JP5099224B2 - 振動板、電気音響変換装置、振動板の製造方法及び成形体 - Google Patents
振動板、電気音響変換装置、振動板の製造方法及び成形体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
本発明は、振動板、電気音響変換装置、振動板の製造方法及び成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
自然の木材を用いた製品は、家具、室内照明などの様々な用途に用いられている。最近では、家電製品の筐体やスピーカの素材に木を用いる場合もある。室内環境をより自然に近くすることで、おちつき、ゆとりを得る空間となるため、木材製品の重要性がますます増加してきている。
【0003】
木材は、方向によって物理的性質が異なる(異方性を有する)ことが知られている。例えば、木材を振動板に応用した場合には、木材の繊維方向と繊維方向以外の方向で音の伝搬速度が異なるため、紙や樹脂製の振動板に比べて定在波が発生しにくくなる。また、木材は、紙や樹脂に比べて音速が速く、剛性及びヤング率も大きく、金属等に比べて内部損失が大きく、密度が小さい(軽い)等の優れた特性も有する。木材を音響機器に採用することにより、木材が本来持っている自然な響きが得られるとともに、見栄えの向上が図れるなどの外観上の効果もあるため、振動板等の材料として、近年注目されてきている。
【0004】
木材を用いた振動板の例として、振動板を薄い突き板で加工する技術が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1及び2では、突き板の曲面成形における割れを防止するために、木と紙を張り合わせたシートに潤滑材を含浸させて木を柔らかくし、プレス成形時の割れを防止するというものである。
【0005】
具体的には、柔軟材(日本酒など)で軟化させた木をプレスで成形した後、水分を蒸発させると共に仮成形する。木の形状をより安定化させるために木に熱硬化性樹脂を含浸させ、その後、複数回に分けて高温プレス成形を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】
特開2003−158798号公報
【特許文献2】
特開2004−254013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数回に分けて含浸や高温プレス成形を行う技術は、製造に時間やコストを要するため、生産性の向上が困難な場合がある。また、柔軟材の軟化にも限度がある場合があり、曲率の大きな形状を加工する際には、木の割れを生じさせる可能性も考えられる。例えばイヤホン、ヘッドホン等の比較的小型及び薄型の振動板に用いる場合には、振動板の厚みをより薄くし、曲率の大きな形状、複雑な形状を加工する必要があることから、加工技術の更なる検討も望まれてきていた。
【0008】
振動板の厚みをより薄くし、曲率の大きな形状、複雑な形状をも加工可能とするために、木製シートを薄くする方法が考えられる。しかしながら、木製シートを薄くした振動板の加工技術として特許文献1及び2の方法を用いると、木製シートに含浸させた熱硬化性樹脂がプレス成形時に金型側へ染み出し、金型に貼り付く場合がある。その結果、生産性が低下する場合がある。
【0009】
また、木製シートに熱硬化性樹脂を十分に含浸させた場合、木製シートの表面及び内部全体が樹脂で覆われるため、樹脂の振動板全体に占める重量比が大きくなる。その結果、樹脂含浸後の木のシートを振動板として利用した場合に、樹脂の特性が強く出てしまう場合があり、木が本来備える有利な特性(音響特性)が得られにくい場合がある。
【課題を解決するための手段】
[0010]
上記問題点を鑑み、本発明は、軽量化が可能で、曲率の大きな形状、複雑な形状を容易に加工でき、木が本来備える有利な特性をより効果的に発揮させることが可能な振動板、電気音響変換装置、振動板の製造方法及び成形体を提供することを目的とする。
[0011]
上記問題点を解決するために、本発明の一態様は、繊維材料を含み、第1面と第1面に対向する第2面を有する第1の層と、1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第2面上に配置される第3面及び第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、第1の層中及び第2の層中に設けられ、第1の層と第2の層とを接着する樹脂部と、を備え、第4面上の樹脂部の充填量が、第3面上の樹脂部の充填量よりも少なくなるように、第2の層の前記木材繊維内及び前記隙間に樹脂部が配置されていることを特徴とする振動板であることを要旨とする。
[0012]
本発明の他の態様は、繊維材料を含み、第1面と第1面に対向する第2面を有する第1の層中に樹脂を含浸させる工程と、含浸させた第1の層を乾燥させる工程と、1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第3面及び第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、前記第1の層とに水分を与えて軟化させる工程と、軟化させた前記第2の層の前記第3面と、軟化させた前記第1の層の前記第2面とを重ねた状態で、軟化させた第1の層及び第2の層を熱プレスし、第1の層中の樹脂を第2の層中へ充填させ、樹脂を介して第1の層と第2の層とを接着する工程と、接着させた第1の層と第2の層とを振動板形状に成形する工程と、を備え、接着する工程は、第2の層の第4面上の樹脂の充填量が、第3面上の樹脂の充填量よりも少なくなるように、第1の層中の樹脂を第2の層の前記木材繊維間及び前記隙間に充填させる振動板の製造方法であることを要旨とする。
[0013]
