JP5097895B2 - 油圧式無段変速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無段変速用の主油圧モータに閉回路によって流体接続される主油圧ポンプ以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプを油圧回路内に備えた油圧式無段変速装置に関し、特に、前記副油圧ポンプへの作動油給油構造に関する。
従来より、油圧式無段変速装置等の油圧回路には、前記閉回路に作動油を補給したり、PTOクラッチ装置やパワステ装置等の油圧機器に作動油を圧送するため、無段変速用の主油圧ポンプ以外に、各油圧機器毎にチャージポンプや補助ポンプ等の油圧ポンプ(以下、「副油圧ポンプ」とする)を設ける技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−182701号公報
近年、かかる油圧式無段変速装置を搭載した作業車両に対しては、多機能化や作業効率向上の要請から、一台の副油圧ポンプで作動油を圧送しなければならない回路・油圧機器等の数や規格容量が増加しており、加えて、油溜まりや圧送油路の形成に必要な空間の縮小等の観点から、共通の油溜まりから分岐油路を介して複数の副油圧ポンプに作動油を振り分ける給油構造をとる場合が多く、このような油圧回路構成は前記技術においても同様であり、副油圧ポンプへの作動油の給油が追いつかずに不足しがちであった。このため、副油圧ポンプが空気を吸い込んで焼き付いて損傷を受けたり、空気を吸わないまでも副油圧ポンプの吸入ポート側の負圧(以下、「サクション負圧」とする)が大きくなってキャビテーション現象が生じ、作動油圧送先の回路・油圧機器等が作動油中の気泡崩壊時の衝撃によって破損したり、激しい騒音を発生する、という問題があった。また、前記作動油の粘性が、長期使用による品質劣化や気温低下等によって増加すると、副油圧ポンプへの作動油の給油が更に不足して、前述した副油圧ポンプの焼き付き損傷や、回路・油圧機器等の破損・騒音発生が、一層顕著になる、という問題があった。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、無段変速用の主油圧モータ(19)に閉回路によって流体接続される主油圧ポンプ(17)以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプを油圧回路(211)内に複数備えた油圧式無段変速装置(20)において、該油圧回路(211)内には、前記副油圧ポンプのうちの少なくとも一つの副油圧ポンプの第一副油圧ポンプ(15)から吐出された圧油の余剰分を、該第一副油圧ポンプ(15)とは別の副油圧ポンプの第二副油圧ポンプ(155)に作動油として補給可能な給油構造を備え、前記第一副油圧ポンプ(15)は、前記閉回路に作動油を補給するチャージ回路(201・233)内に作動油を圧送するチャージポンプ(15)とすると共に、前記給油構造は、前記チャージ回路(201・233)に接続したリリーフ弁(40)の二次側を前記第二副油圧ポンプ(155)の吸入ポート(209)に連通して成るものである。
請求項2においては、請求項1記載の油圧式無段変速装置において、前記第二副油圧ポンプ(155)から圧送した作動油の戻り油路途中に、作動油の冷却手段(71)を介設することを特徴とする油圧式無段変速装置である。
請求項3においては、請求項1または請求項2記載の油圧式無段変速装置において、 前記リリーフ弁(40)によって前記チャージポンプ(15)からの吐出油路内を同一油圧に設定すると共に、該吐出油路から作動油を取り出して油圧機器(47・75・76)に供給し、該油圧機器(47・75・76)を同一の作動圧にて駆動可能な構成とすることを特徴とする油圧式無段変速装置である。
請求項4においては、請求項1または請求項2記載の油圧式無段変速装置において、前記チャージ回路(201・233)内に抵抗弁(234)を備え、該抵抗弁(234)と前記チャージポンプ(15)との間から作動油を取り出して油圧機器(47・75・76)に供給することを特徴とする油圧式無段変速装置である。
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
請求項1においては、無段変速用の主油圧モータに閉回路によって流体接続される主油圧ポンプ以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプを油圧回路内に複数備えた油圧式無段変速装置において、該油圧回路内には、前記副油圧ポンプのうちの少なくとも一つの副油圧ポンプの第一副油圧ポンプから吐出された圧油の余剰分を、該第一副油圧ポンプとは別の副油圧ポンプの第二副油圧ポンプに作動油として補給可能な給油構造を備えたので、第二副油圧ポンプの作動油不足分を第一副油圧ポンプからの圧油によって十分に補うことができ、第二副油圧ポンプが空気を吸い込まないようにして第二副油圧ポンプの焼き付き損傷を防止すると共に、第二副油圧ポンプのサクション負圧の増加を抑制してキャビテーション現象の発生をなくし、作動油圧送先の回路・油圧機器等の破損・騒音発生を防止することができる。これにより、副油圧ポンプや回路・油圧機器等の耐久性を改善して、部品の交換頻度を長くして稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を図ることができ、更には、低騒音化による作業環境の改善も図ることができる。また、第一副油圧ポンプから吐出された作動油の一部を、第二副油圧ポンプが属する別の部分回路内を循環させて冷却できるため、作動油の著しい高温化を防いで油圧機器の作動特性の向上を図ることができる。
また、前記第一副油圧ポンプは、前記閉回路に作動油を補給するチャージ回路内に作動油を圧送するチャージポンプとすると共に、前記給油構造は、前記チャージ回路内に接続したリリーフ弁の二次側を前記第二副油圧ポンプの吸入ポートに連通して成るので、補給のための装置を別途設けることなく、油圧式無段変速装置に多用されるチャージポンプを作動油源として、第二副油圧ポンプに作動油不足分を補給することができ、部品点数削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。更に、第二副油圧ポンプまでの給油構造も、チャージ回路内を規定値に保つのに多用されるリリーフ弁からの排出油路を利用することができ、新たに設ける油路が短くて済み、給油構造の形成に必要な空間の縮小や部品数の削減を図り、油圧式無段変速装置のコンパクト化や、更なる製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項2においては、前記第二副油圧ポンプから圧送した作動油の戻り油路途中に、作動油の冷却手段を介設するので、チャージ回路内で常時作動して高温状態にあるリリーフ弁からの排出油を作動油として使用する場合であっても、該排出油の温度を迅速に低下させることができ、例え、第二副油圧ポンプによって駆動する油圧機器の数を増やしても、回路内を循環する作動油の著しい温度上昇を確実に防止することができ、各油圧機器の作動特性を一層向上させることができる。
請求項3においては、前記リリーフ弁によって前記チャージポンプからの吐出油路内を同一油圧に設定すると共に、該吐出油路から作動油を取り出して油圧機器に供給して、該油圧機器を同一の作動圧にて駆動可能な構成とするので、油圧機器における油圧アクチュエータの作動圧の設定・調整作業が容易となって、メンテナンス性が向上すると共に、途中の油圧配管に同じ強度のものを使用することができ、配管部品を共通化して部品コストの低減を図ることができる。更に、油圧機器の作動油に減圧弁からのドレン油を使用する場合等に比べ、この減圧弁やドレン油調圧用のリリーフ弁等を省くことができ、部品数を減らして部品コストの一層の低減を図ることができる。
請求項4においては、前記チャージ回路内に抵抗弁を備え、該抵抗弁と前記チャージポンプとの間から作動油を取り出して油圧機器に供給するので、油圧機器の入切に伴う作動油の油圧変動がチャージ回路に及ぼす影響を小さく抑えることができ、油圧式無段変速装置内の閉回路に作動油を安定して補給することができ、優れた変速性能を確保することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に関わる実施例1の作業車両の全体構成を示す側面一部断面図、図2はミッションケースの側面一部断面図、図3は図2におけるA−A矢視断面図、図4は図2におけるB−B矢視断面図、図5は図4におけるC−C矢視断面図、図6は作業車両全体の油圧回路図、図7はミッションケースの正面図、図8は後ブロックよりも前方の部材を脱着したミッションケースの正面図、図9は油圧式無段変速装置の平面図、図10は図9におけるD−D矢視断面図、図11は図9におけるE−E矢視断面図、図12は図9におけるF−F矢視断面図、図13は油圧式無段変速装置を中心とした油圧回路図、図14は実施例2の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図15は実施例3の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図16は実施例4の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図17は実施例5の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図18は実施例6の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図19は実施例7の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図20は実施例8の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図21は実施例2、3、4の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図22は実施例5の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図23は実施例6の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図、図24は実施例7、8の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。
本発明に係わる油圧式無段変速装置を装備した作業車両1の全体構成について、図1により説明する。
該作業車両1の前部には、駆動源を構成するエンジン14が搭載され、該エンジン14から伝動軸2を介してミッションケース3が、駆動車輪を構成する左右の後輪4L・4R間に設置されている。そして、必要に応じて左右の前輪5L・5Rも駆動されるものであり、そのために、前記ミッションケース3からの動力を前輪5L・5Rに伝達するための伝達軸6が設けられている。
