JP5104030B2 - 多層セラミック基板およびその製造方法 - Google Patents

多層セラミック基板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は外部電極を有する多層セラミック基板およびその製造方法に関する。
近年、基板材料と導体とを約1000℃以下の低温で同時焼成して得られる低温焼成多層セラミック基板の開発が進められている。このような低温焼成多層セラミック基板の基板材料は、アルミナなどのフィラーとガラスを主成分としたガラスセラミックスが用いられる。一方、導体材料は、従来のWやMoに代り、導体抵抗が小さいAgもしくはCuを主体とする材料が用いられている。導体ペーストと基板材料は同時焼成することが一般的であり、そのような場合、電極ペーストにはガラスを少量添加し、そのアンカー効果により電極と基板材料との密着強度を保つようにしている(例えば、特許文献1参照)。
AgやCuなどの低抵抗導体を用いたものは、高周波用途の基板として用いられることも多く、近年では携帯電話用途、もしくは車載用途にも低温焼成多層セラミック基板が用いられるようになっている。
しかしながら、このような用途で用いる場合、高温高湿な状態に暴露されることが多い。一般に低温焼成多層セラミック基板にはアルミナなどのフィラーとガラスを主成分とするが、低温での焼結性を確保するため、主成分の一つであるガラスにはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属元素が多く含まれている。そのため、高温高湿下に暴露されることにより、ガラスに含まれるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属が大気中の水分と反応しガラスが変性したり溶解する恐れがあり、表面に形成された外部電極とガラスセラミックスとの間にデラミネーションが発生し、接続不良や抵抗増加を引き起こす恐れがある。
そこで、界面活性剤を用いて、焼結体の表面に疎水性の界面活性剤を吸着させて表面を撥水性にすることにより、ガラスの変性を抑制することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3121822号公報 特開2005−126275号公報
しかしながら、特許文献1に記載のガラスを外部電極に添加して密着強度を保つ手法では、初期の密着強度は満足するが、高温高湿下に暴露されると、ガラスが変性もしくは溶解し、外部電極とガラスセラミックスの界面でデラミネーションが発生する恐れがある。
また特許文献2で示すように撥水作用を持つ分子をセラミック素体に吸着させた場合、吸着分子は大気中に暴露されると、時間が経過するにつれ、吸着分子がセラミック素体から脱離し撥水の効果は薄れる。
本発明は上記課題を解決するものであり、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、かつ信頼性の高い外部電極を形成し、外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させた多層セラミック基板およびその製造方法を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明の多層セラミック基板は、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成され、無機組成物を添加した導電性ペーストを焼成してなる外部電極とを備える多層セラミック基板において、前記外部電極と前記ガラスセラミックスとの間の少なくとも一部に撥水作用を有する樹脂を設けるとともに、前記樹脂が前記外部電極と前記ガラスセラミックスのそれぞれにまたがるように設けられることを特徴とするものである。
また、その製造方法として、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成され、無機組成物を添加した導電性ペーストを焼成してなる外部電極とを備えた多層セラミック基板において、焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬して前記外部電極と前記ガラスセラミックスとの間の少なくとも一部に前記外部電極と前記ガラスセラミックスのそれぞれにまたがるような空孔を形成する工程と、前記空孔に撥水作用を有する樹脂を充填する工程とを備えたことを特徴とするものである。
また上記目的を達成するために、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備える多層セラミック基板において、焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬する工程と250℃以上で熱処理を行う工程とを備えていても良い。
これにより、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、かつ信頼性の高い外部電極を形成し、外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させた多層セラミック基板およびその製造方法を提供することができる。
