JP5102080B2 - 車両用モータの制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、ハードウェア個々のばらつきがあっても、PWM制御信号のデューティ比とモータへの実際のPWM出力のデューティ比とを一致させることができる車両用モータの制御装置を提供することを目的とする。
また、請求項2に係る車両モータの制御装置は、車両用モータの端子電圧に基づき実デューティ比を検出し、PWM制御信号のデューティ比が0%近傍及び100%近傍を除く規定範囲内であることを条件に、前記実デューティ比に基づきPWM制御信号のデューティ比を補正して駆動手段に出力するようにした。
また、請求項3に係る車両モータの制御装置は、車両用モータの端子電圧と閾値とを比較して前記端子電圧のエッジを検出し、前記エッジの検出に基づき実デューティ比を検出し、前記実デューティ比に基づきPWM制御信号のデューティ比を補正して駆動手段に出力すると共に、前記車両用モータの回転速度が高くなるほど、前記閾値を低下させるようにした。
図1は、本発明に係る車両用モータの制御装置を含んでなる車両のトランスファ制御システムを示すブロック図である。
但し、本発明に係る車両用モータの制御装置は、車両のトランスファ制御システムに使用されるモータの制御に限定されるものではなく、種々の車両用モータに適用可能であり、例えば、車両のステアリングの操舵トルクをアシストする電動パワーステアリング装置において、操舵アシストモータとして使用される車両用モータの制御などにも適用可能である。
エンジン11は、エンジン制御用のECU(電子コントロールユニット)20によって制御され、変速機12は、変速制御用のECU21によって制御され、トランスファ13は、トランスファ制御用のECU200によって制御される。
前記トランスファ13は、後輪RWに対して略100%のトルクを分配する後輪駆動状態から、前輪FWと後輪RWとのトルク分配を50:50程度とする4WD状態まで変化させる機能を有し、内蔵するモータの回転角によって前輪FWへのトルク伝達を行うクラッチの押し付け力を制御することで、前輪FWへの伝達トルクを制御するようになっている。
そして、前記ECU200は、車速、後輪RWのスリップ量、エンジン出力トルク、変速機12のギア位置(変速比)等の状態に応じて、トランスファ13の伝達トルク(トルク分配比)を算出し、目標とする伝達トルクを実現するため、モータに印加する電圧を制御し、最終的にモータの回転角度(モータ出力軸の角度)を制御する。
図2は、前記トランスファ13の各モードと、モータ回転角との相関を示す図であり、モータの回転角に応じてモード切り替えがなされるようになっている。
2WDモード(後輪駆動モード)では、2WDモードの角度位置にモータ出力軸を回転させることで、後輪RWに対して略100%のトルクが分配される状態となり、AUTOモード(分配比の自動制御モード)では、モータ回転角をAUTO位置から4H(50:50モード)位置までの範囲で変化させることで、後輪RWに対して略100%のトルクが分配される状態(後輪駆動状態)から、前輪FWと後輪RWとのトルク分配を50:50程度とする状態(4輪駆動状態)にまで可変に制御される。
更に、4Lモードでは、クラッチの押し付け力によって前輪FWへのトルク分配を行うのではなく、機械的に前後輪の締結状態として、トルク分配を50:50に維持する。
4Lモード及び2WDモードでは、モータの回転軸を4Lモード或いは2WDモードの位置まで回転させると、その後は、モータ駆動が停止されて4Lモード及び2WDモードが保持される。また、前記AUTOモードでは、図3に示すように、4H位置に近いほど、モータの負荷トルクが大きくなり、モータの負荷トルクが増えるに従って、前輪FWへのトルク分配量が増えるようになっている。
