第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図である。図1に示すように、ハイブリッド車両は、バッテリ(高電圧直流電源)(第1の直流電源)2、メインコンタクタ4、平滑コンデンサC1、双方向コンバータ6、平滑コンデンサC2、DC−DCコンバータ10、補機駆動用直流電源(12Vバッテリ)(第2の直流電源)B、12V負荷(補機)14、インバータ16、発電電動機(モータ)18、エンジンECU20、マネージメントECU22、モータECU24を具備する。
バッテリ(高電圧直流電源)2は、モータ18に双方向コンバータ6やインバータ16を介して電力供給するための蓄電装置であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などであり、複数の単電池がモジュール化された複数のバッテリブロックが直列接続されている。
メインコンタクタ(メインスイッチ)4は、バッテリ2の正極と双方向コンバータ6のハイ側との接続を機械的にON/OFFする1a接点構成のリレーで構成され、バッテリ2及び双方向コンバータ6への電力供給を実施又は遮断するためのものであり、一方の接点がバッテリ2の正極に接続され、他方の接点が平滑コンデンサC1の正極に接続されている。平滑コンデンサC1は、バッテリ2や双方向コンバータ6からの出力を平滑化するためのコンデンサである。
双方向コンバータ6は、バッテリ2からのバッテリ電圧を所定の昇圧電圧に昇圧及びインバータ16の出力電圧を所定の降圧電圧に降圧するコンバータであり、図1に示すように、リアクトル及び変圧器としての一次巻線8a、スイッチング素子Q1,Q2及びフリーホイールダイオードD1,D2を備える。
一次巻線8aは、昇降圧のためのリアクトル及び変圧器の一次コイル並びに平滑コンデンサC1,C2のプリチャージの際の二次コイルとしての役割を果たすものであり、一方の端子がメインコンタクタ4の他方の接点に接続され、他方の端子がスイッチング素子Q1のエミッタ、スイッチング素子Q2のコレクタ、フリーホイールダイオードD1のアノード、フリーホイールダイオードD2のカソードに接続されている。
スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子)は、例えば、IGBT素子やMOSFETであり、IGBT素子で構成すると、コレクタが一次巻線8aの他方の端子に接続され、エミッタがバッテリ2の負極に接続される。ゲートには、スイッチング素子Q1をON/OFFするためのゲート信号がモータECU24から入力される。
スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子)は、例えば、IGBT素子やMOSFETであり、IGBT素子で構成すると、エミッタが一次巻線8aの他方の端子に接続され、カソードが平滑コンデンサC2の正極に接続される。ゲートには、スイッチング素子Q2をON/OFFするためのゲート信号がモータECU24から入力される。
フリーホイールダイオードD1は、スイッチング素子Q1と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q1のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q1のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q1のエミッタ及びフリーホイールダイオードD1のアノードは,バッテリ2の負極に接続されている。尚、スイッチング素子Q1及びフリーホイールダイオードD1に並列にスイッチング素子Q1のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。
フリーホイールダイオードD2は、スイッチング素子Q2と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q2のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q2のコレクタに接続されている。
スイッチング素子Q2のコレクタ及びフリーホイールダイオードD2のアノードは,平滑コンデンサC2の正極に接続されている。尚、スイッチング素子Q2及びフリーホイールダイオードD2と並列にスイッチング素子Q2のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。また、スイッチング素子Q1,Q2をMOSFETで構成する場合は、エミッタをソース、コレクタをドレインに置き換えれば良い。
平滑コンデンサC2は、双方向コンバータ6から出力される昇圧電圧やインバータ16から出力される電圧を平滑化するコンデンサであり、正極がスイッチング素子Q2のコレクタに接続され、負極がバッテリ2の負極に接続されている。
DC−DCコンバータ10は、バッテリ2やインバータ16の直流出力電圧に基づいて、所定の電圧、例えば、12Vの直流電圧を出力するコンバータであり、トランス8、整流ダイオードD3、還流ダイオードD4、ダイオードD5、FETQ3,Q4、リアクトルL、平滑コンデンサC3を有する。トランス8は、一次巻線8a及び二次巻線8bから構成され、一次巻線8aに流れる電流の変化による磁束の変化により二次巻線8bの両端に起電力を発生する。
二次巻線8bは、一端がダイオードD3のアノードに接続され、他端が整流ダイオードD3のアノード、平滑コンデンサC3の負極に接続されている。二次巻線8bは、一次巻線8aの一端に正の電圧、例えば、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1をONしたときに、二次巻線8bの整流ダイオードD3のアノードが接続される一端に正の電圧が誘導される極性となるようにコイルが巻かれている。また、一次巻線8aと二次巻線8bの巻線比nは、後述するように、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1がONされたときに、バッテリ2の電圧V1とすると、二次巻線8bの両端に発生する電圧V0/nが所望となるようコイルが巻かれている。
FETQ4(第4のスイッチング素子)と整流ダイオードD3は逆並列に接続されている。FETQ4は、補機駆動用直流電源Bから二次巻線8bに電流を流して、平滑コンデンサC1をプリチャージするためのスイッチング素子であり、ソースが二次巻線8bの一端及び整流ダイオードD3のアノードに接続され、ドレインが整流ダイオードD3のカソード、ダイオードD5のカソード及びFETQ3のドレインに接続されている。ゲートには、モータECU24からON/OFFするゲート信号が入力される。
整流ダイオードD3は、二次巻線8bの二次電流を半波整流するダイオードであり、FETQ4のボディダイオード等により構成され、アノードが二次巻線8bの一端及びFETQ4のソースに接続され、カソードがFETQ4のドレイン、ダイオードD5のカソードに接続されている。
FETQ3(第3のスイッチング素子)とダイオードD5は逆並列に接続されている。FETQ3は、12V負荷14に給電及び電力調整のためのスイッチング素子であり、ドレインがFETQ4のドレイン及びダイオードD3のカソードに接続され、ソースがダイオードD5のアノード、ダイオードD4のカソード及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。ダイオードD5は、平滑コンデンサC1をプリチャージする際に、二次巻線8bの両端の電圧により一次巻線8aの誘電される電圧を降下させ、平滑コンデンサC1への突入電流を防止するためのものであり、FETQ4のボディダイオード等により構成され、アノードがFETQ3のソース、フリーホイールダイオードD4のアノード並びに平滑リアクトルLの一端に接続されている。
尚、FETQ4のソースと整流ダイオードD3のアノードを接続せずに、FETQ4のソースが接続される二次巻線8bの接続点と整流ダイオードD3のアノードが接続される二次巻線8bの接続点を別にし、プリチャージのときと12VDC−DCコンバータ10を動作させたときで、二次巻線8bの巻線数を調整することにより、平滑コンデンサC1,C2をプリチャージする際に、二次巻線8bの両端に印加される電圧を調整し、一次巻線8aに流れる電流が抑制されるようにしても良い。
フリーホイールダイオードD4は、整流ダイオードD3がOFFしたときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーを還流させる還流ダイオードであり、アノードが二次巻線8bの他端に接続され、カソードがダイオードD5のアノード、FETQ3のソース及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。平滑リアクトルLは、整流ダイオードD3の出力電流を平滑化するものであり、一端がFETQ3のソース、ダイオードD5のアノード、フリーホイールダイオードD4のカソードに接続され、他端が平滑コンデンサC3の正極及び補機駆動用直流電源Bの正極に接続されている。
平滑コンデンサC3は、DC−DCコンバータ10の出力電圧を平滑化して、12V負荷14に印加する電圧のリプルを抑制するコンデンサであり、正極が平滑リアクトルLの他端(DC−DCコンバータ10の出力)及び補機駆動用直流電源Bの正極に接続され、負極がグラウンドに接続されている。
補機駆動用直流電源Bは、12V負荷(補機)14に、一定の電圧(12V)を供給するバッテリであり、正極が平滑リアクトルLの他端(DC−DCコンバータ10の出力)に接続され、負極がグラウンドに接続されている。
12V負荷(補機)14は、DC−DCコンバータ10や補機駆動用直流電源Bより給電される負荷であり、例えば、電動オイルポンプ、電動パワーステアリング、エアコン、ライト、モータECU24等のECU等であり、補機駆動用直流電源Bに並列に接続されている。尚、DC−DCコンバータ10より電力供給されると、12V負荷14が給電されるとともに、補機駆動用直流電源Bが充電されることから、DC−DCコンバータ10からの電力供給については、補機駆動用直流電源Bについても12V負荷14としてDC−DCコンバータ10からの電力供給の点では同様の扱いをする。
インバータ16は、モータ18の駆動(モータ18によるアシスト)時には、双方向コンバータ6により昇圧された昇圧電圧をモータECU24による図示しないスイッチング素子のON/OFFのPWM制御により3相の交流電圧に変換して、モータ18に出力する。また、モータ18で発電された3相交流電圧をモータECU24の制御により図示しない全スイッチング素子のOFFによる全波整流により直流電圧に変換する。
モータ18は、その出力軸は図示しないエンジンのクランク軸に連結され、例えば、3相のブラシレスモータが用いられて、駆動時には、インバータ16により交流電力、例えば、三相交流電力が供給され、電動機として作動し、電動機が駆動されることによりエンジンの始動を行ったり、エンジンの駆動力をアシストする。また、回生時には、運動エネルギーが電力に変換され、該電力がインバータ16で直流電圧に変換されて、バッテリ2を充電するとともに、12V負荷14に給電する。図示しない自動変速機は、電動オイルポンプによる油圧の制御により、複数のシンクロクラッチが駆動されることにより変速動作が制御される。エンジン及びモータ18の駆動力は、自動変速機の左右の駆動輪に伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時に駆動輪からモータ18側に駆動力が伝達されると、モータ18は発電機として機能して回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
