第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図である。図1に示すように、ハイブリッド車両は、バッテリ(直流電源)2、メインコンタクタ4、平滑コンデンサC1、双方向コンバータ6、平滑コンデンサC2、DC−DCコンバータ10、補機駆動用直流電源(12Vバッテリ)B、12V負荷14、インバータ16、発電電動機(モータ)18、エンジンECU20、マネージメントECU22、モータECU24を具備する。
バッテリ(直流電源)2は、モータ18に双方向コンバータ6やインバータ16を介して電力供給するための蓄電装置であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などであり、複数の単電池がモジュール化された複数のバッテリブロックが直列接続されている。
メインコンタクタ(メインスイッチ)4は、バッテリ2の正極と双方向コンバータ6のハイ側との接続を機械的にON/OFFする1a接点構成のリレーで構成され、バッテリ2及び双方向コンバータ6への電力供給を実施又は遮断するためのものであり、一方の接点がバッテリ2の正極に接続され、他方の接点が平滑コンデンサC1の正極に接続されている。平滑コンデンサC1は、バッテリ2や双方向コンバータ6からの出力を平滑化するためのコンデンサである。
双方向コンバータ6は、バッテリ2からのバッテリ電圧を所定の昇圧電圧に昇圧及びインバータ16の出力電圧を所定の降圧電圧に降圧するコンバータであり、図1に示すように、リアクトル及び変圧器としての一次巻線8a、スイッチング素子Q1,Q2及びフリーホイールダイオードD1,D2を備える。
一次巻線8aは、昇降圧のためのリアクトル及び変圧器の一次コイルとしての役割を果たすものであり、一方の端子がメインコンタクタ4の他方の接点に接続され、他方の端子がスイッチング素子Q1のエミッタ、スイッチング素子Q2のコレクタ、フリーホイールダイオードD1のアノード、フリーホイールダイオードD2のカソードに接続されている。
スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子)は、例えば、IGBT素子やMOSFETであり、IGBT素子で構成すると、コレクタが一次巻線8aの他方の端子に接続され、エミッタがバッテリ2の負極に接続される。ゲートには、スイッチング素子Q1をON/OFFするためのゲート信号がモータECU24から入力される。
スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子)は、例えば、IGBT素子やMOSFETであり、IGBT素子で構成すると、エミッタが一次巻線8aの他方の端子に接続され、カソードが平滑コンデンサC2の正極に接続される。ゲートには、スイッチング素子Q2をON/OFFするためのゲート信号がモータECU24から入力される。
フリーホイールダイオードD1は、スイッチング素子Q1と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q1のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q1のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q1のエミッタ及びフリーホイールダイオードD1のアノードは,バッテリ2の負極に接続されている。尚、スイッチング素子Q1及びフリーホイールダイオードD1に並列にスイッチング素子Q1のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。
フリーホイールダイオードD2は、スイッチング素子Q2と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q2のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q2のコレクタに接続されている。
スイッチング素子Q2のコレクタ及びフリーホイールダイオードD2のアノードは,平滑コンデンサC2の正極に接続されている。尚、スイッチング素子Q2及びフリーホイールダイオードD2と並列にスイッチング素子Q2のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。また、スイッチング素子Q1,Q2をMOSFETで構成する場合は、エミッタをソース、コレクタをドレインに置き換えれば良い。
平滑コンデンサC2は、双方向コンバータ6から出力される昇圧電圧やインバータ16から出力される電圧を平滑化するコンデンサであり、正極がスイッチング素子Q2のコレクタに接続され、負極がバッテリ2の負極に接続されている。
DC−DCコンバータ10は、バッテリ2やインバータ16の直流出力電圧に基づいて、所定の電圧、例えば、12Vの直流電圧を出力するコンバータであり、トランス8、整流回路11及び平滑回路12を備える。トランス8は、一次巻線8a及び二次巻線8bから構成され、一次巻線8aに流れる電流の変化による磁束の変化により二次巻線8bの両端に誘導電圧を発生する。
二次巻線8bは、一端がダイオードD3のアノードに接続され、他端が整流ダイオードD3のアノード、平滑コンデンサC3の負極に接続されている。二次巻線8bは、一次巻線8aの一端に正の電圧、例えば、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1をONしたときに、二次巻線8bの整流ダイオードD3のアノードが接続される一端に正の電圧が誘導される極性となるようにコイルが巻かれている。また、一次巻線8aと二次巻線8bの巻線比nは、後述するように、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1がONされたときに、バッテリ2の電圧V1とすると、二次巻線8bの両端に発生する電圧V0/nが所望となるようコイルが巻かれている。
整流回路11は、二次巻線8bに流れる二次電流を整流する回路であり、整流ダイオードD3を含む。整流ダイオードD3は、二次巻線8bの二次電流を半波整流するダイオードであり、アノードが二次巻線8bの一端に接続され、他端がフリーホイールダイオードD4のカソード及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。
平滑回路12は、フリーホイールダイオードD4、平滑リアクトルL及び平滑コンデンサC3を含む。フリーホイールダイオードD4は、整流ダイオードD3がOFFしたときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーを還流させる還流ダイオードであり、アノードが二次巻線8bの他端に接続され、カソードが整流ダイオードD3のカソード及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。
平滑リアクトルLは、整流ダイオードD3の出力電流を平滑化するものであり、一端が整流ダイオードD3のカソード、他端がフリーホイールダイオードD4のカソードに接続されている。
平滑コンデンサC3は、DC−DCコンバータ10の出力電圧を平滑化して、12V負荷14に印加する電圧のリプルを抑制するコンデンサであり、正極が平滑リアクトルLの他端(DC−DCコンバータ10の出力)に接続され、負極がグラウンドに接続されている。
補機駆動用直流電源Bは、12V負荷(補機)に、一定の電圧(12V)を供給するバッテリであり、正極が平滑リアクトルLの他端(DC−DCコンバータ10の出力)に接続され、負極がグラウンドに接続されている。
12V負荷(補機)14は、DC−DCコンバータ10や補機駆動用直流電源Bより給電される負荷であり、例えば、電動オイルポンプ、電動パワーステアリング、エアコン、ライト、モータECU24等のECU等であり、補機駆動用直流電源Bに並列に接続されている。尚、DC−DCコンバータ10より電力供給されると、12V負荷14が給電されるとともに、補機駆動用直流電源Bが充電されることから、DC−DCコンバータ10からの電力供給については、補機駆動用直流電源Bについても12V負荷14としてDC−DCコンバータ10から電力供給の点では同様の扱いをする。
インバータ16は、モータ18の駆動(モータ18によるアシスト)時には、双方向コンバータ6により昇圧された昇圧電圧をモータECU24による図示しないスイッチング素子のON/OFFのPWM制御により3相の交流電圧に変換して、モータ18に出力する。また、モータ18で発電された3相交流電圧をモータECU24の制御により図示しない全スイッチング素子のOFFによる全波整流により直流電圧に変換する。
モータ18は、その出力軸は図示しないエンジンのクランク軸に連結され、例えば、3相のブラシレスモータが用いられて、駆動時には、インバータ16により交流電力、例えば、三相交流電力が供給され、電動機として作動し、電動機が駆動されることによりエンジンの始動を行ったり、エンジンの駆動力をアシストする。また、回生時には、運動エネルギーが電力に変換され、該電力がインバータ16で直流電圧に変換されて、バッテリ2を充電するとともに、12V負荷14に給電する。図示しない自動変速機は、電動オイルポンプによる油圧の制御により、複数のシンクロクラッチが駆動されることにより変速動作が制御される。エンジン及びモータ18の駆動力は、自動変速機の左右の駆動輪に伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時に駆動輪からモータ18側に駆動力が伝達されると、モータ18は発電機として機能して回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
マネージメントECU22は、エンジンECU20から出力されるエンジン状態からエンジン始動許可・出力指令をエンジンECU20に対して行い、エンジン状態やモータECU24から出力されるモータ18の状態からモータトルクを算出し、トルク指令(アシスト指令)をモータECU24に対して行う。また、エンジン状態及びバッテリ2の残容量SOCに基づいて、モータECU24に対して回生を指示(回生指令)する。図示しない平滑コンデンサC1,C2の電圧を検出する電圧センサ等のセンサ出力がモータECU24に入力される。
モータECU24は、以下の機能を有する。(1)マネージメントECU22からモータ8の駆動指令があった場合、モータトルク指令値に基づいて、双方向コンバータ6のスイッチング素子Q1のON/OFFを制御するゲート信号を出力して、バッテリ2の電圧を所定の出力電圧に昇圧するとともに、DC−DCコンバータ10を起動し、12V負荷14に電力を供給する。また、双方向コンバータ6から出力された直流を交流に変換のためにPWM変調方式によりゲート信号をインバータ6に出力する。(2)マネージメントECU22からモータ18の回生指令があった場合、モータ18から出力される3相の交流電圧を全波整流により直流電圧に変換するためにゲート信号をインバータ6に出力する。双方向コンバータ6のスイッチング素子Q2のON/OFFを制御し、所定の電圧に降圧して双方向コンバータ6から出力された直流電圧をバッテリ2に供給するとともに、DC−DCコンバータ10を起動し、12V負荷14に電力を供給する。(3)平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の放電指令があると、双方向コンバータ6のスイッチング素子Q1のON/OFFを制御して、平滑コンデンサC1から一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通してグラウンドに放電するとともに、DC−DCコンバータ10を駆動して、平滑コンデンサC1の電荷に基づき12V負荷14に電力を供給する。また、双方向コンバータ6のスイッチング素子Q2のON/OFFを制御して、スイッチング素子Q2及び二次巻線8bを通して平滑コンデンサC1に放電するとともに、DC−DCコンバータ10を駆動して、平滑コンデンサC2の電荷に基づき12V負荷14に電力を供給する。平滑コンデンサC1の放電及び平滑コンデンサC2の放電を繰り返すことにより、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の電荷を放電する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るモータECU24の機能ブロック図である。図2に示すように、モータECU24は、昇圧制御手段50、降圧制御手段52及び放電制御手段56としての機能を備える。
昇圧制御手段50は、マネージメントECU22からモータ18の駆動指令があった場合は、メインコンタクタ4をONし、平滑コンデンサC1を充電するとともに、昇圧比に対応するデューティ比で双方向コンバータ6のスイッチング素子Q1のON/OFFを制御し、バッテリ2の電圧V0を昇圧電圧V1に昇圧して、平滑コンデンサC2を充電するとともに、インバータ16に昇圧電圧V1を出力する。メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1がONすると、一次巻線8aの両端に電圧V0が印加されて、整流ダイオードD3が接続される二次巻線8bの一端が正となる電圧V2が誘導される。
V2=V0/n ・・・ (1)
電圧V2が整流ダイオードD3のアノードに印加され、整流ダイオードD3がONし、平滑リアクトルLを通して、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れて、12V負荷14に電力が供給される。
