JP5098258B2 - ダイナモ試験装置用回転電機 - Google Patents

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本発明は、ダイナモ試験装置の被試験体の出力軸に連結されて、擬似負荷装置として機能するダイナモ試験装置用回転電機に関するものである。
ダイナモ試験装置は、被試験体の入力軸が駆動用モータに連結され、出力軸が負荷用モータに連結されて、試験室内において前記被試験体の性能を測定する装置であって、負荷用モータ(ダイナモ試験装置用回転電機)は、擬似負荷装置として機能している。
負荷用モータは、発生トルクと逆方向の伝達トルクを負荷として受け続けるので、通常のモータに比べて発熱量が多い。従って、ケーシング内部におけるステータやロータ等の発熱部からの発熱を抑制するために、負荷用モータには冷却装置が不可欠である。冷却媒体としては空気が一般的であるが、特許文献1に記載の回転電機では、軸受の潤滑油が冷却媒体としても利用されている。
ここで、図5を用いて、空気を冷却媒体とした負荷用モータにおける負荷側(回転軸が突出した側)の従来の構成について説明する。図5は、従来の負荷用モータM’の負荷側の部分拡大断面図である。負荷用モータM’において、ケーシング50の両端には、それぞれモータカバーC(図5では他方側のモータカバーCは図示していない)が取付けられている。ケーシング50の内側にはステータ33が取付けられている。前記モータカバーCには、軸受21を介して回転軸31が支承されていて、当該回転軸31の負荷側端部は、前記モータカバーCの中心部から突出するように設けられている。前記回転軸31の外周面には、ロータ32が装着されている。前記軸受21は、前記モータカバーCと連結した軸受支持ブラケット22によって外周面を固定されると共に、前記軸受21の内外両側は、回転軸31の軸方向に沿って滑らないようにスペーサ23によって挟まれている。前記スペーサ23において、内側のスペーサ23はその内側を回転軸31の外周面上の段差に当接させていて、外側のスペーサ23はその外側から止めリング27で固定されている。前記軸受21の内外両側には、軸受支持ブラケット22の内周面及びスペーサ23の外周面によって囲まれた空隙部25が形成されている。また、前記軸受支持ブラケット22は、その内外両側を軸受カバー22aで挟まれた構成となっている。当該軸受カバー22aの内周面に軸方向に沿って所定間隔をおいて形成された複数の突条はシール部26となっていて、前記突条の内周面と回転軸31の外周面との間には、僅少の隙間が形成されている。モータカバーC、及び軸受支持ブラケット22には、軸受21用の潤滑油Qの油路43が連通して設けられている。前記潤滑油Qは、モータカバーCの直上の潤滑油注入口41から注入され、モータカバーC、及び軸受支持ブラケット22に形成された油路43内を流動していく。次に、前記潤滑油Qは軸受21の前後両側の空隙部25内に入り、下方に流れていく。そして、再び軸受支持ブラケット22、及びモータカバーCの油路43を流れ、モータカバーCの正面下方部分に形成された潤滑油排出口42から排出される。なお、図5を含む全ての図において、モータカバーC、及び軸受支持ブラケット22同士を互いに固定したり、モータカバーCをケーシング50に取付けるための部材やボルト等は全て省略されている。また、前記潤滑油注入口41及び潤滑油排出口42には、前記潤滑油QでモータカバーCを汚すことなく注入又は排出できるキャップがそれぞれ装着されているが、当該キャップも省略されている。
負荷用モータM’の作動時には、ケーシング50内部のロータ32及びステータ33部分の発熱を抑制するために、冷却空気流Wがブロア61からケーシング50に形成された流入開口51を通ってケーシング50内に高圧状態で流入する。冷却空気流Wは、前記発熱部分で熱交換を行って昇温して加温空気流W’となり、ケーシング50に形成された気流排出口52(図5には図示せず)より大気中に排出される。