マネージメントECU22は、エンジンECU20から出力されるエンジン状態からエンジン始動許可・出力指令をエンジンECU20に対して行い、エンジン状態やモータECU24から出力されるモータ18の状態からモータトルクを算出し、トルク指令(アシスト指令)をモータECU24に対して行う。また、エンジン状態及びバッテリ2の残容量SOCに基づいて、モータECU24に対して回生を指示(回生指令)する。図示しない平滑コンデンサC1,C2の電圧を検出する電圧センサ等のセンサ出力がモータECU24に入力される。
モータECU24は、以下の機能を有する。(1)FETQ3をOFF、FETQ4をON/OFFして、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージの制御を行う。(2)マネージメントECU22からモータ8の駆動指令があった場合、モータトルク指令値に基づいて、双方向コンバータ6のスイッチング素子Q1のON/OFFを制御するゲート信号を出力して、バッテリ2の電圧を所定の出力電圧に昇圧するとともに、DC−DCコンバータ10を起動し、12V負荷14に電力を供給する。また、双方向コンバータ6から出力された直流を交流に変換のためにPWM変調方式によりゲート信号をインバータ6に出力する。(3)マネージメントECU22からモータ18の回生指令があった場合、モータ18から出力される3相の交流電圧を全波整流により直流電圧に変換するためにゲート信号をインバータ6に出力する。双方向コンバータ6のスイッチング素子Q2のON/OFFを制御し、所定の電圧に降圧して双方向コンバータ6から出力された直流電圧をバッテリ2に供給するとともに、DC−DCコンバータ10を起動し、12V負荷14に電力を供給する。(4)平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の放電指令があると、FETQ4をOFF、FETQ3をON/OFF、双方向コンバータ6のスイッチング素子Q1のON/OFFを制御して、平滑コンデンサC1から一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通してグラウンドに放電するとともに、DC−DCコンバータ10を駆動して、平滑コンデンサC1の電荷に基づき12V負荷14に電力を供給する。また、FETQ4をOFF、FETQ3をON/OFF、双方向コンバータ6のスイッチング素子Q2のON/OFFを制御して、スイッチング素子Q2及び二次巻線8bを通して平滑コンデンサC1に放電するとともに、DC−DCコンバータ10を駆動して、平滑コンデンサC2の電荷に基づき12V負荷14に電力を供給する。平滑コンデンサC1の放電及び平滑コンデンサC2の放電を繰り返すことにより、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の電荷を放電する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るモータECU24の機能ブロック図である。図2に示すように、モータECU24は、プリチャージ制御手段50、昇圧制御手段52、降圧制御手段54、電力制御手段56及び放電制御手段58としての機能を備える。
プリチャージ制御手段50は、C1充電制御手段60、C2充電制御手段62、C1,C2充電切替制御手段64及びプリチャージ終了判定手段66を有する。C1充電制御手段60は、平滑コンデンサC1のプリチャージを制御するものであり、メインコンタクタ4をOFF、スイッチング素子Q1,Q2をOFF、FETQ3をOFFし、FETQ4を一定時間ONし、平滑コンデンサC1を充電する。
FETQ4がONすると、ダイオードD5がONし、補機駆動用直流電源Bから平滑リアクトルL、ダイオードD5、FETQ4を通して、FETQ4のソース側を正極として、二次巻線8bの両端に電圧が印加されて、二次巻線8bに電流が流れる。このとき、二次巻線8bの両端に印加される電圧は、リアクトルLでの電圧降下やダイオードD5での電圧降下により抑制される。
二次巻線8bの印加電圧より一次巻線8aに、平滑コンデンサC1の正極側をプラスとする方向に電圧が誘導され、フリーホイールダイオードD1がONし、平滑コンデンサC1が充電される。このとき、一次巻線8aに巻き線比に応じた電圧が誘電されるが、二次巻線8bに印加される電圧が抑制されていることから、抑制され、平滑コンデンサC1に過大な突入電流が流れることが抑制される。
C2充電制御手段62は、平滑コンデンサC2の充電を制御するものであり、FETQ4をOFFし、平滑コンデンサC1から平滑コンデンサC2に充電する。FETQ4がOFFすると、平滑コンデンサC1の電圧が一次巻線8aに印加され、フリーホイールダイオードD2がONし、平滑コンデンサC1の電荷がフリーホイールダイオードD2を通して、平滑コンデンサC2に放電されて、平滑コンデンサC2が充電される。
C1,C2充電切替制御手段64は、平滑コンデンサC2の電圧が平滑コンデンサC1の電圧に等しくなると、C1充電制御手段60に平滑コンデンサC1の充電を指示し、平滑コンデンサC1の充電と平滑コンデンサC2の充電が交互に行われるように制御する。
プリチャージ終了判定手段66は、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージが終了したか否かを判定するものであり、例えば、平滑コンデンサC1,C2の電圧が、バッテリ2から平滑コンデンサC1,C2に充電したとき、突入電流が防止される第1の規定電圧に等しくなるまで、C1充電制御手段60に平滑コンデンサC1の充電を指示する。平滑コンデンサC2の電圧が第1の規定電圧に等しくなると、メインコンタクタ4をONして、平滑コンデンサC1,C2を同時に充電する。平滑コンデンサC1,C2の電圧が、バッテリ2の電圧(第2の規定電圧)に等しくなるまで、バッテリ2から平滑コンデンサC1,C2に充電を行い、その後、メインコンタクタ4をOFFする。
昇圧制御手段52は、マネージメントECU22からモータ18の駆動指令があった場合は、メインコンタクタ4をONし、FETQ4をOFFし、昇圧比に対応するデューティ比で双方向コンバータ6のスイッチング素子Q1のON/OFFを制御し、バッテリ2の電圧V0を昇圧電圧V1に昇圧し、インバータ16に昇圧電圧V1を出力する。
メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1がONすると、一次巻線8aの両端に電圧V0が印加されて、整流ダイオードD3が接続される二次巻線8bの一端が正となる式(1)に示す電圧V2が誘導される。
V2=V0/n ・・・ (1)
電圧V2が整流ダイオードD3のアノードに印加され、整流ダイオードD3がONし、後述する電力制御手段56によりFETQ3がデューティ比α(1≧α>0)でON/OFFされ、平滑リアクトルLを通して、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れて、12V負荷14に電力が供給される。
スイッチング素子Q1がOFFすると、リアクトルとしても作用する一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより一次巻線8aのスイッチング素子Q1のアノード側の端部を正とする電圧が誘導されて昇圧され、フリーホイールダイオードD1がONして、昇圧電圧がインバータ16に出力される。
一方、一次巻線8aに誘導された電圧により二次巻線8bのフリーホイールダイオードD4のアノード側の端部を正とする電圧が誘導され、整流ダイオードD3は逆バイアスされて、OFFする。整流ダイオードD3がOFFすると、スイッチング素子Q1がONのときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーによりフリーホイールダイオードD4がONして、平滑リアクトルLを通して、平滑コンデンサC3及び補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に負荷電流が流れる。
DC−DCコンバータ10より出力される電圧V3は、式(2)のようになる。
V3=(V0/n)(Ton/T)×α=(V0/n)(1−Toff/T)×α
=(V0/n)(1−V0/V1)×α
・・・ (2)
但し、Tonはスイッチング素子Q1のON時間、Toffはスイッチング素子Q1のOFF時間、T=Ton+Toffである。αはFETQ3のデューティ比である。
このとき、(V0/n)(1−V0/V1)×α=12Vとなるように、巻線数比nを決定しているので、12V負荷14には所望の電圧が印加される。
降圧制御手段54は、マネージメントECU22からモータ18の回生指令があった場合は、メインコンタクタ4をONし、FETQ4をOFFし、降圧比に対応するデューティ比で双方向コンバータ6のスイッチング素子Q2のON/OFFを制御し、インバータ16の出力電圧V1をバッテリ2の電圧V0に降圧する。
メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q2がONすると、一次巻線8aの両端に電圧(V1−V0)が印加されて、フリーホイールダイオードD4のアノードが接続される二次巻線8bの一端が正となる電圧が誘導されるが、整流ダイオードD3は逆バイアスされるので、整流ダイオードD3はOFFしたままである。
スイッチング素子Q2がOFFすると、リアクトルとしても作用する一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーによりフリーホイールダイオードD1がONして、一次巻線8aのメインコンタクタ4が接続される端部を正とする電圧V0が印加されて、整流ダイオードD3のアノードが接続される二次巻線8bの一端が正となる電圧V2(=V0/n)が誘導されて、整流ダイオードD3がONし、後述するように電力制御手段56によりFETQ3がデューティ比αでON/OFFされ、平滑リアクトルLを通して、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れて、12V負荷14に電力が供給される。
スイッチング素子Q2がONすると、整流ダイオードD3が逆バイアスされて、OFFし、スイッチング素子Q2がOFFのときに、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーによりフリーホイールダイオードD4がONし、平滑リアクトルLを通して、平滑コンデンサC1、補機駆動用直流電源Bが充電されるとともに、12V負荷14に電流が流れる。
DC−DCコンバータ10より出力される電圧V4は、式(3)のようになる。
V4=(V0/n)(Toff/T)×α=(V0/n)(1−Ton/T)×α
=(V0/n)(1−V0/V1)×α
・・・ (3)
このとき、(V0/n)(1−V0/V1)×α=12Vとなるように、巻線数比nを決定しているので、12V負荷14には所望の電圧が印加される。
但し、Tonはスイッチング素子Q2のON時間、Toffはスイッチング素子Q2のOFF時間、T=Ton+Toffである。αはFETQ3のデューティ比である。
電力制御手段56は、昇圧制御手段52により、スイッチング素子Q1がOFFされたとき、FETQ3をデューティ比αでFETQ3をON/OFFする。また、降圧制御手段54によりスイッチング素子Q2がOFFされたとき、FETQ3をデューティ比αでON/OFFする。