本発明によれば、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備える多層セラミック基板において、少なくとも前記外部電極とガラスセラミックスの界面の一部に樹脂を充填したことにより、外部からの水の浸水を防ぎ、ガラスセラミックスの変性もしくは溶解を抑制する効果が得られる。
また本発明によれば、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備えた多層セラミック基板において、焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬する工程と樹脂を充填する工程とを備える。焼結後の多層セラミック基板を水溶液に浸漬することにより、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相を溶解させ、その後、樹脂をその空孔に充填することにより、外部からの水の浸入を防ぎ、かつ密着強度を向上させることができる。また、水に対して変性しやすいもしくは溶解しやすいガラス相が少なくなっているため、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能である。
また、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備える多層セラミック基板において、焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬する工程と250℃以上で熱処理を行う工程とを備える。同様に、水に対して変性しやすいもしくは溶解しやすいガラス相が少なくなっているため、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、かつ信頼性の高い外部電極を形成し、外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させることができる。また熱処理によりガラスセラミックス中のフィラーと外部電極の密着強度を向上させることができる。
本発明によれば、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備える多層セラミック基板において、少なくとも前記外部電極とガラスセラミックスの界面の一部に樹脂を充填することにより、外部からの水の浸水を防ぎ、ガラスセラミックスの変性もしくは溶解を抑制する効果が得られる。
また前記樹脂は外部電極の内部に対して、外部電極とガラスセラミックスの界面に多く存在させてもよい。これにより、ガラスセラミックスと外部電極の密着強度を増すことができる。また多層セラミック基板をめっきする場合もガラス相の溶解を抑制することが可能で、外部電極とガラスセラミックスの密着強度の低下を抑制する。
また前記樹脂は撥水作用を持つことが好ましい。これにより外部からの水の浸水を抑制することが可能となり、ガラスセラミックスの変性もしくは溶解をより抑制できる。
前記樹脂は少なくともシランカップリング剤を含むことがより好ましい。シランカップリング剤を用いることにより高温高湿下でも比較的安定な状態を保つことができる。またフッ素元素により撥水効果のある樹脂を用いてもよい。
また本発明によればガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備えた多層セラミック基板において、焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬する工程と樹脂を充填する工程とを備える。焼結後の多層セラミック基板を水溶液に浸漬する工程と樹脂を充填する工程とを備える。焼結後の多層セラミック基板を水溶液に浸漬することにより、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相を溶解させ、その後、樹脂をその空孔に充填することにより、外部からの水の浸水を防ぎ、かつ密着強度を向上させることができる。また、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相が少なくなっているため、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、信頼性の高い外部電極を形成し、かつ外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させることができる。
また、ガラスセラミックスと、少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成された外部電極とを備える多層セラミック基板において、焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬する工程と250℃以上800℃以下で熱処理を行う工程とを備える。同様に、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相が少なくなっているため、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、信頼性の高い外部電極を形成し、かつ外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させることができる。また熱処理によりガラスセラミックス中のフィラーと外部電極の密着強度を向上させることができる。