本発明の他の態様は、繊維材料を含み、第1面と第1面に対向する第2面を有する第1の層中に樹脂を含浸させる工程と、含浸させた第1の層を乾燥させる工程と、1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第3面及び第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、前記第1の層とに水分を与えて軟化させる工程と、軟化させた前記第2の層の前記第3面と、軟化させた前記第1の層の前記第2面とを重ね、軟化させた前記第4の層の前記第5面と、軟化させた前記第1の層の前記第1面とを重ねた状態で、前記第1の層、第2の層及び第4の層を熱プレスし、第1の層中の樹脂を第2の層中及び第4の層中へ充填させ、樹脂を介して第1の層、第2の層及び第4の層を接着する工程と、接着させた第1の層、第2の層及び第4の層を振動板形状に成形する工程と、を備え、接着する工程は、第2の層の第4面上の樹脂の充填量が、第3面上の樹脂の充填量よりも少なくなるように、第1の層中の樹脂を第2の層の前記木材繊維内及び前記隙間に充填させ、且つ、第4の層の第6面上の樹脂の充填量が、第5面上の樹脂の充填量よりも少なくなるように、第1の層中の樹脂を第4の層の前記木材繊維内及び前記隙間に充填させる工程を含む振動板の製造方法であることを要旨とする。
[0014]
本発明の他の態様は、繊維材料を含み、第1面と第1面に対向する第2面を有する第1の層と、1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第2面上に配置される第3面及び第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、第1の層中と第2の層中に設けられ、第1の層と第2の層とを接着する樹脂部と、を備え、第4面上の樹脂部の樹脂量が、第3面上の樹脂部の樹脂量より少なくなるように、第2の層の前記木材繊維内及び前記隙間に樹脂部が配置されている成形体であることを要旨とする。
発明の効果
[0015]
本発明によれば、軽量化が可能で、木材部分が割れたり、成型時に金型へ張り付いたりすることなく曲率の大きな形状、複雑な形状を容易に加工でき、木が本来備える有利な特性をより効果的に発揮させることが可能な振動板、電気音響変換装置、振動板の製造方法及び成形体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
[0015]
[図1]図1は、本発明の実施の形態に係る成形体の例を示す断面斜視図である。
[図2]図2は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る成形体の例を示す断面斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る成形体の例を示す断面斜視図である。
【図4】図4(a)は、本発明の実施の形態に係る振動板の例を示す平面図、図4(b)は図4(a)に示す振動板の断面図、図4(c)は、図4(b)の領域Aの詳細を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る振動板と第1〜第3比較例に係る振動板の音の伝搬速度と内部損失の測定結果の例を示す表である。
【図6】図6(a)は本発明の実施の形態の変形例に係る振動板の平面図、図6(b)は、図6(a)の振動板の断面図である。
【図7】図7(a)〜図7(i)は、本発明の実施の形態に係る振動板の製造方法を示す説明図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る振動板を搭載する第1の電気音響変換装置の例を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る振動板を搭載する第2の電気音響変換装置の例を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る成形体を用いた照明器具の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
【0018】
−成形体−
本発明の実施の形態に係る成形体1aは、繊維材料を含み、第1面と第1面に対向する第2面を有する基材層(第1の層)3と、1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第2面上に配置される第3面及び第3面に対向する第4面を有する表面層(第2の層)2と、基材層3中及び表面層2中に設けられ、基材層3及び表面層2を接着する樹脂部4とを備える。
【0019】
表面層2としては、天然木の無垢材を1枚のシート状にスライスした材料が用いられる。天然木としては、針葉樹、広葉樹が使用可能である。特に、振動板の材料として音響特性面(伝搬速度、内部損失)を考慮した場合は、ブナ、シナ、オーク、チェリー、ケヤキ、桜、ラワン、カバ、カエデなどの広葉樹が好適に使用される。中でも、カバ材、シナ材等の広葉樹は、他の材料に比べて音速が速いため、振動板の材料としては特に好適である。
【0020】
針葉樹としては、松、スギ、檜が好適に使用される。木材資源、環境の有効活用という点からは、スギなどの間伐材を用いれば一層好ましい。その他、例えば特開2004−254013号公報に記載されるような木材を用いてもよい。
【0021】
表面層2は、丸太状の木材を回転させながら切削刃をあて、ロータリスライス、所謂、かつらむきを行うことで作ることができる。表面層2は、板目板材もしくは柾目板材からのスライス加工より作製してもよい。
【0022】
表面層2として広葉樹を用いる場合は、心材を用いるよりも辺材が用いることが好ましい。辺材は、肌理が細かく成型時に割れにくい特徴があり、ある程度の強度(剛性)及び耐久性が必要とされる振動板に対しては、特に好適である。