放電制御手段58は、C1放電制御手段70、C2放電制御手段72、C1,C2放電切替制御手段74及び放電終了判定手段76を備える。C1放電制御手段70は、以下のようにして、放電指令、(例えば、イグニッションスイッチがOFFされたとき)があったとき、平滑コンデンサC1の放電及びDC−DCコンバータ10が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC−DCコンバータ10を動作させることができる場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)≧12Vを満たし、且つDC−DCコンバータ10の出力電圧(VC1/n×(1−VC1/V1))×αが12V近傍となる電圧V1(V1≧VC2)が存在する場合には、FETQ4をOFFし、昇圧比V1/VC1からスイッチング素子Q1のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q1をON/OFFするとともに、FETQ3をデューティ比αでON/OFFする。VC1は平滑コンデンサC1の電圧である。VC2は平滑コンデンサC2の電圧である。このとき、DC−DCコンバータ10の出力電圧は、VC1/n×(1−VC1/V1)となり12V近傍となるので、DC−DCコンバータ10が正常に動作する。スイッチング素子Q1がONしているので平滑コンデンサC1の電荷が一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、負極側に放電される。
(b) DC−DCコンバータ10の整流ダイオードD3がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。
(c) (a),(b)以外の場合は、FETQ3をONし、FETQ4をOFFして、V1=VC2に対応するディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFして、一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、平滑コンデンサC1の電荷を放電する。
C2放電制御手段72は、以下のようにして、平滑コンデンサC2の放電及びDC−DCコンバータ10が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC−DCコンバータ10を動作させることができる場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)≧12Vを満たし、且つV/n×(1−V/VC2)(V≧VC1)×αが12V近傍となる電圧Vが存在する場合には、FETQ4をOFFし、降圧比V1/VC2からスイッチング素子Q2のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q2をON/OFFするとともにFETQ3をデューティ比αでON/OFFする。このとき、DC−DCコンバータ10の出力電圧は、V/n×(1−V/VC2)となり12V近傍となるので、DC−DCコンバータ10が正常に動作する。スイッチング素子Q2がONしているので、平滑コンデンサC2の電荷はスイッチング素子Q2及び二次巻線8bを通して、平滑コンデンサC1に放電される。
(b) DC−DCコンバータ10の整流ダイオードD3がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12Vの場合は、FETQ3,Q4をOFFし、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。
(c) (a),(b)以外の場合は、V=VC1に対応するディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFして、スイッチング素子Q2及び一次巻線8bを通して、平滑コンデンサC2の電荷を放電する。
C1,C2放電切替制御手段74は、C1放電制御手段70により平滑コンデンサC1の電荷を放電しているときに、二次巻線8bの誘導電圧が整流ダイオードD3がOFFする電圧、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12Vとなった場合、C1放電制御手段70による平滑コンデンサC1の放電から平滑コンデンサC2の放電に切り替えるためにC2放電制御手段72に平滑コンデンサC2の放電を指示する。また、C2放電制御手段72により平滑コンデンサC2の電荷を放電しているときに、VC1=VC2となった場合、C2放電制御手段72による平滑コンデンサC2の放電から平滑コンデンサC1の放電に切り替えるためにC1放電制御手段70に平滑コンデンサC1の放電を指示する。VC1,VC2≦n×12Vとなった場合は、C1放電制御手段70に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して放電するよう指示し、一定の期間経過後に、C2放電制御手段72に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷をスイッチング素子Q2及び一次巻線8aを通して、放電するよう指示する。そして、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の残電荷の放電が交互に行われるようにC1放電制御手段70及びC2放電制御手段72に指示する。
放電終了判定手段76は、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の残電荷の放電が終了したか否かを、例えば、平滑コンデンサC2の電圧が0となったか否かにより判定し、放電が終了すると放電制御を停止する。
図3〜図5は平滑コンデンサC1,C2のプリチャージ方法を説明するための図である。以下、これらの図面を参照して、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージ方法の説明をする。図3中のステップS2で、メインコンタクタ4をOFFする。ステップS4でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS6でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS8でFETQ3をOFFする。ステップS10でFETQ4をONする。例えば、図4中の時刻t0でプリチャージを開始して、FETQ4をONしたとする。
図5(a)に示すように、FETQ4がONすると、ダイオードD5がONし、補機駆動用直流電源Bから平滑リアクトルL、ダイオードD5、FETQ4を通して、二次巻線8bに電流が流れる。このとき、二次巻線8bの両端の電圧は、平滑リアクトルL及びダイオードD5の電圧降下分だけ補機駆動用直流電源Bの電圧(12V)よりも小さくなる。二次巻線8bに電圧が印加されることから、一次巻線8aの平滑コンデンサC1の正極側をプラス、フリーホイールダイオードD1のカソード側をマイナスとする電圧が誘導される。フリーホイールダイオードD1がONし、平滑コンデンサC1が充電される。このとき、一次巻線8aに誘導される電圧が抑制されるため、平滑コンデンサC1に突入電流が流れることを防止される。図4に示すように、期間(t0−t1),(t2−t3),(t4−t5),(t6−t7),(t8−t9)において、平滑コンデンサC1が充電される。
ステップS12で一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS14に進む。否定判定ならば、ステップS12で一定時間が経過するまでウェイトする。例えば、時刻t1で一定時間が経過すると、ステップS14に進む。ステップS14でFETQ4をOFFする。FETQ4がOFFすると、図5(b)に示すように、平滑コンデンサC1の充電電圧により、一次巻線8aを通して、フリーホイールダイオードD2が順バイアスされてONし、平滑コンデンサC1の電荷が一次巻線8a、フリーホイールダイオードD2及び平滑コンデンサC2を通して、放電され、平滑コンデンサC2が充電される。図4に示すように、期間(t1−t2),(t3−t4),(t5−t6),(t7−t8)において、平滑コンデンサC1の電圧が低下するとともに平滑コンデンサC2の電圧が上昇する。
ステップS16で平滑コンデンサC1の電圧が平滑コンデンサC2の電圧に等しくなったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS18に進む。否定判定ならば、ステップS16でウェイトして、平滑コンデンサC1の電圧と平滑コンデンサC2の電圧が等しくなるまで平滑コンデンサC1の電荷を平滑コンデンサC2に放電する。例えば、時刻t2,t4,t6,t8,t10で平滑コンデンサC1の電圧と平滑コンデンサC2の電圧が等しくなると、ステップS18に進む。ステップS18で平滑コンデンサC2の電圧が第1の規定電圧に等しくなったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS20に進む。否定判定ならば、ステップS10に進む。例えば、時刻t2,t4,t6,t8でステップS10に進み、FETQ4がONされて、ステップS10〜S18が繰り返される。時刻t10でステップS20に進む。
ステップS20でメインコンタクタ4をONする。メインコンタクタ4がONすると、バッテリ2からメインコンタクタ4を通して平滑コンデンサC1が充電されるとともに、一次巻線8a及びフリーホイールダイオードD2がONして、平滑コンデンサC2が充電される。ステップS22で平滑コンデンサC2の電圧が第2の規定電圧に等しくなったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS24に進む。否定判定ならば、ステップS22で平滑コンデンサC2の電圧が第2の規定電圧(バッテリ2の電圧)に等しくなるまでウェイトする。ステップS24でプリチャージが終了したのでメインコンタクタ4をOFFする。
図6〜図9はDC−DCコンバータ10の動作を説明するための図である。
(a) 双方向コンバータ6が昇圧器として動作する場合
ステップS50でモータアシスト指令が有ったか否かを判定する。肯定判定ならば、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させるためにステップS52に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS52でメインコンタクタ4をONする。ステップS54でFETQ4をOFFする。ステップS56で昇圧比に基づきデューティ比を算出する。ステップS58でスイッチング素子Q1をONする。
ステップS60でスイッチング素子Q2をOFFする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q2がOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q1をONする。ステップS62で12V負荷14の電力要求が有るか否かを判定する。肯定判定ならばステップS64に進む。否定判定ならばステップS66に進む。ステップS64でFETQ3をデューティ比αでON/OFFする。ステップS66でFETQ3をOFFする。ステップS68でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS16に進む。否定判定ならば、ステップS10に戻る。
図7(a)に示すように、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1がONすると、バッテリ2から一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して電流が流れる。このとき、一次巻線8aの両端には、バッテリ2の正電極側を正極とする方向に電圧が発生するので、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧が誘導されて、整流ダイオードD3が順バイアスされてONし、FETQ3をデューティ比αでON/OFFすることにより、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れるとともに補機駆動用直流電源Bが充電される。
