JP5102009B2 - 主鎖に環構造を有する非晶性耐熱樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
重合体(A)は、水酸基またはカルボキシル基とエステル基とを分子鎖内に有し、かつ、環化反応により、主鎖に環構造を有する非晶性樹脂が形成される限り特に限定されない。水酸基、カルボキシル基、およびエステル基は、それぞれ、直接あるいはいくつかの原子を介して、重合体(A)の主鎖に結合していればよく、環化反応により、水酸基およびエステル基の少なくとも一部、あるいはカルボキシル基およびエステル基の少なくとも一部、が縮合環化して、重合体(A)の主鎖に環構造が形成される。なお、重合体(A)は、水酸基およびカルボキシル基の双方を有していてもよい。
本発明の製造方法における環化反応とは、加熱により、重合体(A)の分子鎖に存在する、水酸基およびエステル基の少なくとも一部、あるいはカルボキシル基およびエステル基の少なくとも一部、が環化縮合して、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造などの環構造が重合体(A)の主鎖に形成される反応である。この環化反応はエステル交換反応の一種であり、アルコールが副生する。また、環化反応によって主鎖に環構造が形成されることにより、耐熱性に優れる樹脂を得ることができる。
上述した本発明の製造方法により得た非晶性耐熱樹脂(本発明の樹脂)は、主鎖に環構造を有する。環構造としては、例えば、上述したラクトン環構造および無水グルタル酸構造が挙げられ、典型的には、環構造はラクトン環構造である。
本発明の樹脂から形成した樹脂フィルム(本発明の樹脂フィルム)は、上記本発明の樹脂が有する特性に基づいた各種の特性を有する。例えば、本発明の樹脂フィルムは、透明性および耐熱性に優れ、成形加工により当該フィルムを得る際の発泡が抑制されるため、泡およびシルバーストリークなどの欠点が少ない。
樹脂の重量平均分子量および分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(システム:東ソー社製、カラム:TSK-Gel Super HZM-M、溶離液:クロロホルム、流量:0.6mL/分、カラム温度:40℃)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418の規定に従い、示差走査熱量計(リガク社製、DSC−8230)を用いて、サンプル質量が約10mg、昇温速度20℃/分、流入ガスである窒素フロー50mL/分の条件で、始点法により評価した。
環化反応を開始してから2時間経過した時点で得られた樹脂の熱安定性は、以下のように評価した。環化反応を開始してから2時間経過した時点での重合溶液を、反応装置から取り出して減圧下150℃に加熱し、1時間保持した。加熱前後における重合溶液に含まれる樹脂の重量平均分子量および分散度を、上記のようにして求め、その変化を評価した。
樹脂の5%重量減少温度(樹脂を一定の速度で昇温したときに、その重量が5%減少した時点の温度)は、示差熱量天秤(リガク社製、DSC−8110)を用いて、サンプル質量が10mg、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下の条件で評価した。
得られた樹脂の成形加工時における発泡性は、以下のように評価した。得られた樹脂(ペレット)を、JIS−K7210に規定のシリンダー内に充填し、成形加工を想定した温度である280℃で20分保持した後、ストランド状に押し出して、得られたストランドの上部標線と下部標線との間に存在する泡の発生を、目視により確認した。泡の発生が確認された場合を「×:発泡あり」、確認されなかった場合を「○:発泡なし」とした。
得られた樹脂(ペレット)を、280℃に加熱して60分間保持し、加熱前後における当該ペレットの重量平均分子量および分散度を、上記のようにして求め、その変化を評価した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、50重量部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、200重量部のメタクリル酸メチル(MMA)、および重合溶媒として250重量部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.28重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、0.24重量部のトルエンに上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.56重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間かけて熟成を行った。
環化触媒として、酢酸亜鉛の代わりにリン酸ステアアリル/リン酸ジステアリル混合物0.25重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ラクトン環含有樹脂のペレットを得た。なお、環化反応開始から2時間経過した時点における重合溶液の沸点は90℃であった。
環化触媒として、酢酸亜鉛の代わりにリン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物0.25重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、ラクトン環含有樹脂のペレットを得た。なお、環化反応開始から2時間経過した時点における重合溶液の沸点は90℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、30重量部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、202.5重量部のメタクリル酸メチル(MMA)、UVA単量体として17.5重量部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(商品名RUVA−93、大塚化学社製)、および重合溶媒として250重量部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.28重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、0.24重量部のトルエンに上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.56重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間かけて熟成を行った。
環化触媒として、酢酸亜鉛の代わりにリン酸ステアアリル/リン酸ジステアリル混合物0.25重量部を用いた以外は、実施例2と同様にして、UVA単量体由来の構成単位を含むラクトン環含有樹脂のペレットを得た。なお、環化反応開始から2時間経過した時点における重合溶液の沸点は92℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、50重量部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、200重量部のメタクリル酸メチル(MMA)、および重合溶媒として250重量部のメチルイソブチルケトンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.15重量部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、0.24重量部のメチルイソブチルケトンに上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.30重量部を溶解した溶液を2時間かけて滴下しながら、約110〜115℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間かけて熟成を行った。
Claims (7)
- 主鎖に環構造を有する非晶性耐熱樹脂の前駆体となる、水酸基とエステル基とを分子鎖に有する重合体において、前記水酸基と前記エステル基との間に脱アルコール環化縮合反応を進行させることにより、前記重合体の主鎖に前記環構造を形成して前記樹脂とする製造方法であって、
前記反応の進行に用いる触媒が亜鉛化合物であり、
前記亜鉛化合物が、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛またはオクチル酸亜鉛である、主鎖に環構造を有する非晶性耐熱樹脂の製造方法。 - 前記前駆体がアクリル系重合体である、請求項1に記載の主鎖に環構造を有する非晶性耐熱樹脂の製造方法。
- 前記環構造が、ラクトン環構造である請求項1に記載の主鎖に環構造を有する非晶性耐熱樹脂の製造方法。
- ASTM−D−3418の規定に基づき測定した前記樹脂のガラス転移温度が、110℃以上である、請求項1に記載の主鎖に環構造を有する非晶性耐熱樹脂の製造方法。
- 水酸基とエステル基とを分子鎖に有する重合体において、
前記水酸基と前記エステル基との間に脱アルコール環化縮合反応を進行させ、前記重合体の主鎖に環構造を形成するための触媒としての酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛またはオクチル酸亜鉛の使用。 - 前記環構造がラクトン環構造である請求項6に記載の使用。
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