【0023】
曲率の大きな立体形状、複雑な立体形状を有する成形体の作製を可能とするためには、超仕上げかんな盤を用いて加工を行うことによって、極薄のシートを作成するのが好ましい。極薄のシートを作製することにより、光の透過性が高くなるため、図10で後述するように、図1の成形体1aを照明器具等に応用することができる。また、携帯電話、テレビ、音響機器の筐体表面、スピーカユニットのフレーム表面、棺桶の表面等に貼着することにより、貼着対象物の軽量化が可能となる。
【0024】
表面層2は、天然木が有する導管や仮導管などを含む細胞組織(木材繊維)21と、細胞組織21の内部及び細胞組織21間に形成された図1断面方向に不連続な隙間22aを有している。表面層2を一定以下の厚みにすると、厚み方向の木材繊維21の量が少なくなる。その結果、図1に示すように、木材繊維21間の微小な隙間22aが、一定以上の確率で、表面(第4面)から裏面(第3面)を貫通する隙間(貫通孔)22bとなってあらわれる。木の材質による程度の差はあるが、例えば、表面層2の厚みを140μm以下とすると、表面層2の至る所に貫通孔22bが発生してくるため、表面層2の光の透過性が増すとともに、大きな曲げに対しても割れにくく柔軟な構造になる。
【0025】
例えば、本実施形態に係る表面層2としてカバ材を厚さ約80μmとなるようにシート状にスライスした場合には、表面層2の表面上に現れた貫通孔22bの長さは、長くても約500μm以下となる。しかしながら、表面層2の全体の表面積に対する貫通孔22bの面積の割合を考慮すれば、表面層2上に500μmの貫通孔22bが複数個形成されているとしても、木材繊維21同士が繋がっている部分の方が大きいので、本実施形態に係る表面層2としてのシート形状は、十分に維持できる。
【0026】
なお、木材は天然物のため、繊維密度は必ずしも一定ではない。そのため、例えばカバ材の厚みを50μm以下まで薄くすると、表面層2のある場所によっては木材繊維21同士がばらばらになり、シート状の形状が維持できなくなる。木材の種類による木材繊維21の大きさの影響もあり、材料毎に最適な厚みはそれぞれ異なるが、表面層2としての厚みは、一般的には、厚さ50μm〜140μm、更には80〜120μm程度とするのが好ましい。
【0027】
これにより、シート形状を維持しながらも、木材繊維21同士の間に表面層2の両面を貫通する貫通孔22bを複数有する表面層2が形成できる(図1参照)。この貫通孔22bが、成形体1aの成形時に緩衝作用をもたらすとともに、貫通孔22b及び隙間22aの一部を樹脂部4が埋めることによって、成形体1aが大きく裂けることなく補強され、シート状もしくは立体状に成形可能となるものである。
【0028】
基材層3としては、和紙、不織布等の繊維質の材料が好適に用いられる。不織布の中でも強度の強い材料としては、雁皮、マニラ麻、コウゾなどが挙げられる。基材層3の厚みは、成形体1aとして必要な強度を有する材質、厚みを適宜選択すればよい。異なる厚さの成形体1aを作成する際にも、基材層3の厚みだけを変更すればよく、表面層2としての天然木シートは上述した材料と同様のものを用いることが出来るので、天然木シートの在庫管理が簡単となる。また、基材層3の厚みを例えば10〜15μm程度にすることにより、軽量化が可能になると同時に、表面層2に積層した際の光の透過性を向上させることもできる。
【0029】
樹脂部4としては、レゾール型フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が好適に用いられる。樹脂部4は、基材層3の繊維の内部(隙間)に分散して入り込んでいるとともに、表面層2の木材繊維21の内部及び木材繊維21の間に形成された隙間22a及び貫通孔22bに埋設された構成となっており、基材層3と表面層2とが樹脂部4を介して一体化するように接着されている。
【0030】
後述する製造方法により詳細に説明するが、樹脂部4は、樹脂を予め含浸させた基材層3を用意し、この基材層3中の樹脂を、熱プレスにより、表面層2の隙間22a、22bの一部へ徐々に浸透させることによって得られた樹脂層である。そのため、表面層2の基材層3と接する側の面を第3面、第3面と反対側の面を第4面と定義した場合に、表面層2の第3面側から第4面側に向かって樹脂部4の樹脂充填量が漸減している。
【0031】
本実施形態に係る成形体1aの断面観察結果によれば、表面層2の第3面の樹脂充填量(重量比)を100%とした場合に、表面層2の第4面の樹脂充填量が60%以下、より好ましくは10〜50%程度であるのが好ましい。
【0032】
表面層2の第4面の樹脂充填量が60%より大きいと、隙間22bに入り込んだ樹脂が表面層2aの第4面側に回り込み、表面層2の第4面全体が樹脂部4で覆われる恐れがある。その結果、第4面全体に回り込んだ樹脂部4が、プレス加工時に金型に付着し、加工品が割れたり破れたりする場合がある。或いは、樹脂部4で第4面全体が覆われることにより、人工的な光沢が表れ、天然木をそのまま用いたような外観が得られない場合がある。
【0033】
表面層2の第4面の樹脂充填量を60%より大きく(例えば70%程度)としても、成形体1aを少数成形する場合には、不可能ではない。しかしながら、量産によりプレス回数が増えると、金型面へ硬化した樹脂が付着してゆくため、成形体1aの最終形状に影響を及ぼす可能性がある。また、成形体1aの金型面への貼り付きが起こりやすくなるため、商品が破損する場合もある。
【0034】
従来、曲面形状を有する立体状の木材加工品を得るためには、無垢の木を切り出して作製していた。また、円筒形などの簡単な曲率の小さい曲面形状の木材加工品は、例えばプラスチックなどの筐体の表面に薄くスライスされた板(突き板)を貼り付ける等の方法で、加工コストおよび木材使用量を低減させてきていた。