ステップS70でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS72でスイッチング素子Q2をONする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q1をOFFしてデッドタイム期間後にスイッチング素子Q2をONする。ステップS74でスイッチング素子Q1をOFFする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS76に進む。否定判定ならば、ステップS70に戻る。
図7(b)に示すように、スイッチング素子Q1がOFFすると、スイッチング素子Q1がONのときに一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより一次巻線8aの両端にスイッチング素子Q2のエミッタ側を正極とする方向に電圧が誘導されて、バッテリ2の電圧が昇圧され、フリーホイールダイオードD2がONする。そして、バッテリ2から一次巻線8a及びフリーホイールダイオードD2を通して、電流が流れて、平滑コンデンサC2を充電するとともにインバータ16に昇圧電圧を供給する。
一方、二次巻線8bには、フリーホイールダイオードD4のアノード側を正極とする電圧が誘導されて、整流ダイオードD3は、逆バイアスされて、OFFする。図7(b)に示す状態において、平滑リアクトルLに電流が流れたことにより蓄積された磁気エネルギーにより、フリーホイールダイオードD4がONして、還流電流が平滑リアクトルLに流れる。
ステップS76で、モータアシストが解除された否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS78に進む。否定判定ならば、ステップS56に戻る。ステップS78でメインコンタクタ4をOFFする。以上のように、モータ18のアシスト指令があった場合には、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させ、DC−DCコンバータ10を動作させる。従って、モータ18のアシストを行うとともに12V負荷14の電力供給をすることができる。
(b) 双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合
図8中のステップS100でモータ回生指令が有るか否かを判定する。肯定判定ならば、双方向コンバータ6を降圧器として動作させるためにステップS102に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS102でメインコンタクタ4をONする。ステップS104でFETQ4をOFFする。ステップS106で降圧比に基づきデューティ比を算出する。ステップS108でスイッチング素子Q2をONする。
ステップS110でスイッチング素子Q1をOFFする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q1がOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q2をONする。ステップS112でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS114に進む。否定判定ならば、ステップS108に戻る。
図9(a)に示すように、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q2がONすると、インバータ16からスイッチング素子Q2、一次巻線8a及びメインコンタクタ4を通してバッテリ2に電流が流れる。このとき、一次巻線8aの両端には、スイッチング素子Q2のエミッタ側を正極とする方向に電圧が発生するので、二次巻線8bの両端にフリーホイールダイオードD4のアノード側を正極とする電圧が誘導され、整流ダイオードD3が逆バイアスされ、OFFする。
図9(b)に示す期間において、整流ダイオードD3がONして、平滑リアクトルLに電流が流れているため、平滑リアクトルLに蓄積された磁気エネルギーにより起電力が発生し、フリーホイールダイオードD4がONし、還流電流が平滑リアクトルLに流れ、12V負荷14に電力が供給される。
ステップS114でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS116でスイッチング素子Q1をONする。尚、デッドタイム期間を設ける場合は、スイッチング素子Q2をOFFしてデッドタイム期間後にスイッチング素子Q1をONする。ステップS118で12V負荷14電力要求が有ったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS120に進む。否定判定ならば、ステップS122に進む。ステップS120でFETQ3をデューティ比αでON/OFFする。ステップS122でFETQ3をOFFする。ステップS124で一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS126に進む。否定判定ならば、ステップS114に戻る。
図9(b)に示すように、スイッチング素子Q2がOFFすると、スイッチング素子Q2がONのときに一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーにより一次巻線8aの両端にバッテリ2の正極側を正極とする方向に電圧が誘導されて、フリーホイールダイオードD1がONして、還流電流がバッテリ2に流れる。一方、二次巻線8bには、整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧が誘導されて、整流ダイオードD3は、順バイアスされて、ONし、FETQ3及び平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れるとともに補機駆動用直流電源Bが充電される。
ステップS126で、モータ回生指令が解除されか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS128に進む。否定判定ならば、ステップS106に戻る。ステップS128でメインコンタクタ4をOFFする。
以上のように、モータアシスト指令やモータ回生指令がある場合、双方向コンバータ6を昇圧器や降圧器として動作させて、モータ18の駆動やバッテリ2の充電を行うとともに、12V負荷14に電力供給を行う。尚、モータアシスト指令及びモータ回生指令が無く、12V負荷14の電力供給要求があった場合、双方向コンバータ6を昇圧器として動作させると、モータ18の駆動指令がないために、スイッチング素子Q2をOFFしたとき、インバータ16側に電流が流れず、一次巻線8aに蓄積された磁気エネルギーが残存して飽和する。そこで、リアクトル電流をリセットするリセット回路を双方向コンバータ6に設けることにより、モータアシスト指令やモータ回生指令が無い場合でも、DC−DCコンバータ10に電力を供給することができる。
図10〜図14は平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の放電を説明するための図である。図10中のステップS150で放電指令が有ったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS152に進む。否定判定ならば、終了する。ステップS152でメインコンタクタ4をOFFする。ステップS154でFETQ4をOFFする。ステップS156で以下のように平滑コンデンサC1を放電する。
ステップS170で、平滑コンデンサC1の電圧VC1からVC1/n×(1−VC1/V1)×αが12V又はその近傍となる電圧V1(V1≧VC2)を算出する。電圧V1が存在しなければ、V1=VC2とする。電圧V1より昇圧比V1/VC1を算出する。ステップS172で、昇圧比に基づいてデューティ比を算出する。ステップS174で、スイッチング素子Q1をONする。ステップS176で、スイッチング素子Q2をOFFする。ステップS177でFETQ3をON/OFFする。ステップS178でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS180に進む。否定判定ならば、ステップS174に戻る。
図13(a)に示すように、スイッチング素子Q1がONすると平滑コンデンサC1の電荷が一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電される。このとき、一次巻線8aの両端にメインコンタクタ4側を正極とする電圧VC1が印加され、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧VC1/nが誘導され、整流ダイオードD3がONし、FETQ3及び平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電力が供給される。即ち、DC−DCコンバータ10が正常に動作する。このとき、二次巻線8bに流れる二次電流により一次巻線8aに一次電流が流れて、一次電流により平滑コンデンサC1が放電される。
ステップS180でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS132でスイッチング素子Q2をONする。ステップS184でスイッチング素子Q1をOFFする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、リターンする。否定判定ならば、ステップS180に戻る。
図13(b)に示すように、スイッチング素子Q1がOFFすると、双方向コンバータ6の昇圧器として動作するときと同様に、フリーホイールダイオードD2がONして、平滑コンデンサC2に電流が流れるとともに、フリーホイールダイオードD4がONして還流電流が流れて、12V負荷14に電力が供給される。
図10中のステップS158で平滑コンデンサC1の電圧VC1が規定電圧(n×12V)未満であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS160に進む。否定判定ならば、ステップS156に戻る。ステップS160で以下のように平滑コンデンサC2を放電する。
図12中のステップS190で、平滑コンデンサC2の電圧VC2から(V/n×(1−V/VC2))×αが12V又はその近傍となる電圧V(V≧VC1)を算出する。電圧Vが存在しなければ、V=VC1とする。電圧Vより降圧比V/VC2を算出する。ステップS192で、降圧比に基づいてデューティ比を算出する。
ステップS194でスイッチング素子Q2をONする。ステップS196でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS198でデューティ比に基づく一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS200に進む。否定判定ならば、ステップS194に戻る。
図14(a)に示すように、スイッチング素子Q2がONすると、平滑コンデンサC2の電荷が、スイッチング素子Q2及び一次巻線8aを通して、平滑コンデンサC1に充電される。このとき、図14(b)に示すスイッチング素子Q2がOFFのときに、整流ダイオードD3がONして平滑リアクトルLに電流が流れていたので、フリーホイールダイオードD4がONして、還流電流が12V負荷14に流れる。