前記ミッションケース3の上方には座席7が設置され、該座席7の前方には、左右の前輪5L・5Rを旋回させて車両の操行を行うステアリングホィール8が設けられ、座席7の側方には、副変速レバー151が配置されている。そして、前記前輪5L・5Rと後輪4L・4Rとの間にはミッドマウント型のモア12が設けられ、該モア12の駆動は、ミッションケース3内の下方位置から前方向きに延出するミッドPTO軸9をモア12のギヤボックス12aに伝動軸10を介して接続することによって行う。なお、車両前後方向中央部に破線で示したものは、車速と進行方向を決めるための主変速ペダル150である。
車両後方に接続されるロータリ耕運機等の作業機の昇降は、前記ミッションケース3と座席7間に配置した左右の油圧リフトシリンダ11によって行われると共に、該作業機の駆動は、後方向きに延出させたリアPTO軸13によって行うようにしている。
次に、前記ミッションケース3の構造と動力伝達構成について、図1乃至図4により説明する。前記ミッションケース3は、前から順に前ケース96、後ケース97、動力取出しケース105、後蓋98から構成され、このうちの前ケース96の前面には、油圧式無段変速装置20の閉回路を形成するセンタセクション48が装着されている。
該センタセクション48の下方では、前記ミッドPTO軸9が前ケース96の前壁96aを貫通して前方に延出されると共に、センタセクション48の前面上半分には、チャージポンプ15を収納し前後のブロック153・154から成るポンプブロック152が、ボルト170によって締結固定され、該ポンプブロック152の前面右部に補助ポンプ155が配設されている。
そして、前記ポンプブロック152とセンタセクション48とを貫通するようにして、入力軸16が前方向に延出されると共に前ケース96の上方位置に装備され、入力軸16の前端が前記伝動軸2の後端と連結されている。そして、後で詳述する前記チャージポンプ15と補助ポンプ155とは、それぞれ、この入力軸16からの動力で駆動するトロコイドポンプとギアポンプとして構成されるものである。
また、前記センタセクション48の背面上半分で前ケース96内部には、前記入力軸16によって駆動される油圧ポンプ17が装着される一方、センタセクション48の前面下半部には、出力軸18を備えた油圧モータ19が装着されている。該油圧モータ19と前記油圧ポンプ17とは、いずれも可変容量型に構成されると共に、一対の作動油路49a・49bから成るメイン油路49によって接続され、該メイン油路49と前記油圧ポンプ17・油圧モータ19によって閉回路を構成する油圧式無段変速装置20が形成されている。なお、作業車両1が前進する際には、作動油路49aは高圧側で、作動油路49bは低圧側となる。
該油圧式無段変速装置20においては、油圧ポンプ17における傾角可変のポンプ可動斜板116と、油圧モータ19における傾角可変のモータ可動斜板117との傾角変更によって、油圧モータ19の出力軸18が無段に制御された速度で駆動されるようにしている。そして、このうちのポンプ可動斜板116は前記主変速ペダル150に、モータ可動斜板117は前記副変速レバー151に連動連係されている。
また、前記出力軸18は、前記センタセクション48を後方に貫通して前ケース96内に突入され、その後端には、小径のベベルギア21が固設されている。該ベベルギア21は、前ケース96に左右方向に横架された伝動軸22上の大径のベベルギア23と噛合され、この伝動軸22の外周面にはギア24が刻設されており、出力軸18の回転を減速してギア24に伝えるためのギア減速機構50が設けられている。
前記ギア24は、左右後輪4L・4R用の差動装置51の大径のリングギア25に噛合されると共に、該差動装置51の左右の出力軸を構成する後輪車軸4aL・4aRが前ケース96に支承され、該後輪車軸4aL・4aRの外端には、後輪4L・4R装着用のフランジ4bが固着されており、前記油圧モータ19からの動力が、ギア減速機構50で減速された後、差動装置51を介して後輪車軸4aL・4aRに入力され、左右の後輪4L・4Rを差動的に回転駆動できるようにしている。
この差動装置51においては、デフケース59の中央周囲に前記リングギア25が固設されると共に、デフケース59の両側は前記前ケース96に回転自在に支持されている。該デフケース59の左右両側から前記後輪車軸4aL・4aRが挿入され、該後輪車軸4aL・4aRの内側端にはサイドピニオン60L・60Rが外嵌されると共に、後輪車軸4aL・4aRと直交してデフケース59内にはデファレンシャルシャフト61が固定され、該デファレンシャルシャフト61の両端にデファレンシャルピニオン62が回転自在に外嵌され、該デファレンシャルピニオン62は前記サイドピニオン60L・60Rと噛合されている。
更に、この差動装置51には、デフロック装置63が付設されている。該デフロック装置63においては、前記デフケース59のボス部59aに、デフロックスライダ65が摺動可能に外嵌され、該デフロックスライダ65の溝部65aにはデフロックフォーク66のC字状の先端部が嵌入され、該デフロックフォーク66はリンクを介して図示せぬデフロックレバーに接続されている。前記デフロックスライダ65の内側面には複数のロックピン64の一端が固設され、該ロックピン64の他端は、前記サイドピニオン60Lの嵌入溝60aに挿入可能としている。これにより、運転席近傍に配置した図示せぬデフロックレバーを操作すると、リンクを介してデフロックフォーク66がデフロックスライダ65を摺動させ、ロックピン64がサイドピニオン60Lの嵌入溝60aに挿入されて前記差動装置51がデフロックされる。
また、左右の前輪5L・5Rを駆動するために、前輪駆動ケース27が、前記油圧モータ19を覆うモータケース26の前面に装着されており、この前輪駆動ケース27内には、前記出力軸18が前方に延出されると共に、前輪駆動軸28が出力軸18に同心配置して挿着されている。この前輪駆動軸28は、前記伝達軸6を介して図示せぬ差動装置に連結され、該差動装置の左右の出力軸を構成する前輪車軸の外端が、旋回機構を介して、前記前輪5L・5Rに連結されている。更に、前記出力軸18と前輪駆動軸28との間には、出力軸18に対して前輪駆動軸28を選択的に結合可能な前輪駆動クラッチ29が介設されている。
該前輪駆動クラッチ29においては、出力軸18と前輪駆動軸28の外周に軸芯方向に摺動可能にスリーブ56がスプライン結合され、該スリーブ56内周のスプラインには軸線方向に間隔を空けた2つの溝部56aが形成される一方、前輪駆動軸28の直径方向には孔28aが穿設され、該孔28aに内挿されたバネ58の両端には前記溝部56aのいずれかに係止可能なデテントボール57が取り付けられている。このような構成において、四輪駆動と二輪駆動との切り替えは、図示せぬフォークを操作することにより、該フォークに係合支持された前記スリーブ56を摺動させることにより行う。
これにより、四輪駆動時には、スリーブ56を出力軸18側に摺動してスプライン結合することにより、該スリーブ56を介して出力軸18と前輪駆動軸28とを接続して、出力軸18からの動力が前輪5L・5Rの伝達軸6に伝達可能とし、二輪駆動時には、スリーブ56を前輪駆動軸28側に摺動させて溝部56aがデテントボール57に嵌合固定されるようにすることにより、スリーブ56と出力軸18との係合を確実になくして、出力軸18と前輪駆動軸28との接続を遮断し、出力軸18からの動力が前輪5L・5Rの伝達軸6に伝達できないようにして、四輪駆動と二輪駆動との切り替えを可能としている。
また、前記入力軸16は、油圧ポンプ17からさらに後方に延出され、前ケース96内の支壁部96bに、ベアリングを介して後端側が支持されている。そして、前ケース96の後端開口は、ボルト31等によって前記後ケース97により閉塞され、該後ケース97と前記入力軸16の後端部とに支持されるPTO伝動軸32が、入力軸16と同心上に配置されている。
前記入力軸16の後端部上には回転支持金物33が固設される一方、前記PTO伝動軸32上には外周にギア34を有するクラッチハウジング36が固設されており、該クラッチハウジング36と前記回転支持金物33には、複数枚の摩擦エレメントがそれぞれ摺動のみ自在に支持され、これにより、PTO入切クラッチ37が形成されている。該PTO入切クラッチ37は油圧作動型のものに構成されており、戻しバネ37aにより後退付勢されているピストン37bを、後述するように、油圧の作用によって前進させ前記摩擦エレメント間を係合し、クラッチ作動を得るようにしている。
また、このPTO入切クラッチ37の下方には、支壁部96hと後ケース97とにそれぞれベアリングを介して支持される支軸102上のギア103が配設され、該ギア103は、前記PTO伝動軸32上のギア34と噛合されている。前記ミッドPTO軸9の後端部は、ベアリングを介して同じ支壁部96hに支持され、該支壁部96hの後方へと延出されており、該後端部の外面に形成したスプライン9aを利用して、ミッドPTO軸9上には、スリーブ110がスプライン嵌合されている。そして、該スリーブ110上にはギア104が遊嵌され、該ギア104は前記支軸102上のギア103と噛合されている。
一方、前記リアPTO軸13は、動力取出しケース105と後蓋98とにそれぞれベアリングを介して支持され、前記ミッドPTO軸9よりも高位置で後方向に延出させて設けられている。そして、前記動力取出しケース105は、リアPTO軸13に対する伝動機構106を内装し、該伝動機構106は、リアPTO軸13上の二連ギア107や、後蓋98に1対のベアリングを介して支持される支軸108上にスプライン嵌めして設けたギア109等から構成されている。
この支軸108は、前記ミッドPTO軸9と同心上に配置されると共に、支軸108上のギア109は、そのボス部がミッドPTO軸9方向に延長され、その延長端にはスプライン歯109aが形成されている。前記ギア104のボス部とスリーブ110もそれぞれギア109方向に延長され、スリーブ110の延長端をギア109側に位置させ、これらスリーブ110延長端とギア104ボス部とに、それぞれスプライン歯110a,104aが形成されている。そして、これらのスプライン歯109a、110a,104aにまたがって摺動可能なクラッチ金物111が設けられ、該クラッチ金物111の内周面には、軸線方向で互いに隔てた3箇所にスプライン歯111a,111b,111cが形成され、クラッチ金物111の外周面には切替フォーク113が係合されており、これらによりPTO切替クラッチ112が構成されている。