【0035】
しかしながら、無垢の木材を削り出す方法は加工に時間が掛かるうえ、木材を大量に使用するため、生産性が低い。また、木材を大量に消費するとともに、削りだした木屑が大量に発生するため、環境上好ましくない。
【0036】
また、一般的に突き板と呼ばれる材料でも厚さ150μm〜500μmの範囲にあり、140μm以下に薄くスライスすることは、歩留まりや加工精度においても一般的ではない。140μm以上の厚さの木材に対し、曲面が急な形状や複雑な形状にプレス成形すると、割れが生じてしまうという問題もあった。
【0037】
薄くスライスした木のシートと接着性の樹脂からなる不織布との複合シートを複数枚重ねて積層することで、曲面加工時の割れを防止する方法もある(特開平5−83792号公報)。しかしながら、接着層が増えて接着剤の重量により重量が増加するとともに、木のシートを複数枚重ね合わせて積層することにより、木の繊維方向による強度差も出るため、割れが発生しやすくなるとともに、曲面形状が大きな三次元形状の成形は困難であるという問題があった。
【0038】
これに対し、本実施形態に係る成形体1aによれば、厚さ140μm以下の天然木からなる表面層2と、表面層2と基材層3に存在する隙間に埋め込まれ、表面層2及び基材層3と一体に接着する樹脂部4とを具備する。これにより、表面が天然木でありながらも軽量で強度の高い成形体が得られるため、曲率の大きな形状、複雑な形状が容易に加工できる。
【0039】
更に、成形体1aの表面層2に浸透した樹脂部4は、第3面側から第4面側に向かうほど樹脂充填量が低下している(表面層2の第4面の樹脂部4の充填量が第3面の樹脂部4の樹脂充填量より少ない)ため、表面層2の第4面全体への樹脂部4の染み出しが少ない。そのため、プレス加工時の樹脂部4の金型への焼き付きが抑制され、加工性が向上する。また、表面層2の人工的な光沢の発生も抑制されるため、天然木により近い外観も得られる。図1の成形体1aを振動板に成形した場合には、木が本来備える有利な特性をより効果的に発揮させることができ、紙や樹脂に比べて高い音響効果を発揮させることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態に係る成形体1aは、プレス成形によって樹脂部4が基材層3側から表面層2側へ埋め込まれることにより、基材層3及び表面層2間に樹脂部4が絡み合うような構造を有しており、基材層3と表面層2とが強固に結合されている。よって、成形体1aは、複数の層を樹脂フィルムを介して接着する従来の複合シート等に比べて剥離が生じにくいなるとともに、樹脂部4の埋設により強度が増すため、破れにくくなる。
【0041】
(第1変形例)
図2に示すように、第1変形例に係る成形体1bは、基材層3の裏面上(図2の紙面下側:第1面)に積層された補強層(第3の層)5を更に備える点が、図1に示す成形体1aと異なる。補強層5は、熱硬化性樹脂層或いは熱可塑性樹脂層(図示省略)等を介して基材層3に接着されている。
【0042】
補強層5の材料は特に限定されない。例えば紙、布、プラスチック、金属板等が用いられる。振動板として用いる場合には、振動板の重量を考慮して厚みや材料を選択すればよい。補強層5としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルム等が好適に用いられる。表面層2は、木材繊維21同士の隙間22bに埋め込まれた樹脂成分が光を透過するので、隙間22bが殆どない厚い突き板を用いるよりも、光の透過量が大きくなる。また、表面層2と補強層5との間に薄い基材層3を介することにより、接着強度をさらに向上させることができる。図2においても、表面層2は、内部に浸透した樹脂部4で強度が向上していると共に、高分子フィルムにより補強処理されているため、更なる強度向上が図られている。
【0043】
(第2変形例)
図3に示すように、第2変形例に係る成形体1cは、第1面及び第1面に対向する第2面を有する基材層(第1の層)3と、基材層3の第2面上に積層された表面層(第2の層)2aと、基材層3の第1面上に積層された裏面層(第4の層)2bと、基材層3、表面層2a及び裏面層2b中に配置された樹脂部4とを備える。
【0044】
表面層2a、裏面層2bとしては、図1の表面層2と実質的に同様の材料及び構成を用いることができる。裏面層2bを配置することにより、両面が木材で覆われるため、外観上は、木材のみで形成された成形体とほぼ同等の成形体を得ることができる。また、表面層2a、裏面層2bの木材の繊維方向を適切に組み合わせること(例えば、表面層2a、裏面層2bの繊維方向を直交させるように積層する)等により、そり変形を防止することもできる。後述するスピーカ振動板に用いる場合に、異方性の適切な制御による音響特性の向上を図ることもできる。
【0045】
表面層2a、基材層3、裏面層2bの隙間の中には、熱プレスにより、樹脂部4が埋設されているので強度が向上している。表面層2a、裏面層2bとしては、厚さ140μm以下の木材を利用することにより、木材の使用量も低減できる。
【0046】
図3に示す成形体1cは、加熱プレス工程などを経ることにより、樹脂が熱で変形、硬化し、曲面形状、立体形状を保持することが可能となる。さらに、表面層2a及び裏面層2bに形成された繊維同士の断続的な隙間が、成形体1cを曲げたときに緩衝作用を与えるため大きく裂けることがない、また、隙間に樹脂部4が埋め込まれ、表面層2aと裏面層2bと基材層3の内部深くまで浸透しているので、樹脂部4により強化される部分は成形体1cのほぼ全体にわたる。そのため、立体形状がより強固となり、変形にも強い成形体1cとなる。
【0047】
図3に示す成形体1cは、表裏とも表面が木材であるため、美しい木目が両面にあらわれ、あたかも薄い無垢の木材のように見え、かつ強固な立体形状を維持できる。成形体1cの立体形状を強固にするためには、樹脂部4の樹脂の含有量を増やす、基材層3の厚みを増す、などの方法で対処可能であり、木材の使用量を増やす必要がない。従って、環境にも非常に良い。