ステップS200でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS202でスイッチング素子Q1をONする。ステップS203でFETQ3をON/OFFする。ステップS204でスイッチング素子Q2をONする一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならばリターンする。否定判定ならばステップS200に戻る。
図14(b)に示すように、スイッチング素子Q2がOFFすると、フリーホイールダイオードD1がONして、還流電流が平滑コンデンサC1に流れる。このとき、一次巻線8aの両端にメインコンタクタ4側を正極とする電圧VC1が印加され、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極とする電圧VC1/nが誘導され、整流ダイオードD3がONし、FETQ3及び平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電力が供給される。このとき、二次巻線8bに流れる二次電流により一次巻線8aに一次電流が流れ、一次電流により平滑コンデンサC1の電荷が放電される。
図10中のステップS162で平滑コンデンサC2の電圧VC2が平滑コンデンサC1の電圧VC1に等しいか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS164に進む。否定判定ならば、ステップS160に戻り、平滑コンデンサC2の放電を継続する。ステップS164で平滑コンデンサC2の電圧VC2が規定電圧(n×12V)に等しいか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS166に進む。否定判定ならば、ステップS156に戻り、平滑コンデンサC1の充電後の放電を行う。
ステップS166で、スイッチング素子Q1をON/OFFして平滑コンデンサC1の放電を一定時間行った後、スイッチング素子Q2をON/OFFして、平滑コンデンサC2の放電を一定時間行う。ステップS168で平滑コンデンサC2の電圧VC2が0に等しくなったか否かにより平滑コンデンサC2の放電が終了したか否かを判定する。肯定判定ならば、終了する。否定判定ならば、ステップS166に戻り、平滑コンデンサC1の放電と平滑コンデンサC2を繰り返し行う。
以上説明したように、プリチャージコンタクタ及びプリチャージ抵抗を省略し、12VDC−DCコンバータ10から平滑コンデンサC1,C2にプリチャージを行うようにしたので、部品点数が減少し、コストが低減する。
双方向コンバータ6を昇圧器として動作させて、バッテリ2の電圧を昇圧しているとき、DC−DCコンバータ10を動作させて、12V負荷14に電力を供給することができる。双方向コンバータ6を降圧器として動作させ、インバータ16の出力電圧を降圧しているときに、DC−DCコンバータ10を動作させて、12V負荷14に電力を供給することができる。
平滑コンデンサC1,C2の電荷を用いて可能な限りDC−DCコンバータ10を動作させ、12V負荷14に電力を供給するので、平滑コンデンサC1,C2の電荷を有効に利用することができる。平滑コンデンサC1,C2の電荷をスイッチング素子Q1,Q2のON/OFFにより放電するので、スイッチング素子Q1,Q2に過大な電流が流れて、スイッチング素子Q1,Q2が発熱して劣化することを抑制できる。
尚、本実施形態では、ハイブリッド車両を例に説明したが、DC−DCコンバータ10を一体化した双方向コンバータ6を構成する場合には、ハイブリッド車両に限らず、電気自動車等であっても良い。また、必要に応じて、12VDC−DCコンバータ10からの直流電圧を交流電圧に変換しても良い。
第2実施形態
図15は本発明の第2実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、DC−DCコンバータ100の整流回路を全波整流としている点で、半波整流である第1実施形態と異なる。
図15に示すように、12VDC−DCコンバータ100は、トランス8、整流ダイオードD3,還流ダイオードD4,ダイオードD5、FETQ3,Q4、リアクトルL、平滑コンデンサC3に加えて、整流ダイオードD6、ダイオードD7、FETQ5,Q6を有する。二次巻線8bの一端は、整流ダイオードD3のアノード及びFETQ4のソースに接続され、他端は、整流ダイオードD6のアノード及びFETQ6のソースに接続されている。二次巻線8bの所定位置のタップは、フリーホイールダイオードD4のアノードに接続されている。
FET5及び整流ダイオードD6は逆並列に接続されている。整流ダイオードD6は、FET5のボディダイオード等から構成され、アノードが二次巻線8bの他端及びFETQ6のソースに接続され、カソードがFETQ6のドレイン、FETQ5のドレイン及びダイオードD6のカソードに接続されている。FETQ5は、ソースが二次巻線8bの他端及び整流ダイオードD6のアノードに接続され、ドレインが整流ダイオードD6のカソード、FETQ5のドレイン及びダイオードD7のカソードに接続されている。
FET5及びダイオードD7は逆並列に接続されている。ダイオードD7は、FET5のボディダイオード等から構成され、アノードがFET5のソース、リアクトルLの一端及びフリーホイールダイオードD4のカソードに接続され、カソードがFETQ5のドレイン、FETQ6のドレイン及び整流ダイオードD6のカソードに接続されている。FETQ5は、ドレインがFETQ6のドレイン、整流ダイオードD6のカソード及びダイオードD7のカソードに接続され、ソースがダイオードD7のカソード、平滑リアクトルLの一端及びフリーホイールダイオードD4のカソードに接続されている。
二次巻線8bの巻き線及びタップは以下のように設定されている。双方向コンバータ6を昇圧器として動作させる場合、スイッチング素子Q1がONすると、一次巻線8aの両端にメインコンタクタ4側を正極としてバッテリ2の電圧V0が印加されて、二次巻線8bの両端に整流ダイオードD3のアノード側を正極として、巻線比に応じた電圧が印加される。二次巻線8bの一端からタップまでの巻線数の一次巻線8aの巻線数の巻線比nが(V0/n)×α(1≧α>0,Q3のデューティ比)=12Vとなるよう設定される。
また、スイッチング素子Q1がOFFすると、一次巻線8aの両端に、スイッチング素子Q2のエミッタ側を正極として、(V1−V0)の電圧が印加される。一次巻線8aの巻き線数の二次巻線8bの他端からタップまでの巻線数の巻線比mが((V1−V0)/m)×α(1≧α>0,Q4のデューティ比)=12Vとなるように設定されている。
双方向コンバータ6を降圧器として動作させる場合、スイッチング素子Q2がONすると、一次巻線8aの両端に、スイッチング素子Q2のエミッタ側を正極として、(V1−V0)の電圧が印加される。一次巻線8aの巻き線数の二次巻線8bの他端からタップまでの巻線数の巻線比mが((V1−V0)/m)×α=12Vとなるように設定されていることから、整流ダイオードD5のアノードには12Vが印加される。
また、スイッチング素子Q2がOFFすると、一次巻線8aの両端に、メインコンタクタ4側を正極として、電圧V0が印加されるが、二次巻線8bの他端からタップまでの巻線数の一次巻線8aの巻線比nが(V0/n)×α=12Vとなるように設定されていることから、整流ダイオードD3のアノードには12Vが印加される。
尚、FETQ6とダイオードD6を接続せずに、FETQ6のソースが接続される二次巻線8bの接続点と整流ダイオードD6のアノードが接続される二次巻線8bの接続点を別々にして、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージ時に、二次巻線8bの両端に所望の電圧が印加されるようにしても良い。
図16は、図15中のモータECU102の機能ブロック図であり、図2中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。プリチャージ制御手段110は、C1充電制御手段112、C2充電制御手段114、C1,C2充電切替制御手段64及びプリチャージ終了判定手段66を備える。C1充電制御手段112は、平滑コンデンサC1の充電を制御するものであり、メインコンタクタ4をOFF、スイッチング素子Q1,Q2をOFF、FETQ3,Q5,Q6をOFF、FETQ4を一定時間ONし、平滑コンデンサC1を充電する。
FETQ4がONすると、ダイオードD5がONして、補機駆動用直流電源Bから平滑リアクトルL、ダイオードD5、FETQ4を通して、FETQ4のソース側を正極として、二次巻線8bの両端に電圧が印加され、二次巻線8bに電流が流れる。このとき、二次巻線8bの両端に印加される電圧は、リアクトルLでの電圧降下やダイオードD5での電圧降下により、抑制される。
二次巻線8bの印加電圧より一次巻線8aに、平滑コンデンサC1の正極側をプラスとする方向に電圧が誘導されて、フリーホイールダイオードD1がONし、平滑コンデンサC1が充電される。一次巻線8aには、巻き線比に応じた電圧が誘電されるが、二次巻線8bに印加される電圧が抑制されていることから、平滑コンデンサC1の充電電流が抑制される。
C2充電制御手段114は、平滑コンデンサC2の充電を制御するものであり、FETQ3,Q4,Q5をOFFし、FETQ6を一定時間ONし、平滑コンデンサC2に充電する。FETQ6がONし、FETQ4がOFFすると、二次巻線8bの他端をプラス側として二次巻線8bに電圧が印加され、一次巻線8aにフリーホイールダイオードD2のアノード側をプラスとする方向の電圧が誘導され、フリーホイールダイオードD2がONする。フリーホイールダイオードD2がONすると、平滑コンデンサC1から一次巻線8a及びフリーホイールダイオードD2を通して、平滑コンデンサC2が充電される。
電力制御手段116は、昇圧制御手段52により双方向コンバータインバータ6を昇圧器として動作させている場合に、スイッチング素子Q1がONしているとき、FETQ5をOFF、FETQ3をデューティ比αでON/OFFし、また、スイッチング素子Q1がOFFしているとき、FETQ3をOFF、FETQ5をデューティ比αでON/OFFする。
また、降圧制御手段54により双方向コンバータインバータ6を降圧器として動作させている場合に、スイッチング素子Q2がOFFしているとき、FETQ5をOFF、FETQ3をデューティ比αでON/OFFし、スイッチング素子Q2がONしているとき、FETQ3をOFF、FETQ5をデューティ比αでON/OFFする。
C1放電制御手段120は、以下のようにして、平滑コンデンサC1の放電及び12VDC−DCコンバータ100が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC/DCコンバータ100を動作させることができる場合、即ち、(VC1/n≧12V、且つ(VC1/n)×αが12V近傍)、且つ((V−VC1)/m)≧12V、且つ((V−VC1)/m)×αが12V近傍となるV≧VC2が存在する)とき、昇圧比(V/VC1)からスイッチング素子Q1のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q1をON/OFF、FETQ4,Q6をOFF、FETQ3,Q5をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。VC1は平滑コンデンサC1の電圧、VC2は平滑コンデンサC2の電圧である。