そして、スイッチング素子Q1がOFFすると、リアクトルとしても作用する一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより一次巻線8aのスイッチング素子Q1のアノード側の端部を正とする電圧が誘導されて昇圧され、フリーホイールダイオードD1がONして、昇圧電圧が平滑コンデンサC2を充電するとともに、インバータ16に出力される。
一方、一次巻線8aに誘導された電圧により二次巻線8bのフリーホイールダイオードD4のアノード側の端部を正とする電圧が誘導され、整流ダイオードD3は逆バイアスされて、OFFする。整流ダイオードD3がOFFすると、スイッチング素子Q1がONのときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーによりフリーホイールダイオードD4がOFFして、平滑リアクトルLを通して、平滑コンデンサC3、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れる。
DC−DCコンバータ10より出力される電圧V3は、式(2)のようになる。
V3=(V0/n)(Ton/T)=(V0/n)(1−Toff/T)
=(V0/n)(1−V0/V1)
・・・ (2)
但し、Tonはスイッチング素子Q1のON時間、Toffはスイッチング素子Q1のOFF時間、T=Ton+Toffである。
このとき、(V0/n)(1−V0/V1)=12Vとなるように、巻線数比nを決定しているので、12V負荷14には所望の電圧が印加される。
降圧制御手段52は、マネージメントECU22からモータ18の回生指令があった場合は、メインコンタクタ4をONし、平滑コンデンサC1を充電するとともに、降圧比に対応するデューティ比で双方向コンバータ6のスイッチング素子Q2のON/OFFを制御し、インバータ16の出力電圧V1をバッテリ2の電圧V0に降圧する。メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q2がONすると、一次巻線8aの両端に電圧(V1−V0)が印加されて、フリーホイールダイオードD4のアノードが接続される二次巻線8bの一端が正となる電圧が誘導されるが、整流ダイオードD3は逆バイアスされるので、整流ダイオードD3はOFFしたままである。
スイッチング素子Q2がOFFすると、リアクトルとしても作用する一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーによりフリーホイールダイオードD1がONして、一次巻線8aのメインコンタクタ4が接続される端部を正とする電圧V0が印加されて、整流ダイオードD3のアノードが接続される二次巻線8bの一端が正となる電圧V2(=V0/n)が誘導されて、整流ダイオードD3がONして、平滑リアクトルLを通して、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れて、12V負荷14に電力が供給される。
スイッチング素子Q2がONすると、整流ダイオードD3が逆バイアスされて、OFFし、スイッチング素子Q2がOFFのときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーによりフリーホイールダイオードD4がONし、平滑リアクトルLを通して、平滑コンデンサC1、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れる。
DC−DCコンバータ10より出力される電圧V4は、式(3)のようになる。
V4=(V0/n)(Toff/T)=(V0/n)(1−Ton/T)
=(V0/n)(1−V0/V1)
・・・ (3)
このとき、(V0/n)(1−V0/V1)=12Vとなるように、巻線数比nを決定しているので、12V負荷14には所望の電圧が印加される。
但し、Tonはスイッチング素子Q2のON時間、Toffはスイッチング素子Q2のOFF時間、T=Ton+Toffである。
放電制御手段56は、C1放電制御手段60、C2放電制御手段62、C1,C2放電切替制御手段64及び放電終了判定手段66を備える。C1放電制御手段60は、以下のようにして、放電指令、(例えば、イグニッションスイッチがOFFされたとき)があったとき、平滑コンデンサC1の放電及びDC−DCコンバータ10が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC−DCコンバータ10を動作させることができる場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)≧12Vを満たし、且つDC−DCコンバータ10の出力電圧(VC1/n×(1−VC1/V1))が12V近傍となる電圧V1(V1≧VC2)が存在する場合には、昇圧比V1/VC1からスイッチング素子Q1のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q1をON/OFFする。VC1は平滑コンデンサC1の電圧である。VC2は平滑コンデンサC2の電圧である。このとき、DC−DCコンバータ10の出力電圧は、VC1/n×(1−VC1/V1)となり12V近傍となるので、DC−DCコンバータ10が正常に動作する。スイッチング素子Q1がONしているので平滑コンデンサC1の電荷が一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、負極側に放電される。
(b) DC−DCコンバータ10の整流ダイオードD3がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。
(c) (a),(b)以外の場合は、V1=VC2に対応するディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFして、一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、平滑コンデンサC1の電荷を放電する。
C2放電制御手段62は、以下のようにして、平滑コンデンサC2の放電及びDC−DCコンバータ10が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC−DCコンバータ10を動作させることができる場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)≧12Vを満たし、且つV/n×(1−V/VC2)(V≧VC1)が12V近傍となる電圧Vが存在する場合には、降圧比V1/VC2からスイッチング素子Q2のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q2をON/OFFする。このとき、DC−DCコンバータ10の出力電圧は、V/n×(1−V/VC2)となり12V近傍となるので、DC−DCコンバータ10が正常に動作する。スイッチング素子Q2がONしているので、平滑コンデンサC2の電荷はスイッチング素子Q2及び二次巻線8bを通して、平滑コンデンサC1に放電される。
(b) DC−DCコンバータ10の整流ダイオードD3がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。
(c) (a),(b)以外の場合は、V=VC1に対応するディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFして、スイッチング素子Q2及び一次巻線8bを通して、平滑コンデンサC2の電荷を放電する。
C1,C2放電切替制御手段64は、C1放電制御手段60により平滑コンデンサC1の電荷を放電しているときに、二次巻線8bの誘導電圧が整流ダイオードD3がOFFす電圧、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12Vとなった場合、C1放電制御手段60による平滑コンデンサC1の放電から平滑コンデンサC2の放電に切り替えるためにC2放電制御手段62に平滑コンデンサC2の放電を指示する。また、C2放電制御手段62により平滑コンデンサC2の電荷を放電しているときに、VC1=VC2となった場合、C2放電制御手段62による平滑コンデンサC2の放電から平滑コンデンサC1の放電に切り替えるためにC1放電制御手段60に平滑コンデンサC1の放電を指示する。VC1,VC2≦n×12Vとなった場合は、C1放電制御手段60に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して放電するよう指示し、一定の期間経過後に、C2放電制御手段62に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷をスイッチング素子Q2及び一次巻線8aを通して、放電するよう指示する。そして、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の残電荷の放電が交互に行われるようにC1放電制御手段60及びC2放電制御手段62に指示する。
放電終了判定手段66は、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の残電荷の放電が終了したか否かを、例えば、平滑コンデンサC2の電圧が0となったか否かにより判定して、放電が終了すると放電制御を停止する。
図3〜図8はDC−DCコンバータ10の動作を説明するための図である。
(a) 双方向コンバータ6が昇圧器として動作する場合
ステップS2でモータアシスト指令が有ったか否かを判定する。肯定判定ならば、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させるためにステップS6に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS6でメインコンタクタ4をONする。ステップS8で昇圧比に基づきデューティ比を算出する。ステップS10でスイッチング素子Q1をONする。
ステップS12でスイッチング素子Q2をOFFする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q2がOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q1をONする。例えば、図4中の時刻t0,t4,t8でスイッチング素子Q1をONし、時刻t3,t7でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS14でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS16に進む。否定判定ならば、ステップS10に戻る。
図5(a)に示すように、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1がONすると、バッテリ2から一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して電流が流れる。このとき、一次巻線8aの両端には、バッテリ2の正電極側を正極とする方向に電圧が発生するので、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧が誘導されて、整流ダイオードD3が順バイアスされてONし、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れるとともに補機駆動用直流電源Bが充電される。
期間(t0−t1),(t4−t5)において、一次巻線8aのリアクトル電流ILM(二次巻線8bに電流IL12Vが流れることによる一次巻線8aに流れる一次電流は含まず、励磁電流のみ)が流れるとともに、平滑リアクトルLに電流IL12Vが流れて、12V負荷14に電力が供給される。尚、図4中の破線はDC−DCコンバータ10が動作しない場合のリアクトル電流ILMである。
ステップS16でスイッチング素子Q1をOFFする。例えば、時刻t1,t5でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS18でスイッチング素子Q1をOFFする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q1をOFFしてデッドタイム期間後にスイッチング素子Q2をONする。例えば、時刻t2,t6でスイッチング素子Q2をONする。ステップS20でスイッチング素子Q1をOFFする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS22に進む。否定判定ならば、ステップS16に戻る。
図5(b)に示すように、スイッチング素子Q1がOFFすると、スイッチング素子Q1がONのときに一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより一次巻線8aの両端にスイッチング素子Q2のエミッタ側を正極とする方向に電圧が誘導されて、バッテリ2の電圧が昇圧され、フリーホイールダイオードD2がONする。そして、バッテリ2から一次巻線8a及びフリーホイールダイオードD2を通して、電流が流れて、平滑コンデンサC2を充電するとともにインバータ16に昇圧電圧を供給する。