クラッチ金物111は、その軸線方向に沿って3つの位置に摺動変位されるものに構成されている。クラッチ金物111のスプライン歯111a,111b,111cは、クラッチ金物111の摺動位置に従い、最前端のスプライン歯111aは、常にギア104のスプライン歯104aとの噛合を維持し、また中央のスプライン歯111bは、クラッチ金物111の最前進位置ではスリーブ110のスプライン歯110aとの噛合を解除し、クラッチ金物111の中間位置では同スプライン歯110aに噛合し、クラッチ金物111の最後退位置ではギア109のスプライン歯109aに噛合する位置へと変位され、さらに最後端のスプライン歯111cは、クラッチ金物111の最前進位置ではスリーブ110のスプライン歯110aに噛合し、クラッチ金物111の中間位置ではギア109のスライン歯109aに噛合し、クラッチ金物111の最後退位置では同スプライン歯109aとの噛合を解除する位置へと変位されるように、形成されている。
このような構成において、前記切替フォーク113を操作すると、クラッチ金物111の摺動位置に従って、ギア104に対し、クラッチ金物111の最前進位置では、スリーブ110を結合しミッドPTO軸9のみを駆動する状態が得られ、クラッチ金物111の図2に示す中間位置では、スリーブ110とギア109とを同時に結合してミッドPTO軸9とリヤPTO軸13とを同時に駆動する状態が得られ、クラッチ金物111の最後退位置では、ギア109を結合してリヤPTO軸13のみを駆動する状態が得られるのである。
また、前記油圧ポンプ17においては、センタセクション48の上部内面に設けたポンプ付設面48bにバルブプレート156を配置し、該バルブプレート156に当接させるようシリンダブロック114が回転自在に配置され、該シリンダブロック114の回転中心部に前記入力軸16が係合されている。該シリンダブロック114の複数のシリンダ孔内には、付勢バネを介してピストン115・115・・・が往復動自在に嵌合され、該ピストン115・115・・・の頭部に前記ポンプ可動斜板116のスラストベアリング116aが当接されている。
該ポンプ可動斜板116は、両側方へ突設したトラニオン軸116b・116bを中心として傾倒でき、該トラニオン軸116b・116bのうちの一方は、前ケース96の左側壁内面に回転自在に支持され、他方は前ケース96の右側壁の開口部を閉塞する側板89に回転自在に支持されている。
右側壁側のトラニオン軸116b上には、中立戻しバネ118が外嵌されている。この中立戻しバネ118の両端は同方向に延びて途中で交差し、ポンプ可動斜板116の側面に植設した可動ピン119と、側板89の内面に植設した偏心固定ピン120とを挟み込んでいる。該偏心固定ピン120を所定の位置にセットすることにより、ポンプ可動斜板116は、中立戻しバネ118を介して中立位置に向けて付勢される。
そして、このトラニオン軸116bは、更に延長されて側板89より外に突出し、この突出部分には、主変速制御アーム121の上端部が固定されている。該主変速制御アーム121は図示せぬ連結ロッド等を介して前記主変速ペダル150と連動連結されると共に、主変速制御アーム121の下端と、側板89側面より突設された支持ピン89cとの間には、ショックアブソーバ122が介設されている。これにより、前記主変速ペダル150を外しても油圧ポンプ17を徐々に中立位置に復帰させることができる。
また、前記油圧モータ19においては、センタセクション48の下部外面に設けたモータ付設面48cにバルブプレート157を配置し、該バルブプレート157に当接させるようシリンダブロック123が回転自在に配置され、該シリンダブロック123の回転中心部に前記出力軸18が係合されている。該シリンダブロック123の複数のシリンダ孔内には、付勢バネを介してピストン124・124・・・が往復動自在に嵌合され、該ピストン124・124・・・の頭部に前記モータ可動斜板117に組み込まれたスラストプレート158が当接されている。更に、前記モータ可動斜板117の右側端は、モータケース26の右側壁に前後回動可能に軸支された副変速制御アーム127に連結され、該副変速制御アーム127は、前記副変速レバー151と連動連結されている。このような構成において、前記副変速レバー151を操作すると、副変速制御アーム127が回動してモータ可動斜板117が傾動し、所定の段数に副変速されるようにしている。
以上のような構成において、作業車両1では、主変速ペダル150と副変速レバー151を操作することで、油圧式無段変速装置20により、後輪4、そして必要に応じて前輪5も、無段に制御された速度で駆動して車両の走行を行わせるとともに、PTO入切クラッチ37とPTO切替クラッチ112を作動させることによって、前記モア12等の作業機30への動力を伝達するミッドPTO軸9やリヤPTO軸13を自在に駆動できるようにしている。
次に、前記ミッションケース3内の各油圧機器の構造と油圧制御構成について、図2、図3、図6乃至図13により説明する。前記PTO入切クラッチ37については、図2、図3、図6、図11に示すように、前記PTO伝動軸32に油路77が形成され、該油路77の一端は、PTO伝動軸32の外周面上に開口して、前記クラッチハウジング36においてピストン37bを収納したシリンダ室81と連通される一方、油路77の他端は、前記後ケース97内に形成された油室38に連通されている。
そして、PTO入切クラッチ37の側方には、PTO入切クラッチ37切断時にPTO伝動軸32の慣性空転を防止するためのブレーキ79が配設されており、該ブレーキ79と前記PTO入切クラッチ37とからPTOクラッチ装置76が構成されている。そして、ブレーキ79は、前ケース96の右側壁96cに形成された凹部96gと、側板89に穿孔された孔89bと、該孔89bを側方からボルト100によって閉塞するカバー99とから形成されるシリンダ室83内に構成されている。
該シリンダ室83内にはピストン85が内挿され、該ピストン85のロッド84は、前記右側壁96cの凹部96g内に挿嵌されたボス部88に摺動可能に支持されている。シリンダ室83でピストン85よりも外側の空間83bには、ピストン85をPTO入切クラッチ37側に常時付勢する加圧バネ87が前記ロッド84に周設されると共に、該ロッド84の内側端には摩擦体86が嵌合されており、該摩擦体86は、前記加圧バネ87によって前記クラッチハウジング36の外周側面に当接されている。一方、ピストン85よりも内側の空間83aは、右側壁96c内の油路96fから、後ケース97外壁の厚肉部に沿った油路97aを経由して成る油路78を介して、前記油室38に連通されている。
該油室38は、PTO入切クラッチ37に対して油圧の給排を制御する切替弁39に接続され、該切替弁39は、後ケース97の外面上に装着された3ポート2位置切替の電磁弁により構成され、そのポンプポートは、前記後ブロック154内の減圧弁42のドレンポート189にPTOクラッチ油路200を介して連通されており、該PTOクラッチ油路200を介して、減圧弁42から排出されるドレン油が切替弁39に導入されるようにしている。更に、切替弁39は、このドレン油を規定値に調圧するためのリリーフ弁80にも接続されている。
このような構成において、切替弁39は、運転席近傍に配置した図示せぬPTO切替スイッチの入切操作により、PTO入切クラッチ37を、「作用位置」と「非作用位置」とに択一的に切り換えることができる。
すなわち、切替弁39を図6に示すような「非作用位置」においた場合には、前記減圧弁42のドレンポート189を流れる圧油は、油溜まり101に開放された状態となり、前記PTOクラッチ装置76において、PTO入切クラッチ37では、ピストン37bが戻しバネ37aの付勢力によって摩擦エレメントから後退して非係合状態となっており、PTO伝動軸32への動力伝達が遮断される。同時に、ブレーキ79では、ロッド84先端の摩擦体86が、加圧バネ87の付勢力によってクラッチハウジング36を側方から押圧してPTO伝動軸32を制動し、前記ミッドPTO軸9やリアPTO軸13を迅速に停止させることができる。
逆に、切替弁39を「作用位置」においた場合には、減圧弁42のドレンポート189を流れる圧油が、前記油室38からPTO伝動軸32内の油路77を通って、PTO入切クラッチ37のシリンダ室81に流入し、ピストン37bが戻しバネ37aの付勢力に抗して前記摩擦エレメント間を押圧し、PTO入切クラッチ37が係合されて、入力軸16の回転がPTO伝動軸32に伝達される。同時に、圧油は、前記油室38から前記油路78を通って、ブレーキ79のシリンダ室83でPTO入切クラッチ37側の空間83aに流入し、その結果、ピストン85が加圧バネ87の付勢力に抗してロッド84内側先端の摩擦体86をクラッチハウジング36から後退させ、PTO伝動軸32の制動を解除するようにしている。
前記チャージポンプ15については、図2、図3、図6、図10、図11、図13に示すように、前記後ブロック154後部には凹部154aが形成され、該凹部154aと前記センタセクション48の前面上部との間にポンプ室149が形成され、該ポンプ室149に、互いに係合しながら回転するインナーロータ15aとアウターロータ15bとが収納されており、このうちのインナーロータ15aを前記入力軸16に相対回転不能に係止して、トロコイドポンプが構成されている。
このように、チャージポンプ15は、ポンプブロック152内のセンタセクション48側に設けるので、ポンプブロック152のうちの後ブロック154の凹部154aとセンタセクション48との間にチャージポンプ15のポンプ室149を形成することができ、チャージポンプ15のハウジング用にブロックを新たに設ける必要がなく、部品点数を減少できるだけでなく、更には、チャージポンプ15から油圧式無段変速装置20の閉回路への圧油補給に必要な油路を短くすることができ、加工コストや配管等の部品コストを低減することができる。
また、後述する給油構造によって、チャージポンプ15に吸引され加圧された圧油は、吐出口154eから吐出油路204に吐出されるが、該吐出油路204は、その途中で分岐した油路202を介して、センタセクション48の上部に設けられたリリーフ弁40の一次側に連通されており、該リリーフ弁40によって、チャージポンプ15から吐出された圧油の吐出圧を規定値に設定するようにしている。
更に、この吐出口154eは、吐出油路204を介して、チャージポンプ15を収納した後ブロック154の左一側に設けられた前記減圧弁42の一時側に連通されており、吐出口154eからの圧油の一部は、この減圧弁42によって調圧された後、油路73からチャージ油路74を介して、チェック弁43R・43Fのうち低圧側のチェック弁を通じて、作動油が前記油圧式無段変速装置20内の閉回路に補給される。