また、前記水溶液はpH6以下の水溶液であることが好ましい。pH6以下の水溶液に浸漬することにより、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相に含まれるアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属を効率よく溶解させることが可能となる。またガラス相のみを選択的に溶解させることが可能となる。
また、前記水溶液は少なくともキレート剤を含んでいてもよい。キレート剤を含むことにより、より効率的に、また選択的にガラス相を溶解させることが可能となる。
また、前記水溶液は65℃以上であることが好ましい。温度を上昇させることにより水の蒸気圧は上昇し、ガラスセラミックスの細孔まで水蒸気が浸透し、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相を効率的に溶解させることができ、より高温高湿下での耐性が増す。
以下、本発明における多層セラミック基板について、図面を参照しながら説明する。
多層セラミック基板は以下の製法で作製した。アルカリ土類ケイ酸塩系ガラスであり、SiO2が40〜50重量%、B23が0〜10重量%、MO(MはBa、Ca、Srから選ばれる少なくとも一種以上)が25〜50重量%の範囲内で含まれているガラスと、Al23、MgOおよびROa(RはLa、Ce、Pr、Nd、SmおよびGdから選ばれる少なくとも一種の元素であり、aは前記Rの価数に応じて化学量論的に定まる数値)を少なくとも含有するフィラーの混合物に、有機バインダーおよび可塑剤などの有機溶剤を用いて混合分散してセラミックスラリーとし、ドクターブレード法、ダイコーティング法等によりPETフィルム等のベースフィルムの上に前記セラミックスラリーを塗布することによってセラミックグリーンシートを作製する。なお、本実施例においてはこのガラス及びフィラーを用いているが、ガラス及びフィラーはこれに限定されるものではなく、導体組成物と同時焼成できる組成物であればよい。
次に、セラミックグリーンシートを加熱および加圧を繰り返し、熱圧着することによりセラミックグリーンシート積層体1を作製する。この積層体の表層には、各種電子部品などを実装したり、多層セラミック基板などに実装するための外部電極2を印刷形成し、図1に示すような多層セラミック積層体3を作製する。
なお、本実施例では外部電極を形成するための導電性ペーストにAgを用いているが、その他、Ag−Pd、Ag−Pt、Ag−Rhなどの合金などを用いてもよい。また、場合によっては、特性を満たす程度であれば、導電性ペーストにアルミナもしくはガラスなどの無機組成物を添加していてもよい。
この多層セラミック積層体3から有機バインダーを除去した後、所定の温度で焼結させることにより多層セラミック基板4を得る。その得られた多層セラミック基板を所定の水溶液に浸漬することによりガラスセラミックス5の表面のガラス層を溶解させる。この工程により外部電極2とガラスセラミックス5の界面には図2に示すような空孔6ができる。
次に評価法について説明する。
外部電極2の密着強度は、□2mmの電極を形成したセラミック基板を85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後、治具を半田付けした後、引っ張り試験機にて電極を剥がし、その剥れた強度を密着強度とした。耐湿試験後、50N/□2mmの接着強度を保っていたものを「○」とし、それ未満のものを「×」と評価した。なお測定サンプル数はそれぞれ25個とし平均値を算出した。
また特性の評価は同様にセラミック基板を85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後に実際の特性を評価し、特性の変化が少ないものを「○」、特性変化の激しいものを「×」とした。なお、測定サンプルは同様に25個とした。
以下に本発明における実施例について示す。
(実施例1)
まず本発明における樹脂の充填の効果について述べる。ガラスセラミックス5と外部電極2の界面の空孔6は炭酸ガスを溶解させたpH5.5の溶液を用い、温度を85℃とし、多層セラミック基板4を24時間浸漬することにより作製した。
得られた空孔6の存在する多層セラミック基板4を200℃で1時間乾燥させた後、図3に示すようにそれぞれの樹脂溶液に浸漬し、真空中で空孔6に樹脂7を充填した。シランカップリング剤などを含む熱処理が必要なものはその樹脂に応じた熱処理を行った。
今回用いた樹脂は通常のエポキシ樹脂およびフッ素元素を含有するシランカップリング剤である。リファレンスとして、空孔を作製していない焼結後の多層セラミック基板を用いた。なお、実施例ではエポキシ樹脂及びフッ素元素を含有させたシランカップリング剤を用いているが、樹脂の種類はこれに限定されるものではない。
それぞれのサンプルを85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後の外部電極の密着強度と、サンプル特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005104030
まず、比較例で示した焼成後、空孔も作製せず、また樹脂も充填していないサンプル3は密着強度も小さく、また高温高湿試験により水が浸入したことによる特性劣化も観察された。それに対して、実施例のサンプル1とサンプル2では高温高湿後も密着強度に問題はなく特性も安定していたことから、水分の浸入を抑制していることが観察できた。