一方、二次巻線8bには、フリーホイールダイオードD4のアノード側を正極とする電圧が誘導されて、整流ダイオードD3は、逆バイアスされて、OFFする。図5(a)に示す状態において、平滑リアクトルLに電流が流れたことにより蓄積された磁気エネルギーにより、フリーホイールダイオードD4がONして、還流電流が平滑リアクトルLに流れる。期間(t1−t4),(t5−t8)において、一次巻線8aにはリアクトル電流ILMが流れるとともに、平滑リアクトルLに電流IL12Vが流れて、12V負荷14に電力が供給される。
図3中のステップS22で、モータアシストが解除された否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS24に進む。否定判定ならば、ステップS8に戻る。ステップS24でメインコンタクタ4をOFFする。以上のように、モータ18のアシスト指令があった場合には、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させ、DC−DCコンバータ10を動作させる。従って、モータ18のアシストを行うとともに12V負荷14の電力供給をすることができる。
(b) 双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合
図6中のステップS50でモータ回生指令が有るか否かを判定する。肯定判定ならば、双方向コンバータ6を降圧器として動作させるためにステップS52に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS52でメインコンタクタ4をONする。ステップS54で降圧比に基づきデューティ比を算出する。ステップS56でスイッチング素子Q2をONする。
ステップS58でスイッチング素子Q1をOFFする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q1がOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q2をONする。例えば、図7中の時刻t10,t14,t18でスイッチング素子Q2をONし、時刻t13,t17でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS60でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS56に進む。否定判定ならば、ステップS56に戻る。
図8(a)に示すように、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q2がONすると、インバータ16からスイッチング素子Q2、一次巻線8a及びメインコンタクタ4を通してバッテリ2に電流が流れる。このとき、一次巻線8aの両端には、スイッチング素子Q2のエミッタ側を正極とする方向に電圧が発生するので、二次巻線8bの両端にフリーホイールダイオードD4のアノード側を正極とする電圧が誘導され、整流ダイオードD3が逆バイアスされ、OFFする。
後述するように、図8(b)に示す期間において、整流ダイオードD3がONして、平滑リアクトルLに電流が流れているため、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーにより起電圧が発生し、フリーホイールダイオードD4がONし、還流電流が平滑リアクトルLに流れ、12V負荷14に電力が供給される。
期間(t10−t11),(t14−t15)において、一次巻線8aにはリアクトル電流ILMが流れるとともに、平滑リアクトルLに電流IL12Vが流れて、12V負荷14に電力が供給される。
ステップS62でスイッチング素子Q2をOFFする。例えば、時刻t11,t15でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS64でスイッチング素子Q1をOFFする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q2をOFFしてデッドタイム期間後にスイッチング素子Q1をONする。例えば、時刻t12,t16でスイッチング素子Q1をONする。ステップS66でスイッチング素子Q2をOFFする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS68に進む。否定判定ならば、ステップS62に戻る。
図8(b)に示すように、スイッチング素子Q2がOFFすると、スイッチング素子Q2がONのときに一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより一次巻線8aの両端にバッテリ2の正極側を正極とする方向に電圧が誘導されて、フリーホイールダイオードD1がONして、還流電流がバッテリ2に流れる。
一方、二次巻線8bには、整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧が誘導されて、整流ダイオードD3は、順バイアスされて、ONし、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れるとともに補機駆動用直流電源Bが充電される。期間(t11−t14),(t15−t18)において、一次巻線8aにはリアクトル電流ILMが流れるとともに、平滑リアクトルLに電流IL12Vが流れて、12V負荷14に電力が供給される。
図6中のステップS68で、モータ回生指令が解除されか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS70に進む。否定判定ならば、ステップS54に戻る。ステップS70でメインコンタクタ4をOFFする。
以上のように、モータアシスト指令やモータ回生指令がある場合、双方向コンバータ6を昇圧器や降圧器として動作させて、モータ18の駆動やバッテリ2の充電を行うとともに、12V負荷14に電力供給を行う。尚、モータアシスト指令及びモータ回生指令が無く、12V負荷14の電力供給要求があった場合、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させると、モータ18の駆動指令がないために、スイッチング素子Q2をOFFしたとき、インバータ16側に電流が流れず、一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーが残存して飽和する。そこで、リアクトル電流をリセットするリセット回路を双方向コンバータ6に設けることにより、モータアシスト指令やモータ回生指令が無い場合でも、DC−DCコンバータ10に電力を供給することができる。
図9〜図13は平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の放電を説明するための図である。ステップS100で放電指令が有ったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS102に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS102でメインコンタクタ4をOFFする。ステップS104で以下のように平滑コンデンサC1を放電する。
ステップS120で、平滑コンデンサC1の電圧VC1からVC1/n×(1−VC1/V1)が12V又はその近傍となる電圧V1(V1≧VC2)を算出する。電圧V1が存在しなければ、V1=VC2とする。電圧V1より昇圧比V1/VC1を算出する。ステップS122で、昇圧比に基づいてデューティ比を算出する。ステップS124で、スイッチング素子Q1をOFFする。ステップS126で、スイッチング素子Q2をONする。ステップS128でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS130に進む。否定判定ならば、ステップS124に戻る。
図12(a)に示すように、スイッチング素子Q1がONすると平滑コンデンサC1の電荷が一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電される。このとき、一次巻線8aの両端にメインコンタクタ4側を正極とする電圧VC1が印加され、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧VC1/nが誘導され、整流ダイオードD3がONし、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電力が供給される。即ち、DC−DCコンバータ10が正常に動作する。このとき、二次巻線8bに流れる二次電流により一次巻線8aに一次電流が流れて、一次電流により平滑コンデンサC1が放電される。
ステップS130でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS132でスイッチング素子Q2をONする。ステップS134でスイッチング素子Q1をOFFする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、リターンする。否定判定ならば、ステップS130に戻る。
図12(b)に示すように、スイッチング素子Q1がOFFすると、双方向コンバータ6の昇圧器として動作するときと同様に、フリーホイールダイオードD2がONして、平滑コンデンサC2に電流が流れるとともに、フリーホイールダイオードD4がONして還流電流が流れて、12V負荷14に電力が供給される。
図9中のステップS106で平滑コンデンサC1の電圧VC1が規定電圧(n×12V)未満であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS108に進む。否定判定ならば、ステップS104に戻る。ステップS108で以下のように平滑コンデンサC2を放電する。
図11中のステップS140で、平滑コンデンサC2の電圧VC2から(V/n×(1−V/VC2))が12V又はその近傍となる電圧V(V≧VC1)を算出する。電圧Vが存在しなければ、V=VC1とする。電圧Vより降圧比V/VC2を算出する。ステップS142で、降圧比に基づいてデューティ比を算出する。
ステップS144でスイッチング素子Q2をONする。ステップS146でスイッチング素子Q1をONする。ステップS148でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS150に進む。否定判定ならば、ステップS144に戻る。
図13(a)に示すように、スイッチング素子Q2がONすると、平滑コンデンサC2の電荷が、スイッチング素子Q2及び一次巻線8aを通して、平滑コンデンサC1に充電される。このとき、図13(b)に示すスイッチング素子Q2がOFFのときに、整流ダイオードD3がONして平滑リアクトルLに電流が流れていたので、フリーホイールダイオードD4がONして、還流電流が12V負荷14に流れる。
ステップS150でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS152でスイッチング素子Q1をONする。ステップS154でスイッチング素子Q2をONする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならばリターンする。否定判定ならばステップS150に戻る。
図13(b)に示すように、スイッチング素子Q2がOFFすると、フリーホイールダイオードD1がONして、還流電流が平滑コンデンサC1に流れる。このとき、一次巻線8aの両端にメインコンタクタ4側を正極とする電圧VC1が印加され、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧VC1/nが誘導され、整流ダイオードD3がONし、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電力が供給される。このとき、二次巻線8bに流れる二次電流により一次巻線8aに一次電流が流れ、一次電流により平滑コンデンサC1の電荷が放電される。
図9中のステップS110で平滑コンデンサC2の電圧VC2が平滑コンデンサC1の電圧VC1に等しいか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS112に進む。否定判定ならば、ステップS108に戻り、平滑コンデンサC2の放電を継続する。ステップS112で平滑コンデンサC2の電圧VC2が規定電圧(n×12V)に等しいか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS114に進む。否定判定ならば、ステップS104に戻り、平滑コンデンサC1の充電後の放電を行う。
ステップS114で、スイッチング素子Q1をON/OFFして平滑コンデンサC1の放電を一定時間行った後、スイッチング素子Q2をON/OFFして、平滑コンデンサC2の放電を一定時間行う。ステップS116で平滑コンデンサC2の電圧VC2が0に等しくなったか否かにより平滑コンデンサC2の放電が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS114に戻り、平滑コンデンサC1の放電と平滑コンデンサC2を繰り返し行う。
以上説明したように、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させて、バッテリ2の電圧を昇圧しているとき、DC−DCコンバータ10を動作させて、12V負荷14に電力を供給することができる。また、双方向コンバータ6を降圧器として動作させ、インバータ16の出力電圧を降圧しているときに、DC−DCコンバータ10を動作させて、12V負荷14に電力を供給することができる。
