92のフランジ部94の側面に着磁リング等よりなるパルサーリング98が設けられている。なお、フランジ部94の側面に多数の凹部と多数の凸部とを周方向に交互に形成してパルサーリングを構成してもよい。
そして、車速検出器90は、その検出部91が筒状部82の挿通孔84に挿通されて、取付片90aを通して取付ねじが筒状部82の取付孔にねじ込むことで取り付けられる。そして、この取付状態において、車速検出器90の検出部91がパルサーリング98の外周面の被検出部に接近して検出可能に設定されている。
したがって、車両の走行時等において、駆動軸51のトルクが等速ジョイント50の内輪52、複数のボール53及び等速ジョイント50の外輪60に順次伝達され、駆動軸51と同方向に等速ジョイント50の外輪60が回転される。
等速ジョイント50の外輪60に伝達されたトルクは、ハブホイール10のハブ軸13の端面(かしめ部17の端面)と、等速ジョイント50の外輪60の端面とのサイドフェーススプライン71、76の噛み合いによってハブホイール10に伝達され、車輪が回転駆動される。
また、芯金81の環状部83に一体状に接合されて弾性シール体85をなす外側リップ86、中間リップ87及び奥側リップ88の各先端部が等速ジョイント50の外輪60外周面の各部に弾性的に密接することで、泥水等の浸入を良好に防止することができる。
また、カバー部材80の内部に車速検出器90に対するパルサーリング98が配設されることによって、パルサーリング98を泥水や塵等から保護することができる。
次に、この発明の実施例2を図5にしたがって説明する。
図5はこの発明の実施例2に係る車輪支持装置におけるハブ軸のアンギュラ玉軸受の外輪と、等速ジョイントの外輪との間にカバー部材が取り付けられた状態を拡大して示す断面図である。
図5示すように、カバー部材80の芯金81は、非磁性金属板(例えば、アルミ合金、銅板等)、合成樹脂材等の非磁性体によって形成されている。
そして、芯金81の筒状部82の外周面に車速検出器90の検出部91が接近して配設されている。なお、車速検出器90は、車体側部材(ナックル、又はキャリア)に取り付けてもよく、あるいは、カバー部材80に取り付けてもよい。
この実施例2のその他の構成は、実施例1と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
したがって、この実施例2においても実施例1と略同様の作用効果を奏する。
但し、この実施例2においては、カバー部材80の芯金81の筒状部82に、車速検出器90の検出部91に対する挿通孔や取付孔を孔明けする必要がないため、シール性の向上を図ることができる。
次に、この発明の実施例3を図6と図7にしたがって説明する。
図6はこの発明の実施例3に係る車輪支持装置におけるハブ軸の端面と、等速ジョイントの外輪の端面とのサイドフェーススプラインの嵌合部分を示す断面図である。図7はハブ軸の端面と、等速ジョイントの外輪の端面とのサイドフェーススプラインが離反した状態を示す断面図である。
図6と図7に示すように、この実施例3においては、ハブ軸13の端面(かしめ部17の端面)と、端面に突き合わされる等速ジョイント50の外輪(外輪筒部61)60の端面62との相互には、外径側環状部分と内径側環状部分とがそれぞれ設けられている。そして、両外径側環状部分には、相互に噛み合うことでハブホイール10と等速ジョイント50とをトルク伝達可能に連結するサイドフェーススプライン71a、76aがそれぞれ形成されている。また、両内径側環状部分には、相互に密接して環状シール部を構成する平坦面73a、78aがそれぞれ形成されている。
また、カバー部材80、車速検出器90、パルサーリング98及び取付部材92においては、実施例1又は実施例2と同様である。図6と図7においては、実施例1で述べたカバー部材80、車速検出器90、パルサーリング98及び取付部材92が図示されている。
また、この実施例3のその他の構成においても、実施例3と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
但し、この実施例3においては、仮に、カバー部材80によるシール不良が不測に発生し、これによって泥水等がカバー部材80の内部に浸入したとしても、ハブホイール10のハブ軸13の端面と、等速ジョイント50の外輪60の端面との相互の内径側環状部分の平坦面73、78の密接によって環状シール部を構成するため、この環状シール部によってこれ以上内部に泥水等が浸入することを阻止することができる。これによって、サイドフェーススプラインの噛み合いの隙間から泥水等が内部に浸入する不具合を防止することができる。
この場合には、泥水等が両内径側環状部分のサイドフェーススプライン71a、76aの噛み合いの隙間に達することを阻止することができる。
次に、この発明の実施例4を図8〜図10にしたがって説明する。
図8はこの発明の実施例4に係る車輪支持装置を示す側断面図である。図9はハブ軸の端面と、等速ジョイントの外輪の端面とのサイドフェーススプラインの嵌合部分を示す断面図である。図10はハブ軸の端面と、等速ジョイントの外輪の端面とのサイドフェーススプラインが離反した状態を示す断面図である。
