JP5102284B2 - 注射器シリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の前提部分に記載の内部空間を有する注射器シリンダに関する。
ここに記載されたタイプの注射器シリンダは、知られている。これらの注射器シリンダは、作用物質空間を外側に対し区画するストッパを有する内部空間を具備する。作用物質空間には、気泡があってもよく、この気泡は、注射器シリンダの空気の運搬中に、温度の変化の際におよび特に圧力の変動の際に膨張しかつ収縮することがある。圧力の変動によって、ストッパは、注射器シリンダの内部空間の中で移動するかもしれない。この場合、ストッパは、無菌でない、または十分に無菌でない内部空間の領域に達することがある。温度の変化または圧力低下しながらのストッパの戻り移動中に、従って、作用物質空間が汚染されることがある。注射器シリンダの使用前におよび作用物質空間に収容された薬剤の使用前に、ストッパが、最大限許容される距離に亘って移動されたか否かを確定するために、ストッパが進んだ距離を検出することが必要である。ストッパの、作用物質空間から離隔した側で、注射器シリンダの内部空間に、黒鉛粉末を備えることは知られている。注射器シリンダの内部空間に付着している黒鉛粉末は、ストッパの移動中に移動される。それ故に、ストッパの戻り移動中に、注射器シリンダの内壁の、粉末のない領域が目に見える。例えば、空気の運搬中の、ストッパの移動を確定することができるためには、従来の注射器シリンダでは、黒鉛粉末のない領域が検出された。この領域の、注射器シリンダの長手方向に測定された一定の幅からは、ストッパが、内部空間の、無菌化されないか十分に無菌化されない領域に達してしまって、作用物質空間が汚染されたことを、前提とすることができた。このような注射器シリンダを、つぎに、取り除くことができた。
ストッパと注射器シリンダの内壁との間の摩擦力が、黒鉛粉末によって変化されたことが明らかになった。このことは、測定結果をゆがめることになった。更に、黒鉛粉末が、ストッパが移動中に掠めた領域に戻ることになった。従って、ストッパが、実際に、無菌でない領域に達したか否かを、明らかな確実性をもって、認められなかった。
従って、本発明の目的は、ストッパの移動距離が一対一で識別可能であってなる注射器シリンダを提供することである。
この目的を解決するために、請求項1に記載の特徴を有する注射器・シリンダが提案される。注射器シリンダは、ストッパを有する内部空間を具備し、ストッパは、内部空間の領域を分離し、この領域には、作用物質が入られている。従って、周囲に対しストッパによって閉れていることを特徴とする。表示手段は、ストッパの、内部空間内において一方向になされる長手方向移動を一対一で表示するために用いられる。温度の変動または特に圧力の変動によって、万一、ストッパが作用物質空間から離れたときは、表示手段は、移動距離を一対一で表示する。従って、ストッパが、元の位置に移動しても、注射器シリンダの品質管理のためには、移動距離は、常に明瞭に認められる。
注射器シリンダの特に好ましい実施の形態は、表示手段が、表示要素を有することを特徴とする。この表示要素は、注射器シリンダの内部空間に可動に設けられており、表示要素の外径が、内部空間の内径に適合されているように形成されている。注射器シリンダの材料と表示要素の材料の組合せも、互いに適合される。このことは、表示要素と注射器・シリンダの内壁との間の摩擦力を生起するために、必要である。摩擦力は、表示要素が、注射器シリンダの内部空間内のストッパの移動中に、注射器・シリンダから、一方向に、すなわち作用物質空間から離れて延びている方向に移動可能であるように、定められる。作用物質が、何度も、温度の変動または圧力の変動に晒されるとき、ストッパは、これに応じて、しばしば作用物質空間から離れ、その際に、表示要素を移動することができる。ストッパは、表示要素に連結されていない。それ故に、表示要素の戻り移動中に、表示要素が、摩擦力によって、一度占めた位置に保たれる。ストッパの戻り移動中に、表示要素は、注射器・シリンダの内部空間で、定めた位置にとどまる。従って、ストッパの最大限の移動は、表示要素の位置に基づいて、一対一で確定される。
他の実施の形態は、複数の従属請求項から明らかである。