【0048】
−振動板−
図4(a)及び図4(b)に示すように、実施の形態に係る振動板7aは、円錐(コーン)状の振動部72と、振動部72の略中心に設けられた開口部71とを有する。振動部72の形状は、図4(a)及び図4(b)に示す構成に限られない。例えば、断面がドーム形状となるような、図9に示す振動板16の形状を有していても構わない。
【0049】
図4(c)に示すように、振動板7aは、表面層2a、基材層3、裏面層2bが順に積層されている。表面層2a、基材層3、裏面層2bを一体化するように、樹脂部4がそれぞれの内部に埋設されている。なお、図4(c)においては、図3に示す成形体1cを用いた振動板7aの例を示したが、図1、図2に示すような成形体1a、1bを用いた振動板を採用できることは勿論である。
【0050】
振動板7aを搭載するスピーカの特性を良好にするためには、振動板7aの固有振動数を高くして、ピストン運動領域を拡大させることが必要である。そのためには、伝播速度(音速)が早い振動板材料の物理特性、つまり(ヤング率/密度)が大きいことが要求される。また、固有振動数で生じる共振ピークを抑え、再生周波数特性をより平坦化する必要がある。その為には、内部損失の大きい振動板材料の物理特性が要求される。
【0051】
木材は楽器などで用いられるように、伝播速度が速く、内部損失が大きいことが特徴である。本実施形態に係る振動板7aによれば、表面に木材そのものを使用しているため、音速が早くかつ内部損失が大きくなる。更に、表面層2a、裏面層2bの内部にまで浸透した樹脂部4の効果により、剛性も高くなるため、振動板としての強度も高くなる。更に、140μm以下の木材を使用することにより、より薄くかつ軽量化した振動板7aが得られる。更に、成形の自由度も高くなるため、補強用のリブなどを設けた振動板構造を採用することも可能となる。
【0052】
図5に、本発実施形態に係る振動板7a、第1比較例(従来の木製振動板)、第2比較例(従来の紙製振動板)、第3比較例(アルミ製振動板)についての、音の伝搬速度と内部損失の測定結果の例を示す。本実施形態に係る振動板7aの材料構成としては、表面層2a、裏面層2bの材料としてカバ、基材層3との材料として雁皮紙、樹脂部4の材料としてフェノール樹脂を用いた場合を例示している。
【0053】
図5に示すように、本実施形態に係る振動板7aは、第1比較例(木製)および第2比較例(紙製)に比べて伝播速度が高いことがわかる。これは、表面層2a、裏面層2bの高い弾性率が、基材層3などで補強を行っても維持され、かつ樹脂部4による軽量化・強度向上による効果が加わり、従来の振動板よりも特性が向上したものと考えられる。内部損失は、第1比較例(木製)を使用したときと同等となっており、第3比較例(アルミニウム)に比べると格段と大きい。アルミニウムなどの材質は、伝播速度が速いものの内部損失が小さいため、主に高域専用のツイータなどに用いられる。一方、本発明の実施の形態に係る振動板7aによれば、高域特性に優れた伝播速度を持ち、かつ内部損失も従来の木製及び紙の振動板に近い特性を持つので、広い周波数帯域に対応可能な優れた振動板となる。
【0054】
(変形例)
図6(a)及び図6(b)に示すように、本変形例では、振動板形状が中心を基準として非点対称の場合、即ち例えば楕円形状のような形状を表している。振動板7bが楕円形状の場合は、向きにより強度が異なる。即ち、振動板7bが楕円形状の場合は、長手方向(紙面水平方向)の強度が強く、振動板7bとしたときの撓みが小さい。従って、等方的な振動板材料を用いれば、スピーカに搭載した場合の振動時の短手方向が撓み易くなる。
【0055】
一方、木材は繊維の向きによる異方性性質を有し、一般的に繊維方向が非繊維方向よりも強度が強い。従って、楕円形状の長手方向と木材の繊維方向を略直交させることで、形状による強度差と、木材異方性による強度差が相殺されるため、楕円形状であっても振動板としての強度のバランスが取れる。従って、スピーカとしての振動時の撓みが小さくなり、音響特性も良好となる。
【0056】
−振動板(成形体)の製造方法−
図7(a)〜図7(i)は、本発明の実施の形態に係る振動板7cの製造方法の例を示す。なお、図1〜図3に示す成形体1a、1b、1c及び図4(a)〜図4(c)、図6(a)及び図6(b)に示す振動板7a、7bの製造方法も、図7(a)〜図7(i)に示す方法と同等の方法を採用できることは勿論である。
【0057】
まず、図7(a)に示すように、シート状の表面層2と基材層3とを用意する。表面層2としては、例えば、両面を貫通する木材繊維の隙間を有し、厚さ140μm以下、更には厚さ50〜120μm程度の無垢材の広葉樹(カバ材)をスライスした1枚のシートが好適に用いられる。基材層3としては不織布等が用いられる。
【0058】
図7(b)に示すように、用意した表面層2及び基材層3のうち、基材層3のみを樹脂溶液12を収容した容器9の中に一定期間(例えば10分〜1時間、30℃以下の室温で)浸し、樹脂を基材層3の内部まで十分に含浸させる。なお、表面層2を含浸すると樹脂が表面全体に付着して重量が増す上、プレス成型時に表面層2と金型10の間で硬化した樹脂が張り付き、金型10と表面層2との離型が出来なくなるため、表面層2には含浸しないのが好ましい。
【0059】
図7(b)の樹脂溶液12としては、例えば熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂が利用できる。樹脂の量が多すぎる場合は、たとえばメタノールなどの溶液に溶かして希釈して用いればよい。樹脂の最適な濃度は、基材層3及び表面層2の厚みにより異なるが、一般的には含浸させる材料の厚みが薄いほど、濃度が薄いほうが好ましい。