上記したように、ブロア61より冷却空気流Wとして、高圧状態の空気を強制的にケーシング50内部に流入させるため、高圧状態の冷却空気流Wの一部、及び加温空気流W’の一部が、シール部26における軸受カバー22aの複数の突条の内周面と回転軸31の外周面との間に形成される僅少の隙間にまで流入し、内側のシール部26、空隙部25、及び外側のシール部26を通って大気中に抜け出る。また、モータカバーC及び軸受支持ブラケット22に形成されている油路43を流れる潤滑油Qが、空隙部25で前記各空気流W,W’と合流し、前記各空気流W,W’に乗って前記隙間からケーシング50外に漏れ出てしまうという油漏れの不具合が発生する。
特開2000−152553号公報
本発明は、ダイナモ試験装置用回転電機において、ケーシング内に導入された高圧状態の冷却空気流の一部と共に、軸受潤滑油がケーシング外に漏出してしまうのを防止することを課題としている。
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、回転軸を支持する軸受の内外両側はシールされていると共に、前記軸受には周辺の軸受支持ブラケット、モータカバー等の各部材に連通して設けられた油路を通して潤滑油が給油され、しかも外部からケーシング内に冷却空気流が供給されて内部を空冷する構成のダイナモ試験装置用回転電機であって、前記モータカバーの内側に前記軸受全体を覆うようにして取付けられた隔壁は、截頭円錐状であって、前記隔壁の截頭部と、前記回転軸に一体に取付けられたシールリングの外周部との接続部がラビリンスパッキンによりシールされ、当該隔壁、前記シールリング及び前記モータカバーの計3部材によって、前記回転軸及び前記軸受支持ブラケットの各々の一部を全周から取り囲む準密閉空間が形成され、前記モータカバーには前記ラビリンスパッキンを通って軸受側に流入した空気流をケーシング外に排出させる通風孔が貫通形成されていることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、截頭円錐状の隔壁、シールリング及びモータカバーで形成された準密閉空間と、残りの大部分を占めるケーシング内空間とは、当該隔壁により隔絶されているため、ケーシングの流入開口から前記ケーシング内空間に流入した冷却空気流は、ステータ、ロータ等の発熱部と熱交換を行って昇温して加温空気流となった後、殆ど大部分は気流排出口よりケーシング外へ放出されるようになるが、ケーシング内部に流入直後の冷却空気流の一部、或いは前記加温空気流の一部が、隔壁の截頭部とシールリングとの接続部に設けられたラビリンスパッキンを通り、準密閉空間に僅かに流入してしまう場合がある。しかし、この場合においても、前記準密閉空間に流入した前記空気流がケーシング外の大気中へ流出する経路としては、シール部を通過して軸受カバーの内周面と回転軸の外周面との隙間から流出する従来の経路と、モータカバーに貫通形成された通風孔を通過する経路があるが、後者の経路の空気抵抗は、前者に比較して圧倒的に小さいので、前記空気流は、モータカバーの通風孔を通って大気中に排出される。このため、準密閉空間に流入した空気流は、軸受内部に形成されたシール部に流入しなくなって、軸受内外の空隙部と合流する油路を通過する軸受潤滑油が、前記空気流に乗せられてケーシング外に漏出するという不具合は解消される。
請求項2の発明は、請求項1に記載のダイナモ試験装置用回転電機において、前記モータカバーの外側における通風孔の部分は、防塵カバーで覆われていることを特徴としている。
請求項2の発明によれば、特に、ダイナモ試験装置用回転電機の不使用時において、空気中の塵埃類が前記通風孔を通って準密閉空間に流入するのを防止できる。