(b) DC−DCコンバータ100の整流ダイオードD3,D6のいずれか一方がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12V、又は(VC2−VC1)/m<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、放電する。
(c) (a),(b)以外のとき、V=VC2に対応するディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFして、一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して、平滑コンデンサC1の電荷を放電する。
C2放電制御手段122は、以下のようにして、平滑コンデンサC2の放電及びDC−DCコンバータ10が動作するよう制御する。
(a) 出力電圧が12V近傍となるようDC/DCコンバータ100を動作させることができる場合、(VC1/n≧12V、且つ(VC1/n)×αが12V近傍)、且つ(VC2−V)/m≧12V、且つ((VC2−V)/m)×αが12V近傍となるV≧VC1が存在する)とき、降圧比(V/VC2)からスイッチング素子Q2のデューティ比を算出し、デューティ比に基づいて、スイッチング素子Q2をON/OFF、FETQ4,Q6をOFF、FETQ5,Q3をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷をスイッチング素子QQ2及び一次巻線8aを通して、平滑コンデンサC1に充電する。
(b) DC−DCコンバータ100の整流ダイオードD3,D6のいずれか一方がOFFする場合、即ち、二次巻線8bに誘導される電圧(VC1/n)<12V、又は(VC2−VC1)/m<12Vの場合は、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q2を通して、平滑コンデンサC1に充電する。
(c) (a),(b)以外のとき、V=VC1に対応するディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q2を通して、平滑コンデンサC1に充電する。
C1,C2放電切替制御手段124は、C1放電制御手段120による平滑コンデンサC1の放電により、VC1/n<12V、又は(VC2−VC1)/m<12Vの場合、C1放電制御手段120による平滑コンデンサC1の放電から平滑コンデンサC2の放電に切り替えるためにC2放電制御手段122に平滑コンデンサC2の放電を指示する。また、C2放電制御手段122により平滑コンデンサC2の電荷を放電しているときに、VC1=VC2となった場合、C2放電制御手段122による平滑コンデンサC2の放電から平滑コンデンサC1の放電に切り替えるためにC1放電制御手段120に平滑コンデンサC1の放電を指示する。VC2≦n×12Vとなった場合は、C1放電制御手段120に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q1をON/OFFし、平滑コンデンサC1の電荷を一次巻線8a及びスイッチング素子Q1を通して放電するよう指示し、一定の期間経過後に、C2放電制御手段122に、一定の期間、一定のディーティ比でスイッチング素子Q2をON/OFFし、平滑コンデンサC2の電荷をスイッチング素子Q2及び一次巻線8aを通して、放電するよう指示する。そして、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の残電荷の放電を交互が行われるようにC1放電制御手段120及びC2放電制御手段122に指示する。
図17〜図19は平滑コンデンサC1,C2のプリチャージ方法を説明するための図である。以下、これらの図面を参照して、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージ方法の説明をする。図17中のステップS250で、メインコンタクタ4をOFFする。ステップS252でスイッチング素子Q1をOFFする。ステップS254でスイッチング素子Q2をOFFする。ステップS256でFETQ3をOFFする。ステップS257でFETQ5をOFFする。ステップS258でFETQ4をONする。ステップS260でFETQ6をOFFする。例えば、図18中の時刻t0でプリチャージを開始して、FETQ4をONしたとする。
図19(a)に示すように、FETQ6がOFF、FETQ4がONすると、ダイオードD5がONし、補機駆動用直流電源Bから平滑リアクトルL、ダイオードD5、FETQ4を通して、二次巻線8bに電圧が印加され、一次巻線8aの平滑コンデンサC1の正極側をプラス、フリーホイールダイオードD1のカソード側をマイナスとする電圧が誘導される。フリーホイールダイオードD1がONし、平滑コンデンサC1が充電される。図18に示すように、期間(t0−t1),(t2−t3),(t4−t5),(t6−t7),(t8−t9)において、平滑コンデンサC1が充電される。
ステップS262で一定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS264に進む。否定判定ならば、ステップS262で一定時間が経過するまでウェイトする。例えば、時刻t1で一定時間が経過すると、ステップS264に進む。ステップS264でFETQ4をOFFする。ステップS266でFETQ6をONする。FETQ4がOFF、FETQ6がONすると、図19(b)に示すように、ダイオードD7がONし、補機駆動用直流電源Bから平滑リアクトルL、ダイオードD7、FETQ6を通して、二次巻線8bに電圧が印加され、一次巻線8aには、フリーホイールダイオードD2のアノード側をプラス、平滑コンデンサC1の正極側をマイナスとする電圧が誘導される。フリーホイールダイオードD2がONし、平滑コンデンサC2が充電されて、図18に示すように、期間(t1−t2),(t3−t4),(t5−t6),(t7−t8)において、平滑コンデンサC2の電圧が上昇する。
ステップS268で平滑コンデンサC1の電圧が平滑コンデンサC2の電圧に等しくなったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS270に進む。否定判定ならば、ステップS268でウェイトして、平滑コンデンサC1の電圧と平滑コンデンサC2の電圧が等しくなるまで平滑コンデンサC1の電荷を平滑コンデンサC2に放電する。例えば、時刻t2,t4,t6,t8,t10で平滑コンデンサC1の電圧と平滑コンデンサC2の電圧が等しくなると、ステップS268に進む。
ステップS268で平滑コンデンサC2の電圧が第1の規定電圧に等しくなったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS272に進む。否定判定ならば、ステップS258に戻る。例えば、時刻t2,t4,t6,t8でステップS258に戻り、FETQ6がOFF、FETQ4がONされて、ステップS258〜S270が繰り返される。時刻t10でステップS272に進む。
ステップS272でメインコンタクタ4をONする。メインコンタクタ4がONすると、バッテリ2からメインコンタクタ4を通して平滑コンデンサC1が充電されるとともに、一次巻線8a及びフリーホイールダイオードD2がONして、平滑コンデンサC2が充電される。ステップS274で平滑コンデンサC2の電圧が第2の規定電圧に等しくなったか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS276に進む。否定判定ならば、ステップS274で平滑コンデンサC2の電圧が第2の規定電圧(バッテリ2の電圧)に等しくなるまでウェイトする。ステップS276でプリチャージが終了したのでメインコンタクタ4をOFFする。
図20〜図23はDC−DCコンバータ100の動作を説明するための図である。
(a) 双方向コンバータ6が昇圧器として動作する場合
ステップS300〜S318は、ステップS304でFETQ6をOFFする処理を追加する以外は図6中のステップS50〜ステップS68と同様である。スイッチング素子Q1がONしたときの電流経路は、図21(a)に示すように、双方向コンバータインバータ6においては、バッテリ2→メインコンタクタ4→一次巻線8a→スイッチング素子Q1であり、12VDC−DCコンバータ100においては、二次巻線8b→整流ダイオードD3→FETQ3→平滑リアクトルL→補機駆動用直流電源B,12V負荷14である。
ステップS320〜S332は、ステップS324、S326、S328を追加した点が図6中のステップS70〜S78と異なる。ステップS324で12V負荷14電力要求があるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS326に進む。否定判定ならば、ステップS328に進む。ステップS326でFETQ5をデューティαでON/OFFする。ステップS328でFETQ5をOFFする。スイッチング素子Q1がOFFしたときの電流経路は、図21(b)に示すように、双方向コンバータインバータ6においては、バッテリ2→メインコンタクタ4→一次巻線8a→フリーホイールダイオードD2→インバータ14であり、12VDC−DCコンバータ100においては、二次巻線8b→整流ダイオードD6→FETQ5→平滑リアクトルL→補機駆動用直流電源B,12V負荷14である。
(b) 双方向コンバータ6が降圧器として動作する場合
図22中のステップS350〜S370は、ステップS356、S364、S366、S368を追加した点が図8中のステップS100〜S112と異なる。ステップS356でFETQ6をOFFする。ステップS364で12V負荷14電力要求があるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS366に進む。否定判定ならば、ステップS368に進む。ステップS366でFETQ5をデューティαでON/OFFする。ステップS328でFETQ5をOFFする。スイッチング素子Q2がONしたときの電流経路は、図23(a)に示すように、双方向コンバータインバータ6においては、双方向コンバータインバータ6においては、インバータ16→スイッチング素子Q1→一次巻線8a→メインコンタクタ4→バッテリ2であり、12VDC−DCコンバータ100においては、二次巻線8b→整流ダイオードD6→FETQ5→平滑リアクトルL→補機駆動用直流電源B,12V負荷14である
ステップS372〜S386は、図8中のステップS114〜S128と同様である。スイッチング素子Q2がOFFしたときの電流経路は、図23(b)に示すように、双方向コンバータインバータ6においては、フリーホイールダイオードD1→一次巻線8a→メインコンタクタ4→バッテリ2であり、12VDC−DCコンバータ100においては、二次巻線8b→整流ダイオードD3→FETQ3→平滑リアクトルL→補機駆動用直流電源B,12V負荷14である。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
第3実施形態
図24は、本発明の第3実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図1中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態は、双方向コンバータ150に昇圧器や降圧器を複数個並列に設け、×CCMコンバータとした点が図1中の双方向コンバータ6と異なる。双方向コンバータ150は、複数の一次巻線8a−i(i=1〜n)、複数のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)、複数のフリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n),D2−i(i=1〜n)を備える。nは2以上の任意の数であり、本実施形態では、n=2としている。