更に、平滑コンデンサC1,C2の電荷を用いて可能な限りDC−DCコンバータ10を動作させ、12V負荷14に電力を供給するので、平滑コンデンサC1,C2の電荷を有効に利用することができる。また、平滑コンデンサC1,C2の電荷をスイッチング素子Q1,Q2のON/OFFにより放電するので、スイッチング素子Q1,Q2に過大な電流が流れて、スイッチング素子Q1,Q2が発熱して劣化することを抑制できる。尚、本実施形態では、ハイブリッド車両を例に説明したが、DC−DCコンバータ10を一体化した双方向コンバータ6を構成する場合には、ハイブリッド車両に限らず、電気自動車等であっても良い。また、必要に応じて、平滑回路12からの直流電圧を交流電圧に変換しても良い。
第2実施形態
図14は本発明の第2実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、モータECU100の機能が図1中のモータECU24の機能と異なる。
図15は、本発明の第2実施形態に係るモータECU100の機能ブロック図であり、図2中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。二次巻線8bに二次電流が流れると、この二次電流がトランス8を構成する鉄心の磁束を乱し、電圧の釣り合いを崩すので、二次電流が作る起磁力を完全に打ち消す一次電流が一次巻線8aに流れる。一次電流が一次巻線8aに流れると、一次電流による一次巻線8aの一次漏れ磁束や巻線抵抗における電圧降下により一次巻線8aに流れるリアクトル電流ILMが図4や図7に示すように低下する。リアクトル電流ILMが小さくなると、昇圧電圧や降圧電圧が低下する。そのため、DC−DCコンバータ10を動作させた場合、そうでない場合に比べて、デューティ比が同じであっても、昇圧電圧や降圧電圧が低下する。また、二次電流が大きくなると、一次電流も大きくなる。従って、12V負荷14に流れる電流が大きくなると、リアクトル電流ILMがより小さくなる。
昇圧制御手段150は、12V負荷14の電力要求が大きくなるにつれて、デューティ比(スイッチング素子Q1をONする時間/(スイッチング素子Q1をONする時間+スイッチング素子Q1をOFFする時間)がDC−DCコンバータ10を動作させない場合のデューティ比よりも大きくなるようにスイッチング素子Q1を制御する。
降圧制御手段152は、12V負荷14の電力要求が大きくなるにつれて、デューティ比(スイッチング素子Q2をONする時間/(スイッチング素子Q2をONする時間+スイッチング素子Q1をOFFする時間)がDC−DCコンバータ10を動作させない場合のデューティ比よりも大きくなるようにスイッチング素子Q2を制御する。
図16〜図19はDC−DCコンバータ10の動作を説明するための図である。以下、これらの図面を参照して、DC−DCコンバータ10の動作説明をする。
(a) 双方向コンバータ6が昇圧器として動作する場合
図16中のステップS200でモータアシスト指令が有るか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS204進む。否定判定ならば、終了する。ステップS204でメインコンタクタ4をONする。ステップS206で昇圧比及び12V負荷14の電力要求量に従って、電力要求量が大きくなると、デューティ比が大きくなるようにデューティ比を算出する。ステップS208でスイッチング素子Q1をONする。ステップS210でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS212でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS214に進む。否定判定ならば、ステップS208に戻る。
例えば、図17中の時刻t20,t26,t32でスイッチング素子Q1をONし、時刻t25,t31でスイッチング素子Q2をOFFし、時刻t23,t29でスイッチング素子Q1をOFFする。時刻t21,t27はDC−DCコンバータ10を動作させない場合にスイッチング素子Q1をOFFする時刻である。DC−DCコンバータ10を動作させる場合のスイッチング素子Q1をONする時間(t20〜t23),(t26〜t29)は、DC−DCコンバータ10を動作させない場合のスイッチング素子Q1をONする時間(t20〜t21),(t26〜t27)に比べて長くなっている。
従って、DC−DCコンバータ10を動作させない場合に比べてリアクトル電流ILMは減少するがスイッチング素子Q1をONする時間を長くして、ディーティ比を大きくしたので、リアクトル電流ILMが増加して、昇圧電圧が減少することを防止できる。ステップS214〜S222で図3中のステップS16〜24と同様の処理を行う。
(b) 双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合
図18中のステップS250でモータ回生指令が有ったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS252に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS252でメインコンタクタ4をONする。ステップS254で降圧比及び12V負荷14の電力要求量に従って、電力要求量が大きくなると、デューティ比が大きくなるようにデューティ比を算出する。ステップS256でスイッチング素子Q2をONする。ステップS258でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS260でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS262に進む。否定判定ならば、ステップS256に戻る。
例えば、図19中の時刻t40,t46,t52でスイッチング素子Q2をONし、時刻t45,t51でスイッチング素子Q1をOFFし、時刻t43,t49でスイッチング素子Q2をOFFする。時刻t41,t47はDC−DCコンバータ10を動作させない場合にスイッチング素子Q2をOFFする時刻である。DC−DCコンバータ10を動作させる場合のスイッチング素子Q2をONする時間(t40〜t43),(t46〜t49)は、DC−DCコンバータ10を動作させない場合のスイッチング素子Q2をONする時間(t40〜t41),(t46〜t47)に比べて長くなっている。
従って、DC−DCコンバータ10を動作させない場合に比べてリアクトル電流ILMは減少するがスイッチング素子Q2をONする時間を長くして、ディーティ比を大きくしたので、リアクトル電流ILMが増加して、降圧電圧が減少することを防止できる。ステップS266〜S270で図6中のステップS62〜70と同様の処理を行う。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、DC−DCコンバータ10の電力要求量に応じて、デューティ比を調整したので、DC−DCコンバータ10が動作して二次巻線8bに二次電流が流れ、一次巻線8aに一次電流が誘導されることによるリアクトル電流の減少による昇圧電圧や降圧電圧が低下することを抑制することができる。
第3実施形態
図20は本発明の第3実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、DC−DCコンバータ160の整流回路162を全波整流としている点で、半波整流である整流回路11と異なる。
図20に示すように、整流回路162は、整流ダイオードD3及び整流ダイオードD5を備える。二次巻線8bの一端は、整流ダイオードD3のアノードに接続され、他端は、整流ダイオードD5のアノードに接続されている。二次巻線8bの所定位置のタップは、フリーホイールダイオードD4のアノードに接続されている。整流ダイオードD5のアノードは二次巻線8bの他端に接続され、カソードは平滑リアクトルLの一端に接続されている。整流ダイオードD3のアノードは二次巻線8bの一端に接続され、カソードは平滑リアクトルLの一端に接続されている。フリーホイールダイオードD4のアノードは二次巻線8bのタップに接続されて、カソードは平滑リアクトルLの一端に接続されている。
二次巻線8bの巻き線及びタップは以下のように設定されている。双方向コンバータ6を昇圧器として動作させる場合、スイッチング素子Q1がONすると、一次巻線8aの両端にメインコンタクタ4側を正極としてバッテリ2の電圧V0が印加されて、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極として、巻線比に応じた電圧が印加される。二次巻線8bの一端からタップまでの巻線数の一次巻線8aの巻線数の巻線比nがV0/n=12Vとなるよう設定される。
また、スイッチング素子Q1がOFFすると、一次巻線8aの両端に、スイッチング素子Q2のエミッタ側を正極として、(V1−V0)の電圧が印加される。一次巻線8aの巻き線数の二次巻線8bの他端からタップまでの巻線数の巻線比mが(V1−V0)/m=12Vとなるように設定されている。
双方向コンバータ6を降圧器として動作させる場合、スイッチング素子Q2がONすると、一次巻線8aの両端に、スイッチング素子Q2のエミッタ側を正極として、(V1−V0)の電圧が印加される。一次巻線8aの巻き線数の二次巻線8bの他端からタップまでの巻線数の巻線比mが(V1−V0)/m=12Vとなるように設定されていることから、整流ダイオードD5のアノードには12Vが印加される。
また、スイッチング素子Q2がOFFすると、一次巻線8aの両端に、メインコンタクタ4側を正極として、電圧V0が印加されるが、二次巻線8bの他端からタップまでの巻線数の一次巻線8aの巻線比nがV0/n=12Vとなるように設定されていることから、整流ダイオードD3のアノードには12Vが印加される。
図21〜図24は、DC−DCコンバータ160の動作を説明する図である。
(a) 双方向コンバータ6を昇圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q1をONし、スイッチング素子Q2をOFFする。例えば、図22中の時刻t60,t64,t68でスイッチング素子Q1をONする。時刻t63,t67でスイッチング素子Q2をOFFする。スイッチング素子Q1がONすると、一次巻線8aの両端に電圧V0が印加されて、二次巻線8bには巻線比に応じた電圧が誘導されるが、上記のように巻線比nが設定されていることから、整流ダイオードD3のアノードに12Vが順バイアスされて、整流ダイオードD3がONする。整流ダイオードD3がONすると、図21(a)に示すように、整流ダイオードD3から平滑リアクトルLを通して12V負荷14に電流が流れて、DC−DCコンバータ160が動作する。
昇圧比に基づくデューティ比に応じた期間、スイッチング素子Q1をONしてから、OFFする。スイッチング素子Q2をONする。例えば、時刻t61,t65でスイッチング素子Q1をOFFし、時刻t62,t66でスイッチング素子Q2をONする。スイッチング素子Q1がOFFすると、一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより、一次巻線8aに電圧(V1−V0)が誘導されて、フリーホイールダイオードD2がONして、フリーホイールダイオードD2及びインバータ16を通して、モータ18に電力が供給されるとともに、二次巻線8bには巻線比に応じた電圧が誘導されるが、上記のように巻線比mが設定されていることから、整流ダイオードD5のアノードに12Vが順バイアスされて、整流ダイオードD5がONする。整流ダイオードD3がONすると、図21(b)に示すように、整流ダイオードD5から平滑リアクトルLを通して12V負荷14に電流が流れて、DC−DCコンバータ160が動作する。このように、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させる場合、スイッチング素子Q1がON,OFFのいずれの期間においても、二次巻線8bに電流が流れて、整流ダイオードD3,D5により全波整流される。
(b) 双方向コンバータ6を降圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q2をONし、スイッチング素子Q1をOFFする。例えば、図24中の時刻t70,t74,t78でスイッチング素子Q2をONする。時刻t73,t77でスイッチング素子Q1をOFFする。スイッチング素子Q2がONすると、一次巻線8aの両端に電圧(V1−V0)が印加されて、二次巻線8bには巻線比に応じた電圧が誘導されるが、上記のように巻線比mが設定されていることから、整流ダイオードD5のアノードに12Vが順バイアスされて、整流ダイオードD5がONする。整流ダイオードD5がONすると、図23(a)に示すように、整流ダイオードD5から平滑リアクトルLを通して12V負荷14に電流が流れて、DC−DCコンバータ160が動作する。