そして、このうち、前進時低圧側となる作動油路49bとチャージ油路74との間に設けたチェック弁43Rに並列に絞り44が設けられており、これにより、前進時の伝達効率の低下を防止しつつ、油圧式無段変速装置20の中立位置の拡張を図るようにしている。一方、前進時高圧側となる作動油路49aとチャージ油路74との間に設けたチェック弁43Fには並列にリリーフ弁205が設けられており、これにより、作動油路49aの油圧が所定圧以下では作動油路49aをチャージ油路74に対して遮断し、逆に作動油路49aの油圧が所定圧を超えると作動油路49aをチャージ油路74に連通させるようにして、前進走行時で油圧モータ19が一時的に回転不能な状態に陥った時等でも、作動油路49aからリリーフ弁205、チャージ油路74、チェック弁43R等を介して作動油路49bに作動油を流れ込ませて異常高圧の発生を阻止し、油圧ポンプ17を保護するようにしている。
更に、前記作動油路49a・49bからは、それぞれ自吸油路207が分岐され、該自吸油路207は、自吸チェック弁206とフィルタ208を介してミッションケース3内の油溜まりに開放されており、チャージポンプ15の停止時において、作動油路49a・49bのいずれか一方が負圧となった場合に、この油溜まりから、負圧となった作動油路へ作動油を自吸できるようにしている。これにより、例えば、中立状態でエンジン14を停止して坂道等に作業車両1を停車させた際、前輪5L・5R等の駆動輪に連結された油圧モータ19がポンプ作用をして作動油路49a・49bの一方が高圧となり、該高圧の作動油路から作動油が漏れて駆動輪が自由回転し始め、作業車両1が坂道を下降する、いわゆるフリーホイール現象が発生する恐れがある場合でも、前記油溜まりからフィルタ208、自吸チェック弁206、自吸油路207を通じて、作動油路49a・49b内に作動油を自動的に補給することができ、前記フリーホイール現象を有効に防止することができる。
なお、前記減圧弁42の調圧作動時に排出される一定流量のドレン油は、前述したように、PTOクラッチ油路200を介して、前記PTO入切クラッチ37の切替弁39に送油されるようにしている。
加えて、吐出口154eから吐出された圧油の一部は、吐出油路204、パワステ油路203、該パワステ油路203途中の抵抗弁41、ポート68等を経由して、前記ステアリングホイール8に連係した切替弁67の切り換えによって、パワステ装置75のパワーステアリングシリンダ70に送油され、前輪5L・5Rを操向自在としている。そして、該ステアリングシリンダ70からの戻り油は、オイルクーラ71を経てポート69に送られ、その大部分は、油路159等の戻り油路219を通って、油圧ポンプ17を収納し油の充満が必要とされる第1油室72aへと流れ込むようにしている。
前記補助ポンプ155については、図2、図3、図6乃至図12に示すように、前記後ブロック154前面には凹部154fが形成され、該凹部154fと前記前ブロック153とに挟まれた空間にギア室166が設けられている。そして、該ギア室166内には、左から順に、前記入力軸16に固定ピン167によって外嵌固定されると共にそのボス部が前ブロック153側で軸支された第一ギア161と、前後のブロック153・154間で軸支された中間ギア軸164上に外嵌固定された中間ギア162と、同じく前後のブロック153・154間で軸支されたポンプ軸165上にスプライン結合された第二ギア163とが並列して収納され、このうちの第一ギア161が中間ギア162と噛合し、該中間ギア162が第二ギア163と噛合することにより、前記入力軸16の動力を補助ポンプ155のポンプ軸165まで伝達するポンプドライブトレイン168が構成されている。
前記前ブロック153の前面右部に、前後のケーシング169a・169bからなるケーシング169が固定され、該ケーシング169内のポンプ室171内に前記補助ポンプ155が収納されている。このケーシング169内に前記ポンプ軸165が貫入して回動自在に支持され、その貫入部には駆動ギア172が形設されると共に、ポンプ軸165と平行に従動軸174がケーシング169内に軸支され、該従動軸174にも従動ギア173が形設されており、これら駆動ギア172・従動ギア173を相互に噛合させて、ギアポンプが構成されている。
このように、前記入力軸16からオフセットして配置した補助ポンプ155のポンプ軸165まで入力軸16からの動力を伝達するポンプドライブトレイン168を、前記センタセクション48を挟んで油圧ポンプ17と反対側のポンプブロック152に設けたので、従来の如く、補助ポンプのポンプ室や、該ポンプ室までの油路や、ポンプドライブトレイン等をケーシングの壁部に形成する必要がなく、ケーシングの構造が簡単となり、油圧式無段変速装置20の製造コストを低減させることができる。また、補助ポンプ155のポンプ軸を直接入力軸16上には設けずに該入力軸16から離間した位置に設けることができ、入力軸16とは無関係に補助ポンプ155だけを着脱させることが容易となり、これにより、従来のように、入力軸16を複数に分割してカップリングで連結し該分割軸の一つをポンプ軸とすることにより補助ポンプ155をこのポンプ軸ごと着脱可能とする必要がなくなり、未分割の単一の入力軸16によって油圧ポンプ17にエンジン14からの動力を伝達することができ、前記カップリングを介することによる動力伝達効率の低下や騒音・振動等の発生を防止することができる。
また、後述する給油構造によって、補助ポンプ155に吸引され加圧された圧油は、前記前ケーシング169a内に上下方向に形成された吐出油路177に吐出され、該吐出油路177上端に設けられたポート183は、短い配管から成る昇降油路178を介して切替弁179に接続され、該切替弁179は配管180を介して前記油圧リフトシリンダ11に接続されており、補助ポンプ155から切替弁179に作動油を送油することにより、油圧リフトシリンダ11の切り換え操作を行い、作業機の昇降装置47用の昇降アーム181を駆動操作できるようにしている。
この切替弁179は、後ブロック154上面の切替弁取付面154h上に載置固定されると共に、切替弁179のタンクポート179aは、後ブロック154上部の油路154iに接続され、該油路154iは、前記ギア室166の上面に沿うようにして後ブロック154前部の凹部154jと前ブロック153後面との間に形成された油溜め160と連通されている。更に、油溜め160の右側底部と前記ギア室166右側天部との間には、連絡油路154kが介設されている。
このような構成において、昇降装置47の昇降アーム181を駆動するための切替弁179のタンクポート179aからの油は、油路154i内を流下して油溜め160内に流入して貯溜された後、該油溜め160から前記連絡油路154kを通って、ギア室166内の第二ギア163上に少しずつ落下し、他のギア162・161にも伝わっていき、最終的には全てのギア161・162・163を潤滑させることができる。
なお、油溜め160の左側部には、パワーステアリングシリンダ70からの戻り用のポート69も連通されており、パワーステアリングシリンダ70から戻ってきた油の一部も油溜め160内に供給されるようにしている。
このように、ポンプブロック152の後ブロック154に、前記補助ポンプ155からの作動油を送油する切替弁179を設けるので、補助ポンプ155から切替弁179までの昇降油路178を短い配管等で簡潔なものとすることができ、加工コストや配管等の部品コストを低減することができる。
更に、前記切替弁179からの排出油は、前記ポンプドライブトレイン168を収納するギア室166内に供給可能な構成とするので、同じ部材である前記後ブロック154に設けられた油圧弁からの排出油によって、ポンプドライブトレイン168内のギア161・162・163等の伝動部材を潤滑することができ、潤滑のためにポンプや油路を別途設ける必要がなく、加工コストや配管等の部品コストを低減することができる。
また、前記ギア室166の左右略中央の上部には油孔154qが開口され、該油孔154qは、後ブロック154後部の凹部154mとセンタセクション48の前面上部との間に形成された油路184の下部に連通され、該油路184の上部は、前記抵抗弁41より漏れ出た油を排出する油孔154pに連通されている。これにより、抵抗弁41のバネ室は、油孔154p、油路184、油孔154qを介してギア室166内に連通されており、背圧がかからない構造としている。
また、ギア室166で第一ギア161と中間ギア162間の下方底部には左右に長い長孔形状の油孔154rが開口され、該油孔154rは、後ブロック154で前後に穿設された油路185から、センタセクション48内の油路186・187と前ケース96の前壁96aの油路188とを介して、前記ギア減速機50や差動装置51等を収納する第2油室72b内に連通されており、ギア室166で潤滑した後の油が、ギア室166内に滞留することなく、ミッションケース3内の第2油室72bに円滑に排出されるようにしている。
このように、ギア室166の底部には、排出油をギア室166外に流出させる油孔154rを開口するので、前記切替弁179からギア室166への連絡油路154kの断面積を変えることでギア室166内への投入油量を規制すると共に、油孔154rからギア室166内の油を常時抜くことができ、ギア室166が油で満たされないようにして、溜まった油を伝動部材であるギア161・162・163が撹拌し大きな動力伝達ロスが生じるのを防止することができる。
次に、各ポンプへの作動油給油構造について、図2乃至図7、図10、図12、図13、図21により説明する。
まず、前記チャージポンプ15への作動油給油構造について説明する。図3乃至図6、図10、図13に示すように、前記前ケース96の右側壁96cには側板89が装着されると共に、前ケース96の右前部にはフィルタ取付部91が設けられ、該フィルタ取付部91にフィルタ90が配設されている。該フィルタ90の図示せぬ入口孔は、前記前壁96aに穿孔された孔93を通じて、前記ギア減速機50や差動装置51等を収納する第2油室72bに連通される一方、フィルタ90の出口孔90aは、右側壁96cの油溝96dと側板89の油溝89aとから成る縦油路92の下端に連通されている。
該縦油路92の上部は、右側壁96c上部に形成された油路96eから、センタセクション48内の油路48a、後ブロック154内の油路154bを介して、前記補助ポンプ155と共通のサクション油路154cに連通されている。そして、該サクション油路154cは、後ブロック154内で左右方向に分岐して延設され、その延出左端が、チャージポンプ15の吸入口154dに連通されており、第2油室72bからの油を縦油路92等を介してチャージポンプ15に供給できるようにしている。
これにより、ギア減速機50・差動装置51等を収納しているだけのために、油圧ポンプ17を収納する第1油室72a内の油に比べて長時間稼働時の油温上昇が小さい前記第2油室72b内の油を、前記フィルタ90で清浄化した後にチャージポンプ15で吸引し、前述の如く、油圧式無段変速装置20やパワーステアリングシリンダ70に補給することができ、該油圧式無段変速装置20やパワーステアリングシリンダ70を流れる作動油の温度上昇が抑制され、その耐久性を向上させるようにしている。