以下、図面を参照して本発明を以下に詳述する。図1は、注射器シリンダ1を縦断面図で示す。注射器シリンダは、針取付部5を有する第1の端部3を具備する。針取付部には、キャップ7が被せられている。
注射器シリンダ1の内部空間9は、注射器シリンダ1の長手方向に移動可能なストッパ11によって、2つの領域に区分されている。ストッパ11の左には、閉じられた領域があって、この領域には、作用物質が入れられる。従って、この領域を、以下、作用物質空間13と呼ぶ。ストッパ11の右には、周囲に対して開いているので、無菌ではない空間15がある。
注射器シリンダ1の、第1の端部3の反対側にある第2の端部17には、突出部が設けられている。この突出部は、指支え18として、あるいは、指支え18を取り付けるために用いられることができる。
注射器シリンダ1は、ここでは表示要素21を取り囲む表示手段19を有する。この表示要素は、ストッパ11の、作用物質空間13から離隔した側で、空間15に収容されており、この空間の中で、注射器シリンダ1の長手方向に移動可能である。
表示要素21の外径は、空間15の内径に適合されており、表示要素は、一定の摩擦力を克服してのみ、内部空間9の中を移動することができる。図1では、ストッパ11は、このストッパが、例えば、大気圧下での作用物質空間13への充填後に、占める出発位置にある。この位置は、注射器シリンダ1の長手方向長さに対し直角に示された補助線23によって示されている。補助線には、ストッパ11の右端、更に、表示要素21の左端が接触している。従って、ストッパ11および表示要素21が、出発状態で、互いに隣接しているのは好ましい。図1は、注射器シリンダ1が測定手段、好ましくはスケール25を有することをも示す。
図2は、図1に示した注射器シリンダ1を示す。同一の部材には同一の参照符号が付されている。その点では、図1の記述を参照するよう指示する。
図1に示した図との唯一の相違は、ストッパ11が、図1と比較して右に移動されたことにある。ストッパ11の右端は、ここでは、補助線23の右に位置している。
表示要素21が、図1に示した出発位置でストッパ11に接触していたので、表示要素は、ストッパ11が補助線23を越えて右に移動する間に、表示要素21と注射器シリンダ1の内壁との間の摩擦力を克服することによって、同様に右へ移動される。
右へのストッパ11の移動は、作用物質空間13内の温度が上昇して、それ故に、そこには、過剰圧力が生じることによって、他方では、注射器シリンダ1が、大気圧よりも低い圧力を有する領域にもたらされることによって、特にこのことによって、生じることが可能である。このことは、例えば、注射器シリンダ1の空気の運搬の間に生じる。作用物質空間13中の、このことにより与えられた過剰圧力によって、ストッパ11は、図2から明らかなように、次に、補助線23に対して右に移動される。
図3は、元の位置に移動したストッパ11を有する注射器シリンダ1を示す。図1および2に示した部材と一致する部材には、同一の参照符号が付されている。繰り返しを避けるために、前記記述を参照するよう指示する。
図3では、ストッパ11は、図2に示した位置に比較して左に移動されている。ストッパは、このストッパが、摩擦力を克服する際にのみ、注射器シリンダ1の内部で移動されることができるように、設計されているので、ストッパは、注射器シリンダ1が大気圧下にあるときでさえ、図1に示した出発位置にもはや移動しないだろう。このことは、ストッパが、補助線23に対し、依然として幾らか右に移動されてはいるが、図2に示すほどには移動されないという点までは、明らかである。
表示要素21が、摩擦力を克服してのみ、注射器シリンダ1の内部空間9の中を移動されることができ、ストッパ11に連結されていないので、表示要素は、ストッパが、図3に示すように、左へ、注射器シリンダ1の第1の端部3の方向に移動されるときでも、図2に示した位置にとどまる。
以下、注射器シリンダ1の表示手段19の機能に詳しく立ち入ろう。