降圧比に基づくデューティ比に応じた期間、スイッチング素子Q2をONしてから、OFFする。スイッチング素子Q1をONする。例えば、時刻t71,t75でスイッチング素子Q2をOFFし、時刻t72,t76でスイッチング素子Q1をONする。スイッチング素子Q2がOFFすると、一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより、フリーホイールダイオードD1がONして、一次巻線8aの両端に電圧V0が印加されて、二次巻線8bには巻線比に応じた電圧が誘導されるが、上記のように巻線比nが設定されていることから、整流ダイオードD3のアノードに12Vが順バイアスされて、ONする。整流ダイオードD3がONすると、図23(b)に示すように、整流ダイオードD3から平滑リアクトルLを通して12V負荷14に電流が流れて、DC−DCコンバータ160が動作する。このように、双方向コンバータ6を降圧器として動作させる場合、スイッチング素子Q2がON,OFFのいずれの期間においても、二次巻線8bに電流が流れて、整流ダイオードD3,D5により全波整流される。
図25は、図20中のモータECU164の機能ブロック図であり、図2中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。
放電制御手段165は、C1放電制御手段166、C2放電制御手段167、C1,C2放電切替制御手段168及び放電終了判定手段66を備える。C1放電制御手段165は、以下のようにして、平滑コンデンサC1の放電及びDC−DCコンバータ160が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC/DCコンバータ160を動作させることができる場合、即ち、(VC1/n≧12V、且つVC1/nが12V近傍)、且つ((V−VC1)/m)≧12V、且つ(V−VC1)/mが12V近傍となるV≧VC2が存在する)とき、昇圧比(V/VC1)からスイッチング素子Q1のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。VC1は平滑コンデンサC1の電圧、VC2は平滑コンデンサC2の電圧である。
(b) DC−DCコンバータ160の整流ダイオードD3,D5のいずれか一方がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12V、又は(VC2−VC1)/m<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。
(c) (a),(b)以外のとき、V=VC2に対応するディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFして、一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、平滑コンデンサC1の電荷を放電する。
C2放電制御手段167は、以下のようにして、平滑コンデンサC2の放電及びDC−DCコンバータ10が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC/DCコンバータ160を動作させることができる場合、(VC1/n≧12V、且つVC1/nが12V近傍)、且つ(VC2−V)/m≧12V、且つ(VC2−V)/mが12V近傍となるV≧VC1が存在する)とき、降圧比(V/VC2)からスイッチング素子Q2のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷をスイッチング素子QQ2及び一次巻線8aを通して、平滑コンデンサC1に充電する。
(b) DC−DCコンバータ160の整流ダイオードD3,D5のいずれか一方がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12V、又は(VC2−VC1)/m<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q2を通して、平滑コンデンサC1に充電する。
(c) (a),(b)以外のとき、V=VC1に対応するディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q2を通して、平滑コンデンサC1に充電する。
C1,C2放電切替制御手段168は、C1放電制御手段166による平滑コンデンサC1の放電により、VC1/n<12V、又は(VC2−VC1)/m<12Vの場合、C1放電制御手段166による平滑コンデンサC1の放電から平滑コンデンサC2の放電に切り替えるためにC2放電制御手段167に平滑コンデンサC2の放電を指示する。また、C2放電制御手段167により平滑コンデンサC2の電荷を放電しているときに、VC1=VC2となった場合、C2放電制御手段166による平滑コンデンサC2の放電から平滑コンデンサC1の放電に切り替えるためにC1放電制御手段166に平滑コンデンサC1の放電を指示する。VC2≦n×12Vとなった場合は、C1放電制御手段166に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して放電するよう指示し、一定の期間経過後に、C2放電制御手段167に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷をスイッチング素子Q2及び一次巻線8aを通して、放電するよう指示する。そして、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の残電荷の放電を交互が行われるようにC1放電制御手段166及びC2放電制御手段167に指示する。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。尚、本実施形態において、第2実施形態と同様に、12V負荷14の電力要求量に応じて、双方向コンバータ6のデューティ比を変化させても良い。
第4実施形態
図26は、本発明の第4実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、DC−DCコンバータ170の整流回路172にスイッチング素子Q3を追加した点が図1中の整流回路11と異なる。
スイッチング素子Q3は、二次巻線8bの二次電流の通過又は遮断して、電力調整行うためのものであり、例えば、FETであり、ソースは整流ダイオードD3のカソードに接続され、ドレインは、平滑リアクトルLの一端に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q3をON/OFFするためのゲート信号がモータECU174より入力される。尚、スイッチング素子Q3と整流ダイオードD3を入れ替えても良い。
整流ダイオードD3がONしている期間において、スイッチング素子Q3をON/OFFすることから、そのデューティ比をαとすると、DC−DCコンバータ170の出力電圧は、図1中のDC−DCコンバータ10の出力電圧のα倍となることから、(V0/n)×(1−V0/V1)×α=20Vとなるように、巻数比nが設定されている。
図27は、図26中のモータECU174の機能ブロック図であり、図2中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。12V負荷電力制御手段200は、DC−DCコンバータ170を動作させる場合に、双方向コンバータ6が昇圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q1がONして、整流ダイオードD3がONしている期間において、スイッチング素子Q1がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。また、双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q2がOFFし、整流ダイオードD3がONしている期間において、スイッチング素子Q2がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。
放電制御手段202中のC1放電制御手段210は、C1放電制御手段60において、DC−DCコンバータ10の出力電圧に該当する式にαを乗じた電圧に置き換え、スイッチング素子Q1のON/OFFを制御するとともに、スイッチング素子Q1がONし、整流ダイオードD3がONしている期間において、スイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。スイッチング素子Q3をON/OFFするのは、DC−DCコンバータ170の出力電圧を12V近傍とするためである。
C2放電制御手段212は、C2放電制御手段62において、DC−DCコンバータ10の出力電圧に該当する式にαを乗じた電圧に置き換え、スイッチング素子Q2のON/OFFを制御するとともに、スイッチング素子Q2がOFFし、整流ダイオードD3がONしている期間において、スイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。
図28〜図31は、DC−DCコンバータ170の動作を説明するための図である。以下、これらの図面を参照して、DC−DCコンバータ170の動作説明をする。
(a) 双方向コンバータ6を昇圧器として動作させる場合
ステップS280〜S290で図3中のステップS2〜S12と同様の処理を行う。ステップS292で12V負荷14の電力要求が有るか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS294に進む。否定判定ならば、ステップS296に進む。ステップS294でスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。ステップS296でスイッチング素子Q3をOFFする。ステップS298で昇圧比に対応するデューティ比に基づく、一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS300に進む。否定判定ならば、ステップS288に戻る。
例えば、図29(a)のように、スイッチング素子Q3をON/OFFする周波数をスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数と同じにすると、スイッチング素子Q1がONする期間(t80−t82),(t85−t87)において、スイッチング素子Q3が期間(t80−t81),(t85−t86)でONし、期間(t81−t82),(t86−t87)でOFFする。スイッチング素子Q1がONしている期間では、整流ダイオードD3がONしている。
期間(t80−t81),(t85−t86)でスイッチング素子Q3がONすると、整流ダイオードD3から平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に時間とともに増加する電流IL12Vが流れる。期間(t81−t82),(t86−t87)でスイッチング素子Q3がOFFすると、期間(t80−t81),(t85−t86)で平滑リアクトルLに電流が流れて、磁気エネルギーが蓄積されていたことから、フリーホイールダイオードD4がONして、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に時間とともに減少する電流IL12Vが流れる。
これにより、二次巻線8bに流れる二次電流のリプル電流がスイッチング素子Q3を常時ONしている場合に比べて小さくなり、一次巻線8aのリアクトル電流ILMのリプル電流が抑制されるが、スイッチング素子Q3をON/OFFする周波数がスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数と略同じであるため、電流IL12Vのリプル電流がまだ大きく、リアクトル電流ILMの波形が不均一となる。
一方、図29(b)に示すように、スイッチング素子Q1がONする期間(t100−t102),(t105−t106)において、スイッチング素子Q3を高周波数でON/OFFすることにより、電流IL12Vのリプル電流が小さくなり、リアクトル電流ILMのリプル電流が小さくなり、波形崩れが少なくなる。ステップS300〜S308で図3中のステップS16〜S24と同様の処理を行う。
(b) 双方向コンバータ6を降圧器として動作させる場合
図30中のステップS310〜S324で図6中のステップS50〜S64と同様の処理を行う。ステップS326で12V負荷14の電力要求が有るか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS328に進む。否定判定ならば、ステップS330に進む。ステップS328でスイッチング素子Q2をON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3をON/OFFする。ステップS330でスイッチング素子Q3をOFFする。ステップS332で一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS334に進む。否定判定ならば、ステップS322に戻る。ステップS334,S336で図6中のステップS68,S70と同様の処理を行う。
例えば、図31(a)のように、スイッチング素子Q3をON/OFFする周波数をスイッチング素子Q2をON/OFFする周波数と同じにすると、スイッチング素子Q2がOFFする期間(t140−t142),(t145−t147)において、スイッチング素子Q3が期間(t140−t141),(t145−t146)でONし、期間(t141−t142),(t146−t147)でOFFする。スイッチング素子Q2がOFFしている期間では、整流ダイオードD3がONしている。