また、補助ポンプ155への作動油給油構造について説明する。図2、図3、図6、図7、図12、図13に示すように、前記サクション油路154cの延出右端は前方に屈曲し、その先端にはポート182が設けられ、該ポート182は、配管175を介して、前記前ケーシング169a内に上下方向に形成された油路176下端の吸入ポート209に接続されると共に、油路176の上端は、前記補助ポンプ155の吸入側に下方より連通されている。
これにより、前記第2油室72bからの油を、前記チャージポンプ15と共通のサクション油路154cまで吸引した後は、ポート182、配管175、吸入ポート209、吸入油路176を介して補助ポンプ155内に供給できるようにしている。すなわち、前記チャージポンプ15と補助ポンプ155には、共通のサクション油路154cを介して油を供給するので、必要な油路の数を減らして加工コストや配管等の部品コストを低減することができる。
そして、本発明の油圧回路211では、作動油源として、このような第2油室72bから吸入する油以外に、リリーフ弁40からの排出油を用いるようにしている。つまり、リリーフ弁40の二次側に、センタセクション48内に設けた排出油路210の一端を連通し、該排出油路210の他端を、前記サクション油路154cの途中部に接続することにより、リリーフ弁40から排出油を、この排出油路210を介してサクション油路154c内に補給するようにし、これにより、チャージポンプ15から吐出された圧油の余剰分が作動油として補助ポンプ155に送油される給油構造を構成して、補助ポンプ155への給油不足を解消することができる。
このように、第2油室72bからチャージポンプ15によって吸引された後にリリーフ弁40から排出された排出油は、更に、補助ポンプ155→切替弁179→油圧リフトシリンダ11→切替弁179を経て第1油室72aに流入して貯溜されるようにしており、これにより、作動油が複数の部分回路内を循環し、その間に効率的に冷却される回路構成となっている。
これに対し、図21に示す、従来の油圧回路212では、前記リリーフ弁40の二次側に一端を連通した排出油路213の他端は、リリーフ弁40直後方で油圧ポンプ17を収納する前記第1油室72a内に開放されており、リリーフ弁40からの排出油は、そのままミッションケース3内の第1油室72aに戻されるようにしている。このため、補助ポンプ155に供給される作動油は、チャージポンプ15に供給する作動油と共通の作動油源、すなわち第2油室72b内の油溜まりから吸い上げられた後にサクション油路154cで分岐して振り分けられた油だけであって、しかも、該分岐時には流速・流量とも大きく減少することから、補助ポンプ155には十分な量の作動油を供給できずに、空気が吸い込まれたり、あるいはサクション負圧が大きくなってキャビテーション現象が発生しやすかった。
更に、このようなチャージ回路201内のリリーフ弁40は常時作動する部品であるため、リリーフ弁40自体の温度は比較的高くなり、その結果、リリーフ弁40からの排出油の温度も比較的高くならざるを得ないことから、従来の油圧回路212のように、第2油室72bから吸入された後、チャージポンプ15→リリーフ弁40→第1油室72aのように単一の部分回路内を循環する場合には、第1油室72a内の油温が著しく上昇する傾向にあった。
すなわち、無段変速用の主油圧モータである油圧モータ19に閉回路によって流体接続される主油圧ポンプである油圧ポンプ17以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプを油圧回路211内に複数備えた油圧式無段変速装置20において、該油圧回路211内には、前記副油圧ポンプのうちの少なくとも一つの副油圧ポンプの第一副油圧ポンプであるチャージポンプ15から吐出された圧油の余剰分を、該第一副油圧ポンプとは別の副油圧ポンプの第二副油圧ポンプである補助ポンプ155に作動油として補給可能な給油構造を備えたので、補助ポンプ155の作動油不足分をチャージポンプ15からの圧油によって十分に補うことができ、補助ポンプ155が空気を吸い込まないようにして補助ポンプ155の焼き付き損傷を防止すると共に、補助ポンプ155のサクション負圧の増加を抑制してキャビテーション現象の発生をなくし、作動油圧送先の回路・油圧機器である昇降装置47等の破損・騒音発生を防止することができる。これにより、副油圧ポンプや回路・油圧機器等の耐久性を改善して、部品の交換頻度を長くして稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を図ることができ、更には、低騒音化による作業環境の改善も図ることができる。また、チャージポンプ15から吐出された作動油である排出油の一部を、補助ポンプ155が属する、切替弁179や油圧リフトシリンダ11等から成る別の部分回路内を循環させて冷却できるため、作動油の著しい高温化を防いで油圧機器の作動特性の向上を図ることができる。
加えて、前記第一副油圧ポンプは、前記閉回路に作動油を補給するチャージ回路201内に作動油を圧送するチャージポンプ15とすると共に、前記給油構造は、前記チャージ回路201に接続したリリーフ弁40の二次側を前記第二副油圧ポンプである補助ポンプ155の吸入ポート209に連通して成るので、補給のための装置を別途設けることなく、油圧式無段変速装置20に多用されるチャージポンプ15を作動油源として、補助ポンプ155に作動油不足分を補給することができ、部品点数削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。更に、補助ポンプ155までの給油構造も、チャージ回路201内を規定値に保つのに多用されるリリーフ弁40からの排出油路210を利用することができ、新たに設ける油路が短くて済み、給油構造の形成に必要な空間の縮小や部品数の削減を図り、油圧式無段変速装置20のコンパクト化や、更なる製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
実施例2に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路214について、図14により説明する。該油圧回路214は、前記パワステ装置75への作動油源が実施例1と異なり、それ以外は、前述した実施例1と略同じ構成から成るものである。なお、以下の説明では、前述の実施例1と同等な構成のものは同じ符号で表記する。
油圧回路214においては、エンジン14からの入力軸16を介して駆動連結される可変容量型の油圧ポンプ17と、前輪5L・5R等の駆動輪を駆動する可変容量型の油圧モータ19とを、一対の作動油路49a・49bで接続して閉回路が構成されている。そして、前記入力軸16にチャージポンプ15が形成され、該チャージポンプ15の吸入口154dは、サクション油路154cからフィルタ90等を介して第2油室72bに連通される一方、チャージポンプ15の吐出口154eは、吐出油路204を介してチャージ回路201に接続されている。
該チャージ回路201においては、前記吐出油路204は減圧弁42を介して油路73に連通され、該油路73は、チャージ油路74を介して左右のチェック弁43R・43Fに連通されており、該チェック弁43R・43Fのうち低圧側のチェック弁を通じて、チャージポンプ15からの作動油が閉回路に補給されるようにしている。そして、このうちのチェック弁43Rには、油圧式無段変速装置の中立位置拡張用の絞り44が並設され、チェック弁43Fには、作動油路49a・49b連通による異常高圧発生防止用のリリーフ弁205が並設されている。更に、前記作動油路49a・49bからは、自吸油路207・207がそれぞれ分岐されて、その先部に自吸チェック弁206・206が配設されており、チャージポンプ15停止時にも作動油が閉回路に補給されフリーホイール現象を防止するようにしている。
前記減圧弁42のドレンポート189は、PTOクラッチ油路200を介して切替弁39に連通され、該切替弁39は、前記油路77・78等の油路216を介して、前記PTO入切クラッチ37とは異なる摩擦ディスク式のPTO入切クラッチ215とブレーキ79に接続されており、減圧弁42からのドレン油を作動油としてPTO入切クラッチ215とブレーキ79を作動できるようにすると共に、リリーフ弁80にも接続されてドレン油を調圧するようにしている。
前記吐出油路204の途中部には、リリーフ弁40の一次側が連通されて、該リリーフ弁40の2次側は、前記排出油路210を介して、補助ポンプ155と共通のサクション油路154cに連通されており、実施例1と同じく、リリーフ弁40からの排出油を補助ポンプ155への作動油として補給できるようにしている。
このように、実施例1と同様に、チャージポンプ15からの吐出油により、閉回路内への作動油補給、PTO入切クラッチへの作動油供給、補助ポンプへの作動油補給が行われるようにしている。なお、以下の説明では、前記PTO入切クラッチとブレーキとを合わせてPTOクラッチ装置と称する。
次に、パワステ装置75への作動油供給について説明する。該パワステ装置75には、補助ポンプ155からの吐出油を作動油として供給する油圧回路構成となっている。
詳しくは、補助ポンプ155の吐出油路177が、ポート183から配管217に連通され、該配管217の途中部には、前記昇降装置47に加えてパワステ装置75を直列に接続し、補助ポンプ155からの吐出油を作動油として、これらパワステ装置75と昇降装置47に供給できるようにしている。更に、該昇降装置47の下流には、オイルクーラ71を配置しており、パワステ装置75のパワーステアリングシリンダ70と昇降装置47の油圧リフトシリンダ11を続けて作動させて高温となった作動油が、このオイルクーラ71で強制冷却された後、戻りの配管223からポート218に送られ、ミッションケース3内の戻り油路219を通って前記第1油室72aに流れ込むのである。
これにより、チャージポンプ15によって駆動する油圧機器の数を減らして、チャージポンプ15にかかる負荷を軽減し、該チャージポンプ15の部品寿命を長くすることができる。一方、補助ポンプ155によって駆動する油圧機器の数は増えるが、それによって作動油の温度が上昇しても、オイルクーラ71によって強制的に冷却することができる。特に、チャージ回路201内で常時作動して高温状態にあるリリーフ弁40からの排出油を作動油として使用する場合に、補助ポンプ155によって駆動する油圧機器の数を増やすには、このようなオイルクーラ71による強制冷却は極めて有効である。
すなわち、前記第二副油圧ポンプである補助ポンプ155から圧送した作動油の戻り油路途中に、作動油の冷却手段であるオイルクーラ71を介設するので、チャージ回路201内で常時作動して高温状態にあるリリーフ弁40からの排出油を作動油として使用する場合であっても、該排出油の温度を迅速に低下させることができ、例え、補助ポンプ155によって駆動する油圧機器の数を増やしても、回路内を循環する作動油の著しい温度上昇を確実に防止することができ、各油圧機器の作動特性を一層向上させることができる。