前記ECU200は、前記DCモータ100への通電をPWM制御する装置であり、前述のように、CPU,RAM,ROMなどを含んでなるマイクロコンピュータ201、外部メモリ(EEPROM)202を含む他、後述のパワースイッチング素子を駆動するHブリッジ駆動回路203(駆動手段)、DCモータ100への電源VBの供給をスイッチングすると共に、DCモータ100に対する電圧の印加方向(電流の向き)を切り換えるための4つのパワースイッチング素子(FET)からなるHブリッジ回路204(駆動手段)、DCモータ100の正転時におけるモータ電流を検出する第1電流検出回路205(検出手段)、DCモータ100の逆転時におけるモータ電流を検出する第2電流検出回路206(検出手段)、DCモータ100のエンコーダ101からの信号を入力するパルス入力回路207、DCモータ100の正転時におけるモータ端子電圧を検出する第1駆動出力モニタ回路208、DCモータ100の逆転時におけるモータ端子電圧を検出する第2駆動出力モニタ回路209を備えている。
前記センサ入力処理部201Cは、前記第1電流検出回路205、第2電流検出回路206、パルス入力回路207からの信号をそれぞれ入力し、モータ電流値を算出すると共に、モータ回転速度Vを算出し、これらの算出結果を、前記PWM出力Duty演算部201Bに出力する。
図5のフローチャートは、前記システム要求値演算部201Aの機能を示し、ステップS301では、DCモータ100の回転方向を決定すると共に、DCモータ100の目標トルクを算出する。
図6のフローチャートは、前記PWM出力Duty演算部201Bの機能を示し、ステップS401では、出力電圧目標値Eを、モータ電流モニタ値Imonitor、モータ電機子抵抗値Ra、モータ起電力係数Kb、モータ回転速度Vに基づいて算出する(E=Imonitor*Ra−Kb*V)。
ステップS403では、DCモータ100の正転要求時であるか否かを判断する。
そして、正転要求時であれば、ステップS404へ進み、前記ステップS402で算出された基本デューティDutymapに、正転側適用補正値hosei1を付加する補正を施して、正転側のPWM制御信号の最終的なデューティPWMonDutyを求める(補正手段)。
ステップS404又はステップS405で補正が施されたデューティPWMonDutyは、ステップS406において最終出力として、前記Hブリッジ駆動回路203に出力される。
次のステップS502では、パルス入力回路207からの信号に基づいてモータ回転速度Vを算出する。
まず、ステップS601では、前記デューティPWMonDutyが略零であるか否かを判別し、略零であれば、デューティを補正する必要がないので、そのまま本ルーチンを終了させる。
前記規定範囲は、0%近傍及び100%近傍を除く範囲であり、例えば5%〜95%の範囲とする。
デューティが0%近傍又は100%近傍であると、実際のデューティを正確に検出(モニタ)できず、前記補正値hosei1,hosei2が誤って算出される可能性があるため、前記デューティPWMonDutyが0%近傍又は100%近傍でないことを、前記補正値hosei1,hosei2を更新演算させる条件とする。
一方、前記デューティPWMonDutyが規定範囲内である場合(0%近傍又は100%近傍でない場合)には、ステップS603へ進む。
これは、モータ回転速度Vが高いと、DCモータ100の起電力が大きくなって、モータ端子電圧が変動し、前記補正値hosei1,hosei2に誤差を生じるためであり、前記規定速度は、DCモータ100の起電力による補正値hosei1,hosei2の誤差が許容範囲内になる回転速度域の上限値として、予め実験やシミュレーションによって適合されている。
ここで、後述するように、モータ端子電圧の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出するための閾値Vrefをモータ回転速度Vに応じて可変に設定する場合には、ステップS603の判定(条件)を省略することができる。
モータ回転速度Vが規定速度以下であって、ステップS604に進むと、現在におけるDCモータ100の回転方向が正転側であるか逆転側であるかを判別する。
一方、DCモータ100の回転方向が逆転側であれば、ステップS607へ進み、逆転側のモータ端子電圧の立ち上がりエッジに基づく割り込み処理を設定し、ステップS608では、前記逆転側の割り込み処理を許可する。
先ずは、前記ステップS605における立ち上がりエッジに基づく割り込み処理に設定に基づいて、モータ端子電圧(PWM出力)の立ち上がりエッジが検出されることで、図9に示すルーチンが割り込み実行される。