一次巻線8a−i(i=1〜n)は、一方の端子がメインコンタクタ4の他方の接点に接続され、他方の端子がスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のエミッタ、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のコレクタ、フリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)のアノード、フリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)のカソードに接続されている。
スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)は、例えば、IGBT素子やMOSFETであり、コレクタが一次巻線8a−i(i=1〜n)の他方の端子に接続され、エミッタがバッテリ2の負極に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU254から入力される。
スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)は、例えば、IGBT素子やMOSFET等あり、エミッタが一次巻線8a−i(i=1〜n)の他方の端子に接続され、カソードが平滑コンデンサC2の正極に接続されている。ゲートには、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFするためのゲート信号がモータECU254から入力される。
フリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)は、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のエミッタ及びフリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)のアノードは,バッテリ2の負極に接続されている。尚、破線で示すように、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)及びフリーホイールダイオードD1−i(i=1〜n)に並列にスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。
フリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)は、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)と逆並列に接続され、アノードがスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のコレクタに接続されている。
スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のコレクタ及びフリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)のアノードは,平滑コンデンサC2の正極に接続されている。尚、破線で示すように、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)及びフリーホイールダイオードD2−i(i=1〜n)に並列にスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のソフトスイッチング実現のために共振コンデンサを設けてもよい。
DC−DCコンバータ152は、例えば、12Vの直流電圧を出力するコンバータであり、複数のトランス8−i(i=1〜n)、複数の整流ダイオードD3−i(i=1〜n)、複数のFETQ3−i(i=1〜n)、複数のダイオードD5−i(i=1〜n)、複数のFETQ4−i(i=1〜n)並びにフリーホイールダイオードD4、平滑リアクトルL及び平滑コンデンサC3を備える。トランス8−i(i=1〜n)は、一次巻線8a−i(i=1〜n)及び二次巻線8b−i(i=1〜n)から構成され、一次巻線8a−i(i=1〜n)に流れる電流の変化による磁束の変化により二次巻線8b−i(i=1〜n)の両端に誘導電圧を発生する。
二次巻線8b−i(i=1〜n)は、一端が整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードに接続され、他端がフリーホイールダイオードD4のアノード、平滑コンデンサC3の負極に接続されている。二次巻線8b−i(i=1〜n)は、一次巻線8a−i(i=1〜n)の一端に正の電圧、例えば、メインコンタクタ4及びスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をONしたときに、二次巻線8b−i(i=1〜n)の整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードが接続される一端に正の電圧が誘導される極性となるようにコイルが巻かれている。
一次巻線8a−i(i=1〜n)と二次巻線8b−i(i=1〜n)の巻線比nは、DC−DCコンバータ152の出力電圧が所定電圧(例えば、12V)となるようにコイルが巻かれている。整流ダイオードD3−i(i=1〜n)とFETQ4−i(i=1〜n)は逆並列に接続されている。
FETQ4−i(i=1〜n)と整流ダイオードD3−i(i=1〜n)は逆並列に接続されている。FETQ4−i(i=1〜n)は、補機駆動用直流電源Bから二次巻線8bに電流を流して、平滑コンデンサC1をプリチャージするためのスイッチング素子であり、ソースが二次巻線8bの一端及び整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードに接続され、ドレインが整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のカソード、ダイオードD5−i(i=1〜n)のカソード及びFETQ3−i(i=1〜n)のドレインに接続されている。ゲートには、モータECU154からON/OFFするゲート信号が入力される。
整流ダイオードD3−i(i=1〜n)は、二次巻線8bの二次電流を半波整流するダイオードであり、アノードが二次巻線8bの一端及びFETQ4−i(i=1〜n)のソースに接続され、カソードがFETQ4−i(i=1〜n)のドレイン、ダイオードD5のカソードに接続されている。
FETQ3−i(i=1〜n)とダイオードD5−i(i=1〜n)は逆並列に接続されている。FETQ3−i(i=1〜n)は、12V負荷14に給電及び電力調整のためのスイッチング素子であり、ソースがFETQ4−i(i=1〜n)のドレイン及びダイオードD3−i(i=1〜n)のカソードに接続され、ドレインがダイオードD5−i(i=1〜n)のアノード、ダイオードD4−i(i=1〜n)のカソード及び平滑リアクトルLの一端に接続されている。
ダイオードD5−i(i=1〜n)は、平滑コンデンサC1をプリチャージする際に、二次巻線8bの両端の電圧により一次巻線8aの誘電される電圧を降下させ、平滑コンデンサC1への突入電流を防止するためのものであり、アノードがFETQ3−i(i=1〜n)のソース、フリーホイールダイオードD4のアノード並びに平滑リアクトルLの一端に接続されている。
尚、FETQ4−i(i=1〜n)と整流ダイオードD3−i(i=1〜n)を接続せずに、FETQ4−i(i=1〜n)のソースが接続される二次巻線8bの接続点と整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノードが接続される二次巻線8bの接続点を別々にして、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージの際に、二次巻線8bの両端に印加される電圧を調整して、一次巻線8aに流れる電流を抑制するようにしても良い。
図25は、図24中のモータECU154の機能ブロック図である。プリチャージ制御手段160中のC1充電制御手段162は、第1実施形態のC1充電制御手段60と同様に、FETQ4−i(i=1〜n)の少なくとも1つを一定時間ONして、平滑コンデンサC1を充電する。複数のFETQ4−i(i=1〜n)をONする場合には、同時にONする。
C2充電制御手段164は、平滑コンデンサC2の充電を制御するものであり、C1充電制御手段162がONしたFETQ4−i(i=1〜n)についてFETQ4−i(i=1〜n)をOFF、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)をOFFし、平滑コンデンサC1から平滑コンデンサC2に充電する。
昇圧制御手段166は、双方向コンバータ150を昇圧器として動作させるために、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)を順次インターリーブ、例えば、(360°/n)位相をずらして、ON/OFFするとともに、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)と相補的にON/OFFする。尚、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をONし、また、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をONする。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)のソフトスイッチングを実現するためである。
降圧制御手段168は、双方向コンバータ150を降圧器として動作させるために、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)を順次インターリーブ、例えば、(360°/n)位相をずらして、ON/OFFを制御するとともに、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)と相補的にON/OFFする。尚、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後に、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をONし、また、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をOFFして、デッドタイム期間後にスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をONする。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)のソフトスイッチングを実現するためである。
電力制御手段170は、昇圧制御手段166により、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がONされたとき、FETQ3−i(i=1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。また、降圧制御手段168により、スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がOFFされたとき、FETQ3−i(i=1〜n)をデューティ比αでON/OFFする。