期間(t140−t141),(t145−t146)でスイッチング素子Q3がONすると、整流ダイオードD3から平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に時間とともに増加する電流IL12Vが流れる。期間(t141−t142),(t146−t147)でスイッチング素子Q3がOFFすると、期間(t140−t141),(t145−t146)で平滑リアクトルLに電流が流れて、磁気エネルギーが蓄積されていたことから、フリーホイールダイオードD4がONして、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に時間とともに減少する電流IL12Vが流れる。
これにより、二次巻線8bに流れる二次電流のリプル電流がスイッチング素子Q3を常時ONしている場合に比べて小さくなり、一次巻線8aのリアクトル電流ILMのリプル電流が抑制されるが、スイッチング素子Q3をON/OFFする周波数がスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数と略同じであるため、電流IL12Vのリプル電流がまだ大きく、リアクトル電流ILMの波形不均一となる。
一方、図31(b)に示すように、スイッチング素子Q2がOFFする期間(t160−t162),(t165−t166)において、スイッチング素子Q3を高周波数でON/OFFすることにより、電流IL12Vのリプル電流が小さくなり、リアクトル電流ILMのリプル電流が小さくなり、波形崩れが少なくなる。ステップS334〜S336で図6中のステップS68〜S70と同様の処理を行う。
図32〜図34は、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の放電を示す図である。以下、これらの図面を参照して、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の放電の動作を説明する。図32中のステップS350〜S352で図9中のステップS100〜S102と同様の処理を行う。ステップS352で以下のようにして平滑コンデンサC1の電荷を放電する。
図33中のステップS370〜S376で図10中のステップS120〜S126において、DC−DCコンバータ170の出力電圧をDC−DCコンバータ10の出力電圧に該当する電圧をα倍した電圧に置き換え、同様の処理を行う。ステップS378でスイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。ステップS380〜S386で図10中のステップS130〜S134と同様の処理を行って、リターンする。
図32中のステップS356で図9中のステップS106と同様の処理を行う。ステップS358で以下のようにして平滑コンデンサC2の電荷を放電する。図34中のステップS390〜S402で図11中のステップS140〜S152において、DC−DCコンバータ170の出力電圧をDC−DCコンバータ10の出力電圧に相当する電圧をα倍した電圧に置き換え、同様の処理を行う。ステップS404でスイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFする。ステップS406で図11中のステップS154と同様の処理を行う。図32中のステップS360〜S366で図9中のステップS110〜S116と同様の処理を行う。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、DC−DCコンバータ170の電力制御のためのスイッチング素子Q3を設けたので、整流ダイオードD3がONしているときに、スイッチング素子Q3をスイッチング素子Q1,Q2がON/OFFする周波数よりも高周波数でON/OFFすることにより、DC−DCコンバータ170の二次巻線8bに流れる二次電流IL12Vのリプル電流が小さくなり、一次巻線8aのリアクトル電流ILMの波形崩れを小さくでき、リプル電流を小さくできる。そのため、平滑コンデンサC1や平滑コンデンサC2の容量の小さいものを使用でき、コンデンサを小型化できる。尚、本実施形態において、第2実施形態と同様に、12V負荷14の電力要求量に応じて、双方向コンバータ6のデューティ比を変化させても良い。また、バッテリ2の電圧V0やインバータ16の出力電圧V1が変化する場合には、バッテリ2の電圧V0及びインバータ16の出力電圧V1に応じて、スイッチング素子Q3のデューティ比を可変にしてもよい。
第5実施形態
図35は、本発明の第5実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図20中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、DC−DCコンバータ220の整流回路222にスイッチング素子Q3,Q4を追加した点が図20中の整流回路162と異なる。
スイッチング素子Q3は、例えば、FETであり、ソースは整流ダイオードD3のカソードに接続され、ドレインは、平滑リアクトルLの一端に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q3をON/OFFするためのゲート信号がモータECU174より入力される。スイッチング素子Q4は、例えば、FETであり、ソースは整流ダイオードD5のカソードに接続され、ドレインは、平滑リアクトルLの一端に接続されている。尚、スイッチング素子Q3,Q4と整流ダイオードD3,D5をそれぞれ入れ替えても良い。
スイッチング素子Q3,Q4をON/OFFすることから、そのデューティ比をαとすると、DC−DCコンバータ220の出力電圧は、図20中のDC−DCコンバータ160の出力電圧のα倍となることから、(V0/n)×α=20Vとなるように、巻数比n、また、((V1−V0)/m)×α=20Vとなるように、巻線比mが設定されている。
図36は、図35中のモータECU224の機能ブロック図であり、図25中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。12V負荷電力制御手段230は、DC−DCコンバータ220を動作させる場合に、双方向コンバータ6が昇圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q1がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3,Q4をデューティ比αでON/OFFする。また、双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q2がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3,Q4をデューティ比αでON/OFFする。
放電制御手段230中のC1放電制御手段240は、C1放電制御手段166において、DC−DCコンバータ160の出力電圧に相当する電圧にαを乗じた電圧に置き換え、スイッチング素子Q1のON/OFFを制御するとともに、スイッチング素子Q1がONし、整流ダイオードD3がONしているときに、スイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFし、スイッチング素子Q1がOFFし、整流ダイオードD5がONしているときに、スイッチング素子Q4をデューティ比αでON/OFFする。
C2放電制御手段244は、C2放電制御手段167において、DC−DCコンバータ160の出力電圧に相当する電圧にαを乗じた電圧に置き換え、スイッチング素子Q2のON/OFFを制御するとともに、スイッチング素子Q2がOFFし、整流ダイオードD3がONしている期間において、スイッチング素子Q3をデューティ比αでON/OFFし、スイッチング素子Q2がONし、整流ダイオードD5がONしている期間において、スイッチング素子Q4をデューティ比αでON/OFFする。
図37〜図38は、DC−DCコンバータ220の動作を説明するための図である。以下、これらの図面を参照して、DC−DCコンバータ220の動作説明をする。
(a) 双方向コンバータ6を昇圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q1をON/OFFするとともに、スイッチング素子Q1がONしているときに、スイッチング素子Q1のON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3をON/OFFする。スイッチング素子Q1がOFFしているときに、スイッチング素子Q1をON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q4をON/OFFする。例えば、図37(a)のように、スイッチング素子Q3,Q4をON/OFFする周波数をスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数と同じにすると、スイッチング素子Q1がONする期間(t170−t172),(t175−t177)において、スイッチング素子Q3が、期間(t170−t171),(t175−t176)でONし、期間(t171−t172),(t176−t178)でOFFする。スイッチング素子Q1がONしている期間では、整流ダイオードD3がONしている。
また、スイッチング素子Q1がOFFする期間(t172−t175),(t177−t180)において、スイッチング素子Q4が期間(t172−t174),(t177−t178)でONし、期間(t174−t175),(t179−t180)でOFFする。スイッチング素子Q1がOFFしている期間では、整流ダイオードD4がONしている。
スイッチング素子Q1がONしている期間において、スイッチング素子Q3のON/OFFにより二次巻線8bに流れる電流IL12Vのリプル電流が小さくなるものの、スイッチング素子Q3のON/OFFする周波数をスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数と同程度としていることから、リプル電流がまだ大である。また、スイッチング素子Q1がOFFしている期間において、スイッチング素子Q4のON/OFFにより二次巻線8bに流れる電流IL12Vのリプル電流が小さくなるものの、スイッチング素子Q4のON/OFFする周波数をスイッチング素子Q1をON/OFFする周波数と同程度としていることから、リプル電流がまだ大である。
一方、図37(b)に示すように、スイッチング素子Q1がONする期間(t190−t192),(t195−t196)において、スイッチング素子Q3を高周波数でON/OFFし、また、スイッチング素子Q1がOFFする期間(t192−t194),(t195−t198)において、スイッチング素子Q4を高周波数でON/OFFすることにより、電流IL12Vのリプル電流が小さくなり、リアクトル電流ILMのリプル電流が小さくなり、波形崩れが少なくなる。
(b) 双方向コンバータ6を降圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q2をON/OFFするとともに、スイッチング素子Q2がONしているときに、スイッチング素子Q2のON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q4をON/OFFする。スイッチング素子Q2がOFFしているときに、スイッチング素子Q2をON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3をON/OFFする。例えば、図38(b)のように、スイッチング素子Q3,Q4をON/OFFする周波数をスイッチング素子Q2をON/OFFする周波数と同じにすると、スイッチング素子Q2がONする期間(t200−t202),(t205−t207)において、スイッチング素子Q3が期間(t200−t201),(t205−t206)でONし、期間(t201−t202),(t206−t208)でOFFする。スイッチング素子Q2がONしている期間では、整流ダイオードD4がONしている。
また、スイッチング素子Q2がOFFする期間(t202−t205),(t207−t208)において、スイッチング素子Q3が、期間(t202−t204),(t207−t208)でONし、期間(t204−t205),(t209−t210)でOFFする。スイッチング素子Q2がOFFしている期間では、整流ダイオードD3がONしている。
スイッチング素子Q2がONしている期間において、スイッチング素子Q4のON/OFFにより二次巻線8bに流れる電流IL12Vのリプル電流が小さくなるものの、スイッチング素子Q3のON/OFFする周波数をスイッチング素子Q2をON/OFFする周波数と同程度としていることから、リプル電流がまだ大である。また、スイッチング素子Q2がOFFしている期間において、スイッチング素子Q3のON/OFFにより二次巻線8bに流れる電流IL12Vのリプル電流が小さくなるものの、スイッチング素子Q3のON/OFFする周波数をスイッチング素子Q2をON/OFFする周波数と同程度としていることから、リプル電流がまだ大である。
一方、図38(b)に示すように、スイッチング素子Q2がONする期間(t220−t222),(t225−t226)において、スイッチング素子Q4を高周波数でON/OFFし、また、スイッチング素子Q2がOFFする期間(t222−t224),(t225−t228)において、スイッチング素子Q3を高周波数でON/OFFすることにより、電流IL12Vのリプル電流が小さくなり、リアクトル電流ILMのリプル電流が小さくなり、波形崩れが少なくなる。