本発明によれば、モータカバーの内側に軸受全体を覆うようにして隔壁を取付けることにより、高圧状態の空気流が隔壁を通過し、軸受内外に形成されたシール部を経てケーシング外へ流出することは殆どなくなる。また、前記空気流の一部が僅かに隔壁を通過してきても、前記空気流はモータカバーに貫通形成された通風孔からケーシング外に放出されるため、前記シール部に流入することはなくなる。従って、軸受内外の空隙部と合流する油路を通過する軸受潤滑油が、前記空気流に乗せられてケーシング外に漏出するという不具合は解消される。
以下、最良の実施形態を挙げて本発明について更に詳細に説明する。なお、「背景技術」の項目で説明した部分と同一部分には同一符号を付し、既述部分との重複説明を避けて本発明の特徴的部分についてのみ説明する。図1は、負荷用モータMの全体斜視図である。図2は、モータカバーCの正面図である。図3は、負荷用モータMの負荷側の部分拡大断面図である。
図1ないし図3を用いて、ダイナモ試験装置用回転電機である負荷用モータMの構成について説明する。まず、図1を用いて負荷用モータMの外観について説明する。略円筒状のケーシング50は、ブラケット63を介してベース板62により支持されている。該ケーシング50の両端部には、モータカバーCがそれぞれ取付けられ、モータカバーCの中心部から軸受支持ブラケット22、軸受カバー22a、及び回転軸31が突出している。該ケーシング50外周面の斜上方には、二つのブロア61が各縁部付近に設けられ、空気吸入口61aをケーシング50の外側方向に向けた状態で配置されている。また、該ケーシング50外周各側面において、該ケーシング50の長手方向の中央部に上下二つの気流排出口52が形成されている。該ケーシング50両縁部において、モータカバーCの頭頂部分には、潤滑油注入口41が設けられている。
次に、図2を用いて、モータカバーCについて説明する。モータカバーCの正面において、形状はモータカバーCは円盤状であり、モータカバーCの中心部に形成された回転軸31を所定長さの距離で囲むように、複数の通風孔1がモータカバーCに貫通形成されている。前記通風孔1には、所定幅を有するリング状の防塵カバー2が覆設されていて、モータカバーCの正面視では、前記通風孔1は防塵カバー2に隠れて見えない状態になっている。上記形状のため、防塵カバー2は、特に負荷用モータMの不使用時において、空気中の塵埃類が前記通風孔1から後述の準密閉空間V 1 内に流入するのを防止できる。また、モータカバーC内部には軸受潤滑油Qの油路43が形成されており、当該油路43の上端部は、モータカバーCの頭頂部に位置し、潤滑油注入口41となっている。モータカバーCの正面下端部付近において、潤滑油注入口41の鉛直方向に潤滑油排出口42が形成されている。
次に、図3及び図5を用いて、本発明の負荷用モータMの負荷側におけるケーシング50内部について、従来の負荷用モータM’との相違点を説明する。モータカバーCの内側には、軸受21、軸受支持ブラケット22、軸受カバー22aを覆うようにして、隔壁10が取付けられている。前記隔壁10の一方の周縁部は、モータカバーCの内側面に取付けられている。隔壁10の開口周縁部11は、回転軸31に一体に取付けられたシールリング24の外周部24aとラビリンス構造を形成し、ラビリンスパッキンによりシールされている。前記隔壁10が取付けられたことにより、ケーシング50内の空間は隔絶され、モータカバーCと隔壁10とで形成される準密閉空間V 1 、及び残りの大部分を閉めるケーシング内空間V 2 とに分けられる。前記隔壁10の形状は問わないが、前記開口周縁部11が截頭部に相当するような截頭円錐状であると、冷却空気流Wの流路スペースが確保されて好都合である。