【0060】
図7(c)に示すように、容器9の中から基材層3を取り出し、基材層3を温風により乾燥させる。一旦基材層3を乾燥させることにより、乾燥させない場合に比べて基材層3の取り扱いが容易となり、製造作業の能率の向上が図れる。なお、基材層3は自然乾燥させてもよい。
【0061】
図7(d)に示すように、基材層3の表面上に表面層2を積層し、これらを所定の温度に設定したプレス金型10内に配置する。プレス金型10は、雄型10aと雌型10bとを有する。この際、雄型10aと雌型10bの表面には、表面層2、樹脂溶液12、基材層3が金型10に貼り付きにくいように、離型処理をしておくのが望ましい。離型処理とは、たとえば金型10の表面に離型剤を塗布しておく、テフロン(登録商標)などのフィルムを貼り付けておく、などの方法が挙げられる。これは、樹脂が表面層2の両面を貫通する天然木の微小の隙間(図1の隙間22b)から表面へ染み出し、部分的に樹脂が金型10の表面へ到達するためである。金型10の温度は、樹脂が十分に硬化する温度が必要であり、例えば160〜220℃程度が適当である。
【0062】
引き続き、基材層3及び表面層2を水蒸気雰囲気下に晒し、基材層3及び表面層2を軟化させる。「水蒸気雰囲気化に晒す」とは、例えば、基材層3及び表面層2に水蒸気又は水を噴霧することで金型10に蒸気を吹き付けること等を意味する。或いは、「水蒸気雰囲気化に晒す」とは、基材層3及び表面層2に水分を含ませる等の方法により作り出してもよい。曲率の大きい成形体への加工容易性を考慮すれば、基材層3及び表面層2の含水率は、多ければ多いほど、基材層3及び表面層2を膨張させることができるので好ましい。
【0063】
図7(e)に示すように、基材層3及び表面層2を所定の圧力でプレスし、変形させる。
【0064】
図7(e)のようにして、天然木である表面層2が曲げられるとき、水蒸気による木の軟化と共に、表面層2の両面を貫通する隙間部分が緩衝領域として作用するため、木材部分が大きく裂けることがなく、曲面形状を成形しやすくなる。
【0065】
なお、プレス条件としては、例えば、温度、時間、圧力条件を相互に調整するのが好ましい。例えば温度を220℃、時間を30秒と固定したときには、圧力を0.2〜1.5MPaとするのが好ましい。上述の条件において圧力を1.5MPaより高くすると、表面層2上に樹脂が染み出すぎて金型10にはりつき、成形は出来ても、金型10からの離型ができず、破れてしまう場合がある。一方で、圧力を0.2MPaより小さくすると、樹脂が表面層2の内部へ十分浸透せず成形後の変形が生じやすい傾向にあることが本発明者らの検討により確認されている。なお、加工温度を220℃より低くする場合には、圧力の上限は1.5MPaより小さく、下限は0.2MPaより大きく制御することにより、表面層2上の表面全体に樹脂が染み出さないようにするように制御することが好ましい。
【0066】
図7(f)に示すように、一度プレスして所定の時間が経過した後、金型10(雄型10a、雌型10b)を開いて水蒸気を開放させる。これにより、基材層3及び表面層2の中に封じ込まれた水分及び樹脂の溶剤成分のガスが開放される。その結果、基材層3及び表面層2の中にガスが溜まるのを抑制できる。開放時間は、圧力値や金型温度により最適値が異なるが、具体的には、例えば金型10の温度を200℃とし、圧力を0.5MPaとした場合には、約10秒プレスした後に約10秒間、1回だけ開放することにより、表面層2及び基材層3の水分及び溶剤成分は、十分に蒸発する。
【0067】
図7(g)に示すように、再度プレスを行い、樹脂を表面層2へ徐々に浸透させつつ硬化するまで、所定の時間及び圧力を保つ。例えば、蒸気の温度、圧力であれば、約30秒で十分に樹脂が硬化する。プレスの圧力により樹脂は延ばされて、表面層2及び基材層3全体にいっそう浸透する。この際、基材層3に含浸した樹脂が表面層2の表面(第4面)側全体に染み出さないようにして、樹脂を表面層2が有する隙間の一部に埋設させるように制御するのが好ましい。このように、基材層内の樹脂を表面層2へ徐々に浸透させるようにプレス成形時の温度、圧力、時間を適切に制御することにより、天然木からなる表面層2内部の樹脂の充填量が、基材層3と接する側の面(第3面)から基材層3と接しない側の面(第4面)に向かうに従って低下(漸減)するような勾配を設けることが出来る。また、プレス成形時の温度、圧力、時間を適切に制御することにより、表面全体への樹脂の染み出しを制御し、表面層2の樹脂の充填量を一定範囲に制御することが出来る。結果、金型10に付着する樹脂の量も低減できるため、樹脂の付着を防ぐことができ、加工性が向上する。
【0068】
図7(h)に示すように、金型10から成形体11を取り出し、冷却する。その後、図7(i)に示すように、枠部分と開口部と切削して所定の振動板形状を形成することにより、本実施形態に係る振動板7cが製造できる。
【0069】
本実施形態に係る振動板の製造方法によれば、表面層2を水蒸気で軟化させると同時にプレス加熱で表面層2と基材層3との貼付けおよび成型ができるので、プレス工程が簡略化され、生産性が良くなる。また、図7(d)〜図7(g)に示すプレス工程において、樹脂部4が表面層2の表面側(第4面側)全体に染み出さないように制御すると同時に、基材層3に含浸された樹脂を表面層2の両面を貫通する隙間22bに埋設する。その結果、プレス加工時に樹脂部4が金型に付着せず、成形品が割れたり破れたりすることなく加工でき、かつ作業の効率化が図れる。さらに、製造後の振動板の表面層2の表面全体が樹脂により被覆されていないので、木が本来備える有利な特性をより効果的に発揮させることが可能となる。
【0070】