以上の結果から、樹脂をその空孔に充填することにより、外部からの水の侵入を防ぎ、かつ密着強度を向上させることができる。また、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相が少なくなっているため、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、信頼性の高い外部電極を形成し、かつ外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させることができる。
また樹脂は撥水作用を持つような、少なくともフッ素元素を含有したシランカップリング剤を含むとより効果がある。
(実施例2)
同様にガラスセラミックス5と外部電極2の界面の空孔6は炭酸ガスを溶解させたpH5.5の溶液を用い、温度を85℃とし、多層セラミック基板4を24時間浸漬することにより作製した。
得られた空孔6の存在する多層セラミック基板4を200℃から900℃で熱処理を施すことにより、外部電極2とガラスセラミックス5との密着強度を検討した。リファレンスとして、空孔を作製していない焼結後の多層セラミック基板を用いた。
それぞれのサンプルを85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後の外部電極の密着強度と、サンプル特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005104030
実施例であるサンプル4からサンプル6は高温高湿1000時間後も密着強度、特性ともに満足できる。しかしながら比較例であるサンプル7の焼成温度200℃のサンプルでは空孔を作製した後、200℃で再焼成しても、外部電極とガラスセラミックスとの結合が向上しないことがわかる。また900℃まで焼成温度を上げると、ガラスセラミックス中のガラスが再び外部電極とガラスセラミックス界面に形成される。界面に形成したガラス相が高温高湿中で変性もしくは溶解することにより密着強度が低下していると考えられる。
以上の結果から、空孔を形成した後、250℃から800℃で熱処理を行えば、水に対して変性もしくは溶解しやすいガラス相が少なくなっているため、高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、信頼性の高い外部電極を形成し、かつ外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させることができる。また熱処理によりガラスセラミックス中のフィラーと外部電極の密着強度を向上させることができる。
(実施例3)
本発明におけるガラスセラミックス5と外部電極2の界面の空孔6の作製条件について検討を行った。
水溶液の温度は65℃に設定し、酸性側はHCl水溶液を用いてpHを1、4、6、アルカリ側はNaOH溶液を用いてpH8、10、14に調製した溶液に、焼成した多層セラミック基板を24時間浸漬することにより、空孔を作製した。なお、pH調製は本実施例ではHCl水溶液、NaOH水溶液を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、空孔の評価には多層セラミック基板の断面SEM写真から、□2mmの外部電極の中央付近までガラスの溶解が進行し空孔ができたサンプルを「○」、外部電極とガラスセラミックスの界面の一部を溶解させ空孔のできたサンプルを「△」、まったく溶解していないサンプルを「×」とした。また、それぞれのサンプルにフッ素元素を含有したシランカップリング剤を含む樹脂を充填し、85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後の外部電極の密着強度と、サンプル特性の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005104030
すべてのpHにおいてガラスの溶解に起因する空孔は観察できた。特にpH6以下では□2mmの外部電極の中央付近までガラスの溶解が進行し、空孔が観察された。またシランカップリング剤を含む樹脂を充填した後、高温高湿1000時間後の外部電極の密着強度、特性も満足できる。特にpH6以下の溶液に浸漬した多層セラミック基板は、pH8以上のサンプルに対して密着強度が大きい傾向がある。つまり、pH8以上で本発明の効果は得られるが、多層セラミック基板を浸漬させる溶液はpH6以下であることがより好ましい。
(実施例4)
本発明におけるガラスセラミックス5と外部電極2の界面の空孔6の作製条件をキレート溶液を用いて検討を行った。
純水及び純水にEDTAを1wt%から5wt%まで1wt%ごとに調製し、それぞれの溶液に多層セラミック基板を24時間浸漬した。水温は25℃とした。なお、本実施例ではキレート溶液にEDTAを用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、キレート剤であればよい。