そして、次のステップS703では、正転側のモータ端子電圧の立ち下がりエッジに基づく割り込み処理を設定し、立ち下がりエッジの検出に基づいて本ルーチンの割り込み処理が実行されるようにする。
ステップS704では、正転側の割り込み処理を禁止し、次のステップS705では、そのときのフリーランカウンタを読み取ることで、立ち下がりエッジを検出した時点でのタイマ値を取得する。
ステップS707では、前記デューティPWMonDutyと、前記PWMmonitor1に対応するオンデューティ(%)との差分PWMdiff1を算出する(PWMdiff1(%)=PWMonDuty−PWMmonitor1)。
先ずは、前記ステップS607における立ち上がりエッジに基づく割り込み処理に設定に基づいて、モータ端子電圧(PWM出力)の立ち上がりエッジが検出されることで、割り込み処理される。
そして、次のステップS803では、逆転側のモータ端子電圧の立ち下がりエッジに基づく割り込み処理を設定し、立ち下がりエッジの検出に基づいて本ルーチンの割り込み処理が実行されるようにする。
ステップS804では、逆転側の割り込み処理を禁止し、次のステップS805では、そのときのフリーランカウンタを読み取ることで、立ち下がりエッジを検出した時点でのタイマ値を取得する。
ステップS807では、前記デューティPWMonDutyと、前記PWMmonitor2に対応するオンデューティ(%)との差分PWMdiff2(PWMdiff2(%)=PWMonDuty−PWMmonitor2)を算出する。
ステップS901では、正転側での要求デューティである基本デューティPWMmap(%)と実際のオンデューティとの差を示す差分PWMdiff1が、現時点での正転側適用補正値hosei1よりも小さいか否か(PWMdiff1<hosei1であるか否か)を判断する。
そこで、PWMdiff1<hosei1である場合には、ステップS902へ進み、現時点の前記正転側適用補正値hosei1から、予め記憶されている減算処理用修正値(>0)を減算し、該減算結果を新たな正転側適用補正値hosei1として、前記EEPROM202に更新記憶させる。
差分PWMdiff1が現時点での正転側適用補正値hosei1よりも大きい場合には、補正値hosei1による補正結果としてのデューティが過小で、前記デューティPWMmap(%)よりもDCモータ100の実際のオンデューティが小さくなってしまうことを示す。
また、ステップS903で、PWMdiff1>hosei1でないと判断された場合には、PWMdiff1=hosei1であって、補正値hosei1による前記基本デューティPWMmap(%)の補正によって、DCモータ100の実際のオンデューティを基本デューティPWMmap(%)に一致させることができていることになるので、ステップS905へ進み、現時点の前記正転側適用補正値hosei1を保持させる。
このとき、PWMonDutyと実デューティとの差PWMdiff1は1%であり、補正値hosei1に一致するから、補正値hosei1=1%が維持される。
同様に、ステップS906以降では、逆転側適用補正値hosei2の更新学習が行われる。
ステップS906では、逆転側でのデューティPWMonDuty(%)と実際のオンデューティとの差を示す差分PWMdiff2が、現時点での逆転側適用補正値hosei2よりも小さいか否か(PWMdiff2<hosei2であるか否か)を判断する。
そこで、PWMdiff2<hosei2である場合には、ステップS907へ進み、現時点の前記逆転側適用補正値hosei2から、予め記憶されている減算処理用修正値(>0)を減算し、該減算結果を新たな逆転側適用補正値hosei2として、前記EEPROM202に更新記憶させる。
差分PWMdiff2が現時点での逆転側適用補正値hosei2よりも大きい場合には、補正値hosei2による補正結果としてのデューティPWMonDuty(%)が過小で、前記デューティPWMmap(%)よりもDCモータ100の実際のオンデューティが小さくなってしまうことを示す。
また、ステップS908で、PWMdiff2>hosei2でないと判断された場合には、PWMdiff2=hosei2であって、補正値hosei2による前記基本デューティPWMmap(%)の補正によって、DCモータ100の実際のオンデューティを基本デューティPWMmap(%)に一致させることができるので、ステップS910へ進み、現時点の前記逆転側適用補正値hosei2を保持させる。