以上説明した本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果がある。尚、本実施形態において、第2実施形態と同様に、12V負荷14の電力要求量に応じて、双方向コンバータ6のデューティ比を変化させても良い。
第6実施形態
図39は、本発明の第6実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、双方向コンバータ250を昇圧器や降圧器を複数個並列に設けた点が図12中の双方向コンバータ6と異なる。双方向コンバータ250は、複数の一次巻線8a−i(i=1〜n)、複数のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)、複数のフリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n),D2−i(i=1〜n)を備える。nは2以上の任意の数であり、本実施形態では、n=2としている。
一次巻線8a−i(i=1〜n)は、一方の端子がメインコンタクタ4の他方の接点に接続され、他方の端子がスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のエミッタ、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のコレクタ、フリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)のアノード、フリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)のカソードに接続されている。
スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)は、例えば、IGBT素子やMOSFETであり、コレクタが一次巻線8a−i(i=1〜n)の他方の端子に接続され、エミッタがバッテリ2の負極に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU254から入力される。
スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)は、例えば、IGBT素子やMOSFET等あり、エミッタが一次巻線8a−i(i=1〜n)の他方の端子に接続され、カソードが平滑コンデンサC2の正極に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU254から入力される。
フリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)は、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のエミッタ及びフリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)のアノードは,バッテリ2の負極に接続されている。尚、破線で示すように、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)及びフリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)に並列にスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。
フリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)は、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のコレクタに接続されている。
スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のコレクタ及びフリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)のアノードは,平滑コンデンサC2の正極に接続されている。尚、破線で示すように、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)及びフリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)に並列にスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。
DC−DCコンバータ252は、例えば、12Vの直流電圧を出力するコンバータであり、複数のトランス8a−i(i=1〜n)、複数の整流ダイオードD3−i(i=1〜n)、並びにフリーホイールダイオードD4、平滑リアクトルL及び平滑コンデンサC3を備える。トランス8−i(i=1〜n)は、一次巻線8a−i(i=1〜n)及び二次巻線8b−i(i=1〜n)から構成され、一次巻線8a−i(i=1〜n)に流れる電流の変化による磁束の変化により二次巻線8b−i(i=1〜n)の両端に誘導電圧を発生する。
二次巻線8b−i(i=1〜n)は、一端が整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードに接続され、他端がフリーホイールダイオードD4のアノード、平滑コンデンサC3の負極に接続されている。二次巻線8b−i(i=1〜n)は、一次巻線8a−i(i=1〜n)の一端に正の電圧、例えば、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をONしたときに、二次巻線8b−i(i=1〜n)の整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードが接続される一端に正の電圧が誘導される極性となるようにコイルが巻かれている。
一次巻線8a−i(i=1〜n)と二次巻線8b−i(i=1〜n)の巻線比nは、DC−DCコンバータ252の出力電圧が所定電圧(例えば、12V)となるようにコイルが巻かれている。整流ダイオードD3−i(i=1〜n)は、二次巻線8b−i(i=1〜n)の電圧を半波整流するダイオードであり、アノードが二次巻線8b−i(i=1〜n)の一端に接続され、他端がフリーホイールダイオードD4−i(i=1〜n)のカソード及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。
フリーホイールダイオードD4は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がOFFしたときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーを還流させる還流ダイオードであり、アノードが二次巻線8b−i(i=1〜n)の他端に接続され、カソードが整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のカソード及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。
平滑リアクトルLは、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)の出力電流を平滑化するものであり、一端が整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のカソード、他端がフリーホイールダイオードD4のカソードに接続されている。平滑コンデンサC3はDC−DCコンバータ252の出力電圧を平滑化するコンデンサであり、正極が平滑リアクトルLの他端に接続され、負極がグラウンドに接続されている。
図40は、図39中のモータECU254の機能ブロック図である。昇圧制御手段260は、双方向コンバータ250を昇圧器として動作させるために、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)を順次インターリーブ、例えば、(360°/n)位相をずらして、ON/OFFするとともに、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)と相補的にON/OFFする。尚、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をONし、また、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をONする。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のソフトスイッチングを実現するためである。
降圧制御手段262は、双方向コンバータ250を降圧器として動作させるために、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)を順次インターリーブ、例えば、(360°/n)位相をずらして、ON/OFFを制御するとともに、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)と相補的にON/OFFする。尚、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をONし、また、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後にスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をONする。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のソフトスイッチングを実現するためである。
放電制御手段266中のC1放電制御手段270は、複数のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)の少なくとも1個をON/OFFする。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)が複数の場合には、複数個のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)を順次インターリーブして、ON/OFFを制御する。
図2中のC1放電制御手段60において、DC−DCコンバータ10の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ252の出力電圧に置き換えて処理を行う。このとき、一定時間毎に平滑コンデンサC1の電圧VC1からデューティ比を算出し、複数個のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をON/OFFする場合は、順次インターリーブして、平滑コンデンサC1の放電とDC−DCコンバータ252を動作させる。
C2放電制御手段272は、複数のスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFする場合には、順次インターリーブすることにより、ON/OFFする。図2中のC2放電制御手段62において、DC−DCコンバータ10の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ252の出力電圧に置き換えて処理を行う。このとき、一定時間毎に平滑コンデンサC2の電圧VC2からデューティ比を算出し、複数のスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFする場合には、順次インターリーブして、平滑コンデンサC2の放電とDC−DCコンバータ252を動作させる。
C1,C2放電切替制御手段274は、図2中のC1,C2放電切替制御手段64と同様に、平滑コンデンサC1の電圧VC1が低下して、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしなくなる規定電圧(電圧VC1<n×20V)なったときに、C1放電制御手段270よる平滑コンデンサC1の放電を停止して、C2放電制御手段302による平滑コンデンサC2の放電の制御を行うようC2放電制御手段272に指示する。また、平滑コンデンサC2の電圧VC2が平滑コンデンサC1の電圧VC1に等しくなった場合は、C2放電制御手段272による平滑コンデンサC2の放電を停止して、C1放電制御手段270による平滑コンデンサC2の放電の制御を行うようC2放電制御手段272に指示する。更に、平滑コンデンサC2の電圧が規定電圧(VC2≦n×20V)に等しくなったとき、C1放電制御手段270により一定のデューティ比で一定時間、複数のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をON/OFFする場合には、順次スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をインターリーブし、平滑コンデンサC1を放電してから、C2放電制御手段302により一定のデューティ比で一定時間、複数のスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFする場合は、順次インターリーブし、平滑コンデンサC2を放電する。この平滑コンデンサC1の放電と平滑コンデンサC2の放電とを繰り返す。
以下、DC−DCコンバータ252の動作説明をする。