図7(a)〜図7(i)に示す例においては、振動板を一例に製造方法を説明している。しかし、図1に示すような成形体1aを製造する場合は、金型10を用いずとも例えばアイロンのようなものを利用して、スチームおよび加熱加圧により、表面層2と基材層3とを積層接着してもよい。
【0071】
図7(a)〜図7(i)に示す例においては、樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合を説明している。しかし、例えば熱可塑性樹脂が用いられる場合には、たとえば加熱した金型でプレスした状態で一定時間保ち、その状態のままで金型を冷却した後に成形体11を取り出すとよい。
【0072】
−電気音響変換装置−
図8に示すように、第1の電気音響変換装置100は、ドーナツ状のプレート35、プレート35の下に設けられたドーナツ状のマグネット36及びポールピース30を備える磁気回路34と、磁気回路34上に配置されたフレーム33と、フレーム33に固定された振動板15を備える。プレート35とポールピース30との間の磁気ギャップ37には、ボイスコイル31aが遊挿されている。ダンパー32は、ボイスコイルボビン31b及びフレーム33に接着されている。
【0073】
本実施形態に示した成形体1a〜1cは、図8の振動板15として利用することができる。振動板15は、断面がコーン(円錐)形状を有する振動部材13と、振動部材13の外周部(エッジ)の全周に渡って取り付けられたゴムエッジ14を有する。ゴムエッジ14は、ガスケット39を介してフレーム33に固定されている。振動部材13は中心に開口部を有しており、開口部には、ボイスコイル31aへの異物の侵入を防ぐためのキャップ38が取り付けられている。
【0074】
図8に示す電気音響変換装置100によれば、厚さ140μm以下の表面層2を有する振動板15が搭載されるため、振動板15の重量が従来の木製振動板に比べて軽くなる。そのため、低周波数域の出力音圧レベル(周波数特性)を向上させることができ、より音響特性の高い電気音響変換装置100が提供できる。
【0075】
図9は、本発明の実施の形態に係る振動板16を搭載した第2の電気音響変換装置200の一例を示す断面図である。
【0076】
図9に示すように、第2の電気音響変換装置200は、磁気回路44を収容するフレーム45と、フレーム45の外縁部に固定された振動板16とを備える。磁気回路44は、磁極41と中心極42と永久磁石43を含む。磁極41、中心極42、永久磁石43は、フレーム45の凹部から突出する柱状突起19と嵌合し、磁極41と中心極42との間に所定のギャップGを有してフレーム45内に収納されている。
【0077】
本実施形態に示した成形体1a〜1cは、図9の振動板16として利用することができる。
【0078】
振動板16は、断面が略ドーム形状の中央振動部と、中央振動部の外周全周にわたって配置された外周振動部と外周振動部の外周全面にわたって配置されたエッジ17を備える。エッジ17は、フレーム6の外縁部に固定されている。ボイスコイル18は、振動板16の中央振動部と外周振動部との間の連結部分に、接着剤等により接続されている。ボイスコイル18は、磁極41と中心極42との間に配置されたギャップGに懸垂されている。
【0079】
図9に示す電気音響変換装置200も、図8に示す電気音響変換装置100と同様に、低周波数域の出力音圧レベル(周波数特性)を向上させることができ、より音響特性を高くできる。
【0080】
−照明器具−
図10は、実施の形態に係る成形体を照明器具8に応用した場合の例を示している。本実施形態では、図1〜図3に示した成形体(木製シート)1a〜1cを照明器具8の柱81に固定された傘82に利用するものである。
【0081】
実施の形態に係る照明器具8によれば、傘82の表面に用いられる木材部分が非常に薄く、また、木材部分に繊維同士のわずかな隙間が存在するため、光を透過しやすい。したがって、従来の和紙や、厚さ140μ以上の突き板木材を用いて作製した照明器具より以上の明るさが得られる。また、実施の形態に係る成形体1a〜1cを用いて、照明器具8の傘82のような曲面形状としたとき、表面層2が有する隙間の緩衝作用により、破れたり割れたりすること無く曲率の大きい曲面形状を容易に得ることができるため、様々な意匠の照明器具を作製することが可能となる。
【0082】
このように、本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。なお、2008年6月3日に出願された特願P2008-146144全体は本書に組み込まれる。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論であり、この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、振動板、電気音響変換装置、照明器具、建築材料、家電製品の筐体、家具の表面材等の木材を利用する製品及びそれらの製造方法に適用できる。
Claims (11)
- 繊維材料を含み、第1面と前記第1面に対向する第2面を有する第1の層と、
1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、前記第2面上に配置される第3面及び前記第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、
前記第1の層中及び前記第2の層中に設けられ、前記第1の層と前記第2の層とを接着する樹脂部と、
を備え、
前記第4面上の前記樹脂部の充填量が、前記第3面上の前記樹脂部の充填量よりも少なくなるように、前記第2の層の前記木材繊維内及び前記隙間に前記樹脂部が配置されていることを特徴とする振動板。 - 前記第2の層の厚さが50〜120μmであることを特徴とする請求項1に記載の振動板。
- 前記樹脂部は、前記第1の層中の樹脂を、熱プレスにより前記第2の層中へ充填させて得られることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の振動板。