放電制御手段172中のC1放電制御手段174は、複数のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)の少なくとも1個をON/OFFする。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)が複数の場合には、複数個のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)を順次インターリーブして、ON/OFFを制御する。図2中のC1放電制御手段70において、DC−DCコンバータ10の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ152の出力電圧に置き換えて処理を行う。このとき、一定時間毎に平滑コンデンサC1の電圧VC1からデューティ比を算出し、複数個のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をON/OFFする場合は、順次インターリーブして、平滑コンデンサC1の放電とDC−DCコンバータ152を動作させる。
C2放電制御手段176は、複数のスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFする場合には、順次インターリーブすることにより、ON/OFFする。図2中のC2放電制御手段72において、DC−DCコンバータ10の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ152の出力電圧に置き換えて処理を行う。このとき、一定時間毎に平滑コンデンサC2の電圧VC2からデューティ比を算出し、複数のスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFする場合には、順次インターリーブして、平滑コンデンサC2の放電とDC−DCコンバータ152を動作させる。
C1,C2放電切替制御手段178は、図2中のC1,C2放電切替制御手段74と同様に、平滑コンデンサC1の電圧VC1が低下して、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしなくなる規定電圧(電圧VC1<n×12V)なったときに、C1放電制御手段174よる平滑コンデンサC1の放電を停止して、C2放電制御手段176による平滑コンデンサC2の放電の制御を行うようC2放電制御手段176に指示する。また、平滑コンデンサC2の電圧VC2が平滑コンデンサC1の電圧VC1に等しくなった場合は、C2放電制御手段176による平滑コンデンサC2の放電を停止して、C1放電制御手段174による平滑コンデンサC2の放電の制御を行うようC2放電制御手段176に指示する。更に、平滑コンデンサC2の電圧が規定電圧(VC2≦n×20V)に等しくなったとき、C1放電制御手段174により一定のデューティ比で一定時間、複数のスイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をON/OFFする場合には、順次スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)をインターリーブし、平滑コンデンサC1を放電してから、C2放電制御手段176により一定のデューティ比で一定時間、複数のスイッチング素子Q2−i(i=1〜n)をON/OFFする場合は、順次インターリーブし、平滑コンデンサC2を放電する。この平滑コンデンサC1の放電と平滑コンデンサC2の放電とを繰り返す。
以下、平滑コンデンサC1,C2のプリチャージの動作説明をする。
FETQ4−i(i=1〜n)の少なくとも1つを一定時間ONして、平滑コンデンサC1を充電する。複数のFETQ4−i(i=1〜n)をONする場合には、同時にONする。FETQ4−iがONすると、第1実施形態と同様に、ダイオードD5−iがONして、二次巻線8bに電圧が印加され、一次巻線8aに電圧が誘導されて平滑コンデンサC1が充電される。全てのFETQ4−i(i=1〜n)をOFFして、平滑コンデンサC2の電圧が平滑コンデンサC1の電圧に等しくなるまで平滑コンデンサC2を充電する。平滑コンデンサC2が第1の規定電圧に等しくなるまで、FETQ4−i(i=1〜n)のON/OFFを繰り返す。平滑コンデンサC2の電圧が第1の規定電圧に等しくなると、メインコンタクタ4をONして、平滑コンデンサC1,C2を充電する。
双方向コンバータインバータ150の動作説明をする。
(a) 双方向コンバータ150を昇圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)を一定のデューティ比でインターリーブして順次ON/OFFする。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がONすると、一次巻線8a−i(i=1〜n)の両端に電圧V0が印加されて、二次巻線8b−i(i=1〜n)に電圧が誘導されて、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)が順次ONして、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れる。12V負荷14に流れる電流は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間では、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流の合成電流となる。スイッチング素子Q1−i(i=1〜n)がインターリーブされているので、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流もインターリーブされることとなり、合成電流のリプル電流が小さくなる。
(b) 双方向コンバータ150を降圧器として動作させる場合
スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)を一定のデューティ比でインターリーブして順次ON/OFFする。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がOFFすると、一次巻線8a−i(i=1〜n)の両端に電圧V0が印加されて、二次巻線8b−i(i=1〜n)に電圧が誘導されて、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)が順次ONして、平滑リアクトルLを通して、12V負荷14に電流が流れる。12V負荷14に流れる電流は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)がONしている期間では、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流の合成電流となる。スイッチング素子Q2−i(i=1〜n)がインターリーブされているので、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)に流れる電流がインターリーブされることとなり、合成電流のリプル電流が小さくなる。
以上説明したように本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)をインターリーブしてスイッチングするので、12V負荷14の負荷電流のリプル電流を小さくすることができ、平滑コンデンサC3の容量を小さくできる。
第4実施形態
図26は、本発明の第4実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成図であり、図24中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。本実施形態のDC/DCコンバータ200は、図24中のDC−DCコンバータ152に整流ダイオードD6−i(i=1〜n)を追加して、全波整流するようするともに、FETQ5−i(i=1〜n)、FETQ6−i(i=1〜n)及びダイオードD7−i(i=1〜n)を追加した点が異なる。
二次巻線8b−i(i=1〜n)の一端は、整流ダイオードD3−i(i=1〜n)のアノード及びFETQ4−i(i=1〜n)のソースに接続され、他端は、整流ダイオードD6−i(i=1〜n)のアノード及びFETQ6−i(i=1〜n)のソースに接続されている。また、二次巻線8b−i(i=1〜n)の所定位置のタップは、フリーホイールダイオードD4−i(i=1〜n)のアノードに接続されている。
整流ダイオードD6−i(i=1〜6)及びFET5−i(i=1〜n)は逆並列に接続されている。整流ダイオードD6−i(i=1〜6)は、アノードが二次巻線8bの他端及びFETQ6−i(i=1〜6)のソースに接続され、カソードがFETQ6−i(i=1〜6)のドレイン及びFETQ5−i(i=1〜6)のドレインに接続されている。FETQ6−i(i=1〜6)は、ソースが二次巻線8bの他端及び整流ダイオードD6−i(i=1〜6)のアノードに接続され、ドレインが整流ダイオードD6−i(i=1〜6)のカソード、FETQ5−i(i=1〜6)のドレイン及びダイオードD7−i(i=1〜6)のカソードに接続されている。
ダイオードD7−i(i=1〜6)及びFETQ5−i(i=1〜6)は逆並列に接続されている。ダイオードD7−i(i=1〜6)は、アノードがリアクトルLの一端及びフリーホイールダイオードD4のカソードに接続され、カソードがFETQ5−i(i=1〜6)のドレイン、FETQ6−i(i=1〜6)のドレイン及び整流ダイオードD6−i(i=1〜6)のカソードに接続されている。FETQ5−i(i=1〜6)は、ドレインがFETQ6−i(i=1〜6)のドレイン、整流ダイオードD6−i(i=1〜6)のカソード、ダイオードD7−i(i=1〜6)のカソードに接続され、ソースがダイオードD7−i(i=1〜6)のカソード、平滑リアクトルLの一端及びフリーホイールダイオードD4−i(i=1〜6)のカソードに接続されている。二次巻線8b−i(i=1〜n)の一端からタップまで、タップから他端までの巻線比の設定は第2実施形態と同様である。
図27は、モータECU202の機能ブロック図であり、図25中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。プリチャージ制御手段210中のC1充電制御手段212は、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)をOFF、FETQ3−i(i=1〜n)、FETQ5−i(i=1〜n)、FETQ6−i(i=1〜n)をOFF、FETQ4−i(i=1〜n)の少なくとも1つを一定時間ONし、平滑コンデンサC1を充電する。複数のFETQ4−i(i=1〜n)をONする場合には、同時にONする。C2充電制御手段214は、スイッチング素子Q1−i(i=1〜n),Q2−i(i=1〜n)をOFF、FETQ3−i(i=1〜n)、FETQ5−i(i=1〜n)をOFF、C1充電制御手段212がONしたFETQ4−i(i=1〜n)について、FETQ4−i(i=1〜n)をOFF及びFETQ6−i(i=1〜n)をONし、平滑コンデンサC1から平滑コンデンサC2に充電する。
放電制御手段222中のC1放電制御手段224は、図25中のC1放電制御手段174において、DC−DCコンバータ152の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ200の出力電圧に置き換えて処理をする。C2放電制御手段226は、図25中のC2放電制御手段176において、DC−DCコンバータ152の出力電圧に相当する電圧をDC−DCコンバータ200の出力電圧に置き換えて処理をする。
以上説明した本実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果がある。