次に、図4を用いて、負荷用モータMの作動時における冷却空気流Wの流路について説明する。図4は、隔壁10を介して空気圧の異なる空間が形成されていることを示した負荷用モータMの負荷側の部分拡大断面図である。負荷用モータMを作動させると、ブロア61から冷却空気流Wがケーシング50の流入開口51を通ってケーシング50内部に高圧状態で流入する。モータカバーCの内側に取付けられた隔壁10は截頭円錐形状である場合には、冷却空気流Wの流路スペースが確保されて、前記隔壁10によって進路を大きく妨げられることなく、ケーシング内空間V 2 の底部まで満遍なく流れる。以下、隔壁10の形状を截頭円錐形状であるとして、開口周縁部11を截頭部11と記載する。前記冷却空気流Wの大部分は、ロータ32及びステータ33の周囲を通過しながら、発熱しているロータ32及びステータ33と熱交換を行って昇温して加温空気流W’となった後に、ケーシング50側面に形成された気流排出口52(図4には図示せず)より大気中に排出される。隔壁10が形成されたことにより、前記加温空気流W’或いはケーシング内空間V 2 に流入直後の冷却空気流Wが、準密閉空間V 1 に流入することは殆どなくなる。しかし、モータカバーCに通風孔1が形成されて、準密閉空間V 1 は大気圧に保たれているので、高圧状態のケーシング内空間V 2 と圧力差が生じて、前記各空気流W,W’の一部が、前記隔壁10の截頭部11とシールリング24の外周部24aとでシールされたラビリンスパッキンの極僅少の隙間を僅かに通過して、準密閉空間V 1 に流入する可能性がある。この可能性は、以下のように解消される。即ち、前記各空気流W,W’が前記準密閉空間V 1 からケーシング50外へ放出される経路において、シール部26における軸受カバー22aの複数の突条の内周面と回転軸31の外周面との僅少の隙間を通過する経路と比較して、モータカバーCに貫通形成された通風孔1を通過する経路の方が、空気抵抗が圧倒的に小さいので、前記準密閉空間V 1 に流入した前記各空気流W,W’は、モータカバーCの通風孔1を通る経路を経て、ケーシング50外の大気中に排出される。従って、前記シール部26を通過する各空気流W,W’はほぼ完全になくなるので、軸受21の内外両側の空隙部25と合流する油路43を流れる軸受潤滑油Qが、前記各空気流W,W’に乗せられてケーシング50外に漏出するという不具合が解消される。
負荷用モータMの全体斜視図である。 モータカバーCの正面図である。 負荷用モータMの負荷側の部分拡大断面図である。 隔壁10を介して空気圧の異なる空間が形成されていることを示した負荷用モータMの負荷側の部分拡大断面図である。 従来の負荷用モータM’の負荷側の部分拡大断面図である。
C :モータカバー
M :負荷用モータ(ダイナモ試験装置用回転電機)
Q :軸受潤滑油
1 :準密閉空
2 :ケーシング内空
W :冷却空気流
1 :通風孔
2 :防塵カバー
10 :隔壁
11 :截頭部(開口周縁部)
21 :軸受
22 :軸受支持ブラケット
22a:軸受カバー
23 :スペーサ
24 :シールリング
24a:外周部
26 :シール部
31 :回転軸
43 :油路
50 :ケーシング

Claims (2)

  1. 回転軸を支持する軸受の内外両側はシールされていると共に、前記軸受には周辺の軸受支持ブラケット、モータカバー等の各部材に連通して設けられた油路を通して潤滑油が給油され、しかも外部からケーシング内に冷却空気流が供給されて内部を空冷する構成のダイナモ試験装置用回転電機であって、
    前記モータカバーの内側に前記軸受全体を覆うようにして取付けられた隔壁は、截頭円錐状であって、前記隔壁の截頭部と、前記回転軸に一体に取付けられたシールリングの外周部との接続部がラビリンスパッキンによりシールされ、
    当該隔壁、前記シールリング及び前記モータカバーの計3部材によって、前記回転軸及び前記軸受支持ブラケットの各々の一部を全周から取り囲む準密閉空間が形成され、
    前記モータカバーには前記ラビリンスパッキンを通って軸受側に流入した空気流をケーシング外に排出させる通風孔が貫通形成されていることを特徴とするダイナモ試験装置用回転電機。
  2. 前記モータカバーの外側における通風孔の部分は、防塵カバーで覆われていることを特徴とする請求項1に記載のダイナモ試験装置用回転電機。
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