上記のようにして更新学習される正転側適用補正値hosei1及び逆転側適用補正値hosei2が、前記ステップS404,ステップS405において、デューティPWM mapの補正に用いられることになる。
また、PWM制御信号のデューティ(要求オンデューティ)と、DCモータ100の実際のオン・オフ状態のデューティ(実オンデューティ)との差を縮小させることになる補正値hosei1, hosei2で、Hブリッジ駆動回路203に出力されるPWM制御信号のデューティを補正するから、Hブリッジ駆動回路203やHブリッジ回路204(スイッチング素子)などのハードウェアのばらつきによって、入力デューティ(PWM制御信号のデューティ)に対する出力デューティ(PWM出力)にずれが生じても、これを補正して、入力デューティに出力デューティを近づけることができる。
また、DCモータ100の正転時と逆転時とで、要求オンデューティと実オンデューティとのずれ量(誤差特性)が異なっても、上記実施形態では、正転側適用補正値hosei1と逆転側適用補正値hosei2とを個別に学習するから、正転時と逆転時との双方で高精度にPWM制御を行える。
上記のようにして、閾値Vrefをモータ回転速度Vに応じて変更すれば、モータ回転速度Vが異なっても、モータ起電力に影響されることなく、モータ端子電圧の立ち上がりから立ち下がりまでの時間PWMmonitorを計測でき、以って、補正値hosei1, hosei2を高精度に学習させることができる。
この図12,13において、PWM出力信号は、マイコン201のポート出力波形を示し、モータ端子は、Hブリッジ駆動回路203及びHブリッジ回路204(駆動手段)を介して駆動されるDCモータ100の端子電圧波形を示す。
図13のモータ回転状態における特性は、モータ回転中の起電力の作用によってモータ端子電圧のレベルが、モータ停止時に比べて全体に下がっていることを示す。
尚、本願発明が適用されるモータは、電動パワーステアリング装置の操舵アシストモータとして使用されるDCモータに限定されるものではなく、また、一方向(正転方向)にのみ駆動されるモータであってもよく、車両に用いられるモータであってPWM制御されるものであればよい。
Claims (3)
- PWM制御信号のデューティ比を算出して出力する制御手段と、
前記PWM制御信号を入力し、該PWM制御信号のデューティ比に基づいて車両用モータを駆動する駆動手段と、
を備えた車両用モータの制御装置であって、
前記制御手段は、前記車両用モータの端子電圧に基づき実デューティ比を検出し、前記車両用モータの回転速度が規定速度以下であることを条件に、前記実デューティ比に基づき前記PWM制御信号のデューティ比を補正して前記駆動手段に出力する、車両用モータの制御装置。 - PWM制御信号のデューティ比を算出して出力する制御手段と、
前記PWM制御信号を入力し、該PWM制御信号のデューティ比に基づいて車両用モータを駆動する駆動手段と、
を備えた車両用モータの制御装置であって、
前記制御手段は、前記車両用モータの端子電圧に基づき実デューティ比を検出し、前記PWM制御信号のデューティ比が0%近傍及び100%近傍を除く規定範囲内であることを条件に、前記実デューティ比に基づき前記PWM制御信号のデューティ比を補正して前記駆動手段に出力する、車両用モータの制御装置。 - PWM制御信号のデューティ比を算出して出力する制御手段と、
前記PWM制御信号を入力し、該PWM制御信号のデューティ比に基づいて車両用モータを駆動する駆動手段と、
を備えた車両用モータの制御装置であって、
前記制御手段は、前記車両用モータの端子電圧と閾値とを比較して前記端子電圧のエッジを検出し、前記エッジの検出に基づき実デューティ比を検出し、前記実デューティ比に基づき前記PWM制御信号のデューティ比を補正して前記駆動手段に出力すると共に、前記車両用モータの回転速度が高くなるほど、前記閾値を低下させる、車両用モータの制御装置。
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