(a) 双方向コンバータ250を昇圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)を一定のデューティ比でインターリーブして順次ON/OFFする。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がONすると、一次巻線8a−i(i=1〜n)の両端に電圧V0が印加されて、二次巻線8b−i(i=1〜n)に電圧が誘導されて、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)が順次ONして、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れる。12V負荷14に流れる電流は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間では、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流の合成電流となる。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がインターリーブされているので、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流もインターリーブされることとなり、合成電流のリプル電流が小さくなる。
(b) 双方向コンバータ250を降圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)を一定のデューティ比でインターリーブして順次ON/OFFする。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がOFFすると、一次巻線8a−i(i=1〜n)の両端に電圧V0が印加されて、二次巻線8b−i(i=1〜n)に電圧が誘導されて、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)が順次ONして、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れる。12V負荷14に流れる電流は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間では、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流の合成電流となる。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がインターリーブされているので、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流がインターリーブされることとなり、合成電流のリプル電流が小さくなる。
このように、12V負荷14の負荷電流のリプル電流が小さくなるので、出力ダイオードD3の容量を小さくすることができる。
以上説明したように本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)をインターリーブしてスイッチングするので、12V負荷14の負荷電流のリプル電流を小さくすることができ、平滑コンデンサC3の容量を小さくできる。尚、第2実施形態と同様に、12V負荷14の電力要求量に応じて、双方向コンバータ250のデューティ比を変化させても良い。
第7実施形態
図41は、本発明の第7実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図39中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態のDC/DCコンバータ280は、図39中のDC−DCコンバータ252に整流ダイオードD5−i(i=1〜n)を追加して、全波整流するようにした点が異なる。
二次巻線8b−i(i=1〜n)の一端は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードに接続され、他端は、整流ダイオードD5−i(i=1〜n)のアノードに接続されている。また、二次巻線8b−i(i=1〜n)の所定位置のタップは、フリーホイールダイオードD4−i(i=1〜n)のアノードに接続されている。整流ダイオードD5−i(i=1〜n)のアノードは二次巻線8b−i(i=1〜n)の他端に接続され、カソードは平滑リアクトルLの一端に接続されている。整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードは二次巻線8b−i(i=1〜n)の一端に接続され、カソードは平滑リアクトルLの一端に接続されている。フリーホイールダイオードD4のアノードは二次巻線8b−i(i=1〜n)のタップに接続され、カソードは平滑リアクトルLの一端に接続されている。二次巻線8b−i(i=1〜n)の一端からタップまでの巻線比及びタップから他端までの巻線比の設定は第3実施形態と同様である。
図42は、モータECU282の機能ブロック図であり、図40中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。C1放電制御手段300は、図40中のC1放電制御手段270において、DC−DCコンバータ252の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ280の出力電圧に置き換えて処理をする。C2放電制御手段302は、図40中のC2放電制御手段272において、DC−DCコンバータ252の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ280の出力電圧に置き換えて処理をする。
以上説明した本実施形態によれば、第6実施形態と同様の効果がある。尚、第2実施形態と同様に、12V負荷14の電力要求量に応じて、双方向コンバータ252のデューティ比を変化させても良い。
第8実施形態
図43は、本発明の第8実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図39中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、DC−DCコンバータ310にスイッチング素子Q3−i(i=1〜n)を追加した点が異なる。
スイッチング素子Q3−i(i=1〜n)は、例えば、FETであり、ソースは整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のカソードに接続され、ドレインは、平滑リアクトルLの一端に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q3−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU312より入力される。一次巻線8a−i(i=1〜n)と二次巻線8b−i(i=1〜n)の巻線比nは、第4実施形態と同様である。
図44は、モータECU312の機能ブロック図であり、図40中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。12V負荷電力制御手段320は、DC−DCコンバータ310を動作させる場合に、双方向コンバータ250が昇圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がONして、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間において、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3−i(i−1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。また、双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がOFFし、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間において、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3−i(i=1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。
C1放電制御手段300は、図40中のC1放電制御手段270において、DC−DCコンバータ252の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ310の出力電圧に置き換えて処理をする。C2放電制御手段302は、図40中のC2放電制御手段272において、DC−DCコンバータ252の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ310の出力電圧に置き換えて処理をする。
以上説明した本実施形態によれば、第6実施形態と同様の効果に加えて、第4実施形態と同様の効果がある。即ち、第6実施形態よりも更にリプル電流を抑制することができる。
第9実施形態
図45は、本発明の第9実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図41中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、DC−DCコンバータ330にスイッチング素子Q3−i(i=1〜n),Q4−i(i=1〜n)を追加した点が異なる。
スイッチング素子Q3−i(i=n)は、例えば、FETであり、ソースは整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のカソードに接続され、ドレインは、平滑リアクトルLの一端に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q3−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU312より入力される。
スイッチング素子Q4−i(i=1〜n)は、例えば、FETであり、ソースは整流ダイオードD5−i(i=1〜n)のカソードに接続され、ドレインは、平滑リアクトルLの一端に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q4−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU332より入力される。一次巻線8a−i(i=1〜n)と二次巻線8b−i(i=1〜n)の巻線比nは、第3実施形態と同様である。
図45は、モータECU332の機能ブロック図であり、図42中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。12V負荷電力制御手段340は、DC−DCコンバータ330を動作させる場合に、双方向コンバータ250が昇圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がONして、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間において、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3−i(i−1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。スイッチング素子Q1−i(i1〜n)がOFFして、整流ダイオードD5−i(i=1〜n)がONしている期間において、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q4−i(i−1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。
また、双方向コンバータ250が降圧器として動作する場合には、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がOFFし、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間において、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q3−i(i=1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がONして、整流ダイオードD5−i(i=1〜n)がONしている期間において、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がON/OFFする周波数よりも高周波数でスイッチング素子Q4−i(i−1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。
C1放電制御手段342は、図42中のC1放電制御手段300において、DC−DCコンバータ280の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ330の出力電圧に置き換えて処理をする。C2放電制御手段302は、図42中のC2放電制御手段302において、DC−DCコンバータ280の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ330の出力電圧に置き換えて処理をする。
以上説明した本実施形態によれば、第6実施形態と同様の効果に加えて、第4実施形態と同様の効果がある。即ち、第6実施形態よりも更にリプル電流を抑制することができる。尚、第2実施形態と同様に、12V負荷14の電力要求量に応じて、双方向コンバータ250のデューティ比を変化させても良い。