実施例3に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路220について、図15により説明する。該油圧回路220は、前記チャージ回路とPTOクラッチ装置76の油圧回路構成が実施例1と異なり、それ以外は、前述した実施例1と略同じ構成から成るものである。
油圧回路220においては、エンジン14からの入力軸16を介して駆動連結される可変容量型の油圧ポンプ17と、前輪5L・5R等の駆動輪を駆動する可変容量型の油圧モータ19とを、一対の作動油路49a・49bで接続して閉回路が構成されている。そして、前記入力軸16にチャージポンプ15が形成され、該チャージポンプ15の吸入口154dは、サクション油路154cからフィルタ90等を介して第2油室72bに連通される一方、チャージポンプ15の吐出口154eは、吐出油路204を介してチャージ回路221に接続されている。
該チャージ回路221は、実施例1とは異なり、減圧弁42がなく、吐出油路204がチャージ油路74に直接接続されている。該チャージ油路74には、実施例1と同様に、左右のチェック弁43R・43Fと、このうちのチェック弁43Rに並設された中立位置拡張用の絞り44と、チェック弁43Fに並設された異常高圧発生防止用のリリーフ弁205とが連通されると共に、前記作動油路49a・49bにはフリーホイール現象防止用の自吸チェック弁206・206が連通されている。
そして、PTOクラッチ装置76についても、実施例1とは異なり、その切替弁39は、減圧弁42を介することなく、PTOクラッチ油路222を通って吐出油路204に直接接続されると共に、作動油調圧用の前記リリーフ弁80を途中に設けることなく、油路216を通ってPTOクラッチ装置76に接続されている。なお、PTOクラッチ油路222の途中には絞り224を設けて、作動油量を適正に制限するようにしている。また、パワステ装置75については、図示していないが、PTOクラッチ装置76のように、吐出油路204から直接作動油を取り出して供給することができる。
補助ポンプ155への作動油給油構造については、実施例1と同様であって、前記吐出油路204の途中部に、リリーフ弁40の一次側が連通されて、該リリーフ弁40の2次側は、排出油路210を介して、チャージポンプ15と共通のサクション油路154cに連通されており、リリーフ弁40からの排出油を補助ポンプ155への作動油として補給できるようにしている。更に、該補助ポンプ155の吐出油路177は、ポート183から配管217を介して昇降装置47に接続されており、補助ポンプ155からの吐出油を作動油として供給して、昇降装置47を駆動させることができる。
以上のような構成により、チャージポンプ15からPTOクラッチ装置76、パワステ装置75等の油圧機器までの油路を共通化するので、該油路内をリリーフ弁40によって全て同一の油圧に設定することができ、油圧機器の作動圧を合わせることができる。更に、油圧機器の作動油としてチャージポンプ15からの吐出油を直接使用するので、前記減圧弁42、及び該減圧弁42から排出されるドレン油を調圧するためのリリーフ弁80を省くことができる。
すなわち、前記リリーフ弁40によって前記チャージポンプ15からの吐出油路204内を同一油圧に設定すると共に、該吐出油路204から作動油を取り出してPTOクラッチ装置76等の油圧機器に供給して、該油圧機器を同一の作動圧にて駆動可能な構成とするので、油圧機器における油圧アクチュエータの作動圧の設定・調整作業が容易となって、メンテナンス性が向上すると共に、途中の油圧配管に同じ強度のものを使用することができ、配管部品を共通化して部品コストの低減を図ることができる。更に、油圧機器の作動油に減圧弁42からのドレン油を使用する場合等に比べ、この減圧弁42やドレン油調圧用のリリーフ弁80等を省くことができ、部品数を減らして部品コストの一層の低減を図ることができるのである。
実施例4に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路225について、図16により説明する。該油圧回路225も、実施例3のように、前記チャージ回路とPTOクラッチ装置76の油圧回路構成が実施例1と異なり、それ以外は、前述した実施例1と略同じ構成から成るものである。
油圧回路225においては、エンジン14からの入力軸16を介して駆動連結される可変容量型の油圧ポンプ17と、前輪5L・5R等の駆動輪を駆動する可変容量型の油圧モータ19とを、一対の作動油路49a・49bで接続して閉回路が構成されている。そして、前記入力軸16にチャージポンプ15が形成され、該チャージポンプ15の吸入口154dは、サクション油路154cからフィルタ90等を介して第2油室72bに連通される一方、チャージポンプ15の吐出口154eは、吐出油路204を介してチャージ回路233に接続されている。
該チャージ回路223は、実施例1とは異なり、減圧弁42がなく、換わりに、抵抗弁234が吐出油路204と油路73との間に介設されている。そして、該油路73には、実施例1と同様に、チャージ油路74を介して左右のチェック弁43R・43Fと、このうちのチェック弁43Rに並設された中立位置拡張用の絞り44と、チェック弁43Fに並設された異常高圧発生防止用のリリーフ弁205とが連通されると共に、前記作動油路49a・49bにはフリーホイール現象防止用の自吸チェック弁206・206が連通されている。
そして、PTOクラッチ装置76についても、実施例1とは異なり、その切替弁39は、減圧弁42を介することなく、PTOクラッチ油路222を通って吐出油路204に直接接続されており、前記抵抗弁234によって増圧した吐出油路204内の作動油をPTOクラッチ装置76に供給できるようにしている。なお、PTOクラッチ油路222の途中には絞り224を設けて、作動油量を適正に制限するようにしている。また、パワステ装置75については、図示していないが、PTOクラッチ装置76のように、吐出油路204から直接作動油を取り出して供給することができる。
補助ポンプ155への作動油給油構造については、実施例1とは若干異なり、抵抗弁234からチャージ油路74までの油路73の途中部に、リリーフ弁40の一次側が連通されているが、該リリーフ弁40の2次側より下流側は、実施例1と同様であって、排出油路210を介して、補助ポンプ155と共通のサクション油路154cに連通されており、リリーフ弁40からの排出油を補助ポンプ155への作動油として補給できるようにし、更に、該補助ポンプ155の吐出油路177は、ポート183から配管217を介して昇降装置47に接続されており、補助ポンプ155からの吐出油を作動油として供給して、昇降装置47を駆動させることができる。
以上のような構成により、PTOクラッチ装置76、パワステ装置75等の油圧機器に連通する吐出油路204内の油圧は抵抗弁234によって増圧されると共に、該抵抗弁234からの排出油の流れる油路73内の油圧はリリーフ弁40によって規定値に設定されることから、油圧機器の入切によって、該油圧機器に連通する吐出油路204内の油圧が大きく変動しても、チャージ油路74に補給される作動油の油圧変動は小さく抑えられる。
すなわち、前記チャージ回路233内に抵抗弁234を備え、該抵抗弁234と前記チャージポンプ15との間から作動油を取り出してPTOクラッチ装置76等の油圧機器に供給するので、油圧機器の入切に伴う作動油の油圧変動がチャージ回路233に及ぼす影響を小さく抑えることができ、油圧式無段変速装置20内の閉回路に作動油を安定して補給することができ、優れた変速性能を確保することができる。
以上の実施例1乃至実施例4では、副油圧ポンプであるチャージポンプ15からの吐出油の余剰分を、別の副油圧ポンプである補助ポンプ155に作動油として補給する給油構造を備えた油圧式無段変速装置20について説明したが、以下の実施例においては、吐出油の余剰分から作動油を取り出す副油圧ポンプ、以下ではチャージポンプ15自身に、この取り出した作動油を戻して補給する場合について説明する。
実施例5に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路226について、図17、図22により説明する。該油圧回路226は、実施例1から補助ポンプ155に関するラインをなくすと共に、チャージポンプ15の吐出油路204に接続したリリーフ弁として、二次側に作動油補給用の排出ポートを別途設けた複数排出ポート型のリリーフ弁235を使用したものである。
図17に示すように、油圧回路226においては、入力軸16を介して駆動連結される可変容量型の油圧ポンプ17と、駆動輪を駆動する可変容量型の油圧モータ19とを、一対の作動油路49a・49bで接続して閉回路が構成されている。そして、前記入力軸16にチャージポンプ15が形成され、該チャージポンプ15の吸入口154dは、サクション油路236からフィルタ90等を介して油室72に連通される一方、チャージポンプ15の吐出口154eは、吐出油路204を介して、実施例1と同じチャージ回路201に接続されている。該チャージ回路201内の減圧弁42からPTOクラッチ装置76にかけての油圧回路構成も、実施例1と同じなので説明は省略する。
そして、前記吐出油路204の途中部からは油路202が分岐し、該油路202には、チャージポンプ15からの吐出油を規定値に保つためのリリーフ弁235の一次側が連通されている。該リリーフ弁235の二次側には第一排出ポート235aと第二排出ポート235bが形成され、このうちの第一排出ポート235aには第一排出油路237の一端が接続され、該第一排出油路237の他端は前記油室72に開放されており、リリーフ弁235から排出される排出油の一部は、第一排出ポート235aから第一排出油路237を通って油室72に排出される。
前記第二排出ポート235bについては、第二排出油路238を介して前記サクション油路236に連通されており、これにより、チャージポンプ15からの吐出油のうちの余剰分の一部を、リリーフ弁235から第二排出油路238を介してサクション油路236に流し、作動油としてチャージポンプ15に補給することができる。
これに対し、図22に示すような従来の油圧回路230では、単一の排出ポートを有するリリーフ弁40が使用され、該リリーフ弁40の二次側に一端を連通した排出油路213の他端は油室72内に開放されており、リリーフ弁40からの排出油は、そのまま油室72に戻される。このため、チャージポンプ15に供給される作動油は、油室72内の油溜まりからサクション油路236を通って吸い上げられた油だけであるため、油圧機器による負荷が大きいと、チャージポンプ15に空気が吸い込まれたり、あるいはサクション負圧が大きくなってキャビテーション現象が発生する。