図8〜図10に示すように、この実施例4においては、ハブホイール10のハブ軸13の端面と、等速ジョイント50の外輪60の端面とが段差状をなして突き合されると共に、ハブホイール10と等速ジョイント50の外輪60とが連結軸100によって連結されている。
一方、等速ジョイント50の外輪60の端面(突出部61aの端面)の内径側環状部分は、外径側環状部分よりも段差部75に相当する分だけ突出して段差状に形成されている。そして、等速ジョイント50の外輪60の端面の内径側環状部分には、サイドフェーススプライン71bに噛み合ってトルク伝達するサイドフェーススプライン76bが形成され、外径側環状部分には平坦面73bに密接して環状シール部を構成する平坦面78bが形成されている。
また、カバー部材80、車速検出器90、パルサーリング98及び取付部材92においては、実施例1又は実施例2と同様である。図8〜図10においては、実施例1で述べたカバー部材80、車速検出器90、パルサーリング98及び取付部材92が図示されている。
また、この実施例4のその他の構成においても、実施例3と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
但し、この実施例3においては、仮に、カバー部材80によるシール不良が不測に発生して泥水等がカバー部材80の内部に浸入したとしても、ハブホイール10のハブ軸13の端面と、等速ジョイント50の外輪60の端面との両外径側環状部分の平坦面73b、78bの密接によって環状シール部を構成しているため、泥水等が両内径側環状部分のサイドフェーススプライン71b、76bの噛み合いの隙間に達することを阻止することができ、泥水等の浸入が原因となるサイドフェーススプライン71b、76bの発錆を防止することができる。
例えば、前記実施例1〜4においては、転がり軸受として、複列のアンギュラ玉軸受20が採用された場合を例示したが、複列の円すいころ軸受けを用いてもこの発明を実施可能である。
11 フランジ
13 ハブ軸
17 かしめ部
20 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
50 等速ジョイント
60 外輪
71、76 サイドフェーススプライン
80 カバー部材
81 芯金
82 筒状部
83 環状部
85 弾性シール体
90 車速検出器
91 検出部
98 パルサーリング
Claims (4)
- 車輪が取り付けられるハブホイールのハブ軸と、等速ジョイントの外輪とがトルク伝達可能に連結された車輪支持装置であって、
前記ハブ軸の端面と、この端面に突き合わされる前記等速ジョイントの外輪の端面には、相互に噛み合うことで前記ハブホイールと前記等速ジョイントの外輪とをトルク伝達可能に連結するサイドフェーススプラインがそれぞれ形成され、
前記ハブ軸の外周に設けられた転がり軸受の外輪と、前記等速ジョイントの外輪との間には、前記サイドフェーススプラインの噛み合い部分及び前記両外輪間の隙間を覆ってシールするカバー部材が取り付けられ、
前記カバー部材又は車体側部材には車速検出器が配設され、
前記カバー部材の内部には、前記車速検出器の検出部に臨んでパルサーリングが配設されており、
前記ハブ軸の端面と、この端面に突き合わされる前記等速ジョイントの外輪の端面との相互には、内径側環状部分と外径側環状部分とがそれぞれ設けられ、
前記内径側環状部分と外径側環状部分のうち、一方の環状部分には、相互に噛み合うことで前記ハブホイールと前記等速ジョイントの外輪とをトルク伝達可能に連結する前記サイドフェーススプラインがそれぞれ形成され、
他方の環状部分には、相互に密接して環状シール部を構成する平坦面がそれぞれ形成されていることを特徴とする車輪支持装置。 - 請求項1に記載の車輪支持装置であって、
カバー部材は、ハブ軸の転がり軸受の外輪の内周面に圧入嵌合される筒状部と、この筒状部の端部から等速ジョイントの外輪の外周面に向けて突出された環状部を有する芯金と、
前記芯金の環状部に一体状に接合され、かつ先端部が前記等速ジョイントの外輪の外周面に密接する弾性シール体とを備えていることを特徴とする車輪支持装置。 - 請求項2に記載の車輪支持装置であって、
カバー部材の芯金の筒状部には車速検出器の検出部に対応する挿通孔が形成され、
前記車速検出器は、その検出部が前記挿通孔に挿通されて前記芯金の筒状部に取り付けられることで、前記検出部がパルサーリングの外周面に接近することを特徴とする車輪支持装置。 - 請求項2に記載の車輪支持装置であって、
カバー部材の芯金は、非磁性体によって形成され、
前記芯金の筒状部の外周面に車速検出器の検出部が接近して配設される一方、
前記車速検出器の検出部に対応する位置でかつ前記芯金の筒状部の内周面に接近して着磁リングよりなるパルサーリングが配設されていることを特徴とする車輪支持装置。
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