空孔の評価には多層セラミック基板の断面SEM写真から、□2mmの外部電極の中央付近までガラスの溶解が進行し空孔ができたサンプルを「○」、外部電極とガラスセラミックスの界面の一部を溶解させ空孔のできたサンプルを「△」、まったく溶解していないサンプルを「×」とした。また、それぞれのサンプルにフッ素元素を含有したシランカップリング剤を含む樹脂を充填し、85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後の外部電極の密着強度と、サンプル特性の評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0005104030
すべてのEDTA濃度においてガラスの溶解に起因する空孔が□2mmの外部電極とガラスセラミックスの中央付近まで観察できた。またシランカップリング剤を含む樹脂を充填した後、高温高湿1000時間後の外部電極の密着強度、特性も満足できる。つまり水溶液は、少なくともキレート剤を含むことがより好ましい。
(実施例5)
炭酸ガスを溶解させたpH5.5に調製した溶液の温度による、本発明におけるガラスセラミックス5と外部電極2との界面への空孔6の作製条件の検討を行った。
溶液の温度は25℃、45℃、65℃、85℃に設定し、それらの溶液に焼成した多層セラミック基板4を24時間浸漬することにより空孔6を作製した。本実施例では炭酸ガスを純水に溶解させた溶液を用いているが、純水をはじめ水溶液であれば問題はない。
空孔の評価には多層セラミック基板の断面SEM写真から、□2mmの外部電極の中央付近までガラスの溶解が進行し空孔ができたサンプルを「○」、外部電極とガラスセラミックスの界面の一部を溶解させ空孔のできたサンプルを「△」、まったく溶解していないサンプルを「×」とした。また、それぞれのサンプルにフッ素元素を含有したシランカップリング剤を含む樹脂を充填し、85℃85%R.H.の高温高湿槽に1000時間保管した後の外部電極の密着強度と、サンプル特性の評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0005104030
すべての溶液において、ガラスの溶解に起因する空孔は観察できた。特に65℃以上では□2mmの外部電極の中央付近までガラスの溶解が進行し、空孔が観察された。またシランカップリング剤を含む樹脂を充填した後、高温高湿保管1000時間後の外部電極の密着強度、特性も満足できる。特に65℃以上の溶液に浸漬した多層セラミック基板は65℃未満のサンプルに対して密着強度が大きい傾向がある。つまり、65℃未満でも本発明の効果は得られるが、多層セラミック基板を浸漬させる溶液は65℃以上であることがより好ましい。
本発明によれば高温高湿下での耐性が大きく、特性の劣化を防止することが可能で、信頼性の高い外部電極を形成し、かつ外部電極とガラスセラミックスの密着強度を向上させた多層セラミック基板を提供することができるので、携帯電話用途や車載用途の低温焼成多層セラミック基板として有用である。
本発明の実施の形態の過程を示した多層セラミック積層体の断面図 本発明の実施の形態の過程を示した多層セラミック基板の断面図 本発明の実施の形態を示した多層セラミック基板の断面図
符号の説明
1 セラミックグリーンシート積層体
2 外部電極
3 多層セラミック積層体
4 多層セラミック基板
5 ガラスセラミックス
6 空孔
7 樹脂

Claims (7)

  1. ガラスセラミックスと、
    少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成され、無機組成物を添加した導電性ペーストを焼成してなる外部電極とを備える多層セラミック基板において
    前記外部電極と前記ガラスセラミックスとの間の少なくとも一部に撥水作用を有する樹脂を設けるとともに、前記樹脂が前記外部電極と前記ガラスセラミックスのそれぞれにまたがるように設けられたことを特徴とする多層セラミック基板。
  2. 前記樹脂は少なくともシランカップリング剤を含む請求項1に記載の多層セラミック基板。
  3. ガラスセラミックスと、
    少なくとも前記ガラスセラミックスの一方の主面表面上に形成され、無機組成物を添加した導電性ペーストを焼成してなる外部電極とを備えた多層セラミック基板において、
    焼結させた多層セラミック基板を水溶液に浸漬して前記外部電極と前記ガラスセラミックスとの間の少なくとも一部に前記外部電極と前記ガラスセラミックスのそれぞれにまたがるような空孔を形成する工程と、
    前記空孔に撥水作用を有する樹脂を充填する工程とを備えた多層セラミック基板の製造方法。
  4. 前記空孔を形成する工程と、前記樹脂を充填する工程との間に、250℃以上800℃以下で熱処理を行う工程を備えた請求項3に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  5. 前記水溶液は、pH6以下の水溶液である請求項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  6. 前記水溶液は、少なくともキレート剤を含む請求項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  7. 前記水溶液は65℃以上である請求項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
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