- 前記第1面上に配置された第3の層を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動板。
- 1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、前記第1の層の前記第1面上に配置される第5面及び前記第5面に対向する第6面を有し、前記第5面から前記第6面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第4の層を更に有し、
前記樹脂部は、前記第1の層と前記第4の層とを更に接着すると共に、前記第6面上の前記樹脂部の充填量が、前記第5面上の前記樹脂部の充填量より少なくなるように、前記第4の層の前記木材繊維間及び前記隙間に更に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動板。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動板を用いたことを特徴とする電気音響変換装置。
- 繊維材料を含み、第1面と前記第1面に対向する第2面を有する第1の層中に樹脂を含浸させる工程と、
含浸させた前記第1の層を乾燥させる工程と、
1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第3面及び前記第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、前記第1の層とに水分を与えて軟化させる工程と、
軟化させた前記第2の層の前記第3面と、軟化させた前記第1の層の前記第2面とを重ねた状態で、前記第1の層及び前記第2の層を熱プレスし、前記第1の層中の樹脂を前記第2の層中へ充填させ、前記樹脂を介して前記第1の層と前記第2の層とを接着する工程と、
接着させた前記第1の層と前記第2の層とを振動板形状に成形する工程と、
を備え、
前記接着する工程は、前記第2の層の前記第4面上の前記樹脂の充填量が、前記第3面上の前記樹脂の充填量よりも少なくなるように、前記第1の層中の樹脂を前記第2の層の前記木材繊維間及び前記隙間に充填させる
ことを特徴とする振動板の製造方法。 - 繊維材料を含み、第1面と前記第1面に対向する第2面を有する第1の層中に樹脂を含浸させる工程と、
含浸させた前記第1の層を乾燥させる工程と、
1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第3面及び前記第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、第5面及び前記第5面に対向する第6面を有し、前記第5面から前記第6面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第4の層と前記第1の層とに水分を与えて軟化させる工程と、
軟化させた前記第2の層の前記第3面と、軟化させた前記第1の層の前記第2面とを重ね、軟化させた前記第4の層の前記第5面と、軟化させた前記第1の層の前記第1面とを重ねた状態で、前記第1の層、前記第2の層及び前記第4の層を熱プレスし、前記第1の層中の樹脂を前記第2の層中及び前記第4の層中へ充填させ、前記樹脂を介して前記第1の層、前記第2の層及び前記第4の層を接着する工程と、
接着させた前記第1の層、前記第2の層及び前記第4の層を振動板形状に成形する工程と、
を備え、
前記接着する工程は、前記第2の層の前記第4面上の前記樹脂の充填量が、前記第3面上の前記樹脂の充填量よりも少なくなるように、前記第1の層中の樹脂を前記第2の層の前記木材繊維内及び前記隙間に充填させ、且つ、前記第4の層の前記第6面上の前記樹脂の充填量が、前記第5面上の前記樹脂の充填量よりも少なくなるように、前記第1の層中の樹脂を前記第4の層の前記木材繊維内及び前記隙間に充填させる
ことを特徴とする振動板の製造方法。 - 前記接着する工程は、温度160〜220℃、圧力0.2〜1.5MPaで熱プレスする工程を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の振動板の製造方法。
- 繊維材料を含み、第1面と前記第1面に対向する第2面を有する第1の層と、
1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、前記第2面上に配置される第3面及び前記第3面に対向する第4面を有し、前記第3面から前記第4面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第2の層と、
前記第1の層中と前記第2の層中に設けられ、前記第1の層と前記第2の層とを接着する樹脂部と、
を備え、
前記第4面上の前記樹脂部の樹脂量が、前記第3面上の前記樹脂部の樹脂量より少なくなるように、前記第2の層の前記木材繊維内及び前記隙間に前記樹脂部が配置されていることを特徴とする成形体。 - 1枚のシート状にスライスされた厚さ140μm以下の天然木を含み、前記第1の層の前記第1面上に配置される第5面及び前記第5面に対向する第6面を有し、前記第5面から前記第6面に貫通する貫通孔を含む前記天然木の木材繊維間に形成された隙間を備えた第4の層を更に有し、
前記樹脂部は、前記第1の層と前記第4の層とを更に接着すると共に、前記第6面上の前記樹脂部の充填量が、前記第5面上の前記樹脂部の充填量より少なくなるように、前記第4の層の前記木材繊維間及び前記隙間に更に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の成形体。
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