すなわち、無段変速用の主油圧モータである油圧モータ19に閉回路によって流体接続される主油圧ポンプである油圧ポンプ17以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプであるチャージポンプ15を油圧回路226内に備えた油圧式無段変速装置において、該油圧回路226内には、チャージポンプ15から吐出された圧油の余剰分を、該チャージポンプ15自身の吸入ポートである吸入口154dに作動油として補給する給油構造を備えたので、チャージポンプ15からの吐出油の余剰分を使ってチャージポンプ15自身の作動油不足分を十分に補うことができ、チャージポンプ15が空気を吸い込まないようにしてその焼き付き損傷を防止すると共に、チャージポンプ15のサクション負圧の増加を抑制してキャビテーション現象の発生をなくし、作動油圧送先のPTOクラッチ装置76といった回路・油圧機器等の破損・騒音発生を防止することができる。これにより、チャージポンプ15やPTOクラッチ装置76等の耐久性を改善して、部品の交換頻度を長くして稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を図ることができ、更には、低騒音化による作業環境の改善も図ることができる。
更に、前記給油構造は、前記チャージ回路にリリーフ弁を接続し、該リリーフ弁の二次側にはチャージポンプ15への作動油補給用の排出ポートである第二排出ポート235bを設け、該第二排出ポート235bを前記チャージポンプ15の吸入ポートである吸入口154dに連通して成るので、補給のための装置を別途設けることなく、チャージ回路内を規定値に保つのに多用されるリリーフ弁を複数排出ポート型のリリーフ弁235に交換するだけで済み、新たに設ける油路が短くなり、給油構造の形成に必要な空間の縮小や部品数の削減を図り、油圧式無段変速装置のコンパクト化や、更なる製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
実施例6に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路227について、図18、図23により説明する。該油圧回路227は、実施例1から補助ポンプ155に関するラインをなくすと共に、チャージポンプ15の吐出油路204には、通常のリリーフ弁40と、二次側に作動油補給用の補給油路240を分岐して設けた抵抗弁239とを接続したものである。
図18に示すように、油圧回路227においては、入力軸16を介して駆動連結される可変容量型の油圧ポンプ17と、駆動輪を駆動する可変容量型の油圧モータ19とを、一対の作動油路49a・49bで接続して閉回路が構成されている。そして、前記入力軸16にチャージポンプ15が形成され、該チャージポンプ15の吸入口154dは、サクション油路236からフィルタ90を介して油室72に連通される一方、チャージポンプ15の吐出口154eは、吐出油路204を介してチャージ回路242に接続されている。
該チャージ回路242は、実施例1と同様に、前記吐出油路204は減圧弁42を介して油路73に連通され、該油路73は、チャージ油路74を介して左右のチェック弁43R・43Fに連通されており、該チェック弁43R・43Fのうち低圧側のチェック弁を通じて、チャージポンプ15からの作動油が閉回路に補給されるようにすると共に、このうちのチェック弁43Rには、油圧式無段変速装置の中立位置拡張用の絞り44が並設されている。更に、前記作動油路49a・49bには自吸チェック弁206・206がそれぞれ連通され、該自吸チェック弁206・206は自吸油路243からフィルタ208を介して共通の油溜まり244に連通されており、チャージポンプ15停止時にも作動油が該油溜まり244から閉回路内に補給され、フリーホイール現象を防止するようにしている。但し、実施例1とは異なり、チャージ回路242内のチェック弁43Fには異常高圧発生防止用の前記リリーフ弁205は設けられていない。
前記減圧弁42からのドレン油をPTO入切クラッチ215とブレーキ79に作動油として供給する構成についても、ほぼ実施例1と同様であって、減圧弁42のドレンポート189がPTOクラッチ油路200を介して切替弁39に連通され、該切替弁39は油路216を介してPTO入切クラッチ215とブレーキ79に接続されており、該PTO入切クラッチ215とブレーキ79をドレン油によって作動可能としている。また、前記PTOクラッチ油路200はリリーフ弁80にも接続されており、ドレン油を規定値に調圧することができる。
そして、前記吐出油路204には、チャージポンプ15からの吐出油を規定値に保つためのリリーフ弁40と、抵抗弁239とが接続され、該抵抗弁239の二次側に連通する機器作動油路241の途中部からは補給油路240が分岐され、該補給油路240は前記サクション油路236に連通されており、チャージポンプ15からの吐出油の一部を、作動油として、抵抗弁239、機器作動油路245、補給油路240、サクション油路236からチャージポンプ15に補給することができる。
前記機器作動油路241は、ポート183から配管217に連通され、該配管217の途中部には、パワステ装置75と昇降装置47とが直列に接続されており、チャージポンプ15からの吐出油の一部を、作動油としてパワステ装置75と昇降装置47に供給できるようにしている。該昇降装置47の下流には、オイルクーラ71を配置し、パワステ装置75と昇降装置47を続けて作動させて高温となった作動油が、強制冷却された後に戻りの配管223からポート218に送られ、ミッションケース3内の戻り油路219を通って油室72に流れ込むようにしている。
なお、前記補給油路240の途中部には絞り246が設けられており、補給油路240側を流れる作動油を制限することで、機器作動油路241を流れる作動油量を多くして、パワステ装置75と昇降装置47の駆動に必要な作動油を十分に確保できるようにしている。
これに対し、図23に示すような従来の油圧回路231では、抵抗弁237からの作動油は、全て、機器作動油路241等を通ってパワステ装置75と昇降装置47に供給される。このため、チャージポンプ15に供給される作動油は、油室72内の油溜まりからサクション油路236を通って吸い上げられた油だけであるため、チャージポンプ15にかかる負荷が大きいと、空気が吸い込まれたり、あるいはサクション負圧が大きくなってキャビテーション現象が発生しやすい。
すなわち、無段変速用の主油圧モータである油圧モータ19に閉回路によって流体接続される主油圧ポンプである油圧ポンプ17以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプであるチャージポンプ15を油圧回路227内に備えた油圧式無段変速装置において、該油圧回路227内には、チャージポンプ15から吐出された圧油の余剰分を、該チャージポンプ15自身の吸入ポートである吸入口154dに作動油として補給する給油構造を備え、該給油構造は、前記閉回路に作動油を補給するチャージ回路242に抵抗弁239を接続し、該抵抗弁239の二次側を分岐してチャージポンプ15の吸入ポートである吸入口154dに連通して成るので、チャージポンプ15からの吐出油の余剰分を使ってチャージポンプ15自身の作動油不足分を十分に補うことができ、チャージポンプ15が空気を吸い込まないようにしてその焼き付き損傷を防止すると共に、チャージポンプ15のサクション負圧の増加を抑制してキャビテーション現象の発生をなくし、作動油圧送先のPTOクラッチ装置76といった回路・油圧機器等の破損・騒音発生を防止することができる。これにより、チャージポンプ15やPTOクラッチ装置76等の耐久性を改善して、部品の交換頻度を長くして稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を図ることができ、更には、低騒音化による作業環境の改善も図ることができる。これに加え、補給のための装置を別途設けることなく、油圧機器に作動油を供給するために機器作動油路241の途中に設ける抵抗弁237から作動油を取出し、チャージポンプ15に補給することができ、部品点数削減による製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、前記抵抗弁239からチャージポンプ15の吸入口154までの補給油路240には、流路制限手段である絞り246を設けるので、油圧機器に作動油を供給する機器作動油路241側を流れる作動油量を多くして、油圧機器の動作性能を更に向上させることができる。
実施例7に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路228について、図19、図24により説明する。該油圧回路228は、実施例1とは異なり、補助ポンプ155をチャージポンプ15と共通の駆動軸245によって同時に駆動可能にすると共に、チャージポンプ15の吐出油路204に接続したリリーフ弁として、二次側に作動油補給用の排出ポートを別途設けた複数排出ポート型のリリーフ弁235を使用したものである。なお、以下の実施例では、油圧モータには固定容量型を用いているが、可変容量型であってもよく、特に限定されるものではない。
図19に示すように、油圧回路228においては、入力軸16を介して駆動連結される可変容量型の油圧ポンプ17と、駆動輪を駆動する固定容量型の油圧モータ247とを、一対の作動油路49a・49bで接続して閉回路が構成されている。そして、実施例1とは異なり、前記入力軸16より延設された駆動軸245には、伝達部材252を介してチャージポンプ15と補助ポンプ155とが同期回転可能に並設されている。
実施例1と同様に、このうちのチャージポンプ15の吸入口154dは、サクション油路236からフィルタ90を介して油室72に連通される一方、チャージポンプ15の吐出口154eは、吐出油路204を介してチャージ回路248に接続されている。該チャージ回路248においては、前記吐出油路204は減圧弁249を介して油路73に連通され、該油路73は、チャージ油路74を介して左右のチェック弁43R・43Fに連通され、このうちの低圧側のチェック弁を通じて、チャージポンプ15からの作動油が閉回路に補給される。そして、このうちのチェック弁43Rには中立位置拡張用の絞り44が並設され、チェック弁43Fには異常高圧発生防止用のリリーフ弁205が並設されている。更に、前記作動油路49a・49bには、自吸油路207・207を介して自吸チェック弁206・206が配設されてフリーホイール現象を防止するようにしている。
前記減圧弁249のドレンポート250は、PTOクラッチ油路200を介して切替弁39に連通され、該切替弁39はPTO入切クラッチ215とブレーキ79に接続されており、減圧弁42からのドレン油を作動油としてPTO入切クラッチ215とブレーキ79を作動できるようにすると共に、リリーフ弁80にも接続されてドレン油を調圧するようにしている。