図1ないし3との関連で、ストッパ11が、補助線13によってマークを付けられた、図1に示す出発位置から、移動されることができることが明らかになった。空間15内の圧力に対して作用物質空間13中の過剰圧力があるときには、ストッパ11と注射器シリンダ1の内壁との間の摩擦力が克服されるや否や、ストッパ11が、補助線23に対して右へ移動される。図2に示す、右への移動中に、表示手段19の表示要素21も、右へ移動される。表示要素は、既に図1に示す出発位置では、ストッパ11の右側に、すなわち、作用物質空間13から離隔した側に接触している。表示要素21と注射器シリンダ1の内壁との間の摩擦力は、表示要素21の移動が、ストッパ11の力によって、補助線23を越えて、右へ可能であるほどに、低い。他方では、摩擦力は、ストッパ11が、図3に示すように、補助線23に対して左へ元の位置に移動するとき、ストッパ11に連結されていない表示要素21が、図2に示した位置から左へ戻らないほどに、高い。
二重矢印は、表示要素21の左縁部が、ストッパ11の、元の位置への移動の際でも、補助線23に対し間隔dをあけて設けられていることを示す。
間隔dを、スケール25に基づいて確定することができる。
基本的には、ここに記述したタイプの注射器シリンダ1では、作用物質空間13に割り当てられた第1の区域が定められ、この区域は注射器シリンダ1への充填後に、無菌である。ストッパ11が、この区域を越えて、ここに示された補助線23に対し、右へ移動されるとき、ストッパは、最後に、注射器シリンダ1の内部空間9がもはや無菌ではない領域に達する。ストッパ11の戻りの最中に、作用物質空間13の中の作用物質が汚染される可能性がある。
かくして、ストッパ11が、所定の間隔dを越えて、右へ移動され、このことは、表示要素21によって一対一の対応関係で示される。このとき、ユーザは、患者のリスクを排除するために、注射器シリンダ1を廃棄することができる。
図3から明らかなように、表示要素21が、注射器シリンダ1の内壁に対する摩擦力の故に、図2に占めた位置から、元の位置に移動されないので、右への、補助線23を越えての、ストッパ11の最大限の移動が、一対一の対応関係で示されている。
図1ないし3に関する説明からは、表示手段19の基本機能にとって、表示要素21の具体的な実施の形態が、二義的であることが明らかになる。或る方向への、すなわち、右への、補助線23を越えての、ストッパ11の移動中に、表示要素21が、注射器シリンダ1の内部空間9の中を移動されることができることのみが、重要である。ストッパ11が逆方向に動く間に、表示要素21は、摩擦力の故に、一度与えられた位置に保たれるべきである。それ故に、ストッパ11の最大限の移動が、常に、明確に識別可能である。
表示要素21の実施の形態は、図4に示されている。この図は、リング29として形成された表示要素を示す。表示要素が、注射器シリンダ1の長手方向に延びているスロット31を有することは好ましい。スロットは、リング29の弾性を高める。リングの外径は、緊張解除状態では、注射器シリンダ1の内部空間9の内径よりも幾らか大きい。かくして、リング29が内部空間9に挿入されるとき、リングは、幾らか圧縮される。それ故に、内部空間9の内壁とリング9の外面との間に摩擦力が生起される。
摩擦力を、例えば、リング29の材料の選択によって、調整することができる。このリングは、例えば、その周面に、テフロン(登録商標)を有し、あるいは、この材料からなることが可能である。表示要素21の材料は、注射器シリンダ1の材料に適合される。注射器シリンダは、ガラス、プラスチックまたは同種のものからなることが可能である。
摩擦力を調整するために、リング29の周面にも、注射器シリンダ1の周面または長手方向に延びている複数のリブを設けることができる。この場合、これらのリブは、リング29の基体とは異なる材料からなってもよい。
リング29の厚みおよびスロット31の幅を変えることによっても、摩擦力を調整することができる。
最後に、リング29の外面に、リング29の中心軸33に対し任意の或る角度で傾斜した1つまたは複数のリップ35を設けることも可能である。リップは、中心軸33と共に、角度αを形成する。この角度は、図1ないし3に見てストッパ11の方向に開いている。このようなリップ35は、リング29の移動中に、図2で、右にある。リング29が万一左へ動こうとするとき、リップ35は、つっかいをすることで、このような動きを妨げるであろう。
更に、ピストンロッドをストッパ11に取り付ける前に、表示要素が除去されるとき、特にそのときに、表示要素21が、他の基本形状を有することができることが明らかになる。例えば、直径線に沿って延びているウェブを設けてもよい。ウェブの縦縁は、注射器・シリンダ1の内壁と共に、一定の摩擦力を生起する。更に、Y状に、X状に、または星状に形成された本体を、表示要素21として用いて、内部空間9に収容することができる。