前記補助ポンプ155の吸入ポート209は、チャージポンプ15と共通のサクション油路236からフィルタ90を介して油室72に連通される一方、補助ポンプ155の吐出油路177は、ポート183から外部の配管に連通され、該配管の途中部には、前記昇降装置47等が接続され、補助ポンプ155からの吐出油を作動油として昇降装置47等に供給できるようにしている。
そして、前記吐出油路204の途中部からは油路202が分岐し、該油路202には、チャージポンプ15からの吐出油を規定値に保つためのリリーフ弁235の一次側が連通されているが、実施例1と異なり、該リリーフ弁235の二次側には第一排出ポート235aと第二排出ポート235bが形成され、このうちの第一排出ポート235aには第一排出油路237の一端が接続され、該第一排出油路237の他端は前記油室72に開放されており、リリーフ弁235から排出される排出油の一部は、第一排出ポート235aから第一排出油路237を通って油室72に排出される。
一方、前記第二排出ポート235bについては、第二排出油路238を介して前記サクション油路236に連通されており、これにより、チャージポンプ15からの吐出油のうちの余剰分の一部を、リリーフ弁235から第二排出油路238を介してチャージポンプ15と補助ポンプ155の両ポンプに、同時に作動油を補給することができる。
これに対し、図24に示すような従来の油圧回路232では、単一の排出ポートを有するリリーフ弁40が使用され、該リリーフ弁40の二次側に一端を連通した排出油路213の他端は油室72内に開放されており、リリーフ弁40からの排出油は、そのまま油室72に戻される。このため、チャージポンプ15と補助ポンプ155に供給される作動油は、油室72内の油溜まりからサクション油路236を通って吸い上げられた油だけであるため、両ポンプへの負荷が大きいと、空気が吸い込まれたり、あるいはサクション負圧が大きくなってキャビテーション現象が発生しやすい。
すなわち、無段変速用の主油圧モータである油圧モータ247に閉回路によって流体接続される主油圧ポンプである油圧ポンプ17以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプであるチャージポンプ15と補助ポンプ155とを油圧回路228内に備えた油圧式無段変速装置において、該油圧回路228内には、チャージポンプ15から吐出された圧油の余剰分を、該チャージポンプ15自身の吸入ポートである吸入口154dと補助ポンプ155の吸入ポート209に作動油として同時に補給する給油構造を備えたので、チャージポンプ15からの吐出油の余剰分を使って、チャージポンプ15と補助ポンプ155での作動油不足分を十分に補うことができ、チャージポンプ15と補助ポンプ155が空気を吸い込まないようにしてその焼き付き損傷を防止すると共に、チャージポンプ15の補助ポンプ155のサクション負圧の増加を抑制してキャビテーション現象の発生をなくし、作動油圧送先のPTOクラッチ装置76といった回路・油圧機器等の破損・騒音発生を防止することができる。これにより、チャージポンプ15・補助ポンプ155やPTOクラッチ装置76等の耐久性を改善して、部品の交換頻度を長くして稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を図ることができ、更には、低騒音化による作業環境の改善も図ることができる。
更に、前記給油構造は、前記チャージ回路にリリーフ弁を接続し、該リリーフ弁の二次側にはチャージポンプ15と補助ポンプ155への作動油補給用の排出ポートである第二排出ポート235bを設け、該第二排出ポート235bを前記チャージポンプ15と補助ポンプ155の吸入ポートに連通して成るので、補給のための装置を別途設けることなく、チャージ回路内を規定値に保つのに多用されるリリーフ弁を複数排出ポート型のリリーフ弁235に交換するだけで済み、新たに設ける油路が短くなり、給油構造の形成に必要な空間の縮小や部品数の削減を図り、油圧式無段変速装置のコンパクト化や、更なる製造コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができるのである。
実施例8に係わる油圧式無段変速装置の油圧回路229について、図20により説明する。該油圧経路は、実施例7におけるリリーフ弁235の第一排出油路237に絞り251を設けたものであり、それ以外は、前述した実施例7と同じ構成から成るものである。
詳しくは、前記吐出油路204の途中部からは油路202が分岐し、該油路202には、チャージポンプ15からの吐出油を規定値に保つためのリリーフ弁235の一次側が連通され、該リリーフ弁235の二次側には第一排出ポート235aと第二排出ポート235bが形成され、このうちの第一排出ポート235aには第一排出油路237の一端が接続され、該第一排出油路237の他端は前記油室72に開放されると共に、該第一排出油路237の途中部に前記絞り251が設けられている。そして、前記第二排出ポート235bは、第二排出油路238を介して前記サクション油路236に連通されている。
これにより、第一排出油路237を流れて油室72に排出される油量を制限する一方、第二排出油路238を流れる油量を多くしてサクション油路236からチャージポンプ15・補助ポンプ155に補給する作動油を十分に確保することができる。
すなわち、無段変速用の主油圧モータである油圧モータ247に閉回路によって流体接続される主油圧ポンプである油圧ポンプ17以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプであるチャージポンプ15と補助ポンプ155とを油圧回路228内に備えた油圧式無段変速装置において、該油圧回路228内には、チャージポンプ15から吐出された圧油の余剰分を、該チャージポンプ15自身の吸入ポートである吸入口154dと補助ポンプ155の吸入ポート209に作動油として同時に補給する給油構造を備えると共に、該給油構造は、前記チャージ回路にリリーフ弁を接続し、該リリーフ弁の二次側にはチャージポンプ15と補助ポンプ155への作動油補給用の排出ポートである第二排出ポート235bを設け、該第二排出ポート235bを前記チャージポンプ15と補助ポンプ155の吸入ポートに連通する一方、作動油補給用以外の排出ポートには流路制限手段である絞り251を設けたので、副油圧ポンプであるチャージポンプ15と補助ポンプ155へのサクション油路236に優先的に作動油を補給することができ、チャージポンプ15からの吐出油の余剰分を使って、チャージポンプ15と補助ポンプ155での作動油不足分を更に十分に補うことができるようになる。
本発明は、無段変速用の主油圧モータに閉回路によって流体接続される主油圧ポンプ以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプを油圧回路内に備えた全ての油圧式無段変速装置に適用することができる。
本発明に関わる実施例1の作業車両の全体構成を示す側面一部断面図である。 ミッションケースの側面一部断面図である。 図2におけるA−A矢視断面図である。 図2におけるB−B矢視断面図である。 図4におけるC−C矢視断面図である。 作業車両全体の油圧回路図である。 ミッションケースの正面図である。 後ブロックよりも前方の部材を脱着したミッションケースの正面図である。 油圧式無段変速装置の平面図である。 図9におけるD−D矢視断面図である。 図9におけるE−E矢視断面図である。 図9におけるF−F矢視断面図である。 油圧式無段変速装置を中心とした油圧回路図である。 実施例2の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例3の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例4の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例5の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例6の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例7の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例8の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例2、3、4の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例5の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例6の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。 実施例7、8の従来の油圧式無段変速装置の油圧回路図である。
15 第一副油圧ポンプ、チャージポンプ
17 主油圧ポンプ
19 主油圧モータ
20 油圧式無段変速装置
40 リリーフ弁
47・75・76 油圧機器
71 冷却手段
155 第二副油圧ポンプ
201・233 チャージ回路
204 吐出油路
209 吸入ポート
211 油圧回路
234 抵抗弁

Claims (4)

  1. 無段変速用の主油圧モータに閉回路によって流体接続される主油圧ポンプ以外に、作動油圧送用の副油圧ポンプを油圧回路内に複数備えた油圧式無段変速装置において、該油圧回路内には、前記副油圧ポンプのうちの少なくとも一つの副油圧ポンプの第一副油圧ポンプから吐出された圧油の余剰分を、該第一副油圧ポンプとは別の副油圧ポンプを構成する第二副油圧ポンプに作動油として補給可能な給油構造を備え、前記第一副油圧ポンプは、前記閉回路に作動油を補給するチャージ回路内に作動油を圧送するチャージポンプとすると共に、前記給油構造は、前記チャージ回路に接続したリリーフ弁の二次側を、前記第二副油圧ポンプの吸入ポートに連通して成ることを特徴とする油圧式無段変速装置。
  2. 前記第二副油圧ポンプから圧送した作動油の戻り油路途中に、作動油の冷却手段を介設することを特徴とする請求項1記載の油圧式無段変速装置。
  3. 前記リリーフ弁によって前記チャージポンプからの吐出油路内を同一油圧に設定すると共に、該吐出油路から作動油を取り出して油圧機器に供給し、該油圧機器を同一の作動圧にて駆動可能な構成とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の油圧式無段変速装置。
  4. 前記チャージ回路内に抵抗弁を備え、該抵抗弁と前記チャージポンプとの間から作動油を取り出して、油圧機器に供給することを特徴とする請求項1または請求項2記載の油圧式無段変速装置。
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