図4に基づいて説明された表示要素は、特に好ましい。何故ならば、リング29によって囲まれた自由空間を通って、ピストンロッドを、内部空間9に、特に空間15に挿入して、ストッパ11に捻じ込むことができるからである。リング29の可動性が、このことによっては、損なわれないのは、ピストンロッドの外径が、リング29の内径よりも小さいとき、特にそのときである。
引っ括めれば、注射器シリンダ1が、特別に形成された表示手段19を有することを特徴とし、表示手段の表示要素が、ストッパ11によって一方向にのみ移動可能であり、一度達した位置にとどまって、ストッパ11が戻ったときでも、ストッパの移動を一対一で表示することが明らかになる。
図1ないし3に関する説明からは、表示要素21の、作用物質空間13に向いた縁部と、補助線23との間の間隔dが、スケール25により読み取り可能であることができることが明らかになった。このことは、カメラによってであれ、顕微鏡または同種のものによってであれ、光学的な読み取り手段によっても、なされることができる。
表示要素21の最大限の移動の読み取りは、絞りによってもなされることができる。注射器シリンダ1に、注射器シリンダの長手方向に延びておりかつ光を通さないバーまたはリングを設けることも可能である。注射器シリンダ1の軸方向に測定された、バーまたはリングの長さは、最大限に許される間隔dに対応する。表示要素21は、ストッパ11の移動中に、この間隔だけ、移動されることができる。表示要素21の、作用物質空間13に向いた縁部が、バーまたはリングによって覆われるのは、表示要素21の移動中に、表示要素が、最大限の間隔dを越えない場合である。しかしながら、これが万一当てはまるときは、表示要素21の、作用物質空間13に向いた縁部と、バーまたはリングの、作用物質空間13から離隔した縁部との間には、光の線(Lichtspalt)が認められる。光の線は、ストッパ11の、または表示要素21の許容できない移動を一対一で表示する。
注射器シリンダの原理図を部分縦断面図で示す。 注射器シリンダの他の原理図を部分縦断面図で示す。 注射器シリンダの更に他の原理図を部分縦断面図で示す。 表示要素を斜視図で示す。

Claims (7)

  1. 内部空間(9)と、この内部空間(9)の中で移動可能でありかつ作用物質空間(13)を区画するストッパ(11)とを有し、前記ストッパ(11)の、一方向になされる長手方向移動を一対一の対応関係で表示する表示手段(19)を有している注射器シリンダにおいて、
    前記表示手段(19)は、前記注射器シリンダ(1)の前記内部空間(9)の中で摩擦力に抗して可動である表示要素(21)を有し、この摩擦力は、過剰圧力が前記作用物質空間(13)中にあるとき、前記ストッパ(11)が、前記表示要素(21)と共に前記注射器シリンダ(1)の長手方向に移動することができるように、定められていること、および、前記表示要素(21)は、前記ストッパ(11)の戻り移動中に、前記内部空間(9)の中で、定めた位置にとどまっていることを特徴とする注射器シリンダ。
  2. 前記表示要素(21)は、好ましくはスロット(31)を有するリング(29)として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注射器シリンダ。
  3. 前記表示要素(21)は、少なくとも1つのウェブを有し、このウェブの幅は、前記内部空間(9)の内径に実質的に対応することを特徴とする請求項1または2に記載の注射器シリンダ。
  4. 前記表示要素(21)は、Y状に、X状に、または星状に形成された本体として形成されていることを特徴とする請求項3に記載の注射器シリンダ。
  5. 前記ストッパ(11)に対する前記表示要素(21)の移動を表わす測定手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1に記載の注射器シリンダ。
  6. 前記測定手段はスケール(25)を有することを特徴とする請求項5に記載の注射器シリンダ。
  7. 前記測定手段は、絞りを有することを特徴とする請求項5に記載の注射器シリンダ。
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